この記事の要点
- ライブの音は、まず会場やPAの担当者に、ミキサー(卓)から録音用の出力をもらえるかを聞きます。もらえれば、歌と楽器の音を客席の物音に埋もれずに録れます。
- もらえないときや、歓声も残したいときは、客席にレコーダーを置きます。場所は会場の決まりの範囲で、リハーサルに2〜3か所で試し録りして決めます。
- 録音レベルはリハーサルでいちばん大きな音に合わせて決め、本番中は触りません。ソニーはピークレベルメーターの−12dBを目安にし、32bitフロートの機種はレベル調整の必要がないとZOOMは説明しています。
- 録った音は曲ごとに切り分けて音量をそろえ、44.1kHz・16bitのWAVにしてから、音楽CD(CD-DA)の形式で焼きます。1枚目を何台かのプレーヤーで聴いてから、残りを作ります。
- コピー曲を入れたCDは、無料で部員に配るだけでも、作る前にJASRAC・NexToneへ申し込みます。入場のSEなどに市販のCDの音を使った部分は、レコード会社などの了解も別に要ります。
文化祭や引退ライブのあと、部のグループに上がってくるのは、誰かのスマホで撮った動画です。音は歓声と低音にまぎれて、歌の言葉もギターのフレーズも聞き取りにくい。ちゃんとした音で残して、部員や見に来てくれた家族に配れるCDにしたいなら、準備はライブの前から始まります。
ライブ音源をCDにする順番は、まず会場やPAの担当者に、ミキサー(卓)から録音用の出力をもらえるかを聞くこと。もらえなければ、客席にレコーダーを置きます。どちらも録音レベルはリハーサルで決めて本番中は触らず、録った音は曲ごとに切り分けて音量をそろえます。最後に、CDプレーヤーで聴ける音楽CD(CD-DA)の形式で焼き、何台かのプレーヤーで試してから配る、という流れです。
コピー曲の扱いも先に確かめます。入場無料の文化祭で演奏するだけなら曲の手続きが要らない場合でも、その録音をCDにして配るのは別の話です。無料で部員に配るCDでも、作る前にJASRAC・NexToneへの申し込みが要ります。
ライブの音をPAミキサー(卓)から録る方法|録音用の出力を、会場とPA担当に先に聞く
ライブ会場では、ボーカルのマイクや、ケーブルやマイクでつないだ楽器の音がPAのミキサーに集まり、そこで音量のつり合いを整えてからスピーカーに送られます。このミキサーが、現場でいう「卓」です。ミキサーから録音用に音をもらえれば、客席のざわめきに埋もれにくい、歌と楽器の音を録れます。
どの端子から、どんな形で音をもらえるかは、ミキサーの機種と会場の配線で決まります。決めるのは会場やPAの担当者で、文化祭なら放送部や音響の係・音響の業者、ライブハウスならお店のスタッフです。打ち合わせで、次のことを聞いておきます。
- 録音用に音をもらえるか。もらえるなら、どの出力から、どの形の端子(XLR・フォーン・ステレオミニなど)で出るか
- ミキサーに録音の機能があるか。会場の側で録ってもらえるなら、受け取るファイルの形と、受け取る日
- PAの担当者が会場の音量を調節すると、録音の音量も一緒に変わる出力か
- レコーダーやパソコンを置く場所と電源、ケーブルを通してよい道筋
学校の体育館で、放送設備の音をもらう場合も考え方は同じです。卒業式を例にした録り方は、卒業式の呼びかけ・合唱をきれいに録る方法|体育館の反響と音割れを防ぐに書きました。
ミキサーの出力は、機種によって名前も働きも違う
例として、ヤマハのミキサーMG10XUの取扱説明書から、出力の働きを並べます。
| 出力 |
取扱説明書にある働き |
| USB端子 |
ステレオバスの音を パソコンへ送る。 STEREO LEVELつまみの 影響は受けない。 |
| STEREO OUT |
スピーカーや パワーアンプへ。 STEREO LEVELで 全体の音量が変わる。 |
| MONITOR OUT |
オペレーター用の モニターへ。 MONITOR/PHONESの つまみで音量が変わる。 |
| AUX SEND |
外部エフェクターや 演奏者用の モニターへ。 |
ステレオバスは、各チャンネルの音を左右の位置と音量を決めてまとめる通り道で、STEREO OUTからスピーカーへ出るのもこの音です。USBでパソコンに送れるのは、MG10XUのように型番に「XU」の付くモデルで、パソコンには専用のドライバーが要る場合があります。録音ソフトのCubase AIも、ダウンロードで付いてきます(ヤマハ)。
ミキサーそのものが録音できる機種もあり、TASCAMのModel 12は、最大12トラックを48kHz・24bitまでのWAVでSDカードに録れます。楽器ごとのトラックが残っていれば、パソコンの編集ソフト(DAW)で、歌と楽器の釣り合いをあとから整え直せます。
レコーダーにつなぐときは、外部入力の設定と音の大きさを合わせる
ソニーのリニアPCMレコーダーPCM-A10なら、ミキサーなどほかの機器の音声出力を、市販のオーディオコードでマイクのジャックにつなぎます。そのうえで「外部入力設定」で「Audio IN」を選びます。ZOOMのH1essentialやTASCAMのDR-05Xの外部入力も、ステレオミニの端子です。MG10XUのSTEREO OUTはXLRとフォーンのプラグに対応した端子なので、両方の形に合うケーブルを用意し、本番と同じつなぎ方で前もって試します。
入る音の大きさにも上限があり、TASCAMはDR-05XのMIC/EXT INの最大入力レベルを−4dBVとしています。大きすぎたり小さすぎたりするときは、つないだ機器の側で音量を調節すること、抵抗入りのコードでは録音レベルが小さくなるので抵抗なしのコードを使うことを、ソニーは挙げています。ミキサーのどのつまみで調節するかは、PAの担当者と決めてください。
卓の音に入る音、入らない音
ミキサーの音に入るのは、ミキサーにつないだマイクや楽器の音です。マイクを立てていないドラムや、アンプからそのまま客席に届くギターの音、客席の歓声や拍手は、入らないか、小さくしか入りません。どの楽器をミキサーに通すかは会場の広さや機材で変わるので、卓の音の釣り合いは、客席で聞いた音と違うことがあります。卓の音をもらえるときも、客席にレコーダーをもう1台置いておくと、片方がうまく録れなかったときの備えになります。
| 録り方 |
入る音と、気をつけること |
| 卓の音 |
ミキサーにつないだ 歌と楽器の音。 歓声や、マイクを 立てていない音は 入りにくい。 |
客席の レコーダー |
置いた位置で 鳴っている音のまま。 近くの話し声や 拍手も入る。 |
客席にレコーダーを置くなら、リハーサルで試し録りして場所を決める
客席のレコーダーに入るのは、置いた位置で鳴っている音そのものです。スピーカーやアンプの近くではその音ばかりが大きく入りやすく、客席の後ろのほうでは、周りの話し声や拍手が増えやすくなります。どこがよいかは会場の広さと機材の並びで違うので、リハーサルで2〜3か所に置いて同じ曲を録り、聞き比べて決めます。
- ひずむときは離す。ソニーは、大きな音でひずむ場合は距離を離して録音するよう書いています
- 揺れるものの上に置かない。振動はマイクスタンドを通じて伝わり、「ゴソゴソ」「コツコツ」という低い雑音になる、とオーディオテクニカは説明しています
- 録音中は本体に触れない。手が当たったり、こすれたりした音も雑音として録音されることがあります(ソニー)
レコーダーの設定にも、バンドを意識したものがあります。ソニーのPCM-A10の録音シーンの「バンド(大音量)」は、大音量で演奏するバンド系の音を録るときに向く設定です。ただ、同じヘルプガイドは、歌や音楽の録音にはマニュアル録音かリハーサル機能での録音を勧めています。
置いてよい場所は、会場が決めることです。三脚を立ててよいか、通路や出入り口をふさがないか、電源を使えるかを打ち合わせで確かめ、来場者の手が届く場所なら、そばに係を置きます。スマホで録る場合も考え方は同じで、マイクが本体に付いているぶん、置いた位置がそのまま録る位置になります。
置き場所は会場の決まりの範囲で、リハーサルの試し録りで決める
録音レベルは、リハーサルでいちばん大きな音に合わせ、本番中は触らない
録音レベル(入力の大きさ)の基準は、ライブの中でいちばん大きな音です。ソニーのPCM-A10のヘルプガイドは、手動で合わせるとき、ピークレベルメーターの−12dBを目安に、音源に合った範囲に調節するとしています。大きすぎると「OVER」の表示とピークランプが点き、音がひずみます。
リハーサルでは、いちばん大きな音が出る曲の全員で鳴らすところを録り、メーターと録れた音の両方で決めてください。PCM-A10には、最大音量のところを含めて1分ほど演奏すると、そこでひずまないようにレベルを自動で合わせるリハーサル機能もあります。
本番は録り直せないので、迷ったら低めにし、決めたレベルは本番中に動かしません。途中でつまみを動かすと、その前後で音の大きさが変わり、曲どうしをそろえにくくなるからです。ソニーのハンディカムのヘルプガイドにも、連続した大きな音を撮り続けるときは、あらかじめレベルを低めにしておくと臨場感のある音声が記録できる、とあります。録音中の音は、有線のヘッドホンで聞きます。Bluetoothのヘッドホンでは録音中の音を確かめられない、とソニーが断っているためです。
ピーク検出・リミッター・32bitフロート
TASCAMのDR-05Xには、ひずむほどの音が入ると自動でレベルを下げて録音を続ける、ピーク検出という機能が付いています。ライブのリハーサルで大きめに設定して使えば、音源に合わせたレベルになると説明されています。ソニーのPCM-A10のリミッターも、突然の大きな音でひずまないよう入力を自動で調節します(お買い上げ時はオフ)。どちらも備えになる一方、途中でレベルが動くと、曲の強弱の聞こえ方が変わることもあります。
ZOOMのH1essentialは32bitフロートという形式で録るレコーダーで、ZOOMは「32bitフロート録音なら、レベル調整の必要がありません」と説明しています。ただ、CDの音は16bit。32bitフロートで録った音も、CDにする前に16bitのWAVにします(H1essentialは本体でも書き出せます)。
32bitフロートの機種でも、置き場所で音が変わることは同じなので、リハーサルの試し録りは省きません。機能ごとの使い分けは、演奏会を例に吹奏楽の定期演奏会をCDにする方法|録音の仕方・曲の手続き・配るまでで詳しく説明しています。
録音の形式と、本番の録り方
形式は、圧縮しないWAV(リニアPCM)が基本です。ソニーのPCM-A10は44.1kHz・16bitがお買い上げ時の設定で、TASCAMはこの形式の録音を「CDクオリティ」と呼んでいます。24bitや48kHz・96kHzで録ったときは、CDにする前に44.1kHz・16bitへ変換します。MP3で録ると、省かれた音はCDにしても戻りません。数字の意味はCDの音質はどのくらい?44.1kHz・16bitの意味と配信・ハイレゾとの違いで説明しています。
本番は最初のバンドの前に録音を始め、曲ごとには止めずに通して録ります。曲ごとに録音ボタンを押し直すと、押し忘れや押し遅れで曲の頭が欠けることがあるからです。バンドの入れ替えの間に、残りの録音時間と電池を確かめます。終わったら、その日のうちに録音をパソコンなどにコピーし、2か所以上に置きます。
本番は録り直せない。レベルはリハーサルで決めて、本番中は触らない
録った音を聴ける音に整える|曲ごとに切り分けて、音量をそろえる
最初のバンドから最後の曲までの長い1本の録音を、曲ごとのファイルに分け、音量をそろえてから、CDの形式に書き出します。
1本の長い録音を曲に分けて整え、1枚目を確かめてから残りを焼く
卓の音と客席の音を重ねるなら、位置を合わせる
2つの録音を使うなら、開演の前にステージのマイクの近くで一度手をたたいておくと、卓の音と客席の音の両方に同じ合図が入り、編集ソフトで2つの波形を見比べて位置を合わせやすくなります。卓の音を中心にして客席の音を少し足せば、会場の歓声も入れられます。足す量は、歌と楽器が聞き取れるかを確かめながら決めてください。
曲の区切りと、MCの扱い
区切りは、音の編集ソフトで波形を見ながら付けます。ソニーのPCM-A10やTASCAMのDR-05Xのように、本体で目印を付けて、その位置でファイルを分けられる機種もあります。カウントや最初の音の少し前から、最後の音の響きが消えて拍手が入るあたりまでを1曲にすると、どのトラックから再生しても曲の頭が欠けません。曲の合間のMCを残すか、拍手をどこまで入れるかは、部員で聞いて決めます。
音量をそろえ、44.1kHz・16bitで書き出す
音の大きさの最大値をそろえる処理が、ノーマライズです。曲ごとにかけると、静かな曲も大きな曲と同じところまで持ち上がり、ライブで聞いた強弱とは違って聞こえます。ライブ全体を同じ量だけ持ち上げるか、曲ごとにそろえるかは、聞き比べて決めます。ひずんだ音は、あとで小さくしてもひずんだままです。仕上がりは、イヤホン、スピーカー、車のプレーヤーのように聞く環境を変えて、最初から最後まで通して聞きます。
最後に、曲ごとに44.1kHz・16bitのWAVで書き出し、ファイル名の頭に「01_」「02_」と番号を付けておくと、書き込むときに順番を間違えません。曲間の長さや曲名を入れるCD-TEXT、枚数が多いときのプレスとコピーの比べ方は、同人音楽CDの作り方|音源の仕上げ・曲の権利・プレスとコピー・入稿と頒布にまとめています。
音楽CD(CD-DA)の形式で焼き、何台かのプレーヤーで試す
CDプレーヤーやカーオーディオで聴く音楽CDは、CD-DAという形式で書き込みます。マクセルは、CD-Rに音楽を記録する場合もCD-DAの形式で記録しないと、CDプレーヤーでは再生できないとしています。MP3などの圧縮ファイルのまま記録したディスクは、その形式に対応したプレーヤーでしか再生できない、ともしています。書き込みソフトで選ぶのは、「オーディオCD」や「音楽CD」の形式です。
Macのミュージックアプリなら、曲を並べたプレイリストを選び、「ファイル」メニューの「プレイリストからディスクを作成」で、ディスクフォーマットを「オーディオCD」にします。「音量の自動調整を使用」は、すべての曲が同じ音量レベルで再生されるようにする設定なので、ライブの強弱を残したいなら、使うかどうかを聞いて決めます(Apple)。
音楽用のCD-Rに入るのは、曲間の無音も含めて約80分です(マクセル)。何組かのバンドの演奏をまとめて80分を超えるなら、バンドの区切りで2枚に分けます。ミュージックアプリは、容量を超えた分を別のディスクに書き込む作りなので、分ける位置は自分で決めてから焼きます。
焼いたCDは、作ったパソコンではなく、CDプレーヤー、ラジカセ、車のプレーヤーなど何台かで最初から最後まで再生します。CD-Rの再生に対応していないプレーヤーもあるからです(マクセル)。全部の枚数を焼く前に1枚目を作り、何台かで聴いてから残りを作ってください。盤面に手で書くならフェルトペンのように先の柔らかいものを使い、シールのラベルは貼りません(マクセル)。ケースに入れる紙の寸法は、CDジャケットのサイズ|表紙・裏面・紙ジャケ・DVDの寸法と作り方にまとめました。
コピー曲のライブ音源をCDにして配るには、曲の手続きが要る
著作権法の上では、ライブで曲を演奏することと、その録音をCDにして配ることは別の行為です。JASRACの学校向けの解説(JASRAC PARK)は、クラブ活動の取扱いを文化祭に準じるとし、「バンドなどコンサート・ライブをする人」にも、その内容を参考にするよう書いています。
| 場面 |
曲の手続き |
無料の 文化祭や 部のライブで 演奏する |
3つの条件を 満たせば要らない。 |
入場料を 取るライブ |
要る。 募金を集めるときも 同じ。 |
ライブハウスで 演奏する |
お店が手続きして いることがある。 お店に確かめる。 |
録音して CDにし、 部員に配る |
要る。無料でも、 作る前に申し込む。 |
市販のCDの 音も入れる |
曲の手続きに加えて、 レコード会社や 演奏者の了解も要る。 |
文化祭のライブで演奏するだけなら、3つの条件で手続きは要らない
当日の演奏に手続きが要らないのは、入場料をもらわない、演奏する人に報酬を払わない、営利を目的としない、の3つをすべて満たすときです(著作権法第38条1項)。入場料を取る演奏会は手続きが要り、チャリティーの募金も入場料にあたります。ライブハウスでは、お店で手続きしていることがあるので、お店に確かめるよう案内されています(JASRAC PARK)。
録音してCDにすれば複製、配れば頒布
第38条の例外は、演奏などだけを認めています。文化庁の著作権テキストは、条件の1つめに「「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれない」と書いています。録音してCDにすれば複製、配れば頒布です。頒布は、有償か無償かを問わず複製物を公衆に譲渡することで、公衆には特定かつ多数の人も含まれます(第2条)。
無料で部員に配るCDでも、コピー曲が入っていれば、作る前に曲の手続きが要ります。JASRAC PARKも、クラブのみんなに配るために演奏会を録音する場合について「販売するときはもちろん、無料であってもみんなに配るときには手続きが必要です」としています。NexToneのよくある質問も、管理作品を自分で演奏してCDに録音し配布するなら、価格の有無にかかわらず申請が必要、という答えです。
家庭内など限られた範囲で、使う本人が複製する私的使用(第30条)にも入りません。JASRACは、サークル内での記録動画などを、私的利用の範囲を超える例に挙げています。
JASRAC・NexToneへの申し込みの流れ
曲ごとに、申し込み先が違います。JASRACの管理曲は、作品検索データベース「J-WID」で「録音物」の区分を確かめ、オンラインの窓口「J-RAPP」から申し込みます。NexToneの管理曲は、作品データベースの「オーディオ」の欄を確かめて、クリアランスシステム「PlayN」から申し込みます。申し込むのは、どちらもCDを作る前です。どちらにもない曲は、音楽出版社や作者に問い合わせます。
許諾番号は、J-RAPPなら通常2〜3営業日後にメールで届き、NexToneは許諾まで通常5営業日ほど。許諾が出たら、JASRACはロゴマークと許諾番号など、NexToneは許諾マークを盤面やジャケットに入れてからCDを作ります。
無料で部員に配るCDでも、作る前に申し込む
学校や非営利の団体、個人が非営利の目的で作って申し込み、無償か製作費の実費だけで配るCDは、JASRACの使用料では「非商用複製」の区分です。調べ方と表示のしかたは歌ってみた音源をCDにして頒布するには|曲の手続き・オフボーカル・原盤の確かめ方にまとめています。使用料の考え方は学校行事の録画・DVD配布と著作権|運動会・合唱・卒業式でよくある質問で説明しています。
歌詞を替えたり、大きく編曲したりした曲は、申し込みの前に、作者や音楽出版社に変えてよいかを確かめます(JASRAC・NexTone)。JASRACは、曲の一部をカットする使い方も改変の例に挙げています。部員が作ったオリジナル曲は、作った人がJASRACやNexToneに管理を任せていなければ、団体への申し込みはありません。
自分たちの演奏なら、市販の音源の許諾は要らない
市販のCDに入っている音には、曲の著作権のほかに、その音を録音したレコード会社や、歌手・演奏家の権利があります。部員が自分たちで演奏した音なら、市販の音源の権利は関わらず、申し込むのは曲の手続きだけです(NexTone)。ただ、入場のSEやBGMに市販のCDやダウンロードした音源を流し、その音もCDに入れるなら、レコード会社などの許諾が別に要ります(JASRAC)。カラオケのように、ほかの人が作った伴奏の音源に合わせた曲も同じです(NexTone)。許諾を得ないなら、その部分はCDから外します。
一緒に演奏した人と、声や名前が入る人の了解をもらう
CDには、曲だけでなく、演奏した人の実演も入ります。著作権法は、歌う人や演奏する人を「実演家」と呼び(第2条1項4号)、自分の実演を録音する権利と、その録音物を譲渡して公衆に提供する権利を認めています(第91条・第95条の2)。文化庁の著作権テキストも、音楽CDをコピーするときは、作詞家・作曲家とレコード製作者だけでなく、歌手や演奏家などの実演家の了解も必要だと説明しています。
部員のバンドだけのCDでも、録音してCDにすること、だれに何枚配るかをメンバー全員に先に知らせ、了解をもらいます。未成年の部員がいるなら、保護者にも同じ内容を知らせておくと安心です。サポートで入った人、OB・OGのゲスト、対バンの演奏を入れるなら、その人たちにも一人ずつ了解をもらいます。ライブハウスやPAの担当者に録ってもらった音を使うなら、そのことも伝えておきます。録音そのものには、最初に音を録音した人(レコード製作者)の複製の権利があるからです(第2条1項6号・第96条)。
声や名前の扱いにも、気を配ってください。個人情報保護委員会のガイドラインは、映像や音声による情報も、個人に関する情報に含まれるとしています。そのうえで、本人の氏名が含まれるなどの理由で特定の個人を識別できる音声録音情報を、個人情報の例に挙げています。MCでメンバーの名前や学校の話をしている部分、ジャケットに載せる名前、CDを配る範囲、ネットに上げるかどうかを、メンバーで決めておきます。
部員だけのCDでも、録音してCDにすることと配る範囲を先に知らせて了解をもらう
ライブの映像もDVD・ブルーレイにして渡すとき
ビデオでも撮っているなら、映像のディスクにして渡す方法もあります。曲の手続きはCDとは別の区分で、JASRACでは映像ソフト(DVD・ブルーレイなど)の製作、NexToneでは「利用許諾申請(ビデオグラム)」にあたります。どちらも、ディスクを作る前に申し込みます。個人情報保護委員会のガイドラインは本人が判別できる映像も個人情報の例に挙げているので、写っている出演者の了解も欠かせません。
カメラの音より卓やレコーダーの音が聞きやすいときは、編集で映像の音を差し替えます。合図の音で波形を合わせる手順と、長い録音で後ろほどずれていくときの直し方は、動画の音ズレの直し方|原因の見分け方とパソコン・スマホでの対処にあります。
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、1枚から注文できる、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店です。当社が受け付けるのは、編集を終えた完成した動画のデータで、ギガファイル便の共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、スマホからも送れます。
受け取った動画は、プレーヤーで再生できる形に組み立てます(オーサリング)。DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080、音声はAC-3かリニアPCMで書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円です。曲ごとに頭出しできるようにするなら、注文ページで「チャプター分け」を選んでください。開いた「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の区切りの位置を時刻で入れてください(1つ目は動画の冒頭00:00:00に自動で入り、最大50チャプター)。文化祭のステージ全体を撮って配るときの段取りは、文化祭・学園祭のDVDの作り方|撮影・著作権・配る・売るときの段取りにまとめています。
ライブの前から、CDを配るまでの段取り
会場への確認と曲の手続きは、ライブより前に始めます。
- 配る相手と枚数を決める(部員、出演した人、家族、顧問、学校の保存用など)
- 会場に、録音してよいか、ミキサーから録音用の出力をもらえるか、レコーダーを置く場所と電源を聞く
- 演奏する曲を書き出し、J-WIDとNexToneの作品データベースで管理を調べる。入場のSEに市販の音源を使うなら、CDに入れるかを決める
- メンバーとサポートの人、対バンに、録音してCDにし、配ることを伝えて了解をもらう
- レコーダーとケーブルを本番と同じつなぎ方で試し、リハーサルで置き場所と録音レベルを決める
- 本番は最初のバンドの前に録音を始めて止めずに回し、その日のうちに2か所へコピーする
- 曲ごとに切り分け、音量をそろえて、44.1kHz・16bitのWAVに書き出す
- JASRAC・NexToneに申し込み、許諾の表示を入れた盤面とジャケットの原稿を作る
- 1枚目を焼いて何台かのプレーヤーで最後まで聴き、残りを作って配る
うまく録れなかった曲は、リハーサルスタジオで録り直す方法もあります。スタジオでの録り方はデモ音源の作り方と送り方|どこまで作り込むか・曲数・ライブハウスへの送り方で説明しています。あとから枚数を足すときは、曲の手続きの確認も忘れずに。NexToneは、許諾を得た製品を追加で作る場合も、別に追加の申請が要るとしています。編集を終えたWAVとジャケットの原稿は、ディスクとは別の場所に残しておくと、あとで頼まれたときも同じ内容で作り足せます。
よくある質問
Q1. 軽音部のライブを録音するには、何を用意すればいいですか?
レコーダー、有線のヘッドホン、予備の電池と記録メディアです。卓の音をもらうなら、ミキサーの出力とレコーダーの入力の両方に合うケーブルも要ります。何をどうつなぐかは、会場やPAの担当者に先に聞いてください。卓の音がもらえない会場でも、客席にレコーダーを置けば録れます。置き場所と録音レベルは、リハーサルの試し録りで決めます。
Q2. PA卓(ミキサー)から録音するには、どうすればいいですか?
会場やPAの担当者に、録音用に音をもらえるか、どの出力からどの端子で出るかを聞きます。ヤマハのMG10XUのUSB端子のように、パソコンへ音を送れるミキサーもあります。ハンディレコーダーにつなぐなら外部入力の設定にし(ソニーのPCM-A10なら「Audio IN」)、音の大きさはつないだ機器の側で合わせる、というのがソニーの案内です。
Q3. ライブの録音レベルは、どのくらいに合わせればいいですか?
ソニーのリニアPCMレコーダーPCM-A10のヘルプガイドは、ピークレベルメーターの−12dBを目安にしています。リハーサルで、いちばん大きな音が出る曲の全員で鳴らすところを録り、「OVER」などの表示が出ないことを確かめます。迷ったら低めにし、本番中は動かしません。32bitフロートで録る機種は、ZOOMがレベル調整の必要がないとしています。
Q4. 文化祭のライブでコピー曲を演奏するのに、手続きは要りますか?
入場料をもらわない、演奏する人に報酬を払わない、営利を目的としない、の3つの条件を満たすなら要りません(著作権法第38条1項)。JASRAC PARKも、生徒だけの無料の演奏会を手続き不要の例にしています。入場料を取るライブや、募金を集めるチャリティーのライブは手続きが要り、ライブハウスではお店に確かめます。
Q5. コピー曲のライブ音源を、部員にだけ無料で配るCDでも手続きは要りますか?
JASRACやNexToneが管理する曲なら要ります。JASRAC PARKの表でも、クラブのみんなに配るために演奏会を録音する場面は、無料であっても「手続きが必要」の側です。NexToneも、自分で演奏してCDに録音し、配布するなら、価格の有無にかかわらず申請が必要と答えています。申し込みはCDを作る前です。
Q6. ライブハウスに録ってもらった音源を、CDにして配ってもいいですか?
お店に、CDにして配ることを伝えて了解をもらってから進めます。録音そのものには、最初に音を録音した人(レコード製作者)の複製の権利があるからです(著作権法第96条)。コピー曲の手続きと、一緒に演奏した人の了解が要る点は、自分たちで録った音と変わりません。
Q7. 焼いたライブCDが、パソコンでは聴けるのにCDプレーヤーで鳴らないのはなぜですか?
マクセルは原因に、プレーヤーがCD-Rの再生に対応していない可能性や、書き込みでディスクのクローズの処理をしていないことを挙げています。MP3などのファイルのまま書き込んだディスクも、その形式に対応したプレーヤーでしか鳴りません。書き込みソフトで「オーディオCD」の形式を選び、何台かで確かめます。
Q8. ライブの音源CDを、物販や通販で売ってもいいですか?
コピー曲が入っていれば、売るときも、作る前にJASRACやNexToneへ申し込みます。JASRAC PARKは、販売するときはもちろん、無料で配るときも手続きが必要としています。製作費の実費を超える値段で売るなら、JASRACの使用料の「非商用複製」の区分には入りません。対バンやサポートの人の演奏を入れるなら、売ることと売り上げの扱いまで先に話して、一人ずつ了解をもらいます。
参考にした公式の情報
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機器の機能や端子の名前、法律の運用や各団体の手続きは、機種や更新、改正で変わります。この記事は、2026年9月27日時点の各社・各団体の公式ページと法令の記載をもとにしたものです。録音してよいかは会場や学校に、曲の扱いの個別の判断はJASRAC・NexToneなどの権利者に確かめてください。
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