この記事の要点
- 歌ってみた(カバー)の音源をCDにして配る・売るには、曲の著作権の手続き、伴奏の音源の権利、共作者の合意の3つがそろう必要があります。
- JASRACやNexToneが管理する曲は、CDを作る前に録音の利用を申し込みます。無料で配るCDも、即売会で頒布するCDも同じです。
- 伴奏は出どころで確かめる相手が変わります。作者が配るオフボーカルは配布ページの規約を、市販のCDやカラオケの音源はレコード会社など原盤の持ち主の許諾を確かめます。
- YouTubeやニコニコ動画の契約で手続きなしに扱えるのは、そのサービスへの投稿までです。同じ音源をCDにするときには使えません。
- 一緒に歌った人、ミックスを頼んだ人、ジャケットの絵を描いた人とは、CDにして頒布してよいかを作る前に取り決めます。
動画サイトに上げた歌ってみたを、CDにして即売会やライブの物販で頒布したい。そう考えたときに気になるのが、動画には投稿できた音源を、そのままCDにしてよいのかという点です。
歌ってみたの音源は、次の3つがそろえばCDにして頒布できます。
- 曲の著作権の手続きです。JASRACやNexToneが管理している曲なら、CDを作る前に録音の利用を申し込みます。無料で配るCDでも、この手続きは要ります
- 伴奏の音源の権利です。作者が配っているオフボーカルなら配布ページの利用規約を、市販のCDやカラオケの音源なら、その音を録音したレコード会社など、原盤の持ち主の許諾を確かめます
- 一緒に歌った人、ミックスを頼んだ人、ジャケットの絵を描いた人の合意です
YouTubeやニコニコ動画で手続きなしに歌ってみたを投稿できるのは、サービスがJASRAC・NexToneと契約しているからです。その契約で扱えるのはサービスへの投稿と視聴までで、同じ音源をCDにするなら、手続きは自分で行います。
歌ってみたのCDと著作権|曲・伴奏の音源・歌と演奏の3つの権利
CDに録音された音楽には、立場の違う人の権利が重なっています。文化庁の著作権テキストは、CDに録音されている音楽をコピーする場合、歌詞・曲の著作権のほかに、演奏・歌唱をした人の権利と録音物(レコード)の権利もかかわるとしています。著作権と著作隣接権が重なって働く、という説明です。
| 権利 |
持っている人と 確かめ先 |
| 曲の著作権 |
作詞者・作曲者。 JASRAC・NexToneが 管理する曲は、 そこに申し込む |
| 伴奏の原盤 |
伴奏の音を 最初に録音した人。 配布の規約を 読むか、許諾を得る |
| 歌と演奏 |
歌った人と 演奏した人(実演家)。 本人の了解を得る |
曲の著作権は、作詞者・作曲者のものです。曲を複製する権利と、複製物を譲り渡して公衆に提供する権利は、作者にあります(第21条・第26条の2)。作者がJASRACやNexToneに管理を任せている曲は、その団体が利用の許諾を出します。
伴奏の音源には、その音を最初に録音した人の権利があります。著作権法はこの人をレコード製作者と呼び、録音したもの(いわゆる「原盤」)を複製する権利と、その複製物を譲り渡して公衆に提供する権利を認めています(第96条・第97条の2。文化庁)。JASRACやNexToneが許諾するのは曲の著作権なので、伴奏の音源は別に確かめます。
歌う人と演奏する人は、著作権法でいう実演家です。実演家には、自分の実演を録音する権利があります(第91条)。文化庁は、この権利が実演の録音されたCDなどをコピーすることにも及ぶとして、音楽CDをコピーするには、作詞家・作曲家とレコード製作者だけでなく、歌手や演奏家の了解も必要だと説明しています。ひとりで歌った音源なら了解するのは自分です。コラボ相手やギターを弾いてくれた人がいれば、その人たちの了解が要ります。
動画サイトの契約で手続きなしに扱えるのは、投稿まで
YouTubeなど、JASRACと利用許諾契約を結んでいる動画投稿サービスでは、投稿者は通常、JASRACに個別に申し込まずに動画をアップロードできます(JASRAC)。NexToneも、利用契約のある動画配信サービスでは運営者が曲の報告と使用料の支払いをしているので、投稿者の手続きは要らないとしています。JASRACとNexToneが公表している一覧には、どちらにもYouTubeとニコニコ動画が載っています(2026年9月時点)。
許諾が及ぶ範囲を具体的に書いているのが、ニコニコのガイドラインです。JASRAC・NexToneの許諾で認められているのは、ニコニコ動画への動画のアップロードと、ニコニコ動画での視聴です。それも曲の著作権に基づく利用だけで、レコード会社などから許諾された原盤を使えるのは、ニコニコ動画とユーザー生放送の中に限られています。
同じ音源をCDにして売る・配るなら、曲の手続きを自分で申し込み、伴奏の許諾も自分で確かめます。NexToneは、歌ってみたやカバーの動画について、契約があるのは曲の著作権(歌詞やメロディの権利)だけとしています。CDや配信の音源、カラオケなど、ほかの人が作った音源を使うなら、原盤の権利者の許諾が別に要ると注意しています。動画サイトに投稿できていることは、CDにしてよい理由になりません。
同じ歌ってみたでも、届け方で曲の手続きが変わります(JASRAC・NexToneの管理曲の場合)。
| やりたいこと |
曲の手続き |
動画サイトに 投稿する |
契約のある サービスなら、 投稿者の手続きは 要らない |
CDにして 売る・配る |
作る前に JASRAC・NexToneへ 申し込む。 無料で配るときも同じ |
動画を ディスクにして 配る |
映像ソフトの 手続きを、 作る前に申し込む |
自分用に 1枚焼く |
自分や家族で 聴くなら私的使用。 サークルで配るなら 申し込む |
どの場合も、伴奏にほかの人が作った音源を使うなら、原盤の持ち主の許諾が別に要ります。
無料で配るCDも、即売会で頒布するCDも、曲の手続きが要る
手続きが要るかどうかは、有料か無料かでは決まりません。著作権法の「頒布」は、有償か無償かを問わず、複製物を公衆に譲り渡すことをいい(第2条1項19号)、公衆には特定かつ多数の人も含まれます(第2条5項)。
JASRACは、無料で配布する場合でも利用申請が必要だとしています。仲間うちやサークルのメンバーで共有する場合は、共有する範囲によって要否が異なるとしたうえで、サークル内での記録動画などは私的利用の範囲を超えるので申請が必要、という説明です。NexToneは、管理作品を自分で演奏してCDに録音し、販売や配布をしたいという質問に、価格の有無にかかわらず利用申請が必要だと答えています。
同人誌即売会やライブの物販で頒布するCDも、通販で届けるCDも、売るか無料で配るかのどちらかなので、この答えがそのまま当てはまります。販売しないCDをJASRACのオンライン窓口「J-RAPP」で申し込むときは、定価・小売価格を「0円」と入力するよう案内されています。
反対に、許諾なしにできるのが、私的使用のための複製です。文化庁の説明では、家庭内など限られた範囲で、仕事以外で使うために、使う本人が複製することが条件です(第30条)。自分で聴くために自分でCD-Rに焼くのはこれにあたりますが、私的使用のために焼いたCDを人に配ると、複製をしたものとみなされます(第49条)。
無料で配るCDも頒布にあたる。許諾が要らないのは自分や家族で聴く分だけ
曲の手続き|JASRACかNexToneか、管理している団体を調べる
申し込み先は、曲ごとに違います。CDに入れる曲を1曲ずつ、曲名と作詞者・作曲者の名前で書き出してから、次の順で調べます。
- JASRACの作品検索データベース「J-WID」で曲を探し、管理状況のうち「複製」の「録音物」の区分を確かめる
- J-WIDで見つからなければ、NexToneの作品データベースで探し、表の「オーディオ」の欄を見る。「◯」はNexToneの管理、「△」は一部を管理、「×」か、見つからなければNexToneは管理していない
- どちらも管理していない曲は、音楽出版社や作者に直接問い合わせる
カバーで歌う人が原曲と違っても、同じ作品ならNexToneの管理作品として申し込めます(NexTone)。JASRACに申し込むときは、JASRACが管理していない曲も含めて、収録する曲をすべて申告します。J-WIDの見方は、学校行事の録画・DVD配布と著作権でも説明しています。
替え歌・アレンジ・一部のカットと、専属楽曲
歌詞を替えたり、大きく編曲したり、訳詞を付けたりするなら、JASRACやNexToneに申し込む前に、作者や音楽出版社に改変してよいかを確かめます。JASRACは、替え歌や編曲と並べて、曲の一部をカットする使い方も改変の例に挙げています。著作権法は、曲を編曲する権利を作者に認めていて(第27条)、作者には、意に反して作品を変えられない権利もあります(第20条)。NexToneは、編曲などの権利の管理は任されていないとして、先に音楽出版社などの許諾を得てから申し込むよう案内しています。
曲によっては、録音について特定のレコード会社が独占的な利用権を持つ「専属楽曲」があります。J-WIDやJ-RAPPで「専属楽曲」と表示された曲をCDに入れるなら、JASRACに申し込む前に、そのレコード会社に使用の申請をします(JASRAC)。
作者が自分で規約を出している曲と、作者本人の「自己利用」
ボカロ曲などでは、作者がJASRACやNexToneに管理を任せず、自分で利用の規約を公開していることがあります。どちらのデータベースにもない曲は、その規約で、CDにして頒布してよいか、有償でもよいか、クレジットの書き方や報告の決まりがあるかを確かめます。規約に書かれていない使い方は、作者に直接たずねます。
反対に、データベースで管理と出た曲は、作者が「使ってよい」と書いていても、曲の手続きの申し込み先は管理団体です。JASRACは、信託契約を結ぶと作者の音楽著作権がJASRACに移るので、作者が自分の作品を使う場合でも、原則として手続きと使用料が要るとしています。条件を満たす使い方には「自己利用」の扱いがありますが、届け出るのは管理を任せている作家本人で、使えるのも本人や親族、運営する事業者などです。他人の曲をカバーする歌い手が使える扱いではありません。
NexToneも、届け出た作品は著作権者自身が使う場合も使用料を払う、と案内しています。作者の規約で確かめるのは伴奏の音源の使い方やクレジットの決まり、曲の手続きは管理団体、と分けておくと迷いません。
管理と出た曲は、作者が使ってよいと書いていても申し込み先は管理団体
オフボーカル・カラオケの伴奏は、出どころで確かめる相手が変わる
曲の手続きをJASRACやNexToneで済ませても、伴奏の音源の許諾は含まれません。NexToneは、CDや配信の音源に含まれる3つの権利(作詞者・作曲者の著作権、歌手や演奏家の権利、レコード製作者の権利)のうち、許諾しているのは作詞者・作曲者の著作権だけだとしています。歌ってみたの伴奏は、出どころごとに確かめる相手が違います。
| 伴奏の出どころ |
確かめること |
作者が配る オフボーカル |
配布ページの規約。 CDにして 頒布してよいか、 有償でもよいか、 表記の決まり |
ピアプロの カラオケ音源 |
作品の ライセンス条件。 どの作品も 非営利に限られる |
市販のCDや 配信の伴奏 |
レコード会社など、 原盤の持ち主の 許諾 |
カラオケの 機器・アプリ |
音源を作った会社など、 原盤の持ち主の 許諾 |
自分や仲間の 演奏・打ち込み |
演奏した人の了解。 管理団体に 申し込むのは 曲の手続きだけ |
作者が配っているオフボーカルは、配布ページの利用規約が、その音源の使い方の決まりです。動画への投稿を認めていても、CDにして頒布することまで書かれていなければ、作者に確かめてから使います。伴奏だけのトラックをCDに入れて配るなら、伴奏の音源そのものを複製して配ることになるので、その使い方が認められているかも別に確かめます。規約の該当箇所と作者とのやりとりは、頒布を終えるまで残しておきます。
ピアプロに投稿されたカラオケ音源
クリプトン・フューチャー・メディアの投稿サイト「ピアプロ」では、会員は、ほかの会員が投稿した作品を、作品に付けられたライセンス条件を守って使えます。ピアプロのよくある質問によると、すべての作品に共通する条件は「非営利目的に限ります」で、投稿作品をお金をとって使うことはできません。作者の名前の表示や、改変しないことを条件にしている作品もあり、ライセンス条件の付いていない作品は、作者から個別に許諾を得ます。値段を付けて頒布するCDに使いたいときは、作者に直接たずねるところから始めます。
市販のCD・配信の伴奏と、カラオケの音源
市販のCDに入っている伴奏や、配信で買った伴奏の音源をそのまま使うなら、曲の手続きとは別に、レコード会社などの許諾が要ります(JASRAC)。カラオケの機器やアプリの音源も、ほかの人が作った音源です。NexToneは、カラオケを含めて第三者が作った音源を使うときは、原盤の権利者の許諾が別に要ると案内しています。主なレコード会社の窓口は日本レコード協会が一覧にしていますが、許諾するかどうかは各社の判断です。
ニコニコの許諾原盤を使って投稿した歌ってみたも、その許諾はニコニコ動画とユーザー生放送のためのものなので、CDにするなら、あらためてレコード会社などに確かめます。市販の曲に含まれる3つの権利は、結婚式ムービーのBGMと著作権でも説明しています。
自分や仲間が演奏・打ち込みした伴奏
伴奏を自分で打ち込んだり、友人に演奏してもらって録音したりした音源なら、市販の音源にある歌手やレコード会社の権利の手続きは要りません。管理団体に申し込むのは、曲の手続きだけです(NexTone)。ただ、演奏した友人は実演家なので、CDにして頒布することへの了解をもらっておきます。録音を別の人に頼んだなら、その人とも使い方を取り決めておきます。
一緒に歌った人・ミックス・ジャケットの絵との取り決め
歌ってみたは、ひとりで作るとは限りません。一緒に歌った人、ミックスを頼んだ人、ジャケットや歌詞カードの絵を描いた人がいるなら、CDにして頒布してよいかを、作る前にそれぞれと取り決めます。動画の投稿のために頼んだ仕事なら、CDに使うのは頼んだときとは別の使い道です。
一緒に歌った人や、コーラス・楽器で参加した人は実演家で、音楽CDをコピーするには、その人たちの了解が要ります(第91条・文化庁)。実演家には、自分の実演が録音されたCDなどを公衆に譲り渡す権利もあります(第95条の2)。
ジャケットや歌詞カードに使う絵は、描いた人の美術の著作物です(第10条)。著作者には、作品を複製する権利と、複製物を譲り渡して公衆に提供する権利があります(第21条・第26条の2)。動画のサムネイル用に描いてもらった絵をジャケットに使うなら、その使い方でよいかを描いた人に確かめます。
初音ミクなどクリプトンのキャラクターの絵を使う場合は、キャラクターの利用の決まりも別にあります。ピアプロは、個人や同人サークルが原材料費程度の対価を受け取って作品を配るときのように、キャラクターを非営利かつ有償で使う場合の申請の仕組みとして、「ピアプロリンク」を設けています。
ミックスを頼んだ人とは、依頼のときに決めた使い道を確かめ、CDに収めて頒布することとクレジットの入れ方を、あわせて取り決めておきます。取り決めた内容は、あとから読み返せる形で残しておくと安心です。
動画のために頼んだ仕事も、CDに使うなら作る前に取り決める
JASRAC・NexToneへの申し込みは、CDを作る前に
JASRACは、申請は複製物の製造前までに必要で、許諾のあとに届くロゴマークや許諾番号を表示する前提でスケジュールを組むよう案内しています。NexToneも、手続きは必ず製造前に行うよう求めています。
- 管理している団体を調べ、伴奏の規約や許諾、共作者との取り決めを済ませる。替え歌や編曲、専属楽曲は、ここで作者や音楽出版社、レコード会社に確かめる
- JASRACの管理曲は、オンラインの窓口「J-RAPP」から申し込む。許諾番号は、通常2〜3営業日後にメールで届く(紙の申込書なら、通常1週間前後で郵送)
- NexToneの管理曲は、初回に利用者登録をしてから、クリアランスシステム「PlayN」の「録音」から「利用許諾申請(オーディオ)」で申し込む。許諾までは通常5営業日ほど
- 許諾の表示を入れた盤面とジャケットの原稿を作り、それからCDを作る
表示のしかたは、団体で違います。JASRACの録音物では、盤面にロゴマーク(または「日本音楽著作権協会」)、許諾番号、使った曲の題名と作者名を入れます。ジャケットなど容器に付く印刷物には、それに申込者名を加えて、外から見える場所に表示します。NexToneは、許諾マークを製品の1か所に表示すればよく、盤面のほか、ケースやパッケージへの表示や貼り付けでもかまわないとしています。許諾番号の表示は要りません。
使用料の概算は、JASRACは「使用料計算シミュレーション」で、NexToneはPlayNの申請画面の見積もりで確かめられます。JASRACの請求書は、許諾番号の通知から2〜3か月後に届きます。頒布のあとで増やして作るとき、NexToneは追加の申請が要るとしています。
許諾の表示を入れた原稿が要るので、申し込みは製造の前に済ませる
歌詞カードを付けるなら、その扱いも確かめます。JASRACは、録音物に添える歌詞カードの使用料の案内を別に出しています。NexToneは、NexToneが出版権を管理する作品について、市販する録音物に添える歌詞カードは申請が要らず、市販用以外の録音物に添える歌詞カードは申請が要るとしています。作るCDがどちらにあたるか迷うときは、NexToneに確かめます。
歌ってみたの動画をDVD・ブルーレイにして配るとき
CDの代わりに、歌ってみたの動画をDVDやブルーレイにして配るときも、確かめることは変わりません。曲の手続きは、JASRACでは映像ソフト(DVD・ブルーレイなど)の製作として、NexToneでは販売・配布する映像への録音として、ディスクを作る前に申し込みます。窓口は、JASRACがJ-RAPP、NexToneがPlayNの「利用許諾申請(ビデオグラム)」です。
伴奏の音源の許諾と、一緒に歌った人や動画・イラストを作った人との取り決めも、CDと同じように確かめておきます。ライブの映像を円盤にするときの手続きは、推し活でCD・円盤を買う理由と、長く楽しむ保管・見る機器|作る側の権利もの後半にまとめています。
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、動画データからDVD・ブルーレイを1枚から作る小さな店です。お引き受けできるのは、自分で撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画で、他人の著作物の複製はお引き受けできません。
完成した動画は、ギガファイル便のURLを注文フォームに貼って入稿でき、スマホからも送れます。許諾の表示を盤面に入れるなら、盤面レーベル印刷を選ぶと開く欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。手順はDVD・CDの盤面印刷|方式の違い・デザインの例・データの作り方と頼み方にあります。
CDを作る前に確かめる8つのこと
プレス工場やコピーの業者に入稿する前に、次の8つを確かめます。許諾を待つ日数と、表示を入れた原稿を作る時間がかかるので、頒布の日から逆に数えて、曲と伴奏の確認は選曲の段階で始めておきます。
- 収録する曲ごとに、曲名・作詞者・作曲者と、管理している団体(JASRAC・NexTone・作者)を書き出した
- 伴奏の出どころを曲ごとに説明でき、規約か許諾で使ってよいことを確かめた。規約の該当箇所とやりとりを保存した
- 替え歌・編曲・一部のカットがある曲と専属楽曲は、作者・音楽出版社・レコード会社に確かめた
- 一緒に歌った人や演奏した人、ミックスを頼んだ人、絵を描いた人と、CDにして頒布することを取り決めた
- JASRACかNexToneへの申し込みを製造の前に済ませ、許諾番号や許諾マークを受け取った
- 盤面とジャケットに、団体ごとの決まりどおりに許諾の表示を入れた
- 作者の規約で求められているクレジットを、決められた書き方で入れた
- 作る枚数と頒布の値段が、申し込んだ内容と合っている。あとで増やすときは、追加の申し込みを確かめる
CDをプレスで作るか、少ない枚数をCD-Rで複製するかは、CD・DVDのプレスとコピーの違いで比べられます。プレス工場へ音のデータを渡すときの形式はDDP入稿の手引きに、ジャケットの寸法はCDジャケットのサイズに書きました。サークルとして頒布するまでの全体の流れは、同人音楽CDの作り方にまとめました。判断に迷う曲は、JASRAC・NexToneや、作者、レコード会社などに確かめてください。
よくある質問
Q1. 歌ってみたの音源をCDにして頒布してもいいですか?
曲の手続き、伴奏の音源の許諾、共作者の合意の3つがそろえば頒布できます。JASRACやNexToneが管理する曲は、CDを作る前に録音の利用を申し込みます。伴奏は、作者が配るオフボーカルなら配布ページの規約を、市販のCDやカラオケの音源ならレコード会社など原盤の持ち主の許諾を確かめます。一緒に歌った人、ミックスや絵を頼んだ人とも取り決めておきます。
Q2. 無料で配るCDなら、JASRACやNexToneの手続きはいりませんか?
無料でも要ります。JASRACは、無料で配布する場合でも利用申請が必要だとしています。NexToneも、自分で演奏してCDに録音し、販売や配布をするなら、価格の有無にかかわらず申請が必要だと答えています。著作権法の「頒布」は、有償か無償かを問いません(第2条)。販売しないCDをJ-RAPPで申し込むときは、定価・小売価格を「0円」と入力します。
Q3. YouTubeやニコニコ動画に投稿できた歌ってみたは、そのままCDにできますか?
投稿できたことは、CDにしてよい理由になりません。動画サイトの契約で手続きなしに扱えるのは、そのサービスへの投稿と視聴です。ニコニコのガイドラインも、許諾された原盤を使えるのはニコニコ動画とユーザー生放送だけとしています。CDにするなら、曲の手続きを自分で申し込み、伴奏もCDに使ってよいかを確かめ直します。
Q4. ボカロPが配布しているオフボーカル音源は、CDに使えますか?
配布ページの利用規約しだいです。動画への投稿だけを認める書き方なら、CDにして頒布してよいかを作者に確かめます。ピアプロの投稿作品は、どの作品もライセンス条件に「非営利目的に限ります」が含まれます。曲がJASRACやNexToneの管理なら、伴奏の使い方を作者に認めてもらっても、曲の手続きは管理団体に申し込みます。
Q5. カラオケ音源や、市販CDのオフボーカルで録った歌ってみたは、CDにできますか?
原盤の持ち主の許諾が得られなければ、できません。市販のCDや配信の伴奏、カラオケの機器やアプリの音源はほかの人が作った音源で、曲の手続きとは別に、レコード会社など原盤の権利者の許諾が要ります(JASRAC・NexTone)。主なレコード会社の窓口は日本レコード協会が一覧にしていますが、許諾するかどうかは各社の判断です。
Q6. JASRACとNexToneのどちらに申し込むかは、どう調べますか?
JASRACの作品検索データベース「J-WID」で、管理状況の「複製」のうち「録音物」の区分を確かめます。見つからなければNexToneの作品データベースで「オーディオ」の欄を見て、「◯」ならNexToneの管理、「△」なら一部をNexToneが管理しています。どちらにもない曲は、音楽出版社や作者に直接問い合わせます。
Q7. 即売会で頒布するCDには、許諾の表示をどう入れますか?
JASRACの管理曲は、盤面にロゴマーク(または「日本音楽著作権協会」)、許諾番号、曲の題名と作者名を入れ、ジャケットなどにはそれに申込者名を加えて表示します。NexToneの管理曲は、許諾マークを盤面やケースなど1か所に表示し、許諾番号は要りません。表示を入れた原稿を作るために、申し込みは製造の前に済ませます。
Q8. ミックスや絵を頼んだ作品を、CDに使ってもいいですか?
頼んだときに決めた使い道によります。動画の投稿のために頼んだなら、CDに収めて頒布することも含めてよいかを、作る前に確かめます。ジャケットの絵は描いた人の著作物で、著作者には複製と譲渡の権利があります(第21条・第26条の2)。一緒に歌った人や演奏した人の了解も要ります(第91条・文化庁)。
Q9. 手続きをせずにCDを作ってしまったときは、どうすればいいですか?
気づいた時点で、すぐに申し込みます。JASRACは、申請は本来事前に行うものだが、事後になった場合でも速やかに申請が必要だとしています。NexToneは、許諾を得ずに作ったパッケージの回収・廃棄を求める場合があり、民事・刑事上の責任を問われることもあるとしています。伴奏の音源の許諾も、あわせて確かめます。
Q10. 自分で聴くためだけにCD-Rに焼くのにも、手続きは要りますか?
自分で焼いて、自分や家族で聴くだけなら、私的使用のための複製(第30条)にあたり、許諾は要りません。伴奏の原盤など著作隣接権にも、同じ決まりが当てはまります(第102条)。ただし、私的使用のために焼いたCDを人に配ると、複製をしたものとみなされます(第49条)。JASRACは、サークル内での記録動画なども、私的利用の範囲を超える例に挙げています。
参考にした公式の情報
出典の一覧(28件)を開く
法律の運用や、各団体の手続き、サービスの規約は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月26日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、JASRAC・NexTone、作者やレコード会社などの権利者に確かめてください。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。