この記事の要点
DDP(Disc Description Protocol)は、CDをプレスするための原盤データの形式です。音のデータといっしょに、曲の区切りやインデックス(PQ)・CD-TEXT・ISRCなどを1組のファイルにまとめたものです。作ったのは米国のDCA(Doug Carson & Associates)です。
工場に渡すと、曲順・曲間・曲の情報が、作った人の決めたとおりにCDになります。国内のプレス工場のメモリーテックが推奨するのも、DDPでの支給です。
中身は1つのフォルダーで、DDPID・DDPMS・PQの記述・音のデータ(IMAGE.DAT)・CD-TEXTなどが入ります。音のデータは1分で約10.6MB、70分のアルバムなら約741MBです。
DDPデータを作るには、DDPを書き出せるソフトが要ります。2026年9月に公式ページで確かめたWaveLab Pro 13、Sonoris DDP Creator、HOFA CD-Burn.DDP.Master、REAPER、Fender Studio Proは、どれも有料です。
渡す前に、DDPプレーヤーで最後まで聴き直して曲間・ISRC・CD-TEXTを確かめます。MD5などのチェックサムで、中身が変わっていないことも確かめます。ISRCは曲ごと、JANコードは商品ごとの番号です。
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初めて音楽CDをプレスしようと工場の入稿案内を開くと、マスターデータの欄に「DDP」という形式が出てきます。DDP(Disc Description Protocol)は、CDをプレスするための原盤データの形式です。音のデータといっしょに、曲の区切りやインデックス(PQ)、曲名などの文字(CD-TEXT)、録音ごとの番号(ISRC)などを、1組のファイルにまとめたものです。工場はこの一式をもとにCDを作るので、曲順も、曲間の秒数も、曲ごとの情報も、作った人が決めたとおりに再現されます。
DDPデータを作るには、DDPを書き出せるマスタリングソフトが必要です。ソフトの上で曲順と曲間を決め、ISRCやCD-TEXTを入れてから書き出す流れになります。書き出したら、工場に渡す前にDDPプレーヤーで最後まで聴き直し、曲間やISRC、CD-TEXTが意図どおりかを見ます。あわせて、ファイルの中身から計算した値(MD5などのチェックサム)を照らし合わせて、データが元のままかを確かめます。
WAVファイルを並べて送るのと違うのは、曲の区切りや曲間の長さといった「CDとしての作り」まで、1つのフォルダーで渡せるところです。
DDPなら音といっしょに「CDとしての作り」まで1つのフォルダーで渡せる
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
DDPとは|CDをプレスする工場へ渡す、原盤データの形式 DDPファイルの中身|フォルダーに入っているもの PQ・曲間(プリギャップ)・インデックスとは CDの決まり(Red Book)で、書き出す前に確かめる数字 ISRCとJANコードの違い|曲の番号と、商品の番号 WAVやCD-Rで渡すのと、DDPは何が違うのか DDPを書き出せるソフト(2026年9月時点) DDPデータの作り方|マスターの音から書き出しまで6つの手順 残りの3項目を見る 渡す前の確かめ方|DDPプレーヤーで聴いて、チェックサムを照合する 入稿までの段取りは、工場の案内を読むところから よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
DDPとは|CDをプレスする工場へ渡す、原盤データの形式
DDPを考え出したのは、米国オクラホマ州のDoug Carson & Associates(DCA)です。DCAはDDPを、CDやDVDなどの光ディスクに記録するデータの一式を識別し、その中身を記述するものと説明しています。CDのガラス原盤を作る工程(グラスマスタリング)で、工場が受け取るデータの中身を、いつも同じ形で漏れなく記述できるように、Doug Carson氏とDCAが作りました。DCAの沿革では、1989年の項目にDDPが挙がっています。
CD用のいまの版はDDP 2.0で、CD-TEXTを扱う追補があります。仕様書は、DCAとライセンスの契約を結んだ相手に渡されるもので、一般には公開されていません。ライセンスそのものは無料で、契約書を出せば仕様書を受け取れる、というのがDCAの案内です。そのため、この記事で説明するファイルの中身や手順は、主に、DDPを書き出すソフトのメーカーが公開しているマニュアルと、工場の入稿案内をもとにしています。なお、DDPはDCAの登録商標です。
静岡県御殿場市に自社工場を持つメモリーテックは、「光ディスク・パッケージ制作の手引き」で、音楽CDのマスターデータをDDPファイルで支給するよう推奨しています。データが欠けずに届くことと、音の再現の面からの推奨です。同じ手引きにはCD-Rのマスターも受け付ける形として挙がっていますが、推奨の印が付いているのは、DDPを焼いたDVD-Rです。
DDPで渡すと、曲順・曲間・曲の情報が決めたとおりのCDになる
DDPファイルの中身|フォルダーに入っているもの
「DDPファイル」と呼ばれることが多いものの、DDPは1つのファイルではなく、いくつかのファイルが入ったフォルダーです。HOFAのマニュアルは、フォルダーの中のファイルはすべてそのDDPの一部で、いつもこの組み合わせで使うものだとしています。DCAも、CD用のDDPの一式を、DDPID、DDPMS、PQ_DESCR、1つ以上のImage.datと説明しています。主なファイルと中身は次のとおりです(HOFAのマニュアルの表による)。
ファイル
入っているもの
DDPID
DDPの形式の情報
DDPMS
このDDPを組む ファイルの情報
PQDESCR
曲の区切り、ISRC、JAN(UPC/EAN)
IMAGE.DAT
音のデータ。大きいときは複数に分かれる
CDTEXT.BIN
CD-TEXT。入れたときだけ
HOFAの注記によると、PQの記述・音のデータ・CD-TEXTのファイル名はDDPの規格で決まっておらず、ソフトによって名前が違うことがあります。DCAの説明では「PQ_DESCR」、HOFAのソフトでは「PQDESCR」という具合です。
このほか、ソフトが確認用のファイルを添えることがあります。HOFA CD-Burn.DDP.Masterは、MD5のチェックサムを書いたファイル(MD5_CHECKSUM.MD5)と、曲の一覧表(PQシート)のPDFを作ります。Sonoris DDP Creatorが添えるのは、MD5のファイルと、それを照合するWindows用・Mac用の小さなプログラムです。
WaveLab Proが作れるIDENT.TXT(曲目の一覧とカスタマー情報のテキスト)は、受け取った人がファイルを見分けるためのものとされています。ヘルプには「公式には DDP 仕様の一部ではありません」と書かれています。
大きさの目安は、音の長さ1分で約10.6MB
いちばん大きいのは音のデータ(IMAGE.DAT)です。かなり大きくなり、複数のファイルに分かれることもある、というのがHOFAのマニュアルの説明です。
大きさはCDの音の長さで決まります。CDの音は44.1kHz・16bit・ステレオなので、1秒で176,400バイト(44,100×2バイト×2チャンネル)、1分で約10.6MB。計算上、60分のアルバムなら約635MB、70分なら約741MBです。44.1kHzと16bitが何を表すかは、CDの音質(44.1kHz・16bitの意味) にまとめています。
PQ・曲間(プリギャップ)・インデックスとは
PQは、CDプレーヤーが曲の始まりと終わりを知るための目印です。CDには音のデータと並んで8つのサブコードという情報の通り道があり、そのうちPとQの2つに、曲の開始・曲間・インデックス・目次(TOC)の元になる情報が入ります。Sonorisのマニュアルによると、ISRCやUPCのコードもここに含まれます。
位置を決める単位はフレームで、1フレームは1/75秒です。CDの音は588サンプルずつ(2,352バイト)フレームにまとめられていて、曲の開始や区切りは、フレームの境目にしか置けません(HOFA、Sonoris)。Sonoris DDP Creatorでは、長さをフレームの数か「分:秒:フレーム」の形で入れます。2秒なら150フレーム、「00:02:00」です。
曲間(プリギャップ)と、インデックス0・1
曲と曲の間の部分が、プリギャップです。プリギャップのあいだ、多くのCDプレーヤーは、次の曲の0:00に向かってマイナスの時間を数えて表示します(Sonoris、HOFA)。CDの決まりでは、プリギャップはその曲のインデックス0で、曲の本体はインデックス1から始まり、どの曲にもインデックス1が要ります。1曲目の前だけは、2秒(150フレーム)以上のプリギャップが欠かせません(Sonoris)。
2曲目からのプリギャップは、長さを変えられ、なくしてもかまいません(HOFA)。0にすれば、曲の変わり目で音が途切れないCD(ギャップレス)になります。Sonoris DDP Creatorの手順では、音のファイルを続けて並べ、間の休止を消し、曲頭の余白(オフセット)を0にします。
曲頭の余白は、古いCDプレーヤーのための工夫です。Sonorisによると、古い機種の中には、曲を飛ばしてから音が出るまでに遅れがあり、曲の頭が欠けて聞こえるものがあります。そこで、インデックスの位置と、実際に音が始まる位置の間に、最低5フレーム、初期値で10フレームの余白を置くよう勧めています。WaveLab Proのヘルプでも、CDを作るときの決まりとして挙がっている例の1つが、各タイトルの前に無音のフレームをいくつか入れることです。
曲間は次の曲のインデックス0。1曲目の前だけは2秒以上が欠かせない
曲の中の区切り(インデックス2以降)と、隠しトラック
1つの曲の中に、インデックス2、3…と区切りを置くこともできます。ただ、WaveLab Proのヘルプは、この情報を多くのCDプレーヤーが無視するとしていて、HOFAも、対応しないプレーヤーがあると書いています。Sonorisの説明では、曲の中の部分ごとに別のトラック番号を付けるのはクラシックの録音でよくあるやり方で、インデックスで区切る方法はあまり使われず、対応も広くありません。
1曲目の前のプリギャップを長くして音を入れる「隠しトラック」も作れます。HOFAのマニュアルは、巻き戻せない、巻き戻しても音が出ないといった、再生できないプレーヤーがあるとしています。そのうえで、工場がこの作りを扱えるかを先に確かめるよう書いています。
CDの決まり(Red Book)で、書き出す前に確かめる数字
音楽CD(CD-DA)の規格は、レッドブック(Red Book)と呼ばれる基準で細かく決められています(メモリーテック、HOFA)。DDPを書き出すソフトには、この決まりに合っているかを調べる機能があります。WaveLab Proなら「CD の適合性を確認 (Check CD Conformity)」、Sonoris DDP Creatorなら「Verify CD Project」で調べます。Sonorisでは、この確認が書き出しの前に自動で行われます。ソフトのマニュアルと工場の案内にある主な数字を、表にしました。
項目
決まり
音の形式
44.1kHz・16bit、ステレオ
曲の数
最大99曲
1曲の長さ
4秒以上
1曲目の前
2秒以上のプリギャップ
位置の単位
1フレーム =1/75秒
ISRC・JAN
ISRCは曲ごとに1つ。JANは1枚に1つ
収録時間
工場ごとに違う。メモリーテックは79分38秒まで保証
CD-TEXT
レッドブックの拡張。対応したプレーヤーだけ表示する
収録時間の上限について、HOFAのマニュアルは、レッドブックが最長の時間そのものを決めているわけではないと説明しています。最初のCDは74分が上限でした。その後、製造の許容差が小さくなって長い時間が入るようになり、いまは多くの工場が79分48秒まで受けるそうです。
国内のメモリーテックは、79分38秒までを保証の範囲としています。それを超えて84分00秒までは、プレーヤーや読み取りのドライブとの相性で問題が起こりうるとして、保証の外に置いています。上限は工場ごとに違うので、長いアルバムは、曲順を決める前に工場の案内を確かめます。
CD-TEXTの文字|日本語を入れるとき
CD-TEXTは、アルバム名や曲名、アーティスト名、作詞者、作曲者などの文字をCDに入れる、レッドブックの拡張です(WaveLab Pro、HOFA)。文字が表示されるのは、CD-TEXTに対応したプレーヤーだけです。
使える文字には決まりがあります。HOFAの説明では、CD-TEXTの標準の文字は、ISO 8859-1という西ヨーロッパの文字の組。日本語はShift-JISで記録できるものの、西ヨーロッパの特殊な文字と混ぜることはできません。CD-TEXTに対応したプレーヤーでも、日本語を表示できない機種があります。HOFAのCD-Burn.DDP.Masterで日本語を入れるときは、プロジェクトの設定でCD-TEXTの言語を「Japanese (Shift-JIS)」に切り替えます。
ソフトによっては、日本語を入れられません。Sonoris DDP CreatorのCD-TEXTはISO 8859-1の文字だけで、WaveLab ProではCD-TEXTに使えない文字が「?」と表示されます。日本語の曲名を入れるなら、日本語のCD-TEXTに対応したソフトで作り、DDPプレーヤーで表示を確かめてから渡すようにします。
ISRCとJANコードの違い|曲の番号と、商品の番号
ISRC(International Standard Recording Code、国際標準レコーディングコード)は、録音(レコーディング)を1つずつ見分けるための国際標準の番号です。日本レコード協会は、同じ曲でもライブ版やカラオケ版のように別の録音なら、それぞれ別のISRCを付けると説明しています。
形は英数字12桁。国名コード2桁(日本はJP)、登録者コード3桁、年次コード2桁(番号を付けた年の西暦の下2桁)、レコーディング番号5桁の順です。CDに入れるときはハイフンを入れず、「JPAA00123456」のように続けて書きます。
JANコードは、商品を見分けるための番号です。JANコードに使う事業者コードは、GS1 Japan(流通システム開発センター)が貸し出しています。同センターは、JANコードを「どの事業者の、どの商品か」を表す国際標準の商品識別コードで、商品のブランドを持つ事業者が商品ごとに設定するものだと説明しています。
主な形は13桁です。CDでは、この番号をメディアカタログ番号(MCN)として、1枚に1つ記録できます(WaveLab Pro)。米国とカナダで広く使われる12桁のUPCを入れると、先頭に0を足して13桁にするソフトもあります(HOFA)。
比べる点
ISRC
JANコード
表すもの
録音
商品
付ける単位
1曲ずつ
1商品ずつ
形
英数字 12桁
数字 13桁
CDの中
曲ごとに1つ
1枚に1つ(MCN)
付ける人
原盤権を持つ人
ブランドを持つ事業者
役目の違いは、日本レコード協会の決まりにも表れています。ISRCは録音を識別するためのコードで、権利者を示すものではなく、媒体の分類や番号付けに使ってはならないとされています。
ISRCの取り方と、DDPに入れる時期
ISRCを申請するのは、その録音の原盤権を持つ人(会社)です。日本では、国際管理機関のIFPIに指名された日本レコード協会が登録を受け付けていて、日本に住んでいることが条件になります。レコーディングを定期的に作っていない個人クリエイターなどに向けた「Jプラン」では、オンラインで曲ごとに申し込み、事務手数料を振り込むと、事務局が番号を付けて知らせてくれます。書類などに滞りがなければ、取得までの目安は約1週間です。
一度付けたISRCは、変えることができません(日本レコード協会)。DDPに入れる番号が変われば、DDPも作り直して確かめ直すことになるので、ISRCはDDPを書き出す前にそろえておきます。CDと配信で同じ録音を出すなら、ISRCは同じ番号です。日本レコード協会は、ISRCの取得を必須とする配信事業者が増えていると案内しています。
WAVやCD-Rで渡すのと、DDPは何が違うのか
WAVファイルに入っているのは曲ごとの音だけで、曲間の長さ・曲の区切りの位置・ISRC・CD-TEXTといった「CDとしての作り」は入りません。メモリーテックの入稿案内は、オーディオCDを作る場合、正確なPQデータを作るためにキュー・シートが要るとしています。DDPなら、曲の区切りなどの情報は、音のデータといっしょに1つのフォルダーの中です。DDPで入稿するときもキュー・シートやPQシートを添えるかどうかは、工場の案内に従います。
CD-Rをマスターにするときの注意も、同じ案内にあります。CD-Rは、保管の状態や扱い方で信号の特性が劣化します。手元のドライブでは問題なく動くように見えても、厳密さが求められる量産用のシステムではエラーになって、マスターとして使えないことがある、という内容です。
HOFAのマニュアルも、DDPにすればCD-Rと書き込み機という誤りの元を避けられ、完成したCDの中身をインターネットで送れると書いています。CD-Rの中で何が起きているかはCD-R・DVD-Rの仕組み 、年数による劣化の目安はCD・DVD・ブルーレイの寿命 で説明しています。
もう1つの違いは、受け渡しの途中で中身が変わっていないかを確かめられることです。Sonoris DDP Creatorは書き出しのときにMD5のチェックサムのファイルを作り、受け取った工場が、送った側と最後の1バイトまで同じデータかを確かめられるとしています。チェックサムはファイルの中身から計算した値で、受け取った側でもう一度計算し、添えられた値と合えば同じデータだと分かります(Sonoris、HOFA)。
工場への送り方は、工場の指定に合わせる
送り方は、工場ごとの決まりです。メモリーテックの手引き(2019年1月の掲載)では、支給できるマスターとして、次の4つが挙がっています。
PMCD(CD-R)
CD-DA形式のCD-R
DDPを焼いたCD-R
DDPを焼いたDVD-R(推奨)
DDPについては、書き出したファイルをそのまま焼くよう案内しています。ディスクで送るときは、盤面に品番を書くこと、受け取りを対面で確かめられる便で送ることを求め、予備のディスクを添えるよう勧めています。
DDPを焼いたディスクは、音楽CDではなく、ファイルを収めたデータのディスクです。DCAも、DDPが入ったCD-Rを工場で扱うときは、音楽CDとしてではなく、中のDDPのファイルを読むよう注意しています。
容量にも気をつけます。70分のアルバムなら、音のデータは約741MBで、650MBや700MBと表記されたCD-R(マクセル)には入りません。記録型のDVDなら、片面で4.7GBです(マクセル)。
音のデータは1分で約10.6MB。70分なら700MB表記のCD-Rにも入らない
インターネットで渡す場合、HOFAは、DDPのフォルダーをzipにまとめて共有するのが一般的だとしています。Sonorisも、大きなファイルを送るサービスで工場に渡せると書いています。ただ、工場がインターネットでの受け取りをしているか、どのサービスを使うかは工場ごとの決まりです。入稿案内で確かめてから送ります。
DDPを書き出せるソフト(2026年9月時点)
DDPを作れるのは、DDPの書き出しに対応したソフトです。2026年9月25日に、各メーカーの公式ページで対応を確かめた製品を挙げます。どれも有料で、価格は版や時期で変わるため書いていません。
WaveLab Pro 13(Steinberg)は、DDPの書き出しに対応しています。下位の版のWaveLab Elements 13は、Steinbergの比較表でDDPの欄が空いていて、対応していません。Windows 10・11(64bit)と、macOSのSequoia・Sonoma・Tahoeで動きます
Sonoris DDP Creatorは、DDPを作るための専用のソフトです。StandardとProの2つの版があり、どちらもDDP 2.00を書き出し、読み込めます。Proでは、パソコン用のデータを足したエンハンストCDなどの機能が加わります。Windows 7以降とMac OS X 10.11以降。試用版があります
HOFA CD-Burn.DDP.Masterは、マスタリングとDDPの書き出しのためのソフトです。PRO、無印、Mac App Storeだけで扱うLEの3つの版があり、どれもDDPを作れます。Windows 10以降とmacOS 10.13以降で、14日間の試用ができます
REAPER(Cockos)は、音楽制作ソフト(DAW)です。公式のユーザーガイド(v7.80)で、書き出しの形式にDDPが挙がっています。Windows、macOS、Linuxで動き、60日間は全機能を無料で試せて、続けて使うにはライセンスを買います
Fender Studio Pro(Fender)は、DAWです。ユーザーマニュアル(8.1)によると、マスタリングページの[DDP]ボタンで書き出し、プロジェクト名に「DDP」を付けたフォルダーにまとめます。macOS 13以降とWindows 10・11(Linuxは公開ベータ)
Sonorisは、DDP CreatorをほぼどのDAWとも組み合わせられるソフトと説明し、16bitに仕上げたWAVやAIFFのファイルを置いて曲順を決める使い方を示しています。曲はふだんのDAWで仕上げ、並べてDDPにする作業だけを専用のソフトで行う形です。HOFAがCD-Burn.DDP.Masterを紹介する言葉も、好きなDAWでミックスした人が仕上げに使う道具、というものです。
DDPデータの作り方|マスターの音から書き出しまで6つの手順
画面はソフトごとに違いますが、流れは変わりません。WaveLab Pro 13の日本語のヘルプにある項目名を例にすると、次の6つです。
曲ごとのマスターの音をそろえます。CDの音は44.1kHz・16bit・ステレオなので、24bitなどで仕上げた音は16bitに、48kHzで作った音は44.1kHzにします。16bitに丸めるときの誤差を目立たなくするディザーは、処理のいちばん最後に1回だけかけるのが基本、というのがHOFAの説明です
曲順を決めて並べ、曲間(プリギャップ)の長さを決めます。1曲目の前は2秒以上、曲をつなげたいところは0です
曲ごとのISRC、1枚分のJANコード(MCN)、アルバムと曲ごとのCD-TEXTを入れます
決まりに合っているかを調べます。WaveLab Proなら、「アルバム (Album)」ウィンドウで「機能 (Functions)」>「CD の適合性を確認 (Check CD Conformity)」です
書き出します。WaveLab Proなら「機能」>「オーディオ CD または DDP の書き込み」を選び、「ドライブ (Device)」で「DDP イメージ (DDP Image)」を選んで、保存先のフォルダーを指定して「OK」です
曲の一覧表(PQシート)を作ります。PQシートをDDPといっしょに工場へ送り、照合の手がかりにするのが、Sonorisの勧めです
書き出したフォルダーの中身には、手を加えません。中のファイルはいつも組で使うものなので(HOFA)、一部だけを抜き出したり名前を変えたりせず、フォルダーごと扱います。直しが出たら、ソフトに戻って書き出し直し、確認もやり直します。
渡す前の確かめ方|DDPプレーヤーで聴いて、チェックサムを照合する
DDPの中身を確かめる道具は、DDPを読み込めるプレーヤーです。2026年9月に公式ページで確かめた製品は次の2つで、どちらも有料で、試用期間があります。
SonorisのDDP Playerは、DDP 2.00と1.0xを読み込み、曲の再生、曲間の試聴、PQ・ISRC・MCN・CD-TEXTの表示、レッドブックの決まりの点検、MD5の照合、CDへの書き込みができます。Windows 7以降とMac OS X 10.11以降。iOS用の無料のアプリは、製品のシリアル番号を入れると使えるようになります
HOFAのDDP Player V2は、再生と確認、曲の変わり目の再生、CDへの書き込みができ、CD-TEXT・ISRC・UPC/EANを表示します。日本語のCD-TEXTの表示と、MD5のチェックサムの照合にも対応。Windows 10以降とmacOS 10.13以降で、試用は14日間です。Mac App Storeでも扱っています
ほかのソフトで作ったDDPを読み込めるのは、Sonoris DDP CreatorとHOFA CD-Burn.DDP.Masterも同じです。マスタリングをスタジオに頼んだ場合は、スタジオの名前が入ったプレーヤーを受け取ることもあります。SonorisのDDP Player OEMは、スタジオが依頼主に無償で渡せる版です。HOFAのDDP Player Makerは、依頼主がプレス前にアルバムを聴けるプレーヤーを作って送るためのソフトです。
聴いて、見て、照合する点
チェックサムを照合する。MD5のファイルがあれば、Sonorisのプレーヤーは読み込んだときに自動で照合します。合わなければ、受け渡しの途中で何かが起きています
曲数と曲順が、CD-TEXTの曲名の並びと合っているか
曲の変わり目を再生して、曲間の長さと、曲の頭が欠けていないかを聴く
ISRCが曲ごとに正しいか。JAN(MCN)が商品の番号と同じか
全体の長さが、工場の上限に収まっているか
最初から最後まで通して聴き、音切れや雑音がないか
工場に送るフォルダー(またはzip)を開き直し、もう一度チェックサムを照合する
DDPからCD-Rを焼き、ふだんのCDプレーヤーで聴いてみることもできます。WaveLab Proでは「ファイル」>「ツール」>「DDP イメージからのオーディオ CD の書き込み」、SonorisやHOFAのプレーヤーではCDへの書き込みの機能を使います。工場に渡すのは、焼いたCD-Rではなく、確かめたDDPのフォルダーのほうです。
聴く・見る・照合するの3つを、送る直前のフォルダーでもう一度
入稿までの段取りは、工場の案内を読むところから
入稿の日から逆に数えると、準備は次の順になります。ISRCの取得に1週間ほどかかることがあるので、早く動くものから並べました。
工場を決め、入稿案内で、受け付けるマスターの形と送り方、収録時間の上限、CD-TEXTの扱いを確かめる
ISRCを申請する(日本レコード協会のJプランなら、目安は約1週間)。JANコードを付けるなら、GS1 Japanから借りた事業者コードで商品の番号を決めておく
マスタリングを終え、曲順と曲間を決める
DDPを書き出し、DDPプレーヤーで確かめる。PQシートも作る
工場の指定どおりに送る。ディスクで送るなら盤面に品番を書き、予備を添える
書き出したDDPと元の音のファイルを、別の場所にも保存しておく
ジャケットや盤面の印刷のデータは、音とは別に入稿します。メモリーテックは、盤面のデータをAdobe Illustratorのai形式で求めています。ジャケットの寸法はCDジャケットのサイズ にまとめました。
プレスで作るか、少ない枚数をCD-Rで複製するかで迷っているなら、先にCD・DVDのプレスとコピーの違い で比べてから、工場を探します。同人音楽のサークルとして初めてCDを作るときの全体の流れは、同人音楽CDの作り方|音源の仕上げ・曲の権利・プレスとコピー・入稿と頒布 にあります。
よくある質問
Q1. DDPファイルは、どうやって開いて中身を確かめますか? 開くのは、DDPを読み込めるプレーヤーです。SonorisのDDP PlayerとHOFAのDDP Player V2は、曲の再生と曲間の試聴、ISRC・JAN(UPC/EAN)・CD-TEXTの表示、MD5のチェックサムの照合ができます。どちらも有料で、試用期間つき。Sonorisのプレーヤーは、DDPを入れたzipファイルをそのまま読み込めます。
Q2. DDPとWAVファイルは、何が違いますか? WAVは曲の音だけのファイルで、曲間の長さや曲の区切り(PQ)、ISRC、CD-TEXTは入りません。DDPは、それらを音のデータといっしょにまとめたフォルダーで、工場はこの一式をもとにCDを作ります。メモリーテックの入稿案内は、オーディオCDを作る場合、正確なPQデータを作るためにキュー・シートが要るとしています。
Q3. DDPとISOイメージは同じものですか? 違うものです。ISOイメージは、パソコンのファイルを収めたデータのディスクを、1つのファイルにしたものです。DDPは音楽CDの原盤データを工場に渡すための形式で、曲の区切り(PQ)やISRC、CD-TEXTを持ちます。音楽CDにパソコン用のデータを足すエンハンストCDを作るとき、Sonoris DDP CreatorのProでは、データの部分をISOファイルで加える作りです。ISOイメージの使い道はISOイメージとは にまとめています。
Q4. DDPファイルの大きさは、どれくらいになりますか? 音のデータは、CDの音の長さ1分で約10.6MBです(44.1kHz・16bit・ステレオで1秒176,400バイトの計算)。60分のアルバムで約635MB、70分で約741MBになります。70分のDDPは、700MBと表記されたCD-Rには入りません。記録型のDVDなら片面で4.7GBまで入りますが、送る媒体と方法は工場の指定に合わせます。
Q5. ISRCは必ず入れなければいけませんか? DDPを作るソフトでは、ISRCの入力は任意です(HOFA)。日本レコード協会によると、ISRCは音楽配信サービスの管理用のID、チャートの集計、ロイヤリティの徴収・分配の管理などに国際的に使われています。取得を必須とする配信事業者も増えています。売る・配信する予定があるなら、取得はDDPを書き出す前に済ませます。一度付けたISRCは、あとから変えられません。
Q6. CD-TEXTに日本語の曲名を入れられますか? 入れられますが、作るソフトと再生する機器しだいです。HOFAの説明では、日本語はShift-JISで記録し、西ヨーロッパの特殊な文字と混ぜることはできません。CD-TEXTに対応したプレーヤーでも、日本語を表示できない機種があります。Sonoris DDP CreatorのCD-TEXTは、ISO 8859-1の文字だけです。作ったあとは、日本語のCD-TEXTを表示できるHOFA DDP Player V2などで確かめます。
Q7. リマスター盤を出すとき、ISRCは新しくしますか? 答えは、何を変えたかしだいです。日本レコード協会は、CD・アナログ・カセットといった媒体の違いに合わせたリマスタリングや、マスタリングの通常の範囲での音質・音量の処理なら、同じISRCを使うのが望ましいとしています。別のバージョンとして作った場合や、歌を抜いてカラオケにした場合などは、別のISRCを付けます。1つの録音に別々のISRCを付けることはできないので、同じ録音をそのままベスト盤に入れるなら、番号も同じです。
Q8. DDPデータを書き出せるソフトが手元にありません。どうすればいいですか? マスタリングを頼むスタジオにDDPでの納品を頼むか、DDPを書き出せるソフトを用意します。この記事で挙げた製品はどれも有料です。Sonoris DDP Creator、HOFA CD-Burn.DDP.Master、REAPERは、公式ページに試用版の案内があります。工場によってはDDP以外のマスターも受け付けていて、メモリーテックの手引きでは、PMCDやCD-DA形式のCD-Rも支給できるマスターに挙がっています。ただし、推奨はDDPです。
Q9. 少ない枚数をCD-Rで作るときも、DDPは要りますか? 自分でCD-Rに焼くなら要りません。DDPは、プレス工場に原盤データを渡すための形式です。焼くソフトで音楽CD(CD-DA)の形を選んで書き込みます。CD-DAの形で書かないと、CDプレーヤーでは再生できません(マクセル)。手順は、カセットテープをCDにする方法 の「音楽CD(CD-DA)の形で焼く」の節で説明しました。業者にCD-Rでの複製を頼むときの入稿の形は、その業者の案内で確かめます。
Q10. 曲と曲の間を0秒(ギャップレス)にできますか? できます。2曲目からの曲間(プリギャップ)は任意で、0にすれば曲の変わり目で音が途切れません。Sonoris DDP Creatorでは、音のファイルを続けて並べ、間の休止を消し、曲頭のオフセットを0にします。1曲目の前だけは、2秒以上のプリギャップが決まりです。できあがったら、DDPプレーヤーで曲の変わり目を再生して確かめます。
参考にした公式の情報
出典の一覧(37件)を開く
ソフトの版や対応OS、工場の入稿条件は変わることがあります。この記事は、2026年9月25日時点の各社・各団体の公式ページの記載をもとにしたものです。
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