この記事の要点
「改良された低照度ビデオ(1080p)」はiPhone 18 Pro・18 Pro Max・iPhone Duoの技術仕様にある一行で、明るさが何割上がるかという数字は公表されていない
製品ページの説明は、18 Proが「絞り値とフレームレートを賢く調整」、Duoが「デフォルトの1080p設定で」まで。4Kでの扱いは書かれていない
暗い会場では1080p/30fpsを基本にし、FPS自動調整のオンとオフを本番と同じ暗さの部屋で撮り比べてから決める。露出は顔に合わせて固定する
暗い場面のざらつきは圧縮の負担になり、DVD(720×480)ではブロック状の乱れや色の段差として見えやすい。ブルーレイ(1920×1080)のほうが残りやすい
HDRビデオで撮った暗い映像は、ディスクにする前にSDRにして色と暗い部分を確かめる。撮った時点で暗すぎる顔は、編集で明るくするとざらつきも増える
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
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10月は学芸会や学習発表会、音楽会が続く季節です。体育館のカーテンが閉められ、舞台の照明だけが子どもたちを照らす。後ろの席から、発売されたばかりのiPhone 18 Proで撮るつもりでいる。仕様ページで「改良された低照度ビデオ(1080p)」という一行を見つけて、暗い舞台も前よりきれいに撮れるのだろうかと期待している。そういう場面で読んでもらうための記事です。
この「改良された低照度ビデオ」は、iPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、iPhone Duoの技術仕様に載っている項目で、Appleは明るさが何割上がるのか、どういう仕組みで改良したのかを数字では示していません。製品ページの説明も、18 Proでは「絞り値とフレームレートを賢く調整」すること、Duoでは「デフォルトの1080p設定」で暗い場所でも撮れることまでです。どこまで明るく撮れるかは、本番と同じくらい暗い部屋で実際に撮り比べて確かめるしかありません。撮る側でできることは、1080pで撮る、FPS自動調整をどうするか決める、露出を顔に合わせて固定する、の三つです。
以下は2026年10月時点の情報です。iPhone 18 Proと18 Pro Maxは9月18日に発売され、iPhone Duoは10月23日に発売予定で、この時点ではまだ店頭に並んでいません。後半では、暗い映像をDVDやブルーレイにしたときに暗い部分がどう見えるか、ディスクにする前に何を確かめておくかも扱います。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
答え|仕様にあるのは一行で、明るさの数字は示されていない 対応機種|iPhone 18 Pro・18 Pro Max・iPhone Duoの3機種 なぜ「1080p」と書かれているのか。4Kで撮るときの扱い 暗い場所の動画が、暗くざらついて見えるのはなぜか FPS自動調整との関係は、要点だけ押さえる iPhone 18 Proだけにある、可変絞りと手動の調整 露出を固定する|自動のままだと、暗転と明転で明るさが動く スマートフォーカストラッキングと、暗い場面のピント 残りの15項目を見る 「アクションモード(低照度)」は、名前が似ている別の設定 暗い会場では、手ぶれも明るさの問題になる HDRビデオで撮るか、暗い会場ではオフにするか 場面別に、どこまで期待できるかと設定の組み方 本番の前に、同じくらい暗い部屋で撮り比べる 暗い場面のざらつきは、データの量にも表れる DVD・ブルーレイにすると、暗い部分はどう見えるか 暗く撮れた映像を、編集で明るくする前に 2台で撮るなら、暗い側の画角を新しい機種に任せる 17 Proや16など、前の機種で暗い会場を撮るとき 撮っている間の画面の明るさと、周りの席への配慮 失敗の型と直し方|症状から原因を見分ける 行事の2週間前から、配るまでの逆算 暗い会場の映像をディスクにして配るとき よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
答え|仕様にあるのは一行で、明るさの数字は示されていない
iPhone 18 Proの技術仕様ページを開くと、カメラのビデオ撮影の欄に「スマートフォーカストラッキング」と並んで「改良された低照度ビデオ(1080p)」という行があります。行には注の番号が付いておらず、ページ下の注記にもこの項目の説明はありません。iPhone Duoの仕様ページも同じ書き方です。仕様として書かれているのは、この名前と「1080p」という括弧書きだけです。
2026年10月にAppleのサイトで確かめられる範囲を、書かれていることと書かれていないことに分けると、次の表のようになります。右の列は、今のところ公式の資料では確かめられないことです。期待して買った人ほど「思ったより暗い」と感じたときの落差が大きいので、先に範囲をはっきりさせておきます。
項目
Appleが書いていること
書かれていないこと
対象の機種
iPhone 18 Pro・18 Pro Max・iPhone Duoの技術仕様に記載
17 Pro以前の仕様ページには記載が無い
対象のカメラ
18 Proは背面とフロントカメラの両方の欄。Duoは背面とアウター側のフロントカメラの欄
背面のどのレンズ(メイン・超広角・望遠)で働くか
撮影の大きさ
1080p
4Kや720pで撮るときにどうなるか
仕組み
18 Proの製品ページに「絞り値とフレームレートを賢く調整」
ノイズの処理の方法、オンとオフを切り替える設定の有無
改良の大きさ
記載なし
何割明るくなるか、比較の数値や条件
製品ページの説明は二つの文
仕様の一行より詳しい説明は、製品の紹介ページにあります。iPhone 18 Proのページには「暗い場所でもビデオはさらに美しく。」という見出しがあり、カメラシステムが、より明るくクリアな映像を撮れるように絞り値とフレームレートを賢く調整し、夜間や室内など光の少ない状況でのビデオ品質を向上させる、という趣旨の文が続きます。仕組みについて公式に書かれているのは、この「絞り値とフレームレート」の二つまでです。
同じページの冒頭には、暗い場所での写真やビデオをさらに美しくする、可変絞り対応の新しい48MP Fusionメインカメラ、という紹介もあります。暗い場所のビデオの改良を、Appleが新しいメインカメラと結びつけて説明していることは、ここから読み取れます。逆に、超広角や望遠のカメラで撮るときに同じ改良があるのかは、どこにも書かれていません。
iPhone Duoのページには「暗い場所でのビデオ撮影。」という見出しで、光が少なくても「デフォルトの1080p設定」で見事なビデオを撮影できる、という一文があります。こちらは仕組みには触れず、1080pが初期設定であることと、その設定で撮る前提であることを示しています。Duoの発表のニュースリリースは、メインカメラの大きなセンサー、明るい絞り値、センサーシフト光学式手ぶれ補正によって明るさの足りない場所でも優れた性能を発揮すると書いていますが、これは写真とビデオを分けないカメラ全体の説明です。
「約50%」という数字は何を比べたものか
18 Proの製品ページで、暗い場所について数字が出てくるのは可変絞りの紹介の部分です。絞り値ƒ/1.48の説明に「最大の明るさ」とあり、暗い場所での撮影性能が約50%向上すると書かれています。注を見ると、比べている相手は「一世代前のiPhone」です。ただし、この段落は室内の撮影やナイトモードの写真の話と一緒に書かれていて、ビデオの数字なのか、写真を含めた数字なのか、何を測って50%なのかは示されていません。
ですから「低照度ビデオが50%明るくなった」とは読めません。ƒ/1.48まで絞りを開ける可変絞りは18 Proのメインカメラの部品で、Duoの仕様には可変絞りの記載がありません。Duoについては、低照度ビデオの改良を数字で示す材料は今のところ見当たりません。
設定画面に、この機能を切り替える項目は見当たらない
iOS 27版のiPhoneユーザガイドで「iPhoneのビデオ撮影設定を変更する」のページを見ると、暗い場所に関係する項目として出てくるのは「FPS自動調整」と「アクションモード(低照度)」の二つで、「低照度ビデオ」という名前の項目は出てきません。手で入れたり切ったりする機能というより、1080pで撮るときにカメラの側で働く処理として書かれていると読むのが、資料に沿った受け取り方です。実機の設定画面で別の項目が増えていないかは、手元の18 Proで「設定」アプリの「カメラ」を開いて確かめてください。
レビューやSNSの「暗所に強い」をどう読むか
発売から日が浅いうちは、レビュー記事やSNSに「暗い場所に強くなった」「夜の動画が明るい」といった感想が並びます。こうした感想は、撮った場所の暗さ、撮った設定、比べた相手の機種がそれぞれ違うので、自分の行事の会場にそのまま当てはまるとは限りません。夜景の動画で明るく見えた機種が、照明の強い舞台では顔が白くなりすぎる、ということもあります。
他人の作例を見るときは、1080pか4Kか、フレームレートはいくつか、手持ちか三脚か、という条件が書かれているかを確かめてください。条件が分からない作例は、参考の一つにとどめます。いちばん当てになるのは、本番に近い暗さで自分のiPhoneを使って撮った映像です。その方法は後半の撮り比べの節に書きます。
対応機種|iPhone 18 Pro・18 Pro Max・iPhone Duoの3機種
「改良された低照度ビデオ(1080p)」が仕様ページに載っているのは、2026年9月に発表された3機種です。18 Proと18 Pro Maxは画面の大きさやバッテリーが違いますが、ビデオ撮影の欄は同じ内容です。iPhone 17・iPhone Air・iPhone 17e・iPhone 16、そして17 Proと16 Proの仕様ページには、この行がありません。機種ごとの動画の仕様をまとめて見比べたいときは、iPhone動画の仕様一覧 に表があります。
暗い場所の撮影にかかわる記載を、機種ごとに並べると次の図のようになります。可変絞りと、絞り・シャッタースピード・ホワイトバランスを手で決める「プロレベルのコントロール」は18 Proだけにあり、4Kで撮るときにもFPS自動調整が働くとガイドに書かれているのも18 Proだけです。同じ「低照度ビデオ」の行があっても、18 ProとDuoでは暗い場所で使える道具の数が違います。
低照度ビデオは18 ProとDuoにあるが、可変絞りと手動の調整は18 Proだけ
iPhone Duoは10月23日発売予定
Duoは折りたたみのiPhoneで、背面のカメラは48MPのFusionメインと超広角の2つです。通常のビデオは4Kで24・25・30・60・100・120fps、1080pで25・30・60・120fpsまで選べ、ここは18 Proと同じです。一方で、ProResやLogには対応しておらず、ビデオのデジタルズームは最大6倍です。暗いホールの後ろの席から寄る使い方では、18 Proの24倍との差が出ます。Duoの動画の仕様の全体はiPhone Duoの動画性能 で扱っています。
発売前なので、低照度ビデオの改良が実際にどの程度なのかを確かめた記録は、まだ見当たりません。10月中の行事にDuoを使うなら、届いた日から本番までの間に、同じくらい暗い部屋で試しておく時間を取ってください。試し方は後半の節に書きます。
iOS 27に更新しても、前の機種には加わらない
iOS 27は2026年9月14日に配信が始まり、iPhone 11以降と第2世代以降のiPhone SEで使えます。ただ、ユーザガイドは4KでのFPS自動調整やプロレベルのコントロールを「iPhone 18 Proモデルでは」と機種を限って書いていて、低照度ビデオの改良も仕様ページに載っていない機種で働くとはどこにも書かれていません。可変絞りのような新しい部品と組になっている機能なので、ソフトの更新で前の機種に加わると考える根拠はありません。17 Proや16で撮る人は、この記事の後半の、露出の固定や撮り比べの部分をそのまま使えます。
18 Proで増えた動画の機能をまとめて知りたいときは、iPhone 18 Proの動画新機能 に、4K/60fpsのシネマティックモードや4Kのタイムラプスと並べて書いています。ここから先は、そのうち暗い場所に関係するものだけを扱います。
18 Proと18 Pro Maxで、暗い場所の映りに差はあるか
18 Proと18 Pro Maxは、技術仕様のビデオ撮影の欄が同じ内容で、カメラの構成も絞り値も共通です。画面の大きさ(6.3インチと6.9インチ)やバッテリーは違いますが、暗い場所の動画の映りに差があるという記載はありません。画面の大きいPro Maxのほうが撮りながら細部を確かめやすい、という程度の違いと考えて構いません。
長い行事を通しで撮る場合は、電池の持ちが気になります。技術仕様の電池の欄はビデオ再生の時間で示されていて、撮影を続けたときの時間は載っていません。2時間を超える学芸会を撮るなら、機種にかかわらず、満充電で出かけ、演目の合間に録画を止める撮り方にしておくと安心です。
なぜ「1080p」と書かれているのか。4Kで撮るときの扱い
仕様の括弧の中が「1080p」になっていることは、撮る設定を決めるうえで大事な手がかりです。Appleは改良の対象を1080pと書き、Duoの製品ページも「デフォルトの1080p設定」で撮る前提を示しています。iPhoneの設定画面でも、1080p HD/30 fpsに「デフォルト」と添えられています(iOS 18.6の設定画面の文言。iOS 27の画面では確かめられていません)。初期設定のまま撮る人がいちばん多いことを考えると、その設定を対象に改良した、と読むのが自然です。
一方で、4Kで撮ったときに改良が働くのか、働かないのかは書かれていません。「4Kでは効果が無い」と言い切ることもできませんし、「4Kでも同じ」と考える根拠もありません。言えるのは、Appleが改良を約束しているのは1080pだ、というところまでです。暗い会場で少しでも明るく撮りたいなら、約束されている側の1080pを選ぶのが筋の通った選び方になります。
ディスクにするなら、1080pで画素は足りている
撮った映像をDVDやブルーレイにする予定があるなら、1080pを選んでも損はほとんどありません。当社で作るDVDは720×480、ブルーレイは1920×1080の映像です。DVDは1080pよりさらに小さく、ブルーレイは1080pと同じ大きさなので、4Kで撮った映像もディスクにする段階でこの大きさまで縮めます。4Kの細かさがそのまま残るのは、パソコンや4K対応のテレビで元のファイルを見る場合です。DVDにするなら、4Kで撮っても1080pで撮っても、できあがるのは同じ720×480の映像です。
4Kで撮る理由があるとすれば、編集で一部を切り出して寄りの画面を作りたいときです。後ろの席から舞台全体を撮っておき、あとで自分の子どものところだけを切り出す。この使い方では4Kの画素の多さが役に立ちます。ただ、暗い会場ではそもそも細かいところがざらつきに埋もれやすく、切り出して拡大すると、そのざらつきも一緒に拡大されます。4Kで撮るか迷うときは、後で説明する撮り比べで、4Kと1080pの両方を同じ暗さで撮って見比べてください。
容量で比べると、1080pは4Kの3分の1ほど
iPhoneの設定画面に出る1分あたりの容量の目安では、HDRビデオをオンにした高効率の設定で、1080p/30fpsが約65MB、4K/30fpsが約190MBです(iOS 18.6の設定画面の数値。iOS 27の画面では確かめられていません)。HDRをオフにした高効率では1080p/30fpsが約60MB、互換性優先では約130MBになります。60fpsにすると、HDRオンで1080pが約100MB、4Kが約440MBです。
iOS 18.6の設定画面の目安。iOS 27の画面の数値は確かめられていない
学芸会のように1時間を超える行事を通しで撮ると、この差は大きくなります。計算上、1080p/30fps・HDRオンで60分撮ると約3.9GB、4K/30fpsなら約11.4GBです。本体の空き容量が足りなくなって途中で止まる心配が減ることも、暗い会場で1080pを選ぶ理由のひとつになります。設定ごとの容量の一覧はiPhone動画のビットレートは何Mbpsかで、計算のしかたと一緒に確かめられます。
60fpsにすると、暗さの面では不利になる
フレームレートも明るさに関係します。30fpsなら1コマあたり最長で1/30秒、60fpsなら1/60秒しか光を集める時間がありません。計算上、60fpsの1コマが受け取れる光は30fpsの半分です。ダンスの発表会で動きを滑らかに残したい気持ちは分かりますが、暗い会場ではそのぶん映像が暗くなるか、カメラが信号を強めてざらつきが増えます。暗さを優先するなら30fps、動きを優先するなら60fpsと、どちらを取るかを先に決めておくと迷いません。
暗い場所の動画が、暗くざらついて見えるのはなぜか
改良の中身を推し量る前に、暗い場所で動画が暗く、ざらついて見える理由を押さえておきます。ここが分かると、Appleが製品ページで「絞り値とフレームレート」と書いた意味も読めるようになりますし、撮る側で何を選べばよいかも決めやすくなります。
カメラは1コマごとに、レンズを通ってきた光をセンサーで受け取って画にします。受け取れる光の量は、レンズの絞りがどれだけ開いているかと、1コマのあいだにどれだけ長く光を受けるかで決まります。暗い体育館では、この二つを目いっぱい使っても光が足りないことが多く、そのときカメラはセンサーの信号を強めて明るく見せます。一般に、信号を強めるほど、本来の光とは関係のない細かい粒も一緒に強まり、画面全体がざらついて見えます。暗い映像のざらつきの多くは、この粒です。
1コマに光を集められる時間は、フレームレートで上限が決まる
動画は1秒間に何コマも続けて撮るので、1コマに使える時間には上限があります。30fpsなら1/30秒、約0.033秒です。24fpsにすると1/24秒、約0.042秒になり、計算上は1コマあたりの時間が1.25倍に伸びます。60fpsでは1/60秒、約0.017秒しかありません。1コマに長く光を受けられるほど、同じ暗さでも信号を強める量が少なくて済みます。
代わりに失うものもあります。コマ数が減れば動きは少しぱらぱらした印象になり、1コマのあいだに被写体が動けば、その動きが流れて写ります。踊りのように速く動く場面では、腕や髪の先が流れて見えるのはこのためです。暗さとの引き換えに何を失うかは、方法ごとに違います。
明るく撮る三つの方法と、それぞれの代わりに失うもの
暗い場所で明るく撮る方法は、突き詰めると三つしかありません。絞りを開いて光を多く入れる。1コマの時間を長くする(フレームレートを下げる、シャッタースピードを遅くする)。センサーの信号を強める。どれを使っても、何かを手放します。次の図に並べたように、絞りを開けばピントの合う前後の幅が狭くなり、時間を伸ばせば動きがぶれやすくなり、信号を強めればざらつきが増えます。
どの方法も何かと引き換えになる。三つ目のざらつきを減らすには前の二つで光を増やす
iPhone 18 Proの製品ページが「絞り値とフレームレートを賢く調整」と書いているのは、このうち一つ目と二つ目を場面に合わせて使い分ける、という意味に読めます。三つ目の信号を強めることは書かれていませんが、どのカメラでも暗ければ避けられないものです。改良された低照度ビデオがざらつきをどう処理しているかは公表されていないので、ここは推し量らずに進めます。
ざらつきを消す処理にも、副作用がある
スマートフォンのカメラは、撮った画からざらつきを減らす処理を自動でかけています。一般に、この処理を強めると、ざらつきと一緒に髪の毛の流れや衣装の細かい模様、背景の文字まで平らになり、顔が絵のようにのっぺりして見えることがあります。暗い会場の映像で、肌がつるつるしすぎて人形のように見えるときは、この処理が強くかかっていることが考えられます。
どの程度の処理をしているかは機種やソフトで違い、iPhoneでは設定で強さを選ぶ項目もありません。撮る側にできるのは、処理に頼る量を減らすこと、つまり光を多く取り込める条件を選ぶことです。前の席に近づく、ズームを使いすぎない、30fpsで撮る、といった地味な選択が、そのまま暗い場面の仕上がりに表れます。
体育館の暗さと、ホールの暗さは違う
同じ「暗い会場」でも、昼間の体育館とホールでは暗さの性質が違います。体育館で暗幕を引いても、すき間からの外光や非常口の誘導灯、天井の照明の一部が残り、客席も舞台もうっすら見えることが多いはずです。舞台の照明と客席の暗さの差は、ホールほど大きくありません。
ホールは、客席の明かりを消して舞台だけに照明を当てます。舞台の上は思った以上に明るく、客席や舞台の袖は真っ暗という、明るさの差の大きい画面になります。この場合に困るのは暗さそのものより、カメラが真っ暗な部分に合わせて明るさを上げ、照明を浴びた顔が白く飛ぶことです。低照度ビデオの改良が役に立ちそうなのは体育館のような全体が薄暗い場面で、ホールでは次の節以降の露出の固定のほうが結果を大きく左右します。
FPS自動調整との関係は、要点だけ押さえる
製品ページの「フレームレートを賢く調整」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのが「FPS自動調整」でしょう。設定アプリの「カメラ」から「ビデオ撮影」を開くと出てくる項目で、選択肢は「オフ」「30 fpsを自動調整」「30 fpsと60 fpsを自動調整」の三つです。ユーザガイドは、フレームレートを自動的に24 fpsにすることで暗い状況でもビデオの品質を向上させられる、と説明しています。iPhone 18 Proでは、4Kで録画するときにもFPS自動調整が働くとも書かれています。
この設定の仕組み、オフにする判断、撮ったあとでフレームレートが変わっているかを確かめる方法は、iPhoneのFPS自動調整とは で詳しく書きました。ここでは、低照度ビデオとの関係にかかわる点だけを書きます。
製品ページの「フレームレート」がFPS自動調整を指すとは書かれていない
18 Proの製品ページの「絞り値とフレームレートを賢く調整」が、設定のFPS自動調整そのものを指すのか、それとは別の処理なのかは、Appleの資料からは分かりません。改良された低照度ビデオの説明にFPS自動調整という言葉は出てこず、FPS自動調整の説明にも低照度ビデオという言葉は出てきません。
ここから言えるのは、FPS自動調整をオフにしたときに、低照度ビデオの改良が同じように働くのかどうかは確かめられていない、ということです。オフにしても改良は働くかもしれませんし、明るくする方法の一部が使えなくなるかもしれません。どちらかに決めつけず、オンとオフの両方で撮って比べるのが確実な方法です。
iPhone Duoについては、4Kで撮るときにFPS自動調整が働くかどうかもユーザガイドに書かれていません。Duoは発売前で、ガイドの記載もこれから増える可能性があります。Duoで撮る人は、発売後のユーザガイドで「iPhoneのビデオ撮影設定を変更する」のページを確かめ、記載が増えていなくても、1080pで撮る前提にしておけば迷う点は少なくなります。
オンにするか、オフにするかの決め方
判断の材料は三つあります。撮る場面の動きの速さ、撮ったあとに編集するかどうか、そして撮り比べで明るさにどれだけ差が出たか、です。暗い場面で24fpsに下がると1本の動画の途中でフレームレートが変わります。編集ソフトによっては、こうした動画をほかの素材とつなぐと、音と口の動きがずれる原因になることがあるとされます。ディスクにする場合も、DVDは29.97fpsで作るので、24fpsで撮れた区間は変換の対象になります。
一方、撮り比べてみてオンのほうが明らかに顔が明るく、ざらつきも少ないなら、オンのまま撮る理由になります。迷ったときの順番を図にすると次のとおりです。最後の質問に答えるには、本番の前に撮り比べをしておく必要があります。
最後の質問に答えるには、本番前の撮り比べが要る
iPhone 18 Proだけにある、可変絞りと手動の調整
18 Proのメインカメラは、iPhoneで初めて絞りの大きさを変えられるカメラになりました。絞り値はƒ/1.48、ƒ/1.8、ƒ/2.8、ƒ/4.0の4段階で、製品ページはƒ/1.8を「デフォルト」、ƒ/1.48を「最大の明るさ」と説明しています。ふだんは明るさと被写界深度(ピントの合って見える前後の幅)に合わせてカメラが自動で選び、ユーザガイドによれば、「写真」「ビデオ」「シネマティック」「スローモーション」「タイムラプス」の各モードで手動でも設定できます。
暗い会場で意味があるのは、自動の動きを止められることです。自動のままでは、製品ページの説明のとおり、明るさや被写界深度に合わせて絞りがカメラの判断で変わります。暗い場面の明るさを優先するなら、ƒ/1.48に固定するという選択ができます。
ƒ/1.48に固定すると、ピントの合う幅が狭くなる
絞りを開くと光が多く入る代わりに、ピントの合って見える前後の幅が狭くなります。製品ページも、ƒ/4.0を「最大の被写界深度」、ƒ/1.48を「最大の明るさ」と並べて、両者が引き換えの関係にあることを示しています。合唱で3段のひな壇に並んだ子どもたちを前の席から撮ると、前列と後列のどちらかがぼやけて見えることがありえます。
一般に、被写体までの距離が遠いほどピントの合う幅は広くなるので、体育館の後ろの席から舞台全体を撮るなら、ƒ/1.48でも前後のぼけはそれほど気にならないはずです。近くから撮るときは、開いた絞りで本番の並びに近いものを撮ってみて、前後がどう写るかを見てから決めてください。
ズームすると望遠カメラに切り替わり、絞りが変わる
暗い会場で見落としやすいのが、ズームしたときのカメラの切り替わりです。18 Proの背面は、可変絞りのメインカメラ、ƒ/2.2の超広角カメラ、ƒ/2.8の望遠カメラの3つでできていて、絞りを変えられるのはメインだけです。4倍や8倍まで寄ると、撮影は望遠カメラに移り、絞りはƒ/2.8になります。センサーの大きさも違うので単純には比べられませんが、絞り値の数字だけで見ても、ƒ/1.48のメインより取り込む光は少なくなります。
後ろの席から自分の子どもを大きく撮りたい気持ちと、明るく撮りたい気持ちは、ここでぶつかります。暗い舞台では、望遠側に移らない範囲で撮り、寄りすぎない構図にするほうが、顔が明るくざらつきの少ない映像になりやすいはずです。設定アプリの「ビデオ撮影」にある「カメラをロック」をオンにすると、録画中に自動でカメラが切り替わらなくなります。録画の途中で突然明るさや色が変わるのを防ぎたいときに使える設定です。
シャッタースピードは、フレームレートより長くはできない
18 Proでは、ビデオモードでもシャッタースピードを手で決められます。動画の場合、1コマの時間より長くは光を受けられないので、30fpsで撮るなら1/30秒が長いほうの限度になります。シャッタースピードを速くすると、動きはくっきり止まって写る代わりに、1コマが受け取る光が減って暗くなります。製品ページは、速いシャッタースピードですばやい動きを精細に撮る例を挙げていますが、それは光が十分にある場面の話です。
体育館の照明がLEDのときは、シャッタースピードの選び方で画面の明るさがちらついたり、横の帯が流れたりすることがあります。照明のちらつきの原因と、撮ったあとで直せる範囲は体育館のLED照明で映像がチラつくにまとめています。手動の設定に慣れていないなら、シャッタースピードは自動のままにしておき、明るさは次の節の露出の固定で決めるほうが失敗は少なくなります。
ヒストグラムで、暗い部分がどこまで残っているかを見る
18 Proでは、構図を決めるときにヒストグラムで画面全体の露出を確かめられます。ヒストグラムは、画面の中の暗いところから明るいところまで、どの明るさがどれだけあるかを山の形で示すグラフです。左の端に山が張りついていれば暗い部分が真っ黒になりかけていて、右の端に張りついていれば明るい部分が白く飛びかけています。
舞台の撮影では、客席の黒が大きく、左に高い山ができるのは当たり前です。見たいのは、照明を浴びた顔の明るさが右の端に張りついていないかどうかです。ヒストグラムに慣れていない人は、画面で顔の頬に明暗の差が残っているかを目で確かめる方法でも構いません。絞りの設定を次にカメラを開いたときも残すには、「設定を保持」で「レンズ絞り」をオンにします。設定を保持は、行事の朝に設定が元に戻っているのを防ぐためにも使えます。
露出を固定する|自動のままだと、暗転と明転で明るさが動く
低照度ビデオの改良とは別に、カメラは画面の明るさを自動で決めています。仕上がりをいちばん左右するのは、この自動の明るさ合わせです。画面の大半が黒い客席や暗幕だと、カメラは全体を明るくしようとして、照明を浴びた顔を白く飛ばしたり、黒い部分を明るく持ち上げてざらつきを目立たせたりします。
露出を固定すると、カメラが明るさを勝手に変えなくなります。演目の途中で暗転しても、真っ暗を無理に明るくしようとせず、明転した瞬間に顔が白く飛ぶこともなくなります。舞台の照明に露出を合わせる考え方と細かな手順は暗いホールでスマホ撮影が白飛び・真っ暗になるで詳しく書いたので、ここではiOS 27のユーザガイドに沿って、iPhoneの操作だけを確かめます。
長押しで「AE/AFロック」、明るさの印を上下に動かして補正
カメラを開いて、ピントと明るさを合わせたいところ(照明の当たった子どもの顔)を画面でタップします。四角い印が出たら、その横にある明るさの印(太陽の形)を上下にドラッグすると、明るさを手で調整できます。そのまま四角の中を押し続けると「AE/AFロック」と表示され、ピントと明るさがその状態で固定されます。画面をどこかタップすると、ロックは外れます。録画中は画面に触らないでください。
カメラツールの「露出」から調整する方法もあります。画面のカメラツールのボタンをタップするか、画面下部のカメラモードの並びを上にスワイプしてツールを出し、「露出」をタップしてスライダを動かします。この露出の値は、次にカメラを開くまで固定されます。次回も同じ値から始めたいなら、「設定」アプリの「カメラ」にある「設定を保持」で「露出調整」をオンにします(iPhone 11以降)。カメラコントロールのある機種では、カメラコントロールを軽く2回押して出るメニューから「露出」を選び、指を滑らせて調整することもできます。
合わせる先は顔で、少し暗めにする
固定する明るさは、照明を浴びた顔に合わせます。画面いっぱいの暗幕や客席の黒は、黒いままで構いません。顔に合わせたうえで、明るさの印を少し下げ、頬の明るい側と影の側に差が残るくらいにしておくと、照明が強くなった瞬間にも白く飛びにくくなります。白く飛んだ部分は撮ったあとで戻せませんが、少し暗めの顔は編集でいくらか持ち上げられます。
体育館で全体が薄暗い場合は、少し考え方が変わります。舞台と客席の明るさの差が小さいので、顔に合わせて固定すれば、背景もほどよく写ります。この場面では、明るさの印を下げすぎず、顔がはっきり見える明るさを優先してください。暗めに撮ったあとで持ち上げると、そのぶんざらつきも強まります。
演目が変わるたびに、固定し直す
一度固定した明るさは、照明の変化についていきません。合唱のあとに劇が始まり、照明の色や強さが変わったら、拍手や司会の声の間に、新しい演目の顔に合わせて固定し直します。演目の途中で触ると、その瞬間の映像が揺れたりピントが迷ったりするので、触るのは演目と演目の間だけと決めておくと、映像が乱れません。
ユーザガイドのこの手順は機種を限っていないので、iPhone Duoでも同じ操作になるはずです。Duoの仕様には、18 Proのような絞りやシャッタースピードを手で決める項目の記載がありません。Duoで暗い会場を撮るときに手で決められる明るさの調整は、フレームレートの選び方と、この露出の固定が中心になります。
スマートフォーカストラッキングと、暗い場面のピント
仕様ページで低照度ビデオと並んでいる「スマートフォーカストラッキング」も、18 ProとDuoだけにある記載です。こちらにも注や説明は付いていません。iOS 27のユーザガイドには、iPhone 18 Proモデルでは動いている被写体にピントを合わせ、距離が変わっても追い続けられる、という操作の説明があります。被写体をタップして黄色いフレームを出し、そのフレームをダブルタップすると追いかけ始め、止めるときは「フォーカストラッキング」をタップします。
ガイドのこの操作が仕様の「スマートフォーカストラッキング」と同じものかどうかは、名前が少し違うこともあり、資料からは言い切れません。また、ガイドの説明は18 Proに限って書かれていて、Duoでの操作は発売後のガイドで確かめる必要があります。
暗い場所では、ピントが迷いやすい
一般に、カメラは画面の明暗の差を手がかりにピントを合わせるので、暗い場面では手がかりが少なく、ピントが前後に行き来しやすくなります。舞台の前に座る子どもの頭や、手前の観客の手にピントが移ってしまうのも、暗い会場でよく起きることです。前の節の「AE/AFロック」は明るさと一緒にピントも固定するので、舞台までの距離が変わらない撮り方なら、この迷いをまとめて止められます。
劇で舞台の前と奥を行き来する役や、ダンスで前に出てくる場面のように、被写体の距離が大きく変わるなら、ロックしたピントからずれていきます。そういう場面で18 Proのトラッキングを使うか、ロックのまま撮るかは、暗い部屋で家族に動いてもらって試してから決めてください。18 Proには、ピントの位置を手で決める「焦点」のツールもありますが、ガイドは一部のカメラモードでは使えないと断っています。
ピントを合わせ直すのも、演目の合間に
露出と同じく、ピントも演目が変わるたびに合わせ直すのが基本です。合唱から劇に変わって子どもの立ち位置が舞台の奥から手前に移るなら、拍手のあいだに新しい立ち位置の顔を長押しして、ロックをかけ直します。録画中に画面をタップしてピントを合わせ直すと、その瞬間に明るさのロックも外れ、明るさが変わることがあります。
どうしても演目の途中で合わせ直したいときは、録画をいったん止めてから合わせ、録画を始め直すほうが、つないだときの見た目はきれいです。ファイルが分かれても、あとで順番どおりに並べればディスクには続けて入れられます。
「アクションモード(低照度)」は、名前が似ている別の設定
設定アプリの「ビデオ撮影」には「アクションモード(低照度)」という項目があります。名前に「低照度」が入っているので、低照度ビデオと関係があるように見えますが、これはアクションモードを暗い場所で使うときのための設定です。設定画面の説明文は、やや暗いシーンを最適化するために、アクションモードで手ぶれ補正を減らします、という内容です。ユーザガイドも、アクションモードは明るい場所での撮影に最適で、暗い場所で使う場合にこの設定をオンにする、と書いています。
アクションモードは、走りながら撮っても揺れの少ない映像にするモードで、撮れる大きさは最大2.8K、60fpsまでです。iPhone 18 Pro・Duoのほか、17 Pro・Air・17・16 Pro・16などで使えますが、17eと16eの仕様ページには記載がありません。暗い場所で手ぶれ補正を減らすということは、そのぶん揺れが戻るということで、暗さに強いモードではありません。モードの仕組みと画質はiPhoneのアクションモードの画質で扱っています。
舞台を撮るなら、通常のビデオモードで
発表会や学芸会は、客席に座ったまま撮ることがほとんどです。走って追いかける撮り方ではないので、アクションモードを使う理由はありません。低照度ビデオの改良の対象も、仕様の書き方からは通常の1080pのビデオと読めます。舞台はビデオモードで1080pを選び、手すりや三脚、膝の上で両手を使ってiPhoneを支えるのが、揺れと暗さの両方に対していちばん素直な撮り方です。
運動会の徒競走のように、明るい屋外で親が走りながら撮る場面では、アクションモードの出番があります。秋の行事は昼の運動会と暗い会場の発表会が続くので、運動会のあとでアクションモードのまま発表会の日を迎えていないかは、前日に確かめておいてください。
暗い会場では、手ぶれも明るさの問題になる
暗い場所で1コマあたりの時間が長くなると、そのあいだに手が動いたぶんだけ画が流れます。明るい屋外では気にならない程度の小さな揺れでも、暗い会場では輪郭のにじみとして見えやすくなります。顔がぼんやりして見える映像は、ピントが外れているのではなく、手の揺れが1コマの中に写っている場合もあります。
iPhoneの手ぶれ補正は機種ごとに仕様の書き方が違います。18 Proは、メインカメラに第2世代センサーシフト光学式、望遠カメラに3Dセンサーシフト光学式、そして4K・1080p・720pの映画レベルのビデオ手ぶれ補正と書かれています。Duoは、メインカメラのセンサーシフト光学式と映画レベルのビデオ手ぶれ補正です。どれも揺れを小さくする仕組みですが、撮る人の支え方で減らせる揺れは、補正に任せるより確実に減らせます。
三脚が使えない席での支え方
三脚を立てられる場所が決まっている会場もあれば、客席での三脚を禁止している会場もあります。使えない席では、両肘を膝や自分の体に付けて、iPhoneを両手で横向きに持つのが基本です。片手で高く掲げて撮ると、腕の重さで揺れが大きくなるうえ、後ろの席の人の視界もふさぎます。小さな一脚や、膝の上に置く台を使ってよいかは、学校や園の撮影の案内で確かめてください。
長い演目を通しで撮るなら、持つ手を途中で替えられる姿勢を最初に作っておきます。撮りながら腕が疲れて下がってくると、画面の傾きと揺れが少しずつ大きくなります。演目の合間に録画を止めて腕を休めるほうが、1本を長く撮り続けるより揺れの少ない映像になります。
録画の開始と停止で揺らさない
画面の録画ボタンを押す瞬間に、iPhoneはどうしても少し揺れます。暗い会場では、録画の開始と停止は音量ボタンでもできることを覚えておくと便利です。両手で持ったまま、親指で音量ボタンを押せば、画面に触らずに済み、固定した露出も外れません。Apple Watchを持っていれば、「カメラリモート」でiPhoneのビデオ撮影を始めることもできます。
「手ぶれ補正(拡張)」はわずかに画角が狭くなる
設定アプリの「ビデオ撮影」にある「手ぶれ補正(拡張)」は、画面をわずかに拡大して、ビデオの手ぶれを補正する設定です。初期設定はオンで、iPhone 14以降ではオフにできます。オフにすると写る範囲が少し広くなりますが、そのぶん揺れは補正されにくくなります。暗い会場で手持ちで撮るならオンのまま、三脚でしっかり固定できるならオフでも構いません。この設定が暗い場面の明るさにどう影響するかは、Appleの資料には書かれていません。
HDRビデオで撮るか、暗い会場ではオフにするか
iPhone 18 ProやDuoを含む対応機種では、初期設定でHDRビデオがオンになっていて、ドルビービジョンを含む10ビットのハイダイナミックレンジで撮ります。HDRは、明るい部分から暗い部分までの幅を広く記録する方式で、対応した画面で見ると、照明のまぶしさと影の暗さが両方残った見え方になります。
HDRが暗い会場でどれだけ役に立つかについて、Appleは低照度ビデオと結びつけた説明をしていません。HDRをオフにしたら低照度ビデオの改良がどうなるかも書かれていません。分かっているのは、HDRで撮った映像を、HDRに対応していない画面やディスクで見るときには、SDR(従来の明るさの幅)の映像に変換する必要がある、ということです。
ディスクにするなら、SDRにした映像で確かめる
DVDと通常のブルーレイの規格には、HDRの映像を入れる形がありません(規格の説明は一般に流通している資料によります)。HDRで撮った映像をディスクにするときは、どこかでSDRに変換されます。このとき、照明を浴びた顔が思ったより白っぽくなったり、暗い部分が灰色がかったり、濃淡が消えて真っ黒になったりして、iPhoneの画面で見ていた印象と違うことがあります。
舞台の映像は、もともと暗い部分の割合が大きいので、この変換の影響が目に付きやすくなります。自分で編集してから渡すなら、書き出しの段階でSDRにして、パソコンの画面やテレビで色と暗い部分を確かめてから渡してください。HDRをオフにするかどうかの判断材料はiPhoneのHDRビデオはオフにすべきか にまとめています。
オフにするなら、設定アプリの「ビデオ撮影」から
HDRビデオをオフにするには、「設定」アプリの「カメラ」から「ビデオ撮影」を開き、「HDRビデオ」をオフにします。モデルによっては項目名が「HDR」です。容量の目安は、高効率の設定・1080p/30fpsでHDRオンの約65MBに対し、オフで約60MBで、大きくは変わりません(iOS 18.6の設定画面の数値)。
当社の考えとしては、撮った映像をディスクにすることが主な目的で、HDR対応のテレビで元のファイルを見る予定が無いなら、オフにして撮ると後の確認が簡単になります。家族でiPhoneやHDR対応のテレビで見ることも大事なら、オンのまま撮り、ディスクにするときにSDRへの変換を確かめれば足ります。どちらにするかは、撮る前に決めておけば迷いません。
HDRのまま渡すと、相手の機器で見え方が変わる
HDRで撮った動画を家族に送ると、受け取る機器によって見え方が変わります。ユーザガイドによれば、HDRビデオはiOS 13.4以降、iPadOS 13.4以降、macOS 10.15.4以降の機器にはHDRのまま共有され、それ以外の機器には同じビデオのSDR版が届きます。暗い会場の映像は、HDRで見ると照明の当たった顔がまぶしく、SDRで見ると全体が少し落ち着いた明るさになる、というように、同じ動画でも印象が変わることがあります。
祖父母のスマートフォンやパソコンで見てもらう予定があるなら、自分のiPhoneで見た印象だけで「明るく撮れた」と判断しないほうが安全です。相手と同じ種類の機器があれば、そこで一度再生してみると、相手の家での見え方に近い状態を確かめられます。
場面別に、どこまで期待できるかと設定の組み方
ここからは、秋に多い行事の場面ごとに、改良された低照度ビデオにどこまで期待できそうか、そして設定をどう組むかを書きます。期待の大きさは、ここまで書いたとおり公式の数字が無いので、あくまで暗さの性質から考えた見通しです。どの場面でも、最後は撮り比べで確かめることが前提になります。
昼の体育館で、暗幕を引いた学芸会
小学校の学芸会や学習発表会は、昼間の体育館で暗幕を引き、舞台の照明を点けて行うことが多い行事です。外光が少し入り、全体が薄暗い状態になります。舞台と客席の明るさの差がホールほど大きくないので、カメラが黒い部分に合わせて顔を白くしすぎることは比較的少なく、暗さそのものとざらつきが主な悩みになります。1080pで撮るときの改良が役に立つとすれば、こういう全体が薄暗い場面だと考えられます。
設定は、1080p/30fpsを基本にし、FPS自動調整は撮り比べの結果で決めます。露出は舞台中央の子どもの顔に合わせて固定し、明るさの印は下げすぎないようにします。客席の後ろからでは、ズームで寄りたくなりますが、18 Proで4倍以上に寄ると望遠カメラに移ります。全体の画をメインカメラで撮り、寄りは編集で切り出すほうが明るさを保てます。劇と合奏が続く行事の段取りは学習発表会・学芸会の記録を残すで扱っています。
ホールの音楽会や発表会で、客席が真っ暗になる
市民ホールや学校の講堂で行う音楽会、ピアノやダンスの発表会では、客席の明かりを消し、舞台だけを照らします。舞台の上は十分に明るいことが多く、困るのは暗さよりも、明るさの差です。自動の露出のままだと、真っ暗な客席や舞台の袖に合わせて全体を明るくしようとし、照明を浴びた顔や白い衣装が飛びます。
この場面では、改良された低照度ビデオの出番はあまり大きくないと見ておくほうが安全です。露出を顔に合わせて固定することが、仕上がりをいちばん大きく左右します。暗転のある演目では、暗転の間も固定を外さず、黒い画面のまま待ちます。FPS自動調整がオンのままだと、暗転の間にフレームレートが下がることがあるので、編集やディスク化の予定があるならオフにしておくと後の手間が減ります。ダンスで動きの速い演目が中心なら、照明が明るい舞台に限って60fpsを選ぶ手もありますが、そのときも1コマが受け取る光は30fpsの半分になることを覚えておいてください。
保育園や幼稚園の遊戯室で、照明を少し暗くしたお遊戯会
園のお遊戯会は、遊戯室やホールの照明を少し暗くし、舞台側だけを明るくして行うことがあります。天井が低く、蛍光灯やLEDの照明がそのまま画面に入ることも多い場面です。撮る位置は保護者席の決められた場所で、前に人の頭が並び、子どもまでの距離は体育館より近いことが多いでしょう。
距離が近いので、ズームを使わずにメインカメラで撮れることが多く、暗さの面では有利です。気をつけたいのは、照明のちらつきと、自分の子どもを追ってiPhoneを振ったときのピントの迷いです。露出とピントを固定するか、18 Proならトラッキングを試すかは、子どもの動きの大きさで決めます。園によっては撮影の場所や方法に決まりがあるので、その範囲で設定を組みます。
夕方から夜の屋外で、秋祭りや仮装のパレード
秋祭りの夜店や、ハロウィンの仮装で歩く子どもを撮る場面は、照明が提灯や街灯、店の明かりに限られ、明るい所と暗い所がまだらにある画面になります。被写体も撮る人も歩いているので、ホールのように露出を一度固定すれば済む場面ではありません。
この場面は、自動の露出のまま1080p/30fpsで撮り、子どもの顔が明かりの近くに来た瞬間を狙うのが現実的です。18 Proではフロントカメラの欄にも低照度ビデオの記載があり、Duoはアウター側のフロントカメラに記載があるので、夜に家族で並んで自撮りの動画を撮る場面でも、1080pで撮るのが記載に沿った選び方です。歩きながら撮ると揺れが目立ちますが、アクションモードは、先に書いたとおり暗い場所では「アクションモード(低照度)」で手ぶれ補正を減らして使う設定なので、暗さの面では頼れません。立ち止まって撮る時間を作ることが、いちばん確かな対処です。
本番の前に、同じくらい暗い部屋で撮り比べる
公式の数字が無い以上、自分のiPhoneで暗い場面がどこまで明るく撮れるかは、試して見るしかありません。撮り比べといっても、特別な機材は要りません。夜の部屋の照明を1つだけ残し、家族に本番の子どもの代わりに立ってもらえば、学芸会の体育館に近い暗さを作れます。行事の1週間前までに一度やっておくと、本番の設定に迷いが無くなります。
条件は一つずつ変え、ほかの条件はそろえます。置き場所、距離、照明、被写体の服をそろえ、変えるのは設定だけにします。iPhoneを手で持つと揺れの差が混ざるので、三脚か、本を積んだ台に置いて撮ります。
撮り比べの手順
部屋の照明を1つだけ点け、被写体から3〜5mほど離れた所にiPhoneを固定する。本番で座る席からの距離に近いほうがよい
被写体に、ゆっくり歩く・手を振る・少し前に出る、の動きを30秒ずつ繰り返してもらう
1080p/30fps・FPS自動調整オンで30秒、オフで30秒撮る。どちらも露出は顔に合わせて固定する
4K/30fps・FPS自動調整オフで30秒撮る(4Kで撮るか迷っている場合)
18 Proなら、絞りを自動のままと、ƒ/1.48に固定した場合を撮る
HDRビデオのオンとオフで迷っているなら、それぞれで撮る
撮るたびに、最初の2秒で条件を声に出して録音しておく(「1080p、オン」など)
声で条件を吹き込んでおくのは、あとで見比べるときの取り違えを防ぐためです。写真アプリの一覧には同じような暗い画が並ぶので、どれがどの設定か、後から分からなくなりがちです。同じ理由で、撮る順番も紙に書いておくと確かです。
見比べるのは、大きな画面で
撮った動画は、iPhoneの画面だけで判断しないでください。小さな画面では、ざらつきも、ピントの甘さも、顔ののっぺり感も目立ちません。パソコンの画面か、家族で見るテレビで、同じ場面を順番に再生して比べます。ディスクにする予定があるなら、最終的に見るのはテレビなので、テレビで比べるのがいちばん実際に近い見え方です。
見る点は次のとおりです。明るさだけで選ぶと、ざらつきや動きのぱらつきを見落とすことがあるので、必ず複数の点を見ます。
明るさだけで選ばず、ざらつきと動きも一緒に見る
前の機種があれば、並べて撮ると改良の大きさが分かる
家族が17 Proや16などの前の機種を持っているなら、同じ場所から同じ設定で並べて撮ってみてください。新しい機種でどの程度の差になるのかを、自分の目で確かめられる数少ない方法です。差がはっきりしていれば、本番は新しい18 ProかDuoをメインにし、前の機種は引きの全体を撮る2台目に回す、という分担が決めやすくなります。
差が見えなくても、失敗ではありません。暗い場所の仕上がりは、機種より、距離とズームと露出の固定で大きく変わります。撮り比べで決めた設定は、「設定を保持」で次にカメラを開いたときも残るようにしておき、本番の朝にもう一度、画面上部の表示で1080pと30fpsになっているかを確かめます。
結果は、明るさ、ざらつき、動きの順に見て決める
撮り比べた動画を見ると、たいていは「この設定のほうが明るい」という差がまず目に入ります。けれども、明るいほうが良い映像とは限りません。明るくした代わりに、背景のざらつきが増えていたり、顔がのっぺりしていたり、手を振る動きがぱらぱらしていたりすることがあります。明るさの差を見つけたら、同じ場面のざらつきと動きも見比べてから決めます。
決め方の目安は、顔の表情が読み取れる明るさがあるかを最初に見ることです。表情が読めるなら、その中でざらつきの少ない設定を選びます。どの設定でも表情が読めないほど暗いなら、設定より撮る位置や距離を見直すほうが先です。前の席に移れないか、ズームを使わずに済む位置がないかを、会場の決まりの範囲で考えます。設定を変えても補えない暗さもある、と分かることも、撮り比べの大事な結果です。
暗い場面のざらつきは、データの量にも表れる
暗い場面の映像を扱うときに知っておきたいのが、ざらつきとデータの量の関係です。iPhoneの設定画面に出る1分あたりの容量から計算すると、1080p/30fps・HDRオンの約65MBは、1秒あたり約8.7Mbpsにあたります(計算値。1MBを100万バイトとして計算)。iPhoneは動画をこのくらいのデータ量に圧縮して記録しています。
圧縮は、前のコマと変わらない部分を省き、変わった部分だけを記録する考え方が基本です。ざらつきの粒はコマごとに場所が変わるので、画面全体がざらついていると、変わった部分が多いと扱われ、記録に多くのデータを使います。一般に、同じデータ量の中でざらつきの多い映像を圧縮すると、粒そのものや細かい部分が省かれ、のっぺりしたり、ブロック状の乱れが出たりしやすくなります。
容量の目安どおりに収まるとは限らない
設定画面の容量は「およそ」の目安で、実際のファイルの大きさは場面によって上下します。明るい屋外と比べて暗い会場の映像が大きくなるのか小さくなるのかは、iPhoneの圧縮のしかた次第で、Appleは場面ごとの値を示していません。撮ったファイルの実際の大きさは、写真アプリで動画を開き、上にスワイプして出る情報の欄で確かめられます。ファイルの大きさを分単位の長さで割れば、自分の動画の1分あたりの容量が分かります。
この確認は、ディスクにするときの準備にも役立ちます。当社のエンコード手数料は、1つの内容のデータがDVDで5GB以上、ブルーレイで25GB以上のときにかかります。1080p/30fps・HDRオンの目安で計算すると、5GBに届くのは約77分で、4K/30fpsなら約26分です。長い学芸会を4Kで通しで撮ると、この境目を越えやすくなります。
撮った時点で失われたものは、戻らない
iPhoneで記録した段階で、暗い部分の細かさの一部はすでに圧縮で省かれています。あとから高いデータ量で書き出し直しても、省かれた細かさは戻りません。逆に、編集で明るくしたり色を変えたりして書き出すたびに、もう一度圧縮がかかり、暗い部分の乱れは少しずつ増えていきます。暗い場面の映像は、手を加える回数を少なくし、撮ったときのファイルに近い形で次の工程に渡すのが、画を保つ基本です。暗い場面だけ画質が乱れる原因の切り分けは暗いシーンだけ画質が汚いで扱っています。
パソコンで確かめるとき、Windowsでは開けないことがある
暗い場面のざらつきを大きな画面で確かめようとして、iPhoneの動画をWindowsのパソコンに移したら再生できなかった、ということがあります。iPhoneの「高効率」の設定で撮った動画はHEVCという方式で記録されていて、Windowsのパソコンによっては、再生にMicrosoft StoreからHEVCの拡張機能を入れる必要があるためです。Microsoftは、拡張機能はMicrosoft Storeから入れるよう案内しており、出どころの分からない無料のコーデックパックには注意を促しています。
Macでは、写真アプリやQuickTime Playerで再生できます。ただしiPhoneの設定画面の案内では、4K/60fpsのビデオにはmacOS High Sierra(10.13)以降、HDRビデオにはmacOS Catalina(10.15)以降が必要です。どちらのパソコンを使う場合も、iPhoneから移すときに形式が変わっていないかを先に確かめます。読み込みの設定が「自動」のままだと、互換性のある形式に変換されて取り込まれることがあり、その場合は見比べているのが元の動画とは少し違うものになります。
DVD・ブルーレイにすると、暗い部分はどう見えるか
撮った映像をディスクにして祖父母や親族に配る予定なら、最後に見るのはテレビに映したディスクの画です。明るい屋外の映像と比べると、暗い会場の映像はディスクにしたときの変化が目に付きやすいものです。DVDとブルーレイでは、その出方が違います。
DVDでは、暗い部分の乱れと色の段差が出やすい
当社で作るDVDの映像は、720×480の大きさ、29.97fps、MPEG-2という圧縮の方式です。MPEG-2はiPhoneが使うHEVCやH.264より古い方式で、一般に、同じ画質を保つのに多くのデータを必要とします。DVDの映像に使えるデータ量の上限は、規格上は一般に9.8Mbpsとされています。暗くざらついた映像をこの条件に収めると、ざらつきの粒が四角いブロックの形で見えたり、暗い背景のなだらかな濃淡が何段かの帯に分かれて見えたりすることがあります。
この帯のような段差はバンディングと呼ばれ、暗幕の前の照明のにじみや、薄暗い天井のように、なだらかに明るさが変わる所に出やすいものです。HDRの10ビットの映像をディスク用の映像に変換するときにも起きやすく、原因と対策は動画のグラデーションに縞が出る(バンディング)で詳しく書いています。撮る段階でできることは、ざらつきを減らすこと、つまりここまで書いてきた、光を多く取り込める設定を選ぶことです。
ブルーレイでは、ざらつきは粒のまま残りやすい
当社で作るブルーレイの映像は1920×1080で、1080pで撮った映像の大きさがそのまま残ります。映像に使えるデータ量の上限も、規格上は一般に40Mbpsとされ、DVDより大きく取れます。そのぶん、ざらつきはブロックの形に崩れにくく、撮ったときに近い細かい粒として残りやすくなります。暗い場面の見え方を少しでも保ちたいなら、ブルーレイのほうが向いています。
ただし、ブルーレイでもHDRの映像はそのまま入らず、SDRへの変換は必要です。また、ブルーレイは再生する側にブルーレイの再生機が要り、DVDプレーヤーでは見られません。配る相手の家にどちらの再生機があるかで、DVDかブルーレイかを決めることになります。両者の違いはDVDとブルーレイの違い にまとめています。
長く入れるほど、暗い場面に回るデータが減る
ディスク1枚に入る容量は決まっているので、長い映像を1枚に入れるほど、1秒あたりに使えるデータは減ります。DVDの1層は4.7GBで、60分と120分では使えるデータ量がおよそ半分に変わります。データが減ったときに真っ先に乱れが出やすいのが、暗くざらついた場面と、動きの激しい場面です。2時間を超える学芸会を通しで1枚のDVDに入れると、暗い劇の場面の乱れが目立つことがあります。
画を優先するなら、前半と後半で2枚に分ける、2層のディスクにする、ブルーレイにする、のどれかを選びます。どれが合うかは、映像の長さと配る相手の再生機で決まります。2枚に分けるなら、撮るときから演目の区切りで録画を止めておくと、分ける位置を決めやすくなります。
テレビの画面の設定でも、暗い部分の見え方は変わる
同じディスクでも、見るテレビによって暗い部分の見え方は変わります。明るいリビングで見ると暗い場面はさらに見にくく、テレビの画質の設定によっては、暗い部分が真っ黒に見えたり、逆に灰色っぽく浮いて見えたりします。配る前の確認は、自宅のテレビ1台だけで済ませず、パソコンの画面や別の部屋のテレビでも見ておくと、受け取った家での見え方に近づけます。
暗く撮れた映像を、編集で明るくする前に
撮ってみたら顔が暗かった、という映像は、編集でいくらか明るくできます。iPhoneの写真アプリの編集にも、パソコンの編集ソフトにも、明るさや暗い部分だけを持ち上げる調整があります。ただし、持ち上げられるのは記録に残っている明るさの差までで、持ち上げたぶん、暗い部分に埋もれていたざらつきも一緒に明るく見えてきます。
反対に、照明を浴びて白く飛んだ顔は、記録の段階で明るさの差が無くなっているので、編集で暗くしても目や口の形は戻りません。露出を「少し暗め」に固定するのは、この差があるからです。少し暗い顔は直せても、白く飛んだ顔は直せません。
明るくする量は、ざらつきとの相談で決める
編集で明るくするときは、iPhoneの小さな画面ではなく、パソコンやテレビの大きな画面で見ながら量を決めます。明るさを上げていくと、ある所から急に暗い背景のざらつきや色のむらが目立ち始めます。その手前で止めるのが目安です。顔は明るくしたいが背景のざらつきは目立たせたくない場合は、全体の明るさより、暗い部分だけを持ち上げる調整のほうが向いています。
ディスクにする予定があるなら、ここで決めた明るさがDVDやブルーレイの画の出発点になります。前の節に書いたとおり、ざらつきはディスクの圧縮でブロックや段差に変わりやすいので、編集の段階で明るくしすぎないことが、ディスクの画を保つことにもつながります。撮影後の明るさの補正でできることとできないことは動画の白飛び・黒つぶれは後から直せるかで詳しく扱っています。
書き出しは一度にまとめる
明るさの調整、不要な部分の切り取り、複数の動画のつなぎを別々に書き出していくと、そのたびに圧縮がかかり、暗い部分の乱れが重なります。編集は1つの作業の中でまとめて行い、書き出しは最後の1回にするのが基本です。HDRで撮った映像を編集するなら、書き出しの段階でSDRにしておくと、ディスクにしたときの色の変化を自分の目で先に確かめられます。
写真アプリで編集した動画は、元の映像を残したまま編集の内容を重ねて保存しています。共有ボタンから「未編集のオリジナルを書き出す」を選ぶと、編集前の映像が書き出されるので、明るくした版を渡したいのに暗いままの映像を渡してしまうことがあります。人に渡す前に、どちらの版を書き出したかを確かめてください。
暗転の黒い時間を、切るか残すか
舞台の映像には、暗転のあいだの真っ黒な時間が入ります。数秒の暗転は、場面が変わる区切りとして残しておくと、見る人に演目の流れが伝わります。一方で、幕の準備に何十秒もかかった暗転を全部残すと、ディスクで見たときに「止まったのか」と思われることがあります。長い暗転は数秒を残して切り、前後をつなぐのが見やすい形です。
黒い時間を切るときは、明転の直後の数コマも確かめてください。露出を固定せずに撮った映像では、明転の瞬間に画面が白く飛び、少しずつ明るさが戻っていく数秒が入っていることがあります。その数秒を切るか、明るさを合わせ直すかで、演目の始まりの印象が変わります。ディスクにするときに演目の頭から見られるようにしたいなら、チャプターの位置もこの区切りに合わせて決めると分かりやすくなります。
2台で撮るなら、暗い側の画角を新しい機種に任せる
家族で2台のiPhoneを持っていくなら、1台で舞台全体の引きを、もう1台で子どもの寄りを撮る分担がよく使われます。この分担を機種の性能で決めると、暗い会場では、仕上がりがそろいやすくなります。
寄りの画は、ズームで望遠側を使うことが多く、取り込める光が少なくなります。後ろの席からの全体の画は、メインカメラのままで撮れることが多いので、比べると明るさに余裕があります。18 ProかDuoを持っているなら、撮り比べの結果を見て、暗さに弱い側の画角をそちらに任せるのが合理的です。
2台の設定と色をそろえる
2台で撮った映像を編集でつなぐなら、撮影の大きさ(1080pか4Kか)とフレームレートをそろえます。どちらも1080p/30fpsにし、FPS自動調整もそろえておくと、つないだときに動きの質が途中で変わって見えることを避けられます。HDRビデオのオンとオフもそろえます。片方だけHDRだと、つないだ映像の色や明るさの差が大きくなります。
機種が違えば、同じ照明でも色合いは少し違って写ります。設定アプリの「ビデオ撮影」にある「ホワイトバランスをロック」をオンにすると、録画中に色合いが変わらなくなり、少なくとも1本の映像の中で色が動くことは防げます。2台の色の差は、編集で片方をもう片方に合わせて直します。差が気になるかどうかも、撮り比べの段階で2台を並べて確かめておけます。
引きの1台は、止めずに撮り続ける
2台のうち、舞台全体を撮る引きの1台は、三脚や台に固定して、演目の初めから終わりまで止めずに撮り続けるのが基本です。寄りの1台が子どもを追っているあいだに、ピントが迷ったり、暗転で露出が乱れたりしても、引きの映像があれば、その部分を差し替えられます。暗い会場では寄りの画のほうが失敗しやすいので、引きの1台は保険の役目を持ちます。
引きの1台も、開演前に露出を舞台の明るさに合わせて固定しておきます。固定した引きの映像は、照明の変化をそのまま写すので、あとで寄りの映像と明るさを合わせるときの基準にもなります。どちらの映像にも、拍手や司会の声が同じように入っているので、編集でつなぐときはその音を目印に時間を合わせられます。
17 Proや16など、前の機種で暗い会場を撮るとき
改良された低照度ビデオの記載が無い機種でも、暗い会場の撮り方の考え方は同じです。1080p/30fpsを基本にし、露出を顔に合わせて固定し、ズームは控えめにする。この三つで、前の機種でも映像は十分に変わります。家族の中で18 Proを持っている人が一人だけ、という家庭も多いはずなので、前の機種で撮る人の設定も行事の前にそろえておきます。
前の機種で違うのは、使える道具の数です。可変絞りと手で決めるシャッタースピードは18 Proだけなので、前の機種では明るさの調整は露出の固定と補正の印が中心になります。ビデオのデジタルズームの上限は、17 Proと16 Proが最大15倍、iPhone 17・Air・17e・16が最大6倍です。数字の上では寄れても、暗い会場で大きく寄るほど画は粗く、ざらつきも目立ちます。
FPS自動調整の名前と選択肢が違う機種がある
FPS自動調整の「オフ」「30 fpsを自動調整」「30 fpsと60 fpsを自動調整」の三つから選べるのは、iPhone 12以降と第3世代のiPhone SEです。iPhone XS・XR・11・第2世代のSEでは「自動低照度FPS」という名前で、オンとオフだけを選べます。説明文は、低照度のビデオを見やすくするために、フレームレートを自動的に30 fpsから24 fpsに下げる、という内容で、暗い場面で24 fpsに下げる働きは同じです。祖父母が古い機種で撮る場合は、名前が違うだけで同じ項目だと伝えておくと迷いません。
4Kで撮るときにもFPS自動調整が働くとユーザガイドに書かれているのは18 Proだけで、ほかの機種が4Kで撮るときの動きは書かれていません。前の機種でも、暗い会場では1080pで撮る前提にしておけば、この違いを気にせずに済みます。
撮る前に、画面の上部で撮影の大きさとfpsを確かめる
ビデオモードの画面の上部には撮影の大きさとフレームレートの表示があり、タップして切り替えられます。設定アプリを開かなくても、ここを見れば1080pで撮るのか4Kで撮るのか、30fpsか60fpsかが分かります。複数の家族で撮る日は、開演前にお互いの画面の上部を見せ合うだけで、設定のずれをかなり防げます。
前の機種で撮った映像と18 Proで撮った映像を編集でつなぐときは、2台で撮る節に書いたとおり、撮影の大きさとフレームレートとHDRのオンオフをそろえておきます。機種による明るさや色の違いは編集である程度そろえられますが、フレームレートの違いは後から直すほど手間が増えます。
撮っている間の画面の明るさと、周りの席への配慮
暗い会場でiPhoneの画面を点けたまま撮ると、画面の光は思った以上に周りの目に入ります。後ろの席の人の目には、舞台の手前で明るい画面が光って見えます。客席が暗い会場ほど、この光は目立ちます。画面の明るさはコントロールセンターで下げられ、画面を暗くしても、録画される映像の明るさは変わりません。
ただし、画面を暗くすると、撮っている映像が暗いのか明るいのかを目で判断しにくくなります。逆に、暗い客席で明るい画面を見ていると、実際より明るく撮れているように感じがちです。画面の見た目で露出を決めず、開演前に顔に合わせて固定した値を信じるほうが、結果は安定します。18 Proならヒストグラムで確かめる手もあります。
掲げずに、胸の高さで撮る
後ろの席の視界をふさがないように、iPhoneは頭より高く掲げず、胸か顔の高さで構えます。前の人の頭が画面に入るなら、席を替えるか、撮影のための場所が用意されていればそちらへ移ります。どの席から撮れるか、三脚や立って撮ることが許されるかは、学校や園、会場ごとに決まっています。決まりは撮る技術より先に確かめておくことです。
ライトは点けません。iPhoneのライトは舞台まで届くほどの明るさではなく、舞台の子どもたちや周りの観客の目に入るだけです。暗い舞台を明るく撮るための手段は、ここまで書いてきた設定と構え方の中にあります。
通知や着信で画面が光らないようにする
録画の途中でメッセージの通知が届くと、画面が一瞬明るくなり、周りの席に光が漏れます。着信の振動が手に伝われば、映像も揺れます。行事の前には、集中モードなどで通知を止めておくと、撮影にも周りにも影響を出さずに済みます。止めた通知は、終演後に元に戻すのを忘れないようにします。
写真のシャッター音にも気を配ります。ユーザガイドには、一部の国や地域ではシャッター音を消音できない、という注記があります。静かな演目の最中に写真を撮ると、その音が周りに響くことがあるので、写真は拍手のあいだや休憩の時間に撮ります。自分のiPhoneで音が鳴るかどうかは、前日に静かな部屋で確かめておけます。
失敗の型と直し方|症状から原因を見分ける
暗い会場で撮った映像のよくある失敗を、症状、原因、確かめ方、次からの直し方の順に並べます。撮り終えたあとで気づいたものは、その行事では直せないことが多いので、次の行事のための記録として読んでください。
新しい機種なのに、思ったほど明るく写っていない
低照度ビデオの改良に期待して18 Proで撮ったのに、前の機種と変わらないように見える。原因として考えられるのは、4Kや60fpsで撮っていた、ズームで望遠カメラに移っていた、露出が真っ暗な客席に合わせて決まっていた、のどれかです。改良の対象として書かれているのは1080pなので、4Kで撮っていればその対象から外れている可能性があります。
確かめるには、写真アプリで動画を開いて上にスワイプし、出てきた情報の欄を見ます。どのレンズで撮ったかや、ファイルの大きさが表示されます。次の行事からは、カメラの画面上部の表示で1080pと30fpsになっているかを録画の前に確かめ、ズームはメインカメラの範囲にとどめます。
顔だけが白く、背景のざらつきが目立つ
ホールの発表会でよく起きる型です。客席と舞台の袖の黒が画面の大半を占め、カメラが全体を明るくしようとした結果、照明を浴びた顔が白く飛び、黒い部分は持ち上げられてざらついています。暗いのに白い、という一見矛盾した映像になるのが特徴です。
確かめ方は簡単で、暗転や照明の切り替わりの前後で、画面全体の明るさがじわっと変わっていれば自動の露出が動いています。次からは、演目の始まりに顔に合わせて露出を固定し、明るさの印を少し下げておきます。撮ってしまった映像は、白く飛んだ顔は戻らないので、編集で背景の暗い部分を少し下げ、ざらつきを目立たなくする程度にとどめます。
暗い場面だけ動きがぱらつく、編集すると音がずれる
FPS自動調整がオンのまま撮り、暗い場面で24fpsに下がった可能性があります。写真アプリで見ているぶんには気づかなくても、編集ソフトに読み込んだり、ほかの素材とつないだりしたときに、動きの質の変化や音と口の動きのずれとして表れることがあります。
フレームレートが途中で変わっているかを確かめる方法と、固定のフレームレートに直す方法は、先にリンクしたFPS自動調整の記事で扱っています。次の行事からは、撮り比べの結果を見て、オンで撮るかオフで撮るかを前日に決めておきます。オンのほうが明らかに明るいと分かっていて、それでもオンを選ぶなら、編集やディスク化の段階で変換が要ることを見込んでおけば慌てません。
ディスクにしたら、暗い場面がブロック状になった
iPhoneやパソコンでは問題なく見えていたのに、DVDにしてテレビで見たら、暗い劇の場面だけ四角い乱れや帯状の段差が出た。原因は、ざらつきの多い暗い映像を、DVDの限られたデータ量に収めたことにあります。長い映像を1枚に入れていると、乱れはさらに出やすくなります。
確かめるには、同じ場面を元のファイルとディスクで見比べ、元のファイルでもざらつきが強いかどうかを見ます。元からざらつきが強ければ、撮る段階の光が足りなかったということです。直し方としては、1枚に入れる長さを短くする、2枚に分ける、ブルーレイにする、編集で暗い部分を持ち上げすぎない、のどれかになります。HDRで撮った映像なら、SDRへの変換で暗い部分の濃淡が変わっていないかも見てください。
行事の2週間前から、配るまでの逆算
当日の操作より、前日までの準備で結果が決まります。行事の日から逆に数えて、何をいつやるかを並べると次のようになります。撮り比べは、新しいiPhoneが届いてから行事までの間に入れておきます。iPhone Duoを10月23日の発売日に受け取って10月下旬の行事に使う場合は、撮り比べの時間が短くなるので、届いた週のうちに済ませる段取りにします。
撮り比べは新しいiPhoneが届いてから行事までの間に入れる
前日に確かめる設定
前日の夜には、設定アプリの「カメラ」で、「ビデオ撮影」の撮影の大きさとフレームレート、FPS自動調整、HDRビデオ、カメラをロック、ホワイトバランスをロックを、撮り比べで決めたとおりになっているか一つずつ確かめます。「設定を保持」で露出調整や、18 Proならレンズ絞りを保持にしているかも見ておきます。そのうえで、本体の空き容量と電池の残りを確かめます。
空き容量は、撮る予定の時間に1分あたりの目安を掛けて見積もります。1080p/30fps・HDRオンで2時間撮るなら、計算上は約7.8GBです。iCloud写真の「ストレージを最適化」を使っている場合、本体の容量が足りなくなると、あまり開かない写真やビデオから省スペースの版に置き換わります。行事の前に、空きには余裕を持たせておきます。
当日、開演の前にすること
席に着いたら、カメラを開いて画面上部の表示を確かめ、舞台の照明が点いた状態で一度顔に合わせて露出を固定してみます。開演前の舞台が暗いままなら、司会者の立ち位置や幕の前の明るさで仮に合わせ、最初の演目が始まってから合わせ直します。録画の開始と停止は音量ボタンでもできるので、画面に触らずに済ませたいときに使えます。
終演後は、その日のうちにパソコンか外部のストレージに動画を移しておきます。iPhoneの中だけに置いておくと、端末の故障や紛失のときに行事の映像がまとめて失われます。移すときに形式が変わらないよう、USBケーブルでパソコンに読み込むなら、「設定」アプリの「アプリ」から「写真」を開き、「MacまたはPCに転送」を「元のフォーマットのまま」にしておきます。
撮影を家族に頼むときに渡すメモ
行事の日に自分が撮れず、祖父母や親族に撮影を頼むこともあります。そのときは、撮り比べで決めた設定を、短いメモにして渡しておくと確かです。画面の上部の表示を「1080p」と「30」にする、FPS自動調整は決めたほうにする、照明が当たった顔を長押しして「AE/AFロック」を出す、録画中は画面に触らず音量ボタンで始めて止める、ズームは使いすぎない、の五つ程度にまとめます。
メモは、頼む相手のiPhoneで一度一緒に操作してから渡すほうが、当日の失敗が減ります。相手の機種が18 ProやDuoでなくても、メモの中身は同じで構いません。撮った動画をどう受け取るか、AirDropで送ってもらうのか、ケーブルでパソコンに移すのかも、その場で決めておきます。
暗い会場の映像をディスクにして配るとき
撮った映像を祖父母や親族にディスクで配るなら、まずDVDにするかブルーレイにするかを、配る相手の家の再生機で決めます。暗い場面の見え方だけを考えればブルーレイが有利ですが、DVDプレーヤーしか無い家にはブルーレイを渡しても見てもらえません。相手の家にブルーレイの再生機があるか、レコーダーがブルーレイに対応しているかを、注文の前に聞いておくと確かです。
自分のパソコンで焼く方法もあります。編集ソフトでディスク用の映像に書き出し、書き込みのソフトでDVDやブルーレイに焼き、家のプレーヤーで再生を確かめる、という流れです。パソコンと書き込みのドライブがあり、配る枚数が少ないなら、自分で進められます。暗い場面の映像は、ディスクにしたあとで乱れが見つかることがあるので、焼いた1枚目を必ずテレビで見てから残りを焼いてください。
当社に頼む場合の流れ
当社は大阪・梅田にある、動画のデータからDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の小さな店で、1枚から注文できます。受け付けるのは完成した動画のデータです。届いたデータを、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。DVDは720×480・29.97fpsのMPEG-2、ブルーレイは1920×1080で作ります。
入稿は、動画をギガファイル便やGoogleドライブ、Dropboxなどに上げ、その共有URLを注文フォームに貼る形で、iPhoneからでもできます。演目ごとに分けた複数のファイルを送るときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その番号の順に収録します。HDRで撮った映像を自分で編集した場合は、書き出しの段階でSDRにして、色と暗い部分を確かめてから送ってください。配る相手の再生機や配る日など、伝えておきたいことは注文フォームの備考欄に書けます。注文はDVDの注文ページ から、注文の前に確かめたいことは相談・問い合わせフォーム から送れます。
料金と、発送までの日数
基本料金(DVD・1枚あたり)は1,500円(税抜)で、オーサリングと書き込みとケースへの入れ込みを含みます。基本料金(Blu-ray・1枚あたり)も1,500円です。
同じ内容を何枚も配るときは、2枚目から追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)の1,000円になります。長い学芸会を1枚に収めたいときの2層ディスク(1枚目)は2,500円です。1つの内容のデータがDVDで5GB以上、ブルーレイで25GB以上になると、エンコード手数料(大容量データ・内容1種類につき)の3,000円がかかります。4Kで長く撮った映像はこの境目を越えやすいので、ディスクにするのが目的なら、撮る段階で1080pを選ぶことが手数料の面でも意味を持ちます。
通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降の注文は翌営業日の受付になり、土日祝の注文と入稿は翌営業日からの作業です。祖父母に会う日や配る日が決まっているなら、その日から逆算して注文日を決めてください。急ぐ場合の短納期のオプションと、そのほかの料金は料金表のページに載っています。
ディスクが届いたら、配る前に1枚をテレビにつないだプレーヤーで再生し、暗い劇の場面と、各演目の始まりを確かめてください。iPhoneやパソコンで見ていたときに気づかなかった暗い部分の見え方は、テレビで初めて分かることがあります。祖父母の家のプレーヤーが古い場合は、同じ種類の再生機で見られるかも、渡す前に確かめておくと安心です。
撮る前に決めておけば、ディスクの画も決まる
改良された低照度ビデオは、iPhone 18 ProとDuoで暗い場所の1080pの映像をよくするための改良として、Appleが仕様に載せた一行です。どこまで明るくなるかの数字は無く、その差を確かめられるのは、自分で撮り比べた映像だけです。1080p/30fpsを選び、FPS自動調整を撮り比べで決め、露出を顔に合わせて固定する。この準備をしておけば、新しい機種の改良は上乗せの分として素直に受け取れますし、DVDやブルーレイにしたときの暗い場面の画も、撮った時点でほぼ決まります。
よくある質問
Q. iPhoneの改良された低照度ビデオとは何ですか A. iPhone 18 Pro・18 Pro Max・iPhone Duoの技術仕様のビデオ撮影の欄にある「改良された低照度ビデオ(1080p)」という項目です。暗い場所で1080pの動画を撮るときの映りを改良したという記載で、明るさが何割上がるかや仕組みの詳しい説明は公表されていません。18 Proの製品ページは、絞り値とフレームレートを調整して光の少ない状況の品質を上げると説明しています。
Q. 低照度ビデオはどの機種に載っている機能ですか A. 仕様ページに記載があるのは、iPhone 18 Pro、iPhone 18 Pro Max、iPhone Duoの3機種です。18 Proは背面とフロントカメラの両方の欄、Duoは背面とアウター側のフロントカメラの欄に書かれています。iPhone 17 Pro、17、Air、17e、16などの仕様ページにはこの行がありません。Duoは2026年10月23日発売予定です。
Q. 低照度ビデオで何割明るくなるかは公表されていますか A. 公表されていません。18 Proの製品ページには可変絞りのƒ/1.48について、暗い場所での撮影性能が一世代前のiPhoneと比べて約50%向上という記載がありますが、ビデオの数字かどうか、何を測ったのかは示されていません。自分の撮る場面でどれだけ違うかは、同じ暗さの部屋で撮り比べて確かめるのが確実です。
Q. 4Kで撮ると低照度ビデオは働かないのですか A. 分かりません。仕様の記載は「1080p」で、Duoの製品ページも「デフォルトの1080p設定」で暗い場所を撮れると書いていますが、4Kで働くか働かないかはどの資料にも書かれていません。改良が約束されているのは1080pなので、暗い会場で明るさを優先するなら1080pを選ぶのが筋の通った選び方です。ディスクにするなら1080pで画素は足ります。
Q. 低照度ビデオをオンにする設定はどこにありますか A. iOS 27版のユーザガイドのビデオ撮影の設定には、「低照度ビデオ」という名前の項目は出てきません。暗い場所に関係する項目として載っているのは「FPS自動調整」と「アクションモード(低照度)」です。仕様の書き方からは、1080pで撮るときにカメラの側で働く処理と読めます。実機の設定画面に別の項目が無いかは、設定アプリの「カメラ」で確かめてください。
Q. 暗い会場ではFPS自動調整をオフにしたほうがよいですか A. 撮り比べて決めるのが確実です。オンのままだと暗い場面で24fpsに下がり、1本の動画の途中でフレームレートが変わります。編集でほかの素材とつなぐ予定があればオフが無難です。製品ページの「フレームレートを賢く調整」がFPS自動調整を指すかは書かれていないので、オンとオフで明るさに差が出るかを本番前に同じ暗さの部屋で見比べてください。
Q. アクションモード(低照度)と低照度ビデオは同じものですか A. 別の設定です。アクションモード(低照度)は、アクションモードを暗い場所で使うときに、手ぶれ補正を減らしてやや暗いシーンを最適化する設定です。走りながら撮るためのモードで、撮れる大きさは最大2.8K・60fpsです。客席に座って舞台を撮る学芸会や発表会では、通常のビデオモードで1080pを選ぶほうが合っています。
Q. iOS 27にすればiPhone 17 Proでも低照度ビデオを使えますか A. 使えると書かれた資料はありません。低照度ビデオの記載は18 ProとDuoの仕様ページだけにあり、ユーザガイドも4KでのFPS自動調整などを「iPhone 18 Proモデルでは」と限って書いています。17 Proや16で撮る場合も、1080p/30fpsを選ぶ、露出を顔に合わせて固定する、ズームを控える、といった撮り方はそのまま使えます。
Q. 暗い体育館では60fpsと30fpsのどちらで撮るとよいですか A. 暗さを優先するなら30fpsです。60fpsでは1コマに光を集められる時間が最長1/60秒で、計算上は30fpsの半分しか光を受けられません。そのぶん映像が暗くなるか、ざらつきが増えます。ダンスのように動きを滑らかに残したい演目で、舞台の照明が十分に明るい場合に限って60fpsを選ぶ、という使い分けが現実的です。
Q. 18 Proで絞りをƒ/1.48に固定すると暗い場所で明るく撮れますか A. 製品ページはƒ/1.48を「最大の明るさ」と説明しており、絞りを開くほど光は多く入ります。その代わり、ピントの合って見える前後の幅が狭くなります。後ろの席から舞台全体を撮るなら影響は小さいですが、近くからひな壇を撮ると前後がぼけることがあります。ズームで望遠カメラに移るとƒ/2.8になる点にも気をつけてください。
Q. 暗く撮れてしまった動画は編集でどこまで明るくできますか A. 記録に残っている明るさの差の範囲で持ち上げられますが、明るくしたぶん、暗い部分のざらつきも目立ってきます。大きな画面で見ながら、ざらつきが目立ち始める手前で止めるのが目安です。照明で白く飛んだ顔は、編集で暗くしても目や口の形は戻りません。暗い会場では、露出を少し暗めに固定して撮るほうが後で直しやすくなります。
Q. 暗い会場の映像をDVDにすると画質はどうなりますか A. DVDは720×480・MPEG-2で、使えるデータ量に上限があるため、暗くざらついた場面ではブロック状の乱れや、暗い背景の濃淡が帯のように分かれる段差が出やすくなります。長い映像を1枚に入れるほど出やすくなります。画を優先するなら、2枚に分ける、2層にする、ブルーレイにする、のどれかを配る相手の再生機に合わせて選んでください。
Q. iPhone Duoでも18 Proと同じように暗い場所を撮れますか A. 低照度ビデオの記載はDuoにもありますが、可変絞りと、絞りやシャッタースピードを手で決める調整の記載は18 Proだけです。ビデオのデジタルズームもDuoは最大6倍です。Duoで暗い会場を撮るときは、1080p/30fpsを選び、露出を顔に合わせて固定することが中心になります。発売は2026年10月23日予定なので、行事の前に撮り比べる時間を取ってください。