この記事の要点
- 部活動の引退ムービーをディスクにするなら、見る人の機器でDVDかブルーレイかを決めます。DVDプレーヤーではブルーレイを見られず、ブルーレイの機器やPS5・PS4はDVDも再生できます。
- 配る相手の機器が分からないならDVD、ブルーレイの機器がある家庭やフルHDのまま残したいときはブルーレイ。追いコンで流す分は会場の機器に合わせ、本番前に試写します。
- 編集したら、撮った解像度とフレームレートのままMP4などに書き出し、そのファイルを最初から最後まで通しで見て、誤字・音のずれ・色を確かめてからディスクにします。
- 市販の曲を入れるなら、作詞・作曲の著作権と、音源(歌手・レコード会社)の権利の手続きが要ります。JASRACは、クラブ活動で動画に曲を入れることも、それを配ることも手続きの対象としています。
- 当社を含め、店にディスクを頼むときは、曲の手続きが済んでいることが前提です。手続きにかかる日数とディスクの納期を、追いコンの日から逆算して進めます。
最後の大会が終わり、引退する3年生のために、後輩たちでムービーを作る。追いコン(追い出しコンパ)や引退式で流したあと、先輩と家族には記念のディスクを渡したい。そう決めたときに最初に考えるのが、DVDにするかブルーレイにするかです。
決め手は、見る人の家にある機器です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できませんが、ブルーレイのプレーヤーやレコーダー、PS5(ディスクドライブ付き)とPS4はDVDも再生できます。配る相手の機器が分からないならDVD、ブルーレイの機器がある家庭や、フルHDの細かさで残したいときはブルーレイ。どちらにする場合も、編集を終えたら動画ファイルに書き出し、最初から最後まで通しで見て、誤字や音のずれがないことを確かめてからディスクにします。
もう一つ、市販の曲をBGMに使うなら、曲の手続きが要ります。会場でCDをそのまま流すことは、非営利・無料などの条件がそろえば手続きなしでできます。一方、曲を動画に入れること、それをディスクにして部員に配ることは「複製」で、その例外に入りません。作詞・作曲の著作権のほかに、CDや配信の音源には歌手やレコード会社の権利もあります。当社を含め、店にディスクを頼むときは、この手続きが済んでいることが前提です。
DVDとブルーレイ、どっちにする?見る人の機器で決める
DVDプレーヤーでブルーレイが映らないのは、読み取りの仕組みが違うからです。ソニーの説明では、DVDプレーヤーの赤色レーザーではブルーレイの細かな記録を読み込めず、ハイビジョンの映像を解読する仕組みも積んでいません。反対の向きは問題なく、ソニーのBDP-S1700のようなブルーレイプレーヤーの仕様を見ると、再生できるディスクにDVDビデオやDVD-Rが並んでいます。PS5(ディスクドライブ付き)とPS4も、ブルーレイとDVDの両方を再生できます。
映像の細かさは、DVDが720×480、ブルーレイが1920×1080までで、画素の数は6倍違います。スマホで撮ったフルHDの映像も、DVDにすると720×480に縮めて入ります。追いコンの会場のように大きなスクリーンに映すと、1つの画素が大きく引き伸ばされるので、DVDの粗さは目に付きやすくなります。場面ごとの選び方は、次のとおりです。
| 場面 |
選び方 |
機器が 分からない 先輩・家族 |
DVD |
ブルーレイの 機器がある 家庭 |
ブルーレイも 作れる |
追いコンの 会場で流す |
会場の機器に 合わせる |
大きな スクリーンに 映す |
会場で 再生できるなら ブルーレイ |
2時間を 超える |
ブルーレイ。 DVDなら 2層か2枚 |
部の 保管用 |
見る機器に 合わせ、 元の動画ファイルも 残す |
パソコンで見る人は、ドライブと再生ソフトがそろっているかを確かめます。ブルーレイなら、ブルーレイに対応したドライブが要ります。画質・容量・再生機器の違いはDVDとブルーレイの違いで詳しく比べています。
追いコンの会場で流すディスクは、会場の機器に合わせる
会場で流すディスクは、会場の再生機器に合わせます。学校の視聴覚室、公民館、飲食店の宴会場など、追いコンの会場はさまざまで、ブルーレイを再生できる機器があるとは限りません。幹事や会場の担当の方に、プレーヤーがDVDかブルーレイか、プロジェクターやテレビへのつなぎ方、パソコンを持ち込めるかを聞いておきます。
自分で書き込んだDVD-RやBD-Rは、市販のディスクより確かめる点が増えます。ソニーのレコーダーの説明書にも、記録済みのBD-RやDVD-Rは、記録の状態や記録した機器・ソフトの特性によって再生できないことがあると書かれています。本番と同じ機器で最初から最後まで流す試写を、前日ではなく、数日前までに入れておきましょう。
3年生や家族に配るなら、DVDが基本
配るディスクは、相手の機器が分からないならDVDにします。DVDはDVDプレーヤーでもブルーレイの機器でも見られますが、ブルーレイはDVDプレーヤーでは見られないからです。フルHDの細かさで残したい家庭や、ブルーレイの機器がある家庭には、ブルーレイを作ります。全員にDVDを配り、希望する家庭にだけブルーレイも作る、という分け方もできます。
追いコンの日から逆算して、準備を進める
引退ムービーで日数がかかるのは、編集そのものより、素材集めと曲の手続き、ディスクの手配です。追いコンや引退式の日が決まったら、そこから逆に数えて予定を組みます。2か月ほど前から動き始める場合の目安を表にしました。
| 時期の目安 |
やること |
| 2か月前 |
係と上映時間を 決め、素材を 集め始める |
| 1か月半前 |
素材の締め切り。 使う曲を決めて、 手続きを申し込む |
| 1か月前 |
編集を終えて 書き出し、 係で通しで見る |
| 3週間前 |
直しを終えて ディスクを作る。 店に頼むなら 入稿する |
1週間〜 数日前 |
会場の機器で 試写する |
曲の手続きは、ディスクを作る前に済ませます。JASRACは、書類で申し込むと許諾番号の通知まで最低1週間ほどかかるとし、NexToneは申請から許諾まで通常5営業日ほどと案内しています。店にディスクを頼むなら、発送までの日数と届くまでの日数も、試写の日から差し引いておきます。
作業は1人で抱えないようにします。その人の都合で手が止まると、全体が止まるからです。素材係・編集係・上映係・配布係のように役を分け、編集したものは2人以上で見ると、名前の誤字や間延びした場面に気づきやすくなります。
素材は部員と保護者から、元の画質のまま集める
引退ムービーの素材は、部員や保護者、顧問の先生のスマホやカメラに分かれて残っています。「動画があれば送って」と呼びかけるだけでは、何年分ものカメラロールから探す手間がかかり、思うように集まりません。最後の大会、公式戦、合宿、ふだんの練習、部室のひとこまのように、時期と場面を挙げて頼みます。1人あたりの上限(写真10枚・動画3本まで、など)を決め、締め切りを2回に分けると、足りない場面に早く気づけます。シーズン中の大会や遠征を係を決めて撮り、元のファイルを集めておく方法は、部活の大会・遠征を動画で記録する|撮影の決まり・当番・配り方と残し方にまとめました。
受け取り方は、ファイルをそのまま受け渡せるサービスにします。ギガファイル便なら、アップロードの前に保持期限を3・5・7・14・30・60・100日から選べて、初期設定は5日です。アップロードしたあとで延ばしたり変えたりはできないので、送る人には長めの期限を選んでもらい、係は届いたURLから早めにダウンロードします。LINEで受け取った動画が元のファイルと同じかどうかの確かめ方は、LINEで送った動画の画質と、元の画質で渡す方法で説明しています。
3年生全員が同じくらい写るようにする
写真をよく撮る家庭の3年生は多く写り、あまり撮らない家庭の3年生は少なくなります。この偏りは、集め終わってからでは直せません。縦に3年生の名前、横に大会や時期を並べた表を作り、素材が届くたびに印を付けていくと、足りない人が早く分かります。空いたところは、同級生や本人の家族に頼み直します。
大会の写真、テレビ中継、ほかの人が撮った映像を使うとき
写真も、著作権法で守られる著作物です(第10条に「写真の著作物」が挙がっています)。大会で販売された写真や、新聞・学校の広報誌に載った写真を使うなら、撮った人や販売元・掲載元の利用条件を確かめます。テレビ中継の映像には、放送局が録画や複製をする権利を持っています(第98条)。当社は、テレビ番組の録画や、ほかの人がネットに上げた動画など、他人の著作物の複製をお引き受けしていません。ムービーには、自分たちで撮った映像を使ってください。
映像には、相手チームの選手や観客、写りたくない部員も写ります。肖像権は法律に定めがなく、判例で確立されてきた権利です。文化庁は学校向けの冊子で、他人の肖像を使うときは、あとでトラブルにならないよう、事前に本人や保護者の承諾を得ておくよう勧めています。ディスクを配る範囲と、SNSなどに載せないことを、部員と保護者に先に伝えておきます。
引退ムービーの構成|3年生を同じ長さで紹介する
上映時間は、追いコンの幹事や顧問の先生に、ムービーに使える時間を聞いて決めます。長さは3年生の紹介から逆算すると決めやすく、1人20秒で12人なら4分、30秒なら6分です。残りの時間を、オープニングや大会の場面に割り振ります。基本の組み立ては次のとおりです。
| 場面 |
入れるもの |
| オープニング |
部の名前・年度・ ムービーの題名 |
3年生の 紹介 |
1人ずつ同じ長さで、 名前・ポジション・ 一言 |
大会と 練習 |
最後の大会、公式戦、 合宿、ふだんの練習 |
| 感謝 |
顧問の先生・ コーチ・保護者へ |
| 後輩から |
後輩からの メッセージ |
| エンディング |
集合写真と、 曲名・作者名の エンドロール |
3年生の紹介は、全員を同じ秒数、同じ写真の枚数、同じ文字の量にそろえます。並び順は背番号順や五十音順のように、理由を説明できる決め方にしておくと、見ている家族の受け止め方に差が出にくくなります。紹介に入れる項目や写真の選び方、会場での上映の確かめ方は、スポーツ少年団向けの記事ですが卒団ムービーの作り方に詳しく書きました。
音と文字にも気を配ります。練習と試合の動画では音の大きさがばらばらで、BGMを重ねると部員の声や監督の言葉が聞こえにくくなります。声が入る場面ではBGMを下げ、試写のときに会場のスピーカーで聞き直してください。テロップは会場の後ろの席から読める大きさにします。名前の漢字は名簿と照らし合わせ、編集に加わっていない部員にも見てもらいます。
BGMの著作権|追いコンで流すのと、ディスクにして配るのとでは違う
市販の曲を使いたいときは、「会場でCDを流す・ムービーを上映する」ことと、「曲を動画に入れる・ディスクにして配る」ことを分けて考えます。著作権法の上では、前の2つは演奏・上映にあたり、あとの2つは複製とその配布にあたるため、扱いが違います。
CDや音楽配信で売られている曲には、作詞者・作曲者の著作権と、歌手や演奏家(アーティスト)の著作隣接権、その音を録音したレコード製作者の著作隣接権の、3つの権利が含まれています(JASRAC)。JASRACやNexToneが許諾するのは作詞・作曲の著作権で、CDや配信の音をそのまま使うなら、レコード会社などの許諾が別に要ります(NexTone)。場面ごとの扱いは、次のようにまとめられます。
| 使い方 |
手続き |
会場で CDを流す・ 上映する |
営利なし・料金なし・ 報酬なしなら 要らない(第38条) |
曲を動画に 入れる |
JASRACは クラブ活動では 要るとしている |
ディスクで 配る |
要る。 無料で配る場合も |
市販の 音源を使う |
曲の手続きに加えて、 レコード会社などの 了解も要る |
家族が撮って 家で見る |
要らない (私的使用) |
店に ディスクを 頼む |
曲の手続きが 済んでいることが 前提 |
会場でCDを流す・ムービーを上映するのは、条件がそろえば手続きなし
著作権法第38条1項は、営利を目的とせず、聴衆や観衆から料金を受けず、出演者に報酬を払わない場合に、公表された著作物を上演・演奏・上映できると定めています。文化庁の学校向けの冊子で、この規定を説明する節の見出しは「文化祭、部活動などでの上演等」です。JASRACの学校向けの解説も、クラブ活動で「生徒だけで無料のビデオ上映会をする」ことを、手続きの要らない例に挙げています。市販のCDを会場でそのまま流すことも、法律上は「演奏」です(第2条7項)。
迷いやすいのは、会費を集めて開く会です。文化庁は、名目を問わず、著作物を見せる対価の性格があるものを「料金」とし、集めたお金を会場費に充てる場合も含めています。一方で、子供会の演奏会で茶菓子代を集める場合のように、上映や演奏の対価でないものは当たらないとも説明しています。会費が何の対価かで判断が分かれるので、迷うときはJASRACに確かめてください。文化庁の冊子は、原則として曲名や作者名などの「出所の明示」をすることも条件に挙げています。エンドロールに曲名と作詞者・作曲者を入れておくと、示し方として分かりやすくなります。
ただし、この例外で認められるのは、流すことと上映することまでです。上映するムービーを作るとき、曲を動画に入れる作業は、次の複製にあたります。
曲を動画に入れる・ディスクで配るのは「複製」
曲を動画に入れることは、音を記録する「録音」で、著作権法では「複製」です(第2条)。ムービーをディスクに焼くことも複製で、文化庁の説明のとおり、第38条の例外に「複製・譲渡」は含まれません。JASRACの学校向けの解説は、中学・高校などのクラブ活動は、学校の活動であっても教育課程上の「授業」にはあたらないとしています。そのうえで、発表会用のスライドショーに曲を入れること、作った動画をコピーしてみんなに配ることを、手続きが要る例に挙げています。市販のCDの音を使うなら、レコード会社や演奏者の了解も必要です。
クラブのみんなに配るための録画は、販売する場合はもちろん、無料で配る場合も手続きが要ります(JASRAC)。NexToneも、課外活動や卒業記念のCD・DVDを作って生徒に配るには、事前に権利者の許諾が要ると案内しています。引退ムービーのディスクを部員や先輩の家庭に配るのは、この「配る」ほうの使い方です。
部活動は授業の例外(第35条)に入るか
学校では、先生と生徒が授業の過程で使うために、必要な範囲で許諾なしに複製できます(第35条)。この「授業」に部活動が入るかは、公式の説明が分かれています。前の節のとおりJASRACはクラブ活動を授業にあたらないとし、文化庁の学校向けの冊子は、第35条の「授業」の例に、学校行事などの特別活動と並べて部活動を挙げています。追いコンで流すためだけに先生や部員が作る場合の扱いは、顧問の先生を通して学校に確かめるか、JASRACに問い合わせてください。
記念に配るディスクについては、公式の説明の向きがそろっています。文化庁の冊子は、学校行事などの映像を記念品として配る目的で保存するのは授業に当たらず、許諾が要るとしています。JASRACの先生向けの資料にも、学校行事の記念のためにCD・DVDを生徒に配るのは、授業の過程での使用ではないため第35条に当たらない、という説明があります。大学の部やサークルは、文化庁の冊子で「高等教育での課外活動(サークル活動など)」として、授業に当たらない例に入っています。保護者会やOB会が作るムービーも、先生と生徒による利用を定めた第35条の外にあります。
家族で見る分と、店に頼む分
家庭の中で楽しむための複製は、第30条の私的使用として許諾なしにできます。文化庁の説明では、家庭内など限られた範囲で、仕事以外で使うために、使う本人が複製することが条件です。JASRACも、家族が発表会を撮って家で見るのは手続き不要としながら、作った動画をコピーしてみんなに配るのは手続きが要る例に入れています。
当社を含め、店にディスクの作成を頼むときは、曲の手続きが済んでいることが前提です。当社がお引き受けできるのは、自分たちで撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画だけです。
校歌・応援歌の扱いと、曲の手続きの申し込み方
引退ムービーには、試合のあとに歌う校歌や、スタンドの応援が入ることがあります。どちらにも作詞者と作曲者がいるので、ほかの曲と同じように、誰が権利を管理しているかを確かめます。窓口は、曲を管理している団体で分かれます。
校歌・応援歌を入れるとき
JASRACが管理している曲かどうかは、作品検索データベース「J-WID」で調べられます。ただ、J-WIDには管理曲のすべてが載っているわけではありません。JASRACは、校歌が見つからないときは作詞者・作曲者の名前で検索し直し、その作家がJASRACの会員・信託者かどうかを確かめるよう案内しています。学校のホームページに自校の校歌を載せる場合に、申込書を出せば使用料を当分の間免除する扱いもありますが、これはホームページへの掲載に限ったものです。ディスクに入れるなら、ほかの曲と同じ手続きになります。
作詞者・作曲者が亡くなった年の翌年から数えて70年を過ぎた曲は、著作権の保護期間が終わっています(第51条・第57条)。JASRACも、原則として著作者の死後70年が経過した作品は手続きなく使えると案内しています。古くからある校歌は、作者と亡くなった年を学校に確かめてみてください。
部員が自分たちで歌い、演奏した音なら、市販のCDにある歌手やレコード会社の権利は関わりません。NexToneも、結婚式の音楽の案内で、自分たちで歌ったり演奏したりした音源を使うなら、曲の著作権の手続きだけでよいとしています。一方、JASRACは運動会の例で、応援のために楽器を演奏することは手続き不要としながら、学校が録画して保護者などに配るには手続きが要るとしています。応援の演奏や歌が入った試合の映像をディスクにして配るなら、その曲の扱いも確かめておきます。
JASRAC・NexToneへの申し込み
手続きは曲ごとに、ディスクを作る前に行います。JASRACの管理曲は、J-WIDで「複製」の「映像ソフト」の区分を確かめ、オンラインの窓口「J-RAPP」から申し込みます。NexToneの管理曲は、作品データベースで「ビデオ」の欄を確かめ、初回に利用者情報を登録してから、PlayNの「利用許諾申請(ビデオグラム)」で申請します。許諾が出ると、JASRACからは許諾番号とロゴマーク、NexToneからは許諾マークと許諾番号が届きます。何をどこに表示するかは、「盤面とケースに入れる文字」の節で説明します。
どちらの団体も管理していない曲は、音楽出版社や作者に直接問い合わせます。使用料の計算方法や、学校関係者が申し込むときの流れは学校行事の録画・DVD配布と著作権にまとめています。
手続きが難しいときは、配るディスクの曲を選び直す
手続きが間に合わない、音源の許諾が得られない、というときは、ディスクに入れる曲を選び直します。考えられるのは、次のような方法です。
- ムービーは曲を入れずに作り、追いコンの会場では市販のCDをそのまま流す(配るディスクには、曲のない版か、別の音源に替えた版を入れる)
- 利用規約で、動画に入れてディスクで配ることが認められた音源を使う(作者名の表記が要るかも規約で確かめる)
- 試合の歓声やベンチの声、部員が自分たちで演奏した音を生かす
「著作権フリー」とされる音源も、使ってよい範囲は規約で決まります。文化庁もイラストの例で、「著作権フリー」などの表示があっても利用の条件が決められている場合があるとして、条件をよく確かめるよう呼びかけています。規約で見るところは、結婚式の例ですが結婚式ムービーのBGMと著作権で詳しく説明しました。
編集アプリに入っている音楽も、使える範囲はアプリの規約しだいです。Mac版iMovieの使用許諾契約は、付属のオーディオの用途を「個人的、非営利的な用途のみ」に限っています。CapCutの素材利用規約も、音楽ライブラリの曲を入れてよいのは、個人の楽しみのための非商用の動画としています。部の追いコンで流す、ディスクにして配る、という使い方がこれに当たるか分からないときは、提供元に確かめるか、別の音源を選びます。
書き出したら、最初から最後まで通しで見る
編集を終えたら、動画ファイルとして書き出します。撮ったときの解像度とフレームレートのまま、十分な画質のMP4(H.264)かMOVにすれば足ります。DVDにするからといって、先に720×480に縮める必要はありません。ディスクの形への変換は、ディスクを作る段階(オーサリング)で行うからです。ソフトごとの書き出しの手順はDVD・ブルーレイ用の書き出し設定にまとめました。
対応するモデルのiPhoneは、ドルビービジョンのHDRでビデオを撮ります(Apple)。HDRのままの動画をディスクにすると、明るさや色の見え方が変わることがあります。書き出しの段階でSDRにして、色を確かめてから渡しましょう。iPhoneのiMovieなら、書き出しの「オプション」で「HDR」をオフにします。Appleも、ほとんどの機器で見られるようにするにはオフにするよう案内しています。
書き出したら、編集画面のプレビューではなく、書き出したファイルそのものを最初から最後まで再生します。見ておきたいのは次の点です。
- 止まらずに最後まで再生できるか。長さが編集した長さと合っているか
- 冒頭・中ほど・終わりで、口の動きと声がずれていないか
- テロップの誤字、3年生の名前の漢字、背番号や学年
- 画面の端で文字が切れていないか。縦横の比が合っているか
- 場面が変わったときに、音の大きさが急に変わらないか
- HDRで撮った動画なら、色が薄くなったり白く飛んだりしていないか
書き出したファイルと編集のプロジェクトは、ディスクを作ったあとも消さずに残しておきます。追いコンの直前に誤字が見つかっても直せますし、あとでディスクを追加するときにも同じファイルを使えます。自分でDVDに焼く場合は、ファイルをDVD-Rにそのままコピーするのではなく、DVDプレーヤーで映るDVD-Videoの形に組み立ててから書き込みます。無料のソフトで焼く手順は、結婚式ムービーをDVDに焼く方法に書きました。
盤面とケースに入れる文字
同じ見た目のディスクが何枚も並ぶので、盤面に何のディスクかを入れておくと、取り違えずに済みます。入れる文字の例です。
- 学校名と部の名前、年度(「2026年度 引退記念」など)
- ムービーの題名と、収録時間
- DVDかブルーレイか(両方作るときは特に)
- 曲の手続きをしたときの、JASRACの許諾番号とロゴマーク、NexToneの許諾マーク
JASRACは、メールで届く許諾番号とロゴマークを、ディスクなどの複製物に表示するよう案内しています。NexToneは、許諾マークを盤面かケース・パッケージの1か所に表示すればよいとし、許諾番号の表示は要らないとしています。表示のしかたは、それぞれの案内に従ってください。
当社の盤面レーベル印刷は、画像の入稿が必要です。盤面レーベル印刷を選ぶと開く欄に、仕上げた画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。部の名前や年度、写真は部の側で1枚の画像にまとめ、名前や数字の誤りを2人以上で確かめてから入稿します。注文の流れはDVD・CDの盤面印刷|方式の違い・デザインの例・データの作り方と頼み方で確かめられます。
何枚作るか、1枚に入るか
配る枚数は、3年生のほか、顧問の先生やコーチ、部の保管用まで含めて数えます。保護者から祖父母の分などの希望が出ることもあるので、希望を集めて配布先のリストを決めてから手配します。曲の手続きも、作る枚数を決めて申し込みます。NexToneは、許諾を得た製品を追加で作るときは、別に追加の申請が要るとしています。
長さの面では、十数分から1時間ほどのムービーなら、DVDでもブルーレイでも1枚に収まります。4.7GBのDVDに入るのは、レコーダーのSPモードと同じくらいの画質で約2時間です(パナソニック)。3年間の試合をまとめて2時間を超えるときは、ブルーレイにするか、2層のDVDにするか、2枚に分けます。2層のディスクを選ぶときの注意は、2層式DVD・ブルーレイの容量と、再生できない機器の確かめ方にまとめました。
部の保管用には、ディスクのほかに、書き出した動画ファイルと使った写真の一式も残します。翌年の係が構成を考える手がかりになり、あとでディスクを追加で作るときにも使えます。
当社に引退ムービーのディスクを頼むとき
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、注文は1枚から受けています。完成した動画ファイルを受け取り、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で作ります。
- 完成した動画(MP4・MOVなど)をギガファイル便やGoogle ドライブ、Dropboxなどにアップロードし、共有URLを注文フォームに貼る。スマホからも入稿でき、ファイルが複数あるときは名前の頭に「01_」「02_」を付けて収録の順を指定する
- 盤面に部の名前や写真を入れるなら、盤面レーベル印刷を選び、開いた欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れる
- 配る相手の再生機器や追いコンの日など、ほかの希望は注文フォームの備考欄に書く
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円で、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円は、付けた枚数分かかります。DVDとブルーレイの両方を作るときはそれぞれ1枚目から数え、後日の追加注文も新しい注文の1枚目から数えます。
納期は、通常便なら受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付になり、発送までの日数は土日祝と休業日を除いて数えます。追いコンに間に合わないときは、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)のオプションがあります。発送はクリックポスト(追跡番号あり)で、速達郵便のオプションもあります。
お引き受けできるのは、自分たちで撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画です。市販の曲を入れたムービーは曲の手続きが済んでいることが前提で、テレビ中継の録画など、他人の著作物の複製はお引き受けできません。注文の前に確かめたいことは、相談・問い合わせフォームから送ってください。
よくある質問
Q1. 部活の引退ムービーは、DVDとブルーレイのどちらで作ればいいですか?
見る人の家にある機器で決めます。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できませんが、ブルーレイのプレーヤーやレコーダー、PS5(ディスクドライブ付き)とPS4はDVDも再生できます。配る相手の機器が分からないならDVD、ブルーレイの機器がある家庭や、フルHDのまま残したいときはブルーレイです。全員にDVDを配り、希望する家庭にだけブルーレイも作る分け方もできます。
Q2. 追いコンで流すムービーに、市販の曲を使ってもいいですか?
会場でCDをそのまま流したり、ムービーを上映したりするのは、営利を目的とせず、料金を取らず、出演者に報酬を払わない場合は手続きなしでできます(第38条)。ただ、曲を動画に入れるのは複製です。JASRACの学校向けの解説は、クラブ活動で発表会用のスライドショーに曲を入れることにも手続きが要るとしています。市販の音源なら、レコード会社などの了解も要ります。
Q3. 引退ムービーのディスクを無料で配るだけでも、曲の手続きは要りますか?
要ります。JASRACは、クラブのみんなに配るための録画は、販売する場合はもちろん、無料で配る場合も手続きが要るとしています。NexToneも、課外活動や卒業記念のCD・DVDを作って生徒に配るには、事前に権利者の許諾が要ると案内しています。手続きはディスクを作る前に行い、届いた許諾番号やマークを盤面などに表示します。
Q4. 校歌や応援歌をムービーに入れるときも、手続きは要りますか?
校歌や応援歌にも作詞者と作曲者がいるので、ほかの曲と同じく、管理しているところを確かめます。JASRACは、J-WIDに校歌が見つからないときは、作詞者・作曲者の名前で検索し直すよう案内しています。校歌の使用料の免除は、学校のホームページに載せる場合に限った扱いです。作者の死後70年を過ぎた曲は、保護期間が終わっています(第51条)。
Q5. CapCutなど編集アプリに入っている曲なら、ディスクにして配れますか?
使える範囲は、アプリの規約で決まります。CapCutの素材利用規約は、音楽ライブラリの曲を入れてよいのを、個人の楽しみのための非商用の動画としています。Mac版iMovieの使用許諾契約も、付属のオーディオの用途を「個人的、非営利的な用途のみ」に限っています。部の追いコンで流す、ディスクにして配る使い方がこれに当たるか分からないときは、提供元に確かめるか、別の音源を選びます。
Q6. 引退ムービーは何分くらいにすればいいですか?
追いコンの幹事や顧問の先生に、ムービーに使える時間を先に聞いて決めます。長さは3年生の紹介から逆算すると決めやすく、1人20秒で12人なら4分、30秒なら6分です。そこにオープニングや大会の場面、感謝の場面を足していきます。入れたい場面が収まらないときは、会場では短い版を流し、配るディスクにだけ長い版を入れる分け方もあります。
Q7. 追いコンまで日がないとき、ディスクはいつまでに頼めばいいですか?
当社の通常便は、受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付で、発送までの日数に土日祝は数えません。間に合わないときは、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(同じく翌々日までに発送)、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)のオプションがあります。試写の日も考えて入稿の日を決めてください。
Q8. 盤面に部の名前や集合写真を入れられますか?
入れられます。当社では、盤面レーベル印刷を選ぶと開く欄に、盤面の画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れていただきます。部の名前や年度、写真は、部の側で1枚の画像にまとめて入稿します。曲の手続きをしたときは、JASRACの許諾番号とロゴマーク、NexToneの許諾マークも、それぞれの案内に従って入れてください。
Q9. あとから同じディスクを追加で頼めますか?
同じ動画ファイルを入稿していただければ作れます。同じ注文の中なら2枚目から追加コピーの料金になりますが、後日の追加注文は、新しい注文の1枚目から数えます。書き出したファイルは部で保管しておいてください。曲の手続きをしたときは、増やす枚数の分の手続きも確かめます。NexToneは、許諾を得た製品を追加で作るときは、別に追加の申請が要るとしています。
Q10. スマホで縦に撮った動画も、ムービーに使えますか?
使えますが、横長のスクリーンやテレビに映すと、左右が黒くなります。縦の動画ばかりが続くと画面が小さく感じるので、横に撮った動画と組み合わせると見やすくなります。これから撮る分は、素材を頼むときに、部員や保護者に横向きで撮ってもらうよう伝えておきます。画面の比の合わせ方は、動画のアスペクト比と、16:9・4:3の合わせ方にまとめました。
参考にした公式の情報
法律の運用や各団体の手続き、機器の仕様は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月25日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、顧問の先生や学校、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。