この記事の要点
iPhoneのHDRビデオは10ビット・ドルビービジョンでの記録で、iPhone 12以降は初期設定がオン。オフにしても圧縮は高効率(HEVC)のまま変わらない
共有先がiOS 13.4・iPadOS 13.4・macOS 10.15.4より前の機器だと、同じ動画のSDR版が渡る。本体に残る元の動画はHDRのまま
オフにしても1分あたりの容量は1割前後しか減らない(1080p/30fpsで65MBが60MB。設定画面の目安)。容量を減らす目的でオフにする意味は薄い
DVD・Blu-rayの規格にHDRの枠は無く、ディスクにする段階でSDRの映像になる。iPhoneの画面で見た明るさの派手さはディスクには残らない
渡す先がディスク・Windows・古い機器・他のカメラとの混在編集ならオフ。自分と家族のApple機器で見る記録ならオンのまま。迷ったらオンで撮り、渡すときにSDRにする
自分で 焼く 手間も、 失敗の 心配も なく。
動画ファイルを 送るだけで、 家の プレーヤーで 見られる ディスクに してお届けします。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
発表会の前の晩に、iPhoneの設定を開いて「ビデオ撮影」の中の「HDRビデオ」を見つめている。オンのまま撮ってよいのか、切っておくべきなのか。以前、Windowsのパソコンに移した動画が妙に白っぽく見えたことがあって、知人からは「HDRは切っておいたほうが無難」と聞いた。でも切ったら画質が落ちる気もする。そんな迷いで検索した人に向けて書いています。
答えは、撮った動画をどこへ持っていくかで決まります。オンのままで困るのは、DVDやBlu-rayにして配る、Windowsや古い機器で見る、ほかのカメラの映像と混ぜて編集する、の3つの場面です。それ以外、つまり自分と家族のiPhoneやiPad、Macで見る記録なら、オンのままで構いません。オフにしても容量はほとんど減らず、1080p/30fpsで1分約65MBが約60MBになる程度です。共有の相手が古い機器なら、iPhoneが自動で同じ動画のSDR版を渡す仕組みもあります。
本文は2026年9月時点の情報です。機種はiPhone 18 Pro・18 Pro Max、iPhone Duo(10月23日発売予定)、iPhone 17・Air・17e、iPhone 16の各シリーズを前提にしています。設定画面の説明文と1分あたりの容量は、iOS 18.6の画面の文言で確かめたもので、iOS 27の画面では未確認です。項目の名前や場所はiOSのバージョンで変わるので、手元の画面と少し違っていたら、項目の意味で読み替えてください。
先に答え。オフにするのは、渡す先が決まっているときだけ
HDRビデオの設定は、撮ったあとで元に戻せない方向が一つだけあります。オフで撮った動画は、あとからHDRには戻せません。逆に、オンで撮った動画をSDRにするのは、共有のときにiPhoneが自動でやりますし、当社がディスクにするときにも通る処理です。この非対称さが判断の土台になります。片方向にしか戻れないなら、情報の多いほうで撮って、渡すときに減らすのが原則です。
それでもオフにしたほうがよい場面はあります。渡す先がSDRしか扱えないと最初から分かっていて、しかも途中の変換を自分で確かめられないときです。DVDやBlu-rayにして配る動画、Windowsのパソコンで再生や編集をする動画、ビデオカメラや一眼カメラの映像と一緒に一本に編集する動画。この3つは、オフで撮っておくと、撮ったままの見え方と渡した先の見え方が一致します。
条件を表にすると次のようになります。「渡す先」の列で自分の場面を探してください。同じ発表会でも、ディスクにして配る人と、自分のiPhoneで見返すだけの人では答えが変わります。表の「理由」の列は、あとの節で詳しく書く内容の要約です。先に結論だけ知りたい人は、ここで止まっても構いません。
渡す先・使い方
HDRビデオ
理由
自分と家族のiPhone・iPad・Macで見る
オンのまま
対応機器では撮ったとおりに見える。あとからSDRにもできる
DVD・Blu-rayにして配る
オフでよい
ディスクの規格にHDRの枠が無い。オンでも作れるが、見え方の差を無くすならオフ
Windowsのパソコンで見る・編集する
オフ
HDRの表示や編集は環境に左右される。白っぽく見える相談が多い場面
ビデオカメラなど他の映像と混ぜて編集
オフ
明るさと色の基準が違う素材を並べると、切り替わりで色が跳ぶ
AirDropで家族の新しいiPhoneに送る
オンのまま
iOS 13.4以降の相手にはHDRのまま届く
古いiPadやパソコンに送る
どちらでも
共有先が古ければiPhoneがSDR版を渡す。USB経由は別(後述)
何年も残す記録で、見る機器が決まっていない
オンのまま
情報の多いほうを残し、必要になったときに減らす
表の下から2行目にある「USB経由は別」は、あとの節で詳しく書きます。共有の画面を通さずにケーブルでパソコンへ取り込むと、iPhoneがSDR版を作ってくれる仕組みが働かないことがあるからです。判断の道すじを図にしておきます。上から順に答えていけば、自分の場面での設定が決まります。
上から順に答え、途中でオフが出たらそこで決まる。全部いいえならオンのまま
「HDRビデオ」はどこにあり、何をしている設定なのか
HDRビデオの設定は「設定」アプリの「カメラ」の中、「ビデオ撮影」の画面にあります。iPhone 12以降の機種にある項目で、初期設定はオンです。つまり、買ってから一度も触っていない人は、今までずっとHDRで撮っています。iPhone 16以降の機種はすべて対応していて、機種の仕様ページでもビデオ撮影の欄は「ドルビービジョン対応ビデオ撮影」という書き出しで始まります。
項目の下には説明文が付いています。iOS 18.6の画面では「ドルビービジョンを含む、10ビットのハイダイナミックレンジで最高60 fpsのビデオを撮影します。」という一文です。4K/120fpsが撮れる機種(iPhone 16 Pro以降のPro系とiPhone Duo)では「ビデオ、スローモーション、およびシネマティックモードでは、最高120 fpsのドルビービジョンを含む、10ビットのハイダイナミックレンジでビデオを撮影します。」に変わります。この2つの文が、HDRビデオの中身をほぼ言い尽くしています。
整理すると、HDRビデオがオンのとき、iPhoneは映像を10ビットの階調で、ドルビービジョンという方式のHDRとして記録します。フレームレートの上限は機種で違い、ふつうの機種は60fpsまで、Pro系とDuoは120fpsまでです。オフにすると、階調の広い記録をやめて、従来どおりのSDR(標準的なダイナミックレンジ)の映像として記録します。圧縮の方式そのものは変わりません。
iOS 27の場合の順路
iOS 27の場合、「設定」を開いて「カメラ」をタップし、「ビデオ撮影」に進むと、解像度とフレームレートの一覧の下に「HDRビデオ」のスイッチがあります。同じ画面には「PALフォーマットを表示」「FPS自動調整」「手ぶれ補正(拡張)」「カメラをロック」なども並んでいて、HDRビデオはその中の一つです。表記はバージョンで異なるので、見当たらなければ「HDR」という語を含む項目を探してください。
スイッチの状態を変えても、すでに撮った動画には影響しません。効くのは、変えたあとに撮る動画だけです。ですから「行事の前に切っておく」「終わったら戻す」という運用ができますし、逆に言うと、行事の朝に切り忘れたら、その日の動画は全部HDRで記録されます。順路を図にしておきます。
iOS 27の場合の順路。項目名はバージョンで異なる
項目名が「HDR」だけの機種と、「HDRビデオ(高効率)」と出るとき
機種によっては項目名が「HDRビデオ」でなく「HDR」とだけ表示されます。中身は同じです。もう一つ、「フォーマット」の設定で「互換性優先」を選んでいると、項目名が「HDRビデオ(高効率)」に変わり、スイッチを入れられなくなります。カッコの中の「高効率」は、この機能を使うには高効率の設定が要る、という意味の注記です。なぜそうなるかは、次の節で圧縮の方式と一緒に説明します。
設定画面を撮影の朝に見るとき、確かめる項目は3つです。「フォーマット」が高効率になっているか、「ビデオ撮影」の解像度とフレームレートが想定どおりか、「HDRビデオ」が自分の決めたとおりになっているか。この3つは互いに影響し合うので、一つだけ見て安心すると外れます。全体像はiPhone動画の仕様を機種ごとに一覧にした記事 で、設定ごとの容量の一覧は1分あたりの容量の早見表 にまとめています。
10ビットとドルビービジョンの中身
説明文にある「10ビット」は、色の明るさを何段階で記録するかの単位です。1つの色について、8ビットなら256段階、10ビットなら1,024段階で記録します(2の8乗と2の10乗の計算値)。段階が細かいほど、夕空のグラデーションや、白い壁に落ちる影の移り変わりが、縞にならずに滑らかに残ります。従来のSDRの動画やDVD・Blu-rayの映像は、一般に8ビットの階調で作られてきました。
「ハイダイナミックレンジ」のほうは、記録できる明るさの幅の話です。SDRでは、逆光の窓は白く飛び、舞台の照明の外は黒く潰れます。HDRは、その飛んだ部分と潰れた部分の情報を残す仕組みで、対応した画面で見ると、窓の外の景色と室内の顔が同時に見えます。iPhoneの画面で自分の動画を見て「肉眼に近い」と感じるのは、この幅の広さが効いています。
「ドルビービジョン」は、そのHDRの情報をどう記録し、どう画面に合わせて表示するかを決めた方式の一つで、ドルビー社の名前が付いています。一般には、場面ごとの明るさの情報を映像に添えて持たせる方式とされ、対応した機器はその情報を使って画面の性能に合わせた表示をします。iPhoneのHDRビデオは、この方式を使っています。仕様ページの「ドルビービジョン対応ビデオ撮影」という表記は、その意味です。
三つを合わせると、HDRビデオがオンのiPhoneは「1,024段階の細かさで、明るさの幅を広く、ドルビービジョンの方式で」動画を記録している、と読めます。この記録は、対応した画面で見るときに最も生きます。逆に、対応していない画面や規格に持っていくときは、幅の広い情報を狭い枠に押し込む変換が要ります。この変換で見え方が変わるのが、HDRをめぐる相談のほぼ全部の原因です。
解像度・フレームレート・HDRの3つの軸は、互いに縛り合う
設定画面には、解像度とフレームレートの一覧、フォーマット、HDRビデオの3つの軸があり、どれか一つを動かすと、ほかの軸で選べるものが変わります。互換性優先を選ぶと、HDRが消え、4K/60fps以上と240fpsのスローモーションも消える。HDRをオンにするには高効率が要る。4K/120fpsと1080p/120fpsの通常ビデオはPro系とDuoにしか無い。この縛りを知らずに一つだけ動かすと、思っていた組み合わせで撮れません。
組み合わせごとの1分あたりの容量も、この3つの軸で決まります。高効率でHDRオンの1080p/30fpsが約65MB、同じ設定でHDRオフが約60MB、互換性優先の1080p/30fpsが約130MB。4K/60fpsは高効率でしか選べず、HDRオンで約440MB、オフで約400MBです。決める順番は、まず渡す先でHDRの有無、次に解像度とフレームレート、最後にフォーマットが高効率のままかの確認。この順なら縛りに引っかかりません。
なぜ「高効率」でしか撮れないのか
HDRビデオは、フォーマットが「高効率」のときにしか使えません。「設定」>「カメラ」>「フォーマット」の説明文に、その旨がはっきり書かれています。iOS 18.6の文言では「4K/60 fps、1080p/240 fps、およびHDRビデオを使用するには“高効率”が必要です。」となっていて、シネマティックモードに対応した機種では文頭に「シネマティックビデオ、」が加わり、4K/120fps対応機では「4K/60 fps以上」という書き方になります。
理由は圧縮の方式にあります。高効率はHEVC(H.265)で記録し、互換性優先はH.264で記録します。iPhoneがHDRビデオに使っているのはHEVCによる10ビットの記録で、互換性優先のH.264ではその記録を選べない、というのが説明文の意味です。だから互換性優先を選んだ瞬間に、HDRビデオのスイッチが「HDRビデオ(高効率)」という表示に変わって触れなくなり、同時に4K/60fpsやスローモーションの240fpsも一覧から消えます。2つの方式の違いはH.264とH.265の違い に書いています。
「HDRビデオ」と「フォーマット」は別のスイッチ
ここで一つ、混同しやすい点があります。HDRビデオをオフにすることと、フォーマットを互換性優先にすることは、別の操作です。HDRビデオだけをオフにすると、動画はSDRになりますが、圧縮は高効率(HEVC)のままです。4K/60fpsも240fpsのスローモーションも使えます。互換性優先にすると、HDRが使えなくなるだけでなく、圧縮がH.264に変わり、容量がおよそ2倍になり、選べる解像度とフレームレートの上限も下がります。
「Windowsで見るからHDRを切ろう」と思って互換性優先にしてしまい、4K/60fpsが選べなくなって困る、という順番の取り違えが起きやすいところです。Windowsで開けないのはHEVCのほうの問題で、HDRの問題とは別に扱います。互換性優先にしたときに何が変わるかは互換性優先で容量が2倍になる仕組みと、選べなくなる設定の一覧 に分けて書きました。3つの状態を並べた表を置いておきます。
HDRのスイッチとフォーマットのスイッチは別。互換性優先は選べる設定まで減る
オフにしても容量はほとんど減らない
「HDRを切れば容量が減る」と思ってオフにする人がいますが、減り幅は小さいです。設定画面の「1分間のビデオのサイズは、およそ以下の通りです:」の目安を、HDRオンとオフで比べると、どの設定でも差は1割前後にとどまります。1080p/30fpsなら約65MBが約60MB、4K/30fpsなら約190MBが約170MB、4K/60fpsなら約440MBが約400MBです。いずれも高効率のときの数字で、iOS 18.6の画面の文言です。
画面の表記
高効率+HDRオン
高効率・HDRオフ
差
720p HD/30 fps(領域節約)
45 MB
40 MB
約11%
1080p HD/30 fps(デフォルト)
65 MB
60 MB
約8%
1080p HD/60 fps(よりスムーズ)
100 MB
90 MB
約10%
4K/24 fps(映画のスタイル)
150 MB
135 MB
約10%
4K/30 fps(高解像度)
190 MB
170 MB
約11%
4K/60 fps(高解像度、よりスムーズ)
440 MB
400 MB
約9%
4K/120 fps(高解像度)※Pro系・Duo
800 MB
740 MB
約8%
1分あたりの目安をビットレートに直すと、計算上は1080p/30fpsでオンが約8.7Mbps、オフが約8.0Mbps、4K/30fpsでオンが約25.3Mbps、オフが約22.7Mbpsです(MB×8÷60秒。1MB=100万バイトで計算)。実測の値ではなく、目安からの割り算なので、実際のファイルは場面の動きや明るさで上下します。差の割合は、どの設定でもだいたい同じと見てよい範囲です。
この1割は、10ビットで階調を細かく持つ分と、ドルビービジョンの明るさの情報を添える分に使われています。裏を返せば、その程度の増分で、飛んだ空と潰れた影の情報が残るということでもあります。容量を本気で減らしたいなら、効くのはHDRのスイッチでなく、解像度とフレームレートの行です。4K/30fpsから1080p/30fpsに落とせば約190MBが約65MBで、3分の1になります。
ですから、「空き容量が心配だからHDRを切る」は、労力の割に効果が薄い判断です。行事の前に容量を作るなら、古い動画を移して消すか、行を1080p/30fpsに決めるほうが確実です。空き容量から撮れる時間を出す計算や、行事別の目安は、前に挙げた1分あたりの容量の記事に譲ります。オンとオフの容量の差を棒の長さで見ると、ほとんど並んでいるのが分かります。
設定画面の目安(iOS 18.6の文言・高効率)。差は1割前後にとどまる
SDR版になる条件。共有先がiOS 13.4・macOS 10.15.4より前のとき
HDRで撮った動画を人に渡すとき、相手の機器がHDRを表示できなければどうなるのか。Appleのユーザガイドは、こう書いています。「HDRビデオは、iOS 13.4以降、iPadOS 13.4以降、またはmacOS 10.15.4以降を搭載したデバイスで共有され、それ以外のデバイスは同じビデオのSDRバージョンを受け取ります。」つまり、共有の相手が古い機器なら、iPhoneの側が同じ動画のSDR版を作って渡します。
この一文には2つの意味があります。一つは、相手の機器が新しければ、HDRのまま届くということ。iOS 13.4以降という条件は、ここ数年のうちに更新したiPhoneやiPadならほぼ満たしているので、家族の間でAirDropする分にはHDRのまま渡ると考えてよいでしょう。もう一つは、SDR版を受け取るのは相手であって、自分のiPhoneに残る動画はHDRのままだということ。共有のたびに元の動画が書き換わることはありません。
注意したいのは、この仕組みが「共有」の経路を通ったときにだけ働くことです。写真アプリの共有ボタンからAirDropやメッセージで送る、という操作が前提になっています。ケーブルでパソコンにつないでファイルとして取り込む場合や、クラウドの共有URLでファイルをそのまま渡す場合は、話が別です。経路ごとに何が渡るかを表にします。
渡す経路
相手に渡るもの
根拠・条件
AirDrop(相手がiOS 13.4以降など)
HDRのまま
ユーザガイドの共有の条件を満たす
AirDrop(相手がそれより古い)
同じ動画のSDR版
iPhoneが変換して渡す。元はHDRのまま残る
共有シートの「オプション」で「互換性優先」
変換される可能性
ガイドは「JPEGまたはMOVに変換される可能性」と説明
USBケーブルでMac・Windowsへ(「自動」)
互換性のある形式に変換されることがある
HDRがSDRになるかは確認できていない
USBケーブルで「元のフォーマットのまま」
元のファイルそのまま(HDR)
「設定」>「アプリ」>「写真」で選ぶ
ギガファイル便などの共有URL
元のファイルそのまま(HDR)
ファイルを置いて渡すだけで、変換は入らない
iCloud共有アルバム
作った時期で違う
iOS 27以降で作ればフル解像度、iOS 26以前は最大720p・最長15分
表のうち「自動」でUSB取り込みした場合の行は、公式の説明が「互換性のあるフォーマットで転送する」までで、HDRがSDRになるかどうかまでは書かれていません。ここは断定せず、取り込んだファイルを実際に開いて確かめるのが確実です。共有シートの「自動」「現在」「互換性優先」「すべての写真データ」の4つは、それぞれ渡る形が違います。あとの節で、SDRにする方法の一つとして触れます。
メッセージ・メール・LINEで送るとき
共有の経路は、AirDropだけではありません。メッセージで送る場合も、写真アプリの共有ボタンから送るので、相手の機器が古ければSDR版が渡る仕組みが働きます。iOS 27では、大きなビデオを送っている途中でも続けて返信できるようになりました。メールでは、Mail Dropを使うと最大5GBの添付を送れ、受け取る側は30日以内にダウンロードします。添付として送る経路なので変換は入らない前提ですが、受け取った側で見え方を確かめてください。
LINEで送った動画は、サービスの側で圧縮や変換が入るので、HDRがどう扱われるかを当社では断定できません。画質そのものが下がる経路なので、人に渡す元データや入稿には使わず、確認用と割り切るのが実務的です。家族に見せるだけなら十分ですが、その動画を保存版にはしないでください。
相手の機器が新しいのにSDRで届いたときに疑うこと
相手が最近のiPhoneを使っているのに、届いた動画が白っぽい、あるいは明るさの幅が狭い。そのときは、経路のどこかで変換が入っています。疑う順番は4つです。共有シートの「オプション」で「互換性優先」を選んでいなかったか。iOS 26以前に作った共有アルバム経由で渡していないか。LINEを通していないか。パソコンに「自動」で取り込んだファイルを送っていないか。この4つのどれかに当たれば、写真アプリの共有ボタンからAirDropで送り直すと、HDRのまま届きます。
「SDR版を受け取る」と「オフで撮る」は同じ結果ではない
共有でSDR版が渡るなら、最初からオフで撮るのと同じではないか、と思うかもしれません。結果の映像は似ていますが、経緯が違います。共有で渡るSDR版は、HDRで記録した幅の広い情報を、渡すときに狭い幅へ押し込んだものです。オフで撮った動画は、撮る時点でSDRの幅に合わせて露出や階調が決められています。前者は元がHDRで残る利点があり、後者は「iPhoneで見たままが相手にも届く」という利点があります。
どちらがよいかは、やはり渡す先で決まります。渡す先が一つで、それがSDRだと分かっているなら、オフで撮ったほうが確認の手間が減ります。渡す先が複数あったり、あとから変わるかもしれないなら、オンで撮って元を残し、相手ごとに共有で渡すほうが取り返しがききます。この判断は、あとの「オフにする判断基準」の節でもう一度まとめます。
設定画面に出る確認の文言も手がかりになる
フォーマットで高効率を選ぶとき、iPhoneは確認の文を出すことがあります。iOS 18.6の文言では「4K 60 fpsのビデオは、macOS High Sierra(10.13)以降でのみ再生できます。」「HDRビデオにはmacOS Catalina(10.15)以降が必要です。」の2つです。後者が、HDRの動画をMacで扱うときの下限を示しています。古いMacを使っている人に渡す予定があるなら、この文言が「その人にはSDR版が渡る」ことの目安になります。
白っぽい・灰色っぽい・暗い。HDRの動画が別の画面で違って見える理由
HDRの動画をめぐる相談で多いのは、「iPhoneではきれいなのに、パソコンやテレビで見ると白っぽい」「色が薄い」「逆に暗い」というものです。原因は一つではないので、症状から切り分けます。同じ「色が変」でも、HDRの変換で起きているものと、まったく別の設定で起きているものが混ざっています。
いちばん多いのは、HDRの動画を、HDRに対応していない画面や再生ソフトでそのまま表示している場合です。幅の広い明るさの情報を狭い画面に合わせる処理(トーンマッピング)が入らないか、うまく働かないと、明るい部分が浮いて全体が白っぽく、コントラストの低い映像に見えます。確かめ方は簡単で、同じ動画をiPhoneの写真アプリで見て問題なければ、動画そのものは壊れていません。表示の側の問題です。
直し方は、渡す先に合わせてSDR版を作ることです。共有の経路を通せばiPhoneが作ってくれますし、Macなら「QuickTime Player」で開いて「ファイル」>「書き出す」からH.264で書き出す方法がAppleの案内にあります。今後もその環境で見るなら、次からはHDRをオフで撮る、という判断になります。ディスクにしたときの色の変化についてはHDR動画をディスクにすると色が変わるのかを扱った記事 に詳しく書いています。
次に多いのが、iPhoneの画面だけが派手に見えている場合です。iPhoneの画面はHDRの表示に対応していて、明るい部分をぐっと明るく出します。同じ動画を、HDRに対応したテレビで見ても、テレビの性能と設定によって印象は変わります。こちらは「壊れている」のではなく、画面ごとの表示の差です。写真でも同じことが起きる理由をスマホ・PC・テレビで色が違って見える理由 に、色の基準のずれの切り分けをBT.709と色空間のズレの切り分け方に書いています。
「灰色っぽい」「霧がかかったよう」という症状は、HDRとは別の原因を先に疑います。Pro系の機種でProResのLog撮影をしていると、設定画面の説明文にあるとおり「調整処理を行う前のLogは平坦でグレイに見えます」。HDRの白っぽさは明るい部分が浮く見え方で、Logの灰色は画面全体が均一に眠い見え方です。両者の見分けと戻し方は動画が灰色っぽい原因とApple Log 2の記事にまとめました。
「暗い」と感じる場合は、HDRの動画をSDRに変換したときに、明るい部分に合わせて全体を抑えた結果、iPhoneで見たより沈んで見えることがあります。iPhoneでは窓の外も室内も見えていたのに、変換後は室内が暗い、という見え方です。これは変換の仕方で印象が変わる部分で、編集ソフトで明るさを持ち上げれば戻せます。当社でディスクにするときも、この変換は通ります。
症状ごとの切り分けを、一つの表にしておきます。「まず確かめること」の列を試して当たれば、その行の原因です。当たらなければ次の行へ。どの行にも当たらないときは、動画そのものの問題を疑う前に、再生している画面と経路をもう一度たどってください。
見え方
疑う原因
まず確かめること
全体が白っぽく、コントラストが低い
HDRの動画をHDR非対応の画面・ソフトで表示
同じ動画をiPhoneの写真アプリで見る
均一に眠く、灰色がかっている
ProResのLogで撮影(Pro系)
設定>カメラ>フォーマットのProResとLogの状態
iPhoneで見たより暗く沈む
HDRからSDRへの変換で全体が下がった
編集ソフトで明るさを少し上げて比べる
iPhoneの画面だけ派手に見える
画面ごとの表示の差
HDR対応のテレビやMacで見比べる
解像度が720pに落ちている
iOS 26以前に作った共有アルバム経由
動画の情報でサイズと解像度を見る
相手にだけSDRで届いた
共有先のOSが古く、iPhoneがSDR版を渡した
相手の機器のOSのバージョン
ディスクにするとHDRは残らない
DVDと通常のBlu-rayの規格には、HDRの映像を入れる枠がありません。DVDは720×480画素、29.97fps、MPEG-2という圧縮で映像を持ち、Blu-rayは1920×1080でH.264などの圧縮を使います。どちらも、一般に8ビットの階調とSDRの明るさの幅を前提に作られた規格で、10ビットやドルビービジョンの情報を入れる決まりがありません。光ディスクでHDRを扱う規格として挙がるのはUltra HD Blu-rayですが、家庭で書き込める規格は無いとされています。
したがって、iPhoneのHDRの動画をDVDやBlu-rayにするときは、必ずSDRの映像に変換してから組み立てます。当社で作る場合も同じで、HDRで撮った動画を入稿してもらえば、ディスクの規格に合うSDRの映像に変換したうえで、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから発送します。オンのままで撮った動画をそのまま送ってもらって構いません。変換は当社の工程に含まれています。
ただし、見え方の期待だけは合わせておいてください。iPhoneの画面で見たときの、明るい部分が突き抜けるような見え方は、ディスクには残りません。テレビで再生したときの明るさの幅は、従来のテレビ放送や市販のDVDと同じ範囲に収まります。「ディスクにしたら地味になった」と感じるのは、変換の失敗ではなく、規格の枠の違いです。HDR以外にも、4Kの解像度や120fpsなど、ディスクにする段階で変わるものはディスクにすると消えるものを整理した記事にまとめています。
ここから、ディスクにする前提の動画をどう撮るかが決まります。オンで撮っても作れる。オフで撮れば、撮ったときの画面の見え方とディスクの見え方が近くなり、変換で印象が変わる余地が減る。この2つを天秤にかけて、配布用の動画はオフ、自分用の保存はオン、と分ける人が多いようです。同じ行事を2台で撮るなら、1台をオフにしておく手もあります。
DVDとBlu-rayで、HDRの扱いに差はあるか
ありません。どちらもSDRの映像になります。差が出るのは解像度のほうで、DVDは720×480に縮められ、Blu-rayは1920×1080で収録されます。4Kで撮った動画をBlu-rayにしても1920×1080になりますが、1080pで撮った動画ならBlu-rayでは解像度の変換が入りません。HDRの有無で選ぶ必要は無く、渡す相手の家にBlu-rayの再生機があるか、細部をどこまで残したいかで選びます。
「Ultra HD Blu-ray」という言葉を見かけることがあります。HDRに対応した規格で、市販の映画ソフトなどに使われていますが、家庭で書き込める規格は無いとされています。当社で作るのもDVDとBlu-rayの2種類で、HDRのまま焼けるディスクは選択肢にありません。HDRのまま残したいなら、ディスクとは別に、元データをiCloud写真や外部ストレージに置いておく、という役割分担になります。
自分でSDRにしてから送るべきか
入稿の前に、自分でHDRからSDRに変換しておかなくても構いません。HDRのまま送っても、ディスクに入るのはSDRの映像です。色の見え方を自分で確かめてから渡したい場合は、編集ソフトの中でSDRとして書き出し、書き出したファイルを再生して色を確かめてから送ってください。書き出しの設定は編集ソフト別の書き出し設定 に書いています。
もう一つ、送るときの経路にも気を配ります。ギガファイル便やGoogle ドライブの共有URLで渡す場合、ファイルはそのままの形で届きます。HDRのまま届いても当社で変換するので問題ありません。逆に、LINEで送ると、サービスの側で圧縮や変換が入って画質が下がるので、入稿の経路には向きません。仕組みはLINEで送ると画質が落ちる理由 に書いています。
オフにする判断基準を5つの問いにする
ここまでの材料を、撮る前に自分に聞く5つの問いにまとめます。上から順に答えて、途中で「オフ」が出たらそこで決まりです。全部通り抜けたら、オンのままで撮ります。問いの順番には意味があって、取り返しのつかないものから先に置いています。所要時間は数十秒です。
問い1。撮った動画をDVDかBlu-rayにして人に配るか。配るなら、オフが無難です。ディスクではどのみちSDRになるので、撮った時点でSDRにしておけば、iPhoneで確認した見え方とディスクの見え方が近くなります。自分用の保存はオンで別に撮る、という分け方もできます。オンのまま送ってもディスクは作れるので、ここは「無難」であって「必須」ではありません。
問い2。Windowsのパソコンで再生や編集をするか。するなら、オフです。WindowsでHDRの動画を正しく表示するには、画面と再生ソフトの両方の対応が要り、環境ごとに結果が違います。仕事の記録やプレゼン用の動画で、相手がWindowsだと分かっているなら、オフにしておくと相談が減ります。HEVCそのものがWindowsで開けない問題は別にあって、そちらはフォーマットの側の話です。
問い3。ビデオカメラや一眼カメラ、他の人のスマホの映像と一緒に一本の動画に編集するか。するなら、オフです。HDRの素材とSDRの素材を同じ編集の中に並べると、切り替わるたびに明るさと色の基準が変わり、つないだ跡が目立ちます。編集ソフトが対応していれば揃えられますが、全部SDRで撮っておくほうが、編集の手間も確認の手間も減ります。
問い4。渡す相手の機器が古い、または分からないか。ここは「どちらでも」です。共有の経路を通せば、相手が古ければSDR版が自動で渡ります。ただしUSBやクラウド経由で渡す予定なら、オフで撮っておくほうが安全です。相手がどう受け取るかを自分で確かめられないとき、撮る側でSDRにしておけば、経路による差が出ません。
問い5。この動画を何年も残し、将来どの機器で見るか決まっていないか。ここまで来たら、オンのままにします。10ビットの階調と広い明るさの幅は、あとから足せません。将来のテレビや端末がHDRの表示を当たり前にしていくなら、情報の多いほうで残しておくのが得です。必要になったときにSDRにすればよく、その道は今も開いています。
この5つの問いを表にしておきます。行事の前に見返せば、その日の設定が数十秒で決まります。「はい」の列に「オフ」が出た時点で、下の問いは読まなくて構いません。逆に、問い4まで「いいえ」が続いた人は、切る理由が無いのでオンのままです。表は印刷しても使えます。
問い
はいのとき
いいえのとき
1. DVD・Blu-rayにして人に配るか
オフが無難(オンでも作れる)
次の問いへ
2. Windowsで再生・編集するか
オフ
次の問いへ
3. 他のカメラの映像と混ぜて編集するか
オフ
次の問いへ
4. 相手の機器が古い・分からないか
共有ならどちらでも。USB・クラウド経由ならオフ
次の問いへ
5. 何年も残す記録で見る機器が未定か
オンのまま
オンのまま(切る理由が無い)
オフにする前に、渡す相手に一つだけ聞く
相手の環境が分からないままオフにするのは、もったいない場面があります。聞くのは一つで足ります。「その動画は、何で見ますか」。iPhoneやiPad、Macなら、OSが新しければHDRのまま届き、古ければSDR版が渡るので、オンのままで構いません。Windowsのパソコンやテレビにつないだ再生機なら、オフで撮るか、SDRにしてから渡します。「DVDにしたい」なら、当社の工程でSDRになるので、どちらで撮っても作れます。答えが返ってこないときは、オンで撮って元を残しておきます。
オンのままでよい場面をはっきりさせておく
オフを勧める文脈が続いたので、オンでよい場面も同じ重さで書いておきます。子どもの日常を撮って、自分と家族のiPhoneやiPad、Apple TVで見る。旅行の動画を、iCloud写真で家族と共有する。AirDropで、新しいiPhoneを持つ祖父母に送る。こうした使い方では、HDRのままのほうが、撮ったときに見た明るさの幅がそのまま届きます。切る理由がありません。
もう一つ、逆光や明暗差の大きい場面ではHDRの記録が助けになります。屋外の運動会で、日なたの校庭と日陰のテントが同時に写る。窓を背にした発表の様子を撮る。夕方の海辺で人物を撮る。こうした場面で、SDRだと空が白く飛ぶか顔が暗く沈むかのどちらかになりますが、HDRなら両方の情報が残ります。ディスクにするときは狭い幅に押し込まれるにしても、元の情報が多いほうが変換の材料としては有利です。
迷ったらオンで撮り、渡すときにSDRにする
どちらとも決められないときは、オンで撮ってください。理由は最初に書いた非対称さです。オンで撮った動画は、共有の仕組みでも、編集ソフトでも、当社の工程でもSDRにできます。オフで撮った動画をHDRにする道はありません。迷いが残る状態でオフにすると、あとで「やはりiPhoneで見たあの明るさが欲しかった」となったときに戻れません。
ただし、渡す先が一つに決まっていて、それがSDRだと分かっているなら、オフにする判断を先送りしないでください。確認の手間が減り、渡した相手から「白っぽい」という連絡が来る可能性も減ります。「迷ったらオン」は、迷っているときの原則であって、決まっている人がわざわざオンにする理由にはなりません。
場面別に見る、HDRビデオの設定
判断基準を、実際の行事に当てはめます。同じ「発表会」でも、係として配布用に撮るのか、保護者として自分の子どもを撮るのかで答えが変わるので、立場も分けて書きます。ここに挙げるのは設定の判断だけで、撮り方そのものは各行事の記事に譲ります。会場の明るさの傾向も添えました。
発表会・お遊戯会
舞台の照明は明暗差が大きく、HDRの得意な場面です。ただ、発表会の動画は「あとでディスクにして配る」「先生や他の保護者に渡す」という行き先が最初から決まっていることが多く、その場合はオフで撮るのが実務的です。自分の子どもの分をオンで別に撮りたいなら、2台目のiPhoneをオンにするか、演目の合間に切り替えます。切り替えは「設定」アプリに戻る操作なので、演目の途中では間に合いません。
暗い客席から撮るとき、もう一つ気をつける設定が「FPS自動調整」です。暗いとフレームレートを24fpsに落とす機能で、HDRとは別の項目ですが、同じ「ビデオ撮影」の画面にあります。ディスクにする前提なら、こちらもオフにしておくとフレームレートが揃います。仕組みは、この記事群のFPS自動調整の記事に書きました。
運動会・屋外の行事
日なたと日陰が同じ画面に入る運動会は、HDRの効果が最も出る場面の一つです。自分と家族で見る動画なら、オンのままで撮ってください。空も顔も残ります。配布用にディスクにする係の立場なら、オフで撮ります。屋外の強い日差しの下でSDRで撮ると、空は白く飛びやすいので、露出は顔に合わせ、空はあきらめる、と割り切るほうが結果は安定します。
結婚式・披露宴
式場は照明の演出が多く、スポットライトの当たる新郎新婦と暗い客席が同時に写ります。自分用の記録ならオンで問題ありません。ただし、式場のムービー担当に素材として渡す、あるいは友人が作る余興の動画に混ぜてもらう場合は、相手の編集環境に合わせます。相手がどう扱うか分からないなら、オフで撮って渡すのが無難で、渡す前に「HDRはオフで撮っています」と一言添えると相手が助かります。
旅行・日常
行き先が決まっていない動画の代表です。オンのままで撮ってください。旅先の夕景や、窓越しの景色、水面の反射など、明るさの幅が広い場面が多く、HDRの記録が生きます。何年か経ってディスクにしたくなったら、そのとき当社の工程でSDRにできます。今は行き先を決めずに、情報の多いほうで残しておく判断です。
仕事の記録・研修・プレゼン
職場のパソコンはWindowsであることが多く、動画はPowerPointに貼ったり、社内の共有フォルダに置いたりします。この使い方なら、オフにしておきます。さらに、HEVCが開けない環境が残っているなら、フォーマットも互換性優先にする判断が入りますが、その場合は4K/60fpsなどが選べなくなります。どこまで落とすかは、見る側の環境を一つ確かめてから決めるのが確実です。
会場の明るさで分ける場面。式典・体育館・ライブ・夜景
前の節は行き先で分けました。ここでは会場の明るさの傾向で分けます。明暗差が大きい会場ほどHDRの効果が出て、均一な照明の会場ほど切っても失うものが少ない。行き先の原則はそのままに、明るさの側から見たときの補足です。式典、体育館、ライブ、夜景の順に書き、最後に園や学校の先生が撮る場合と、係として集める場合を添えます。
卒園式・入学式
式の会場は、窓からの光と壇上の照明が混ざり、明暗差が読みにくい場所です。壇上に立つ子どもの顔に露出を合わせると、窓側が白く飛ぶ。HDRの記録はこの飛びを抑えますが、式の動画は園や学校に渡したり、祖父母にディスクで送ったりと、行き先がSDRになりがちです。自分の記録が主ならオン、配る前提ならオフ、という原則はここでも同じです。迷うなら、式はオンで撮り、配布用のSDRへの変換は当社に任せる、という分け方が現実的です。
体育館のスポーツ・部活の試合
体育館は、天井の照明が均一で、窓の無い会場も多く、明暗差そのものは小さめです。HDRの効果が出にくい場面で、切っても失うものが少ない。一方で動きが速いので、フレームレートの選択のほうが仕上がりに効きます。チームで動画を共有する、指導者のWindowsのパソコンで見る、といった行き先が多い場面なので、オフで撮っておく判断が合います。
ライブ・コンサートの照明演出
強いスポットライトと暗い客席が同時に写る場面は、HDRが最も差を出す場面の一つです。自分用の記録ならオンで撮る価値があります。ただし、出演者や主催者に渡す、DVDにして配る、という行き先なら、明るさの幅を撮る側でSDRに決めておくほうが、渡した先の見え方が読めます。撮影が許可されている範囲かどうかは、会場の案内に従ってください。
夜景・花火・イルミネーション
暗い背景に強い光が点在する場面は、HDRの記録が最も見た目に効く場面です。自分と家族で見る動画なら、オンのままで撮ってください。花火の光の芯と、周りの夜空の階調が両方残ります。配布やWindowsが行き先なら原則どおりオフですが、この場面だけは「オンで撮って元を残し、渡す分はSDRに変換する」ほうが後悔が少ないかもしれません。暗い場面ではFPS自動調整が働いて24fpsに落ちることがあるので、ディスクにするならそちらもオフにしておきます。
園や学校の先生が、園の端末で撮る場合
先生が園や学校のiPhoneやiPadで行事を撮り、保護者に配る、という使い方なら、端末の設定を年度の初めにオフで固定しておくのが実務的です。行き先は配布用のディスクや保護者への共有で、ほぼSDRに決まっているからです。撮る人が年度の途中で代わっても設定は端末に残るので、引き継ぎの手間が減ります。自分の記録としてHDRで残したい行事があるなら、その日だけオンにして、終わったら戻します。園の端末の設定は、誰がいつ変えたかを一枚の紙に残しておくと、翌年の担当が迷いません。
学校・団体の係として集める
複数の保護者から動画を集めて一本にする係なら、集める前に設定を指定します。HDRオン・オフ、解像度、フレームレートが人によってばらばらだと、編集で揃える手間が大きくなります。指定の仕方と、集めたあとの確認は、あとの節で詳しく書きます。ここでは、指定が要るという結論だけ先に置きます。
1つの行事の中で、オンとオフを混ぜてよいか
演目の途中でHDRを切り替えたくなる場面があります。前半は自分用にオン、後半は配布用にオフ、というような使い方です。混ぜても撮れはしますが、あとで困る場面が2つあります。編集で一本につなぐときと、ディスクにして通して見るときです。結論は、混ぜないほうが楽、です。
編集でつなぐと、オンで撮ったカットとオフで撮ったカットの境目で、明るさと色の印象が変わります。同じ舞台、同じ照明でも、HDRの素材には明るい部分の伸びがあり、SDRの素材には無い。並べると、切り替わりが目につきます。編集ソフトで揃える作業が要り、それは他のカメラの映像を混ぜたときと同じ手間です。
ディスクにする場合は、当社の側で全部をSDRに変換するので、規格の上では問題なく1枚に収まります。ただ、HDRから変換したカットと、最初からSDRで撮ったカットで、明るさの印象がわずかに違って見えることはあります。通して見たときの均一さを重視するなら、1つの行事は1つの設定で撮り切るのが安全です。
切り替えるなら、演目の切れ目で。撮影中に「設定」アプリへ移動する操作なので、演目の途中では間に合いません。2台で撮れるなら、1台をオン、1台をオフに固定して、それぞれの役割を決めておくほうが、混ぜるより確実です。1台しか無いなら、行き先の優先順位が高いほうの設定で通します。配布が決まっているなら、オフで通す。自分用の記録が主なら、オンで通す。
オフにする手順と、撮ったあとに確かめる方法
手順そのものは短いです。iOS 27の場合、「設定」>「カメラ」>「ビデオ撮影」と進み、「HDRビデオ」のスイッチを切ります。表記はバージョンで異なりますが、場所は「ビデオ撮影」の画面です。切ったあと、同じ画面の解像度とフレームレートの一覧を見て、想定の行になっているかを確かめてください。HDRを切っても行は変わりませんが、この機会に見ておくと、当日の取り違えが減ります。
戻すときも同じ場所です。行事が終わったら、オンに戻すのを忘れないでください。オフのまま日常を撮り続けると、旅行や子どもの日常がすべてSDRで残ります。「行事の前に切る、終わったら戻す」を一組の動作にしておくと、切り忘れも戻し忘れも減ります。
カメラ画面で見えるものと、見えないもの
カメラアプリのビデオモードでは、画面の右上に解像度とフレームレートの値が出ていて、タップで切り替えられます。iPhone XS・XR以降なら、設定を触らなくても出ている表示です。行事の朝にこの表示を見れば、解像度とフレームレートの取り違えは防げます。ただし、HDRのオン・オフはこの表示には出ません。HDRだけは「設定」アプリで確かめる必要があります。カメラ画面で確かめられるのは2つの軸まで、と覚えておいてください。
「設定を保持」との関係
「設定」>「カメラ」>「設定を保持」には、カメラモードやアクションモード、Apple ProResなどを次回も保持する項目が並びます。HDRビデオはその一覧に無く、設定アプリ側のスイッチなので、一度切れば切ったままです。一方、「設定を保持」がオフのままだと、カメラアプリを開き直したときにカメラモードなどが初期の状態に戻ります。行事の朝に「ビデオモードのつもりが写真モードで開いた」という取り違えは保持のほうの話で、HDRとは別の仕組みです。詳しくはカメラの設定を保持の記事に書いています。
撮った動画がHDRかどうかを確かめる
撮ったあとに、その動画がHDRで記録されたかを確かめる方法は、実は限られています。写真アプリの「情報」(動画を上にスワイプ)には、撮影した機種、日時、レンズ、ファイルサイズなどが出ますが、そこで判断するより、撮る前に設定画面を見るほうが確実です。どうしても撮ったあとに知りたいときは、10秒だけ試し撮りをして「情報」のファイルサイズを見て、1分あたりの目安(HDRオンで約65MB、オフで約60MB。1080p/30fps)に換算して比べる、という間接的な方法があります。差が1割しか無いので、確実な方法とは言えません。
ですから、行事の当日は「設定画面を見てから撮る」を習慣にしてください。フォーマット、解像度とフレームレート、HDRビデオ。この3つを撮る前に見れば、撮ったあとに確かめる必要はなくなります。見るのに1分もかかりません。前日に見ていても、当日にもう一度見ます。
QuickTake・シネマティック・スローモーション・タイムラプスでのHDR
HDRビデオのスイッチは、通常のビデオ以外のモードにも及びます。写真モードでシャッターを長押しして撮るQuickTakeは、説明文に「QuickTakeビデオでは、HDRで最大4K 60 fpsまで現在のビデオ設定で撮影します。」とあり、現在の設定に従います。4K/120fps対応機(16 Pro以降のPro系とDuo)では、説明文のとおり、スローモーションとシネマティックモードでもドルビービジョンで記録されます。
iPhone 18 ProとiPhone Duoでは、タイムラプスも最大4Kのドルビービジョンで撮れると仕様ページにあります。前後のカメラで同時に撮るデュアルキャプチャも「最大4Kドルビービジョン・30fps」という表記です。つまり、HDRを切る判断は、通常のビデオだけでなく、これらのモードで撮る動画にも同じように効きます。行事でスローモーションを混ぜる予定があるなら、その分も同じ設定で揃うと覚えておいてください。
失敗の型|症状から原因をたどり、直し方まで
HDRビデオの設定をめぐって実際に起きる失敗は、型が決まっています。症状、原因、確かめ方、直し方の順に書きます。自分の症状に近いものから読んでください。半分はHDRそのものの問題で、残りの半分はHDRと別の設定を取り違えたものです。どちらかを見分けるところから始めます。
HDRを切ったつもりが、4K/60fpsまで消えていた
症状は、行事の朝にカメラの画面を見たら、4K/60fpsやスローモーションの240fpsが選べなくなっていた、というものです。原因は、HDRビデオのスイッチでなく、フォーマットを「互換性優先」に切り替えてしまったこと。互換性優先ではHDRだけでなく4K/60fps以上と240fpsも使えません。確かめ方は「設定」>「カメラ」>「フォーマット」を見ること。直し方は「高効率」に戻し、そのうえで「ビデオ撮影」の「HDRビデオ」を切ることです。順番を逆にすると、また同じ状態になります。
容量を減らすためにオフにしたのに、ほとんど減らない
オフにして撮ったのに、ファイルの大きさが前とほとんど変わらない、という声もあります。理由は、HDRの有無で変わる容量が1割前後しか無いことです。1080p/30fpsで約65MBが約60MBになる程度で、10分撮っても50MBほどの差です。設定画面の目安を見れば、この差はすぐ分かります。減らしたいなら、解像度とフレームレートの行を見直します。4K/30fpsから1080p/30fpsにすれば、目安で約190MBが約65MBに減ります。
Windowsに移したら白っぽく、コントラストが無い
ケーブルやクラウドでWindowsのパソコンに移した動画が、全体に白っぽく、色が薄く見える。これは、HDRの動画をHDRに対応していない画面や再生ソフトで表示しているときに起きます。確かめるには、同じ動画をiPhoneで見ます。iPhoneで問題なければ、動画は壊れていません。直すには、渡す先に合わせたSDR版を作ります。その方法は次の節にまとめます。次からその環境で見る動画は、HDRをオフで撮ります。
ビデオカメラの映像とつないだら、切り替わりで色が跳ぶ
編集で、iPhoneの動画とビデオカメラの動画を交互に並べたら、カットが変わるたびに明るさや色の印象が変わる。原因は、HDRの素材とSDRの素材が同じ編集の中に混ざっていることです。見分けるには、iPhoneの素材だけを続けて見て、跳びが消えるかどうかを見ます。揃えるには、編集ソフトでiPhoneの素材をSDRにするか、次からオフで撮ります。編集ソフトの対応は製品ごとに違うので、書き出しの設定を先に確かめてください。
行事の朝、設定が思っていたのと違った
前の晩に確かめたはずの設定が、当日の朝に変わっていた、ということもあります。HDRビデオのスイッチ自体は、一度切れば切ったままなので、勝手に戻ることは考えにくいです。原因として多いのは、家族の誰かが設定を触った、あるいはカメラ画面の上部で解像度とフレームレートをタップして切り替えたまま忘れていた、の2つ。確かめ方は、当日の朝に設定画面を見ること。直し方は、家族で使う端末なら、撮る本人が撮影の直前に設定を見る習慣にすることです。
古いiPadに送ったら、iPhoneで見たより地味になった
AirDropで古いiPadや古いMacに送った動画が、iPhoneで見たより明るさの幅が狭く、地味に見える。これもよくある型です。原因は、共有先がiOS 13.4・iPadOS 13.4・macOS 10.15.4より前の機器だったために、iPhoneが同じ動画のSDR版を渡したこと。確かめ方は、相手の機器のOSのバージョンを見ること。直し方は特にありません。相手の機器で表示できる範囲の動画が届いている状態で、自分のiPhoneには元のHDRの動画が残っています。
灰色っぽく、霧がかかったように見える
動画全体が均一に眠く、灰色がかって見えるときは、HDRとは別の原因を疑います。HDRの白っぽさとは見え方が違い、明るい部分が浮くのでなく、画面全体のコントラストが無い状態です。原因は、Pro系の機種でProResのLogがオンになっていることです。確かめるには「設定」>「カメラ」>「フォーマット」で「Apple ProRes」と「ProRes Logビデオエンコーディング」の状態を見ます。戻すには、Logを切って撮り直すか、編集ソフトで色を戻してから渡します。
共有アルバムから取り出した動画が720pで、HDRでもなかった
親戚が共有アルバムから保存した動画をディスクにしようとしたら、解像度が720pで、明るさの幅も狭かった、という相談です。元をたどると、そのアルバムがiOS 26以前に作られたもので、動画は最長15分・最大720pで配信されていました。見分けるには、動画の情報でファイルサイズと解像度を見ます。直すには、撮った本人の元データを共有URLで送ってもらう以外にありません。共有アルバムの動画は入稿の元に使わない、と決めておくと迷いません。
ディスクにしたら、iPhoneで見たより暗い・地味
当社や他社で作ったDVD・Blu-rayをテレビで再生したら、iPhoneで見たときの明るさの突き抜けが無く、落ち着いた見え方になった。これは失敗ではありません。原因は、ディスクの規格にHDRの枠が無く、SDRの映像に変換されていること。確かめ方は、市販のDVDや従来のテレビ放送と比べること。同じ範囲の明るさに収まっていれば正常です。直し方はありませんが、次から配布用の動画をオフで撮っておくと、撮ったときの印象とディスクの印象の差が小さくなります。
オンで撮った動画を、あとからSDRにする方法
オンで撮ってしまった、あるいは意図してオンで撮った動画を、SDRしか扱えない先に渡す方法をまとめます。経路は4つあります。共有の仕組みに任せる、Macで書き出す、Windowsで扱う、編集ソフトで書き出す。それぞれ、Appleの案内で確かめられている範囲と、確かめられていない範囲を分けて書きます。
共有の仕組みに任せる
いちばん手がかからないのは、写真アプリの共有ボタンからAirDropやメッセージで送ることです。相手の機器が古ければ、iPhoneがSDR版を作って渡します。相手が新しい機器で、それでもSDRで受け取りたい場合は、共有シートの上部にある「オプション」で「互換性優先」を選ぶ方法があります。ユーザガイドには「互換性優先」を選ぶと「ファイルはJPEGまたはMOVに変換される可能性があります」とあり、HDRがSDRになるかまでは明記されていません。送ったあとに相手側で見え方を確かめてください。
Macで書き出す
Appleの案内には、HEVCの動画をH.264に変換する手順があります。「QuickTime Player」で動画を開き、「ファイル」>「書き出す」を選び、ポップアップを「ファイルサイズ重視(HEVC)」から「互換性重視(H.264)」に変えて「保存」します。HEVCのチェックボックスが出る場合は外します。もう一つ、Finderで動画をcontrolキーを押しながらクリックし、「サービス」>「選択したビデオファイルをエンコード」から「設定」で「H.264」を選ぶ方法もあります。
この案内はHEVCからH.264への変換として書かれていて、HDRがSDRになるとは明記されていません。H.264で書き出した動画は、一般に8ビットのSDRの動画になると考えられますが、書き出したファイルを実際に開いて、白っぽさが消えているかを見て判断してください。Macの画面自体がHDRに対応している機種だと、元の動画と書き出した動画の差が分かりにくいので、できれば渡す先の環境で確かめます。
Windowsで扱う
Windowsのパソコンにケーブルで取り込む場合、Appleの案内では、Microsoft Storeの「Appleデバイス」アプリを入れて接続し、「このコンピュータを信頼しますか?」で「信頼」を選びます。取り込みの形式は、iPhone側の「設定」>「アプリ」>「写真」>「MacまたはPCに転送」で決まり、「自動」なら互換性のある形式に変換されることがあり、「元のフォーマットのまま」ならそのままのファイルが渡ります。iCloud写真を使っていて本体に元データが無い場合は、先に「オリジナルをダウンロード」しておく必要があります。
「自動」で取り込んだときにHDRがSDRになるかは、公式の説明に書かれていないので、確かめてから使ってください。もう一つ、WindowsでHEVCの動画を開くには、Microsoft Storeで配布されている拡張機能が要る場合があります。HEVCが開けないことと、HDRが白っぽく見えることは別の問題で、前者は拡張機能、後者はSDR版の用意で解決します。取り込みと変換の全体はiPhoneの動画をDVD・Blu-rayにする手順 にまとめています。
編集ソフトで書き出す
編集ソフトを使う人は、書き出しのときにSDR(一般にBT.709と呼ばれる基準)の設定で書き出せば、その動画はSDRになります。ソフトごとに項目の名前が違い、HDRのまま書き出す設定が初期値になっているソフトもあるので、書き出し画面の色の項目を一度見てください。書き出した動画を渡す先、たとえば当社の入稿に使うなら、その動画をそのまま送ってもらえば、二重の変換にはなりません。
変換したあとに確かめる3点
どの方法で変換しても、渡す前に3点を見ます。1つ目は、白っぽさが消えたか。渡す先の環境か、少なくともHDRに対応していない画面で開いて、明るい部分が浮いていないかを見ます。2つ目は、暗く沈みすぎていないか。HDRの明るい部分に合わせて全体が下がり、室内や顔が暗く見えることがあります。気になるなら編集ソフトで明るさを少し上げます。
3つ目は、解像度とフレームレートが変わっていないか。変換の設定によっては、4K/60fpsの動画が1080p/30fpsに落ちることがあります。書き出しの画面で解像度とフレームレートの項目を見て、元と同じにしておきます。ファイルの大きさは、H.264で書き出すと元のHEVCより大きくなるのがふつうで、目安としては互換性優先の列に近づきます。大きくなったこと自体は失敗ではありません。
機種ごとの違いは、ドルビービジョンの上限フレームレートだけ
HDRビデオそのものは、今Appleが販売している機種のすべてで使えます。iPhone 16、17、Air、17e、18 Pro、18 Pro Max、そして10月23日発売予定のiPhone Duoまで、仕様ページのビデオ撮影の欄はどれも「ドルビービジョン対応ビデオ撮影」で始まります。違うのは、ドルビービジョンで撮れる上限のフレームレートです。
機種
ドルビービジョンの上限
4K/120fps
ProRes
備考
iPhone 18 Pro/18 Pro Max
最高120fps
○(Fusionメイン)
○
タイムラプスも最大4Kドルビービジョン
iPhone Duo
最高120fps
○(Fusionメイン)
—
10月23日発売予定。仕様ページの記載による
iPhone 17 Pro/17 Pro Max
最高120fps
○(Fusionメイン)
○
Appleの販売ページからは外れている
iPhone 16 Pro/16 Pro Max
最高120fps
○(Fusion)
○
同上
iPhone Air
最高60fps
—
—
単眼カメラ
iPhone 17
最高60fps
—
—
4K/60fpsまで
iPhone 17e
最高60fps
—
—
4K/60fpsまで
iPhone 16/16 Plus/16e
最高60fps
—
—
4K/60fpsまで
「最高60fps」の機種でも、1080pと4Kの60fpsまでは10ビットのドルビービジョンで撮れます。家庭の記録で使う設定はほぼこの範囲に収まるので、HDRに関して機種で困ることは少ないはずです。Pro系とDuoで上限が120fpsまで伸びるのは、4K/120fpsや1080p/120fpsの通常ビデオ、そしてスローモーションやシネマティックモードでもドルビービジョンが使えるという意味です。機種の違い全体は、冒頭で挙げた仕様一覧の記事で比べられます。
表の「—」は、仕様ページに記載が無いという意味で、「できない」と言い切るものではありません。iPhone Duoは未発売なので、実機での見え方は書けません。仕様ページの記載から読める範囲で、HDRビデオの扱いはPro系と同じ上限だと分かります。
iPhone 12から15の世代を使っている場合
今も使われているiPhone 12から15の世代でも、HDRビデオの項目はあります。Appleの案内では、「設定」>「カメラ」>「ビデオ撮影」>「HDRビデオ」があるのはiPhone 12以降です。それより前の機種で項目が見当たらないなら、その機種はHDRビデオに対応していないと考えられ、動画はSDRで記録されています。判断の材料は、この記事で書いてきたものと同じです。上限のフレームレートは機種で違うので、手元の設定画面の一覧で確かめてください。
同じ画面にある「FPS自動調整」も、iPhone 12以降とiPhone SE(第3世代)では「オフ」「30 fpsを自動調整」「30 fpsと60 fpsを自動調整」の3択で、iPhone XS・XR・11・SE(第2世代)では「自動低照度FPS」のオン・オフだけです。HDRとは別の項目ですが、ディスクにする前提で設定を見直すなら、一緒に確かめておくと手戻りが減ります。
テレビで見る3つの経路と、HDRの見え方
撮った動画を大きな画面で見たい、という要望は、ディスクにする相談と並んで多いものです。iPhoneの動画をテレビに出す経路は大きく3つあります。ケーブルでつなぐ、AirPlayで飛ばす、ディスクにして再生する。HDRの見え方は経路ごとに違い、しかも同じ経路でもテレビの側の対応で変わります。
ケーブルの経路から。USB-Cの端子からテレビやモニターに映像を出すDisplayPort出力は、iPhone 16以降のPro系、iPhone Duo、iPhone 17、iPhone 16の仕様ページに記載があります。iPhone AirとiPhone 17e、16eの仕様ページには記載が無く、AirPlayの記載だけです。映像がHDRのままテレビに渡るかどうかは、テレビとケーブル、変換アダプタの対応に左右され、Appleの資料では確かめられていません。つないでみて、iPhoneの画面と見比べるのが確実です。
AirPlayの経路は、Apple TVやAirPlay対応のテレビに無線で映す方法で、どの機種の仕様ページにも記載があります。ここでもHDRの表示はテレビの側の対応しだいです。HDRに対応したテレビなら明るさの幅が生き、対応していなければテレビの側で狭い幅に合わせた表示になります。「iPhoneでは派手なのにテレビでは落ち着いて見える」のは、この差です。
ディスクの経路は、前に書いたとおり、常にSDRです。その代わり、テレビの対応を選びません。HDRに対応していないテレビでも、古いプレーヤーでも、同じ見え方で再生できます。祖父母の家のテレビや、機器の世代が分からない相手には、この「選ばない」ことが強みになります。行事の動画を親戚の家で見せる予定があるなら、ケーブルの相性を当日に確かめるより、SDRのディスクを1枚持っていくほうが心配が減ります。
HDR対応のテレビが家にあるなら、使い分ける
自宅のテレビがHDRに対応しているなら、自分の動画はケーブルかAirPlayで見て、人に渡す分や、iPhoneが手元に無い場所で見る分をディスクにする、という使い分けが合います。テレビの対応の有無は、テレビの仕様で確かめてください。当社で作るディスクはSDRなので、HDRのテレビで再生しても明るさの幅はSDRの範囲です。ディスクは「どこでも同じに見える」ことに価値があり、HDRの表示は「その画面で見るときの体験」に価値がある。役割が違うので、どちらかを選ぶ話ではありません。
オンでもオフでも変わらないもの
「HDRを切ると画質が落ちる気がする」という迷いに、変わらないものを並べて答えます。HDRビデオのスイッチが変えるのは、階調の細かさと明るさの幅、そしてドルビービジョンの情報を添えるかどうか、この3つだけです。解像度は変わりません。4Kで撮っていれば4Kのまま、1080pなら1080pのままです。フレームレートも変わらず、30fpsで撮っていれば30fpsです。
音も変わりません。iPhone 16以降の初期設定である空間オーディオも、ステレオも、風切り音の低減も、HDRのスイッチとは無関係に働きます。手ぶれ補正、ズームの倍率、シネマティックモードやアクションモードの使えるかどうかも同じです。圧縮の方式も高効率のままで、容量は1割前後しか変わりません。つまり、オフにして失うのは「明るさと色の幅」だけで、細部の解像感や動きの滑らかさは残ります。
ディスクにする場面で考えると、この「変わらないもの」の側が仕上がりを決めます。DVDは720×480に縮められ、Blu-rayは1920×1080で収録されるので、元の解像度とフレームレート、そしてぶれや暗さの少なさが効きます。HDRの有無は、ディスクではどのみちSDRになるので、仕上がりの差になりません。「HDRを切ったから画質が落ちた」という状況は、ディスクに関しては起きないと考えて構いません。
ProResのHDR・SDR・Logは、別の設定の話
Pro系の機種(iPhone 13 Pro以降のPro/Pro Max)には、通常のHDRビデオとは別に、ProResの設定があります。「設定」>「カメラ」>「フォーマット」の中で「Apple ProRes」をオンにすると、「ProResエンコーディング」として「HDR」「SDR」「Log」を選ぶ項目が出ます(iOS 18.6の表記)。ここで「SDR」を選べば、ProResの動画はSDRで記録されます。通常のビデオの「HDRビデオ」のスイッチとは、別の場所にある別の設定です。
ProResの説明文には「10ビットHDR ProResによる1分間の撮影のサイズは、1080p/30 fpsで約1.7 GB、4K/30 fpsで約6 GBです。」とあります。通常のHDRビデオの約65MBや約190MBと比べると、計算上は25倍から30倍ほどの大きさです。家庭の記録でProResを使う理由はほとんど無く、使うなら編集を前提にした人の領域です。容量と本体に録れる条件はProResの容量の記事に、Logの灰色の見え方と戻し方は前に挙げたLogの記事にまとめています。
HDRビデオの記事でProResに触れたのは、「HDR」という語が2か所に出てくるので混同しやすいからです。通常のビデオを撮る人が見るのは「ビデオ撮影」の中の「HDRビデオ」だけです。「フォーマット」の中の「ProResエンコーディング」は、Apple ProResをオンにしていなければ関係ありません。
係として動画を集めるときの、設定の指定と確認
学校や団体の係として、複数の保護者から動画を集めて一本にする場合、HDRの有無が人によって違うと、編集で揃える手間が一気に増えます。集める前に設定を指定してください。指定する項目は3つで、フォーマット(高効率)、解像度とフレームレート(たとえば1080p/30fps)、HDRビデオ(オフ)です。3つとも「設定」>「カメラ」の中にあるので、案内文に画面の場所を書いておくと、質問が減ります。
案内文の例を示します。「iPhoneで撮る方は、設定アプリの「カメラ」で、「フォーマット」を高効率、「ビデオ撮影」を1080p HD/30 fps、同じ画面の「HDRビデオ」をオフにしてから撮影してください。撮影後は元に戻して構いません。」このくらいの長さで足ります。Androidの人には、その機種の設定でHDRや解像度の項目を探してもらいますが、機種ごとの表記までは指定しきれないので、「1080pの30fpsで、HDRの項目があればオフ」と伝えます。
案内文に、理由を一行添える
設定の指定だけを送ると、「なぜ切るのか」「画質が落ちないか」という問い合わせが戻ってきます。理由を一行添えておくと、それが減ります。「配布用のDVDはHDRを扱えない規格で、オフで撮ると皆さんのiPhoneで見た印象とDVDの印象が近くなります。解像度や滑らかさは変わりません。」という程度で足ります。自分用にHDRで残したい人には、2台目で撮るか、演目の切れ目で切り替える方法があると添えておくと、協力を得やすくなります。
集めたあとの確認は、動画を1本ずつ開いて、明るさの印象が揃っているかを見ることです。一本だけ白っぽい、あるいは一本だけ明るさの幅が広い動画があれば、それはHDRのまま撮られた動画である可能性が高いです。その動画は、編集ソフトでSDRに揃えるか、撮った人に共有の経路で送り直してもらいます。ディスクにする前提なら、当社に送ってもらえば変換は工程に含まれますが、編集で一本につなぐ前に揃えるほうが、つなぎ目の印象は安定します。
指定をしても、守られない動画は一定数混ざります。それを前提に、集める期限を編集の開始より1週間ほど前に置き、揃っていない動画を送り直してもらう時間を取っておきます。集める経路は、LINEでなく、ギガファイル便やGoogle ドライブのようにファイルがそのまま届く方法にしてください。LINEを通ると、HDRの問題以前に画質が下がります。
HDRのまま残す保管の考え方
オンで撮った動画を、将来のために元のまま残しておく場所の話です。iCloud写真は、オリジナルの形式のまま、フル解像度で保存します。HEVCも4KもHDRも、そのままです。「ストレージを最適化」がオンだと、本体には省スペースの版が置かれ、オリジナルはiCloudの側にあります。本体から元データを取り出したいときは、iOS 27の場合、「設定」>自分の名前>「iCloud」>「写真」>「iPhoneストレージ」で「オリジナルをダウンロード」を選びます。表記はiOSのバージョンで少し違います。
USBメモリやSSDに元のまま書き出すこともできます。写真アプリで動画を選び、共有ボタンから「未編集のオリジナルを書き出す」を選び、「場所」で外部ストレージを指定して「保存」します。編集済みの動画でも、未編集のオリジナルが書き出されます。外部ストレージはexFATやAPFSなどでフォーマットされている必要があり、外付けHDDは多くの場合、外部電源が要ります。
外部ストレージに書き出したあとの確かめ方
書き出したら、そのストレージをパソコンにつないで、動画を1本再生してみてください。再生できて、長さが元と同じなら、書き出しは成功しています。iPhoneの本体から元の動画を消すのは、この確認のあとにします。ロックされた「非表示」アルバムに入れた項目は転送されないので、隠していた動画があるなら、先にロックを外しておきます。ストレージは1つでなく2つに同じものを入れておくと、片方が読めなくなっても残ります。
iCloud共有アルバムに入れると、作った時期で扱いが変わる
家族や参加者と動画を分け合う手段として、共有アルバムを使う人は多いはずです。ここは、アルバムを作った時期で扱いが変わります。iOS 27以降で作った共有アルバムは、オリジナルの形式でフル解像度のまま配信され、アルバムの持ち主のiCloudストレージを使います。iOS 26以前に作った共有アルバムは、動画は最長15分・最大720pで配信されます。「共有アルバムは画質が落ちる」と一律に言えなくなった、というのが今の状況です。
HDRがどう扱われるかは、Appleの説明に明記がありません。「共有アルバムはデータのコピーをアップロードします。ダウンロードしたコンテンツに、オリジナルと同じ情報が含まれているとは限りません。」という注意書きがあるので、共有アルバム経由の動画を入稿やアーカイブの元にはしないでください。元データは、撮った本人のiCloud写真か外部ストレージにあります。ディスクにするときは、そこから送ってもらいます。
保管の原則は、同じ動画を2か所以上に置くことです。iCloud写真と外部ストレージ、あるいは外部ストレージとディスク、という組み合わせです。ディスクはSDRになりますが、テレビで再生できる形として残る価値があり、HDRの元データは別の場所に残す、という役割分担になります。元データを残しておけば、何年か後にHDRを当たり前に扱える環境がそろったとき、そこから作り直せます。
行事から逆算する、HDRの設定の段取り
行事の当日に慌てないために、HDRの判断を日付で並べます。判断そのものは数十秒で済みますが、「誰に渡すか」を決めるのは当日ではできません。1週間前に行き先を決め、前日に設定を見て、当日の朝にもう一度見て、撮り終えたら戻す。この順で動くと、HDRに関する失敗はほぼ防げます。
1週間前。動画の行き先を決めます。ディスクにして配るのか、自分と家族で見るだけか、Windowsの人に渡すのか、他のカメラと混ぜるのか。5つの問いに答えて、オンかオフかを決めます。係として集めるなら、この時点で参加者に設定を案内します。決めたら、メモに残しておきます。
3日前。10秒だけ試し撮りをして、渡す先の環境で見てみます。Windowsに渡すなら、その人のパソコンで開いてもらう。ディスクにするなら、明るい場面と暗い場面を撮って、iPhoneで見え方を確かめておく。ここで白っぽさや色の違いが出れば、設定を変える時間がまだあります。
前日。設定画面を見ます。フォーマット、解像度とフレームレート、HDRビデオの3つ。空き容量もこのときに見ておきます。HDRの有無で容量はほとんど変わらないので、空きの計算は解像度とフレームレートの行で行います。充電と、レンズの汚れもこのついでに。
当日の朝。もう一度、設定画面を見ます。前日から誰も触っていなくても、見るのに1分もかかりません。撮り終えたら、その日のうちに動画を1本開いて、想定どおりの見え方かを確かめます。行事が終わったら、HDRビデオを元に戻します。この流れを図にしておきます。
判断は数十秒でも、行き先を決めるのは当日ではできない
複数人で撮る行事の役割分担
行事を何人かで撮るなら、役割は3つ。撮る人、集める人、送る人。撮る人は、決めた設定で撮り切る。集める人は、設定の案内を出し、集まった動画を1本ずつ開いて見え方を揃える。送る人は、元データのまま共有URLで入稿し、備考に機種と設定とHDRの有無を書く。1人で3役をこなす場合も、順番は同じです。役割ごとに「いつまでに」を決めておくと、行事の翌週に慌てません。撮る人が2台以上いるなら、1台だけをオンにして自分用の記録に回す、という分け方もこの時点で決めます。
当社にディスクを頼むときの入稿と、添えてほしい一言
HDRで撮った動画も、オフで撮った動画も、そのまま入稿してもらえれば当社でDVD・Blu-rayにできます。工程は、動画データを受け取り、ディスクの規格に合う形に変換して組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめ、ケースに入れて発送するか店舗でお渡しする、という順です。HDRの動画はこの変換の段階でSDRになります。入稿の前に自分で変換する必要はありません。
入稿は、動画の共有URLを注文フォームに貼る方法です。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなどが使えます。スマホからも入稿できます。複数のファイルがあるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けて収録順を指定してください。1つの内容のデータがDVDで5GB以上、Blu-rayで25GB以上になるときは、エンコード手数料(大容量データ・内容1種類につき)3,000円(税抜)がかかります。HDRの有無で容量はほとんど変わらないので、この境目に関わるのは解像度とフレームレートと長さです。
注文のときに、備考に一言添えてもらえると助かります。「iPhone 17で撮影、1080p/30fps、HDRビデオはオンのまま」という程度で十分です。HDRのまま入稿された動画は、変換のときに明るさの幅を調整するので、iPhoneで見た印象と違って感じる可能性があることを、当社の側でも先に伝えられます。伝え方のひな形は入稿メモの書き方の記事にまとめています。
HDRの動画を入稿するときの容量の見方
入稿の容量は、HDRの有無ではほとんど変わりません。境目に関わるのは解像度とフレームレートと長さです。計算上は、4K/60fps(高効率+HDR、1分約440MB)なら約11分でDVDの5GBに達し、1080p/30fps(同じ条件で1分約65MB)なら約77分です。Blu-rayの25GBには、4K/60fpsで約57分、1080p/30fpsで約6.4時間。1GB=1,000MBで数えた目安で、実際のファイルは場面で上下します。送る前に、写真アプリの情報で合計を見て、境目と比べてください。HDRをオフにして容量を境目の下に収めようとするより、解像度の行を見直すほうが確実です。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)が1,500円、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)も1,500円で、オーサリングと書き込み、ケース入れ込みまで含みます。同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。HDRからSDRへの変換に別の料金はかかりません。注文はDVDの注文ページ かBlu-rayの注文ページ から進めてください。入稿前に見る項目を確認表にしておきます。
送る前にこの順で見ると、見え方に関するやり取りが減る
設定に迷ったまま行事を迎えるより、行き先を決めてスイッチを合わせ、撮り終えたら戻す。それだけのことですが、この順で動いた人の動画は、渡した先で「白っぽい」と言われることがほとんどありません。渡す先が決まっていないなら、オンのまま撮って元を残しておいてください。ディスクにするときは、そのまま送ってもらえれば当社で変換します。
よくある質問
Q. iPhoneのHDRビデオはオフにしたほうがいいですか
A. 渡す先で決まります。DVD・Blu-rayにして配る、Windowsで見る・編集する、他のカメラの映像と混ぜて編集する、の3つならオフが無難です。自分と家族のiPhoneやiPad、Macで見る記録ならオンのままで構いません。オフで撮った動画をあとからHDRにはできないので、迷ったらオンで撮り、渡すときにSDRにします。
Q. HDRビデオをオフにすると容量はどれくらい減りますか
A. 1割前後です。iPhoneの設定画面の目安(iOS 18.6の文言)では、1080p/30fpsが約65MBから約60MB、4K/30fpsが約190MBから約170MB、4K/60fpsが約440MBから約400MBになります。容量を大きく減らしたいなら、HDRのスイッチより解像度とフレームレートの行を下げるほうが効きます。
Q. iPhoneのHDRビデオとは何ですか
A. 10ビットの階調で、明るさの幅を広く記録するドルビービジョン方式の動画です。設定画面の説明文は「ドルビービジョンを含む、10ビットのハイダイナミックレンジで最高60 fpsのビデオを撮影します。」で、4K/120fps対応のPro系とDuoでは上限が120fpsになります。iPhone 12以降の機種にあり、初期設定はオンです。
Q. HDRビデオは互換性優先でも撮れますか
A. 撮れません。フォーマットの説明文に「HDRビデオを使用するには“高効率”が必要です」とあり、互換性優先(H.264)を選ぶと「HDRビデオ(高効率)」という表示に変わってスイッチを入れられなくなります。同時に4K/60fps以上と240fpsのスローモーションも選べなくなります。HDRだけを切りたいなら、高効率のまま「HDRビデオ」を切ります。
Q. HDRの動画を古い機器に送るとどうなりますか
A. Appleのユーザガイドでは、共有先がiOS 13.4・iPadOS 13.4・macOS 10.15.4より前の機器だと、同じ動画のSDR版を受け取ります。iPhoneが変換して渡す仕組みで、自分のiPhoneに残る元の動画はHDRのままです。共有の経路を通さず、USBやクラウドでファイルをそのまま渡す場合はこの仕組みが働きません。
Q. iPhoneのHDR動画がパソコンで白っぽく見えるのはなぜですか
A. HDRの動画を、HDRに対応していない画面や再生ソフトで表示しているときに起きます。明るさの幅を狭い画面に合わせる処理が働かず、明るい部分が浮いて全体が白っぽく見えます。iPhoneの写真アプリで正常に見えれば動画は壊れていません。渡す先に合わせたSDR版を作るか、次からオフで撮ります。
Q. HDRで撮った動画をDVDやBlu-rayにできますか
A. できます。DVDとBlu-rayの規格にHDRの枠が無いので、ディスクにする段階でSDRの映像になります。HDRのまま入稿しても、ディスクに入るのはSDRの映像です。ただし、iPhoneの画面で見た明るさの突き抜けはディスクには残らず、従来のテレビ放送や市販DVDと同じ範囲の見え方になります。
Q. HDRビデオをオフにすると画質は落ちますか
A. 解像度、フレームレート、音、手ぶれ補正、ズームは変わりません。変わるのは階調の細かさと明るさの幅だけです。細部の解像感や動きの滑らかさはそのまま残ります。ディスクにする場合はどのみちSDRになるので、HDRの有無で仕上がりの差は出ません。
Q. HDRをオフにする設定はどこにありますか
A. iOS 27の場合、「設定」>「カメラ」>「ビデオ撮影」の画面に「HDRビデオ」のスイッチがあります。機種によっては項目名が「HDR」だけのこともあります。表記はiOSのバージョンで異なるので、見当たらなければ「ビデオ撮影」の画面でHDRの語を含む項目を探してください。切ったあとに撮る動画から効き、すでに撮った動画は変わりません。
Q. iPhone 17やiPhone AirでもHDRビデオは撮れますか
A. 撮れます。現在Appleが販売している機種は、iPhone 16、17、Air、17e、18 Pro、18 Pro Max、10月23日発売予定のiPhone Duoまで、仕様ページのビデオ撮影の欄が「ドルビービジョン対応ビデオ撮影」で始まります。違いは上限のフレームレートで、Pro系とDuoは120fps、それ以外は60fpsまでです。
Q. HDRで撮った動画をあとからSDRにできますか
A. できます。共有の経路で古い機器に送ればiPhoneがSDR版を作ります。Macでは「QuickTime Player」の「ファイル」>「書き出す」でH.264に変換する手順がAppleの案内にあります。編集ソフトならSDRの設定で書き出せます。当社にディスクを頼む場合は、変換が工程に含まれているので自分で変換する必要はありません。
Q. 発表会の動画を集める係です。HDRの指定は必要ですか
A. 指定したほうが編集が楽になります。フォーマットは高効率、解像度は1080p HD/30 fps、HDRビデオはオフ、と3点を画面の場所つきで案内してください。HDRの動画とSDRの動画が混ざると、編集でつないだ跡の明るさが跳びます。集めたあとに1本ずつ開いて、明るさの印象が揃っているかを確かめます。
Q. ProResのHDR・SDR・Logと、HDRビデオは同じ設定ですか
A. 別の設定です。「HDRビデオ」は「ビデオ撮影」の画面にある通常のビデオ用のスイッチで、ProResの「HDR」「SDR」「Log」は「フォーマット」の中で「Apple ProRes」をオンにしたときに出る項目です(iOS 18.6の表記)。ProResはPro系だけの機能で、家庭の記録でオンにする理由はほとんどありません。