この記事の要点
- 文化祭のDVDは、まず学校と、誰が撮り誰に配るか(学校の記録か、クラス・部の記念か)と、費用を無償・実費・販売のどれにするかを決めてから作り始めます。
- 当日の劇や演奏は、営利目的でなく入場無料で出演者が無報酬なら、許諾なしにできます(第38条)。録画してDVDにし、配る・売るのは例外の外で、脚本・曲・市販の音源・映像作品ごとに手続きが要ります。
- 写っている生徒や観客は、誰か分かれば個人情報にあたります。配る範囲と売るかどうかを学校の決まりに合わせ、写る生徒の家庭に先に知らせて了解を得ます。
- 演目ごとにチャプターを付けてDVDにし、1枚目を種類の違う何台かの機器で最後まで再生してから、残りの枚数をそろえます。
- DVDを売るときも、許諾が要るのは同じです。実費を超える値段で売ると、JASRACの区分は無償・実費だけの「非商用複製」から「商用複製」に変わります。売ってよいかとお金の扱いは、学校に確かめます。
文化祭や学園祭が近づくと、実行委員や放送部、担任の先生のところに「ステージを撮ってDVDにしてほしい」という声が集まります。劇、ダンス、バンド、合唱、クラスの展示と撮るものは多く、市販の曲を流す演目もあれば、客席には生徒や保護者、地域の人も写ります。何から手を付けるか、係が最初に迷うところです。
進める順番は4つです。学校と取り決め、演目ごとに劇の脚本・曲・映像作品の権利を確かめ、写る生徒と観客の扱いを決めたあとで、演目ごとにチャプターを付けてDVDにし、1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえます。当日の上演や演奏は条件がそろえば許諾なしにできますが、録画してDVDにし、配る・売るのは別の話で、手続きが要ります。
4つのうち、あとから直しにくいのは最初の2つです。配る映像にどの演目を入れられるかは権利の手続きで決まり、手続きの中身は、無料で配るか売るかでも変わります。撮影の計画を立てる前に、学校と話す時間を取っておきます。
文化祭・学園祭の記録DVDができるまで|撮る前から配るまでの順番
自分たちでディスクを焼く場合も、店に頼む場合も、この順番は変わりません。
| 時期 |
すること |
| 文化祭の前 |
誰が撮り、誰に 配るか、費用を 学校と決める。 演目ごとに脚本・ 曲・映像の 一覧を作る。 |
| 撮る前 |
撮影と配布の 予定を、写る 生徒の家庭に 知らせる。 曲の手続きを 始める。 |
| リハーサル |
本番の照明と 音で試し撮りする。 カメラの位置と 録音レベルを 決める。 |
| 当日 |
決めた人が、 決めた場所から 撮る。その日の うちに2か所へ コピーする。 |
| 文化祭のあと |
編集して、 演目ごとの 区切りを決める。 配布の希望を 取り、枚数を 決める。 |
| 1枚目 |
曲の許諾を 得てから作り、 何台かの機器で 最後まで 再生する。 |
| 残りを作る |
枚数をそろえて 配る。家庭で 見る範囲で 使うよう、 お願いを添える。 |
曲の手続きを1枚目より前に置いたのは、JASRACもNexToneも、ディスクを製作・製造する前に申し込むよう案内しているからです。JASRACに書類で申し込むと許諾番号などの通知までに最低1週間ほど、NexToneは申請から許諾まで通常5営業日ほどかかります。配る日から逆に数えて、この日数も日程に入れておきます。
最初に学校と決めること|誰が撮り、誰に配り、費用をどうするか
最初に決めるのは、映像を誰が作り、誰に渡すかです。学校が行事の記録として作るのか、クラスや部が記念に作って仲間に配るのか、生徒会・実行委員会やPTAが希望者に配るのか。作る人によって、相談する先と、使える法律の例外が変わります。
| 作る人 |
先に確かめること |
学校が 記録として |
撮る人と 保存の扱いを 学校が決める。 配るなら、 記念のDVDと 同じ手続き。 |
クラス・ 部の記念 |
配る範囲と 費用を、担任や 顧問を通して 学校に確かめる。 |
生徒会・ 実行委員会 |
全体の記録を 作り、希望を 取って配る。 学校の決まりに 沿って進める。 |
PTA・ 保護者の 有志 |
授業の例外 (第35条)は 使えない。 学校が撮った 映像なら、 渡してよいかを 決めるのは学校。 |
学校が記録として撮っておく映像にも、手続きの話は関わります。JASRACの学校向けの解説は、生徒などに配るための録画だけでなく、学校やクラブのライブラリーに保存するための録画も、手続きが必要な例に挙げています。どこまでを学校の記録として残すかは、学校に確かめてください。
費用は、無償で配る、作るのにかかった実費だけを集める、実費を超える値段で売る、の3つに分かれます。JASRACの使用料も、無償か実費だけなら「非商用複製」、実費を超えて売るなら「商用複製」と区分が分かれます(後の販売の節)。校内でお金を集めてよいか、誰の会計で扱うか、DVDを売ってよいかは学校の決まりで決まるので、ここで一緒に確かめます。
学校と相談するときに決めておく項目
- 作る人(学校・生徒会や実行委員会・クラスや部・PTA)と、窓口になる先生
- 撮る演目と、撮影できる場所・時間
- 配る相手(在校の家庭だけか、出演した団体や学校の保存分も含むか)
- 費用(無償・実費・販売)と、お金を扱う会計
- 演目ごとの曲・脚本・映像の扱い(手続きをするか、音や場面を外すか、演目ごと外すか)
- 写ることを避けたい事情のある生徒への配慮
- 元の映像を誰が持ち、翌年の係にどう引き継ぐか
学校とPTAの役割の分け方は、体育祭の場合を体育祭・運動会の映像をDVDで保護者に配布する方法に書きました。文化祭でも、考え方は同じです。
当日の撮影は分担を決め、ステージは三脚で1台を回し続ける
文化祭は、体育館のステージ、教室の展示、模擬店、校庭と、撮る場所が散らばります。プログラムを見ながら、どの時間にどこを誰が撮るかを割り振り、撮影できる場所と時間を学校に確かめておきます。どこから、どう撮ってよいかは、著作権とは別に学校のルールで決まるからです。
ステージは、舞台全体が入る引きのカメラを三脚に据え、演目の途中で止めずに回し続けます。寄りの表情や客席の反応は、もう1台の役目です。舞台の照明で顔が白く飛ぶときに使える設定もあります。ソニーのハンディカムのヘルプガイドは、シーンセレクションの「スポットライト」を、スポットライトを浴びている人物の顔などが白く飛んでしまうのを防ぐ設定として説明しています。機能の名前やあるなしは機種で違うので、リハーサルで本番の照明を当ててもらい、試し撮りを大きな画面で見て決めます。
音は、カメラの内蔵マイクで客席から録るより、放送部や会場の音響の機器(ミキサー)から録音用の音をもらえると、客席の物音が入りにくくなります。カメラで録るときは、同じヘルプガイドが、録音レベルを手動で合わせるならヘッドホンで確かめながら操作するよう勧めています。連続した大きな音を撮り続けるなら、あらかじめレベルを低めにしておくと臨場感のある音声が記録できる、とも書かれています。軽音楽部や吹奏楽部のステージでは、リハーサルでいちばん大きな音を録って聞き直しておくと安心です。
長く撮るなら、記録する容量も先に見積もります。iPhoneなら、目安が設定画面(「設定」>「カメラ」>「ビデオ撮影」)に出ています。初期設定の1080p HD/30 fpsで1分あたり約65MB(フォーマットが「高効率」で、HDRビデオがオン)、HDRビデオがオフなら約60MB、「互換性優先」なら約130MBです。計算上は、高効率・HDRビデオのまま1時間撮ると約3.9GB、4K/30 fps(同じ設定で1分約190MB)なら約11.4GBになります。表記と数字はiOSのバージョンで変わることがあるので、撮る機器の画面で確かめ、予備の電池と記録メディアもカメラの台数分用意します。
1時間なら1080pで約3.9GB、4Kで約11.4GB(高効率・HDRビデオ、計算上)
撮り終えたら、その日のうちに撮影データをパソコンなどにコピーし、2か所以上に置きます。何人ものスマホで撮った動画を集めるなら、撮った本人から元のファイルを、ギガファイル便などのURLで受け取るのが確かです。会場の撮影の決まりの確かめ方や、ジャンルごとの舞台の撮り方は、発表会・舞台の映像をDVD・ブルーレイにで詳しく説明しています。
当日の上演・演奏は許諾なしでも、録画して配るには手続きが要る
営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を払わない文化祭なら、劇を演じる、バンドが演奏する、CDを流して踊る、映画を上映する、といったことは許諾なしにできます(著作権法第38条1項)。文化庁の学校向けの冊子も、この例外の適用例に「文化祭などでブラスバンド部の演奏や演劇部の演劇を行う場合」を挙げています。入場料を取る催しは、当日の演奏や上映そのものに手続きが要ります(JASRAC)。
この例外が認めているのは、上演・演奏・上映・口述だけです。文化庁の著作権テキストは、条件の1つめに「「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれない」と書いています。録画してDVDにすれば複製で、配っても売っても頒布です。頒布は、有償か無償かを問わず複製物を公衆に譲渡することで(第2条)、公衆には特定かつ多数の人も含まれます。無料でクラスに配るDVDも、手続きの要る側です。JASRACの解説も、クラブのみんなに配るために演奏会を録画する場合について「販売するときはもちろん、無料であってもみんなに配るときには手続きが必要です」としています。
| 場面 |
手続き |
当日に 演じる・ 演奏する |
3つの条件を 満たせば 要らない (第38条)。 |
家族が 家で見る ために撮る |
私的使用の 複製(第30条)。 要らない。 |
録画して DVDで配る |
要る。無料でも、 クラスや部の 中だけでも。 |
DVDを 売る |
要る。 JASRACの 区分が変わる。 |
入場料を 取る催し |
当日の演奏にも 手続きが要る。 |
学校の授業の例外(第35条)も、記念のDVDには使えません。JASRACの解説は、高等学校までの文化祭を教育課程上の「授業」にあたるとし、文化祭で流すためだけに動画に曲を入れたり、CDをコピーしたりすることには、手続きが要らないとしています。ただ、文化庁は学校向けの冊子で、記念品として配る目的で行事の映像を残す場合は授業に当たらず、著作者・著作隣接権者などの許諾が必要だと書いています。PTAや保護者の有志が作るDVDは、第35条の「教育を担任する者及び授業を受ける者」の利用ではないので、はじめからこの例外の外です。授業の中でできることとの境目は、授業の教材をDVDにするときの著作権で説明しています。
保護者が家族で見るためにわが子を撮るのは、私的使用のための複製(第30条)で、手続きは要りません(JASRAC)。文化庁の説明では、家庭内など限られた範囲で、使う本人が複製する場合の例外です。撮った映像を集めてクラスや部に配ると、この範囲を超えます。
大学の学園祭では
JASRACの解説が「授業」にあたるとしているのは、高等学校までの文化祭です。大学の学園祭で、催しで流すためにCDを複製するような使い方は、授業の例外に入るかを大学に確かめてください。録画してDVDにし、配る・売るのに手続きが要る点は、高校の文化祭と変わりません。入場無料でも、報酬を払ってミュージシャンや劇団、タレントなどを招く催しは、当日の演奏に手続きが要ります(JASRAC)。
曲の手続きは、DVDを作る前に
手続きは曲ごとに、DVDを作る前に行います。JASRACの管理曲は、作品検索データベース「J-WID」で管理状況の「複製」のうち「映像ソフト」の区分を確かめ、オンラインの窓口「J-RAPP」から申し込みます。NexToneの管理曲なら、作品データベースの「ビデオ」の欄で確かめ、申し込み先はクリアランスシステム「PlayN」の「利用許諾申請(ビデオグラム)」です。どちらにもない曲は、音楽出版社や作者に問い合わせます。JASRACは学校の先生向けの案内で、許諾を得ていない場合は学校側が法的責任を負うこともある、と注意しています。
許諾が出たら、JASRACの管理曲は許諾番号とロゴマークを複製物に、NexToneの管理曲は許諾マークを製品の1か所に表示します。無償や実費で配るときの使用料の計算方法と、行事ごとに手続きが要る場面・要らない場面は、学校行事の録画・DVD配布と著作権にまとめました。
どちらもDVDを作る前に曲ごとに申し込む。どちらにもない曲は音楽出版社や作者へ
文化祭の劇・ダンス・バンド・上映で確かめる権利
文化祭の映像には、演目ごとに違う権利が入っています。著作権法は著作物の例として、脚本を含む言語、音楽、振付にあたる「舞踊又は無言劇」、絵画などの美術、映画を挙げています(第10条)。配る映像に入れる演目を書き出し、演目ごとに次の点を確かめます。
| 演目 |
配る・売るときに 確かめること |
既製の 脚本の劇 |
脚本の作者や 出版社などの 許諾を得る。 上演の録画は 脚本の複製。 |
生徒が 書いた劇 |
作者は書いた 生徒。劇中の 曲や音源は 別に確かめる。 |
市販の曲で 踊るダンス |
曲の許諾に 加えて、音源を レコード会社 などに申し込む。 |
既製の 振付 |
振付の権利を 持つ側に 確かめる。 |
バンド・ 合唱・ 吹奏楽 |
生の演奏なら、 曲の許諾が 中心。編曲者の 権利も見る。 |
映画や アニメの 上映会 |
当日の上映は 許諾なしでも、 録って入れると 映像作品の 複製になる。 |
展示・ 看板 |
背景に小さく 写る程度なら 写り込み。 主役に撮るなら 確かめる。 |
劇は、上演の録画が脚本の複製になる
劇を演じることは第38条の例外でできても、上演を録画すると、法律の上では脚本の複製になります(第2条1項15号イ)。出版された脚本で上演した劇を配る・売るなら、脚本の作者や出版社などに、配る枚数や売るかどうかも伝えて許諾を得ます。小説や漫画などの原作をもとに書いた台本は、法律の上では原作の二次的著作物で(第2条1項11号)、原作の作者も同じ種類の権利を持つので(第28条)、原作の側にも確かめます。
上演のために台本を大きく削ったり、結末を変えたりしたなら、作者の同一性保持権(第20条)にも関わるので、そのことも伝えます。生徒が自分たちで書いた脚本なら、作者は書いた生徒です。劇中でCDの曲を流した場面には、次の曲と音源の手続きが加わります。
市販の曲で踊ったダンスは、音源の許諾も要る
市販のCDや配信の音源には、作詞者・作曲者の著作権、歌手や演奏家(実演家)の権利、レコード製作者の権利の3つが含まれています(JASRAC)。NexToneが許諾するのは作詞者・作曲者などの著作権だけで、音源はレコード会社やアーティストの所属事務所などに別に申し込みます。音源の許諾が得られないときは、その部分の音を外すか、その演目を配る映像から外します。曲に合わせた動きなので、別の音に替えると動きと合わなくなる点も、係の中で話しておきたいところです。
アーティストの振付をそのまま踊った演目は、曲とは別に振付の権利が関わることがあります。JASRACやNexToneの許諾は作詞・作曲の著作権についてのものなので、気になるときは振付の権利を持つ側に確かめます。
曲の許諾だけでは足りない。音源は別に申し込み、得られなければ音か演目を外す
バンド・合唱・吹奏楽は、曲の許諾が中心
生徒が自分で演奏し、歌った音なら、市販の音源の権利は関わらず、手続きの中心は曲の著作権です。曲の著作権は作者の死後70年まで続き(第51条)、JASRACも、原則として著作者の死後70年が経過した作品は手続きなく利用できるとしています。ただ、編曲して新しく創作した作品は元の曲とは別の著作物(二次的著作物)なので、編曲した楽譜で演奏した曲は、編曲した人の権利も確かめます。演奏会の録音をCDにして配るときの手順は、吹奏楽の定期演奏会をCDにする方法にまとめました。
上映会の映画や、展示・看板に写るキャラクター
映画やアニメの上映会は、営利を目的とせず料金を取らなければ、当日は許諾なしにできます(第38条1項。JASRACの解説も「ビデオ上映会をする」を手続き不要の例に挙げています)。ただ、スクリーンに映った映画をそのまま録って配る映像に入れると、その映像作品を複製することになります。配るDVDではその場面を外すか、映像作品の権利者に許諾を得ます。劇の中でアニメやテレビ番組の映像を流した場面も同じです。
教室の展示や看板に描かれたキャラクター、BGMとして小さく流れていた曲のように、撮りたいものの背景に小さく写り込む程度なら、写り込みの例外(第30条の2)に入ることがあります。文化庁は、写真撮影や録画のときに、本来意図した対象以外の著作物が「写り込む」場合の例外と説明し、条件に「軽微な構成部分であること」を挙げています。キャラクターを描いた看板を正面から大きく撮る場面のように、それを撮ること自体が目的なら、この説明には当てはまりません。
文化祭のDVDを売る(有償で頒布する)と、何が変わるのか
DVDを売っても、許諾が要るという点は配るときと同じです。頒布は有償か無償かを問わないので(第2条)、脚本・曲・音源・映像作品の許諾は、売るかどうかにかかわらず要ります。売るときに変わるのは、使用料の区分と、許諾を申し込むときに伝える中身、それに学校の決まりの3つです。
| 配り方 |
JASRACの区分 |
無料で 配る |
非商用複製。 無料でも 手続きは要る。 |
実費だけ 集める |
非商用複製。 実費の内訳を 示せるように しておく。 |
実費を 超えて売る |
商用複製。 種類ごとの 計算方法になる。 |
JASRACの使用料の計算では、教育機関、非営利団体、個人が営利を目的とせず、無償か製作費の実費以外の対価を得ないで配るDVDは「非商用複製」です。作るのにかかった実費だけを集めて渡すなら、この区分に入ります。一方、製作者が実費を超えた額を受けて販売する場合は「商用複製」とされ、音楽のビデオグラム、その他のビデオグラムといった種類ごとの計算方法になります。部費や行事の費用に回すために実費より高く売るなら、商用複製の側です。概算はJASRACのサイトの「使用料計算シミュレーション」で出せますが、実際の請求額とは異なる場合があると断られています。
NexToneの管理曲は、売る映像も配る映像も、同じ「利用許諾申請(ビデオグラム)」から申し込み、使用料は申請の画面の見積もりで確かめます。レコード会社への音源の申し込みや、脚本・振付・映像作品の権利者への問い合わせでも、売ることと値段、枚数を伝えます。
販売してよいかは、先に学校に確かめる
校内でDVDを売ってよいか、代金を誰が集めてどの会計で扱うかは、学校の決まりで決まります。販売を考えるなら撮影の前に学校に確かめ、決まったことを申し込みの案内に書いておきます。
売る相手が在校の家庭の外に広がるときは、写る生徒の扱いも改めて決めます。個人情報保護委員会は、会社の行事で撮った写真を社内で展示する例について、プライバシーの権利や肖像権の侵害にあたる場合もあると注意しています。不特定多数に渡すときは本人の同意を得るなどの取り組みが望ましい、というのが委員会の考え方です。来場者にも売るなら、そのことも含めて写る生徒の家庭に先に知らせ、了解を得てください。
写る生徒と来場者の扱い|学校の決まりと家庭への知らせ
文化祭の映像には、舞台に立った生徒だけでなく、客席の生徒や保護者、地域から来た人も写ります。個人情報保護委員会のガイドラインは、本人が判別できる映像を個人情報の例に挙げていて、誰か分かる姿が写った映像は個人情報にあたります。肖像権は法律に定めのない、判例で確立されてきた権利です(文化庁の著作権テキスト)。文化庁は学校向けの冊子で、他人の肖像を使う場合は、あとでトラブルが生じないよう、事前に本人や保護者の承諾を得ておく必要があるでしょう、と書いています。
学校が撮った映像を実行委員会やPTAが借りて配るなら、渡してよいかどうかを決めるのは学校です。委員会のQ&Aも、PTAが学校から生徒などの情報を受け取る場面について、学校が第三者に渡すことは個人情報保護法の決まりに沿って適正に扱うよう求めています。クラスや部で撮った映像を配るときも、配ってよい範囲は学校の決まりに合わせます。学校や係で準備できるのは、次のようなことです。
- 撮影と配布の予定(売るなら、そのことも)を、写る生徒の家庭に先に知らせ、了解を得る
- 写ることを避けたい事情のある生徒がいないかを学校に確かめ、撮る人と編集する人に伝える
- 客席は後ろから引きで撮るなど、来場者の顔が大きく写らない位置から撮る
- 来場者にも、プログラムや受付の掲示で、撮影していることと映像の使い道を知らせる
- 名札や、名前の入った作品が大きく読める場面を、配る映像に入れるか決めておく
- 受け取る家庭に、SNSや動画サイト、ほかのグループに載せないようお願いを添える
保護者から同意をもらう書面の作り方と文例は、園向けの記事ですが園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例にまとめています。判断に迷うときは、学校の管理職や設置者(教育委員会・学校法人など)に確かめてください。
編集を終えたら、演目ごとにチャプターを付ける
編集では、演目の順番と、団体名・演目名の表記が最終のプログラムと合っているかを確かめ、手続きで外すと決めた演目や音、写さないと決めた場面を取り除きます。書き出しは、撮った解像度とフレームレートのまま、十分な画質のMP4(H.264)かMOVで足ります。DVDにするからといって、先に720×480へ縮める必要はありません。HDRで撮った映像は、書き出しの段階でSDRにして、色を確かめてから渡します。
チャプターは、ディスクの動画に付ける区切りの印です。演目ごとに付ければ、リモコンの「次へ」で見たい演目へ飛べるので、家族はわが子の出る演目からすぐに見られます。位置は演目が始まる少し前、司会の紹介や幕が開くところにし、時刻は編集を終えた動画で測って、演目名を添えて控えます。
- 00:00:00 開会
- 00:04:10 1年1組 劇
- 00:31:45 ダンス部
- 00:52:20 軽音楽部
- 01:15:05 閉会
カットや並べ替えの前に測った時刻は、編集のあとでずれます。数の目安と、ソフトで付ける手順はチャプター分けとは?DVD・ブルーレイの章の付け方と数の目安にまとめました。
2時間を超えるなら、2枚に分けるかブルーレイに
DVD-R(4.7GB)1枚に無理なく入るのは、レコーダーのSPモード相当の画質で約2時間です。パナソニックのディーガの仕様表でも、片面4.7GBのDVDはSPモードで約2時間とされています。ステージ発表を全部入れて2時間を超えるなら、1日目・2日目や午前・午後で2枚に分けるか、ブルーレイにします。GBと分を行き来する計算は、DVDに何分入る?ブルーレイに何時間入る?にまとめました。
DVDで配り、1枚目を何台かで試してから枚数をそろえる
配るディスクは、多くの家で見られるDVDを全員に、ブルーレイは再生できる機器がある家にだけ、希望を聞いて作ります。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できませんが(ソニー)、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くはDVDも再生できます。映像の細かさはDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080です。
自分たちで焼くときに気をつけたいのは、MP4などの動画ファイルをそのまま焼いた「データのDVD」です。パナソニックは、パソコン内の動画をそのままDVDに書き込んでも、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できないと説明しています。プレーヤーで見るディスクは、動画をDVD-Videoの形に組み立て(オーサリング)、国内の機器で見るならNTSCで作り、ファイナライズまで済ませます。ディスクの選び方と確かめ方は配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るにはで説明しています。
形式を整えても、1台で映らないことはあります。ソニーのレコーダーの説明書には、記録済みのDVD-Rなどは、傷や汚れのほか、記録状態や記録した機器・ソフトの特性などで再生できないことがあると書かれています。全部を作る前に1枚を作り、DVDだけのプレーヤー、ブルーレイのレコーダー、ゲーム機など、種類の違う機器で最後まで再生してから残りを作ります。本編が始まるか、チャプターで演目に飛べるか、音と映像がずれていないか、演目名の文字に誤りがないかを見てください。
全部を作る前に1枚を作り、種類の違う機器で最後まで見る
枚数の決め方と、申し込みの文例
枚数は、家庭ごとに希望を取って決めます。DVDとブルーレイを分けて数え、学校の保存分や出演した団体の分、割れた・なくしたときの予備も足してください。JASRACの使用料は作る枚数でも変わるので、曲の手続きは、予備を含めた枚数が決まってから申し込みます。
【文化祭の記録DVDのお申し込み】
今年の文化祭のステージ発表をまとめた映像(約◯分)を、ディスクにしてお分けします。次の中から選び、◯月◯日までにお知らせください。
① DVD(◯◯円。作るのにかかった実費です)
② ブルーレイ(◯◯円。ブルーレイを再生できる機器が必要です)
③ 申し込まない
※映像は在校のご家庭に限ってお渡しします。ご家庭で見る範囲でお使いいただき、SNSや動画サイト、ほかのグループには載せないでください。
実費で集めるなら、何にいくらかかったかを見積書などで示せるようにしておくと、JASRACの非商用複製の条件(製作費の実費以外の対価を得ないこと)とも照らし合わせやすくなります。売る場合は、値段の決め方と、販売してよいことを学校と確かめてから、この案内を作ります。
配ったあとと、翌年への引き継ぎ
映らないと言われたら、その機器の型番を聞き、説明書の「再生できるディスク」の欄で、DVD-Rとビデオモードの行を確かめてもらいます。編集を終えた動画ファイル、演目ごとの曲と許諾の記録、申し込みの名簿は、ディスクとは別の場所に2か所以上で残し、翌年の係に引き継ぎます。あとから枚数を足すなら、曲の手続きも見直しが要ります。NexToneは、許諾を得た製品を追加で作る場合も、別に追加の申請が要るとしています。
ディスクを当社に頼むとき
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、受け付けるのは完成した動画のデータです。撮影と編集を済ませた動画をギガファイル便やGoogle ドライブなどにアップロードし、その共有URLを注文フォームに貼っていただければ、スマホからも入稿できます。受け取った動画はプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。注文は1枚からで、お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円で、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。DVDとブルーレイの両方を作るときや、1日目・2日目のように内容が違うディスクは、それぞれ1枚目から数えます。試しの1枚のあとで残りを頼む注文も、新しい注文の1枚目からです。
演目の区切りは、チャプター分け(1枚あたり)+1,500円を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の位置を「00:31:45」のような時刻で入れてください。1つ目は動画の冒頭(00:00:00)に自動で入り、1枚に最大50チャプターまでです。盤面に学校名や行事名、曲の許諾番号やロゴマークを入れるなら、盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円を選び、開いた欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れる形です。これらのオプションは基本料金に含まれず、付けた枚数分かかります。演目の一覧を画面に出したいときは、メニュー画面作成を選ぶと開く「メニュー画面のご希望(任意)」の欄に、「メニュータイトル」と「ご希望・備考」を書けます。
当社の通常便は、受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付になり、土日祝の注文・入稿は翌営業日からの作業です。1枚目と残りを2回に分けて頼むなら、この日数を2回分見込みます。配布日が近いときは、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)も選べます。配布日や配る相手の再生機器は注文フォームの備考欄に書き、何本かの動画を1枚に入れるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その順に収録します。注文ページの流れは動画をDVD・ブルーレイにする注文の手順にまとめました。
よくある質問
Q1. 文化祭のDVDは、何から始めればいいですか?
学校と、誰が撮り誰に配るか(学校の記録か、クラスや部の記念か)と、費用を無償・実費・販売のどれにするかを決めるところからです。次に演目ごとに脚本・曲・映像作品の権利を確かめ、写る生徒の家庭に撮影と配布の予定を知らせます。撮って編集したら、演目ごとにチャプターを付けてDVDにし、1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえます。
Q2. 文化祭の劇を録画して、DVDにして配ってもいいですか?
許諾を得れば配れます。劇を演じることは、営利を目的とせず入場無料で、出演者に報酬を払わなければ許諾なしにできますが(第38条)、上演を録画すると法律の上では脚本の複製になります(第2条1項15号イ)。既製の脚本なら、作者や出版社などに配る枚数も伝えて許諾を得ます。劇中で市販のCDを流した場面は、曲と音源の手続きも要ります。生徒が書いた脚本なら、作者は書いた生徒です。
Q3. 入場無料の文化祭なら、DVDにして配るのに手続きはいりませんか?
要ります。入場無料で出演者に報酬を払わない文化祭なら、当日の上演や演奏は許諾なしにできますが、この例外に「複製・譲渡」は含まれません(文化庁の著作権テキスト)。頒布は有償か無償かを問わないので(第2条)、無料で配るDVDも同じです。JASRACも、クラブのみんなに配るために演奏会を録画する場合は、無料でも手続きが必要だとしています。
Q4. 文化祭のDVDを販売してもいいですか?
売ってよいか、代金を誰が集めてどの会計で扱うかは学校の決まりしだいなので、まず学校に確かめます。著作権の面では、脚本・曲・音源・映像作品の許諾を、売ることも伝えて得ておきます。JASRACの使用料は、実費を超える値段で売ると「商用複製」の区分になり、無償か実費だけの「非商用複製」とは計算方法が変わります。写る生徒の家庭にも、売ることを先に知らせてください。
Q5. 実費だけ集めて配る場合と売る場合で、曲の手続きは変わりますか?
許諾が要ることは同じで、変わるのはJASRACの使用料の区分です。教育機関や非営利団体、個人が営利を目的とせず、無償か製作費の実費以外の対価を得ないで配るなら「非商用複製」、製作者が実費を超えた額を受けて販売するなら「商用複製」です。NexToneの管理曲は、どちらも「利用許諾申請(ビデオグラム)」から申し込み、使用料は申請の画面の見積もりで確かめます。
Q6. 市販の曲で踊ったダンスの映像は、DVDに入れられますか?
曲の許諾(JASRACやNexTone)に加えて、市販のCDや配信の音源の許諾を、レコード会社やアーティストの所属事務所などから別に得れば入れられます。NexToneは、先に音源の許諾を得てから申し込むよう案内しています。音源の許諾が得られないときは、その部分の音を外すか、その演目を配る映像から外します。既製の振付をそのまま踊った演目なら、振付の権利も確かめてください。
Q7. 上映会で流した映画や、看板に描いたキャラクターが写った映像はどうすればいいですか?
上映会は、営利を目的とせず料金を取らなければ当日は許諾なしにできますが(第38条)、スクリーンの映画を録って配る映像に入れると映像作品の複製になるので、その場面を外すか権利者の許諾を得ます。背景に小さく写り込む程度なら、写り込みの例外(第30条の2)に入ることがあります。キャラクターを大きく映すのが目的の場面は、この例外の説明には当てはまりません。
Q8. 生徒や保護者がスマホで撮った動画を集めて、DVDにできますか?
できますが、配るなら手続きと了解が要ります。家族が見るために撮った動画は私的使用(第30条)の範囲でも、集めてほかの家庭に配ると範囲を超えるので、曲などの手続きと、写る生徒の家庭の了解を得ます。撮った本人にも、配る映像に使ってよいかを確かめてください。動画は、撮った本人から元のファイルを、ギガファイル便などのURLで受け取るのが確かです。
Q9. 大学の学園祭の記録DVDも、高校の文化祭と同じ手続きですか?
録画してDVDにし、配る・売るのに手続きが要る点は同じです。JASRACの解説が教育課程上の「授業」にあたるとしているのは高等学校までの文化祭なので、大学の学園祭で催しのためにCDを複製するような使い方は、授業の例外に入るかを大学に確かめます。入場料を取る催しや、報酬を払って出演者を招く催しは、当日の演奏にも手続きが要ります(JASRAC)。
Q10. ディスクメーカーに文化祭の撮影も頼めますか?
当社は撮影をしていません。撮影と編集は学校や係の側で済ませ、完成した動画ファイルをお送りください。ギガファイル便などの共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、プレーヤーで見られるDVD・ブルーレイに組み立てて、実際のプレーヤーで再生を確かめてから発送するか、店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
参考にした公式の情報
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法律の運用や各団体の手続き・使用料、機器の仕様は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月26日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、学校や設置者(教育委員会・学校法人など)、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
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