この記事の要点
横縞(コーミング)の正体は、1/60秒ずれた2枚のフィールド が1コマに重ねられた状態です。圧縮の失敗でもケーブルの不良でもなく、記録方式がそのまま表に出ています。
動いている部分だけに縞が出て、止まっている壁や床には出ない のがインターレースの見分け方です。画面全体に縞が乗るなら別の原因を疑ってください。
解除方式は大きく3つで、bwdif の mode=0 は29.97コマ、mode=1 は59.94コマ を出します。前者は動きの情報が半分になり、後者は容量が増えます。
元が映画やアニメで3コマ綺麗・2コマ縞が周期的に繰り返す 場合は、解除ではなく逆テレシネで24コマに戻すほうが結果がきれいになります。
ブルーレイの1080iは59.94と50のみ が規格の範囲です。29.97のインターレース素材を入れたい場合は、扱いをオーサリング側で決める必要があります。
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古いビデオカメラで撮った運動会の映像を再生したら、走っている子どもの輪郭だけが櫛の歯のようにギザギザに割れている。テレビ録画をパソコンに取り込んだら、動いた瞬間に横縞が走る。止めて拡大すると、1行おきに絵がずれているのが見えます。
これはノイズでも圧縮の失敗でもありません。インターレースという、テレビ放送が1930年代から使ってきた記録方式が、そのまま画面に出てきている状態です。原因がわかれば直し方も決まりますが、直し方によって失われるものが違うので、素材の性質を見てから選ぶ必要があります。
この記事では、縞が出る仕組みと、自分の素材がインターレースかどうかを確かめる手順、実際の解除コマンド、元が映画やアニメだった場合の別の対処法、そしてDVDやブルーレイに入れるときに処理すべきかどうかの判断までを順に説明します。
縞模様の正体|1コマの中に1/60秒ずれた2枚の絵が1行おきに並んでいる
インターレース映像では、1枚の絵を上から1本おきに分けて記録します。奇数番目の走査線だけを集めたものが一方のフィールド、偶数番目だけを集めたものがもう一方のフィールドで、この2枚はそれぞれ別の時刻に撮られています。NTSC方式では1秒あたり59.94フィールド、コマ数に直すと29.97コマです。つまり隣り合うフィールドの間には約1/60秒の時間差があります。
問題は、この2枚を1枚の絵として重ねたときに起きます。1/60秒の間に被写体が動いていれば、奇数行と偶数行では被写体の位置が違う。結果として、動いた部分だけが1行おきに左右へずれ、横縞に見えます。これがコーミング(combing、櫛状のノイズ)と呼ばれる現象です。
逆に言えば、止まっているものには縞が出ません。1/60秒の間に動いていなければ、2枚のフィールドは同じ絵だからです。この性質が、そのまま見分け方になります。
自分の素材が該当するかを確かめる手順
動きの速い場面で一時停止し、200%以上に拡大する。人物や手など動いた部分だけ に縞が出て、背景の壁や床には出ていなければインターレースです。
画面全体に均一な縞が乗っている、色が滲む、点滅するといった場合は別の原因です。ケーブルや変換アダプタ、あるいは圧縮の破綻を疑ってください。
MediaInfo などのファイル情報表示ツールで、映像トラックの Scan type を見ます。「Interlaced」と出ていればインターレース、「Progressive」なら別の原因です。Scan order の欄に Top Field First / Bottom Field First と出ることもあり、これが後で使うフィールドの先後の情報になります。
なお、ファイルのフラグが実態と合っていないことは珍しくありません。テープからのキャプチャや、古い変換ソフトを通したファイルでは、中身はインターレースなのに Progressive と書かれていたり、その逆だったりします。表示情報だけを信じず、実際の画面で確かめるのが確実です。
なぜインターレースが生まれたか|帯域を増やさずちらつきだけ消すための妥協案だった
インターレースは画質を良くするための工夫ではなく、当時の制約の中での折衷案です。ブラウン管(CRT)テレビでは、画面の書き換えが1秒に30回程度だと人間の目にちらつきとして見えてしまいます。かといって1秒に60枚の完全な絵を送ろうとすると、電波の帯域が単純に2倍必要になる。1930年代の技術と割り当てられた帯域では、これは現実的ではありませんでした。
そこで考えられたのが、1枚の絵を上下方向に半分に間引き、奇数行と偶数行を交互に1秒60回送るという方法です。帯域は30枚分のまま、書き換えの回数は60回になります。CRTには蛍光体の残光があり、さらに人間の目にも残像があるため、半分ずつ交互に描いても目には1枚の絵が60回更新されているように見えました。ちらつきだけを消すという目的に対しては、うまくできた解決策でした。
この仕組みが、アナログ放送からDVD、地上デジタル放送の一部フォーマットまで引き継がれます。家庭用ビデオカメラも、miniDVの時代からハイビジョンのHDVやAVCHDの初期まで、インターレースで記録する機種が長く使われました。miniDVのDV方式なら720×480(PAL圏は720×576)でおよそ25Mbit/s、これが標準的な家庭用の記録形式でした。
ところが液晶や有機ELのディスプレイには残光がなく、そもそも1枚の絵を全画素同時に表示します。半分ずつ描くという前提が成り立たないため、受け取った側が2枚のフィールドをどう1枚に組み立てるかを自分で決めなければならなくなりました。ここで組み立て方が雑だと、縞がそのまま見えます。縞は古い規格と新しい表示装置の間のズレ であって、素材が壊れているわけではありません。
1080iと1080pの違い|同じ1920×1080でも、iは毎秒60枚の「半分の絵」
機材の設定画面やファイル情報でよく見る「1080i」「1080p」の i と p は、interlaced と progressive の頭文字です。数字が同じ1080でも、1回に送られる絵の中身が違います。
表記
1秒あたりに届くもの
1枚の画素数
縞
1080i / 59.94
59.94フィールド(29.97コマ相当)
1920×540(半分)
動く部分に出る
1080p / 29.97
29.97コマ
1920×1080
出ない
1080p / 59.94
59.94コマ
1920×1080
出ない
1080i は、時間方向の細かさ(毎秒約60回)を優先して、その代わりに1回あたりの縦の細かさを半分にした形式です。1080p/29.97 はその逆で、1枚の絵は完全ですが更新は毎秒約30回。1080p/59.94 は両方を満たしますが、データ量はおおむね倍になります。
ここを誤解しやすいのは、「1080i は 1080p の劣化版」という理解です。動きの表現という意味では、1080i は 1080p/29.97 より毎秒の情報が細かい。スポーツや運動会のような動きの多い被写体で放送が長く 1080i を使ってきたのは、この時間解像度が効くからです。優劣ではなく、縦の細かさと時間の細かさのどちらに配分したかの違い と捉えると判断しやすくなります。
ちなみにディスクの規格側では、この違いがそのまま入れられる形式の制限になります。DVDとブルーレイでは扱える解像度もフレームレートも別物なので、DVDとブルーレイの違い(画質・容量・互換性) を先に押さえておくと、後述する入稿時の判断が楽になります。
縞が見える場面と見えない場面|テレビでは消え、パソコンとスマホで出ることが多い
「テレビで見たときは普通だったのに、パソコンで再生したら縞だらけだった」という相談はよくあります。素材が変わったわけではなく、再生する側の処理が違うだけです。
テレビ本体やDVDプレーヤー、ブルーレイプレーヤーには、インターレース信号をプログレッシブ表示に変換する回路(IP変換、デインターレーサ)が組み込まれています。動きの量を見ながらフィールドを組み立てるので、多くの場合は縞が見えません。一方、パソコンの再生ソフトはこの処理を必ず行うわけではなく、ソフトや設定によって「そのまま重ねて表示する」ことがあります。そうすると縞が出ます。
特に縞が表に出やすい場面
動画共有サイトへのアップロード 。インターレースのまま投稿すると、サイト側の変換で縞ごと固定されてしまうことがあります。こうなると視聴者側では直せません。
SNSやメッセージアプリでの共有 。再圧縮の過程で縞が輪郭として扱われ、ブロックノイズを伴って目立つことがあります。
編集ソフトのプレビュー 。編集中の表示は縞が見えても、書き出し設定でプログレッシブを指定していれば結果は問題ない、という場合もあります。逆もあります。プレビューだけで判断せず、短く書き出して確かめてください。
スマートフォンでの再生 。端末とアプリの組み合わせによって処理が変わります。
つまり、縞が出るかどうかは「素材の性質」と「再生環境」の掛け算です。同じディスクでも機器によって見え方が変わる話は、家庭用プレーヤーの互換性 で扱っている再生互換の問題と地続きです。確認するときは、実際に渡す相手が使う環境に近いもので見るのが確実です。
解除の方法と失われるもの|「半分捨てる」か「毎秒60コマに開く」かの二択になる
インターレース解除(デインターレース)は、2枚のフィールドから縞のない絵を作り直す処理です。無から情報は生まれないので、どの方式でも何かを失います。何を失うかで選びます。
方式
やっていること
出力コマ数
失われるもの
そのまま(ウィーブ)
2フィールドを重ねるだけ
29.97
動く部分に縞が残る
単純なフィールド捨て
片方のフィールドだけ使い縦に引き伸ばす
29.97
縦の解像度が半分
補間して1コマ化
前後を参照して欠けた行を作る
29.97
毎秒60回分の動きの情報が半分
補間して1フィールド1コマ化
各フィールドをそれぞれ1コマに展開
59.94
ファイルサイズが増える
まず素材を判定する
解除の前に、本当にインターレースか、フィールドの先後はどちらかを機械に判定させます。ffmpeg の idet フィルタが使えます。
ffmpeg -i input.mp4 -vf idet -frames:v 500 -an -f null -
実行すると、解析した500コマについて TFF(上フィールド先行)、BFF(下フィールド先行)、Progressive、Undetermined の件数が表示されます。TFF か BFF に大きく偏っていればインターレース、Progressive が大半なら縞の原因は別にあります。
フィールドの先後は素材によって変わります。SD の DV 系素材と HD の 1080i 素材では逆になっていることがあり、ここを取り違えると動きが前後に往復するような不自然なガタつきが出ます。手で決め打ちせず、判定結果を見てから指定してください。
実際の解除コマンド
ffmpeg の bwdif フィルタは、前後のフィールドと空間方向の両方を見て欠けた行を作る方式です。mode の指定で出力が変わります。
コマ数を維持して1コマ化:ffmpeg -i input.mp4 -vf bwdif=mode=0 -c:v libx264 -crf 18 -c:a copy output.mp4
毎秒59.94コマに開く:ffmpeg -i input.mp4 -vf bwdif=mode=1 -c:v libx264 -crf 18 -c:a copy output.mp4
フィールド順を明示する場合:bwdif=mode=1:parity=tff(下フィールド先行なら bff、判定に任せるなら auto)
インターレースと印の付いたコマだけ処理する:bwdif=deint=interlaced
yadif フィルタも同じ mode / parity / deint の指定を持ち、mode は 0(1コマごと)、1(1フィールドごと)に加えて 2 と 3 で空間方向のチェックを省いた高速版が選べます。bwdif の既定は mode=1、yadif の既定は mode=0 なので、無指定で使うとコマ数が変わる点に注意してください。
元の動きをそのまま残したいなら mode=1 で毎秒59.94コマにするのが素直です。ただしコマ数が倍になるぶんファイルは大きくなり、DVDのように収録時間の制約がある媒体では影響します。なお解除は映像を作り直す処理なので、再エンコードが伴います。無劣化での複製とは別の話になる点は、画質が劣化しないコピー で整理している通りです。
元が映画やアニメなら、解除ではなく逆テレシネ|4コマを5コマに伸ばした痕を戻す
縞が出るタイミングを数えてみて、「3コマきれい、2コマ縞」が規則正しく繰り返されているなら、単純な解除は最善ではありません。それはテレシネ(3:2プルダウン)された素材の特徴です。
映画は毎秒24コマで撮影されます。これをNTSCの29.97コマに載せるとき、4コマの映画を5コマの映像に引き伸ばす操作が行われます。4コマ分の絵を10個のフィールドに割り振り、A を2フィールド、B を3フィールド、C を2フィールド、D を3フィールドという配分にする。すると5コマのうち2コマが、別々の元コマから来たフィールドの混合になります。この混合コマだけに縞が出るため、周期的な出方になるわけです。
ここで普通の解除をかけると、縞は消えますが、元の24コマを29.97コマに水増しした状態は残ります。動きが一定でない、いわゆるジャダーが残り、補間の跡も加わって眠い絵になりがちです。正しい対処は逆テレシネ(インバーステレシネ、IVTC) で、フィールドを元の組み合わせに戻し、水増し分のコマを落として24コマに復元する処理です。
ffmpeg -i input.mp4 -vf "fieldmatch,yadif=deint=interlaced,decimate" -r 24000/1001 -c:v libx264 -crf 18 -c:a copy output.mp4
fieldmatch が本来対になるフィールド同士を組み直し、decimate が重複したコマを落とします。decimate は既定で5コマにつき1コマを落とす設定になっており、これが5対4の関係と一致します。間に挟んだ yadif は、組み直しても縞が残ってしまったコマだけを救済するための保険です。
アニメはさらに厄介で、背景は24コマ、キャラクターは8コマや12コマ、テロップだけ30コマといった具合に、1つの画面の中でコマ打ちが混在していることがあります。この場合は逆テレシネが部分的にしか効かず、機械任せだと一部が破綻します。短い区間で試して目で確かめ、うまくいかない部分は解除だけで妥協する という判断が現実的です。
DVDとブルーレイでの扱い|DVDはインターレースのまま入れられる、ブルーレイの1080iは59.94と50だけ
ディスクにする場合、そもそも規格が何を許しているかで選択肢が決まります。ここは推測の余地がない部分なので、事実を押さえておくと迷いません。
DVD-Videoの場合
DVD-Videoの映像はH.262/MPEG-2 Part 2で、最大9.8Mbit/s。NTSC圏は720×480を29.97コマ、PAL圏は720×576を25コマで扱います。色は8ビットのYCbCr、クロマは4:2:0です。そしてインターレースとプログレッシブのどちらも規格の範囲内 です。フィールドの先後はストリームの情報として記録されるので、インターレースのまま収録しても、対応したプレーヤーとテレビの組み合わせなら適切に表示されます。
逆に言えば、DVDに入れる時点で必ず解除しなければならないという決まりはありません。この「動画ファイルをそのまま焼いても再生できず、規格に沿った構造に組み立て直す必要がある」という部分は、DVDオーサリングとは(焼くだけでは再生できない理由) で説明しているオーサリングの工程にあたります。フィールドの扱いも、この工程で決まります。
ブルーレイの場合
BD-ROMの映像規格で認められているインターレース形式は、1920×1080i の 59.94 と 50 の2つだけです。プログレッシブ側は 1920×1080p の 23.976 / 24 / 25 / 29.97 / 30 / 50 / 59.94、1280×720p の 23.976 / 24 / 25 / 29.97 / 50 / 59.94 が使えます。コーデックはH.262/MPEG-2、H.264/AVC、SMPTE VC-1が再生機側の必須対応です。
ここから実務的な結論が出ます。1080i/59.94 の素材はそのまま入れられます。一方、720pにはインターレース形式が存在しないため、HD素材を720pに落とす場合は解除が前提になります。また、1080i素材を bwdif の mode=1 で毎秒59.94コマに開いておくと、1080p/59.94 として規格の範囲に収まり、縞の処理を再生機に委ねずに済みます。動きの情報を残したまま縞を確実になくしたい場合は、この経路が扱いやすい選択です。
入稿前に処理すべきかどうか|見る場所で決める。迷うなら元のまま渡して相談する
ここまでを踏まえて、ディスク制作に出す前に自分で解除しておくべきかどうかを整理します。判断基準は「誰が、何で見るか」の一点です。
用途・素材
推奨
理由
テレビとDVD/BDプレーヤーで見る。素材は1080iやDV
そのまま入稿
再生機側のIP変換が働く。余計な再エンコードを1回減らせる
パソコンやスマホでも配る。データも一緒に渡す
解除してから入稿
再生ソフト側で処理されない場合に縞が出る
動画共有サイトにも上げる
解除してから入稿
変換時に縞が固定されると後から直せない
元が映画・アニメ・24pで撮影したもの
逆テレシネ
解除だけではジャダーが残る
判断がつかない
元データのまま相談
加工済みデータからは元に戻せない
最後の行が実は一番重要です。一度解除して書き出したファイルからは、元のフィールド情報は戻りません。判断を誤った加工より、未加工の素材のほうが打ち手が多く残ります。迷ったら加工しない のが原則です。
入稿時に併せて伝えておくと話が早い情報は、撮影に使った機材(機種名でなくても「miniDVのビデオカメラ」「テレビ録画」程度で構いません)、元の素材がテープかカードか、そして再生予定の環境です。ファイル形式そのものについては動画ファイル形式の基礎(MP4/MOV/AVI) にまとめてあるので、コンテナと中身の区別が曖昧な場合は先に目を通しておくと説明しやすくなります。
ディスクメーカーでの扱い
ディスクメーカーでは基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚単位でのご注文を承っています。動画ファイルを再生できる形式に組み立てるオーサリングは料金に含まれており、盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しています。入稿はダウンロードできる共有URLをお送りいただく形で、ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などをご利用いただけます。
納期は通常便のほか、お急ぎ便が+1,500円(15時までのご注文・ご入稿で翌々日までに発送)、特急便が+3,000円(15時までのご注文・ご入稿で翌日発送)、当日店舗お渡しが+3,500円(平日12時までのご注文・ご入稿、大阪市北区の店舗でお受け取り)となっています。
縞の処理をどうするか決めかねる場合は、加工せずそのままお送りいただければ、素材を確認したうえでご相談に応じます。
よくある質問
Q. インターレースの縞は動画編集ソフトで直せますか
A. 直せます。多くの編集ソフトには「インターレース解除」「デインターレース」という項目があり、書き出し設定でプログレッシブを指定すれば処理されます。ただしソフトによって使われる方式が異なり、単純にフィールドを捨てるだけの実装だと縦の解像度が半分になります。短い区間を書き出して拡大確認し、結果が甘い場合は ffmpeg の bwdif や yadif で処理し直すほうが確実です。
Q. インターレース解除をすると画質は落ちますか
A. 何らかの形で情報は減ります。1コマに統合する方式では、毎秒約60回あった動きの情報が半分になります。1フィールドを1コマに展開する方式なら動きは残りますが、欠けた走査線を推定で埋めるため、細かい模様の部分でわずかに甘くなります。加えて解除は映像を作り直す処理なので再エンコードが伴い、圧縮による劣化も1回分乗ります。必要がなければ処理しないのが無難です。
Q. 1080iと1080pはどちらがきれいですか
A. 用途によります。1080i/59.94は1秒あたり59.94フィールドで、動きの滑らかさでは1080p/29.97より有利です。一方1080pは1コマが1920×1080そのままなので、静止した細部の解像感で有利です。動きの多い被写体なら1080i、静的な映像なら1080p、両方を求めるなら1080p/59.94が向きますが、データ量はおおむね倍になります。
Q. スマホで撮った動画にも縞は出ますか
A. 通常は出ません。現在のスマートフォンのカメラはプログレッシブで記録するため、フィールドという概念がありません。スマホの映像に横縞が出ている場合は、インターレースではなく別の原因です。蛍光灯やLEDの点滅とシャッターが干渉するフリッカー、パソコンの画面を撮影したときのモアレ、あるいは圧縮の破綻などが考えられます。
Q. DVDに焼くときインターレース解除は必要ですか
A. 規格上は不要です。DVD-Videoはインターレースとプログレッシブのどちらも扱えるため、インターレースのまま収録してもテレビとプレーヤーの組み合わせでは適切に表示されます。ただしパソコンでの再生や、ディスクと一緒にデータファイルも渡す予定がある場合は、解除しておくほうが縞の見えるリスクが下がります。用途で決めてください。
Q. 縞が出るコマと出ないコマがあります。故障ですか
A. 故障ではありません。インターレースの縞は、フィールド間の1/60秒で被写体が動いたときだけ出ます。止まっている場面では2枚のフィールドがほぼ同じ絵なので、縞は見えません。ただし「3コマきれい、2コマ縞」が規則正しく繰り返される場合は、映画の24コマを29.97コマに変換した3:2プルダウンの痕跡です。この場合は通常の解除より逆テレシネのほうが良い結果になります。
Q. フィールドの上下(TFF/BFF)を間違えるとどうなりますか
A. 時間の順序が入れ替わるため、動きが前後に往復するような不自然なガタつきが出ます。解除自体は動作するので気づきにくく、書き出してから発覚することが多い失敗です。ffmpeg なら idet フィルタで判定できます。判定結果が TFF に偏っていれば parity=tff、BFF なら parity=bff、はっきりしなければ parity=auto のまま任せるのが無難です。
Q. 60コマに変換するとファイルサイズはどれくらい増えますか
A. コマ数が倍になるので、同じ画質を保とうとすればビットレートも増え、ファイルサイズは大きくなります。増加幅は映像の内容と圧縮設定によって変わるため一律の数字は出せません。DVDのように収録時間の上限が効く媒体では、59.94コマ化がそのまま画質配分の圧迫につながることがあります。収録時間が長い素材では、29.97コマのまま解除するほうが結果が安定すると考えられます。