この記事の要点
委託の仕様書には、①業務の範囲(撮影・編集・配信・複製のどこまで頼むか)、②成果物の形式と数(動画ファイルの形式、DVD・ブルーレイの種類と枚数、盤面とケース)、③納期と受け取り方・検収の方法、④著作権などの権利の扱い、⑤個人情報・データの扱いと、契約が終わったときの返還・消去を書きます。
業者の決め方(入札・見積もり合わせ・随意契約)は、地方自治法第234条と施行令、自治体の規則で決まります。一般競争入札が基本で、指名競争入札と随意契約は施行令が定める場合に限られます。少額の随意契約の上限は、施行令の別表第五の範囲内で各自治体が規則で決めます。
委託して作った動画の著作者は、実際に作った受注者の側です(文化庁)。自治体があとで編集し直して使うなら、第27条・第28条の権利も含めて譲渡すると契約に書きます(著作権法第61条第2項)。著作者人格権は譲渡できません(第59条)。
自治体から個人情報の扱いを任された委託先にも、自治体と同じ安全管理の義務がかかります(個人情報保護法第66条第2項)。契約に情報の範囲・再委託の制限・監査などを書き、終わったら返却・廃棄・抹消を確かめます(総務省のガイドライン)。
ホームページで公開する動画には字幕を付け、音声解説か同じ内容のページを用意します。公的機関が目標にする適合レベルAAでは、生中継の字幕と音声解説も求められます(総務省「みんなの公共サイト運用ガイドライン」)。この配慮も仕様書で決めておきます。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
広報動画 の制作、式典や議会の撮影と配信、配る分のDVD・ブルーレイの複製。自治体や学校、公的な団体がこうした業務を外に頼むとき、担当者が迷うのは、仕様書に何をどこまで書くか、どの方法で業者を決めるか、何を確かめて受け取るか、の3つだと思います。
自治体の職員が納品物を検査するときは、契約書や仕様書などの書類に基づいて行うと、地方自治法施行令に定められています(第167条の15)。仕様書に書いた中身が、そのまま検査で確かめる基準になります。
業者の決め方は、地方自治法第234条と施行令、それぞれの自治体の規則で決まっています。公開する動画なら、字幕などで誰でも見られるようにする配慮も仕様書に入れておきます。
仕様書に書いた中身が、そのまま納品の検査で確かめる基準になる
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
動画の委託の仕様書に書く5つの項目 業者の決め方は地方自治法で決まる|入札・随意契約と少額の上限 動画の業務委託と著作権の帰属|譲渡の契約に第27条・第28条を書く 委託先にも、自治体と同じ個人情報の安全管理の義務がある 字幕や音声解説など、誰でも見られるようにする配慮も仕様で決める DVD・ブルーレイの複製を頼むときの仕様|プレスかコピーか、盤面、再生の確認 納品と検収は、仕様書と照らして決まった日数のうちに 年に何度も頼むときは、複数年度の契約と単価の決め方を確かめる 残りの3項目を見る そのまま使える仕様書のひな形(動画の制作・配信とディスクの複製) 完成した動画から、配る分のDVD・ブルーレイを作るとき よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
動画の委託の仕様書に書く5つの項目
動画の業務は、撮影、編集、配信、ディスクの複製と工程が分かれていて、どこまでを頼むかで仕様書の中身が変わります。総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」(令和8年3月版)も、委託の前に業務の内容を特定し、事業者を選ぶ条件を含めた仕様を作ってから選ぶ、という順番を例文で示しています。
項目
書くこと
業務の範囲
撮影・編集・配信・複製のどこまでか。撮る日と場所、公開する先。
成果物の形式と数
動画ファイルの形式、長さと本数。ディスクの種類と枚数、盤面とケース。
納期と受け取り方
納める日と場所、データの渡し方。検査の方法と、不備の直し方。
権利の扱い
著作権の譲渡か、利用の許諾か。曲や写真など素材の手続き。
個人情報とデータ
渡す情報の範囲、再委託の制限。終わったときの返却・廃棄・抹消。
このうち権利と個人情報、検収には、法律や国のガイドラインの決まりが関わります。公開する動画なら、字幕などの配慮も6つ目の項目として加えます。
業務の範囲は、工程ごとに「頼む・頼まない」を書き分ける
撮影だけを頼むのか、編集して完成させるまでか、動画配信サービスへの公開まで含むのか、配る分のディスクの複製までか。工程を並べて、委託先に頼むものと、自治体の側でするものを書き分けます。撮影なら日時と場所、撮る場面、雨の日の扱い。編集なら完成の長さの目安、字幕やナレーションの有無、構成案や試写で確かめる時期と回数。配信なら、公開する先と期間です。
途中で確かめる時期と回数を決めておくと、直してほしい点を早い段階で伝えられます。誰が最後の確認をするのかも、庁内で先に決めておきます。
成果物は、動画ファイルとディスクを分けて書く
納めてもらう物は、動画ファイルとディスクで書き方が違います。動画ファイルは、形式(MP4など)、画面の大きさ(1920×1080など)、長さ、本数を書きます。長く残す動画は、国の行政文書について内閣府の通知が挙げる「標準的フォーマット」(動画ではMPEG2・MPEG4)にそろえておくと、保存のときに作り直さずに済みます。形式の見分け方はMOVとMP4の違い|動画ファイル形式の種類(AVI・MKVほか)と使い分け にまとめました。
ディスクは、DVDかブルーレイか、枚数、盤面の表示、ケースの形を書きます(あとの節)。完成した動画だけでなく、撮影した素材や字幕のデータも受け取りたいなら、それも成果物の一覧に入れます。一覧にない物は、納めてもらえないと考えておきます。
業者の決め方は地方自治法で決まる|入札・随意契約と少額の上限
都道府県や市区町村の契約の方法は、地方自治法第234条で、一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りの4つと決まっています。このうち指名競争入札・随意契約・せり売りは、政令(地方自治法施行令)で定める場合に当てはまるときに限って使えます。広く参加を募る一般競争入札が、基本の形です。
方法
使えるとき
一般競争入札
基本の方法。予定価格の範囲内で最も低い価格を出した者と契約する。
指名競争入札
性質や目的が一般競争入札に適しないとき。競争に加わる者が少数のとき。一般競争入札が不利なとき。
随意契約
予定価格が少額のとき。性質や目的が競争入札に適しないとき。緊急のときや、入札者がないときなど。
表の条件は、指名競争入札が施行令第167条、随意契約が第167条の2の要約です。一般競争入札で最も低い価格の者と契約するのは、原則です。動画の企画のように価格だけでは比べにくい業務には、「総合評価一般競争入札」もあります(施行令第167条の10の2)。価格とそのほかの条件を合わせて、自治体にとって最も有利な申込みをした者を落札者にする方法です。落札者を決める基準をあらかじめ定め、学識経験者の意見を聴いておく決まりです。
入札に加わる業者の資格は、自治体の長が契約の種類や金額に応じて定めることができ、定めたときは公示します(施行令第167条の5・第167条の11)。この節の決まりは、都道府県と市区町村の契約のものです。私立の学校や団体が頼むときは、その法人の規程を確かめます。
少額の随意契約の上限は、施行令の別表と自治体の規則で決まる
予定価格が少ないときの随意契約は、施行令の別表第五に定める額の範囲内で、それぞれの自治体が規則で定めた額を超えないときに使えます(施行令第167条の2第1項第1号)。2026年9月26日にe-Govの法令検索で確かめた別表第五の額は、次のとおりです。
契約の種類
都道府県 指定都市
市町村
工事又は製造の請負
400万円
200万円
財産の買入れ
300万円
150万円
物件の借入れ
150万円
80万円
財産の売払い
100万円
50万円
物件の貸付け
50万円
30万円
上の5つ以外
200万円
100万円
表の額は上限です。実際の額は、この範囲内で自治体ごとの規則が決めていて、市町村の列は指定都市を除く市町村の額です。動画の撮影・編集やディスクの複製がどの種類にあたるか、見積書を何社から取るか(見積もり合わせ)も、自治体の規則と契約の担当に確かめます。
動画の業務委託と著作権の帰属|譲渡の契約に第27条・第28条を書く
委託して作った動画の著作権は、代金を払っただけでは、発注した自治体に移りません。文化庁の「著作権テキスト(令和8年度版)」は、著作物の創作を他人や他社に委託した場合、料金を払ったかどうかにかかわらず、実際に創作した受注者の側が著作者になると説明しています。発注者が納品のあとに使うには、そのための契約を前もって交わしておく必要がある、というのが文化庁の説明です。
動画の場合は、誰が著作者になるかが作り方でも変わります。委託先の会社の発意で社員が仕事として作り、会社の名義で公表する動画なら、著作者は会社です(第15条)。映画の著作物では、制作・監督・演出・撮影などで全体の形成に創作的に寄与した人が著作者になり(第16条)、その人が製作への参加を約束していれば、著作権は映画製作者に移ります(第29条)。著作権法の「映画の著作物」には、映画に似た視聴覚的な効果で表現され、物に固定された著作物も含まれます(第2条第3項)。どれにあたるかを発注する側から見分けるのは難しいので、権利の扱いは契約に書いておきます。
譲渡なら「第27条及び第28条の権利を含む」と書く
契約の決め方には、著作権を譲り受ける方法と、使い方を決めて利用を許諾してもらう方法(第63条)があります。譲り受けるときに気をつけたいのが、第61条第2項です。作り替える権利(翻案権など。第27条)と、作り替えてできたものを使う権利(第28条)は、譲渡の契約ではっきり挙げていないと、譲渡した側に残ると推定されます。文化庁のテキストは、契約書に「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と書いておく必要があるとしています。
利用の許諾で済ませるなら、使える範囲を具体的に書きます。ホームページや動画配信サービスでの公開、DVD・ブルーレイにして配ること、使える期間、編集し直してよいか。許諾を受けた側は、その方法と条件の範囲で使えます(第63条第2項)。あとで字幕を差し替えたり、一部を切り出して別の動画に使ったりする予定があるなら、それも範囲に入れておきます。
代金を払っただけでは著作権は移らない。どちらの形にするかを契約に書く
著作者人格権は譲渡できない
著作者人格権は著作者だけのもので、譲渡はできません(第59条)。この中には、意に反して内容や題名を変えられない権利(同一性保持権。第20条)も入っています。文化庁のテキストによると、利用者が自由に使う必要がある場合などに、著作者人格権を行使しない旨を契約に書く例もあります。ただ、著作者の側には、改変や名前を出さない扱いに異議を言えなくなる不利益があり、注意が必要だとしています。どこまで手を加えてよいかを、双方が分かる言葉で書いて合意しておきます。
曲・写真・出演者など、素材の権利は別に確かめる
譲渡や許諾の対象にできるのは、委託先が権利を持っているものだけです。動画に使う曲、写真やイラスト、出演者の実演、写っている人の了解は、それぞれ別に手続きや確認が要ります。仕様書には、誰がどの手続きをするか(委託先か、自治体か)と、配信とディスクの配布のどちらの使い方まで手続きを済ませるかを書きます。曲の手続きの考え方は学校行事の録画・DVD配布と著作権|運動会・合唱・卒業式でよくある質問 、写る人の了解の取り方は園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例 で説明しています。
委託先にも、自治体と同じ個人情報の安全管理の義務がある
住民や児童生徒が写る動画、参加者の名簿、申込みの内容。委託先に渡すものに個人情報が入っているなら、個人情報保護法の決まりが関わります。
自治体の機関(議会を除く)は、個人情報保護法の「行政機関等」にあたります(第2条第11項)。公立の学校なら、教育委員会などの「地方公共団体の機関」の決まりが当てはまります。行政機関等から個人情報の取扱いの委託を受けた者は、その業務について、行政機関等と同じ安全管理の措置を講じなければなりません(第66条第2項)。業務に携わる人が、知り得た個人情報をみだりに他人に知らせたり、不当な目的に使ったりすることも禁じられています(第67条)。
個人情報保護委員会のガイドライン(行政機関等編)は、委託先の選定基準を整え、契約に委託先での情報管理・再委託先の選定・委託先への監査などの条項を入れ、定期的な監査などで委託先を監督することを挙げています。監督が足りずに委託先が不適切に扱えば、委託元の行政機関等の法違反と判断される、というのが委員会の説明です。
私立の学校や団体は、名簿などの個人情報のデータベースを事業に使っていれば「個人情報取扱事業者」で、個人データの扱いを委託するなら委託先を監督する義務があります(第25条)。委員会のガイドライン(通則編)が挙げるのは、適切な委託先を選ぶこと、委託の契約を結ぶこと、委託先での扱いの状況をつかむことの3つです。
総務省のガイドラインが、委託の契約に書く例として挙げる項目
総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は、自治体が情報セキュリティポリシーを作ったり見直したりするときの参考として示されたものです。その例文は、重要な情報を扱う業務を委託するときに契約へ明記する要件として、次のような項目を挙げています。
委託先の責任者、委託の内容、作業者の所属、作業場所
委託先に渡す情報の種類と範囲、受け渡しの方法など、情報の扱い方
目的外の利用と第三者への提供の禁止、業務で知った情報の守秘
再委託の制限
委託が終わったときの情報の返還・廃棄
定期の報告と、緊急時の報告
発注する側による監査・検査
重要な情報を渡すときの秘密保持契約
委託が終わるときは、渡した情報を含め、委託先で扱った情報が確実に返却・廃棄・抹消されたことを確かめます(同じガイドライン)。自治体の情報セキュリティポリシーや、個人情報の取扱いの特記事項の様式があるなら、仕様書にはそれを添えます。
委託先にも自治体と同じ安全管理の義務がかかる。終わるときの確認まで決めておく
契約が終わるとき、業者が替わるときに、動画を引き取る
撮影や配信を続けて委託していると、過去の動画が委託先の機器や配信サービスの中にしかないことがあります。動画を引き渡す時期と形式、配信の期間が終わった動画の扱い、契約が終わるときの引き渡しと、委託先に残ったデータの削除の確認を、契約の中で決めておきます。議会中継の録画での決め方は議会中継・委員会の録画の保存と公開|会議録との違い・保存期間・情報公開の実務 に書きました。長く残す形式と置き場所は、公文書・自治体の電子記録の長期保存|保存期間・形式・媒体と光ディスクの使い方 で説明しています。
字幕や音声解説など、誰でも見られるようにする配慮も仕様で決める
自治体のホームページで公開する動画は、音が聞こえにくい人や、画面が見えにくい人も見に来ます。総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」は、国や自治体などの公的機関のホームページを、高齢者や障害者を含む誰もが利用しやすくするための手順書です。日本産業規格のJIS X 8341-3:2016に沿った取り組みを解説しています。新しく作るホームページなどは、作る時点で適合レベルAAに準拠させる、というのが目標です。
レベル
動画で求められる対応
レベルA
音声の内容を字幕にする。音声解説を付けるか、同じ内容のページを用意する。
レベルAA
レベルAに加えて、生中継にも字幕を付ける。音声解説も付ける。
動画配信サービスの動画をページの中で再生させる場合や、外部のサービスで公開する場合も、対応が要るとされています。記者会見の動画と合わせて、発言を書き起こしたページを用意する例も挙がっています。ページの中で再生させるなら、再生や停止、音量の操作がキーボードだけでもできるようにします。どうしても対応が難しいときは、動画の概要を説明するページや、問い合わせ先を示すといった代わりの手段を用意します。
障害者差別解消法は、行政機関等に、障害のある人から社会的障壁を取り除いてほしいという意思の表明があったとき、負担が重すぎない範囲で必要かつ合理的な配慮をすることを義務づけています(第7条第2項)。2024年4月1日に施行された改正で、事業者も義務になりました(内閣府)。求めがある前に多くの人に向けて整えておく「環境の整備」は、行政機関等と事業者の努力義務で(第5条)、内閣府の基本方針は、その例に情報の取得や利用を円滑にする「情報アクセシビリティの向上」を挙げています。字幕を初めから付けておくのは、この考え方に沿った備えです。
仕様書に書く配慮の項目
字幕を付けるか。付けるなら、字幕の原稿を誰が作り、誰が確かめるか
音声解説を付けるか、同じ内容を書き起こしたページを用意するか
生中継に字幕を付けるか
ページの中で再生させるなら、再生・停止・音量の操作がキーボードでもできるか
納品のときに確かめること(字幕の誤字や、音声とのずれ)
同じガイドラインは、ホームページの発注について、アクセシビリティの要件を仕様書で具体的に示し、検証したうえで検収することは、発注者である公的機関の責任だとしています。配るDVDにも字幕を入れたいときは、映像に字幕を重ねた状態で書き出した動画をディスクにすれば、プレーヤーでもそのまま字幕が映ります。
DVD・ブルーレイの複製を頼むときの仕様|プレスかコピーか、盤面、再生の確認
完成した動画を配る分のDVDやブルーレイにするときは、次の項目を仕様書に書きます。見積もりを何社かから取るなら、同じ言葉でそろえて書くと比べやすくなります。
項目
仕様に書くこと
数量
総枚数と、予備の枚数。あとで足すときの数え方。
ディスクの種類
DVDかブルーレイか。配るDVDは映像のDVDで、DVD-Rの1層か。
作り方
プレスとコピーのどちらも受けるか、指定するか。
盤面
印刷の有無と、題名や年度など表示する内容。入稿データの形式。
ケース
ケースの種類と、ジャケットや背表紙の印刷。
再生の確認
何の機器で、最初から最後まで見るか。1枚目を試す段取り。
データの受け渡し
渡す方法と期限。作業のあとに消す時期。
納期
納める日と場所。分けて納めるか。
配るDVDは、映像のDVDにしてDVD-Rの1層に
動画のファイルをそのままDVDに書き込んでも、一般的な家庭用のDVDプレーヤーでは再生できません(パナソニック)。配る動画は、プレーヤーで再生できる映像のDVD(DVD-Video)の形にするよう書きます。違いはデータDVDと映像DVDの違い|テレビで再生できない原因と見分け方 で説明しています。
ディスクの種類は、相手の機器が分からないならDVD-Rの1層が無難です。カナダ保存研究所(CCI)は、DVD-RはDVD+Rより、とくに古い機器で互換性がよく、1層は2層より互換性がよいとしています。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できないので(ソニー)、ブルーレイは、ブルーレイの機器がある相手に渡す分だけにします。機種ごとの違いは配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るには|形式・ディスク・確認 で確かめられます。
プレスかコピーかは、作り方を問わないか、理由があって決めるか
何百枚と作るなら、工場で型(スタンパー)を作り、その凹凸を樹脂の盤に写して作るプレスも候補になります(国立国会図書館の調査報告書)。できるのは市販の盤と同じ再生専用の盤で、型を作る工程が加わるぶん、見積もりと日程が変わります。何枚からプレスのほうが安くなるかに、決まった数字はありません。仕様書では、作り方を問わないのか、理由があって指定するのかを決め、両方の見積もりを受けるなら、総額を作る枚数で割って比べます。比べ方はCD・DVDのプレスとコピーの違い|費用・ロット・納期の比較方法 にまとめました。
盤面は印刷で表示し、入稿データは頼む先の指定に合わせる
盤面に題名や年度、管理番号を入れるなら、印刷で入れるよう書きます。シールや紙のラベルを貼ったディスクは、本体の故障の原因になる場合があるとして、PlayStationの公式の案内が使わないよう書いています。米国国立標準技術研究所(NIST)の手引きも、接着のラベルは使わないよう勧めています。印刷の画像を自治体の側で用意するなら、印刷できる範囲や解像度は、頼む先の入稿の指定に合わせます。作り方はDVD・CDのレーベルとジャケットの入稿データの作り方|サイズ・解像度・塗り足し にあります。
1枚目で再生を確かめてから、残りを作ってもらう
形式もディスクも条件どおりに作っても、1台の機器で映らないことはあります。ソニーのレコーダーの説明書にも、記録済みのDVD-Rなどは、記録の状態や記録した機器の特性などで再生できないことがあると書かれています。何十枚も配るなら、全部を作る前に1枚を作ってもらい、DVDだけのプレーヤーやブルーレイのレコーダーなど、種類の違う何台かで最初から最後まで再生します。仕様書には、委託先が書き込んだあとに何で確かめるかと、1枚目を自治体の側で確かめてから残りを作る段取りを書いておきます。
データの渡し方と、作業のあとの消去
動画を共有のURLで渡すなら、期限に気をつけます。ギガファイル便は、保持期限をアップロードの前に3日から100日までの7種類から選び(何も変えなければ5日)、アップロードしたあとは延ばせません。庁内の決まりで使える渡し方を確かめたうえで、受け取った動画を委託先がいつまで持ち、いつ消すかを書きます。渡した動画に音が出ない部分などが見つかったら、作業の前に連絡してもらう一文も入れておくと、作り直しを減らせます。見積もりで確かめる項目はDVD・ブルーレイ作成を業者に頼むとき|選び方と見積もり、1枚からの注文 に並べています。
納品と検収は、仕様書と照らして決まった日数のうちに
契約を結んだあと、自治体の職員は、契約どおりに進むよう監督し、給付が終わったことを確かめるための検査をします(地方自治法第234条の2)。検査は、契約書や仕様書、設計書などの書類に基づいて行うと、施行令に定められています(第167条の15)。仕様書に書いた形式、長さ、枚数が、そのまま検査で確かめる項目になります。
検査と支払いの時期にも決まりがあります。「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」は、国の契約について、給付が終わった通知を受けてから検査するまでを、工事なら14日、そのほかの給付なら10日以内と定めています(第5条)。検査のあと、適法な支払いの請求を受けてから支払うまでは、工事代金が40日、そのほかは30日以内です(第6条)。この法律は、自治体の契約にも準用されます(第14条)。検査で契約と違う点が見つかれば、直すよう求められます(第5条第2項)。試写や何台かでの再生には日数がかかるので、納める日を決めるときに、検査にかかる日数も見込んでおきます。
国の契約の決まりで、自治体の契約にも準用される。納める日は検査の日数も見込んで決める
受け取るときに確かめること
動画ファイル: 本数、形式、画面の大きさ、長さ、音声。字幕の誤字や表示のずれ
ディスク: 枚数、盤面の表示、ケース。種類の違う何台かの機器で、最初から最後まで再生できるか
保存する元のファイル: ファイルの数と大きさ、ハッシュ値が納品の一覧と同じか
権利: 譲渡や利用の許諾の書面、曲などの手続きの記録
データ: 委託先に残った動画や個人情報の削除を確かめた記録
ファイルの数と大きさ、ハッシュ値で元と同じかを確かめる方法は、国立公文書館のガイドブックが、媒体を移したあとの確認として挙げているものです。受け取った動画は、置き場所と形式を台帳に記録しておくと、担当が替わっても探せます。
年に何度も頼むときは、複数年度の契約と単価の決め方を確かめる
議会中継の配信や広報動画のように毎年続く業務でも、年度をまたいで債務を負う契約には、原則として予算で債務負担行為を定めておく必要があります(地方自治法第214条)。例外が長期継続契約です。電気・ガス・水道や電気通信、不動産を借りる契約は、各年度の予算の範囲内で、年度をまたいで結べます(第234条の3)。物品を借りたり役務の提供を受けたりする契約のうち、年度をまたいで結ばないと事務に支障が出るようなもので、条例で定めたものも同じです(施行令第167条の17)。自分の業務がどちらにあたるかは、条例と財政の担当に確かめます。
同じような複製を年に何度も頼むなら、1枚あたりなどの単価を決めて契約し、頼んだ分だけ払う形(単価契約)がとれるかも、契約の担当に尋ねておきます。仕様書に、1回あたりの枚数の見込み、盤面とケースの別、頼んでから納めるまでの日数を書いておくと、単価をそろえて比べられます。
数枚から数十枚の発注でも、仕様は短く書いて渡す
数枚から数十枚の複製なら、予定価格が少額の随意契約の上限に収まるかを、規則で確かめます。規模が小さくても、仕様を数行にまとめて渡せば、何社かの見積もりを同じ条件で比べられます。たとえば次のように書きます。
◯◯の動画(約◯分・MP4)を映像のDVD(DVD-Video)にして、DVD-Rの1層に10枚。盤面に題名と年度を印刷し、ケースに入れる。動画は◯月◯日までにオンラインで渡す。◯月◯日までに◯◯課へ納める。個人が写っているので、作業が終わったら受け取った動画を消し、消したことを知らせる。
そのまま使える仕様書のひな形(動画の制作・配信とディスクの複製)
ここまでの項目を1つにまとめました。( )の中を埋め、頼まない工程の行は消して使います。自治体の様式や情報セキュリティポリシー、個人情報の取扱いの特記事項があるときは、そちらを優先してください。
業務名:(令和◯年度 ◯◯動画制作等業務)
目的と使い道:(広報・記録・配布など。公開する場所と期間)
業務の範囲: 撮影(日時・場所・撮る場面)、編集(完成の長さ・字幕・ナレーション)、配信(公開する先)、複製(DVD・ブルーレイ)のうち頼むもの
成果物: 動画ファイル(形式・画面の大きさ・長さ・本数)、ディスク(種類・枚数・盤面の表示・ケース)、そのほかに受け取る物(字幕のデータ、撮影した素材)
途中の確認: 構成案と試写の時期・回数、最後の確認をする者
納期と納品: 納める日と場所、データの渡し方、分けて納めるか
検査: 確かめる項目(形式・長さ・枚数・再生・字幕)、検査の時期、不備があったときの直し方
権利: 著作権の譲渡(第27条及び第28条の権利を含む)か、利用の許諾とその範囲か。著作者人格権の扱い。曲・写真・出演者の手続きをする者
個人情報とデータ: 渡す情報の種類と範囲、受け渡しの方法、目的外の利用と第三者への提供の禁止、守秘、再委託の制限、事故のときの報告、監査
契約が終わるとき: 動画とデータの引き渡し、委託先に残った情報の返却・廃棄・抹消と、その確認
字幕などの配慮: 字幕、音声解説か書き起こしのページ、生中継の字幕、ページで再生するときの操作
契約書のほうには、検査の時期、支払いの時期、遅れたときの損害金、争いになったときの解決の方法も書きます。支払遅延防止法第4条が国の契約について書面で明らかにするよう定めている事項で、自治体の契約にも準用されます。
完成した動画から、配る分のDVD・ブルーレイを作るとき
当社は、動画ファイルからDVD・ブルーレイを作る、大阪・梅田の書き込み代行の小さな店です。注文は1枚からです。動画の共有URL(ギガファイル便、Google ドライブ、OneDrive など)を注文フォームに貼っていただければ、プレーヤーで再生できる形に組み立てて書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。
盤面レーベル印刷とケース+背表紙印刷は、オプションを選ぶと開く欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れて入稿します。配る相手の再生機器や配る日など、そのほかの希望は注文フォームの備考欄に書いてください。料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)で、オーサリングと書き込み、ケースに入れるところまでを含みます。同じ内容の2枚目からは、追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。
DVDは720×480、ブルーレイは1920×1080で作る見るための複製なので、保存用の元の動画は別に残してください。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
よくある質問
Q1. 動画制作を委託するときの仕様書には、何を書けばいいですか? 業務の範囲、成果物の形式と数、納期と受け取り方・検収の方法、著作権などの権利の扱い、個人情報とデータの扱いの5つです。業務の範囲には撮影・編集・配信・複製のどこまでかを、成果物には動画ファイルの形式、DVD・ブルーレイの種類と枚数、盤面とケースを書きます。公開する動画なら、字幕などの配慮も加えます。
Q2. 自治体が動画の業務を頼むときは、必ず入札になりますか? 地方自治法第234条は、契約の方法を一般競争入札・指名競争入札・随意契約・せり売りとし、指名競争入札と随意契約などは施行令が定める場合に限っています。随意契約が使えるのは、予定価格が規則で定める少額を超えないとき、性質や目的が競争入札に適しないとき、緊急のときなどです(施行令第167条の2)。どれにあたるかは、自治体の規則と契約の担当に確かめます。
Q3. 少額の随意契約は、いくらまでですか? 施行令の別表第五の額の範囲内で、各自治体が規則で定めた額までです。2026年9月26日にe-Govで確かめた別表第五では、「工事又は製造の請負」が都道府県と指定都市で400万円、市町村で200万円、「前各号に掲げるもの以外のもの」が200万円と100万円です。実際の額と、業務がどの種類にあたるかは、その自治体の規則で確かめます。
Q4. 委託して作った動画の著作権は、自治体のものになりますか? 契約で決めなければ、なりません。文化庁の著作権テキストは、創作を委託した場合、料金を払ったかどうかにかかわらず、実際に創作した受注者の側が著作者になり、発注者が納品後に使うにはそのための契約を前もって交わしておく必要があると説明しています。著作権を譲り受けるか、使い方の範囲を決めて利用の許諾を受けるかを、契約に書きます。
Q5. 著作権を譲渡してもらう契約に、第27条と第28条を書くのはなぜですか? 作り替える権利(第27条)と、作り替えてできたものを使う権利(第28条)は、譲渡の契約ではっきり挙げていないと、譲渡した側に残ると推定されるからです(第61条第2項)。あとで編集し直したり、一部を別の動画に使ったりするときに困らないよう、文化庁のテキストは「すべての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」と書いておく必要があるとしています。
Q6. 著作者人格権も譲渡してもらえますか? 譲渡はできません(第59条)。著作者人格権には、意に反して内容や題名を変えられない権利(第20条)などがあります。文化庁のテキストは、著作者人格権を行使しない旨を契約に書く例もあるとしつつ、著作者の側に不利益が生じるので注意が必要だとしています。字幕の差し替えや切り出しなど、手を加える予定の範囲を具体的に書いて合意しておきます。
Q7. 住民が写った動画を委託先に渡すとき、何を決めておけばいいですか? 自治体から個人情報の扱いを任された委託先にも、自治体と同じ安全管理の義務がかかります(個人情報保護法第66条第2項)。契約には、渡す情報の範囲と受け渡しの方法、目的外の利用と第三者への提供の禁止、再委託の制限、事故のときの報告、監査を書きます。委託が終わったら、情報が確実に返却・廃棄・抹消されたことを確かめます(総務省のガイドライン)。
Q8. 自治体がホームページで公開する動画には、字幕が要りますか? 総務省の「みんなの公共サイト運用ガイドライン(2024年版)」は、動画に字幕を付け、音声解説を付けるか同じ内容のページを用意することを挙げています。公的機関が目標にする適合レベルAAでは、生中継の字幕と音声解説も求められます。外部の動画配信サービスで公開する場合も、対応が要るとされています。対応が難しいときは、概要のページや問い合わせ先などの代わりの手段を用意します。
Q9. DVDの複製は、プレスとコピーのどちらで頼めばいいですか? 何枚からプレスが安くなるかに、決まった数字はありません。プレスは型を作って再生専用の盤を作る方法で、型の工程が加わるぶん日程と見積もりが変わります。仕様書で作り方を問わないとするか、理由があって指定するかを決め、両方の見積もりを受けるなら総額を作る枚数で割って比べます。コピーなら、配るDVDはDVD-Rの1層にし、1枚目で再生を確かめてから残りを作ります。
Q10. 納品された動画やディスクは、いつまでに検査しますか? 支払遅延防止法は、国の契約について、給付が終わった通知を受けてから検査するまでを、工事は14日、そのほかは10日以内と定め、自治体の契約にも準用しています(第5条・第14条)。検査は契約書や仕様書に基づいて行います(地方自治法施行令第167条の15)。試写や何台かでの再生の確認に要る日数を見込んで、納める日を決めます。
参考にした公式の情報
出典の一覧(24件)を開く
法令や各機関の資料は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月26日時点の各機関の公式の情報をもとにしたものです。自治体ごとの規則や様式、具体的な契約の判断は、所属する自治体の契約・財政の担当や、専門家に確かめてください。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。