この記事の要点
墓じまいは法律上「改葬」 にあたり、墓地埋葬法第5条で市区町村長の許可が必要です。石材店の撤去が始まると元に戻せないため、記録は着工前に済ませます。
墓地の管理者は図面と帳簿を備える義務があり、同法第15条第2項で関係者からの閲覧請求を拒めません 。刻字が読めなくても、帳簿から死亡年月日をたどれる場合があります。
墓石は全体写真1枚では足りません。面ごと・刻字は列ごとに寄って撮る のが実務で、曇天や斜光で彫りに影を作り、撮った直後に拡大して読めるか確かめます。
仏壇は扉を開けた状態と位牌の裏書き を1基ずつ残します。裏には俗名・没年月日・行年が入っていることが多く、表の戒名だけでは情報が欠けます。
親族へ配る記録は写真フォルダではなく章立てした1本の映像 にまとめます。当社は1枚から注文でき、基本料金(DVD・1枚あたり)は1,500円(税抜)から、チャプター分けもオプションで付けられます。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
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1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
墓じまいの相談を進めていくと、日程と費用の話が先に固まって、「何を残すか」は最後まで宙に浮いたままになりがちです。石材店の見積もりを取り、寺に閉眼供養をお願いし、改葬先を決める。そこまで来て当日を迎え、更地になった区画を見てから、戒名を全部は控えていなかったことに気づく。よくある順番です。
墓石の撤去も仏壇の処分も、いったん始まれば元に戻せません。手放す前に残しておきたいのは、墓石と墓誌に刻まれた文字、仏壇の中の並びと位牌の裏書き、過去帳、区画がどこにあったか、そして墓地の帳簿や改葬の書類の写しです。刻まれた文字も、位牌の裏書きも、その区画がどこにあったかも、手放した後では確かめようがなくなります。逆に言えば、着工前の半日をどう使うかで、その家に何が残るかがほぼ決まります。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
墓じまいは戻せない|石材店が入る前の半日で、残せるものが決まる 墓地の帳簿は閲覧を請求できる|刻字が読めなくても被葬者はたどれる 全体写真1枚では刻字は読めないので、墓石は面ごと・列ごとに寄って撮る 区画の位置は引き・中景・寄りの3段階|更地になると場所が分からなくなる 仏壇は扉を開けた状態で撮る|位牌は表と裏、過去帳は見開きごと 閉眼供養の当日は撮影可否を先に確認し、撮る係を1人決めておく 配る記録と残す資料は分けて作り、配る記録は章立てした1本にすると経緯が伝わる よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
墓じまいは戻せない|石材店が入る前の半日で、残せるものが決まる
墓じまいは、法律上は「改葬」という手続きにあたります。墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)の第2条第3項は、改葬を「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義しています。そして第5条により、改葬をしようとする人は、その死体または焼骨が現に存する地の市町村長の許可を受けることになっています。
相談相手は寺や石材店ですが、許可を出すのは市区町村です。この役割分担を最初に押さえておくと、書類の流れが読めるようになります。
現場の作業そのものは、想像よりずっと短時間で終わります。棹石を下ろし、台石と外柵を解体し、区画を更地にして返す。石材店が重機を入れられる区画であれば、半日から1日で景色が変わります。当日になって「もう少し撮っておけばよかった」と思っても、その時点で棹石はトラックの上です。
残すものは「紙」「石」「場所」の3系統に分ける
やみくもに写真を撮ると、後から見返したときに必ず抜けが出ます。次の3系統に分けて、系統ごとに担当を決めるのが確実です。
紙の記録は、墓地の管理者が備えている帳簿と図面、改葬許可申請書とその添付書類、寺から受け取った書面、永代使用権に関する書類
石の記録は、棹石の正面・側面・裏面の刻字、墓誌(霊標)に並ぶ戒名と没年月日、花立や香炉に入った寄進者名、外柵の銘板
場所の記録は、区画がどこにあったのか。墓地の入口からの道順、隣接する区画との位置関係、区画番号
着手する順番は「紙→石→場所」です。理由は単純で、紙を先に押さえておくと、石の刻字が風化して読めない箇所を後から埋められるからです。逆に石から始めると、読めない文字を前にして、時間ばかり過ぎることになります。
もうひとつ、日程の組み方でよくある失敗があります。閉眼供養と撤去工事を同じ日に詰め込んでしまうと、供養が終わった直後に石材店が動き出し、落ち着いて撮る時間が消えます。可能であれば、記録のための日を別に取るか、少なくとも供養の開始時刻の2時間前には現地に入れるようにしておきます。
撤去が始まれば戻せない。着工前の段取りで、残せるものが決まる
墓地の帳簿は閲覧を請求できる|刻字が読めなくても被葬者はたどれる
あまり知られていませんが、墓地の管理者には記録を備える法律上の義務があります。墓地、埋葬等に関する法律第15条第1項は「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、省令の定めるところにより、図面、帳簿又は書類等を備えなければならない」と定めています。同条第2項は「墓地使用者、焼骨収蔵委託者、火葬を求めた者その他死者に関係ある者の請求があつたときは、前項に規定する図面、帳簿又は書類等の閲覧を拒んではならない」としています。
つまり、その墓に関係のある人からの閲覧請求を、管理者は拒否できません。この決まりは、墓じまいの記録を取るうえで大きな手がかりになります。
帳簿には氏名・本籍・死亡年月日まで書かれている
帳簿の中身は、同法施行規則第7条で決まっています。墓地等の管理者が備える帳簿には、墓地使用者等の住所および氏名と、埋葬されている人の本籍・住所・氏名・性別・死亡年月日を記載することになっています。埋葬もしくは埋蔵の年月日、改葬許可を受けた人の住所・氏名・続柄、改葬の場所と年月日も、記載することになっています。図面については同規則第6条で、墓地の所在地、面積、墳墓の状況を記載するとされています。
ここが重要な点です。墓石の刻字が風化して読めなくなっていても、管理者の帳簿には本籍と死亡年月日が文字として残っている可能性があります。 石を撤去してしまえば刻字は永久に失われますが、帳簿を先に見ておけば、読めなかった部分を補える場合があります。
閲覧をお願いするときは、書き写すことと撮影することの両方を想定して、筆記具とスマートフォンを持っていきます。撮影の可否は帳簿によって扱いが分かれるため、その場で管理者に確認してください。断られた場合でも、書き写すこと自体を拒まれることは通常ありません。時間がかかるので、閲覧は当日ではなく、余裕のある日に別途申し入れるのが現実的です。
改葬許可申請書そのものが、家系の記録になる
市区町村に出す改葬許可申請書も、内容としては立派な記録です。同規則第2条第1項は、申請書の記載事項として次を挙げています。
死亡者の本籍、住所、氏名および性別
死亡年月日
埋葬または火葬の場所
埋葬または火葬の年月日
改葬の理由
改葬の場所
申請者の住所、氏名、死亡者との続柄、および墓地使用者または焼骨収蔵委託者との関係
同条第2項では添付書類も定められており、次の3つが必要です。
埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証する書面(墓地または納骨堂の管理者が作成したもの)
申請者が墓地使用者等以外であるときは、墓地使用者等の承諾書
そのほか市町村長が特に必要と認める書類
埋葬されている人が複数いれば、その人数分の情報が、これらの書類に集まります。
改葬許可証は手元に残らないので、提出前に必ず複写する
ここで見落としがちなのが、書類の行き先です。同法第14条により、墓地の管理者は改葬許可証などを受理した後でなければ焼骨を埋蔵させてはならないことになっています。つまり改葬許可証は改葬先の墓地や納骨堂に提出するもので、申請者の手元には残りません。 埋蔵証明書も同様に、申請の過程で市区町村に渡ります。
渡してしまう前に、申請書の控え・埋蔵証明書・許可証を、スキャンするか、平らな場所に置いて真上から撮影しておきます。斜めから撮ると台形にゆがんで文字が読みにくくなるので、机の上でスマートフォンを真上に構えるのがこつです。
なお同法第16条第1項では、墓地または納骨堂の管理者は、埋葬許可証・火葬許可証・改葬許可証を受理した日から5年間保存することとされています。5年より前の埋葬について許可証そのものを見せてもらうのは難しくなりますが、帳簿はこの保存の決まりとは別なので、まずは帳簿の閲覧をお願いするのが筋道です。
許可証も埋蔵証明書も手元に残らない。渡す前に真上から撮って控える
全体写真1枚では刻字は読めないので、墓石は面ごと・列ごとに寄って撮る
墓石の撮影で最も多い失敗が、正面から全体を1枚撮って満足してしまうことです。後で拡大すると、墓誌の戒名がつぶれて判読できません。スマートフォンの画面では読めているように見えても、それは脳が補完しているだけで、画素として文字が残っていないケースがよくあります。
彫りに影を作らないと、文字は写らない
刻字は、石に彫られた溝です。溝の中に影ができて初めて、写真の上で文字として読めるようになります。真上から日が当たる正午前後は、溝の影が消えて文字が最も写りにくい時間帯です。
薄曇りの日、または朝夕の斜めの光が最も撮りやすい。晴天の正午は避ける
影が出る方向を探して、体の位置を変えながら数枚撮る
白い紙やハンカチを反射板代わりに使い、暗くつぶれた側に光を返す
金箔や墨が入った字は、逆に反射で飛ぶことがある。角度を変えて撮り分ける
石を水で濡らすと文字が浮き上がって読みやすくなることがありますが、水を掛けてよいか、洗剤やブラシを使ってよいかは、墓地の管理者と石材店に確認してください。石材の種類や表面の仕上げによっては、こすることで傷が残ります。拓本を取る場合も、墓地によって扱いが異なるため、事前に許可を得るのが前提です。
撮る対象と、撮った直後に確認すること
対象
撮り方
その場で確認すること
墓所の全体
正面から1枚、斜め45度から1枚
外柵の足元から棹石の頭まで入っているか
棹石の正面
画面いっぱいに1枚
家名・宗派の文字を拡大して読めるか
棹石の側面・裏面
面ごとに1枚+刻字は2〜3行ずつ寄り
建立年月日と建立者名が読めるか
墓誌(霊標)
全体1枚+2〜3列ずつ寄り
戒名・俗名・没年月日・行年が一字ずつ読めるか
花立・香炉・水鉢
側面の刻字を1点ずつ
寄進者名や年号が入っていないか
外柵・門柱
銘板があれば1枚
建立者名・石材店名が読めるか
納骨室の内部
開けるなら開けた直後に1枚
骨壺の数と配置、壺に書かれた文字
寄りで撮るときは、オートフォーカスが石の地肌に合ってしまい、文字がわずかにぼける現象が起きます。撮る前に画面上の文字を指でタップして、ピントをそこに固定してください。手ぶれも、文字がぼける原因です。石にひじを当てて構えるか、その場で3枚連続で撮って、後から一番きれいなものを選びます。
撮った直後にその場で拡大して読めるかを確かめること が、何より大事です。帰宅してから気づいても、もう戻れません。墓誌は1列ずつ「読めた・読めない」を声に出して確認しながら進めると、抜けが出にくくなります。
写真だけでは検索できないので、その日のうちに文字起こしする
写真は、写真のままでは探せません。戒名と没年月日は、その日のうちに表計算ソフトかメモに書き写して、写真のファイル名と対応づけておきます。「墓誌の3列目」のような対応表があるだけで、10年後の使い勝手がまるで変わります。
全体写真1枚では刻字は読めない。撮った直後に拡大して確かめる
あわせて、区画の入口から墓石の周りを一周する動画を1本撮っておくと、静止画では抜けた面を後から補えます。スマートフォンで撮った動画がどんな形式で保存されるかは機種によって異なるので、動画ファイル形式の基礎(MP4・MOV・AVIの違い) を確認しておくと、後で家族に渡すときに困りません。
区画の位置は引き・中景・寄りの3段階|更地になると場所が分からなくなる
撤去が終わると、そこは砂利の敷かれた四角い空き地になります。翌年に手を合わせに行こうとしても、区画の位置が分からなくなっていた、という話は珍しくありません。墓石という目印が消えるからです。
入口から区画までを、歩きながら動画で1本
いちばん確実なのは、墓地の入口や本堂、管理事務所から自分の区画まで歩く様子を、そのまま動画で撮ることです。分岐で立ち止まって左右を振り、「入口から3本目の通路を右」と声に出して入れておきます。後から地図を書き起こすより早く、間違いも少なくなります。
静止画は、次の3段階で押さえます。
引きでは、区画が墓地全体のどのあたりにあるか。建物や大きな木、給水場など、動かない目印が入る角度で
中景では、両隣と向かいの区画が入る位置から。並びの何番目かが分かる
寄りでは、区画番号のプレートや杭。番号が読める距離まで近づく
中景では他家の墓石と家名が写り込みます。記録としては有用な一方、そのまま人に配ってよい情報ではありません。他家の家名が写った写真は、家の中で保管する資料には含め、親族に配る記録からは外すか、家名の部分を隠す という切り分けをしておくと、後で気まずいことになりません。
管理事務所の区画図を控える
墓地の管理者は施行規則第6条により、所在地・面積・墳墓の状況を記載した図面を備えることになっており、法第15条第2項で関係者からの閲覧を拒めません。区画番号と位置が記された図面は、言葉で書いた道順よりはるかに正確です。閲覧をお願いして、区画番号を書き取ってください。
スマートフォンの位置情報をオンにして撮影すると、写真のExif情報に緯度経度が記録されます。区画そのものをピンポイントで示すほどの精度は期待できませんが、墓地のどのあたりだったかを後から地図上で確かめる用途には十分です。ただし、位置情報を含んだままの写真を不特定多数に渡すことは避け、配布用は位置情報を外したものを使い分けます。
最後に、更地になった直後の区画を1枚撮っておきます。原状回復して返還したことの記録になり、後日に管理者との間で認識の違いが出たときの手がかりになります。墓石が搬出される瞬間、重機が入っている場面も、撮っておくと経緯を説明する材料になります。
仏壇は扉を開けた状態で撮る|位牌は表と裏、過去帳は見開きごと
仏壇じまいでは、閉眼供養が済んだ時点で本尊や位牌が先に動きます。撮るなら供養の前、まだ全部が元の位置にあるうちです。順番を逆にすると、「どこに何が置かれていたか」という配置の情報が失われます。
配置は「並んでいたとおり」に残す
位牌の並べ方や仏具の配置は、宗派と地域によって考え方が異なります。正しい並べ方を調べて書き残すのではなく、その家で実際に並んでいたとおりを写真に残す のが記録としては正解です。判断はあとで寺に相談すればよく、写真がなければ相談の材料そのものが消えます。
仏壇の全景を、扉を閉じた状態と開いた状態で1枚ずつ
内部を段ごとに1枚。本尊、脇侍、位牌、仏具の位置関係が分かるように
各段を左から右へ、寄りで分割して撮る
引き出し・下段の物入れは、開けた直後の状態を1枚。中身を出してからもう1枚
仏壇の中は暗く、照明が電球色であることが多いため、写真が全体的に黄色っぽく写ります。文字を読む目的の写真は、スマートフォンのホワイトバランスを手動で調整するか、扉を開けて部屋の明かりを入れて撮り直します。金箔や漆にフラッシュを直射させると強く反射して読めなくなるので、フラッシュは切って、明るい場所へ移動させるほうが確実です。
位牌は裏に情報が入っている
位牌でいちばん残し忘れられるのが裏面です。表には戒名(法名)が書かれていますが、俗名・没年月日・行年(享年)は裏に入っていることが多く、表だけを撮ると、その人が誰でいつ亡くなったのかという情報が丸ごと抜けます。
位牌は1基ずつ、表と裏を撮ります。何基もあるときは、撮る順番を決めて、間に番号を書いた紙を挟むか、必ず表・裏・表・裏の順で撮って、後から対応が崩れないようにします。中に札板が重ねて入っている位牌(繰り出し位牌)は、札を1枚ずつ抜いて両面を撮り、抜いた順番も記録します。順番自体が世代の順を示していることがあります。
過去帳は見開きごと、墨が薄ければ斜めの光で
過去帳がある家では、これが最もまとまった記録です。見開きごとに1枚ずつ、ページを飛ばさずに撮ります。古い墨は薄れて写真に写りにくいので、窓際で紙の面に対して斜めから光を入れると、墨の濃淡が出やすくなります。真上からの照明だけだと、紙のてかりで文字が消えます。
撮るときは、綴じの奥までページを開こうとして無理に押さえると傷みます。片側ずつ撮って2枚に分けるほうが、結果として読める写真になります。
なお、墓地、埋葬等に関する法律が対象としているのは死体と焼骨であり、仏壇や位牌そのものの取り扱いを定めた規定はありません。手続き上の縛りがない分、何を残して何を手放すかは、宗教的な判断は寺に、記録の扱いは親族間の合意で決めることになります。
過去帳と位牌の情報は、故人の本名・没年・続柄が並んだ個人情報のかたまりです。 誰に渡すか、どこまで公開するかを、撮る前に一度話し合っておくと後の摩擦が減ります。
引き出しの中こそ、いちばん大事な資料のことがある
仏壇の下段や引き出しからは、寺が発行した受領証、法要の記録、位牌を作った際の書付、古い写真、遺影の裏書きなどが出てきます。これらは仏壇と一緒に処分されやすい一方で、家の来歴を裏づける一次資料です。中身は一点ずつ、真上から平らに撮ります。写真の裏に鉛筆で書き込みがあることも多いので、写真は必ず表裏を撮ってください。
撮るのは閉眼供養の前。並んでいたとおりの配置を残す
閉眼供養の当日は撮影可否を先に確認し、撮る係を1人決めておく
閉眼供養(魂抜き、御霊抜きとも呼ばれます)の当日は、施主が最も動けない日です。僧侶の応対、親族の案内、石材店との打ち合わせが重なり、自分で撮ろうと思っていた写真は、まず撮れません。
撮ってよいかを、寺に事前に聞く
読経中の撮影、録音、僧侶が画面に写ることの可否は、寺や僧侶によって考え方が異なります。当日その場で「撮ってもいいですか」と聞くと、断りづらい空気を作ってしまいます。日程の打ち合わせの段階で、「経緯を親族に伝えるために記録を残したい」と目的を添えて、あらかじめ確認しておいてください。断られたら、供養の前後だけを撮る形に切り替えます。
同じことが親族についても言えます。撮られたくない人がいるのは当然のこと なので、当日の冒頭に「記録を残しています」と一言伝え、写りたくない人は画角から外します。
撮る係を決め、機材を2台に分ける
施主以外の誰か1人に、撮る役をはっきり頼みます。「気づいた人が撮る」にすると、同じ場面が5枚あって肝心の場面が1枚もない、という結果になります。
定点の1台は、三脚に載せて、墓所全体が入る引きの位置に固定。回しっぱなしにするので、電池残量と空き容量を出発前に確認する
手持ちの1台では、焼香、僧侶の手元、参列者の様子など、寄りの場面を撮る
読経を記録する場合、主役は映像ではなく音です。屋外の墓地では風切り音が入りやすいので、風上に背を向けるか、マイク部分を手で軽く覆います。離れすぎると読経が環境音に埋もれるため、失礼にならない範囲で近づきます。
撮る順番を決めておく
当日の流れに沿って、次の順で押さえると経緯が伝わる並びになります。
供養が始まる前の、まだ手つかずの墓所全体
供物・花を供えた状態
読経の様子(引きで通し、寄りで数場面)
参列者の焼香
骨壺を取り出す場面
石材店による撤去作業
更地になった区画
撮影機材の日時設定が狂っていると、複数台のデータを合わせたときに時系列が入れ替わります。出発前に、使う機器すべての時計を合わせておいてください。地味ですが、後の編集作業で最も役に立ちます。
そして当日中に、データを1台のスマートフォンに置いたままにしない ことです。帰宅したその日のうちにパソコンへコピーし、少なくとももう1人の親族へも渡します。紛失や水没は、供養が終わってからのほうが起きやすいものです。
配る記録と残す資料は分けて作り、配る記録は章立てした1本にすると経緯が伝わる
撮り終えたデータをそのまま親族に共有しても、まず見てもらえません。数百枚の写真フォルダは、順番も文脈もない状態で渡されると「あとで見る」のまま止まります。墓じまいの記録は、記録として保存するものと、人に見せて経緯を伝えるものを、最初から分けて作るのが実務的です。
配る記録は、順番のついた10〜20分の1本にする
親族に渡すのは、写真の束ではなく、順番のついた1本の映像です。撮った静止画を並べ、短い字幕を入れるだけで十分に伝わります。ナレーションを入れられるならなおよいですが、なくても成立します。章立ての目安は次のとおりです。
第1章:なぜ墓じまいをすることにしたのか(現状の写真と、決定までの経緯を数枚の字幕で)
第2章:墓所の姿(全体・棹石・外柵・区画の位置)
第3章:刻まれていた文字(墓誌の戒名・没年月日を、文字起こしとあわせて)
第4章:仏壇と位牌(配置、位牌の表裏、過去帳から公開してよい範囲)
第5章:閉眼供養の当日
第6章:改葬先(新しい納骨先の外観と、参拝の道順)
この構成なら、法要の席で流すこともでき、来られなかった親族に郵送しても状況が伝わります。章ごとに頭出しできるようにしておくと、「仏壇のところだけもう一度見たい」という要望にその場で応えられます。 当社ではメニュー画面の作成とチャプター分けにオプションで対応していて、章の区切りの時刻を「チャプター位置の指定」の欄に入れれば、この章立てをそのままディスクの目次にできます。
ディスクを選ぶ理由は、受け取る側の環境にある
親族が高齢で、共有リンクやクラウドの操作に慣れていない場合、リンクを送っても開かれません。テレビにつながったプレーヤーへ入れれば映る形のほうが、結果として見てもらえます。どんな機器で再生されるかが読めないときは、家庭用プレーヤーの互換性 を先に確認しておくと、渡してから「映らない」と連絡が来る事態を減らせます。
配る用と長く残す用では、選ぶ形が変わります。
親族に配る記録
家に残す資料
中身
経緯が分かる10〜20分の1本
撮影した元データすべて+文字起こし
形
家庭用プレーヤーで見られるDVD
元ファイルのまま保存+確認用のディスク
目次
章ごとに頭出しできるチャプター
撮影日・場所でフォルダ分け
枚数
渡す世帯の数だけ
置き場所を分けて2枚以上
盤面
家名と年を印刷して取り違えを防ぐ
同上+作成日を追記
DVDとブルーレイのどちらを選ぶかは、内容の長さと、受け取る側の機器で決まります。写真中心の10〜20分なら画質を保ったままDVDに収まりますし、当日の動画を長時間そのまま残すなら容量に余裕のあるブルーレイが向きます。判断材料はDVDとブルーレイの違い(画質・容量・互換性) にまとめてあります。迷う場合は、配る用をDVD、家に残す用をブルーレイという組み合わせが扱いやすい構成です。
1枚から作れるので、必要な数だけ用意できる
この種の記録は、渡す相手が3世帯や5世帯といった小さい単位になります。当社は基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚単位で注文できます 。受け付けるのは完成した動画のデータなので、静止画を並べた記録も、動画の形にしてから入稿します。再生できる形へ組み立てるオーサリングは料金に含まれているため、動画ファイルをそのまま渡していただければ、プレーヤーで再生できる状態に仕上げます。
盤面へのレーベル印刷と、ケース+背表紙の印刷(どちらもオプション)は、印刷する画像を入稿してもらう形です。その画像に「〇〇家 墓じまいの記録」と年を入れておけば、棚に立てたときに背表紙から探せます。
入稿は、ギガファイル便のURLをお知らせいただく形です。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などに対応しています。ディスクドライブのないパソコンやスマートフォンからでも、ファイルをアップロードしてURLを送るだけで進みます。
納期は、通常便のほかに次の3つから選べます。
お急ぎお届け(+1,500円)は、平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送します。
特急お届け(+3,000円)は、平日15時までの注文・入稿で翌日に発送します。
当日店舗お渡し(+3,500円)は、平日12時までの注文・入稿で、大阪市北区の店舗で受け取れます。
四十九日や一周忌の席で配りたいなど、日付が動かせない予定がある場合はご相談ください。
ディスク1枚に集約せず、保管の分散まで含めて記録
ここまで手をかけた記録を、1枚のディスクだけに置くのは避けたいところです。ディスクは光と熱と湿気に弱く、置き場所によって状態の変化に差が出ます。ケースに入れて立てて置く、直射日光の当たる窓際や車内を避ける、といった基本はDVD・CDの正しい保管方法 にまとめています。
より確実にするなら、元データをパソコンと外付けドライブとクラウドに分けて置き、そのうえで見る用のディスクを作る形が安全です。同じデータを3つ持ち、2種類の媒体に分け、1つは離れた場所に置くという考え方についてはクラウドとディスクを併用する3-2-1バックアップの実践 で具体的な組み方を紹介しています。
墓じまいの記録は、作った当人よりも、次の世代が見る資料になります。撮った日から30年後に開かれることを前提に、置き場所と写しの数まで決めて、ようやく記録が完成します。
よくある質問
Q. 墓じまいの前に、墓地の帳簿を見せてもらうことはできますか? A. できます。墓地、埋葬等に関する法律第15条第1項で、墓地の管理者は図面・帳簿・書類等を備えることとされています。同条第2項は、墓地使用者やその他死者に関係のある者から請求があったときに、閲覧を拒んではならないと定めています。帳簿には施行規則第7条により、埋葬されている人の本籍・住所・氏名・性別・死亡年月日と、埋葬または埋蔵の年月日が記載されています。時間がかかるため、撤去当日ではなく、余裕のある日に管理事務所へ申し入れてください。撮影の可否はその場で確認し、書き写す用意も持っていくと確実です。
Q. 墓石の刻字が風化して読めません。ほかに調べる方法はありますか? A. 墓地の管理者が備えている帳簿を閲覧するのが第一です。帳簿には死亡者の本籍・氏名・死亡年月日が文字として記載されているため、石の上で読めなくなった情報を補える場合があります。改葬の手続きで作る改葬許可申請書にも、施行規則第2条第1項により死亡者の本籍・住所・氏名・性別、死亡年月日、埋葬または火葬の場所と年月日を記載します。あわせて、仏壇の過去帳、位牌の裏面、寺が保管している記録も突き合わせの材料になります。石を撤去してしまうと刻字は戻らないので、これらの確認は着工前に済ませてください。
Q. 改葬許可証は手元に残りますか? A. 残りません。墓地、埋葬等に関する法律第14条により、墓地や納骨堂の管理者は改葬許可証を受理した後でなければ焼骨を埋蔵・収蔵させられないため、許可証は改葬先へ提出することになります。埋蔵証明書も申請の過程で市区町村に渡ります。提出する前に、スキャンするか、机の上に平らに置いて真上から撮影して控えを残してください。斜めから撮ると台形にゆがんで文字が読みにくくなります。なお同法第16条第1項で、墓地・納骨堂の管理者は許可証を受理した日から5年間保存することとされています。
Q. 位牌は表だけ撮れば十分ですか? A. 表だけでは足りません。位牌の表には戒名(法名)が書かれていますが、俗名・没年月日・行年(享年)は裏面に入っていることが多く、表しか撮っていないと「誰がいつ亡くなったのか」という核心の情報が抜け落ちます。1基ずつ表と裏をセットで撮り、基数が多い場合は表・裏・表・裏の順を崩さないようにしてください。中に札板が重なって入っている繰り出し位牌は、札を1枚ずつ抜いて両面を撮り、抜いた順番も記録します。並んでいた順番そのものが世代の順を示していることがあります。
Q. 閉眼供養の様子を撮影・録音してもよいですか? A. 寺や僧侶によって考え方が異なるため、日程の打ち合わせの段階で確認してください。当日その場で尋ねると断りづらい状況を作ってしまいます。「経緯を親族に伝えるための記録を残したい」と目的を添えて相談するのが伝わりやすい形です。許可が得られない場合は、供養の前後の様子だけを撮る形に切り替えます。参列者についても、当日の冒頭に記録を残している旨を伝え、写りたくない方は画角から外す配慮をしてください。屋外では風切り音が入りやすいので、読経を録るときは風上に背を向けます。
Q. 過去帳や位牌の写真を親族に配るとき、気をつけることはありますか? A. 過去帳や位牌の記載は、故人の本名・没年・続柄が並んだ個人情報にあたります。誰に渡すか、どこまで見せるかは、撮影する前に親族間で話し合っておくと後の摩擦を避けられます。墓地で撮った中景の写真には他家の墓石と家名が写り込むため、家の中で保管する資料には含めても、配布する記録からは外すか家名部分を隠すという切り分けが実務的です。また、位置情報をオンにして撮った写真には緯度経度が記録されるので、配布用は位置情報を外したものを使い分けてください。
Q. 記録をディスクにするなら、DVDとブルーレイのどちらがよいですか? A. 内容の長さと、受け取る側の再生機器で決まります。写真中心に字幕を付けた10〜20分程度の構成なら、画質を保ったままDVDに収まりますし、DVDのほうが再生できる機器が多いので配布向きです。閉眼供養当日の動画を長時間そのまま残したい場合は、容量に余裕のあるブルーレイが向きます。配る用をDVD、家に残す用をブルーレイという組み合わせにすると、両方の利点を取れます。詳しい比較はDVDとブルーレイの違いを解説した記事にまとめてあります。
Q. 何枚から注文できますか? A. 1枚から注文でき、料金は基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からです。動画データを再生できる形へ組み立てるオーサリングは料金に含まれています。盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも、オプションで対応しています。入稿はギガファイル便のURLをお知らせいただく形です。