この記事の要点
- 発表会の映像をDVD・ブルーレイにするには、撮った映像を編集して1本の完成した動画ファイルにし、演目ごとにチャプターを付け、見る人の機器に合わせてDVDかブルーレイかを決めます。
- 出演者に配るなら、撮影の前に3つを確かめます。会場と主催者の撮影・配布の決まり、曲の権利(市販の曲はJASRAC・NexToneの手続きと、音源の許諾)、ほかの子が映ることへの家庭の了解です。
- ビデオ撮影は、撮影業者に頼むか、教室や保護者の係が撮るかで分かれます。業者に頼むなら、納品がディスクか動画ファイルか、いつ届くか、編集後の動画ファイルももらえるかを見積もりの段階で決めます。
- 当日に曲を流して踊るのは許諾なしでできる発表会でも、録画してディスクにし、配るのは別の話です。著作権法第38条の例外に、複製と譲渡は含まれません。
- 配るのはDVDが基本です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できないので、ブルーレイは再生できる機器がある家庭にだけ、希望を聞いて作ります。
バレエやダンスの発表会のビデオ撮影は、大きく2つの形に分かれます。教室(主催者)が撮影業者に頼むか、教室のスタッフや保護者の係が撮るかです。どちらを選んでも、撮影の前に決めておくことは変わりません。会場と主催者の撮影の決まり、撮った映像を受け取る形と時期(ディスクか動画ファイルか、いつまでに)、そして出演者に配るなら、曲の手続きと、ほかの子どもが映ることへの家庭の了解です。
撮った映像をDVD・ブルーレイにする手順も、だれが撮ったかでは変わりません。引きと寄りのカメラの映像を編集して1本の完成した動画ファイルにし、演目ごとにチャプター(区切り)を付け、見る人の家の機器に合わせてDVDかブルーレイかを決めます。出演者の家庭に配るなら、多くの家で見られるDVDを全員に渡し、ブルーレイは希望する家庭にだけ作る形が基本です。
バレエ・ダンス発表会のビデオ撮影は、業者に頼むか、教室や保護者で撮るか
だれが撮るかで、準備することと、映像の受け取り方が変わります。
| 撮る人 |
向く場面と注意 |
撮影業者に 頼む |
台数・編集・納品まで 頼める。会場との調整と、 納品の形と時期を 先に決める |
教室の スタッフが 撮る |
機材と編集の 手間を教室で持つ。 本番は撮影に 専念できる人を 決めておく |
保護者の 係が撮る |
撮影と編集の 分担を決める。 配る映像として、 曲の手続きと 写る子の家庭の 了解をそろえる |
各家庭で わが子を 撮る |
家で見るぶんには 手続きは要らない。 ほかの家庭に配ると、 私的使用の範囲を 超える |
出演者全員に配る記録なら、配る映像を1本に決めておくと、あとの手続きが1本分で済みます。曲の許諾も、写る子の家庭への了解も、その1本について整えればよいからです。保護者がそれぞれ撮った動画を集めてつなぐ形だと、撮った人ごとに、映像を使ってよいかを確かめることになります。
撮影業者に頼む場合、カメラの台数や置き場所、編集、ディスクの作成や配布まで、どこまでを任せるかは打ち合わせで決まります。教室で撮るなら、機材をそろえ、本番のあいだ撮影だけに専念できる人を立て、編集まで引き受ける人を決めておきます。当社が受け付けるのは、撮影と編集を終えた完成した動画のデータです。それをプレーヤーで見られるDVD・ブルーレイにするところからが、当社の仕事です。
撮影業者に頼むときに確かめること|納品の形と時期
撮影業者に見積もりを頼む前に、次の項目を書き出しておくと、業者どうしの内容を同じ基準で比べられます。とくに「納品」は、ディスクで受け取るのか、動画ファイルで受け取るのか、両方なのかをはっきりさせておきます。
| 確かめること |
決めておく中身 |
| 撮る範囲 |
リハーサルも撮るか。 全演目か、一部か。 カーテンコールまで 含めるか |
カメラの 台数と 置き場所 |
引き(舞台全体)と 寄りの台数。 客席のどこに 据えるか |
音の 取り方 |
カメラのマイクか、 会場の音響から 音をもらうか |
| 納品の形 |
DVD・ブルーレイ・ 動画ファイルの どれで受け取るか。 家庭ごとに 選べるか |
納品の 時期 |
本番から何日後か。 配る日に 間に合うか |
編集後の 動画ファイル |
書き出した動画も 受け取れるか。 焼き増しや、 別の店で ディスクにしてよいか |
チャプターと メニュー |
演目ごとの区切りと、 メニュー画面を 付けるか |
盤面と ケース |
教室名・公演名・ 日付を入れるか。 2枚組の表記 |
曲の 手続き |
JASRAC・NexToneと 音源の手続きを、 業者と教室の どちらが行うか |
追加の 注文 |
あとから枚数を 足せるか。 映像をいつまで 保管するか |
編集を終えた動画ファイルも受け取っておくと、あとで枚数を足すときや、ブルーレイで残し直すときの元になります。形式はMP4やMOVのような一般的な動画ファイルで、編集ソフトの作業ファイル(プロジェクト)ではなく、書き出した動画そのものを受け取ります。
業者が撮って編集した映像を、あとからどこまで自由に使ってよいかは、業者との取り決めしだいです。焼き増しや、別の店でディスクにすることを考えているなら、見積もりの段階で伝えて了解を得ておきましょう。納品の時期は、配る日から逆に数えて決めます。業者の編集にかかる日数に、ディスクを作る日数と配る準備の日数を足して、間に合うかを確かめてください。
撮影の準備|会場の決まり、引きのカメラ、暗い舞台と音
会場と主催者の撮影の決まりを先に確かめる
ホールで撮るなら、会場の決まりと主催者の許可の両方が関わります。豊中市立文化芸術センターは、よくある質問で「各公演の主催者の許可がない撮影・録音・録画は固くお断りいたします」と答えています。北とぴあ(東京都北区)も、ホールと主催者の承認を得ない撮影・録音・録画を禁止しています。観客の撮影を認めるかどうかは主催者が決めて案内し、公式の撮影を入れるなら、主催者から会場に伝えて打ち合わせておきます。
打ち合わせで確かめておきたいのは、次の点です。
- カメラを据える場所。客席の後方か中ほどか、座席を使うか
- 三脚を立てる位置と、通路や出入り口をふさがない置き方
- 電源を使えるか。使えないなら、バッテリーで最後まで撮れるか
- 会場の音響から、録音用の音をもらえるか
- 撮影の人が入る時間と、機材を運び込む経路
保護者の撮影をどう扱うか(撮れる場所、三脚や自撮り棒、撮った映像を公開しない約束)の決め方は、申込書の項目や集金とあわせてダンス発表会の映像を出演者に配る段取りにまとめました。
引きのカメラを、演目の途中で止めない
舞台全体が入る引きのカメラを1台、客席の後方の中央に三脚で据え、演目の最初から最後まで止めずに回します。記録の映像で後から取り返せないのは、撮れていない時間です。寄りはもう1台のカメラに任せ、ソロや前列を追います。立ち位置の図を撮る人に渡しておくと、寄る先を間違えにくくなります。
画角は、リハーサルで実際の立ち位置を見て決めます。バレエなら、つま先と群舞の列の端、ジャンプやリフトで上に伸びる分まで。ダンスなら、移動していちばん端に来たときの手足までが入る広さです。カーテンコールや終わりのあいさつも見返したくなる場面なので、最後まで回しておきます。
暗い舞台とスポットライトは、リハーサルの照明で試す
舞台は、照明の当たった人と暗い背景の明るさの差が大きい場面です。ソニーのハンディカム(FDR-AX45など)のヘルプガイドも、舞台上の人物の撮影を、被写体と背景のコントラストが強いときの例に挙げています。同じガイドにある、明るさにかかわる機能は次のとおりです。
- シーンセレクションの「スポットライト」:スポットライトを浴びている人物の顔などが白く飛んでしまうのを防ぐ
- 「スポット測光」:画面でタッチした被写体に、明るさを自動で合わせる
- 「カメラ明るさ」:明るさを手動で固定する。背景に比べて被写体が明るすぎる、暗すぎるときに調節する
機能の名前やあるなしは、機種やメーカーで違います。どれを使うかは、リハーサルで本番と同じ照明を当ててもらい、試し撮りした映像をテレビやパソコンの大きな画面で見て決めてください。白く飛んだ顔や、黒くつぶれた衣装の細かさは、あとの編集やディスクにする段階では取り戻せません。
音は、録音レベルを本番前に合わせる
発表会では、大きな音の曲が長く続きます。ソニーのヘルプガイドは、連続した大きな音を撮り続けるときは、あらかじめ録音レベルを低めにしておくと臨場感のある音声が記録できるとし、ヘッドホンでレベルを確かめながら操作することを勧めています。カメラの内蔵マイクは客席の拍手や話し声も拾うので、会場の音響から音をもらえるなら、別の録音機で録っておき、編集で映像と合わせる方法もあります。
照明と音はリハーサルで合わせ、本番は引きのカメラを止めない
撮った映像を、1本の完成した動画ファイルにする
ディスクにする前に、編集を終えます。引きと寄りの映像の切り替え、会場の音響から録った音への差し替え、演目名の文字入れ、暗転や転換の長い待ち時間を詰めるかどうか。ここまでを済ませて、MP4やMOVのような動画ファイルに書き出したものが、ディスクの元になります。書き出しの設定はDVD・ブルーレイ用の書き出し設定で説明しています。
1本の動画にまとめても、第1部・第2部や演目ごとに分けたファイルにしても、ディスクは作れます。分けるなら、ファイル名の頭に「01_」「02_」と番号を付けて、収録する順番をはっきりさせます。書き出したら、ディスクにする前に最後まで通して見て、次の点を確かめます。
- 途中で止まったり、映像が飛んだりしないか
- 演目の順番と演目名の表記が、最終のプログラムと合っているか
- カメラを切り替えたところや長い公演の後半で、音と映像がずれていないか
- 音が割れていないか。演目ごとの音の大きさに差がありすぎないか
- 暗転のあいだの黒い画面や無音が、長すぎないか
撮ったままのデータと、書き出した動画ファイルは、ディスクとは別に2か所以上に残しておきます。あとから枚数を足すときも、別の形で残し直すときも、この動画ファイルが出発点です。
演目ごとにチャプターを付け、メニューは部と演目で組む
チャプターは、演目が始まる少し前に
チャプターは、ディスクの動画に付ける区切りの印です。リモコンの「次」を押すと次の区切りへ進み、メニューに一覧があれば、選んだ演目から再生できます。発表会なら演目ごとに1つが基本で、何十も演目がある大きな発表会は、クラスや部ごとにまとめて区切ると一覧が長くなりすぎません。
区切る位置は、曲が始まるちょうどの瞬間より少し前にしておきます。司会の紹介や、出演者が舞台に出てくるところから始まれば、どの演目かがすぐ分かるからです。時刻は、編集を終えた最後の動画で測り、「時:分:秒」で書き出します。カットや並べ替えの前に測った時刻は、編集のあとでずれてしまいます。
- 00:00:00 開演のあいさつ
- 00:03:40 第1部 キッズクラス
- 00:18:15 第1部 ジュニアクラス
- 00:47:30 第2部 講師と上級クラス
- 01:32:05 フィナーレ・カーテンコール
一覧の見出しは、そのままチャプターの名前やメニューの文字に使えます。付け方の手順と数の目安はチャプター分けの付け方と数の目安にまとめました。
メニュー画面は、部から演目へ
メニュー画面は、ディスクを入れて最初に出る目次の画面です。発表会なら、トップメニューに「全編を再生」「第1部」「第2部」を置き、その先のページに演目の一覧を並べると、見たい演目にたどり着きやすくなります。メニューは無くても作れて、その場合もチャプターを付けておけば、リモコンの「次」で演目を移れます。
トップに全編と部を置き、その先に演目の一覧を並べる(演目名は例)
メニューとチャプターに出す演目名は、最終のプログラムからコピーした文字で用意し、別の人にも読み合わせてもらいます。書き込んだあとで名前を直すには、ディスクを作り直すことになります。リモコンのどのボタンでメニューを出すか、メニューの部品と組み方はブルーレイのメニュー画面の出し方と作り方で説明しています。
DVDかブルーレイか|見る人の機器と長さで決める
映像の細かさは、DVDが720×480、ブルーレイが1920×1080です。フルHD以上で撮った映像を大きなテレビで見ると、衣装の模様や表情に差が出ます。ただし、DVDプレーヤーではブルーレイを再生できません。反対に、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くと、PS5(ディスクドライブ付き)・PS4はDVDも再生できます。
画素の数の差が、大きなテレビでは衣装の模様や表情の差になる
出演者の家庭に配るなら、多くの家で見られるDVDを全員に渡し、ブルーレイは再生できる機器がある家庭にだけ、申し込みのときに希望を聞いて作ります。教室の保存用や、出演した本人の手元に残す分は、見る機器があればブルーレイが向いています。
長さも決め手になります。1層のDVD(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモードと同じくらいの画質で約2時間です。それより長い映像を1枚に詰めるとビットレートが下がり、群舞のように画面全体が動く場面でブロック状のノイズが出やすくなります。2時間を超える発表会は、第1部・第2部の2枚に分けるか、2層のディスクかブルーレイにします。2層のDVDは1層より再生できない機器が出やすいので、相手の機器が分からないまま配るなら、2枚に分けるほうが確かです。
| 場面 |
選び方 |
出演者の 家庭に配る |
全員にDVD。 ブルーレイは 希望する家庭に |
教室や本人の 保存用 |
見る機器があれば ブルーレイ。 元の動画ファイルも 残す |
2時間を 超える公演 |
第1部・第2部の 2枚に分けるか、 ブルーレイ |
4Kで撮った 映像 |
ブルーレイでも 1920×1080に 変換される。 4Kの元の動画は 別に残す |
コンクールや 留学の提出 |
提出先の要項で 指定された形式に 合わせる |
コンクールや留学のオーディションに出す映像は、提出先の要項で形式が決まっています。ディスクにする前に要項で確かめる点はオーディション動画の提出ガイドにまとめました。DVDとブルーレイの違いはDVDとブルーレイの違いで、長さと画質ごとの収録時間はDVD・ブルーレイに何分入るかの早見表で詳しく比べています。
配る前に、何台かの機器で最後まで再生する
配るDVDは、動画をプレーヤーで再生できる映像のDVD(DVD-Video)の形に組み立て、ファイナライズまで済ませます。パナソニックは、ファイナライズしていないDVDは、作ったパソコンやレコーダー以外の機器では再生できないと説明しています。ディスクはDVD-Rの1層を選びます。カナダ保存研究所によると、DVD-RはDVD+Rより、とくに古い機器で互換性がよく、1層は2層より互換性がよいとされています。
条件をそろえても、1台で映らないことはあります。ソニーのレコーダーの説明書にも、記録済みのDVD-Rなどは、記録状態や記録した機器・ソフトの特性などで再生できないことがあると書かれています。何十枚も配るなら、全部を作る前に1枚を作り、DVDだけのプレーヤー、ブルーレイのレコーダー、ゲーム機など、種類の違う機器で最初から最後まで再生してください。配る家庭のうち何軒かに先に見てもらえると、古いプレーヤーでの様子も分かります。
- ディスクを入れて本編が始まるか。メニューから演目を選べるか
- リモコンの「次」で、演目の順にチャプターが進むか
- 最後の演目とカーテンコールまで、止まらずに再生されるか
- 音が出るか。音と映像にずれがないか
- 演目名や教室名の文字に誤りがないか
盤面には、教室名・公演名・公演日を入れておくと、何年たっても中身が分かります。2枚組なら「第1部」「第2部」を盤面とケースの両方に入れ、取り違えを防ぎます。曲の許諾番号やマークを表示するなら、盤面の原稿を作る前に受け取っておいてください。多くの家のプレーヤーで見られるDVDの作り方は配るDVDを多くの家で見られるようにする作り方で詳しく説明しています。
曲の入った映像を複製して配るときの手続き
当日の舞台で曲を流して踊ることと、その様子を録画してディスクにし、出演者に配ることは、著作権法では別の行為です。営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を払わない発表会なら、曲を流して踊ること(上演・演奏)は許諾なしにできます(第38条1項)。ただ、この例外に「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれません(文化庁の著作権テキスト)。
録画してディスクにすれば複製、配れば頒布です。頒布は、有償か無償かを問わず複製物を公衆に譲渡することで、公衆には特定かつ多数の人も含まれます(第2条)。無料で出演者の家庭に配る場合も、手続きが要らなくなるわけではありません。入場料を取る、出演者に報酬を払うなど、第38条の条件から外れる発表会は、その場で曲を流すことにも手続きが要ります。JASRACは、ダンス発表会をコンサート・イベント等での演奏の例に挙げ、その様子を収録したCD・DVDを作るときは、別の手続きとして案内しています。
営利でなく無料・無報酬の会でも、録画して配るなら曲の手続きが要る
市販の曲は、曲と音源の2つの許諾が要る
市販のCDや配信の音源には、作詞者・作曲者の著作権、歌手や演奏家(実演家)の権利、レコード製作者(レコード会社など)の権利の3つが含まれています(JASRAC・NexTone)。JASRACやNexToneが許諾するのは、このうち曲の著作権です。市販の音源で踊った演目を配るには、曲の許諾に加えて、音源(原盤)の許諾をレコード会社などから別に得ます。NexToneは、先に音源の許諾を得てから申し込むよう案内しています。
JASRACは「J-RAPP」、NexToneは「PlayN」から、作る前に申し込む
曲を管理している団体は、JASRACの作品検索データベース「J-WID」で調べ、見つからなければNexToneの作品データベースで調べます。どちらにもない曲は、音楽出版社や作者に直接問い合わせます。JASRACの管理曲はオンラインの窓口「J-RAPP」から、NexToneの管理曲はクリアランスシステム「PlayN」の「利用許諾申請(ビデオグラム)」から、どちらもディスクを作る前に申し込みます。
許諾が出たら、JASRACの管理曲は許諾番号とロゴマークをディスクなどの複製物に、NexToneの管理曲は許諾マークを盤面やケースなど1か所に表示します。NexToneは、許諾を得たあとで追加で作る場合も、別に追加の申請が要るとしています。あとから枚数を足すときは、曲の手続きも足す数に合わせて確かめてください。JASRACの使用料の計算方法と、発表会に当てはめた計算の例は、先に挙げた出演者に配る段取りの記事に載せています。
振付と外国の曲
既製の振付をそのまま踊った演目は、曲とは別に振付の権利が関わることがあります。著作権法は、著作物の例に「舞踊又は無言劇の著作物」を挙げています(第10条1項3号)。JASRACやNexToneの許諾は作詞・作曲についてのものなので、外部の振付師に頼んだ作品や既製の振付を使った作品は、記録映像を配ることまで含めて、振付の権利を持つ側に確かめます。外国の曲の使用料は、業務用の音源などを除いて、JASRACでも音楽出版社が指定する額(指し値)になり、JASRACは事前に音楽出版社を通すなどして確かめるよう案内しています。
学校行事の録画との違いや、手続きが要る場面と要らない場面の一覧は学校行事の録画・DVD配布と著作権にまとめています。判断に迷うときは、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
写っている出演者の家庭の了解と、配ったあとの扱い
発表会の映像には、ほかの家庭の子どもも写ります。肖像権は、自分の氏名や姿をみだりに公開されない権利で、法律に定めはなく、判例によって確立されてきた権利です(文化庁の著作権テキスト)。扱いは、教室の方針と、写る本人・保護者の意向を確かめながら決めます。教室で準備できるのは、次のようなことです。
- 撮影することと、映像をだれに、どんな形で配るかを、申し込みの前に出演者の家庭に知らせ、了解を得る
- 写ることを避けたい事情のある出演者がいれば、撮る人と共有し、寄りのカットや配る範囲を相談する
- 配るディスクに、家庭で見る範囲で使い、SNSや動画サイトに載せないお願いを添える
受け取った家庭で、家族が見るためにその家の人がコピーするのは、私的使用のための複製(第30条)の範囲です。家庭内など限られた範囲で、使う本人が複製する場合の例外で、私的使用のために作ったコピーをほかの家庭に配ると、複製を行ったものとみなされます(第49条)。別の家に住む祖父母や親族に渡す分が私的使用に入るかは、一律には言えません。配る枚数を決めるときに祖父母の分も含めて申し込んでもらい、その数で手続きしておくと迷いません。同意書の作り方と文例は、園向けの記事ですが園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例にまとめています。
本番から配布までの段取りと、当社に頼むとき
配る日から逆に数えて、次の順に進めると、撮影や手続きの漏れに早く気づけます。
- 選曲が決まったら、演目ごとに曲名・作詞者・作曲者と、音が市販のCDか生演奏かを書き出し、曲と音源の手続きを始める
- 撮影をだれが担うかを決める。業者に頼むなら、納品の形と時期、編集後の動画ファイルの扱いを見積もりの段階で決める
- 会場と撮影の打ち合わせをし、保護者の撮影の扱いと配布の予定を、出演者の家庭に知らせる
- 申し込みで、配る枚数とDVD・ブルーレイの希望をまとめ、その数で曲の手続きを進める
- リハーサルで、本番の照明と音で試し撮りをし、明るさと録音レベルを合わせる
- 本番。終わったら撮影データをすぐ2か所に写す
- 編集して動画ファイルに書き出し、演目の区切りの時刻とメニューの文字を用意する
- 許諾番号やマークを入れた盤面の原稿を作ってディスクにし、1枚目を何台かの機器で試してから、残りをそろえて配る
当社(ディスクメーカー・大阪・梅田)は、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、受け付けるのは完成した動画のデータです。お引き受けできるのは、撮った本人や権利者の許可がある動画です。完成した動画は、ギガファイル便やGoogle ドライブなどの共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、スマホからも送れます。DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で作り、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか店舗でお渡しします。注文は1枚からで、通常便は受付から5営業日で発送します(15時以降の注文は翌営業日の受付)。
演目の区切りは、注文ページで「チャプター分け」を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の位置を「00:12:30」のような時刻で入れてください(1つ目は動画の冒頭に自動で入ります)。「メニュー画面作成」を選ぶと開く「メニュー画面のご希望(任意)」の欄には、メニュータイトルと希望を書けます。許諾番号などを入れた盤面の画像は、盤面レーベル印刷を選ぶと開く欄にアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。料金は、チャプター分け(1枚あたり)が+1,500円(税抜)で1枚に最大50チャプターまで、メニュー画面作成(デザインお任せ・1枚あたり)が+2,500円、盤面レーベル印刷(1枚あたり)が+1,000円で、どれも付けた枚数分かかります。同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円で、DVDとブルーレイの両方を作るときは、それぞれ1枚目から数えます。配る相手の再生機器や配布日などの希望は、注文フォームの備考欄に書いてください。
よくある質問
Q1. バレエ発表会のビデオ撮影は、業者に頼むのと自分たちで撮るのと、どちらがよいですか?
出演者全員に配る記録なら、撮影業者に頼むか、教室で撮影と編集の係を決めて、配る映像を1本にまとめる形が扱いやすくなります。台数や編集、納品まで任せたいなら業者、機材と編集の手間を教室で持てるなら自分たちで撮ります。どちらでも会場と主催者の撮影の決まりに従い、曲の手続きと、写る子の家庭の了解は配る側で整えます。
Q2. 撮影業者に頼むとき、納品について何を確かめればよいですか?
納品の形(DVD・ブルーレイ・動画ファイルのどれか)、本番から何日後に届くか、編集後の動画ファイルも受け取れるか、あとで焼き増しや別の形にしてよいか、の4つです。動画ファイルがあれば、枚数を足すときや別の形で残し直すときの元になります。チャプターとメニューを付けるか、曲の手続きを業者と教室のどちらが行うかも、見積もりの段階で決めておきます。
Q3. 発表会のビデオ撮影の準備は、何をすればよいですか?
選曲が決まった段階で、曲の手続きと撮影の担い手を決めます。会場との打ち合わせでは、カメラを据える場所、電源、会場の音響から音をもらえるかを確かめます。リハーサルでは本番と同じ照明と音で試し撮りをして、明るさと録音レベルを合わせます。本番は、舞台全体が入る引きのカメラを、演目の途中で止めずに回します。
Q4. 保護者が客席から撮った動画を、教室でまとめてDVDにして配ってもいいですか?
家族が見るために撮ったぶんは私的使用(第30条)の範囲ですが、それを複製してほかの家庭に配ると、その範囲を超えます。配るなら、曲(JASRAC・NexTone)と市販の音源(レコード会社など)の手続きをし、写っている子の家庭の了解を得ます。撮った保護者にも、映像を使ってよいかを確かめてください。主催者の許可のない撮影を断っている会場もあります。
Q5. 入場無料の発表会なら、DVDにして配るのに手続きはいりませんか?
要ります。営利を目的とせず、入場無料で、出演者に報酬を払わない発表会なら、当日に曲を流して踊ることは許諾なしにできます(第38条1項)。ただし、この例外に「複製・譲渡」は含まれず(文化庁の著作権テキスト)、録画してディスクにして配るのは別の手続きです。頒布は有償か無償かを問わないので、無料で配る場合も同じです。
Q6. 演目ごとのチャプターは、どう指定すればよいですか?
編集を終えた最後の動画を再生して、各演目が始まる少し前の経過時間を「00:12:30」のように書き出します。司会の紹介や入場から始まると、どの演目かがすぐ分かります。当社の場合は、注文ページでチャプター分けを選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の時刻を入れます(1つ目は冒頭に自動で入り、最大50チャプター)。演目が多ければ、クラスや部でまとめます。
Q7. 発表会のディスクは、DVDとブルーレイのどちらがいいですか?
出演者の家庭に配るなら、全員にDVDが基本です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できず、ブルーレイの機器の多くやPS5・PS4はDVDも再生できるからです。ブルーレイ(1920×1080)はDVD(720×480)より細かく残せるので、再生できる機器がある家庭や、教室の保存用に希望を聞いて作ります。2時間を超える公演は、2枚に分けるかブルーレイにします。
Q8. 2時間を超える発表会は、DVD1枚に入りますか?
1層のDVD(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモード相当の画質で約2時間です。それより長い映像を1枚に詰めると画質を下げることになり、群舞のように画面全体が動く場面でノイズが出やすくなります。第1部・第2部の2枚に分けるか、2層のディスクかブルーレイにします。2層のDVDは再生できない機器が出やすいので、配るなら2枚に分けるほうが確かです。
Q9. 市販の曲で踊った演目は、JASRACに申し込めば配れますか?
JASRACの許諾だけでは足りません。市販のCDや配信の音源には、曲の著作権のほかに、歌手や演奏家とレコード会社などの権利が含まれ、JASRACやNexToneが許諾するのは曲の著作権です。音源の許諾は、レコード会社などに別に申し込みます。許諾を得られない演目は、配る映像から外すか、その部分の音の扱いを決め直します。
Q10. ディスクメーカーに撮影も頼めますか?
当社は撮影をしていません。撮影と編集は業者や教室で済ませ、完成した動画ファイルをお送りください。ギガファイル便などの共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、プレーヤーで見られるDVD・ブルーレイに組み立てて、実際のプレーヤーで再生を確かめてから発送するか店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、撮った本人や権利者の許可がある動画です。
参考にした公式の情報
出典の一覧(19件)を開く
法律の運用や各団体の手続き、機器の仕様は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月25日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、会場や主催者、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
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