この記事の要点
CDの記録層はレーベル面から約0.01mm下 にあり、ペン先や爪の押し跡が反射層を潰すと、その部分のデータは修復できません。
DVDの記録層は0.6mm+0.6mmの貼り合わせの中央 にあるため、表面の傷には強い一方で、レーベル面にはCDのような保護ラッカーがありません。
粘着ラベルの実害は回転バランス です。ディスクの製造各社は、ドライブの早期摩耗を理由に、貼るのを避けるよう案内しています。
剥がしかけ・一部だけ剥がれたラベルは偏心を生み 、読めなくなる原因になります。DVDはCDより軽微な偏りにも影響を受けます。
5年を超えて残す前提なら粘着ラベルは使わず 、ラベルのない盤へ複製し、表示は盤面印刷とケースの背表紙に置き換えるのが確実な方向です。
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ディスクの棚を整理していて、レーベル面の印刷がぱりっと浮いていたり、昔貼ったラベルシールの角がめくれていたりするのを見つけた。このページにたどり着く方の多くは、その状態から「再生に影響するのか」「剥がしていいのか」を知りたいはずです。あるいは今まさに、大量に焼いたディスクに何かしらの表示を付けたくて、家電量販店のラベルシールを手に取っているところかもしれません。
レーベル面は「裏側」ではありません。CDに限っては、データが刻まれている層(記録層)が、レーベル面から0.01mm程度しか離れていない位置にあります。読み取り面の傷は研磨で回復することがありますが、レーベル面から金属層まで届いた損傷は元に戻せません。ここが、多くの人が直感と逆に理解している点です。
剥がれかけたラベルは、剥がさないでください。CDではラッカーと金属層がラベル側に持っていかれ、その盤は復元できなくなります。DVDでも、ラベルの一部が取れると回転に偏りが生じ、読めなくなることがあります。保存ガイドは、剥がさずに、ラベルのない盤へ中身を移すよう勧めています。これから表示を付ける場合も、5年を超えて残す盤には粘着ラベルを貼らないことが推奨されています。
数値は、図書館・アーカイブ向けの保存ガイドの記述に沿っています。このガイドは、米国立標準技術研究所(NIST)の技術者が執筆し、CLIR(Council on Library and Information Resources)が刊行しています。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
記録層の位置は、CDがレーベル面の約0.01mm下、DVDが中央、ブルーレイが読み取り面から0.1mm レーベル面の傷が直せない理由|研磨で回復するのは読み取り面の傷だけ 粘着ラベルは、1万rpm級で回る円盤の回転バランスを崩す ラベルを貼るなら5年まで|長期保存する盤には貼らない、剥がさない ディスクに書くペンは「溶剤」と「ペン先」で選ぶ|細字とボールペン型はCDに穴を開ける 剥がれてきた盤は、ドライブに入れる前に、読めるうちに中身を退避する 中身を移すか盤面を作り直すか|表示を残すならラベルではなく盤面印刷に置き換える これから残す一枚の保管条件は、18℃・40%RHでケースに入れて立てる よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
記録層の位置は、CDがレーベル面の約0.01mm下、DVDが中央、ブルーレイが読み取り面から0.1mm
ディスクの扱い方は、記録層が盤のどちら側に寄っているかを知るだけで、判断のほとんどが決まります。見た目は同じ直径12cmの円盤でも、CD・DVD・ブルーレイで記録層の位置はまったく違うところにあります。
種類
記録層の位置
レーベル面から記録層まで
読み取り面から記録層まで
CD
レーベル面のすぐ下
約0.01mm
約1.1mm
DVD
盤のほぼ中央(貼り合わせ面)
約0.6mm
約0.6mm
ブルーレイ
読み取り面寄り
約1.1mm
0.1mm
CDは、厚さ約1.1mmのポリカーボネート基板の上に、次の順で層が重なっています。
反射層(約80nmのアルミ蒸着膜)
ラッカー保護層(約10マイクロメートル、つまり0.01mm程度)
印刷層
レーベル面から見れば、記録層は薄い膜一枚を隔てただけの位置にあるということです。CLIRの保存ガイドも、CDのラッカー層を「金属を環境から守るために塗られた非常に薄い層」と表現し、書き込みやラベリングに対する保護としては限定的だと明記しています。
DVDは事情が違います。0.6mm厚のポリカーボネート円板を2枚貼り合わせた構造で、記録層はその合わせ目、つまり盤の中央にあります。読み取り面からも0.6mm、レーベル面からも0.6mmのプラスチックに挟まれている格好です。同ガイドは「CDであれほど傷つきやすかった金属層が、DVDでは中央にある。この位置のおかげで、表面の傷にはほぼ影響を受けない」と書いています。
ブルーレイはさらに極端で、読み取り面のカバー層がわずか0.1mmしかありません。405nmの青紫色レーザーと開口数0.85の対物レンズで、1層25GB・2層50GBを記録するために、記録層を読み取り面ぎりぎりまで寄せた設計です。裏を返せば、レーベル面から記録層までは約1.1mm離れていることになります。
カバー層を薄くしたぶん傷への耐久面に難があり、実用化にはハードコート技術が前提になった経緯もあります。容量や画質の差は、こうした物理構造の差から生まれています。この点はDVDとブルーレイの違い(画質・容量・互換性) を整理した記事でも触れています。
ここから分かる順序は、直感とは食い違っています。レーベル面の傷に弱いのはCD>DVD>ブルーレイの順、読み取り面の傷に弱いのはブルーレイ>DVD>CDの順 で、両者は逆転します。手元の盤がどれなのかで、気をつける面が変わるということです。
レーベル面の傷が直せない理由|研磨で回復するのは読み取り面の傷だけ
「傷ついたディスクは研磨に出せば直る」という話を聞いたことがあるかもしれません。これは半分だけ正しく、対象は読み取り面に限られます。
読み取り面の傷は、透明なポリカーボネートの表面に付いた凹凸です。レーザーの焦点は傷の向こう側にあるので、浅い傷であれば光がわずかに散乱するだけで、ドライブのエラー訂正が読み替えてしまいます。眼鏡のレンズに細かい傷が付いても視界がそこまで悪くならないのと同じだ、とCLIRのガイドは説明しています。傷が深くて焦点に影響する場合でも、削って面を整えれば光路が回復することがある。研磨サービスが成立するのはこのためです。
レーベル面の傷は、まったく違う種類の傷です。CDの場合、傷・ペン・鉛筆・極細マーカー・その他の先の尖った物によるわずかなくぼみやピンホールが金属層にできると、その部分の反射がなくなり、レーザー側から読めなくなります。同ガイドはこれを「この種の損傷は修復できない」と、はっきり書いています。削って直す対象がそもそも存在せず、反射材そのものが欠けているからです。
厄介なのは、この損傷が最初は目立たないことです。軽微であればエラー訂正が吸収してしまうため、その場では普通に再生できます。読み取り面の汚れと違って拭けば戻るものではなく、ダメージは残ったまま蓄積していく。ラッカー層を突き抜けていない浅い傷でも、そこから湿気や大気中の汚染物質が金属層に届く経路になり得ます。読み込めないDVDを復活させる方法 で挙げているような症状のうち、レーベル面側から進行したものは、この経路をたどっていると考えられます。
研磨で直る可能性があるのは読み取り面の傷だけ。CDのレーベル面の傷は戻らない
傷の向きでも結果が変わる
エラー訂正には、記録トラックを横切る傷(中心から外周へ向かう放射方向の傷)には強く、トラックに沿う傷(円周方向の傷)には弱いという、あまり知られていない偏りがあります。同じ長さの傷でも、円周方向のものは連続するデータを一続きに壊すため、訂正能力を超えやすいのです。ディスクを拭くときに円を描いてはいけないという定番の注意は、ここに理由があります。
DVDのレーベル面は安全、ただし無防備でもある
DVDのレーベル面の傷は、記録層まで届く可能性が低いので、CDほど神経質になる必要はありません。ただし、DVDにはCDのような保護ラッカー層がありません 。同ガイドの「DVDs have no such protective lacquer coating」という一文がそれです。
レーベル面はむき出しのポリカーボネートか、その上に載せられた印刷層だけ。だから記録層は無事でも、印刷が剥げる・ラベルが浮くといった表面のトラブル自体はDVDでも普通に起きます。そしてその剥がれは、次に説明する回転バランスの問題に直結します。
粘着ラベルは、1万rpm級で回る円盤の回転バランスを崩す
ラベルシールが警戒される理由を「糊が記録層を侵すから」と説明している記事は多いのですが、実務上いちばん現実的な不具合は化学的なものではなく、力学的なものです。
パソコンの光学ドライブは、読み込み時にかなりの速度でディスクを回します。CD-ROMドライブの52倍速はCAV方式で約10,400rpmに相当し、この領域では「粗悪な、あるいは物理的に損傷したメディアが、10,000〜13,000rpmの遠心応力下で小さな亀裂から一気に破断することがある」と報告されています。1990年代後半以降、ドライブの高速化が頭打ちになった理由のひとつが、量産メディアの対称性と強度の限界だったという事情もあります。
この回っている円盤の片側に、紙とインクと糊でできた層を乗せる。それが粘着ラベルです。CLIRのガイドは端的に「ディスクの製造各社は、粘着ラベルがディスクの回転バランスを崩し、ドライブの早期摩耗を招くという理由で、その使用を推奨していない」と記しています。さらに「DVDはCDよりも、軽微な偏りによる読み取り不良を起こしやすい」 とも書かれています。DVDのほうが記録密度が高く、トラック追従の余裕が小さいためだと考えられます。
「一部だけ剥がす」がいちばん危ない
同じ文脈で、より具体的な警告があります。「ラベルを、あるいはその一部を盤面から取り除くと、ドライブ内での回転に偏りが生じ、ディスクが読めなくなることがある」。角がめくれてきたから気になって少しだけ引っ張った、という行為が、貼りっぱなしより悪い結果を招くという話です。DVDでは金属層まで持っていかれる心配はありませんが、偏心という別の問題が残ります。
インクの偏りにも同じ理屈が当てはまる
面白いことに、この理屈はプリンタブルディスクへの印刷にも当てはまります。同ガイドは「インクは盤の平面性とバランスに影響するため、インクが盤面に均一に分布しない部分印刷より、全面印刷のほうが良い」という趣旨の指摘をしています。自分でインクジェット印刷する場合、盤面の一部にだけ濃い絵柄を置くより、全面をならして刷ったほうがバランス上は有利ということです。
それでも貼るなら
CD/DVD専用として販売されているラベルを使う(一般の宛名ラベルを流用しない)
ラベル貼付器(アプリケータ)で中心を出して貼る。手で位置合わせすると偏心の原因になります
貼った後で位置を直そうとしない。剥がして貼り直す動作が、CDではラッカー層と金属層を持ち上げます
貼るのは短期利用の盤に限る。この期間の目安は次の見出しで扱います
ラベルを貼るなら5年まで|長期保存する盤には貼らない、剥がさない
CLIRのガイドは、粘着ラベルの可否について珍しく明確な期間の線引きをしています。「長期保存(5年超)を意図した光ディスクに、粘着ラベルを貼るべきではない」 。理由は、時間の経過とともにラベルが層間剥離を起こし、ドライブの動作を妨げるおそれがあるからです。加えて、古い時代のラベルの糊がラッカー面と反応した例も知られている、と続きます。
逆に、5年未満の短期利用であれば粘着ラベルは適している場合があり、傷やその他の有害な接触から盤面を守る一枚の層として機能する、とも書かれています。ここは意外に思われるかもしれませんが、CDのレーベル面が弱いという前提に立つと筋が通ります。イベントで配って数年で役目を終える盤と、家族の記録として棚に置き続ける盤とでは、答えが変わるということです。
ラベルは盤本体より環境変化に弱い
もうひとつ押さえておきたいのが、ラベルという素材自体の性質です。同ガイドは「ラベルは乾燥することも吸湿することもあり、熱や寒さの影響をディスク本体以上に受ける。そうした条件が層間剥離を引き起こす」と述べています。つまり、押し入れの季節変動や、車内の温度変化のような環境では、ディスクが無事でもラベルだけが先に浮いてくる。棚から出したディスクの角がめくれていたという冒頭の状況は、多くの場合これです。
剥がれてきたラベルを剥がしてはいけない
めくれを見つけたときにやりたくなるのが「きれいに剥がす」ですが、CDでは避けたい操作です。CDではラッカーと金属層がラベル側に持っていかれ、その盤は復元できなくなります。
同ガイドの「For CDs especially do not」の一覧にも、「ラベルを剥がそうとしたり、貼り直そうとしたりすること」 が挙げられています。同じ一覧には、次の項目も並んでいます。
ラベル面を傷つけること
ペン・鉛筆・極細マーカーで書くこと
溶剤を含むマーカーで書くこと
ではどうするか。同ガイドが示している答えは明快で、「すでに粘着ラベルが貼られたディスクの情報を長期的に利用可能な状態に保つには、その情報をラベルのないディスクにコピーして保存すべきである」。剥がすのではなく、中身を移す。これが公式に推奨されている手順です。
ディスクに書くペンは「溶剤」と「ペン先」で選ぶ|細字とボールペン型はCDに穴を開ける
「手元のマーカーで書けばOK」と覚えるだけでは、残念ながら足りません。CLIRのガイドは、マーカーを2つの軸で評価しています。インクに含まれる溶剤の種類と、ペン先の形状です。
溶剤の軸
インクに含まれる溶剤は、製品によって違います。同ガイドは「多くのCDベンダーが、マーカーに含まれる特定の溶剤との接触で、薄い保護ラッカー層が劣化し得ると指摘している」と述べています。続けて「溶剤としてのアルコールは、芳香族溶剤系マーカーによく使われるキシレンやトルエンに比べれば、一般に害が少ない」と整理しています。
ただし同ガイドは、溶剤がCDやDVDに与える影響、特に長期的な影響について明示的なラボ試験の結果は存在しない、とも断っています。アルコール系マーカーで問題なくラベリングできたという報告は逸話的なもので、確立された知見ではないという立場です。したがって、CD/DVD対応を明記した盤面用のペンを選ぶのが無難だと考えられます。市販のマーカーは溶剤の組成が製品ごとに異なるため、パッケージの表示で確かめるのが実際的な運用になります。
ペン先の軸
こちらは物理の話なので、より確実です。同ガイドの本文脇には「CDに極細のペンやローラーボール式のマーカーを使ってはいけない。盤面を引っかいたり凹ませたりして、金属層とデータ層を恒久的に損傷させるおそれがある」 という注意書きが置かれています。推奨されるのは、ペン先が柔らかく尖っていないフェルトペン。日本語版Wikipediaも同趣旨で、CD-Rには先の尖った筆記用具を使わず、先が柔らかく尖っていないペンで書くよう注意しています。
ボールペンや鉛筆はもちろん、細字のマーカーも危険側です。線を細くしようとして力を込めるほど、点で荷重がかかります。CDの記録層まで0.01mmしかないことを思い出せば、なぜ「太字のフェルト」が指定されるのかがわかります。
書いていい場所
盤面のどこに書くかにも安全な場所があります。同ガイドは「あらゆるディスクにリスクなくラベリングするには、透明な内周のハブ部分、あるいはミラーバンドと呼ばれる領域に書くのが最良」としています。データが記録されていないエリアだからです。逆に、あらかじめ製品名やロゴがステンシル状に抜かれて見える箇所は、そこだけ保護が薄い場合があり、書き込みや引っかきを避けるべき領域として挙げられています。
なおDVDについては、理論上は溶剤がポリカーボネートを通って中央の記録層まで届くことはないと、同ガイドも認めています。それでも、CDと同じ注意を払うことを勧めています。ペンを2種類使い分けて取り違えるくらいなら、CDでも使える1本に統一したほうが安全だ、という実務的な理由です。
アルコール系は芳香族系より害が少ないとされるが、長期の影響を確かめた試験はない
剥がれてきた盤は、ドライブに入れる前に、読めるうちに中身を退避する
実際にレーベル面が剥がれてきた盤を手にしたときの動作を、順番に決めておきます。
持ち方と置き方
持つのは外周のふちと中心穴だけ。盤面を指で押さえないのは基本ですが、レーベル面が浮いている盤では、なおさら気をつけます。押さえた指が浮いた層を引っ張るからです。曲げるのも避けます。ケースから外すときのしなりや、上に物を置くことによる応力が、層の剥離を進めます。
長期の平置きもよくありません。同ガイドは「特に温度の高い環境で長期間水平に保管すると、ディスクが恒久的に反ることがある。データが無事でもドライブで正常に動作しなかったり、レーザーがトラックを追えなくなったりする」として、本のように立ててケースに入れて保管するよう推奨しています。
ドライブに入れる前に判断する
剥がれた破片が盤面にぶら下がっている状態でドライブに入れるのは、避けたい行為です。偏心の原因になりますし、高速回転中に破片がドライブ内部に飛ぶ可能性もあります。ラベルの浮きが小さく、盤面に密着している段階なら、そのまま読み出しを試すほうが現実的です。判断がつかない場合は、大切な盤ほど「今日ちゃんと読めるうちにコピーを作る」を優先してください。剥離は時間とともに進みます。
剥がれは時間とともに進む。大切な盤ほど、今日読めるうちに中身を移す
クリーニングは必要なときだけ、中心から外周へ直線
CDやDVDに定期的なクリーニングは不要だ、というのが同ガイドの立場です。拭くたびに柔らかいポリカーボネートを傷つけるリスクを負うため、汚れが目に見えて、かつ保管前・記録前・再生前・読み取り不良が出たとき、といった場面に限るべきだとされています。手順は次のとおりです。
まずブロアーでほこりを飛ばす。乾いた布で試してから、必要な場合だけ溶液を使う
柔らかい綿の布かセーム革を使う。ティッシュやレンズペーパーを含む紙製品は使わない
中心から外周へ向かって直線的に拭く。円周方向に拭かない (円周方向の傷はエラー訂正で救いにくいため)
頑固な汚れには、光ディスク用の水性洗剤、またはイソプロピルアルコールかメタノールを使う
アセトンやベンゼンといった強い有機溶剤は使わない。ポリカーボネートを溶かし、修復不能にします
レーベル面については、原則として拭かないと考えたほうが安全です。CDのラッカー層やレーベル面の各種コーティングは、穏やかな溶剤であってもダメージを受ける可能性があると同ガイドは注意しています。読み取り面の汚れが再生に影響するのであって、レーベル面のほこりは基本的に影響しません。
中身を移すか盤面を作り直すか|表示を残すならラベルではなく盤面印刷に置き換える
手元の盤をどうするかは、状態ごとにほぼ決まります。
いまの状態
取るべき手
再生できる/ラベルや印刷が浮き始めている
剥がさず、再生できるうちに中身をパソコンへ吸い出す
再生できる/5年を超えて残したい
ラベルのない盤へ移し、表示は盤面印刷とケースの背表紙に置き換える
再生できない/読み取り面に傷がある
別のドライブやプレーヤーで試す。改善しなければ研磨で回復する余地がある
再生できない/レーベル面が削れている・欠けている
その領域のデータ復元は見込みが薄い。元データを探すほうが早い
元の動画データが手元にある
盤を作り直す。表示はラベルシールを使わずに残す
吸い出しの段階で気になるのが「コピーすると画質が落ちるのでは」という点ですが、ディスクからディスクへの複製は、圧縮し直す処理(再エンコード)を伴わなければ画質は変わりません。この仕組みは画質が劣化しないコピーの考え方 で説明しています。逆に、編集ソフトに読み込んで書き出し直すと、そこで再圧縮が入ります。目的が保全なら、まずは無変換で退避するのが基本です。
表示を残す方法をラベルから移し替える
ラベルシールを貼りたくなるのは、盤を見ただけで中身が分かるようにしたいからです。この目的なら、貼るのではなく刷るという選択肢があります。
当社では、動画データからDVD・ブルーレイを制作する際に、盤面へのレーベル印刷と、ケースおよび背表紙の印刷 に対応しています。棚に立てたまま背表紙で判別でき、盤単体でも内容が分かるので、粘着ラベルで解決しようとしていた課題はここでほぼ片付きます。ラベルによるバランスの偏りも、ラベルの剥離も起きません。どちらも印刷する画像を入稿してもらう形で、入稿用のデータの作り方はDVD・CDのレーベルとジャケットの入稿データの作り方 にまとめてあります。
作り直す場合の実際
元の動画ファイルが残っているなら、劣化した盤を延命させるより新しく作るほうが早いことが多いです。料金は基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで、1枚から注文できます。動画ファイルをそのまま焼いても、プレーヤーでは再生できません。再生できる形式への組み立て(オーサリング)が必要で、これは料金に含まれます。メニュー画面の作成やチャプター分けにも、オプションで対応しています。
入稿は、ギガファイル便のURLを注文フォームに貼る方式です。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などが使えます。納期は、通常便のほかに次の選択肢から選べます。
お急ぎお届け(+1,500円/平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)
特急お届け(+3,000円/平日15時までの注文・入稿で翌日発送)
当日店舗お渡し(+3,500円/平日12時までの注文・入稿、大阪市北区の店舗で受け取り)
日々多くのご注文をお受けしており、1枚だけの依頼も日常的にお受けしています。
これから残す一枚の保管条件は、18℃・40%RHでケースに入れて立てる
盤面の扱いを整えても、置き場所が悪ければ寿命は縮みます。最後に、保管条件の数値を押さえておきます。
CLIRのガイドがアーカイブ用の保管施設向けに示している推奨は、CDとDVDを同じ場所に保管する場合で温度20℃未満かつ4℃超、相対湿度20〜50% 。そのうえで「18℃・相対湿度40%が長期保存に適した条件と考えられる」としています。より長い期間を狙うなら、温度も湿度もこれより低いほうがよいとも書かれています。家庭やオフィスで厳密に再現する必要はありませんが、押し入れの上段や窓際、車内といった場所が推奨から外れることは分かります。
やってはいけない側のリストも簡潔です。
極端な高温や高湿度にさらさない
温度や湿度が急激に変化する場所に置かない
日光や紫外線に、記録型ディスクを長時間さらさない
長年にわたって水平に積み重ねない
そして使用後はすぐにケースに戻す。ケースに入れておくこと自体が、環境変化の緩衝になります。
湿気が問題になるのは、金属反射層の腐食を通じてです。酸素や汚染物質は水分に運ばれてポリカーボネート層やCDのラッカー層・端面から侵入し、アルミの反射層を酸化させて反射率を落とします。傷やひび、ラベルの剥離した箇所は、その侵入口として働きます。ラベルの浮きを放置しないほうがよい理由は、見た目の問題ではなくここにあります。ケースの選び方を含めた保管の実務はDVD・CDの正しい保管方法 に、素材ごとの寿命の考え方は関連記事にまとめています。
もうひとつ、記録型ディスクの色素層は光で劣化します。同ガイドは記録型ディスクを日光や紫外線にさらさないことを明記しています。窓辺のラックに背表紙を並べて飾るような使い方は、見た目には良くても保存には向きません。暗く、涼しく、乾いていて、空気のきれいな場所に、立てて置く。これが、いま作る一枚を長く使うための条件です。
暗く、涼しく、乾いた場所に、ケースに入れて立てて置く
よくある質問
Q. DVDにラベルシールを貼っても大丈夫ですか? A. 5年未満の短期利用であれば適している場合があり、傷から盤面を守る層としても働きます。一方、5年を超えて残す前提の盤には貼らないことが推奨されています。時間が経つとラベルが層間剥離を起こし、ドライブの動作を妨げるおそれがあるためです。またディスクの製造各社は、粘着ラベルが回転バランスを崩してドライブの早期摩耗を招くとして、使用を避けるよう案内しています。DVDはCDより軽微な偏りの影響を受けやすいとも指摘されています。貼る場合はCD/DVD専用ラベルを使い、貼付器で中心を出してください。
Q. すでに貼ってあるラベルは剥がしたほうがいいですか? A. 剥がさないでください。CDではラッカー層と金属層がラベル側に持っていかれ、その盤は復元できなくなります。DVDでは金属層は無事ですが、ラベルの一部が取れると回転に偏りが生じ、読めなくなることがあります。推奨されている手順は「剥がす」ではなく「移す」です。ラベルの貼られたディスクの内容を長期的に保つには、ラベルのないディスクへコピーして保存するのが確実な方向とされています。めくれを見つけたら、まだ読めるうちに中身を吸い出す作業を優先してください。
Q. レーベル面に傷がついたDVDやCDは研磨で直りますか? A. 研磨で改善が見込めるのは読み取り面の傷だけです。読み取り面は透明なポリカーボネートなので、削って面を整えればレーザーの光路が回復することがあります。レーベル面の傷は事情が違い、特にCDでは記録層がレーベル面から0.01mm程度の位置にあるため、ペン先や爪の圧痕で反射層が潰れると、その部分は修復できないとされています。DVDは記録層が盤の中央にあるので表面の傷には強く、レーベル面の引っかき傷で読めなくなる可能性は低いと考えられます。
Q. ディスクに書き込むペンは何を使えばいいですか? A. ペン先が柔らかく尖っていない、太字のフェルトペンを選んでください。極細のマーカーやローラーボール式は、盤面を引っかいたり凹ませたりして記録層を損なうおそれがあると警告されています。ボールペンや鉛筆も同様です。インクは、CD/DVD対応を明記した盤面用のペンが無難です。キシレンやトルエンを含む芳香族溶剤系はラッカー層を傷めるおそれがあり、アルコール系はそれより穏やかとされますが、長期的な影響を示す試験結果は確立されていません。書く場所は透明な内周のハブやミラーバンドが最も安全です。
Q. レーベル面の印刷が浮いてきました。今すぐやるべきことは何ですか? A. まず、剥がさないでください。次に、まだ再生できるうちに中身をパソコンへ吸い出してください。剥離は時間とともに進むため、今日読める状態が来年も続く保証はありません。吸い出す際は再エンコードを伴わない方法を選べば画質は変わりません。破片が大きくぶら下がっている場合は、ドライブ内で偏心や飛散を起こす可能性があるため、その状態での高速読み込みは避けたほうが安全です。退避したデータは、ラベルを貼らない盤か、盤面印刷に置き換えた盤へ移し直すのが確実です。
Q. ブルーレイのレーベル面はDVDより丈夫ですか? A. 構造上は、レーベル面から記録層まで約1.1mm離れているため、CDやDVDより余裕があります。ブルーレイの記録層は読み取り面側のカバー層0.1mmのすぐ下にあるからです。ただしこれは裏返すと、読み取り面の傷には最も弱いということでもあります。カバー層を薄くしたことで傷への耐久面に難があり、実用化の過程でハードコートが前提になった経緯があります。ブルーレイでは、レーベル面よりも読み取り面の扱いに注意を向けたほうが理にかなっていると考えられます。
Q. 盤面へのレーベル印刷はディスクメーカーで対応していますか? A. 対応しています。盤面へのレーベル印刷に加えて、ケースおよび背表紙の印刷にも対応しているため、粘着ラベルを使わずに内容の表示を残せます。印刷する画像は入稿してもらう形です。棚に立てた状態で背表紙から判別でき、盤単体でも内容が分かる形になります。動画データからの制作は基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで、1枚だけの注文も可能です。動画ファイルをそのまま焼いてもプレーヤーでは再生できないため、再生できる形式への組み立て(オーサリング)が必要になります。オーサリングは料金に含まれます。メニュー画面の作成やチャプター分けにも、オプションで対応しています。