この記事の要点
- プレスは、マスターから作った型(スタンパー)の凹凸を樹脂の盤に写して作る方法です。コピー(デュプリケート)は、記録型のCD-R・DVD-Rに書き込んで作ります。
- 音や映像の中身は、同じデータから作れます。違うのは、最小ロット、納期、盤の種類からくる再生機との相性、盤面の印刷と、流通で確かめること(JANコード、受け付ける盤)です。
- 何枚からプレスが得かに決まった数字はありません。同じ仕様の見積もりを両方で取り、総額を作る枚数で割って比べます。売れる見込みの枚数は、頒布の記録や予約の数から置きます。
- CD-Rは、再生に対応していない機器があります(マクセル)。寿命の目安は、市販のCDが50〜100年、CD-Rは色素と反射層しだいで20年〜100年超です(カナダ保存研究所)。
- 選ぶ順番は、枚数と使い道、頒布の日から逆に数えた日数です。カバー曲は、無料で配るCDでも、製造の前にJASRAC・NexToneへの申し込みが要ります。
自主制作のCDや、講演・発表会のDVDをまとまった枚数で作ろうとすると、業者の案内に「プレス」と「コピー(デュプリケート)」の2つの作り方が出てきます。プレスは、工場がマスターのデータから原盤と型(スタンパー)を作り、その細かな凹凸を樹脂の円盤に写して作る方法です。できあがるのは、市販の音楽CDや映画のDVDと同じ再生専用の盤。コピーは、記録型のCD-RやDVD-Rに、同じデータを書き込んで作ります。
音や映像の中身は、どちらも同じデータから作れます。プレスとコピーの違いは、次の点にあります。
- 受け付ける最少の枚数(最小ロット)と納期
- 盤の種類からくる再生機との相性と寿命
- 盤面の印刷
- 流通で確かめること(JANコード、受け付ける盤)
どちらにするかは、作る枚数と使い道、それに頒布や発売の日から逆に数えた日数で絞ります。何枚からプレスのほうが安くなるかに決まった数字はなく、同じ仕様で両方の見積もりを取り、総額を枚数で割って比べるのが確かです。プレスには原盤と型を作る工程が加わるので、枚数が少ないときや日が迫っているときほど、コピーの見積もりも並べておくと判断が早くなります。
プレスとコピーの違いを一覧表で比べる
最小ロットや納期、料金は工場や業者の条件で変わるため、表には数字を入れていません。見積もりで確かめる項目として読んでください。
| 比べる点 |
プレス |
コピー |
| 作り方 |
型の凹凸を 盤に写す |
CD-Rや DVD-Rに 書き込む |
| 盤の種類 |
再生専用 |
記録型 |
| 中身 |
同じ データから 作れる |
同じ |
| 最小ロット |
工場の条件 |
業者の条件 |
| 納期 |
原盤と型の 工程が 加わる |
型の工程は ない |
| 再生の相性 |
市販の盤と 同じ作り |
機器の 対応を 確かめる |
| 盤面の印刷 |
スクリーン、 オフセット |
印刷対応の 盤に刷る |
| 寿命の目安 |
CDは 50〜100年、 DVDは 10〜20年 |
CD-Rは 20〜100年超、 DVD-Rは 10〜20年 |
| 流通の準備 |
JANなどは 販路の条件 |
販路の条件。 CD-Rで よいかも 確かめる |
寿命の目安は、カナダ保存研究所(CCI)が示す平均の年数です。CD-Rは記録層の色素と反射層の組み合わせで年数が変わるので、幅で入れました。DVD-Rは、一般的な銀合金の反射層の値で入れました(金の反射層なら50〜100年)。
プレスは、原盤から作った型(スタンパー)で盤を作る
プレスでは、工場が受け取ったマスターのデータから、原盤(ガラス原盤)と型(スタンパー)を作ります。スタンパーの凹凸をピットとして樹脂の円盤に写し、金属の反射膜を付けたものが、再生専用のディスクです(国立国会図書館の調査報告書)。市販のCDやDVDの反射面にはアルミが使われていて、記録面が銀色に見えます。
型を作る工程は、作る枚数が少なくても多くても欠かせない
型は、収める中身ごとに作ります。メモリーテックの手引きは、データを収めたDVDやブルーレイをプレスするとき、マスターとして渡すDVD-RやBD-Rを、「スタンパー製造工程」での読み取りの誤りを防ぐために同じ内容で2枚(正・副)用意するよう求めています。型を作る工程は、作る枚数が少なくても多くても欠かせません。その手間と日数が、プレスの見積もりと日程に加わります。
工場に渡すマスターの形も決まっています。音楽CDなら、曲の区切りや録音ごとの番号(ISRC)までを1組にまとめたDDPで渡すのが、メモリーテックの推奨です。DVDのビデオでは、オーサリングソフトから出力する「プラントダイレクト・ファイル」(音楽CDのDDPにあたる形)を同社は推奨しています。DDPの中身と作り方、工場に渡す前の確かめ方はDDPとは(CDプレスの入稿形式)にまとめました。
DVDのプレスは、1層か2層の再生専用の盤
DVDをプレスするときの容量は、片面1層で4.7GB、片面2層で8.54GBです(メモリーテック)。コピーで2層にするなら、記録型のDVD-R DL(8.5GB)を使います。DVD-R DLは、機器の「再生できるディスク」の一覧で扱いが分かれるので、2時間を超える映像を1枚に入れるときは、配る相手の機器を先に確かめます。
コピー(デュプリケート)は、CD-R・DVD-Rに書き込んで作る
コピーは、記録型のディスクに、マスターと同じデータを書き込んで作る方法です。CD-RやDVD-Rは、有機色素の記録層にレーザーで印を付けて記録するディスクで、一度書いたところは消せません(米国国立標準技術研究所)。型を作らないので、プレスのような原盤の工程はありません。
書き込む形は、プレスの盤と同じ中身になるように選びます。CDプレーヤーで聴く音楽CDなら、CD-DAの形です。マクセルによると、音楽CDの形で記録すると、最後に再生専用とするクローズの処理が行われます。MP3のファイルをそのまま書き込んだディスクは、MP3に対応したプレーヤーでしか再生できません。DVDプレーヤーで見る映像なら、DVDビデオの形に組み立てて書き込み、ファイナライズまで済ませます。
業者にコピーを頼むときの入稿の形は、その業者の案内で確かめます。完成した盤を送るのか、音や動画のファイルを送るのかは業者で違い、プレスのために作ったDDPをそのまま使えるとは限りません。自分で複製の機械をそろえて作る場合の考え方は、デュプリケーターの選び方にあります。
パソコンで焼いて配るとき
自分で焼く場合も、中身の形は同じです。カナダ保存研究所の資料では、16倍速の1層のDVD-R・DVD+Rは、4〜8倍速で書き込むと誤りがいちばん少なくなるとされています。焼いたら、自分の機器とは別の機器で最初から最後まで再生して確かめます。未使用のディスクにも寿命があり、メーカーはCD-R・DVD-Rの記録前の保存寿命を5〜10年としています(米国国立標準技術研究所)。買いだめはせず、使う分だけ買うのが無難です。
音や映像は同じデータ。違いが出るのは再生機との相性
「プレスのほうが音がいい」「コピー盤は画質が落ちる」と気にする人もいますが、記録される中身は、書き込むデータで決まります。44.1kHz・16bitの同じ音のデータを書き込めば、CD-Rでもプレス盤でも、記録される音のデータは同じです。違いが出るとしたら、プレーヤーがそのディスクを正しく読めるかどうかのほうです。
反対に、プレスにしても元の音や映像より良くはなりません。MP3にした音をCDにすれば、入っているのはMP3の音です。DVDにすると、フルHDや4Kで撮った映像も、DVDビデオの標準画質(国内向けは720×480)になります。CDの44.1kHz・16bitが何を表すかはCDの音質(44.1kHz・16bitの意味)にまとめています。
CD-Rは、再生に対応していない機器がある
マクセルは、CD-Rに録音した音楽がCDプレーヤーで再生できないときの原因として、プレーヤーがCD-R・CD-RWの再生に対応していない可能性と、クローズの処理をしていないことを挙げています。ディスクの記録の特性や、再生機器の側の問題も挙げています。ソニーのレコーダーの説明書にも、記録済みのCD-RやDVD-R、BD-Rは、傷や汚れのほか、記録状態や記録した機器・ソフトの特性で再生できないことがある、と書かれています。
書き込んだ形、クローズの処理、機器の対応を順に確かめる
プレスの盤は市販のCDと同じ再生専用の盤なので、CD-Rに対応しているか、クローズしてあるかといった、記録型ならではの確認は要りません。聴く人の機器が分からないまま大勢に渡すなら、この差も選ぶ理由の一つになります。
DVD-Rは多くの機器が再生できるが、条件がある
DVDでは、別の記事で説明書・仕様表を調べた家庭用の機種は、どれも映像のDVD(DVDビデオ)とDVD-Rを、再生できるディスクの一覧に入れていました。ただ、ファイナライズしてあることが条件の機種があり、+R、2層、RWの扱いは機種ごとに分かれます。
シャープは、ほかのDVDプレーヤーで再生できないときは、まずそのプレーヤーがDVD-R・DVD-RWを再生できるかを確かめるよう案内しています。機種ごとの一覧は、記事「配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るには」にまとめました。
コピーで作るなら、渡す前に確かめる4つのこと
- 音楽CDはCD-DAの形で書き込み、クローズまで済ませてあるか
- 映像のDVDはDVDビデオの形で、ファイナライズしてあるか
- 2時間を超えるDVDを2層にするなら、相手の機器がDVD-R DLを再生できるか
- 自分の機器とは別の何台かで、最初から最後まで再生できるか
寿命と在庫の保管|CD-Rは色素と反射層しだいで差が出る
長く売る在庫や、手元に残す盤なら、寿命の目安も違いの一つです。次の表は、カナダ保存研究所(CCI)が2019年に改訂した資料の平均の寿命で、温度と湿度の影響だけをもとにした、比べるための目安です。
| 種類 |
寿命の目安 |
| プレスのCD |
50〜100年 |
| CD-R |
20〜50年。 色素と反射層しだいで 50年〜100年超 |
| プレスのDVD |
10〜20年 |
| DVD-R |
10〜20年。 金の反射層なら 50〜100年 |
CDでは、音楽CDのようなプレスの盤が50〜100年で、シアニンやアゾの色素と銀合金の反射層を使うCD-R(20〜50年)より長い目安です。一方で、フタロシアニン色素のCD-Rは50〜100年、金の反射層と組み合わせれば100年超とされていて、CD-Rは製品による差が大きい種類です。表の年数は、その年数で一斉に読めなくなるという意味ではなく、置き場所で大きく変わります。劣化のしくみと読めなくなる前のサインはCD・DVD・ブルーレイの寿命は何年かに書きました。
在庫は立てて、涼しく暗い場所へ。車に積んだままにしない
在庫は、1枚ずつケースに入れて本のように立て、涼しく乾いた暗い場所に置きます(米国国立標準技術研究所、CCI)。温度と湿度の目安は10〜25℃・40〜60%です(JIS Z 6017など。国立国会図書館の報告書)。
ライブやイベントに持ち出す箱は、車に積んだままにしないでください。記録型のディスクは、夏の車のダッシュボードのように直射日光で熱がこもる場所では、数日で使えなくなることがあります。熱で反ることもあり、ケースに入れていても熱は防げません(米国国立標準技術研究所)。
記録型のディスクは、熱のこもる場所では数日で使えなくなることがある
盤面の印刷とジャケットは、どう違うか
見た目で差が出やすいのは、盤面の印刷です。プレスとコピーでは、印刷の方式が違います。プレスの盤は、工場の印刷機で刷ります。
メモリーテックの手引きでは、CDとDVDの盤面は、UVインクのスクリーン印刷(アルミの地の色に2色までが原則)か、4色のオフセット印刷(白の下地を指定できる)です。ブルーレイは、オフセット印刷だけです。12cmの盤で印刷できる範囲は、品名によって内径23mmから外径116mmまで、または内径46mmから外径116mmまで。データはAdobe Illustratorのai形式で入稿します。
コピーの盤は、印刷に対応した記録型のディスクに刷ります。マクセルの説明では、「インクジェットプリンター対応」などの表記があるDVDなら、レーベル面に直接印刷できるプリンターで印刷が可能です。印刷できる範囲はディスクの製品で違い、同じ印刷用のCD-Rでも、内径23mmからの製品と41mmからの製品があります。そのため、業者に頼むときは、使う盤と印刷の方式、色の見本や校正を出してもらえるかを見積もりで確かめます。
ジャケットや歌詞カードの寸法は、盤の作り方ではなくケースの形で決まります。一般的なプラケースなら、表紙は120×120mm、裏面は左右の背表紙を含めて150×117mmです。部品ごとの寸法と作り方はCDジャケットのサイズにまとめています。
盤面の刷り方と範囲は違い、ジャケットの寸法はどちらもケースの形で決まる
どっちを選ぶ?枚数・使い道・頒布の日から逆に数える
プレスかコピーかは、次の3つを順に当てはめると絞れます。
- 枚数。売れる・配れる見込みの枚数を数えられる根拠から置き、その枚数で両方の1枚あたりを比べます(次の節)
- 使い道。手渡しで配るのか、即売会やライブで頒布するのか、店や通販に置くのか。店に置くなら、JANコードや受け付ける盤など、取引先の条件が先に決まります
- 日数。頒布や発売の日から逆に数えて、製造と、その前の手続きが間に合う方を選びます
| 場面 |
考え方 |
初めての作品を 即売会で頒布 |
見込みの根拠が 少ないので、 作りすぎない枚数で 両方を比べる。 追加で作る条件も 聞いておく |
前の作品の 記録がある |
記録から 見込みの枚数を置き、 その枚数で 1枚あたりを比べる |
店や通販に 置く |
JANコード、 受け付ける盤、 納品の形を 取引先に確かめる |
聴く人の機器が 分からない |
CD-Rは再生に 対応しない機器が ある。コピーなら 何台かで試す |
長く売る、 手元に残す |
プレスのCDは 50〜100年。 CD-Rは製品で 差が出る。 元のデータも残す |
動画のDVDを 少ない枚数 |
DVD-Rに書き込む 方法と比べる。 2時間を超えるなら 2層の扱いを確かめる |
頒布の日から逆に数えて、日程を組む
製造の日数は見積もりで確かめるしかありませんが、製造の前に済ませる許諾と番号の取得は、公式に目安の日数が示されています。
- 頒布・発売の日を決める。即売会なら、搬入の方法と締め切りも確かめる
- 盤が届く日を決める。配送の日数と、受け取りの予備の日を見込む
- 製造の日数を、見積もりで確かめる。プレスは原盤と型を作る工程が加わる
- 入稿の日を決める。音や映像のマスターと、許諾の表示やJANコードを入れた盤面・ジャケットのデータをそろえる
- カバー曲の手続きを、製造の前に済ませる。JASRACはオンライン窓口「J-RAPP」で通常2〜3営業日(書類なら1週間前後)、NexToneは通常5営業日ほどで許諾が出る
- 番号を取る。ISRCは日本レコード協会の案内で目安約1週間、JANコードのもとになるGS1事業者コードは、入金の確認後、通常3営業日以内に通知される
即売会での部数の決め方や搬入は、即売会でCD・DVDを頒布する準備にあります。同人音楽のサークルとして、音源の完成から頒布までを進める流れは同人音楽CDの作り方にあります。
何枚からプレスのほうが安いか|見積もりの総額÷作る枚数で比べる
「何枚からプレスのほうが安いか」に、決まった数字はありません。料金の組み立ては工場や業者ごとに違い、同じ枚数でも、盤面の印刷やジャケット、包装で総額が変わるからです。比べるなら、同じ仕様で両方の見積もりを取り、自分の枚数に当てはめます。
見積もりには、枚数にかかわらずかかる費用と、1枚ごとにかかる費用が混ざっています。プレスの原盤や型のように、枚数にかかわらずかかる費用が入っていれば、その分は作る枚数が多いほど1枚あたりが小さくなります。
- 作る枚数の候補を、見込みの少ない場合と多い場合の2〜3通り決める
- 候補ごとに、プレスとコピーの見積もりを取る。盤面の印刷、ジャケットと歌詞カード、ケース、包装、送料までを同じにそろえる
- 候補ごとに「見積もりの総額÷作る枚数」で1枚あたりを出す
- 売れる・配れる見込みの枚数を置き、「作る枚数−見込みの枚数」で余る枚数を出す
- 「1枚あたり×余る枚数」を、在庫にかかるお金として並べる
- 追加で作るときの条件(最少の枚数、日数、型やデータの保管)を両方に聞く
1枚あたりが安い方が、そのまま得とは限りません。見込みより多く作れば、余った分のお金と置き場所が在庫として残ります。1枚あたりの金額と、余る枚数の両方を並べてから決めます。
売れる見込みの枚数は、数えられるものから置く
見込みの枚数は、あとから数え直せるものを根拠にします。
- 前の作品を、同じような場で頒布・販売した枚数の記録
- 予約や取り置きの数。予約を集めてから作る枚数を決めれば、見込みを数字で置ける
- 配る相手が決まっているなら、名簿の人数と予備の枚数
初めての作品で根拠がないときは、少なめの枚数で作った場合に、追加で作れる日数と条件を先に確かめておきます。コピーなら、少ない枚数で作り、なくなったら追加で作る進め方もとれます。カバー曲を収めたCDを追加で作るとき、NexToneは追加の申請が要るとしているので、枚数を増やす前に申し込み先の案内を読んでください。
見積もりで確かめる項目
| 項目 |
確かめること |
| マスター |
受け付ける形。 DDP、完成した盤、 音や動画のファイル |
| 枚数 |
最小ロットと、 料金が変わる 枚数の区切り |
| 盤面の印刷 |
方式と色数、 見本や校正の有無 |
ジャケット・ 包装 |
ケースの種類、 歌詞カード、帯、 封入と包装 |
| 日程 |
入稿の締め切り、 確認の日数、 発送の日 |
| 追加で作る |
最少の枚数、日数、 型やデータの保管 |
| 送り先 |
送料と、 分けて送る先の数 |
コピーの料金の見方と、見積もりの条件のそろえ方はDVDのコピー・焼き増しを頼む料金で整理しています。カバー曲の使用料は、どちらの作り方でも、見積もりとは別にJASRAC・NexToneへ払います。
店や通販に置くなら|JANコード・商品番号・ISRC・許諾の表示
流通に乗せるときに要るものは、置く先の条件で決まります。JANコードや商品番号は、プレスでもコピーでも同じように付けられます。作り方で変わりうるのは、委託する店や流通の業者がCD-Rの盤を受け付けるかどうかです。委託先には、JANコードの要否、受け付ける盤の種類、納品の形を先に確かめます。
JANコードは、商品ごとの番号
JANコードは、「どの事業者の、どの商品か」を表す国際標準の商品識別コードです。商品のブランドを持つ事業者が、GS1 Japanから貸与されたGS1事業者コードを使って、商品ごとに設定します(GS1 Japan)。バーコード(JANシンボル)にしてパッケージに印刷するので、盤の作り方とは関係なく付けられます。GS1 Japanは、インターネット通販などでは商品へのJANシンボルの表示が不要な場合があるので、取引先に確かめるよう案内しています。
GS1事業者コードは、法人か個人の事業者の単位で貸与されます。登録すると、事業者名(個人事業主の名前や屋号)と所在地などがGS1のデータベースに登録され、ウェブサイトで公開される点に気をつけてください。登録申請料は年間売上高と支払年数(1年か3年)で決まり、期間が過ぎたら更新の手続きが要ります(GS1 Japan)。
商品番号(品番)の付け方
市販のCDに表示されている商品番号の先頭のアルファベット2桁は、発売する会社を表す「発売会社コード」です。日本レコード協会によると、このコードは協会の会員社の申請に応じて発行されるもので、会員でなければ取得できません。協会の会員社に販売を委託するなら、その会員社の受託レーベル専用のコードで品番が取れます。委託しないなら、協会の番号の体系と重ならないように、自分で番号を付けることになります。
ISRCは、曲(録音)ごとの番号
ISRCは、録音を1つずつ見分ける国際標準の番号です。音楽配信サービスの管理用のIDに使われていて、取得を必須とする配信事業者も増えています(日本レコード協会)。同じ録音をCDと配信で出すなら、番号は同じです。CDの中に記録するなら、プレスではDDPに曲ごとに入れて渡します。コピーで同じように記録できるかは、業者が受け付ける入稿の形とあわせて確かめます。取り方は、先に挙げたDDPの記事のISRCの節にあります。
JANコードは商品の番号、ISRCは録音の番号。入れる場所も違う
カバー曲は、製造の前に許諾を取って表示を入れる
JASRACやNexToneが管理する曲を収めるなら、プレスでもコピーでも、製造の前に録音の利用を申し込み、盤面やジャケットに許諾の表示を入れます。JASRACは無料で配布する場合でも利用申請が必要だとしていて、NexToneも、価格の有無にかかわらず申請が必要だという答えです。市販のCDやカラオケの伴奏を使うなら、レコード会社など原盤の持ち主の許諾も別に要ります。
曲の調べ方と表示のしかたは、記事「歌ってみた音源をCDにして頒布するには」にまとめました。ライブや発表会の映像をDVDにして売る・配るときは、映像ソフト(JASRAC)、ビデオグラム(NexTone)の申請になります。
見積もりを頼む前に決めておくこと
プレスとコピーの両方に見積もりを頼む前に、次の6つを決めておくと、同じ条件で比べられます。
- 作るもの。音楽CDか映像のDVDか、収録時間はどれだけか。CDの上限は工場で違い、メモリーテックは79分38秒までを保証の範囲としています
- 枚数。見込みの少ない場合と多い場合、追加で作る見込み
- マスター。CDのプレスならDDPなど工場の指定の形、コピーなら業者が受け付ける形
- 盤面とジャケット。印刷の方式と色、寸法、許諾の表示とJANコードの位置
- 日程。頒布・発売の日と、盤を受け取りたい日
- 権利。曲の手続き、伴奏の原盤、一緒に演奏した人や絵を描いた人の了解
動画のDVD・ブルーレイを少ない枚数で作るなら、書き込みで作る店に頼む方法もあります。当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、動画データからDVD・ブルーレイを1枚から作る小さな店です。
完成した動画を上げたギガファイル便のURLを注文フォームに貼っていただき、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。DVDは720×480、ブルーレイは1920×1080で作ります。お引き受けできるのは、自分で撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画です。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円です。同じ内容の2枚目からは、追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。盤面に絵や文字を入れるなら、盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円を選び、画像を入稿します。
よくある質問
Q1. 何枚からプレスのほうが安くなりますか?
決まった枚数はありません。料金の組み立ては工場や業者で違い、盤面の印刷やジャケット、包装でも総額が変わるからです。同じ仕様でプレスとコピーの見積もりを取り、作る枚数の候補ごとに「総額÷枚数」で1枚あたりを出して比べます。見込みより多く作った分は在庫になるので、余る枚数もあわせて見ます。
Q2. CD-Rのコピー盤は、プレス盤より音が悪いですか?
44.1kHz・16bitの同じ音のデータを書き込めば、CD-Rでもプレス盤でも、記録される音のデータは同じです。違いが出るとしたら、プレーヤーがそのディスクを正しく読めるかどうかです。反対に、MP3にした音をプレスしても、入っているのはMP3の音で、元より良くはなりません。
Q3. CD-Rで作ったCDは、どのCDプレーヤーでも再生できますか?
どの機器でも再生できるとは限りません。マクセルは、プレーヤーがCD-Rの再生に対応していない可能性や、クローズの処理をしていないことを原因に挙げています。音楽CDはCD-DAの形で書き込んでクローズまで済ませ、渡す前に、自分の機器とは別の何台かで最初から最後まで再生して確かめます。
Q4. プレスのCDとCD-Rは、どちらが長持ちしますか?
カナダ保存研究所の資料の平均では、音楽CDのようなプレスのCDが50〜100年、シアニンやアゾの色素と銀合金の反射層のCD-Rが20〜50年です。CD-Rでも、フタロシアニン色素と金の反射層なら100年超とされています。温度と湿度だけで比べた目安なので、どちらもケースに入れて立て、涼しく暗い場所に置きます。
Q5. 頒布の日が近いときは、コピーのほうが早く作れますか?
プレスには、原盤と型を作る工程が加わります。ただ、実際の日数は、入稿の形、印刷や包装、工場や業者の予定で変わるので、両方に頒布の日を伝えて確かめます。カバー曲の許諾(JASRACのJ-RAPPは通常2〜3営業日、NexToneは通常5営業日ほど)は、どちらの作り方でも製造の前に要ります。
Q6. インディーズのCDを店に置くには、JANコードが必要ですか?
置く店や流通の業者の条件しだいです。GS1 Japanは、インターネット通販などではJANシンボルの表示が不要な場合があるので、取引先に確かめるよう案内しています。付けるなら、GS1 Japanに事業者コードを登録申請し、商品ごとに番号を設定してパッケージに印刷します。個人の事業者としても登録でき、事業者名や所在地などが公開されます。
Q7. 同人イベントで無料で配るCDにも、JASRACやNexToneの手続きは要りますか?
JASRACやNexToneが管理する曲を収めるなら要ります。JASRACは無料で配布する場合でも利用申請が必要だとしていて、NexToneも価格の有無にかかわらず申請が必要だと答えています。申し込みは製造の前で、プレスでもコピーでも同じです。自作の曲でも、管理を任せていれば手続きが要ります。
Q8. 最初はコピーで作り、あとからプレスに切り替えられますか?
切り替えられます。録音や制作のときの元の音のファイル(WAVなど)を残しておき、プレスに切り替えるときは、工場の指定の形(CDならDDPなど)でマスターを用意します。盤面のデータも、工場の形式(メモリーテックならai形式)に合わせ直すことがあります。カバー曲を収めたCDを追加で作るとき、NexToneは追加の申請が要るとしています。
Q9. プレスとコピーで、盤面の印刷の仕上がりは違いますか?
印刷の方式が違います。プレスの盤は工場の印刷機で刷り、メモリーテックの手引きではスクリーン印刷かオフセット印刷です。コピーの盤は、印刷に対応した記録型のディスクに刷ります。印刷できる範囲も、工場の品名やディスクの製品で違います。同じ原稿でどう仕上がるかは、見本や校正で確かめます。
Q10. ブルーレイもプレスで作れますか?
作れますが、条件があります。メモリーテックの手引きでは、ブルーレイのビデオ(BDMV)はコピープロテクトのAACSが必須です。制作にはライセンス団体AACS LAとの契約が要り、マスターはBDCMF形式、盤面はオフセット印刷だけです。少ない枚数なら、記録型のBD-Rに書き込む方法と見積もりで比べます。
参考にした公式の情報
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工場や業者の条件、各団体の手続き、機器の仕様は変わることがあります。この記事は、2026年9月26日時点の各社・各団体の公式ページの記載をもとにしたものです。
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