この記事の要点
園の写真と動画が外に出る道は、SNSへの転載、連絡アプリの誤配信、公開範囲の誤り、販売サイトへの掲載、紛失、位置情報、生成AIによる加工の7つに分けて考える
文部科学省は2026年3月、学校行事や卒業アルバムの画像が生成AIで性的に加工される事案を示した。見分けるより、顔と名前が結びつく写真を外に出さない
園と保護者会の約束は、撮影・共有・転載の3つに分け、それぞれ誰が守るのかを1枚の紙に書く。同意は年度ごとに聞き直す
配る範囲を閉じたい行事の映像は、URLより手渡しのディスクが向く。転送で広がらない一方、複製や紛失は防げないので約束と台帳を組み合わせる
流出に気づいたら、記録を残して掲載者とサービスに削除を頼み、性的な加工は保存せずに警察へ相談する。原本は追記型の盤に焼いて鍵のかかる場所へ
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運動会が終わった夜、クラスの保護者のグループLINEに、かけっこの動画が次々と届きます。そのうちの1本を誰かがInstagramのストーリーに上げ、そこには別の家の子の顔もはっきり写っています。同じ週に、園の連絡アプリでは、先生が職員向けに送ったつもりの資料が保護者全員に届いてしまいます。園の写真と動画は、たいていこうした小さな行き違いから外に出ていきます。
一度外に出た写真は、投稿を消してもらっても、誰かの端末に保存された分までは消せません。元に戻す手はありません。生成AIを使って、ふつうの行事の写真や卒業アルバムの顔写真を性的な画像に加工する事案も、警察庁と文部科学省が公表しています。防ぐ手立ては、外に出る道を先に数えておくこと、園と保護者会で「撮る・共有する・転載する」の約束を分けて決めること、配る範囲を閉じたい映像はURLで流さず手渡しのディスクにすること、そして渡したあとの保管・回収・処分を決めておくことです。
ここに挙げる事例と数字は、2026年10月時点で、公表資料と報道で確かめられた範囲のものです。園や学校の名前は伏せ、何が起きて、どこで気づけたのかに絞っています。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
園の写真と動画が外に出る道は、7つに分けられる 実際に起きたこと|公表資料と報道で確かめられる例 生成AIで、ふつうの写真が悪用される時代の考え方 保護者のSNSへの転載は、わが子を見せたい気持ちから始まる 写真の位置情報と、背景に写る園名や目印 連絡アプリと共有リンクの誤配信は、送る前の手順で減らす 職員の撮影と端末|私物のスマホで撮らない決まりを文書にする 園のホームページとSNSは、載せる写真の型と載せておく期間を決める 残りの14項目を見る 写真販売や連絡アプリの業者に預けるときは、アカウントと公開期間を確かめる スマホとアカウントの乗っ取りでも、写真は外に出る 行事ごとに、撮らない場面と配らない場面を先に決める 園と保護者会で決める約束は、撮影・共有・転載の3つに分けて書く 同意は、写らない希望を理由を聞かずに受ける 保護者会の係の手元に残るデータを、作業のあとで消す 配る範囲を閉じたい映像は、URLより手渡しのディスクが向く 誰に何枚渡したかを、配布台帳に残す 保管・回収・処分の決まりを、年度の流れに組み込む 原本を書き換えできない控えにする 流出に気づいたら、記録して、消してもらい、知らせる 行事の映像を、見る用のディスクにして当社に頼むとき 次の行事の前に、3つだけ決めておく よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
園の写真と動画が外に出る道は、7つに分けられる
外に出る道を並べると、7つになります。保護者のSNSへの転載、グループLINEや連絡アプリでの転送と誤配信、動画サイトや共有リンクの公開範囲の誤り、写真販売サイトやホームページへの掲載、端末やSDカード・ディスクの紛失と私物のスマホでの撮影、写真に残る位置情報と背景の写り込み、そして外に出た写真の生成AIによる加工です。
7つは、性質で5つの組に分かれます。転載と転送は「渡した先で広がる」道で、渡した側の設定ではほとんど止められません。配信先や公開範囲の誤り、販売サイトやホームページへの掲載は「操作や判断の誤りで、見せるつもりのない人に見える」道です。紛失と私物の端末は「物や記録が園の管理の外へ出る」道、位置情報と写り込みは「写真そのものが情報を運ぶ」道、生成AIは「外に出たあとで別の形に変えられる」道です。
組ごとに手立てが違う。生成AIの悪用は、手前の6つの対策で減らす
組が違えば、手立ても違います。渡した先で広がる道には、保護者どうしの約束と、そもそもURLで流さない配り方が役に立ちます。操作の誤りには、配信の前に2人で見る手順と、公開したあとに外から見え方を確かめる手順が向いています。管理の外へ出る道は、園の端末だけで撮って持ち帰らないという内部の決まりで減らします。位置情報は端末の設定で、写り込みは撮り方と選び方で外せます。
道の数え方と一緒に、写真に触れる人も数えておきます。撮る職員、手伝う実習生やボランティア、写真販売の業者のカメラマン、記録を撮る保護者会の係、客席から撮る各家庭、受け取った祖父母や親族、そして写真を預かる業者のサーバーです。運動会の1日だけでも、写真は多くの人と端末を通ります。約束を書くときに、この中の誰に何を守ってもらうのかが決まっていないと、どこかで抜けが出ます。
最後の生成AIだけは、園の側で打てる手がほとんどありません。加工された画像を見分けて止めるのは難しく、できるのは、材料になる写真が外に出ることを、ほかの6つの対策で減らしておくことです。順番としては、生成AIの話から入るより、手前の6つを一つずつ塞いでいくほうが、園と家庭の負担も少なく済みます。
どの道も、悪意より行き違いから始まる
次の節で見る事例は、どれも誰かが悪意で写真を持ち出した話ではありません。公開の設定を確かめなかった、配信先を「全体」のまま送った、販売サイトに載せてはいけない写真が選ばれた、といった日常の作業の中で起きています。保護者のSNSへの転載も、わが子の晴れ姿を祖父母や友人に見せたいという気持ちから始まることがほとんどです。
だから、決まりを作るときに「犯人を出さない」ことを先に考えると、話が進みやすくなります。誰かを疑う決まりは守られにくく、作業の手順として書かれた決まりは、新しく入った職員や翌年の係にもそのまま引き継げます。この記事の後半で書く約束も、すべて手順の形にしてあります。
実際に起きたこと|公表資料と報道で確かめられる例
園と学校で、写真や動画、子どもの情報が外に出た例のうち、公表資料と報道で経緯を確かめられるものを挙げます。どれも、同じ条件はほかの園にもあります。責める材料としてではなく、自分の園の手順に置き換えて読むための例です。
保護者限定のつもりの動画が、誰でも見られる状態になった
2022年5月の報道によると、兵庫県内のある市の教育委員会が、市立のこども園と保育所の園児が遊ぶ様子を撮った動画を、4クラス分(各10分ほど)動画サイトに置きました。保護者限定で見せるつもりでしたが、設定は誰でも見られる公開になっていました。25日の午前0時に公開される予約で、翌26日の朝8時半ごろに限定公開へ切り替えるまで、その状態が続いたと報じられています。
動画は30日に削除され、悪用されたという報告はその時点で出ていないとされました。原因は職員が公開の設定を確かめなかったことで、誤りに気づいたのは施設の関係者からの指摘だったとされます。市は対象の家庭に謝罪の文書を送り、動画を公開すること自体の必要性も含めて、今後の対応を検討するとしています。
埼玉県も2024年3月、県立の特別支援学校で、学校生活の写真で作った動画を保護者限定で公開するつもりが、動画サイトで外部から見られる状態になっていたと公表しました。生徒約50人が写り、うち名前が分かるものが18人でした。保護者の指摘を受けて、同じ日に非公開にしています。
2つの例に共通するのは、公開の範囲を決める操作が一つの選択で済んでしまうことと、誤りに気づいたのが作った側ではなかったことです。動画サイトの「限定公開」は、URLを知っている人なら誰でも見られる設定で、URLが転送されれば保護者の外にも届きます。共有リンクの設定の誤りについては、共有リンクの設定ミスで動画が外に出る事例と、学校・PTAの配り方 で詳しく扱っています。
保護者会の資料も、共有の範囲を誤ると見える
写真や動画に限らず、保護者会やPTAの資料も同じ道で外に出ます。奈良市の教育委員会は2025年7月、市立中学校の教職員が、県内の学校で使う公用のクラウドにPTA総会の議決資料を置いた際に共有の範囲を誤り、県と県内の市町村の教育委員会、教職員、児童生徒が検索で見られる状態になっていたと公表しました。資料には生徒211人の名前と学級などが載っていました。
見られる状態だったのはインターネットの誰でもではなく、その公用クラウドを使う県内の教育関係者と児童生徒でした。5人のアクセスが確認され、持ち出しの形跡は無かったとされています。気づいたのは、ほかの市町村の教職員からの知らせでした。保護者会の係が名簿や写真をクラウドに置くときも、共有の範囲の選び方と、誰に見えているかの確かめ方は同じです。
連絡アプリの配信先が「全体」になっていた
東京都内の区は2025年7月、区立のこども園で起きた誤配信を公表しました。教職員が、遠足の実施案を教員どうしで共有するつもりで連絡用のアプリから配信したところ、配信先が「全体」になっていて、保護者にも届いた、という内容です。資料には4歳児と5歳児のクラスの園児42人の名前と、そのうち16人について、支援が必要であることや、バスに酔いやすいことなどが書かれていました。
気づいたのは土曜の夕方で、保護者から「誤配信ではないか」と連絡が来たことがきっかけでした。園はその日のうちに受け取った保護者へ説明して削除を頼み、翌日にはアプリで全保護者へ経緯を伝えています。区の教育委員会は再発防止として、アプリの配信先を複数の人で確かめるルールを、区立の幼稚園・こども園・小中学校に徹底するよう指示しました。
写真の話ではありませんが、連絡アプリは写真や動画も同じ画面から送れます。職員向けと保護者向けを同じアプリで扱っている園では、写真でも同じことが起こり得ます。上場企業とその子会社が公表した個人情報の漏えいと紛失を東京商工リサーチが集計したところでも、2025年の180件のうち、誤表示と誤送信が37件と約2割を占めていました。送り先を選ぶ一つの操作は、規模にかかわらず誤りが起きやすいものです。
保護者だけが見られる写真販売サイトに、載せてはいけない写真が載った
2023年9月に弁護士ドットコムニュースが伝えた例では、都内の認可保育園で、保護者だけが見られる写真販売サイトに、服を着ていない場面の園児の写真が約8か月載っていました。2022年3月に保護者の一人が閲覧中に見つけ、園は写真を削除して謝罪し、職員の研修と再発防止を約束したと報じられています。
この例で目を向けたいのは、写真が載っていたのが、園の保護者だけが見られるサイトだった点です。区の苦情調整の委員は、保護者限定であっても公開は不適切だったと評価したと報じられました。見られる人を絞っていても、載せてはいけない写真はあります。写真販売サイトに上げる写真を、誰が、どの基準で選ぶのかを決めておかないと、同じことは別の園でも起こります。
こども家庭庁と文部科学省も2024年5月、保育所や幼稚園などに向けた注意喚起の中で、ホームページなどに子どもの性的な部位を含む画像を載せないことに加え、保護者に見られる人が限られる場合も含めて、不適切に使われないようにするよう求めています。販売サイトの写真の選び方は、後の「職員の撮影と端末」の節で手順にします。
ここまでの例を並べると、どれも作業の最後の1回の確認があれば止められた可能性があります。公開の設定を、ログインしていない別の端末で開いて確かめる。配信先を、送る前にもう一人が見る。販売サイトに上げる写真を、2人の目で選ぶ。どれも特別な道具の要らない手順です。
もう一つ共通するのは、気づいたのが保護者や関係者だったことです。おかしな配信や見えてはいけない写真に気づいたとき、保護者が園のどこへ連絡すればよいかを決めて伝えておくと、外に広がる前に止められる時間が長くなります。連絡先は、担任ではなく園として受ける窓口を一つ決めておくと、休みの日にも動けます。
生成AIで、ふつうの写真が悪用される時代の考え方
生成AIの悪用は、園の写真の話にとっていちばん新しく、保護者の不安もいちばん大きい道です。まず、公的機関が何を公表しているかを確かめておきます。
文部科学省は2026年3月、教育委員会などに向けた事務連絡で、生成AIのサイトや画像加工アプリを使い、実在する子どもの画像を性的な画像に加工して悪用する事案、いわゆる「性的ディープフェイク」が社会的な問題になっていると伝えました。子どもが加害者になる事案も多く、学校行事や卒業アルバムの画像を含む、日常の学校生活のさまざまな画像が加工され、友人に共有されたりSNSで広められたりしているとしています。
同じ事務連絡には、学校が把握した例が載っています。SNSに上がっていた画像を加工してメッセージアプリのグループで共有した例、小学校の卒業アルバムの顔写真などを使って合成した画像を100人分ほど作り、友人に送った例などです。材料にされたのは、特別な写真ではなく、SNSの画像や卒業アルバムといった、ふだん人の目に触れる写真でした。
数については、警察庁が2026年2月に、生成AIなどで18歳未満の子どもの性的な画像を作った事案として警察が扱ったのは、2025年に114件だったと公表しています。被害を受けた子どもは中高生が約9割で、小学生の被害もあり、約6割は同級生や同じ学校の中で起きていました。2026年8月には、警察庁のまとめとして、同年1〜6月の件数が123件で、前の年の同じ時期の60件から倍増したと共同通信が報じています。
警察庁は、内閣府・こども家庭庁・文部科学省と連名の子ども向けの啓発資料「そのAIの使い方、犯罪かも…」を作り、他人の画像をAIで加工してSNSに上げることの危うさを伝えています。園児が加工する側に回ることは考えにくいものの、園の写真が材料になる可能性は、学校の写真と変わりません。
見分けるより、材料を外に出さない
加工された画像は、見た目で見分けられるとは限りません。見分け方を覚えるより、加工の材料になる写真を外に出さないほうが、園と家庭の手の届く対策です。材料として使われやすいのは、顔が正面からはっきり写った写真で、名前や園名、クラスと結びついているとなおさら狙われやすくなります。
こども家庭庁は2023年7月の通知で、正当な理由があって撮った写真でも、撮った人や載せた人の意図にかかわらず、わいせつな目的で使われる場合があることに十分に配慮し、写真の内容と見られる人の範囲が適切になるよう、特に慎重に考える必要があると示しています。この考え方は保育士に関する通知の中で示されたものですが、行事の写真を撮って配る保護者会にもそのまま当てはまります。
具体的には、顔のアップと名前を同じ場所に出さない、水遊びや着替えの場面は撮らない・配らない、SNSに上げる写真は自分の子だけが写るものに限る、の3つが軸になります。家庭のSNSも同じです。文部科学省の事務連絡に載った例でも、材料にはSNSに上がっていた画像が使われていました。子どもの顔がはっきり分かる写真を公開のアカウントに載せている家庭は、年に一度、過去の投稿を見直し、顔の分かる写真を非公開にするか消しておくと、材料になる写真を減らせます。投稿を見られる人を限る設定に切り替えるだけでも、知らない人が写真を集めにくくなります。
ディープフェイクを使った詐欺の手口と、本物の映像を残しておく意味については、ディープフェイク詐欺から身を守る方法と本物の映像を証明する原本にまとめています。
保護者限定の場でも、加工は起こり得る
警察庁の数字で、事案の約6割が同級生や同じ学校の中で起きていたことは、園にとっても見逃せません。保護者限定のグループやサイトは、見る人の範囲を絞る意味では有効ですが、その中にいる人が写真を保存し、別の目的に使うことまでは防げません。範囲を絞ることと、載せる写真を選ぶことは、両方が要ります。
この点は、保護者を疑えという話ではありません。保護者のスマホが乗っ取られる、端末を手放すときに写真が残る、子どもが親の端末で写真を見つけて友だちに送る、といった、本人に悪意のない流れでも写真は外に出ます。だからこそ、配る写真と動画は「どこに出ても困らないもの」を基準に選んでおきます。
家庭で話しておくこと
文部科学省の事務連絡が示したように、性的ディープフェイクでは子どもが加害者になる事案も多くあります。園児本人が加工することは考えにくくても、小学生や中学生のきょうだいが、親のスマホにある園の写真や、友だちの写真を、面白半分に加工アプリへ入れることはあり得ます。
警察庁などの啓発資料は、一度SNSやグループチャットに投稿した画像は広がり、二度と消せないと伝えています。上の子がいる家庭では、この資料を一緒に見ながら、他人の写真を加工しない、送らない、送られてきても広げない、と話しておくと、家庭の中から出る道を一つ減らせます。保護者会の集まりで資料を紹介するのも一つの方法です。
大人の側にも気をつけたいことがあります。行事の写真をアニメ風にする、背景を差し替えるといった画像の生成AIのアプリは、写真をサービスのサーバーに送って処理するものがあり、送った写真がどう扱われるかはサービスの規約しだいです。自分の子だけが写る写真で楽しむのは各家庭の判断ですが、ほかの子が写った写真は入れない、と約束の紙に一行足しておくと迷いません。
保護者のSNSへの転載は、わが子を見せたい気持ちから始まる
保護者が行事の写真や動画をSNSに上げるのは、多くの場合、わが子の晴れ姿を祖父母や友人に見せたいからです。それ自体は自然な気持ちです。困るのは、その1枚に別の家の子がはっきり写っていることと、上げた先で何が起きるかを上げた本人が見通せないことです。転載を止める決まりを作る前に、転載が広がる流れを保護者会で共有しておくと、約束が受け入れられやすくなります。
よくあるのは、発表会の動画をクラスのグループLINEで受け取った保護者が、わが子の出番の30秒を切り出して、Instagramのストーリーに上げる、という流れです。ストーリーは24時間で消えるので気軽に上げたものの、見た人は画面の録画や保存ができます。投稿が消えたあとも、見た人の端末には残ります。
ストーリーや鍵のかかったアカウントでも、保存は止められない
投稿を見られる人を限る設定(非公開のアカウント、親しい友だちだけに見せる機能、限定公開のURL)は、見られる人の範囲を狭める点では役に立ちます。ただ、範囲の内側にいる人が画面を撮ったり、端末に保存したり、別の場所に貼ったりするのは止められません。家族だけのグループに上げた写真が、祖父母の端末から別の親族のグループへ転送されることもあります。
このため、保護者会の約束は「どこに上げるか」より先に「何を上げるか」で決めるほうが守りやすくなります。たとえば、SNSに上げてよいのは自分の子だけが写っている写真と動画、または他の子の顔が分からないもの、という線です。全面的に禁止する約束は、守られないまま形だけ残りがちです。自分の子だけなら上げてよいという線なら、多くの家庭がそのまま守れます。
あわせて、園名・クラス名・行事の名前と日付を、投稿の文やハッシュタグにすぐ書かないことも約束に入れます。行事の当日に「◯◯園の運動会」と書けば、どの園の、何歳の子なのかが分かってしまいます。名札が写っていれば、名前まで分かります。思い出として残したいなら、日がたってから、場所の分からない書き方で上げる方法があります。
園から配った写真と動画は、家族の中で見るもの
園や保護者会が配った写真と動画は、ほかの家の子も写っている前提で配られています。だから、配ったものそのものは、SNSにも動画サイトにも、ほかのグループにも上げない、という約束を別に立てます。自分で撮った写真の約束と、配られた写真の約束は分けて書いたほうが、読む側が迷いません。
祖父母や親族に渡すときは、渡す家庭が同じお願いを一言添えます。「ほかのお子さんも写っているので、家族の中で見てね。SNSやほかのグループには上げないでね」という程度で十分です。転載されたものを見つけたあとの依頼の文面は、配った映像がSNSに上がったときに二次利用を止める告知と依頼文に例を載せています。SNSに子どもの写真を載せない家庭が親族とどう共有するかは、子どもの写真をSNSに載せない家庭の共有方法で手段を比べました。
祖父母の家で見てもらうとき
映像がいちばん遠くまで届くのは、祖父母の家を通ったときです。孫の姿がうれしくて、友人のLINEのグループに送ったり、Facebookに載せたりすることは、悪気なく起こります。祖父母の世代には、ほかの子が写った映像を外に出すと何が困るのかが、まだ伝わっていないこともあります。
祖父母にデータで送るなら、クラス全体の映像ではなく、自分の子が写る場面だけを短く切り出して送ります。クラス全体の映像は、ディスクにして渡すほうが、祖父母にとっても操作が簡単です。手渡すときに「ほかのお子さんも写っているから、家で見るだけにしてね」と一言添え、ケースに約束の要点を書いた紙を入れておけば、祖父母の家に来た親族にも同じお願いが伝わります。
写真の位置情報と、背景に写る園名や目印
スマホの写真と動画には、撮った場所の情報が入っていることがあります。カメラが位置情報を使える設定のとき、スマホは電波やGPSなどから場所を割り出し、その座標を写真やビデオの中に書き込みます。この情報のおかげで写真アプリは撮影地で写真を探せますが、そのまま人に送ると、受け取った人が撮影場所を知ることがあります。知られるのは、園で撮った写真なら園の場所、自宅で撮った写真なら家の場所です。
AppleとGoogleは、それぞれ公式の説明でこの点を案内しています。以下は2026年10月時点のヘルプの表記で、画面の項目名はOSやアプリのバージョンで変わることがあるので、お使いの端末の表示に合わせて読んでください。
iPhoneで位置情報を外す3つの場所
Appleの「個人の安全ユーザガイド」は、写真の位置情報を扱う場所を3つ挙げています。1つ目は送るたびに外す方法で、写真アプリやカメラで写真を選んで共有ボタンを押し、「オプション」を開いて「位置情報」をオフにします。オフになると、オプションの上に「位置情報なし」と表示されます。
2つ目は、すでに撮った写真から外す方法です。写真アプリで写真を開き、その他のボタンから「情報を調整」を選び、「位置情報を調整」で「位置情報なし」をタップします。3つ目は、これから撮る写真に記録させない方法で、「設定」から「プライバシーとセキュリティ」「位置情報サービス」「カメラ」と進み、「しない」を選びます。場所で写真を探す機能が使えなくなるので、行事の写真を配る係の端末だけ設定を変える、という使い分けもできます。
どの写真に位置情報が入っているかは、写真を開いて上にスワイプすると出る情報の欄で確かめられます。写真アプリの「コレクション」から「地図」を開くと、位置情報の入った写真を場所ごとに見られるので、配る前のまとまった写真を確かめるのにも使えます。
AndroidとGoogleフォトで確かめること
Androidのスマホでは、カメラアプリの設定に、撮った写真に位置情報を保存する項目があります。項目の名前は機種によって違うので、カメラの設定の中で「位置情報」の付く項目を探してオフにします。Googleのヘルプによると、カメラが自動で付けた撮影場所は、あとからGoogleフォトでは消せません。Googleフォトで消せるのは、Googleが推定した撮影場所と、手で追加した撮影場所だけです。
Googleフォトで写真を共有するときは、共有アルバム、リンク、スレッドごとに、撮影場所を共有するかどうかを選べます。共有アルバムでは、アルバムの共有のオプションに「写真の撮影場所を共有する」という切り替えがあるので、オフになっているかを確かめます。写真をダウンロードしてメールで送るなど、Googleフォトの外で渡すときはこの切り替えが効かず、端末に保存された元の撮影場所がそのまま付きます。配る係の端末で、撮る段階から位置情報を記録しないようにしておくのが、いちばん手間のかからない方法です。
位置情報を外しても、背景から場所が分かることがある
Googleのヘルプは、位置情報を含めずに共有しても、写真や動画に写っているランドマークから場所を推測される可能性がある、と注意しています。園で撮る写真なら、門と園名の看板、園バスの車体の名前、園舎の特徴のある外観、窓から見える駅や建物などです。子どもの側にも、名札、帽子や持ち物に書いた名前、制服や体操服の名前の刺しゅうがあります。
保育室の中で撮った写真では、壁の掲示物が見落とされがちです。名前入りの作品、誕生日の表、写真入りの当番表は、拡大すれば読めることがあります。配る写真を選ぶときは、子どもの表情だけでなく、背景の文字を一度拡大して確かめます。下の確認項目を、配る前とSNSに上げる前の両方で使ってください。
配る係も、SNSに上げる家庭も、同じ項目で確かめる
記録係の端末は、行事の前日に設定を見る
行事の記録を撮る職員や保護者会の係の端末は、前日に設定を見ておきます。見るのは4つです。カメラの位置情報を記録しない設定になっているか。画面ロックがかかっているか。撮った写真が、誰のアカウントのクラウドへ自動で上がる設定か。空き容量が足りているか。
空き容量の確認は、守りとは関係が無いように見えます。けれども当日に容量が足りなくなると、その場で古い写真を消したり、別の人のスマホで撮ったりと、決まりの外の動きが起きやすくなります。予備の端末やSDカードを用意するなら、それも台数の表に書いておきます。前日の確認は5分ほどで終わります。
連絡アプリと共有リンクの誤配信は、送る前の手順で減らす
多くの園が、お知らせや欠席連絡、写真の共有に、保育や教育向けの連絡アプリを使っています。一斉配信、クラスごとの配信、個別の連絡を一つの画面で切り替えられる作りは便利ですが、宛先の選び間違いがそのまま保護者全員への配信になります。先に見た区立こども園の例も、職員どうしで共有するつもりの資料を、保護者とつながったアプリで送ったことから始まっていました。
宛先の初期値を、職員全員で確かめておく
配信画面を開いたときに宛先がどう選ばれているか(何も選ばれていないのか、前回の宛先が残るのか、全体になっているのか)は、アプリと設定によって違います。自分の園のアプリがどうなっているかを、一度、職員全員で画面を見ながら確かめておきます。そのうえで、園の中の決まりとして次の手順を紙に書き、配信をする端末の近くに貼っておきます。
職員どうしで共有する資料は、保護者とつながる連絡アプリでは送らない。園の中の別の手段を使う
配信の画面では、宛先、添付、本文の順に確かめ、宛先は声に出して読む
写真や動画を添付するときは、送る前にもう一人の職員が画面を見る
予約配信は、予約した日と配信の前日に、宛先と時刻をもう一度見る
送ったあと、アプリに保護者側の表示を確かめる機能があれば、それで見え方を確かめる
2人目の確認は、手間に見えて、実際には画面を一度のぞくだけの作業です。区の再発防止策も、配信先を複数の人で確かめることでした。個別の連絡に写真を添えるときは、とくに注意します。ある家庭に送るはずの写真が別の家庭に届くと、その写真に写った子の家庭にとっては、知らない人に写真が渡ったことになります。
共有リンクは、ログインしていない端末で開いて確かめる
行事の動画を、クラウドの共有フォルダや動画サイトのURLで配る園もあります。この方法で外に出る原因の多くは、公開範囲の選び間違いと、URLの転送です。どちらも一瞬の操作です。クラウドの共有で「リンクを知っている全員」を選ぶと、URLが転送された先の誰でも開けます。動画サイトの「限定公開」も、URLを知っていれば誰でも見られる設定です。
公開したら、園のアカウントにログインしていない端末、またはブラウザのプライベートな窓で、そのURLを開いてみます。見られるはずのない状態で見えたら、設定が想定と違っています。保護者への案内には、URLの期限と、URLをほかの人に送らないお願いを書きます。期限が来たら公開を止め、止めたことを記録に残します。
それでも、URLは受け取った人の手で転送できます。保護者限定にしたい映像を、URLで配るのが向いているかどうかは、後の「ディスクで手渡す」の節で判断の道すじを示します。
行事のライブ配信も、URLの扱いは同じ
来られない家庭のために、発表会や参観をビデオ会議のサービスで生中継する園もあります。生中継は、その場で見るだけなので残らないと思われがちですが、見ている側は画面を録画できます。参加用のURLが保護者のグループの外に転送されれば、知らない人も入れます。参加者の一覧に家庭の名前が表示される設定なら、どの家庭が見ているかも分かります。
生中継をするなら、参加にパスワードや待機室(主催者が入室を許可する仕組み)を使う、入ってきた人の名前を職員が確かめる、録画しないようお願いする、配信が終わったらURLを使えなくする、の4つを決めます。画面に映すのは舞台の全体にとどめ、子どもの顔に寄る撮り方はしません。
送り間違えたと気づいたら
送った直後に宛先の誤りに気づいたら、アプリに送信を取り消す機能があれば、すぐに使います。取り消しに時間の制限があるアプリもあり、迷っているあいだに使えなくなることがあります。取り消せないとき、またはすでに読まれた可能性があるときは、受け取った家庭に電話などで連絡して削除をお願いします。
そのうえで、送った日時、送り先、何を送ったか、誰に連絡して削除を確かめたかを記録し、園長に報告します。写っていた子の家庭への知らせ方は、後の「流出に気づいたら」の節で文の例を示します。
職員の撮影と端末|私物のスマホで撮らない決まりを文書にする
保護者の側の約束と並んで、園の内側の決まりも要ります。2024年6月に成立し、2026年12月25日に施行されるこども性暴力防止法(学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律)は、幼稚園・認定こども園・保育所なども対象にしています。こども家庭庁が2026年1月に策定し、9月に改訂した施行ガイドラインには、その法律で防ぐ行為の手前にある「不適切な行為」の具体例が並んでいます。
撮影についての具体例は2つです。私物のスマートフォンや、ルール外の方法で子どもの写真・動画を撮影・管理すること。業務上必要と考えられる範囲外で、子どもの写真や動画を撮影すること。裏を返すと、園は「どの端末で、どの場面を、どう撮って、どこに置くか」というルールを持っている必要があります。ルールが無ければ、何がルール外なのかも決められません。
撮影のルールに書く項目
撮影のルールには、少なくとも次の項目を書きます。撮影に使う園の端末(台数と番号)。撮る場面と撮らない場面(着替え、おむつ替え、トイレ、水遊び、午睡の場面は撮らない)。撮ったデータを移す先(園のパソコン、園が管理するクラウドのフォルダなど)と、端末から消す時期。端末とSDカードの保管場所と、園の外へ持ち出さないこと。保護者への配布や販売サイトへ写真を渡すときに、誰が選ぶか、です。
端末そのものの守りも、同じ紙に書いておきます。画面ロックをかける、OSとアプリを更新する、紛失したときに遠隔でロックや消去ができる設定にしておく、端末が職員個人のアカウントにつながっていないかを確かめる、の4つです。個人のアカウントにつながっていると、園で撮った写真が自動で個人のクラウドに上がり、職員の私物の端末からも見えてしまうことがあります。
販売サイトとホームページに上げる写真は、2人で選ぶ
写真販売の業者に写真を渡す園、園のホームページやSNSで日々の様子を伝える園では、上げる写真を選ぶ人を2人にします。1人が候補を選び、もう1人が基準に照らして外す、という分担です。基準は、着替えや水遊びなど肌の出る場面でないこと、名前や園の場所が読めないこと、ほかの子の泣き顔や困っている場面でないこと、写ってよいかを確かめていない子が写っていないこと、の4つで足ります。
こども家庭庁と文部科学省の2024年5月の注意喚起は、ホームページなどを改めて確かめ、該当する画像が残っていれば至急削除するよう求めています。一度見直して終わりにはしません。年度の初めに、ホームページ、ブログ、SNS、販売サイトに残っている過去の写真を見直す日を決めておくと、担当が替わっても見直しが続きます。販売業者との契約で何を決めておくかは、園の写真販売と動画配布の線引きで整理しています。
実習生、ボランティア、業者のカメラマンが撮るとき
園で写真を撮るのは、職員だけとは限りません。保育の実習生、行事を手伝うボランティア、写真販売の業者から来るカメラマンも、子どもを撮ったり、撮れる場所にいたりします。この人たちにも、職員と同じ撮影のルールが届くようにします。
実習生とボランティアには、初日に撮影のルールを紙で渡し、私物のスマホで子どもを撮らないこと、園で見聞きしたことや写真をSNSに書かないことを確かめます。業者のカメラマンについては、撮ってよい場面と撮らない場面、撮った写真の使い道、業者の手元に残るデータの扱いを、契約や事前の打ち合わせで決めておきます。どれも、行事の当日に口頭で伝えるより、前もって紙で渡すほうが行き違いが少なくなります。
端末とSDカードの数を、毎日数える
カメラやスマホ、SDカードの紛失も、写真が園の外へ出る道です。運動会や発表会の日は、園の端末を保護者会の係に貸したり、予備のSDカードを持ち出したりと、物が動きます。台数と枚数を書いた表を作り、朝に出して夕方に戻すときに数を合わせるだけで、なくなったことに早く気づけます。個人情報の入った媒体を持ち出すときの決まりと、なくしたときの動きは、個人情報の入ったUSBメモリ・DVDの管理 にまとめました。
園のホームページとSNSは、載せる写真の型と載せておく期間を決める
ホームページやブログ、園のSNSは、入園を考える家庭が園の様子を知る手がかりです。保護者だけに配る写真と違い、誰でも見られる場所に置かれます。こども家庭庁と文部科学省の2024年5月の注意喚起が名指ししたのも、ホームページでした。載せる写真は、配る写真よりもう一段絞ります。
絞り方は、写真の「型」で決めておくと迷いません。載せてよい型は、後ろ姿、製作や食事をする手元、作品、行事の飾りや園庭の遊具、遠くから撮って顔の分からない集団です。載せない型は、顔の正面のアップ、名前やクラスが読めるもの、制服の名前の刺しゅうが写るもの、水遊びや着替えの場面です。型を紙にして、写真を選ぶ2人が同じ紙を見ます。販売サイトに上げる写真を選ぶときの基準と同じ紙にしておくと、職員が覚える決まりが一つで済みます。
載せる時期にも気を配ります。遠足や園外保育の写真をその日のうちに載せると、いま子どもたちがどこにいるかを知らせることになります。園に戻ってから、できれば翌日以降に載せます。運動会の会場が園の外なら、会場の名前も当日には書きません。
載せておく期間も決めます。何年も前のブログの記事に、卒園した子の写真が残っていることはよくあります。年度が替わったら前の年度の写真を下げる、と決めておけば、残り続けることはありません。卒園した子の写真を翌年の園の案内に使いたいときは、同意を取ったときの使い道の範囲に入っているかを確かめます。
紙の園だよりや、玄関・掲示板に貼る写真も、同じ型で選びます。紙は家庭に持ち帰られたあと、どこに置かれ、誰の目に触れるかを園が追えません。玄関の掲示は、保護者以外の来園者や業者も見ますし、スマホで撮って持ち帰ることもできます。玄関へ行事の写真を並べるときは、掲示する期間を決め、終わったら外して、ほかの写真と同じ決まりで保管するか処分します。
園のSNSアカウントは、共有のパスワードをやめる
SNSのアカウントを、職員が一つのパスワードを共有して使っていると、退職した職員もログインでき、誰がいつ投稿したかも分かりにくくなります。パスワードが漏れてアカウントを乗っ取られれば、過去に載せた写真をまとめて見られたり、園の名前で別の投稿をされたりします。
守り方は、多要素認証(パスワードに加えて、スマホに届くコードなどで本人を確かめる仕組み)を設定する、管理できる職員の名前を書いた名簿を作る、退職や異動のときにパスワードを変える、投稿は園の端末から行う、の4つです。SNSによっては、一つのアカウントを複数の人の権限で管理する機能もあるので、使えるなら共有のパスワードをやめられます。
写真販売や連絡アプリの業者に預けるときは、アカウントと公開期間を確かめる
写真と動画は、写真販売や連絡アプリの業者のサーバーにも置かれます。業者の中で何が起きているかは、園からは見えにくいものです。大きなサービスでも、預けた先の外側から入られることがあります。LINEヤフーは2023年11月、委託先の従業者のパソコンがマルウェアに感染したことをきっかけに、社内のシステムに不正アクセスがあったと公表しました。利用者・取引先・従業者の情報はあわせて約44万件(2023年12月時点の公表)で、トークの内容は含まれていないとしています。
この例は、どの業者を選ぶかより、預けたあとに園の側で何を決めておくかを考える材料になります。業者を使うときは、契約の前と年度の初めに、次の項目を確かめます。
職員のログインに多要素認証を使えるか
誰が写真を上げられ、誰が消せるかを、職員ごとに分けられるか
退職や異動の職員のアカウントを止める手順と、その担当
保護者が写真を見られる期間と、期間が終わったあとの写真の扱い
保護者が写真をダウンロードできるか、家族を招く仕組みがあるか
業者が写真を何に使い、契約が終わったらどう消すか
業者を替えるときや、契約を終えるときも確かめます。それまで預けていた写真を園が引き取るのか、業者が消すのか、消したことをどう知らせてもらうのかを、終わる前に決めます。契約が終わっても写真がどこかに残っている状態は、園から見えない道が一つ残ったままということです。
連絡アプリに写真を共有する機能がある場合も、確かめることは同じです。どのクラスの保護者に見せるのか、何日間見せるのか、保護者が端末に保存できるのかを、設定の画面で一つずつ見ます。クラス全体の写真を毎日自動で共有する設定になっていると、職員が一枚ずつ選ぶ手順が抜けやすくなります。共有する写真は、販売サイトと同じく2人で選んでから上げる、と決めておきます。
閲覧用のIDを祖父母に教えると、その先は数えられない
写真販売サイトの閲覧用のIDとパスワードを、保護者が祖父母や親族に教えることがあります。教えた先でさらに別の人に伝われば、誰が見ているのかを園も保護者も数えられなくなります。ここは家庭に頼むしかありません。家族を招く仕組みがある業者ならそれを使い、無ければIDは家庭の中だけで使うよう、保護者への案内に書きます。家族の閲覧の扱いが業者の規約で決まっていることもあるので、案内を書く前に規約を確かめます。
公開期間が終わる前には、保護者へ知らせを出します。買い忘れた家庭が、あとから別の家庭に写真を送ってほしいと頼み、写真がLINEで回り始める、という流れを防げます。
スマホとアカウントの乗っ取りでも、写真は外に出る
写真は、持ち主が気づかないうちに、乗っ取られたアカウントから外に出ることもあります。クラスのグループLINE、保護者どうしの共有アルバム、保護者会のクラウドのフォルダは、メンバーの一人が乗っ取られると、乗っ取った人もその中を見られるようになります。
よくある入られ方は、知り合いを装った依頼です。IPAは2025年8月、知人になりすました相手からDMで投票の協力などを頼まれて電話番号を教え、届いたSMSの認証コードを伝えてしまい、アカウントを乗っ取られた例を紹介しています。LINEのヘルプも、投票を装ったアカウントの乗っ取りについて注意を出しています。乗っ取られたLINEから、知り合いにお金を求めるメッセージが送られたという相談も、IPAに寄せられています。
保護者と職員がしておく設定
LINEでは、[ホーム]>[設定]>[アカウント]で、パスワードを変えられ、「Webログインの2要素認証」をオンにできます。LINEのヘルプによると、引き継ぎや電話番号の登録・変更のとき以外に、LINEが認証番号を求めることはありません。誰かに認証番号を聞かれたら、その時点で乗っ取りを疑います。
iPhoneのAppleアカウントは2ファクタ認証をオンにし、iPhoneの「盗難デバイスの保護」もオンにします。Googleアカウントは2段階認証プロセスを有効にし、使える端末ではパスキーを作ります。どれも数分で済みます。画面の項目名はOSやアプリのバージョンで変わるので、2026年10月時点の各社のヘルプの表記として読んでください。保護者会で年度の初めに配る紙に、この3つの設定を確かめるお願いを入れておくと、クラスのグループ全体の守りが上がります。
卒園と機種変更のときに、共有の場を閉じる
クラスのグループLINEや共有アルバムは、卒園したあとも残り続けがちです。転園した家庭がメンバーに残っていることもあります。卒園の時期に、グループや共有アルバムをいつ閉じるかを係が決め、閉じる前に必要な写真を各家庭で保存してもらいます。閉じたら、写真の共有は終わりです。
スマホを買い替えたり手放したりするときは、写真を新しい端末や保存先へ移してから、アカウントからサインアウトし、端末を初期化します。園で使う端末を入れ替えるときも同じで、古い端末を処分する前に、初期化したことを職員2人で確かめて記録します。
行事ごとに、撮らない場面と配らない場面を先に決める
撮影のルールは、年度の初めに一度作っても、行事の当日には細部が抜けがちです。行事ごとに事情が違うからです。行事にはそれぞれ、写り込みやすいものと、撮ってしまいやすい場面があります。2週間ほど前に、担任と保護者会の係で、その行事の「撮らない場面」「配らない場面」を確かめておくと、当日に迷わずに済みます。
行事:運動会
撮らない・配らない場面:体操服への着替え、転んで泣く子のアップ
写り込みやすいもの:ゼッケンや帽子の名前、観覧席の家族、園外の建物
行事:発表会・お遊戯会
撮らない・配らない場面:舞台袖や控室での衣装替え
写り込みやすいもの:名前入りのプログラム、出演者紹介のアナウンス
行事:水遊び・プール
撮らない・配らない場面:水着・着替えの場面は配らない
写り込みやすいもの:園舎の外観、更衣の場所
行事:誕生会
撮らない・配らない場面:誕生日カードの名前と生年月日の大写し
写り込みやすいもの:壁の誕生日表、名前入りの作品
行事:遠足・園外保育
撮らない・配らない場面:施設が撮影を断っている場所
写り込みやすいもの:ほかの利用者、施設名の看板、園バスの車体
行事:卒園式・修了式
撮らない・配らない場面:体調を崩した子、泣いている子のアップ
写り込みやすいもの:呼名の声、証書の名前、式次第
表の中で、いちばん判断が分かれるのは水遊びです。こども家庭庁と文部科学省が2024年5月に注意喚起した画像の範囲を考えると、配る写真と動画には入れないと決めておくのが無難です。保育の記録として撮る必要があるかどうかは、園で決めたうえで、撮るなら見られる職員を限り、保護者向けの配布物とは置き場所を分けます。
音声にも名前は入る
写真と違って、動画には音が入ります。卒園式の呼名では、園児全員の名前が順に読み上げられ、映像の音声にそのまま残ります。発表会のアナウンス、先生が名前を呼んで励ます声、子どもが自己紹介で言う名前も同じです。顔と名前が一つの動画の中で結びつくので、配る範囲を閉じたい映像の代表は、卒園式と発表会になります。
名前を音声から消す編集は手間がかかり、式の映像としては不自然にもなります。卒園式のように名前が入るのが当たり前の映像は、編集で消すより、配る範囲を在園の家庭に限り、URLでは流さずにディスクで手渡す、という配り方で守るほうが現実的です。お遊戯会や発表会の記録をどう撮って配るかは、お遊戯会・生活発表会の記録DVDの作り方 で段取りを書いています。
写ってはいけない子や場面は、配る前の編集で外す
どれだけ気をつけて撮っても、写らない希望の子が画面の端に入る、着替えの直後の子が映る、ということは起こります。写真なら、写真アプリの編集で、写ってはいけない部分を切り取ります。切り取ると構図が崩れたり粗くなったりするなら、その写真は使わず別の写真を選びます。
動画の前後の不要な部分は、スマホの写真アプリの編集で短くできます。途中の場面を除くには、編集アプリで動画を分けて、その部分を消します。顔だけを隠したいときは、ぼかしの機能がある編集アプリを使いますが、動く子にぼかしを付け続ける作業は手間がかかるので、場面ごと外すほうが確実です。
確かめるときは、配るのと同じ大きさの画面で見ます。スマホの小さな画面では気づかない背景の顔も、テレビの大きな画面では見分けられます。編集を終えたら、テレビかパソコンの大きな画面で最初から最後まで通して見て、もう一人にも見てもらいます。
園と保護者会で決める約束は、撮影・共有・転載の3つに分けて書く
園と保護者会の約束を一つの文章に書くと、誰が何を守るのかがぼやけます。動く人で分けると、撮影は「誰が、どこで、何を撮るか」、共有は「撮ったものが、誰から誰へ、どう渡るか」、転載は「受け取った人が、そのあとどこに出すか」です。この3つに、保管と処分を足して、園・保護者会の係・各家庭のそれぞれが守ることを1枚の紙に並べます。
1枚の紙にこの表を載せると、誰が何を守るのかが分かる
写真と動画を保護者会に渡すかどうかは、まず園が決めます。保護者会の係が撮る記録も、園の行事の中で撮るものなので、撮ってよい場所と場面は園のルールに合わせます。各家庭が客席から自分の子を撮ることまで止める必要はありませんが、ほかの子に寄ったアップを撮らないこと、撮らない場面の約束は家庭にも伝えます。
約束の紙に書く文の例
紙の言葉は、禁止の羅列より、理由が一言ついた「お願い」の形のほうが守られます。次は、年度の初めに配る紙に入れる文の例です。園と保護者会で話し合い、自分たちの言葉に直して使ってください。
行事の写真と動画を撮るのは、園の職員と、園が認めた保護者会の記録係です。客席からご家庭でお子さんを撮るのは構いませんが、ほかのお子さんに寄って撮ることは控えてください
園と保護者会が配る写真と動画には、ほかのお子さんも写っています。ご家族の中でご覧ください。SNS、動画サイト、ほかのグループには載せないでください
ご家庭で撮った写真をSNSに載せるときは、ご自分のお子さんだけが写っているものにしてください。園名・クラス・行事の日付が分かる書き方は避けてください
祖父母やご親族にお渡しになるときも、同じお願いをお伝えください
気になる投稿や、届くはずのない連絡を見つけたときは、園の窓口(◯◯)へお知らせください
最後の一文が、先の事例で気づいたのが保護者だったことへの備えです。窓口は担任個人ではなく、園として受ける連絡先にし、週末に気づいた場合にどうするかも書いておきます。
行事の前に、もう一度だけ伝える
年度の初めに配った紙は、秋の運動会のころには読まれていないこともあります。無理もないことです。大きな行事の前には、お便りや連絡アプリで、約束のうちその行事に関わる2〜3行だけを短く伝え直します。撮影できる場所、撮らない場面、配る予定と方法、SNSへのお願い、の4点です。運動会の撮影場所や配布の段取りは、保育園・幼稚園の運動会をDVDにして配る方法 で詳しく扱っています。
保護者が撮った動画を集めて配るとき
保護者会が、各家庭の撮った動画を集めて1本にまとめ、全家庭に配ることもあります。この場合、撮影は各家庭、共有は係、転載は全家庭という形で、3つの約束が一度に関わります。集める前に、園の了解を得ること、写っている子の家庭の同意の範囲に収まっていること、撮った保護者に配布に使ってよいかを確かめること、の3つをそろえます。
集めた動画には、撮った人の位置から見えた別の家族や、撮らない場面が混じりやすいものです。係が編集するときは、先に書いた確認項目と編集の手順で外してから、配る形にします。音楽が入る場面があれば、曲の扱いもここで確かめます。
約束を決める場と、途中で入った家庭への伝え方
約束の紙は、園が案を作り、保護者会の役員と読み合わせてから、年度の初めの保護者会の総会や説明会で全家庭に配る、という順で作ると、園の決まりと保護者会の決まりが食い違いません。紙には題(たとえば「写真と動画の約束」)と、作った日付、改めた日付を入れます。日付があると、去年の紙と今年の紙のどちらが正しいかで迷いません。
年度の途中で入園した家庭には、入園の手続きのときに同意書と一緒に紙を渡し、担任か園長が口頭でも要点を伝えます。クラスのグループLINEに入る前に約束を知ってもらうのがよく、グループに招く係にも、招く前に紙を渡したかを確かめてもらいます。連絡アプリにいつでも読める場所があれば、紙と同じものを置いておきます。
約束は毎年、年度末に見直します。その年に起きたこと(誤配信、気になる投稿、保護者からの相談)を一覧にし、どの約束が足りなかったかを役員と話し合って、翌年度の紙に反映します。新しいサービスやアプリが広まったときも、見直しのきっかけになります。
約束を守らなかった家庭を責める仕組みは作らず、気づいた時点で園から個別に削除をお願いする、という流れを決めておきます。約束は、迷ったときに立ち返る基準として使います。
同意は、写らない希望を理由を聞かずに受ける
撮影・共有・転載の約束と対になるのが、各家庭の同意です。同意書では、撮ること、使い道(保育の記録、配布、ホームページ、販売サイトなど)、配る範囲を、別々の欄で聞きます。まとめて一つの「はい」にすると、ホームページは困るが配布は構わない、という家庭の希望を拾えません。欄の作り方と文例は、園の動画・写真を配るときの同意書の作り方と文例 に載せています。
写らないことを希望する家庭には、事情を聞きません。家庭の事情で居場所を知られたくない子もいます。誰が同意していないかは、撮る職員と編集する人だけが知っていればよく、ほかの保護者に理由を説明する必要もありません。同意の一覧そのものが、扱いに気をつける名簿になります。
同意書をまだ出していない家庭の子は、提出があるまで「写さない側」として扱います。出していないことを理由に、撮った写真をそのまま配ることはしません。
同意は年度ごとに聞き直します。子どもの成長や家庭の事情で、去年は良かったことが今年は困ることがあるからです。同意を取り消す希望が年度の途中で出たときに、何がいつから変わるのかも、最初の紙に書いておきます。たとえば「次に配るものから外します。すでにお配りしたディスクは各ご家庭にあるため、回収できない場合があります」という一文です。配ったものは戻らない、という前提を最初に共有しておくと、配る前の確認がていねいになります。
行事の当日、写らない希望をどう伝えるか
同意の一覧を行事の当日にどう使うかも決めておきます。撮影をする職員や係に一覧そのものを渡すと、名簿が園の外へ持ち出される心配が増えます。撮る人には「この子は写さない」ことだけが伝わればよいので、担任が撮影係の近くにいて声をかける、撮影係が撮る前に担任と並び順を確かめる、といった方法で足ります。
保護者会の係が撮る場合も、一覧は渡さず、園の職員が隣で確かめながら撮ります。写らない希望の子が出る場面は、撮る位置を変える、その子の出番は撮らない、といった撮り方で対応し、編集で外すのは最後の手段にします。撮り方で外せれば、編集の手間も、写ってしまう心配も減ります。
保護者会の係の手元に残るデータを、作業のあとで消す
映像を編集して配る仕事は、保護者会の係が受け持つことが多いものです。係は毎年替わり、作業には自分のスマホやパソコンを使います。配り終えたあと、係の端末やクラウド、LINEのトークに、ほかの家の子が写った元の動画が残り続けます。これも、写真が園の管理の外に残る道の一つです。
集める、編集する、渡す、消すの順に決める
係の作業は、保護者から動画を集める、編集する、配る形にして渡す、作業に使ったデータを消す、の4段です。この順番を紙に書いておきます。集めるときは、共有URLの保持期限を短めに選び、ダウンロード用のパスワードを付けて、URLとパスワードを別々に伝えます。ギガファイル便なら、保持期限は3・5・7・14・30・60・100日から選び、初期値は5日です。アップロードしたあとで期限を延ばせないので、集める期間に合わせて先に選びます。
編集の作業は、作業用に決めたフォルダの中で行います。スマホの写真アプリに保存すると、クラウドへの自動のバックアップで、係の個人のアカウントにも写真が上がることがあります。編集が終わったら、配る形の完成データと、園に渡す原本を分けて、それぞれの渡し先を決めます。
係の交代で、引き継ぐものと消すもの
係の交代のときは、引き継ぐものと消すものを分けます。引き継ぐのは、約束の紙、配布台帳、作業の手順のメモ、業者や園とのやり取りの記録です。消すのは、集めた元の動画、編集の途中のデータ、共有URL、係のLINEのトークに貼った写真と動画です。消したことは、日付を入れて台帳の余白か引き継ぎのメモに一行残します。
完成した映像の原本は、係個人の端末に置かず、園に渡して園の決まりで保管します。翌年の係が「去年の映像をもう一度焼いてほしい」と頼まれたときも、園に原本があれば、係の個人の端末を頼らずに済みます。原本の残し方は、後の「原本を書き換えできない控えにする」の節で書きます。
配る範囲を閉じたい映像は、URLより手渡しのディスクが向く
映像を家庭に届ける方法は、大きく4つあります。グループLINEや連絡アプリで送る、クラウドや動画サイトの共有URLで配る、写真販売サイトで動画も扱う、DVDやブルーレイにして手渡す、です。どれにも良さがあり、手軽さだけならLINEやURLが勝ります。分かれ目は、受け取った人の手で、どこまで広がり得るかです。
LINEで届いた動画は、受け取った人がそのまま別のトークへ転送でき、端末にも保存できます。便利さの裏返しです。トークの動画がどれだけの期間見られるかはLINEの公式には公表されておらず、あとから開こうとしたら見られない、ということも起こります。共有URLは、期限の設定と公開範囲の選択を誤るおそれがあるうえ、URLを転送すれば受け取った先の人も開けます。それぞれの方法の比べ方は、園行事の動画をLINEとDVDのどちらで配るか で詳しく書きました。
手渡しのディスクは、渡した枚数の分だけ物として存在します。転送のボタンが無く、別の人に広げるには、パソコンに取り込む、画面をスマホで撮るといった手間が要ります。期限切れも公開設定の誤りも起きず、誰に何枚渡したかを台帳で数えられます。テレビにつないだプレーヤーで見られるので、スマホの操作に慣れていない祖父母にも渡しやすい方法です。
名前や顔が結びつく映像ほど、ディスクの手渡しに寄せる
ディスクにしても防げないこと
ディスクで配っても、外に出る道がすべて閉じるわけではありません。配るディスクは、パソコンと道具があれば複製できるものとして考えます。テレビに映した画面をスマホで撮って、SNSに上げる人もいるかもしれません。ディスクを落としたり盗まれたりすれば、拾った人は誰でも中身を見られます。光ディスクに暗号化の機能は組み込まれていないからです。
受け取ったあとのディスクをどう扱うかは、各家庭に任されます。だからこそ、ディスクで配るときも、撮影・共有・転載の約束と、配布台帳を組み合わせます。ディスクは「広がりにくい形」で渡す手段で、約束の代わりにはなりません。ケースの中に、約束の要点を書いた小さな紙を一枚入れておくと、祖父母の家に渡ったあとも約束が一緒に届きます。
DVDにするか、ブルーレイにするか
配るディスクの種類は、受け取る家庭の再生機器で決めます。DVDはDVDプレーヤーでもブルーレイの機器でも見られることが多く、家庭ごとの機器を確かめきれない配布に向きます。ブルーレイは画質が良い一方、DVDプレーヤーでは再生できません。どちらも、再生できるディスクの種類は機種ごとに違うので、配る前に何台かの機器で試します。
1枚に入る長さの目安は、1層のディスクならDVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間です。運動会を全部入れると長くなるときは、2層のディスクにするか、午前と午後で2枚に分けます。2枚に分けると、配る枚数と台帳の行も2つになるので、ディスクの番号の付け方を先に決めておきます。
家に再生機器が無い家庭への渡し方
テレビにつなぐプレーヤーやレコーダーが無い家庭、パソコンにディスクのドライブが付いていない家庭もあります。ディスクで配ると決めたら、注文や希望を集める紙で、DVDを見られる機器が家にあるかを一緒に聞いておきます。
見られる機器が無い家庭には、園で上映の時間を設ける、自分の子が写る場面だけを短く切り出して個別の連絡で送る、といった別の渡し方を用意します。クラス全体の映像をその家庭にだけURLで送ると、閉じた配り方に例外が一つできるので、なるべく避けます。
誰に何枚渡したかを、配布台帳に残す
配布台帳は、ディスクがどこに何枚あるかを、あとから答えられるようにするための表です。誤って別の家庭に渡したとき、同意を取り消す家庭が出たとき、落とし物のディスクが届いたときに、台帳があれば次の動きが決まります。表計算ソフトでも紙でも構いません。
列
書く内容
番号
通し番号(ケースのシールと同じ番号)
家庭
クラスと園児の名前、またはクラスと出席番号
内容
行事の名前と年度、2枚組なら何枚目か
枚数
その家庭に渡した枚数(祖父母の分を含む)
渡した日と受け取った人
手渡しの日付と、受け取った保護者のサイン
回収・処分
返してもらった日、割って処分した日
番号は、ケースに貼るシールに書くのがいちばん手軽です。盤に直接書くなら、記録面ではなくレーベル面に、盤面用のペンで書きます。番号を盤の印刷にまで入れる必要はありません。番号と家庭の対応は台帳にしか無いので、ディスクを拾った人には誰の分か分からず、園には分かる、という形になります。
手渡しの段取り
受け渡しは、お迎えの時間に保護者へ直接手渡し、台帳にサインをもらう形がいちばん確実です。サインは名前だけで足ります。子どものかばんに入れて持ち帰らせると、途中でなくしても誰も気づけません。欠席や休園で受け取れなかった家庭の分は、園で保管して次に来たときに渡し、郵送する場合は追跡のできる方法を選びます。
祖父母に渡す追加の枚数は、配る前に家庭ごとに希望を集めます。追加の分も台帳の枚数に入れておくと、園の外に何枚あるかを数えられます。希望を集める紙には、祖父母の家でも約束を守ってもらうお願いを一行入れておきます。
きょうだいの家庭と、卒園後の焼き増し
きょうだいが同じ園にいる家庭には、同じ行事の盤を2枚渡すのか、1枚にするのかを先に決めておきます。2枚渡すなら台帳の行も2つにし、1枚にするなら、どちらの子の行に書いたかを備考に残します。あとで「うちには何枚あるか」と聞かれたときに答えられるようにするためです。
卒園したあとで、ディスクをなくした、もう1枚ほしい、と頼まれることもあります。園に完成データが残っていれば作り直せますが、渡す前に、その家庭が配布の対象だったかを台帳で確かめ、新しく渡した盤も台帳に書き足します。台帳に載っていない人への焼き増しは、在園の家庭以外に配らないという約束を崩すことになるので、受けないと決めておきます。
台帳そのものを守る
配布台帳には、家庭と園児の名前が並びます。台帳自体が個人情報の一覧なので、保護者会の係の個人の端末やLINEに置きっぱなしにせず、配り終えたら園に渡します。紙なら鍵のかかる場所に、データなら見られる人を限った園のフォルダに置きます。係の交代のときに引き継ぐのは、台帳の写しではなく、台帳の置き場所です。
保管・回収・処分の決まりを、年度の流れに組み込む
写真と動画の扱いは、配った日で終わりません。園には原本と控えの盤が残り、職員の研修で使った盤や、配りきれなかった盤も出ます。保管・回収・処分の決まりを、年度の行事の流れの中に置いておくと、担当が替わっても抜けずに続きます。
年度の行事の流れに入れておくと、担当が替わっても続く
保管は、場所と人と期間を決める
園に残す盤とデータは、置く場所、見られる人、置いておく期間の3つを決めます。場所は鍵のかかる棚やキャビネット、見られる人は園長と記録の担当など名前で、期間は園の文書の保存年限に合わせて決めます。持ち出すときは、持ち出す人、日付、戻した日を記録します。鍵を持つ人も決め、合鍵の数と置き場所を書いておきます。鍵が誰でも手に取れる場所に掛けてあれば、鍵をかけた意味が薄れます。
ディスクの置き場所は、直射日光と高温多湿を避けます。国立国会図書館が令和2年2月にまとめた光ディスクの劣化状況の調査報告書は、JIS Z 6017などで長期保存に適した環境として、温度10〜25℃、湿度40〜60%が示されていると紹介しています。事務室の窓際や、夏に熱がこもる倉庫は避けます。
回収するのは、どんなときか
配った盤を回収する場面は、多くありません。決めておくのは、別の家庭に渡してしまったとき、配ったあとに中身の誤り(写ってはいけない場面が入っていたなど)が見つかったとき、職員の研修や引き継ぎで貸し出した盤を返してもらうとき、退職する職員や交代する係の手元に盤が残っているとき、の4つです。
誤って渡した盤は、受け取った家庭に事情を伝えて返してもらい、台帳に回収した日を書きます。早いほど回収しやすくなります。中身に誤りがあった場合は、正しい盤と交換する形で回収すると、家庭にとっても負担が少なくなります。同意を取り消した家庭の希望で、すでに配った盤を回収できるかは、各家庭にお願いする範囲でしかできないので、先に書いたとおり、最初の紙でその前提を伝えておきます。
職員の研修に映像を使うとき
保育の振り返りや研修に、行事や日常の映像を使う園もあります。研修用の映像は、保護者に配る映像とは使い道が違うので、同意書の使い道の欄に研修が入っているかを先に確かめます。外部の研修会に持ち出す場合は、写っている子の家庭に改めて聞くか、顔の分からない映像に作り直します。
研修用に盤を作るなら、配る盤と同じく番号を付け、貸し出しと返却を台帳に書きます。研修が終わったら回収し、使わない盤は割って処分します。職員が自宅で見返したいと言っても、子どもの顔が映る盤は園の外へ持ち出さない、という線を決めておきます。
処分は、読めない状態にしてから捨てる
DVD-RやBD-Rのような追記型の盤は、書いた中身を消して空には戻せません。要らなくなった盤は、記録面に傷をつける、割るなどして読めない状態にしてから、自治体の分別に従って捨てます。割るときは破片が飛ぶので、袋に入れてから作業します。何ごみになるかの調べ方と、読めないように壊す方法は、CD・DVDの捨て方 にまとめています。処分した日と枚数は、台帳の回収・処分の列に書きます。
原本を書き換えできない控えにする
園に残す原本は、外に出さないことと同じくらい、なくさないことも大切です。パソコンやクラウドだけに置いていると、機器の故障、誤って消す操作、アカウントのトラブル、ランサムウェアのようなサイバー攻撃で、まとめて見られなくなることがあります。大きな企業が実際にどう止まり、何で戻したかは、大手企業のランサムウェア被害に学ぶ記事 で事例を追っています。
年度の原本を、追記型のディスク(DVD-RやBD-R)にも焼いておくと、控えの一つになります。追記型の盤は、一度記録した部分を書き換えたり消したりできません。焼いたあとドライブから出して棚に置けば、どのネットワークからも届かない控えになり、書き込んだ時点の状態がそのまま残るので、あとで原本と比べることもできます。薄くて軽いので、園舎とは別の場所に置くのも簡単です。
ディスクの控えにも限界がある
ディスクにも、守れないことがあります。焼く前のファイルがすでにおかしくなっていたり、ウイルスに感染したり暗号化されたりしていれば、その状態のまま残ります。ドライブに入れたままの盤や、書き換えのできるRW・REの盤では、守りが弱くなります。盤には寿命があり、カナダ保存研究所は温度と湿度の影響だけに基づく目安として、一般的なDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年としています。読むためのドライブも手元に要ります。
そして、光ディスクに暗号化の機能は組み込まれていないので、盤を盗まれたりなくしたりすれば中身は読まれます。子どもの顔と名前が入った盤は、保管の場所と持ち出しの決まりを、配る盤以上に厳しくします。ディスクだけに頼らず、園のパソコン、クラウドなど性質の違う置き場所と組み合わせて持ちます。複数の控えを違う媒体と場所に分ける考え方は、写真・動画の長期保存とクラウドとDVDの3-2-1バックアップ で組み方を書いています。
何を、どこまで残すか
原本と言っても、残すものは一つではありません。撮ったままの写真と動画、配るために編集した完成データ、配布台帳と同意の一覧、の3つに分けて、それぞれの残し方を決めます。撮ったままの写真と動画は量が多く、写らない希望の子が入った場面や撮らない場面も混じっているので、全部を何年も残すより、園の記録として必要なものを年度末に選び、残りは消すと決めるほうが管理しやすくなります。
完成データは、焼き増しの依頼や卒園の記念に使うことがあるので、保存年限のあいだは残します。台帳と同意の一覧は、配った盤がどこにあるか、誰が何に同意していたかを示す記録なので、映像と同じ期間だけ残します。どれも、残す期間が過ぎたら、データは消し、盤は割って処分し、処分したことを記録します。
配ったDVDは、原本の控えにならない
家庭に配るDVDは、DVDの規格に合わせて720×480の画面に作り直した映像です。スマホやビデオカメラで撮った元の動画より画素が少なく、あとから大きな画面で見る、別の形に作り直す、といった使い方には向きません。配ったDVDが手元に1枚残っていても、それは見るための写しで、原本の控えとは役割が違います。
原本の控えには、撮ったときのファイルそのものを残します。配る映像の完成データも、編集前の元の動画とは別のファイルとして一緒に残しておくと、翌年に焼き増しを頼まれたときに使えます。
ファイルのまま焼く控えは、自分のパソコンで作る
原本の控えは、動画や写真をファイルのまま焼く「データのディスク」です。テレビのプレーヤーで見るための映像のDVDとは作り方が違い、自分のパソコンで焼く前提で手順を書きます。年度と行事の名前でフォルダを作り、焼く前に、全部のファイルが開けること、中身が正しいことを確かめます。
次に、ファイルが変わっていないかをあとで確かめるための値(ハッシュ値)の一覧を作ります。WindowsならPowerShellの「Get-FileHash」(既定でSHA256の値を出す)、Macならターミナルの「shasum」に「-a 256」を付けて使います。Macのshasumは何も付けないとSHA-1の値になるので、付け忘れに気をつけます。一覧のファイルは、盤にも入れ、園のパソコンにも残します。
Windowsで焼くときは、書き込みの形式を聞かれたら「CD/DVD プレーヤーで使用する」を選びます。もう一方の「USB フラッシュ ドライブと同じように使用する」は、あとからファイルを足したり消したりできる形式で、控えには向きません。表示はWindowsのバージョンで違うことがあります。Macは外付けのドライブをつなぎ、Finderのディスクに書き込む機能で焼きます。
焼き終えたら、盤を閉じて(ファイナライズして)ドライブから出し、別のパソコンで開けるかと、ハッシュ値が一覧と一致するかを確かめます。同じものを2枚作り、1枚は園の鍵のかかる棚、もう1枚は法人の事務所など園舎とは別の場所に置きます。盤のレーベル面には、盤面用のペンで年度と内容を書きます。
流出に気づいたら、記録して、消してもらい、知らせる
どれだけ手順を整えても、外に出るときは出ます。そのときに慌てないよう、気づいてからの順番を先に決めておきます。最初にすることは、連絡を受ける人を一人に決めることです。保護者から担任へ、担任から主任へと話が回るうちに時間がたつので、窓口が受けた時点で、園として記録を始めます。
誰がやったかより、どの手順が抜けていたかを記録に残す
記録して、消してもらう
記録するのは、見つけた日時、場所(SNSの名前、投稿のURL、投稿したアカウントの名前)、写っているもの(どの行事の、何人くらいの子か、名前が分かるか)、誰が見つけたか、です。ふつうの行事の写真や動画であれば、投稿の画面を保存しておくと、あとで削除を頼むときや、消えたことを確かめるときに使えます。
投稿したのが園の保護者なら、園から本人に個別に連絡し、事情を伝えて削除をお願いします。責める口調にせず、写っているほかの家庭のために消してほしい、という形で伝えると話が進みます。知らない人の投稿や、転載が転載を呼んでいる場合は、各SNSの報告の窓口から、プライバシーの侵害として削除を求めます。依頼の方法が分からないときは、総務省の支援事業である違法・有害情報相談センターや、法務省のインターネット人権相談受付窓口で、削除を頼むための助言を受けられます。
記録そのものにも、子どもの写真や投稿の画面が入ります。記録は園長と窓口の職員だけが見られる場所に置き、対応が終わったら、残す期間を決めて消します。
性的に加工された画像を見つけたとき
生成AIで性的に加工された画像や、子どもの性的な画像を見つけたときは、保存も転送もしません。見せるために人へ送ることも、かえって画像を広げることになります。URLと日時だけを書き留め、すぐに警察に相談します。相談の窓口は、警察相談専用電話の#9110と、性犯罪被害相談電話の#8103です。警察庁などの啓発資料も、困ったときの相談先としてこれらを挙げています。
文部科学省は2026年3月の事務連絡で、こうした事案が起きた場合には、速やかに警察と連携して対応し、被害を受けた子どもの心のケアにも配慮するよう求めています。園でも同じ考え方で、写っていた子の家庭には、園から落ち着いた言葉で事実を伝え、家庭の意向を聞きながら警察への相談を進めます。
家庭と設置者に知らせ、個人情報としての扱いを確かめる
写っていた子の家庭には、何が、いつから、どこに出ていたか、園が何をしたかを伝えます。先の区立こども園の例では、誤配信に気づいた当日に受け取った保護者へ説明して削除を頼み、翌日にアプリで全保護者へ経緯を伝えていました。伝える範囲は、写っていた家庭だけか、全体かを、内容に応じて決めます。設置者である市区町村や法人にも、同じ内容を報告します。
写っていた家庭への知らせは、事実、園がしたこと、これからすること、問い合わせ先の4つで組み立てます。推測や言い訳は書きません。次は、連絡アプリの誤配信で写真が別の家庭に届いた場合の例です。
◯月◯日、園から保護者の皆さまへ連絡アプリでお送りした写真の中に、本来お送りするはずのなかった◯◯組のお子さんの写真が含まれていました。お受け取りになったご家庭には個別にご連絡し、削除をお願いしています。今後は、写真をお送りする前に、職員2人で宛先と内容を確かめる手順に改めます。ご心配をおかけし申し訳ありません。ご不明な点は、園の◯◯(電話◯◯)までお問い合わせください。
文面は、園長の名前で出します。写っていた家庭には、全体へ知らせる前に個別に連絡し、その家庭の意向を聞いてから全体への文面を決めます。
誰か分かる写真や動画は個人情報なので、私立の園では個人情報保護法の漏えい等の報告にあたるかを確かめます。個人情報保護委員会への報告が要るのは、要配慮個人情報が含まれる場合、財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正の目的によるおそれがある場合、1,000人を超える場合などで、速報はおおむね3〜5日以内、確報は30日以内(不正の目的によるものは60日以内)とされています。公立の園は、設置者である市区町村の手続きに従います。判断に迷うときの初動と期限は、ディスクやUSBを紛失したときの報告義務で詳しく書いています。
どこから出たのか分からないとき
見つかった写真が、どの道から出たのか分からないこともあります。手がかりは、写真そのものと記録です。その写真が園の撮ったものか、保護者が撮ったものか(構図や撮った位置で分かることがあります)、いつの行事か、どの手段で誰に渡したものかを、配信の記録、販売サイトに上げた写真の一覧、配布台帳と突き合わせます。
道が一つに絞れなくても、削除の依頼と家庭への知らせは先に進めます。原因の調べは、外への広がりを止めてからで間に合います。原因が分からないまま終わったときは、候補になった道の手順をそれぞれ見直し、見直したことを記録に残します。
落ち着いたら、7つの道のうち、どこから出たのかを決めて、その道の手順を一つ直します。誰がやったかより、どの手順が抜けていたかを記録に残すと、翌年の担当にも引き継げます。
行事の映像を、見る用のディスクにして当社に頼むとき
当社ディスクメーカーは、大阪・梅田にある、動画のデータからDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店です。受け付けるのは完成した動画のデータで、1枚から頼めます。受け取った動画をプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。園や保護者会が、配る範囲を閉じたい行事の映像をディスクで手渡すときの作り手として使えます。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)が1,500円(税抜)で、オーサリングと書き込み、ケースへの入れ込みまでを含みます。ブルーレイは基本料金(Blu-ray・1枚あたり)の1,500円です。配る家庭の再生機器を確かめたうえで、どちらで作るかを決めてください。
クラスの家庭の数だけ同じ内容を作るときは、2枚目から同じ内容の焼き増しになり、追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)は1,000円です。盤に行事の名前と年度を印刷したいときは、盤面レーベル印刷(1枚あたり)で+1,000円です。当社はデザインや文字入れをしないので、題名や年度も入れた画像を作って入稿します。運動会の種目ごと、発表会のクラスごとに移れるようにするなら、チャプター分け(1枚あたり)の+1,500円を付け、注文ページで開く「チャプター位置の指定」の欄に区切りの時刻を入れます。上限は最大50チャプターです。
クラス別に内容の違うディスクを一度に頼むときは、注文フォームの「+別の内容を追加」を使い、内容ごとに別の共有URLと枚数を入れます。料金は、内容が違えばそれぞれ1枚目から数えます。
配る日から逆算して頼む
配る日が決まっているときは、その日から逆に数えて入稿の日を決めます。通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降の注文は翌営業日の受付になり、土日祝の注文・入稿は翌営業日からの作業になります。発送までの日数は、土日祝と休業日を除いた営業日で数えます。
逆算には、当社の作業の日数のほかに、園と係の作業の日数も入れます。撮影のあと、写らない子や場面を編集で外し、2人で通して確かめるまでに数日、届いたディスクを園のプレーヤーで最後まで見て、台帳を作り、番号のシールを貼るまでにまた数日かかります。急ぐときは、特急お届けやお急ぎお届け、当日店舗お渡しといった短納期のオプションがありますが、編集と確認の時間を削ってまで急ぐことはしないでください。配ったあとで写ってはいけない場面が見つかると、回収の手間のほうが大きくなります。
子どもが映る動画を預けるときに確かめること
入稿は、ギガファイル便に動画を置き、その共有URLを注文フォームに貼る形です。ギガファイル便にダウンロードパスワードを付けた場合は、注文フォームにURLを貼るとパスワードの入力欄が開き、入れたパスワードが合っているかをその場で確かめる作りです。ほかのサービスのパスワードの伝え方や、園の子どもが映る動画を預けるときのデータの扱いで気になる点は、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
お引き受けできるのは、撮った本人か、権利者の許可がある動画です。発表会などで市販の曲が流れている映像を配るときは、曲の手続きも確かめておきます。店にディスクの作成を頼むと、複製するのが使う本人ではなくなるため、私的使用の例外にはあたりません。届いたディスクは、配る前に園のプレーヤーで最後まで再生して確かめます。発送はクリックポストで、店舗での受け取りもできます。注文はDVDの注文ページ から、ブルーレイはブルーレイの注文ページから頼めます。原本の控えに使うファイルのままのディスクを当社に頼めるかは、相談・問い合わせフォームで確かめてください。
次の行事の前に、3つだけ決めておく
ここまでの話を全部いっぺんに進める必要はありません。次の行事の前に、3つだけ決めておけば、外に出る道の大半に手が届きます。
撮影・共有・転載の約束を、園・保護者会の係・各家庭の分担がわかる1枚の紙にして、行事の前に配る
連絡アプリの配信は2人で確かめ、撮影は園の端末だけで行うことを、職員の決まりとして書く
配る範囲を閉じたい映像(卒園式や発表会など)は、URLで流さずディスクで手渡し、配布台帳に番号と受け取りのサインを残す
3つのうち、いちばん時間がかかるのは1つ目の紙です。園が案を作り、役員と読み合わせ、総会で配るまでに、少なくとも数週間はみておきます。間に合わない行事があれば、その行事の分だけ、撮らない場面とSNSへのお願いを短いお便りで伝えます。2つ目は職員会議の一回で決められ、3つ目は次に配る映像から始められます。
この3つが回り始めたら、位置情報の設定、係のデータの消去、原本の控え、処分の記録を、年度の流れに一つずつ足していきます。気づいたときの窓口と順番も、紙の最後に一行足しておきます。家庭と小さな職場で今年気をつけたい脅威の全体像は、情報セキュリティ10大脅威2026を家庭と小さな職場で読む記事 にまとめています。配る映像をディスクにするときは、動画を共有URLにして、注文ページから入稿してください。
よくある質問
Q. 保護者がSNSに上げた運動会の動画を、園から消してもらえますか A. お願いはできます。園から投稿した保護者に個別に連絡し、ほかのお子さんも写っているので削除してほしい、と伝えます。責める口調を避け、年度の初めに配った約束の紙を添えると話が進みます。消えたあとも、見た人の端末に保存された分までは消せないので、行事の前に約束を伝え直しておくことが、いちばんの備えになります。
Q. 写真に位置情報が入っているかは、どう確かめればいいですか A. iPhoneでは、写真を開いて上にスワイプすると出る情報の欄に、地図が出るかで分かります。写真アプリの「コレクション」の「地図」を開くと、位置情報の入った写真を場所ごとに見られます。Androidは、カメラの設定で位置情報を保存する項目がオンかを確かめます。表示の名前はOSや機種、バージョンで変わります。
Q. 生成AIで加工された子どもの画像を見つけたらどうすればいいですか A. 保存も転送もせず、URLと見つけた日時だけを書き留めて、警察に相談します。窓口は警察相談専用電話の#9110や、性犯罪被害相談電話の#8103です。人に見せるために送ると、かえって画像を広げることになります。写っている子の家庭には、園から落ち着いた言葉で事実を伝え、家庭の意向を聞きながら進めます。
Q. 保護者だけが見られる写真販売サイトなら、どんな写真を載せてもいいですか A. 見られる人を保護者に限っていても、載せてはいけない写真はあります。こども家庭庁と文部科学省は2024年5月、保護者に見られる人が限られる場合も含めて、子どもの画像が不適切に使われないようにするよう求めました。着替えや水遊びの場面は載せず、上げる写真は職員2人で選ぶと決めておくと安心です。
Q. DVDで配れば、コピーされたりSNSに上がったりしませんか A. 防げるわけではありません。パソコンと道具があれば複製でき、テレビの画面をスマホで撮って上げることもできます。ディスクの良さは、転送のボタンが無く、URLのように期限切れや公開設定の誤りが起きないこと、誰に何枚渡したかを数えられることです。約束の紙と配布台帳を組み合わせて使ってください。
Q. 卒園式の映像は名前が入るので、配らないほうがいいですか A. 配らないと決める必要はありません。呼名の声で全員の名前が入るので、配る範囲を在園の家庭に限り、URLでは流さずにディスクで手渡す形が向いています。各家庭には、家族の中で見てSNSやほかのグループに上げないよう、ケースに約束の要点を書いた紙を入れてお願いします。写らない希望の家庭の子は、撮り方と編集で外します。
Q. 職員が私物のスマホで子どもを撮るのは禁止したほうがいいですか A. 園の決まりとして、撮影は園の端末で行うと書いておくのが安心です。2026年12月25日に施行されるこども性暴力防止法の施行ガイドラインは、私物のスマートフォンやルール外の方法で子どもの写真や動画を撮影・管理することを、不適切な行為の例に挙げています。端末の台数と置き場所、撮らない場面も同じ紙に書きます。
Q. 写らないことを希望する家庭があると、行事の映像は配れませんか A. 配れます。その家庭の子が写らない撮り方をし、写ってしまった場面は編集で外します。誰が希望しているかは、撮る職員と編集する人だけが知っていれば足ります。希望の理由は聞かず、ほかの保護者に説明する必要もありません。同意は年度ごとに聞き直し、取り消しの希望がいつから反映されるかも最初の紙に書いておきます。
Q. 保護者会の係が使ったデータは、いつ消せばいいですか A. 配り終えて、園に原本を渡した時点で消します。消すのは、保護者から集めた元の動画、編集の途中のデータ、共有URL、係のLINEに貼った写真と動画です。スマホの写真アプリに保存した場合は、クラウドの自動のバックアップにも残っていないかを確かめます。消した日付を引き継ぎのメモに一行残しておくと、次の係が迷いません。
Q. 配ったディスクを、あとから回収することはできますか A. 別の家庭に渡してしまったときや、写ってはいけない場面が入っていたときは、事情を伝えて返してもらいます。中身の誤りなら、正しい盤と交換する形にすると家庭の負担が減ります。同意を取り消した家庭の希望での回収は、各家庭へのお願いの範囲でしかできないので、配ったものは戻らない場合があると最初の紙に書いておきます。
Q. 園の原本の控えは、DVD-RとBD-Rのどちらに焼けばいいですか A. 量で決めます。1層の容量はDVD-Rが4.7GB、BD-Rが25GBで、動画が多い年度はBD-Rのほうが枚数が少なく済みます。どちらも追記型で、一度記録した部分は書き換えられません。寿命の目安はカナダ保存研究所の資料で一般的なDVD-Rが10〜20年、BD-Rが5〜10年なので、数年ごとに読めるかを確かめます。
Q. 連絡アプリで写真を別の保護者に送ってしまったらどうしますか A. アプリに送信を取り消す機能があれば、すぐに使います。取り消せないときや、すでに見られた可能性があるときは、受け取った家庭に連絡して削除をお願いし、写っていた子の家庭にも経緯を伝えます。日時と送り先、何を送ったかを記録し、次からは送る前にもう一人の職員が宛先を見る手順に直します。
Q. ディスクメーカーに行事の動画を預けるときは何を確かめればいいですか A. 撮った本人か、権利者の許可がある動画かを確かめます。市販の曲が流れる映像を配るなら、曲の手続きも確かめておきます。入稿は共有URLで、ギガファイル便にダウンロードパスワードを付けると、注文フォームでパスワードの入力欄が開きます。子どもが映る動画のデータの扱いで気になる点は、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。