この記事の要点
DVD-Videoの規格では音声トラックは最大8本、字幕(サブピクチャ)は最大32本 まで1本の映像に紐づけられます。
字幕はフォントではなくビットマップ画像 として焼き込まれるため、ルビや縦書きも見た目のまま再現できます。
言語指定はISO 639 で行い、2文字のjaと3文字のjpnのどちらを求められるかはツールによって異なります。
既定トラックは「何も操作しない人が見る組み合わせ」 として決め、それ以外はメニュー画面から選ばせる設計が安全です。
音声を1本足すと2時間・192kbit/sで約173MB 増え、DVDでは総ビットレート10.08Mbit/sの取り合いにも影響します。
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1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
結婚式の映像を海外の親族にも送りたい。社内研修のDVDを外国人スタッフにも配りたい。そう考えたときに最初に詰まるのが、「日本語版と英語版を別々に焼くしかないのか」という点です。人数分×言語数の枚数を作るのは手間もコストも二重になりますし、渡した後に「どっちがどっち」と混乱も生まれます。
1枚のディスクに複数の音声と字幕を載せて、再生時に切り替えてもらう作り方ができます。DVD-Videoの規格は音声を最大8本、字幕を最大32本まで持てるように設計されており、市販の洋画ディスクで日本語吹き替えと字幕を選べるのは、この仕組みを使っているからです。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
DVD-Videoは、1本の映像に音声8本・字幕32本まで載せられる 素材は「尺の合った音声」と「時間の入った字幕」|ここで9割決まる 言語コードはISO 639|2文字のjaと3文字のjpnを取り違えない 既定トラックは「何も操作しない人が見る組み合わせ」|迷ったら配布先の言語 リモコンの音声・字幕ボタンは順送りなので、確実にするならメニューから選ばせる 2本目の音声は、翻訳のほかに解説音声やBGMのみ版にも使える 音声1本の追加は2時間で約173MB|気をつけるのは容量よりビットレートの取り合い 渡すときはトラック表を1枚添え、ファイル名と言語コードを一致させる よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
DVD-Videoは、1本の映像に音声8本・字幕32本まで載せられる
多言語ディスクは、言語ごとに映像を焼き分けるのではありません。映像は1本のまま置いておき、その横に音声と字幕を並走させて、再生時にどれを鳴らす/表示するかを選ばせる構造にします。映像データを重複して持たないので、言語を増やしても容量は音声と字幕の分しか増えません。
規格上、DVD-Videoは1本の映像に対して音声トラックを最大8本まで同時に持てます。字幕(規格上はサブピクチャと呼ばれます)は最大32本です。加えてカメラアングルを最大9つまで切り替える仕組みも規格に含まれていますが、これは対応プレーヤーが限られるため、多言語配布の用途では音声と字幕だけで組むのが現実的です。Blu-rayも同様に、PGS(Presentation Graphic Stream)というビットマップ形式で最大32本の字幕トラックを持てます。
ここで押さえておきたいのが、これらのトラックは撮影したデータをそのまま書き込んでも生まれない ということです。音声ファイルや字幕ファイルをディスクにコピーしただけでは、プレーヤーはそれを「切り替えられる選択肢」として認識しません。映像・音声・字幕を規格に沿った構造に組み立て、どのボタンでどれが選ばれるかという情報を一緒に書き込む工程が必要で、これをオーサリング(焼くだけでは再生できない理由) と呼びます。
当社の基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)には、オーサリングが含まれます。ただし、音声や字幕を切り替えられるディスクを当社に頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
字幕は文字ではなく画像として焼かれる
もうひとつ、設計に関わる特徴として、DVDの字幕はテキストデータではなく、ビットマップ画像として保存されます。DVD-Videoの仕様では16色のパレットが使え、実装上は4色に絞って使われることが多く、透明度も16段階が用意されています。
つまりディスクの中にフォントは入っておらず、字幕は「文字の形をした絵」として焼き込まれます。これは制約であると同時に強みでもあります。プレーヤー側にそのフォントが入っているかを気にする必要がなく、漢字にルビを振る、縦書きにする、話者ごとに色を変えるといった表現が、作った見た目のまま再現されます。日本語に不慣れな相手に配るディスクで、漢字へのルビ付き字幕を用意できるのはこの性質のおかげです。
字幕は画像として焼かれ、容量はほとんど増えないのが一般的。音声の容量は2時間・192kbit/sで計算
素材は「尺の合った音声」と「時間の入った字幕」|ここで9割決まる
作業の成否は、渡す素材の段階でほぼ決まります。必要なのは、映像1本と、それに完全に尺の揃った音声ファイル、そして開始・終了時刻を持った字幕ファイルです。
音声ファイルの作り方
音声は、映像と同じ長さで、先頭0秒から始まるファイルとして書き出します。吹き替えを別録りした場合、編集ソフトのタイムラインに映像を置き、その上に吹き替え音声を配置し、映像トラックを外して音声だけを書き出すのが確実です。吹き替えの音声だけを単独で録って渡すと、頭に無音がどれだけ入っているかが分からず、口の動きとずれます。
形式はWAV(48kHz/16bit)が扱いやすい選択です。DVD-VideoのリニアPCMは48kHzまたは96kHzのサンプリングレート、16bitまたは24bit、2〜6チャンネルに対応しており、48kHz/16bitはそのまま素直に収まります。書き出したあと、映像と音声を並べて再生し、冒頭・中盤・末尾の3点で口と声が合っているかを確認してください。長尺では中盤だけずれるケースもあるため、末尾まで見るのが大事です。
素材のコーデックやコンテナで迷ったときは、動画ファイル形式の基礎(MP4/MOV/AVI) を先に確認しておくと、書き出し設定の判断が早くなります。
字幕ファイルの作り方
字幕はSRT形式が最も通りがよい形式です。テキストエディタでも編集できる素朴な形式で、通し番号、開始時刻、終了時刻、本文の4要素が並びます。字幕編集ソフトで作ってもいいですし、翻訳会社に出す場合もSRTでのやり取りが一般的です。
実務で読みやすく仕上げるための目安を挙げます。
1行は全角13〜14字程度にする
2行までに収める
1つの字幕は1.5秒以上表示する
話者が変わったら字幕も切る
この4点を守るだけで、読み切れずに次へ流れてしまう字幕はかなり減ります。特に高齢の親族に見せる映像では、表示時間を長めに取ったほうが喜ばれます。
翻訳を外注する場合は、映像を渡す前に日本語のSRTを完成させ、時刻はそのままで本文だけを差し替えてもらう形にすると、言語ごとの表示タイミングが揃います。翻訳者に映像だけ渡して一から作ってもらうと、言語ごとに区切り位置が変わり、後から手直しが必要になります。
尺の合った音声と時刻の入った字幕がそろえば、作業の大半は決まる
言語コードはISO 639|2文字のjaと3文字のjpnを取り違えない
各トラックには「これは何語か」という情報を付けます。ここで使われる標準がISO 639です。2文字で表すISO 639-1 と、3文字で表すISO 639-2 があり、オーサリングソフトや多重化ツールによって、どちらの入力を求められるかが違います。日本語なら639-1がja、639-2がjpnです。
言語
ISO 639-1(2文字)
ISO 639-2(3文字)
日本語
ja
jpn
英語
en
eng
中国語
zh
zho(T)/chi(B)
韓国語
ko
kor
ポルトガル語
pt
por
スペイン語
es
spa
ベトナム語
vi
vie
タガログ語
tl
tgl
インドネシア語
id
ind
ネパール語
ne
nep
タイ語
th
tha
3文字コードには2種類ある
表の中国語だけ、3文字コードが2つ並んでいます。ISO 639-2にはT(術語系)とB(書誌系)の2系統があり、中国語はT系がzho、B系がchiです。チェコ語もces(T)とcze(B)で分かれています。ツールによって受け付ける側が違うことがあるので、入力してエラーになったらもう一方を試してください。どちらを使っても、プレーヤー側の表示は「中国語」に落ち着きます。
言語コードを設定する意味は、プレーヤー側の言語設定と突き合わせて自動選択させる仕組みに乗せることにあります。据置プレーヤーには本体設定として「音声言語」「字幕言語」の初期値があり、ディスク側のトラックにコードが入っていれば、その希望と一致するトラックが選ばれます。コードが空欄や「未定義」のままだと、この判定に乗れません。
簡体字と繁体字を書き分けたいとき
中国語のように、同じ言語コードで文字体系が分かれるケースがあります。ISO 639のコードだけではzhとしか書けず、簡体字版と繁体字版の2本を入れても、プレーヤーの一覧にはどちらも「中国語」と並びます。
MKV(Matroska)で素材をまとめる場合は、従来のLanguage要素に加えて、RFC 5646(BCP 47)形式で書くLanguageBCP47要素があり、こちらが指定されていればLanguage要素より優先されます。BCP 47ではzh-Hans(簡体字)、zh-Hant(繁体字)のように文字体系まで書き分けられます。
ただし最終的にディスクに焼く段階で、この情報がプレーヤーの表示にそのまま出るとは限りません。確実に区別させたいなら、メニュー画面に「简体中文」「繁體中文」と書いておくのが現実的です。
既定トラックは「何も操作しない人が見る組み合わせ」|迷ったら配布先の言語
ディスクを入れて再生ボタンを押しただけの人に、どの音声とどの字幕が出るか。これが既定トラックです。渡した相手の多くはリモコンを触りません。ここを外すと「英語が流れてきて驚いた」ということになります。
MKVの仕様では、トラックの性質を表すフラグが明確に定義されています。FlagDefaultは「プレーヤーによる自動選択の対象になる」トラックを示します。FlagForcedは字幕にのみ適用され、ユーザーの言語設定に一致する場合には字幕表示をオフにしていても表示されるトラックを指します。ほかにFlagHearingImpaired(聴覚に障害のある方に適したトラック)も定義されています。
この考え方はディスクのオーサリングでも同じで、「初期状態で選ばれるもの」と「条件付きで強制表示するもの」を分けて設計します。
決め方の実際
国内の親族に配る分は、日本語音声・字幕オフを既定にする。英語字幕は選べる状態で置いておく。
海外に送る分は、日本語音声・英語字幕オンを既定にする。音声を英語吹き替えにするかは、映像が会話中心か雰囲気中心かで変える。
社内研修で全員に同じものを配る場合は、受講者の多数派の言語を既定にし、少数派はメニューから選んでもらう。
配布先が明確に分かれているなら、既定を変えた2種類を作るのがいちばん確実です。たとえば日本語版を10枚、英語字幕を既定にした版を3枚、といった分け方になります。中身のトラック構成は同じで、既定の設定だけを変えたディスクという扱いになります。当社は1枚から注文できますが、既定を変えたディスクを頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
強制字幕を使う場面
強制字幕は、全編に出る字幕ではなく、必要な区間だけ自動で出る字幕です。使いどころは限られますが、次のような場面でははっきり役に立ちます。
日本語音声の映像に、外国語で話している来賓の挨拶が数分だけ入る場合、その区間だけ日本語字幕を出す。
スライドや看板に日本語しか書かれていない研修映像で、その画面が映る間だけ英訳を出す。
これを通常の字幕トラックとして入れてしまうと、切り替え候補が増えて選ぶ側が迷います。「常時出す字幕」と「その区間だけ出す字幕」は、別のトラックとして分けて設計してください。
リモコンの音声・字幕ボタンは順送りなので、確実にするならメニューから選ばせる
再生中にリモコンの「音声」ボタンを押すと、ディスクに登録された音声トラックが登録順に1つずつ切り替わります。「字幕」ボタンも同じで、こちらは「字幕オフ」の状態も巡回に含まれます。押すたびに画面の隅に「音声1/日本語」のような表示が数秒出る機種が多く、これで今どれを選んでいるかを確認します。
問題は、この操作感が機種によってかなり違うことです。ボタンの名前が「音声」ではなく「AUDIO」だったり、リモコンに独立したボタンがなく、再生中にメニューキーを押して呼び出すサブメニューの中に隠れていたりします。ボタン自体が省かれている機種もあります。据置プレーヤー、ゲーム機、パソコンのソフト、カーナビの再生機能で、それぞれ挙動が異なると考えたほうが安全です。
この種の機種差については家庭用プレーヤーの互換性 で整理していますので、配布先の再生環境がばらつく場合は目を通しておくと判断しやすくなります。
メニュー画面から選ばせる
だからこそ、トラック選択はリモコン操作に依存させず、ディスクのメニュー画面から選べるようにしておくのが安全です。メニュー画面では、次のような構成が組めます。
トップメニュー:「本編を見る」「言語を選ぶ」「チャプターから見る」
言語選択画面:「日本語音声/字幕なし」「日本語音声/English subtitles」「English audio/字幕なし」を1画面に並べる
各項目を選ぶと、その音声・字幕の組み合わせで本編が再生される
当社はメニュー画面の作成とチャプター分けにオプションで対応していますが、音声や字幕を選ぶメニューを頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
メニューの文言は、選ばせたい言語そのもので書きます。英語話者に「英語字幕」と日本語で書いても伝わりません。「English subtitles」「简体中文字幕」のように、その言語の表記で並べてください。この文言は制作側では判断できないため、頼むときに一緒に指定します。
焼き上がったら実機で確認する
パソコンの再生ソフトは寛容で、多少構造が乱れていても再生してしまいます。確認は据置プレーヤーで行ってください。見るべきは3点です。
再生ボタンだけで意図した音声・字幕が出るか
メニューから各組み合わせを選んで、選んだとおりに始まるか
切り替えた状態でチャプター送りをしたときに、設定が元に戻ってしまわないか
3つ目は見落とされやすく、章をまたぐと既定に戻る挙動になっていると、視聴者は途中で困ります。
見落としやすいのは、章をまたいだときに既定へ戻ってしまう挙動
2本目の音声は、翻訳のほかに解説音声やBGMのみ版にも使える
複数音声の枠は、翻訳以外にも使えます。同じ映像を違う用途で配れるようになるので、結果として制作するディスクの種類を減らせます。
発表会・記念映像
1本目を会場の生音、2本目を先生や主催者による解説ナレーションにします。生音版は当日の空気を残したい参加者向け、解説版は事情を知らない祖父母や海外の親族向けです。「今映っているのが○○先生です」「この曲は3か月練習しました」といった説明が入るだけで、同じ映像がまるで違ったものとして伝わります。
研修・マニュアル映像
1本目を日本語ナレーション、2本目を英語ナレーション、3本目を音楽と効果音だけの版にします。3本目が役に立つのは、後から別の言語を追加したくなったときと、店頭や展示会でループ再生したいときです。ナレーションのない版があれば、その場で別の説明を人が話せます。
音声ガイド
視覚に障害のある方向けに、画面の状況を言葉で説明する音声解説を1本足す使い方もあります。映像は同じままで、副音声として選べる状態にしておけば、必要な人だけがその音声で見られます。
音声を選べるようにすると、同じ映像を別の用途にも配れる
字幕側の応用
字幕も同じ発想で増やせます。日本語の映像に対して「日本語字幕(発話そのまま)」と「日本語字幕(やさしい日本語・ルビ付き)」の2本を用意すると、日本語を学習中の外国人スタッフにとって格段に見やすくなります。DVDの字幕はビットマップとして焼き込まれるため、ルビを振っても、フォントを大きくしても、プレーヤー側の対応を気にする必要がありません。
ただし、選択肢を増やしすぎると選ぶ側が迷います。音声は3本、字幕は4本くらいまでに抑えます。それ以上必要なら、メニューを階層に分けて「日本語」「English」「中文」と最初に大分類を選ばせる構成にしたほうが、実際の使われ方としてはうまくいきます。
音声1本の追加は2時間で約173MB|気をつけるのは容量よりビットレートの取り合い
トラックを増やすと容量が増えます。どれくらい増えるかは、コーデックとビットレートで単純に計算できます。2時間(7,200秒)の映像に音声を1本足した場合の増加分は次のとおりです。
音声形式
ビットレート
2時間あたりの容量
Dolby Digital(AC-3)ステレオ
192 kbit/s
約173 MB
Dolby Digital(AC-3)高音質
384 kbit/s
約346 MB
Dolby Digital(AC-3)上限
448 kbit/s
約403 MB
リニアPCM 48kHz/16bit/2ch
1,536 kbit/s
約1.38 GB
DVD-Videoの音声規格では、AC-3は48kHzで最大448kbit/s、リニアPCMは最大6,144kbit/sまで使えます。非圧縮のリニアPCMは2時間で1.38GBを消費するため、多言語で複数本入れる用途には向きません。吹き替えやナレーションであれば192kbit/sのステレオで実用上十分で、これなら3本足しても約519MBです。
DVD1枚の容量から逆算する
片面1層のDVD-Rは4.70GB(パソコン上の表示では約4.38GiB)です。2時間の映像でAC-3 192kbit/sの音声を使う場合、単純計算で次のようになります。
音声1本(約173MB):映像に約4.53GBを割り当てられ、映像のビットレートは約5.0Mbit/s
音声3本(約519MB):映像に約4.18GBとなり、映像のビットレートは約4.6Mbit/s
差は約0.4Mbit/s、率にして1割弱です。この程度なら、目に見えて画質が落ちるほどではないと考えられます。多言語化のために画質を大きく犠牲にする必要はありません。
見落としやすいのは総ビットレートの上限
容量とは別に、DVD-Videoには瞬間的なデータ転送量の上限があります。音声と映像を合わせて最大10.08Mbit/s、映像単独では最大9.80Mbit/sです。つまり音声に使った分だけ、映像に回せる上限が下がります。
たとえば448kbit/sの音声を3本入れると、音声だけで1.344Mbit/sを占めるため、映像は8.7Mbit/s程度までしか使えなくなります。短い映像を高画質で焼こうとして映像ビットレートを上げていくと、この上限に先にぶつかります。多言語トラックを載せるなら、音声は必要十分なビットレートに抑えるのが定石です。
音声の分だけ映像の上限は下がるが、2時間の平均では差は1割弱
字幕は容量にほとんど影響しない
字幕はセリフのある区間にだけビットマップが置かれる仕組みなので、音声トラック1本ほどの容量にはならないのが一般的です。字幕を数本増やすかどうかで容量計算をやり直す必要は、通常ありません。
長尺・多言語ならBlu-rayを検討する
2時間を超える映像に音声を複数本載せると、DVDでは映像ビットレートを削るか、2枚組にするかの判断になります。Blu-rayは1層で25GB、2層で50GBあり、字幕はDVDと同じく最大32本まで持てるため、長尺かつ多言語の条件では余裕を持って組めます。どちらを選ぶかの判断材料はDVDとブルーレイの違い(画質・容量・互換性) にまとめています。海外に送る場合は再生機器の普及状況も関わるため、容量だけで決めないほうが安全です。
渡すときはトラック表を1枚添え、ファイル名と言語コードを一致させる
多言語ディスクの制作でいちばん間違いが起きるのは、素材の取り違えです。英語字幕のつもりが中国語字幕、2本目の音声のつもりが編集途中のファイル、といった間違いは、ファイル名が曖昧なときに必ずと言っていいほど起きます。防ぐ方法は単純で、ファイル名に言語コードを入れ、対応表を1枚添えることです。
ファイル名の付け方
映像:main_video.mp4
音声:audio_ja.wav / audio_en.wav / audio_narration_ja.wav
字幕:sub_en.srt / sub_zh-Hans.srt / sub_ja_ruby.srt
連番よりも言語コードを入れたほうが、後から見たときに間違いに気づけます。バージョン違いを渡す場合は末尾に日付を付け、古いファイルは共有フォルダから外してください。同じ内容のファイルが2つあると、どちらを使うかの確認で1往復増えます。
トラック表の書き方
種別
言語
ファイル名
既定
メニュー表記
音声1
日本語(ja)
audio_ja.wav
○
日本語
音声2
英語(en)
audio_en.wav
English
字幕1
英語(en)
sub_en.srt
English subtitles
字幕2
中国語簡体(zh-Hans)
sub_zh-Hans.srt
简体中文字幕
この表があれば、どの音声を初期状態で鳴らすか、メニューに何と表示するかまで一度に伝わります。メニューの文言を指定し忘れると、作る側で妥当な表記を当てることになり、意図と違う言葉が並ぶことがあります。表の右端に書いておくのが確実です。
渡し方と納期
多言語のディスクを当社に頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。当社への入稿は、ギガファイル便のURLで受け付けています。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、こちらでダウンロードできる形であれば形式は問いません。手順に不安があればギガファイル便での入稿ガイド を参照してください。
パスワードを付けた場合、ギガファイル便なら、注文フォームにURLを貼ると開く「ダウンロードパスワード」の欄に入れます。ほかのサービスのパスワードの伝え方は、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。ダウンロード期限が短いサービスもあるため、期限も書き添えてください。
納期は通常便のほか、お急ぎお届け(+1,500円/平日15時までのご注文・ご入稿で翌々日までに発送)と特急お届け(+3,000円/平日15時までのご注文・ご入稿で翌日発送)から選べます。当日店舗お渡し(+3,500円/平日12時までのご注文・ご入稿、大阪市北区の店舗で受け取り)も選べます。ただし多言語ディスクは確認項目が通常より多く、トラックの並び順や既定の指定でやり取りが発生することがあります。日程に余裕を持って頼むほうが、仕上がりの確認まで含めて安心です。
よくある質問
Q. DVDに音声は何本まで入れられますか? A. DVD-Videoの規格では、1本の映像に対して音声トラックを最大8本まで持てます。字幕は最大32本です。実際の制作では、選ぶ側が迷わない本数として音声3本前後、字幕4本前後に収める構成が扱いやすくなります。それ以上必要な場合は、メニューを階層に分けて「日本語」「English」「中文」といった大分類から選ばせる設計にすると、視聴者が目的のトラックにたどり着きやすくなります。
Q. 音声を切り替えると字幕も自動で連動しますか? A. 音声と字幕は独立したトラックとして扱われるため、リモコンで音声だけを切り替えても字幕は変わりません。英語音声にしたら英語字幕、という組み合わせを確実に届けたい場合は、メニュー画面に「English audio / English subtitles」のような組み合わせ単位の選択肢を並べ、そこから再生を始めてもらう構成にします。当社はメニュー画面の作成にオプションで対応していますが、この形のディスクを頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
Q. リモコンの音声ボタンを押しても切り替わりません。原因は何ですか? A. 考えられる原因は3つあります。1つ目は、ディスクに音声トラックが1本しか入っていないケースです。2つ目は、機種によってボタンの名称が「AUDIO」だったり、独立したボタンがなくメニューキー内のサブメニューに入っているケースです。3つ目は、再生中の場面が該当トラックを持たない区間にいるケースです。まずディスクのメニュー画面から言語を選んで再生し、それで切り替わるかを確認してください。
Q. 字幕はSRTファイルのまま渡せますか? A. 字幕のファイルを当社に渡せるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。SRTには、通し番号、開始時刻、終了時刻、本文が並びます。DVDに焼く段階でビットマップ画像に変換されるため、フォントやルビの指定がある場合は、頼むときに一緒に伝えてください。複数言語のSRTを渡す場合は、sub_en.srt のようにファイル名へ言語コードを入れておくと、取り違えを防げます。
Q. 音声トラックを増やすと画質は落ちますか? A. わずかに影響します。2時間の映像でDolby Digital 192kbit/sの音声を1本足すと約173MB増えるため、その分だけ映像に割ける容量が減ります。片面1層のDVD-R(4.70GB)で単純計算すると、音声1本なら映像に約5.0Mbit/s、3本でも約4.6Mbit/s程度で、差は1割弱です。加えてDVDには音声と映像の合計で10.08Mbit/sという上限があるため、音声を高ビットレートにしすぎないことが対策になります。
Q. 吹き替え音声がありません。字幕だけの多言語ディスクは作れますか? A. 作れます。音声は日本語1本のままで、字幕トラックだけを英語・中国語などで複数用意する構成です。吹き替えの収録が不要なので、素材の準備は翻訳したSRTファイルを揃えるだけで済みます。実際、海外の親族に送る記念映像では、音声はそのままにして字幕だけを足す形が最も手軽で、映像の雰囲気も損なわれません。当社に頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
Q. 言語コードは2文字と3文字のどちらを書けばいいですか? A. 渡すときは、日本語なら「日本語(ja / jpn)」のように両方を書いておくのが確実です。ISO 639-1が2文字、ISO 639-2が3文字で、使うツールによってどちらを求められるかが異なります。中国語のようにISO 639-2で zho と chi の2通りがある言語もあります。簡体字と繁体字を区別したい場合は、コードだけでは伝わらないため、メニューに表示する文言として「简体中文」「繁體中文」と指定してください。
Q. Blu-rayとDVDでは、どちらが多言語ディスクに向いていますか? A. 字幕の本数はどちらも最大32本で差がありませんが、容量に余裕があるのはBlu-rayです。1層25GB、2層50GBあるため、2時間を超える映像に音声を複数本載せても映像のビットレートを削らずに済みます。一方で再生機器の普及はDVDのほうが広く、海外の親族に送る場合は相手の再生環境も判断材料になります。1時間程度の映像に音声2〜3本であれば、DVDでも十分に収まります。