この記事の要点
- 発表会や舞台の映像をディスクにするなら、撮影をだれが担うか(撮影業者・主催者・保護者)と、会場の撮影の決まり、曲の手続き、写る出演者の了解を、撮る前に決めます。
- 撮った映像は編集して1本の完成した動画にし、演目ごとにチャプターを付けます。演目名は最終のプログラムに、区切りの時刻は編集後の動画に合わせます。
- 配るのは全員にDVD、ブルーレイは再生できる機器がある家庭にだけ、希望を聞いて作ります。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できません。
- 入場無料で出演者に報酬を払わない、営利目的でない発表会なら、当日に曲を演奏したり流したりするのに許諾は要りません。録画してディスクにし、配るのはこの例外の外で、無料でも同じです。
- 全部を作る前に1枚目を作り、種類の違う何台かの機器で最後まで再生してから、残りの枚数をそろえて配ります。
ピアノや声楽の発表会、ダンスやバレエの発表会、合唱や吹奏楽の演奏会、劇の公演、園の生活発表会。幕が下りると、出演者の家庭から「映像をディスクでほしい」という声が集まります。ジャンルは違っても、そこから決めていく順番はほとんど同じです。
撮る前に決めるのは4つ。撮影をだれが担うか(撮影業者・主催者の係・保護者)、会場の撮影の決まり、曲の手続き、写る出演者の家庭の了解です。撮った映像は編集して1本の完成した動画にし、演目ごとにチャプターを付けます。ディスクは、多くの家で見られるDVDを全員に、ブルーレイは希望する家庭にだけ作り、配る前に1枚目を何台かの機器で最後まで再生して確かめます。
撮影をだれが担うか|撮影業者・主催者の係・保護者
最初に決めるのは、撮る人です。だれが撮るかで、準備することと、撮った映像を受け取る形が変わります。
| 撮る人 |
向く場面と注意 |
撮影業者に 頼む |
台数・編集・納品まで 任せられる。 納品の形と時期を、 見積もりの段階で 決める。 |
主催者の 係が撮る |
機材と編集の手間を 主催者が持つ。 本番は撮影だけに 専念する人を 決めておく。 |
保護者の 動画を 集める |
撮った本人から 元のファイルをもらう。 配る映像に使って よいかも確かめる。 |
各家庭で わが子を 撮る |
家で見るぶんには 手続きは要らない。 ほかの家庭に配ると、 私的使用の範囲を 超える。 |
出演者に配る記録を作るなら、元になる映像は1本に決めておきます。曲の手続きも、写る出演者の家庭への了解も、その1本について整えれば済むからです。何人もの保護者の動画をつなぐ形にすると、撮った人の数だけ「配る映像に使ってよいか」の確認が増えます。
撮影業者に頼むときは、納品がディスクか動画ファイルか、本番から何日後に届くか、編集を終えた動画ファイルも受け取れるかを、見積もりの段階で決めます。動画ファイルが手元にあれば、あとで枚数を足すときや、ブルーレイで残し直すときの元になります。焼き増しや、別の店でディスクにすることを考えているなら、それも先に伝えて了解を得ておきましょう。見積もりで確かめる項目は、ダンス・バレエ発表会の映像をDVD・ブルーレイにする手順に表でまとめました。
撮る前に、会場の撮影の決まりと配る範囲を決める
ホールで撮るなら、会場の決まりと主催者の許可の両方が関わります。豊中市立文化芸術センターは、よくある質問で「各公演の主催者の許可がない撮影・録音・録画は固くお断りいたします」と答えています。北とぴあ(東京都北区)も、ホールと主催者の承認を得ない撮影・録音・録画を禁止しています。客席からの撮影を認めるかどうかは主催者が決め、来場者に案内します。
記録のための撮影を入れるなら、会場との打ち合わせで話しておきます。豊中市立文化芸術センターは、ホールを使う主催者と1か月ほど前に打ち合わせをし、その打合せ事項に「録音・録画について」を挙げています。カメラを据える場所、三脚を立てても通路や出入り口をふさがないか、電源を使えるか、会場の音響から録音用の音をもらえるか。こうした点は、この場で確かめます。
撮影の段取りと並行して、次のことも決めておきます。あとから変えると、曲の手続きや配る枚数のやり直しにつながるものです。
- 撮る範囲。全演目か一部か、リハーサルやカーテンコールも撮るか
- 配る相手。出演者の家庭、講師、主催者の保存分、別の家に住む祖父母の分まで含めるか
- インターネットに載せるか。載せないなら、受け取る家庭にもそう頼む
- 演目ごとの曲の一覧。曲名・作詞者・作曲者と、音が生演奏か市販の音源か
- 写る出演者の家庭に、撮影と配布の予定をいつ、どう知らせるか
曲と、写る出演者の扱いは、後半の2つの節で詳しく書きます。どちらもディスクを作る段階になってからでは間に合わないことがあるので、撮影の相談と同じ時期に動き始めてください。
ジャンルで変わること|音が主役か、舞台全体か、園や学校か
ジャンルで変わるのは、撮り方の重心と、配るときに関わる権利です。ピアノや合唱は音が主役で、ダンスや劇は舞台全体の動きが主役。市販の音源で踊った演目や、出版された脚本で演じた劇には、曲とは別の手続きが加わります。大きく3つに分けて、違うところだけを挙げます。
ピアノ・声楽・合唱・吹奏楽は、音の録り方と曲の保護期間
音が主役の発表会で取り返しにくいのは、録音の失敗です。ピアノは弱い音から強い音までの幅が広く、吹奏楽は大きな音が長く続きます。ソニーのハンディカム(FDR-AX45など)のヘルプガイドは、録音レベルを手動で合わせるときは、ヘッドホンで確かめながら操作するよう勧めています。連続した大きな音を撮り続けるなら、あらかじめレベルを低めにしておくと臨場感のある音声が記録できる、とも書かれています。リハーサルでは、いちばん大きな音が出る曲を実際に録って聞き直し、レベルを決めておきます。
権利の面では、手続きが軽く済むことの多いジャンルです。出演者が自分で弾き、歌った音には、市販のCDの音源の権利(レコード会社など)が関わりません。配るときの手続きは、曲の著作権が中心になります。曲の著作権は作者の死後70年まで続き(著作権法第51条)、JASRACも、原則として著作者の死後70年が経過した作品は手続きなく利用できるとしています。ただ、編曲して新しく創作した作品は、法律の上では元の曲とは別の著作物(二次的著作物)です(第2条1項11号)。編曲した楽譜で弾いた曲は、編曲した人の権利が残っていないかを確かめます。伴奏に市販のCDやカラオケの音源を使った演目は、その音源の許諾も要ります。
ダンス・バレエ・演劇は、舞台全体の撮り方と振付・脚本
ダンスやバレエ、劇は、舞台の端から端まで動く人を追う撮り方になります。舞台全体が入る引きのカメラを1台、演目の途中で止めずに回し、寄りはもう1台に任せる形が基本です。舞台照明の明るさにも気を配ります。ソニーのヘルプガイドは、シーンセレクションの「スポットライト」を、スポットライトを浴びている人物の顔などが白く飛んでしまうのを防ぐ設定として説明しています。機能の名前やあるなしは機種で違うので、リハーサルで本番の照明を当ててもらい、試し撮りを大きな画面で見て決めます。
権利では、曲とは別のものが加わります。市販のCDや配信の音源で踊った演目は、曲の許諾に加えて、音源の許諾をレコード会社などから別に得ます。既製の振付は、著作権法が著作物の例に挙げる「舞踊又は無言劇の著作物」(第10条1項3号)にあたることがあります。劇の上演を録画すると、法律の上では脚本の複製です(第2条1項15号イ)。外部に頼んだ振付や、出版された脚本で上演した作品は、配ることまで含めて、振付や脚本の権利を持つ側に確かめます。ダンス・バレエの撮影と会場・曲の段取りは、ダンス・バレエ発表会のDVD制作の手順で詳しく説明しています。
園や学校の発表会は、園や学校の決まりが先
生活発表会や学芸会、音楽会では、撮影と配布の決まりを園や学校が決めます。保護者の係が撮る場合も、撮れる場所と時間、映像を配ってよい範囲を、先に園や学校に確かめます。当日の歌や合奏、劇は、営利を目的とせず、入場無料で、出演者に報酬を払わなければ許諾なしにできます。文化庁の著作権テキストも、この例外(第38条)の例に「学校の学芸会」を挙げています。
一方で、学校の授業の例外(第35条)は、記念のディスクには使えません。文化庁は学校向けの冊子で、記念品として配る目的で行事の映像を残す場合は授業に当たらず、著作者や著作隣接権者などの許諾が必要だと説明しています。手続きが要る場面と要らない場面の一覧は学校行事の録画・DVD配布と著作権に、運動会や体育祭の映像を配る段取りは体育祭・運動会の映像をDVDで保護者に配る方法にまとめました。
撮った映像を、1本の完成した動画にする
ディスクにする前に、編集を終えます。引きと寄りのカメラの切り替え、会場の音響から録った音への差し替え、演目名の文字入れ、開演前の待ち時間や休憩、暗転の長い間を詰めるかどうか。ここまで済ませてMP4やMOVのような動画ファイルに書き出したものが、ディスクの元になります。渡すのは、編集アプリの作業ファイル(プロジェクト)ではなく、書き出した動画そのものです。
書き出しは、撮ったときの解像度のままで構いません。DVDにするからといって、先にDVDの大きさ(720×480)へ縮める必要はなく、ディスクの形への作り直しはディスクを作る段階で行います。第1部と第2部のようにファイルを分けるなら、ファイル名の頭に「01_」「02_」と番号を付けて、収録する順番をはっきりさせます。保護者がスマホを縦にして撮った動画を混ぜるなら、横長の画面にどう置くかを編集で決めておきます。HDRで撮られた動画は、書き出しの段階でSDRにして、色を自分の目で確かめてから渡してください。
書き出したら、最後まで通して見て、次の点を確かめます。
- 途中で止まったり、映像が飛んだりしないか
- 演目の順番と、演目名・出演者名の表記が、最終のプログラムと合っているか。欠場や曲目の変更も反映したか
- カメラを切り替えたところや長い公演の後半で、音と映像がずれていないか
- 音が割れていないか。演目ごとの音の大きさに差がありすぎないか
- 開演前の待ち時間や暗転の黒い画面、無音が長すぎないか
元の撮影データと、書き出した完成版の動画は、ディスクとは別の場所に2つ以上コピーを置いておきます。焼き増しをするときも、ブルーレイで作り直すときも、使うのはディスクではなくこの動画ファイルです。
演目ごとにチャプターを付け、メニューは部と演目で組む
チャプターは、ディスクの動画に付ける区切りの印です。リモコンの「次」を押すと次の区切りへ進み、メニューに一覧があれば、選んだ演目から再生できます。発表会なら演目ごとに1つが基本です。出演者が大勢いる発表会は、1人ずつではなく、クラスや部ごとにまとめて区切ると、一覧が長くなりすぎません。
区切る位置は、演奏や演技が始まる瞬間より少し前、司会の紹介や出演者が舞台に出てくるところにしておくと、どの演目かがすぐ分かります。時刻は、編集を終えた最後の動画を再生して測り、「時:分:秒」で書き出します。カットや並べ替えの前に測った時刻は、編集のあとでずれてしまいます。
- 00:00:00 開会のあいさつ
- 00:02:40 第1部 ピアノ独奏
- 00:48:15 第2部 合唱
- 01:12:30 第3部 講師演奏
- 01:31:05 閉会のあいさつ
メニュー画面は、ディスクを入れて最初に出る目次の画面です。演目の多い発表会なら、トップメニューに「全編を再生」「第1部」「第2部」を置き、その先のページに演目の一覧を並べると、見たい演目にたどり着きやすくなります。メニューは無くても作れて、チャプターが付いていれば、リモコンの「次」で演目を移れます。
チャプターやメニューに出す演目名は、最終のプログラムからコピーした文字で用意し、別の人にも読み合わせてもらいます。書き込んだあとで名前を直すには、ディスクを作り直すことになるからです。区切る数の目安と付け方はチャプター分けの付け方と数の目安に、メニューの出し方と組み方はブルーレイのメニュー画面の出し方と作り方に書きました。
DVDとブルーレイの分け方|全員にDVD、ブルーレイは希望する家庭に
映像の細かさは、DVDが720×480、ブルーレイが1920×1080です。フルHD以上で撮った舞台を大きなテレビで見ると、衣装の模様や表情に差が出ます。ただし、DVDプレーヤーではブルーレイを再生できません。ソニーの説明では、DVDプレーヤーの赤色レーザーではブルーレイの細かな記録を読みこめないためです。反対に、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くと、PS5(ディスクドライブ付き)・PS4は、DVDも再生できます。
出演者の家庭に配るなら、多くの家で見られるDVDを全員に渡し、ブルーレイは再生できる機器がある家庭にだけ作る形が基本です。ブルーレイの希望は、参加の申し込みや配布の案内のときに一緒に聞いておくと、枚数を一度に決められます。主催者や講師の手元に残す分は、見る機器があればブルーレイが向いています。
| 場面 |
選び方 |
出演者の 家庭に配る |
全員にDVD。 ブルーレイは 希望する家庭に。 |
主催者や 講師の保存用 |
見る機器があれば ブルーレイ。 元の動画ファイルも 残す。 |
2時間を 超える公演 |
第1部・第2部の 2枚に分けるか、 ブルーレイにする。 |
4Kで撮った 映像 |
ブルーレイでも 1920×1080になる。 4Kの元の動画は 別に残す。 |
会場で 上映する |
会場の機器で 読める形にする。 本番の前に 会場で試す。 |
長さも決め手になります。1層のDVD(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモードと同じくらいの画質で約2時間です。パナソニックのディーガの仕様表でも、片面4.7GBのDVDはSPモードで約2時間とされています。それより長い公演を1枚に詰めると画質を下げることになり、群舞のように画面全体が動く場面でブロック状のノイズが出やすくなります。2時間を超えるなら、第1部・第2部の2枚に分けるか、2層のディスクかブルーレイにします。カナダ保存研究所は、記録型のディスクは1層のほうが2層よりレコーダーやプレーヤーとの互換性がよいとしているので、相手の機器が分からないまま配るなら、2枚に分けるほうが確かです。
画質・容量・再生機器の違いはDVDとブルーレイの違いで、画質ごとに何分入るかはDVD・ブルーレイに何分入るかの早見表で詳しく比べています。
配る前に、1枚目を何台かの機器で最後まで再生する
配るDVDは、動画をプレーヤーで再生できる映像のDVD(DVD-Video)の形に組み立て、書き込んだらファイナライズまで済ませます。パナソニックは、ファイナライズしていないDVDは、作ったパソコンやレコーダー以外の機器では再生できないと説明しています。テレビ方式は日本のNTSCで作ります(ソニーのレコーダーの説明書は、NTSC以外の方式で記録したディスクは再生できないとしています)。ディスクはDVD-Rの1層を選びます。カナダ保存研究所によると、DVD-RはDVD+Rより、とくに古い機器やドライブで互換性がよいとされています。
条件をそろえても、1台で映らないことはあります。同じソニーの説明書にも、記録済みのDVD-Rなどは、記録状態や記録した機器・ソフトの特性などにより再生できないことがある、と書かれています。何十枚も配るなら、全部を作る前に1枚を作り、種類の違う機器で最初から最後まで再生してください。DVDだけのプレーヤー、ブルーレイのレコーダー、ゲーム機、と種類を変えて試し、配る家庭のうち何軒かにも先に見てもらえると、古いプレーヤーでの様子まで分かります。上映会を開くなら、会場の機器でも本番の前に試します。
- ディスクを入れて、本編かメニューが出るか。メニューから演目を選べるか
- リモコンの「次」で、演目の順にチャプターが進むか
- 最後の演目と閉会まで、止まらずに再生されるか。2層なら、層の切り替わりのあとも続くか
- 音が出るか。音と映像にずれがないか
- 演目名・出演者名・公演名の文字に誤りがないか
盤面には、公演名・団体名・公演日を入れておくと、何年たっても中身が分かります。2枚組なら「第1部」「第2部」を盤面とケースの両方に入れて、取り違えを防ぎます。曲の許諾番号やマークを表示するなら、盤面の原稿を作る前に受け取っておきます。多くの家のプレーヤーで見られるDVDの条件は、配るDVDを多くの家で見られるようにする作り方で機器ごとに確かめています。
曲の入った発表会の映像を配るときの手続き
当日の舞台で曲を演奏したり流したりすることと、その様子を録画してディスクにし、出演者に配ることは、著作権法では別の行為です。営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を払わない発表会なら、当日に曲を演奏する、曲を流して踊る、劇を演じることは許諾なしにできます(第38条1項)。文化庁の著作権テキストは、この例外の例に学校の学芸会や市民グループの発表会を挙げたうえで、条件の1つめに「「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれない」と書いています。
録画してディスクにすれば複製、配れば頒布です。頒布は、有償か無償かを問わず複製物を公衆に譲渡することで、公衆には特定かつ多数の人も含まれます(第2条)。無料で出演者の家庭に配る場合も、この例外は使えません。入場料を取る、出演者に報酬を払うといった、第38条の条件から外れる発表会は、当日の演奏そのものにも手続きが要ります。JASRACは、演奏会やダンス発表会、ミュージカル・演劇を、コンサート・イベント等での演奏の例に挙げ、その様子を収録したCD・DVDを作るときは別の手続きとして案内しています。
| 音や演目 |
配るときの手続き |
生演奏・ 生の歌 |
曲の許諾が中心。 作者の死後70年を 過ぎた曲は、 原則として要らない。 |
市販のCD・ 配信の音源 |
曲の許諾に加え、 音源の許諾を、 レコード会社などに 申し込む。 |
既製の 振付 |
振付の権利を 持つ側に、 配ることまで 含めて確かめる。 |
出版された 脚本の劇 |
脚本の作者や 出版社などの 許諾を得る。 |
市販の音源で踊った演目は、音源の許諾も要る
市販のCDや配信の音源には、作詞者・作曲者の著作権、歌手や演奏家(実演家)の権利、レコード製作者(レコード会社など)の権利の3つが含まれています(JASRAC・NexTone)。JASRACやNexToneが許諾するのは、このうち曲の著作権だけです。市販の音源で踊った演目や、劇中で市販のCDを流した場面を配るには、曲の許諾に加えて、音源の許諾をレコード会社などから別に得ます。NexToneは、先に音源の許諾を得てから申し込むよう案内しています。
市販の音源の代わりに、著作権フリーとして配られている音源を使う方法もあります。その場合は、映像に入れて配ってよいか、作者名などの表記が要るかを、配布元の規約で確かめます。規約で見るところは、結婚式の記事ですが結婚式ムービーのBGMと著作権に書きました。
申し込み先の調べ方と、許諾番号・マークの表示
曲を管理している団体は、JASRACの作品検索データベース「J-WID」で調べ、見つからなければNexToneの作品データベースで「ビデオ」の欄を確かめます。どちらにもない曲は、音楽出版社や作者に直接問い合わせます。JASRACの管理曲はオンラインの窓口「J-RAPP」から、NexToneの管理曲はクリアランスシステム「PlayN」の「利用許諾申請(ビデオグラム)」から、どちらもディスクを作る前に申し込みます。
許諾が出たら、JASRACの管理曲は許諾番号とロゴマークを複製物に、NexToneの管理曲は許諾マークを盤面やケースなど1か所に表示します。NexToneは、許諾を得た製品を追加で作る場合も、別に追加の申請が要るとしています。できた映像を上映会で流すことは、ディスクの手続きとは別に考えます。営利を目的とせず、観客から料金を取らない上映会なら第38条の範囲で、条件から外れるなら上映のための手続きが要ります(JASRAC)。判断に迷うときは、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
写っている出演者の了解と、配ったあとの扱い
発表会の映像には、ほかの家庭の子どもや出演者も写ります。肖像権は、自分の氏名や姿をみだりに他人に公開されない権利で、法律に定めはなく、判例によって確立されてきた権利です(文化庁の著作権テキスト)。扱いは、主催者の方針と、写る本人・保護者の意向を確かめながら決めます。主催者の側で準備できるのは、たとえば次のようなことです。
- 参加の申し込みの時点で、撮影することと、映像を配る相手と形を知らせ、了解をもらう
- 写ることを避けたい事情のある出演者がいれば、撮る人と編集する人に伝え、映し方や配る範囲を相談する
- ディスクと一緒に、家庭で見る範囲で使うこと、SNSや動画サイトに載せないことのお願いを渡す
受け取った家庭で、家族が見るためにその家の人がコピーするのは、私的使用のための複製(第30条)の範囲です。文化庁の説明では、家庭内など限られた範囲で使うために、使う本人が複製する場合の例外です。私的使用のために作ったコピーをほかの家庭に配ると、複製を行ったものとみなされます(第49条)。別の家に住む祖父母や親族に渡す分が私的使用に入るかは、一律には言えません。祖父母の分も含めて配る枚数を申し込んでもらい、その数で曲の手続きをしておけば迷わずに済みます。保護者から同意をもらう書面の作り方と文例は、園向けの記事ですが園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例にまとめています。
配る日から逆に数える段取りと、当社に頼むとき
配る日を先に決め、そこから逆に数えて、次の順に進めます。曲の手続きと家庭への知らせは、撮影より前に始めておきます。
- 演目と曲が決まったら、曲名・作詞者・作曲者と、音が生演奏か市販の音源かを書き出し、曲と音源の手続きを始める
- 撮影をだれが担うかを決める。業者に頼むなら、納品の形と時期、編集後の動画ファイルの扱いを見積もりで決める
- 会場と撮影の打ち合わせをする(豊中市立文化芸術センターでは1か月ほど前)
- 参加の申し込みに合わせて、撮影と配布の予定を家庭に知らせ、DVD・ブルーレイの希望と枚数を集める
- リハーサルで、本番の照明と音で試し撮りをする
- 本番。終わったら撮影データをすぐ2か所に写す
- 編集して動画ファイルに書き出し、演目の区切りの時刻とメニューの文字を用意する
- 許諾番号やマークを入れた盤面の原稿を作り、1枚目を作って何台かの機器で試してから、残りをそろえて配る
曲の手続きにかかる日数は、JASRACを書類で申し込むと許諾番号などの通知まで最低1週間ほど、NexToneは申請から許諾まで通常5営業日ほどと案内されています。当社の通常便は、受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付になり、土日祝の注文・入稿は翌営業日からの作業です。1枚目と残りを2回に分けて頼むなら、この日数を2回分見込みます。配る日が近いときは、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)からも選べます。
当社(ディスクメーカー・大阪・梅田)は、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、撮影はしていません。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。完成した動画は、ギガファイル便やGoogle ドライブなどの共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、スマホからも送れます。第1部・第2部のように何本かの動画を1枚に入れるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その順に収録します。
受け取った動画は、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。注文は1枚からです。
演目の区切りは、注文ページで「チャプター分け」を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の位置を「00:12:30」のような時刻で入れてください。1つ目は動画の冒頭(00:00:00)に自動で入り、1枚に最大50チャプターまでです。「メニュー画面作成」を選ぶと開く「メニュー画面のご希望(任意)」の欄には、「メニュータイトル」と「ご希望・備考」を書けて、空欄ならデザインは当社にお任せいただく形になります。許諾番号などを入れた盤面の画像は、盤面レーベル印刷を選ぶと開く欄にアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。配る相手の再生機器や配布日などの希望は、注文フォームの備考欄に書いてください。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円で、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。同じ内容のDVDを30枚作るなら、1枚目が基本料金、残りの29枚が追加コピーという数え方になります。DVDとブルーレイの両方を作るときや、第1部・第2部のように内容が違うディスクは、それぞれ1枚目から数えます。試しの1枚のあとで残りを頼む注文も、新しい注文の1枚目からです。
チャプター分け(1枚あたり)+1,500円と盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円は基本料金に含まれないオプションで、付けた枚数分かかります。メニュー画面作成とケース+背表紙印刷の金額は、料金表に載せています。
よくある質問
Q1. 発表会のDVDを作るとき、最初に何を決めればよいですか?
撮影をだれが担うか(撮影業者・主催者の係・保護者)と、会場の撮影の決まり、曲の手続き、写る出演者の家庭の了解の4つです。どれもディスクを作る段階では決め直しにくく、曲の手続きはディスクを作る前に済ませます。撮ったあとは、編集して1本の完成した動画にし、演目ごとにチャプターを付け、全員に配るDVDと、希望する家庭のブルーレイを作ります。
Q2. 保護者が客席から撮った動画を、DVDにして出演者全員に配ってもいいですか?
家族が見るために撮ったぶんは私的使用(第30条)の範囲ですが、それを複製してほかの家庭に配ると、その範囲を超えます。配るなら、曲(JASRAC・NexToneなど)と市販の音源(レコード会社など)の手続きをし、写っている出演者の家庭の了解を得て、撮った保護者にも映像を使ってよいかを確かめます。主催者の許可のない撮影を断っている会場もあります。
Q3. 入場無料の発表会なら、DVDにして配るのに手続きはいりませんか?
営利を目的とせず、入場無料で、出演者に報酬を払わない発表会なら、当日に曲を演奏したり流したりするのは許諾なしにできます(第38条1項)。ただし、この例外に「複製・譲渡」は含まれず(文化庁の著作権テキスト)、録画してディスクにし、配るのは別の話です。頒布は有償か無償かを問わないので、無料で配る場合も同じです。
Q4. ピアノの発表会でクラシックの曲だけを弾いた場合も、手続きが要りますか?
作曲者が亡くなって70年を過ぎた曲は、原則として手続きなく使えます(第51条。JASRACも「原則」としています)。出演者が自分で弾いた音なら、市販の音源の許諾も関わりません。ただし、編曲した楽譜で弾いた曲は、編曲した人の権利が別にあることがあります。伴奏に市販のCDやカラオケの音源を使った演目は、その音源の許諾が要ります。迷う曲は、J-WIDなどの作品データベースで確かめます。
Q5. 劇の発表会を録画して配るときは、何に気をつければいいですか?
劇の上演を録画すると、法律の上では脚本の複製になります(第2条1項15号イ)。出版された脚本や、外部の人に頼んだ脚本で上演した劇は、配ることまで含めて、脚本の作者や出版社などの許諾を得ます。劇中で市販のCDの曲を流した場面は、曲と音源の許諾も要ります。出演者や主催者が自分で書いた脚本なら、書いた人が作者です(著作者は著作物を創作する者。第2条)。
Q6. 発表会のディスクは、DVDとブルーレイのどちらで配ればいいですか?
出演者の家庭に配るなら、全員にDVDが基本です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できず、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くと、PS5(ディスクドライブ付き)・PS4はDVDも再生できるからです。ブルーレイ(1920×1080)はDVD(720×480)より細かく残せるので、再生できる機器がある家庭や、主催者の保存用に、希望を聞いて作ります。
Q7. 2時間を超える発表会は、DVD1枚に入りますか?
1層のDVD(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモード相当の画質で約2時間です。それより長い公演を1枚に詰めると画質を下げることになり、群舞のように画面全体が動く場面でノイズが出やすくなります。第1部・第2部の2枚に分けるか、2層のディスクかブルーレイにします。2層のDVDは再生できない機器が出やすいので、配るなら2枚に分けるほうが確かです。
Q8. 演目ごとのチャプターは、どう指定すればよいですか?
編集を終えた最後の動画を再生して、各演目が始まる少し前の経過時間を「00:12:30」のように書き出します。司会の紹介や入場から始まると、どの演目かがすぐ分かります。当社の場合は、注文ページでチャプター分けを選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の時刻を入れます(1つ目は冒頭に自動で入り、最大50チャプター)。演目が多ければ、クラスや部でまとめます。
Q9. あとから配る枚数を足したいときは、どうすればいいですか?
編集を終えた動画ファイルが残っていれば、同じ内容で作り足せます。当社の場合、後日の追加注文は新しい注文の1枚目から数え、2枚目からが追加コピーです。曲の許諾を得ているなら、足す枚数の手続きも確かめます。NexToneは、許諾を得た製品を追加で作る場合も別に追加の申請が要るとしています。最初の申し込みの段階で予備の枚数も決めておくと、足す回数を減らせます。
Q10. ディスクメーカーに発表会の撮影も頼めますか?
当社は撮影をしていません。撮影と編集は撮影業者や主催者の側で済ませ、完成した動画ファイルをお送りください。ギガファイル便などの共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、プレーヤーで見られるDVD・ブルーレイに組み立てて、実際のプレーヤーで再生を確かめてから発送するか店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
Q11. カラオケ大会や民謡の発表会の記録も、同じようにDVDにして配れますか?
同じ進め方で配れます。会場の撮影の決まりと配る範囲を先に決め、1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえます。カラオケの伴奏で歌った演目は、市販の音源で踊った演目と同じく、曲の許諾に加えて、伴奏の音源の許諾が要ります(この記事の「市販の音源で踊った演目は、音源の許諾も要る」)。三味線や尺八を生で演奏した民謡なら、曲の許諾が中心です。昔から歌われてきた民謡でも、編曲した人の権利が残っていることがあるので、JASRACやNexToneの作品データベースで確かめます。
参考にした公式の情報
法律の運用や各団体の手続き、会場の決まり、機器の仕様は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月26日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、会場や主催者、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
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