この記事の要点
照明は1秒に100回(東日本)か120回(西日本)明滅するので、シャッターはその周期の整数倍の1/50・1/100秒か1/60・1/120秒に固定する
60fpsで撮るとき、東日本の会場で帯の出ない値は1/100秒だけ。暗い会場で動きの少ない演目なら30fpsにして1/50秒を選ぶと光を2倍集められる
iPhone 18 Proはカメラアプリのツールから「シャッタースピード」をスライダで決め、「設定を保持」の「露出調整」をオンにすると次に開いても値が残る
シャッターを固定したら、明るさは絞りの4段階(ƒ/1.48〜ƒ/4.0)とカメラの自動の調整で合わせる。ƒ/4.0からƒ/1.48に開くと光は約7.3倍になる
本番の前に会場の照明の下で候補の値を15秒ずつ撮り、一時停止して拡大し、幕や壁に帯が無いかを確かめてから録画を始める
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生活発表会で、体育館の後ろの列からiPhone 18 Proで子どもの劇を撮ったとします。家のテレビに映すと、背景の幕に薄い横の帯が何本も並び、ゆっくり上へ流れています。撮っているあいだ、手もとの画面では気づかなかった帯です。天井のLED照明が目に見えない速さで明滅していて、その明滅とシャッターの時間が合わずに写り込んだものです。
防ぐには、シャッタースピードを照明の明滅に合わせて固定します。西日本(電気が60Hzの地域)の会場なら1/60秒か1/120秒、東日本(50Hz)の会場なら1/50秒か1/100秒です。60fpsで撮るなら、西日本は1/60秒か1/120秒、東日本は1/100秒だけになります。iPhone 18 Proと18 Pro Maxは、標準のカメラアプリに加わった「プロレベルのコントロール」で、この値をスライダで決められます。
帯は撮ったあとの編集では消しきれないことの多い乱れです。だから本番の前に、会場の照明の下で候補の値を15秒ずつ撮り、帯の消える値を確かめてから録画を始めます。シャッターを固定すると、明るさは絞りとカメラの自動の調整で合わせることになるので、暗い会場ではざらつきとの兼ね合いも決めておく必要があります。
西日本は60Hz、東日本は50Hzの地域。境目は富士川と糸魚川のあたり
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
値を決めるのは、会場の電気とフレームレートの二つ LED照明は「ちらつかない」はずなのに、なぜ写るのか 会場は50Hzか60Hzか シャッターを動かすと、帯の濃さはどう変わるか 自動のままでよい場面と、値を固定したい場面 iPhone 18 Proで値を決める|カメラツールからスライダで合わせる 30fpsか60fpsかは、演目の動きと会場の電気で選ぶ 長い側か短い側か|動きのぶれを数字で比べる 残りの15項目を見る 暗い会場では、明るさをどこで補うか ヒストグラムで露出を確かめる|舞台は山が左に寄っていてよい ホワイトバランスも、シャッターと同じときに決める モードごとの値|シネマティック、スロー、タイムラプス、写真 家で一度、帯を出して消してみる 本番前の試し撮り|候補の値を15秒ずつ、照明の場面ごとに 録画中に触ってよいもの、触らないもの 会場と演目で変わる組み立て 構図と立ち位置で、帯を目立たせない 値を合わせても帯が残るとき 失敗の型と直し方|症状から原因を見分ける 家族や係で何台か撮るときは、値をそろえて伝える ディスクにする前に、家のテレビで確かめる 行事の2週間前から、ディスクを頼むまで よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
値を決めるのは、会場の電気とフレームレートの二つ
コンセントに来ている電気は交流で、1秒間に50回(東日本)か60回(西日本)、流れる向きが入れ替わります。照明の明るさを決めるのは電流の大きさなので、1往復のあいだに明るい瞬間が2回来ます。1秒に100回か120回の明滅です。人の目には一定の明るさに見えても、カメラには写ります。明滅の仕組みと、器具ごとの違いは体育館のLED照明で映像がチラつく原因と、撮影後にできる補正の限界で詳しく書いています。
動画のシャッタースピードは1コマを写すために光を集める時間です。この時間が明滅1回分の整数倍なら、光を集め始めるのが明るい瞬間でも暗い瞬間でも、集まる光の量は同じになります。東日本の明滅1回は1/100秒なので、1/100秒なら1回分、1/50秒なら2回分です。西日本は1回が1/120秒で、1/120秒が1回分、1/60秒が2回分です。どのコマにも同じ量の光が入るので、帯は写りません。
もう一つの条件がフレームレートです。30fpsなら1コマの時間は1/30秒で、シャッターをそれより長くはできません。60fpsなら上限は1/60秒です。明滅の周期と1コマの上限の二つの数字を並べると、選べる値が決まります。
明滅1回の時間の整数倍で、1コマの上限に収まる値が帯の出ない値になる
30fpsの上限1/30秒の中には、東日本なら1/100秒と1/50秒、西日本なら1/120秒と1/60秒、それに1/30秒も入ります。1/30秒は明滅120回の4回分なので西日本では帯が出ませんが、東日本の100回では3.3回分で割り切れず、帯が出ます。60fpsの上限1/60秒の中では、西日本は1/120秒と1/60秒の二つ、東日本は1/100秒の一つだけです。東日本で60fpsを選んだ時点で、値は一つに決まります。
24fpsと25fpsも考え方は同じです。24fpsの1コマは約1/24秒なので、30fpsと同じ値がすべて使えます。映画の撮影で使われる「1コマの時間の半分」という目安に合わせると24fpsは1/48秒になりますが、1/48秒は100回にも120回にも割り切れません。明滅する照明の下では、東日本なら1/50秒、西日本なら1/60秒に置き換えます。
行事で使うのは1/50・1/100秒(東)と1/60・1/120秒(西)の4つ
表のどの値を選んでも、帯は出ない計算です。どれにするかは暗さと動きで決めます。1/50秒や1/60秒は光を多く集められる代わりに、走ったり手を振ったりする動きが少し流れて写ります。1/100秒や1/120秒は動きがくっきりする代わりに、集まる光は半分です。体育館の発表会のように暗めの会場では、まず長い側(東日本は1/50秒、西日本は1/60秒)から試すのが順当です。
理屈の上では、1/25秒や約1/33秒(東日本)、1/40秒(西日本)のように、ほかにも割り切れる値はあります。とはいえ、スライダにちょうどその値が出るとは限らず、1コマの時間の上限に近い値は動きの流れも大きくなります。行事で使うのは、東日本の1/50秒と1/100秒、西日本の1/60秒と1/120秒の四つと覚えておけば足ります。
LED照明は「ちらつかない」はずなのに、なぜ写るのか
体育館の照明がLEDに替わったと聞いて、ちらつきの心配はもう無いと考える人は多いはずです。たしかに、日本で売られる一般照明用のLED器具には、ちらつきについての決まりがあります。電気用品安全法の技術基準で、光出力は「ちらつきを感じないもの」であることが求められています。LED照明がこの法律の規制の対象に加わったのは、2012年(平成24年)7月です。
ただ、基準が見ているのは人の目です。三重県工業研究所の研究報告(2014年)は、この基準の中身を、光の出力に欠落部(ピークの5%以下まで下がる部分)が無く繰り返しの周波数が100Hz以上のもの、または繰り返しの周波数が500Hz以上のものを「ちらつきを感じないもの」とする、と紹介しています。明るさが上下していても、光が途切れずに1秒に100回以上の揺れなら、基準の上では「ちらつかない」照明です。
同じ報告には市販の電球形LEDを測った結果も載っていて、基準では「ちらつきがない」と判定される製品に、ピークから6割ほど下がる明るさの落差があった例が書かれています。人の目にはならされて見えない揺れでも、1/1000秒のような短い時間で光を集めるカメラには、その揺れがそのまま写ります。基準に合っていることと、映像に帯が出ないことは、別の話です。
人の目に見えない明滅でも、露光の時間と読み出しのずれで縞になる
舞台の照明はどうか。経済産業省が2017年(平成29年)3月に示した電気用品安全法の質問への回答では、ちらつきの決まりが当てはまらないものとして、舞台やスタジオの照明のうち「ストロボスコープ効果などの特殊効果を目的とするもの」が挙がっています。特殊効果のための器具に限った除外で、舞台の照明がすべて対象外という意味ではありません。一方で、舞台の照明は場面ごとに明るさを絞って使うことが多く、明るさを絞ったLEDは、電源の周期と関係のない速さで点滅することがあります。こちらは1/100秒や1/60秒に合わせても消えない縞の原因になり、後の節で扱います。
帯が横向きに並ぶのは、スマホのカメラが画面を上の行から下の行へ順に読み出しているためです。行ごとに光を集め始める時刻が少しずつずれるので、明るいあいだに多く光を集めた行と、暗いあいだに多く光を集めた行が縞になって並びます。同じ読み出し方が動きの速い被写体をゆがませる現象についてはローリングシャッターの仕組みで説明しています。
会場は50Hzか60Hzか
日本の電気は、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川のあたりを境に、東が50Hz、西が60Hzです。大阪・名古屋・福岡なら60Hz、東京・仙台・札幌なら50Hzになります。境目に近い長野県や静岡県などには、同じ県の中でも場所によって周波数の違う地域があります。
見るのは、自分の住まいではなく会場の場所です。京都に住む祖父母が横浜の孫の音楽会を撮りに行くなら、東日本の値を使います。境目の近くの会場で分からないときは、施設の管理をしている学校や市の窓口に周波数を聞くか、当日の試し撮りで両方の値を撮り比べて、帯の消えるほうを選びます。体育館の照明器具の表示や、会場の電気の契約までたどる必要はありません。
見るのは住まいではなく会場の場所。迷えば試し撮りで決める
年に何度も同じ体育館で撮る保護者なら、一度確かめた値をスマホのメモに「◯◯小体育館は50Hz・30fpsなら1/50秒」のように残しておくと、次の行事で迷いません。転勤や引っ越しで東西をまたいだ家庭は、前の土地の感覚のまま値を合わせてしまいがちです。値を逆に取り違えると、帯は消えるどころかはっきり出ます(東日本の会場で1/60秒、西日本の会場で1/100秒など)。
周波数の見当は帯の動き方からもつきます。30fpsで撮った映像なら、西日本の明滅(1秒に120回)は1コマにちょうど4回入るので、帯はほとんど止まって見えます。東日本の100回は1コマに3.3回で割り切れず、帯は落ち着きなく上下に動きます。去年の映像の帯が止まっていたか動いていたかを思い出せれば、それも手がかりの一つです。
体育館の照明を最近入れ替えた会場では、去年の経験は当てになりません。水銀灯や蛍光灯からLEDに替わると、明滅の深さも、帯の出方も変わります。器具が替わったかどうかは、天井を見上げて去年の写真と見比べると分かることがあります。替わっていたら、今年の試し撮りは丁寧に行ってください。
シャッターを動かすと、帯の濃さはどう変わるか
帯の出ない値はぴったり割り切れる値だけです。では、少し外れるとどれくらい出るのか。照明の明るさがなめらかな波で上下すると仮定すると、コマごとの光の量の揺れは、シャッターの時間に入る明滅の回数の端数で計算できます。端数がゼロなら揺れはゼロです。光を集める時間が明滅1回分よりずっと短いと、照明の揺れがほぼそのまま写ります。
計算の中身は、光の揺れの大きさに「sin(π×周波数×時間)÷(π×周波数×時間)」を掛けたものです。周波数100回・1/60秒なら、周波数×時間は1.67で、照明そのものの揺れの約17%がコマごとの差として残ります。100回・1/1000秒なら0.1で、約98%。シャッターが速いほど帯が濃くなる理由が、この数字に表れています。
光がなめらかな波で揺れると仮定した計算上の値。東は100回、西は120回の明滅
図でまず目につくのは、速いシャッターの棒の高さです。明るい舞台で自動の露出が1/250秒や1/1000秒のような速い値を選ぶと、帯はほぼ照明の揺れの深さのまま出ます。スポットライトの当たった白い衣装を大きく写すと自動の露出は速いシャッターに寄りやすいので、明るい場面ほど帯が濃くなるという、直感と逆のことが起きます。
東西を取り違えたときの濃さはどうか。東日本の会場で1/60秒にすると約17%、西日本の会場で1/100秒にすると約16%の揺れが残ります。照明の揺れが深い器具なら、テレビで見て十分に気づく濃さです。同じ体育館で撮った去年の映像には帯が無かったのに今年は出た、というときは、機種を替えたあとの設定の違いを疑います。
見落としやすいのが、西日本の会場で1/50秒にした場合です。東日本の長い側の値を覚えていて、西日本でもそのまま使うと、明滅120回に対して2.4回分になり、約13%の揺れが残ります。反対に、東日本で1/30秒にしたときも3.3回分で約8%が残ります。どちらも「長めにすれば安全」という感覚が通じない例です。
ぴったりでなくても、近ければ帯は薄くなります。西日本の明滅に対して1/125秒は約4%しか残りません。スライダで1/120秒ちょうどに止められないときも、1/125秒なら大きな問題になりにくい計算です。ただし東日本では、1/125秒は1/100秒から離れていて約23%が残ります。東日本で「近い値」に頼るのは避け、1/100秒か1/50秒そのものを選びます。
この%は照明の揺れの深さに対する割合です。先に触れた報告にあるような、ピークから6割ほど下がる照明なら、17%の残りでも、行ごとの明るさに数%の差が出る計算です。平らな幕や壁の前では、この程度の差でも縞として見えることがあります。揺れの浅い器具なら、同じ設定でもほとんど見えません。数字は「どの値が安全か」の順番を決めるための目安で、帯が見えるかどうかの最終判断は、会場での試し撮りで行います。
自動のままでよい場面と、値を固定したい場面
すべての行事で手動にする必要はありません。自動のまま撮っても帯の出ない会場はありますし、iPhoneが自動のときにちらつきをどう扱うかは、Appleのガイドには書かれていません。値を固定すると明るさの調整が絞りと自動の側に移り、試し撮りや設定の戻し忘れといった手間も増えます。固定するかどうかは、帯が出たときの困り方と、手間の大きさで決めます。
固定したほうがよいのは、まず同じ会場で撮った去年の映像に帯があった場合です。照明の器具が替わっていなければ、同じ条件で同じ帯が出ると考えるのが自然です。次に、強いスポットライトや白い衣装の場面がある舞台です。自動の露出が速いシャッターを選びやすく、前の節の計算のとおり、帯は照明の揺れに近い濃さで出ます。東日本の会場で60fpsを使う場合も、帯の出ない値が1/100秒しかないので、固定しておくほうが確実です。
当てはまる問いが一つでもあれば、試し撮りをして値を固定する
反対に、自動のままで構わないのは、窓から昼の光が十分に入る会場や、去年の映像に帯が無く今年も同じ設定で撮る場合、行事の合間に短く撮る記念の動画などです。迷ったときは、家族の分として気軽に撮る動画は自動、園や学校に配る記録や、ディスクにして祖父母に渡す本命の映像は固定、と分ける考え方もあります。本命の1台だけを固定にして、もう1台は自動で撮れば、どちらかに帯の無い映像が残る見込みも上がります。
自動から固定に切り替えると、その瞬間に画面の明るさが変わります。自動の露出が選んでいた値と、固定した値が違うからです。録画中に切り替えると、その段差が映像に残るので、切り替えは録画を止めているときに行い、切り替えたあとはヒストグラムで明るさを確かめ直します。
固定するなら、撮るのはビデオモードにします。写真モードのままシャッターボタンを長押しして撮るQuickTakeビデオでも動画は撮れますが、ビデオモードで決めた値がそのまま使われるかは、ガイドに書かれていません。値を決めて撮る本番は、ビデオモードに切り替えてから録画を始めます。
自動で撮る場合でも、試し撮りの考え方は同じです。開演前に幕や壁を15秒撮って再生し、縞が無ければそのまま撮ります。縞が見えたら、その場でシャッタースピードを固定に切り替えます。手動の操作に慣れていない人ほど、前の週に家で一度触っておくのが近道です。
iPhone 18 Proで値を決める|カメラツールからスライダで合わせる
シャッタースピードをカメラアプリで決められるのは、iPhone 18 Proと18 Pro Maxです。Appleのユーザガイド(iOS 27)は、メインカメラでは絞り・シャッタースピード・ホワイトバランスが自動で設定されること、iPhone 18 Proモデルでは「写真」「ビデオ」「シネマティック」「スローモーション」「タイムラプス」の各モードでそれらを手動で設定できることを説明しています。仕様ページの表記は「レンズ絞り、シャッタースピード、ホワイトバランス、ヒストグラム表示などのプロレベルのコントロール」です。
18 Proと18 Pro Maxは、技術仕様のビデオ撮影の欄が同じで、この記事の手順と値はどちらにも当てはまります。仕様ページによると、前面のカメラにも「シャッタースピード、ホワイトバランス、ヒストグラム表示などのプロレベルのコントロール」があります(レンズ絞りの項目は前面にはありません)。舞台を撮るのは背面のカメラなので、以下は背面のメインカメラを中心に書きます。
iPhone Duoや17 Pro、それより前の機種の仕様ページには、この項目がありません。標準のカメラの画面を長押しする「AE/AFロック」は明るさを固定する操作で、ロックした瞬間の値が帯の出る値なら、帯もそのまま続きます。ほかの機種で値を決めたいときは、AppleのFinal Cut Camera(2025年9月の発表で、ホワイトバランスやシャッタースピード、ISOなどを調節できると紹介)のような手動で撮れるアプリを使います。アプリごとの操作は先に挙げた体育館のちらつきの記事で扱っています。
18 Proでは、カメラを開いてビデオモードにし、カメラツールのメニューを開きます(画面のツールのボタンをタップするか、画面下部のカメラモードの並びから上にスワイプ)。並んだ項目から「シャッタースピード」をタップし、出てきたスライダをドラッグして値を合わせます。「レンズ絞り」と「ホワイトバランス」は、使う値をタップして選ぶ方式です。
iPhone 18 Proモデルの手順(iOS 27)。表記はバージョンで変わることがある
カメラフレームの上に並べておく
行事の最中に毎回メニューを開くのは手間で、暗い客席では押し間違いも起きます。ガイドには、これらのコントロールをカメラフレームの上のカメラツールに追加する方法も書かれています。カメラツールのメニューで「編集」をタップし、追加したいツール(「シャッタースピード」「レンズ絞り」「ホワイトバランス」「ヒストグラム」)をタップして、「完了」をタップします。元の並びに戻すときは、同じ画面の「基本構成にリセット」です。
並べておくと、演目と演目のあいだの短い時間に、今の値を一目で確かめられます。撮影の前日に家で並べておき、当日は開くだけにしておくのが楽です。ツールを増やすほど画面の上の部分が混み合うので、行事で使うのはシャッタースピードとヒストグラムの二つに絞り、絞りとホワイトバランスは決めたら触らない、という分け方もあります。
スライダで目的の値ちょうどに止められるか
ガイドには、シャッタースピードのスライダで選べる値の範囲や刻みは書かれていません。1/50秒・1/60秒・1/100秒・1/120秒のそれぞれに、ちょうど止められるかどうかは、行事の前に家で確かめておきます。スライダをゆっくり動かし、表示される値を一つずつ見ていくだけです。
スライダを動かしているあいだは、画面の明るさも一緒に変わります。明るさを見ながら合わせたくなりますが、値は表示の数字で決め、明るさの調整は絞りや「露出」の側で行います。値と明るさを同じスライダで決めようとすれば、帯の出ない値から外れるのは当然です。
目的の値が見当たらないときは、前の節の計算を手がかりに選びます。西日本で1/120秒が無く1/125秒があれば、1/125秒でも帯はごく薄い計算です。1/60秒が選べれば、西日本はそれで足ります。東日本は1/100秒か1/50秒のどちらかに止められないと帯が残りやすく、近い値で撮るなら試し撮りで帯の濃さを必ず確かめます。指で細かく合わせにくいときは、スライダを一度大きく動かしてから、ゆっくり戻すのがこつです。
次にカメラを開いたときに値を戻さない
決めた値はカメラを閉じるとリセットされることがあります。ガイドには、次に「カメラ」を開いたときにリセットされないよう露出設定を保存するには、「設定」の「カメラ」にある「設定を保持」で「露出調整」をオンにする、とあります。同じ画面の「レンズ絞り」をオンにすると、最後に使った絞りも残ります(iPhone 18 Proモデル)。
保持をオンにしたら、行事のあとに戻すことも忘れないようにします。体育館向けに1/50秒で固定したまま屋外の明るい場所で撮ると、絞りをいちばん絞っても光が多すぎて、白っぽい映像になるおそれがあります。発表会の前日に保持をオンにし、帰宅したらシャッタースピードを自動に戻して保持もオフにする、と一続きで覚えておくと安全です。「設定を保持」のほかの項目はiPhoneカメラの設定を保持の記事 にまとめています。
カメラアプリの外、「設定」アプリの「カメラ」の中にも、行事の前に決めておく項目があります。暗いと自動でフレームレートを下げる「FPS自動調整」、録画中にカメラ(レンズ)が自動で切り替わるのを防ぐ「カメラをロック」、録画中の色を固定する「ホワイトバランスをロック」、それに「HDRビデオ」です。どれも「ビデオ撮影」の中にあります。
どれも「設定」→「カメラ」の中。行事のあとは保持を元に戻す
FPS自動調整は、iPhone 18 Proモデルでは4Kで録画するときにも動作すると、ガイドに書かれています。暗い場面で24fpsに下がると1コマの上限は約1/24秒に広がるので、1/50秒や1/60秒の値はそのまま使えます。それでも1本の動画の中でフレームレートが変わると、ディスクにするときの変換で扱いが面倒になるので、行事ではオフにしておくのが無難です。オフにする判断はFPS自動調整の仕組みと発表会での扱い で詳しく書いています。
30fpsか60fpsかは、演目の動きと会場の電気で選ぶ
ディスクにする前提なら、フレームレートは30fpsが扱いやすい設定です。当社で作るDVDは720×480・29.97fpsで、30fpsの映像はほぼそのままのコマ数で収まります。30fpsと29.97fpsのわずかな差の扱いは29.97fpsと30fpsの違い で説明しています。60fpsで撮った映像も、変換の段階でDVDのコマ数に合わせて作れますが、60fpsのなめらかさがそのままDVDに残るわけではありません。
そのうえで、会場の電気によって60fpsの重さが変わります。西日本なら、60fpsでも1/60秒が使えます。30fpsで1/60秒にしたときと集まる光は同じなので、暗さの面では損がありません。増えるのは容量で、iPhoneの設定画面の目安(iOS 18.6の表記・HDRビデオがオンのとき)では、4K/30fpsが1分約190MB、4K/60fpsが1分約440MBです。
東日本では事情が違います。60fpsで選べるのは1/100秒だけなので、30fpsで1/50秒にした場合に比べて、集まる光は半分になります。暗い体育館で、合唱や合奏、劇のように大きく動かない演目が中心なら、30fpsにして1/50秒を選んだほうが、帯を防ぎながら光を2倍集められます。鼓笛やダンス、リズム運動のように、速く動く場面をくっきり残したい演目だけ、60fpsと1/100秒を選ぶ、という分け方です。
東日本の暗い会場では、30fpsの1/50秒が光を2倍集められる
1/60秒の60fpsは、シャッターを開けている時間が1コマの時間いっぱいになる設定です。動きは少し流れて写りますが、60コマで続けて見るとなめらかにつながり、見ていて不自然にはなりにくいものです。反対に、30fpsで1/120秒のように1コマの時間に対して短いシャッターにすると、1枚ずつの画はくっきりしても、再生すると動きが少しカクカクして見えることがあります。暗さだけでなく、動きの見え方でも、長い側の値は扱いやすい選択です。
フレームレートを決めたら、1本の動画の中で変えないことも大事です。演目の途中で設定を変えると、変えた前後で動きの見え方と明るさが変わり、編集でつなぐときも目立ちます。変えるなら、演目と演目のあいだで録画を止めているときだけにします。
1本の中で動きの見え方と明るさがそろうと、編集でもつなぎやすい
一つの行事の中で、30fpsの演目と60fpsの演目が混ざるのは構いません。1枚のディスクに収めるときは、どちらかに合わせて変換することになります。家で編集してから入稿するなら、編集ソフトのタイムラインを30fps(29.97fps)で作り、60fpsの素材を入れる形が簡単です。
「PALフォーマットを表示」をオンにすると選べる25fpsは、1秒100回の明滅を割り切れる数なので、東日本では帯が止まって見える計算です。止まった帯は消えたわけではなく、壁の同じ場所に影のように残ります。25fpsの映像はDVDの29.97fpsに変換する手間もかかるので、日本で撮ってディスクにする前提なら、30fpsのまま帯の出ない値を選ぶほうが簡単です。
4Kか1080pか
4Kで撮るか1080pで撮るかも、暗さとの関係で考えます。当社のDVDは720×480、ブルーレイは1920×1080で作るので、ディスクにするだけなら1080pの映像で足ります。iPhone 18 Proの仕様ページには「改良された低照度ビデオ(1080p)」という記載があり、暗い場所を見やすく撮る仕組みは1080pについて書かれています。容量も、iPhoneの設定画面の目安(HDRビデオがオンのとき)で1080p/30fpsは1分約65MB、4K/30fpsは約190MBで、1080pは3分の1ほどです。
4Kで撮る利点は編集で一部を切り出しても1080pの画質を保てることです。後ろの席から舞台全体を4Kで撮っておき、編集で子どもの部分を切り出してブルーレイにする、という使い方ができます。暗い体育館でDVDを作るのが目的なら1080p、明るいホールで切り出しの余地を残したいなら4K、と目的で分けると決めやすくなります。どちらにしても、帯の出ない値は4Kでも1080pでも同じです。
長い側か短い側か|動きのぶれを数字で比べる
帯の出ない値が二つあるとき、長い側(1/50秒・1/60秒)と短い側(1/100秒・1/120秒)の差は、光の量と動きのぶれです。光は長い側が2倍。ぶれは、シャッターが開いているあいだに被写体が動いた距離なので、長い側が2倍になります。この「2倍のぶれ」が、ディスクで見たときにどれくらいの差になるかを計算してみます。
仮に、幅10mの舞台を画面の横いっぱいに写し、子どもの手が秒速2mで動いたとします。1/50秒のあいだに手が動く距離は4cm、1/100秒なら2cmです。4K(横3840画素とした場合)の画面では、舞台の1mが384画素にあたるので、4cmは約15画素、2cmは約8画素のぶれになります。DVDの720×480では1mが72画素なので、4cmは約2.9画素、2cmは約1.4画素です(いずれも計算上の値)。
仮の条件での計算上の値。DVDで引きの画なら差は1〜2画素ほど
DVDにして見る前提なら、長い側と短い側のぶれの差は1〜2画素ほどで、テレビで見て区別するのは難しい差です。一方で光は2倍違うので、暗い体育館なら長い側を選ぶほうが、ざらつきの少ない映像になります。4Kのファイルのまま大きなテレビで見るなら、ぶれの差は8画素ほどに広がり、速い動きの輪郭の違いとして見えてきます。
ブルーレイの1920×1080で見る場合は、その中間です。舞台の1mが192画素にあたるので、同じ動きのぶれは1/50秒で約7.7画素、1/100秒で約3.8画素になります。ブルーレイにして大きなテレビで見る予定があり、動きの多い演目が中心なら、明るさに余裕のある範囲で短い側を検討する価値があります。
寄った構図では、ぶれは大きくなります。舞台の幅3mぶんに寄って一人の子を写すと、同じ秒速2mの動きでも、1mあたりの画素が約3.3倍になるので、DVDでも長い側で約9.6画素、短い側で約4.8画素のぶれです。ダンスで手足を大きく振る子に寄るなら、短い側を選ぶ意味が出てきます。合唱で並んで立つ全体を写すなら、長い側で困ることはまずありません。
もう一つの差は、動きのつながり方です。30fpsで1/120秒にすると、1コマの時間の4分の1しか光を集めないので、コマとコマのあいだの動きが抜け、速い動きが小刻みに飛んで見えることがあります。30fpsなら1/50秒や1/60秒、60fpsなら1/100秒や1/120秒のように、1コマの時間の半分前後に収まる値のほうが、見慣れた動きのつながり方になります。
暗い会場では、明るさをどこで補うか
シャッタースピードを帯の出ない値に固定すると、明るさを決める要素のうち一つが動かなくなります。残るのは、レンズの絞り、カメラの感度(ISO)、そして照明そのものです。照明は撮る側では変えられないので、絞りと感度で合わせることになります。順番を決めておくと、当日に迷いません。
絞りは、ƒ/1.48まで開ける
iPhone 18 Proのメインカメラ(48MP Fusionメイン)は、絞りをƒ/1.48・ƒ/1.8・ƒ/2.8・ƒ/4.0の4つから選べます。数字が小さいほど穴が大きく、光を多く取り込みます。取り込む光は数字の2乗に反比例するので、ƒ/4.0を1とすると、ƒ/2.8で約2倍、ƒ/1.8で約4.9倍、ƒ/1.48で約7.3倍です。ƒ/4.0からƒ/1.48に開くと、約2.9段明るくなる計算です。
取り込む光は絞りの数字の2乗に反比例する(計算上の値)
絞りを開くと、ピントの合う前後の範囲は浅くなります。Appleの発表では、ƒ/1.48は明るさが足りない場所向け、ƒ/4はグループのより多くの人にピントを合わせる設定として紹介されています。客席の後ろから舞台全体を写すような距離なら、開けても舞台の上の人はおおむね同じようにピントが合いますが、前のほうの席から一人に寄って撮ると、後ろの列の子がぼけることがあります。暗い会場では、まずƒ/1.48で試し撮りをして、ぼけ方が気になる構図だけƒ/1.8にする、という順番が現実的です。
絞りが変えられるのは、メインカメラだけ
iPhone 18 Proのカメラは3つあり、超広角は13mm・ƒ/2.2、メインは24mm・ƒ/1.48〜ƒ/4.0、望遠は100mm(4倍)・ƒ/2.8です。8倍の光学品質のズームも望遠カメラを使う撮り方で、200mm・ƒ/2.8です。客席から子どもの顔に寄ろうとしてズームを上げ、カメラが望遠に切り替わると、絞りはƒ/2.8で固定です。ƒ/1.48のメインと比べると、取り込む光は約3.6分の1になります。
絞りを選べるのはメインだけ。望遠に切り替わると光は約3.6分の1
ガイドの説明は「メインカメラでは」から始まっていて、望遠や超広角に切り替わったときに手動のシャッタースピードがどう扱われるかは書かれていません。ズームで望遠に切り替わる撮り方をするなら、その倍率で試し撮りをして、帯と明るさを確かめておきます。録画中に勝手に切り替わるのを防ぐには、「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」の「カメラをロック」をオンにします(初期設定はオフ)。焦点のツールでは「超広角」「メイン」「望遠」のどれを使うかも選べ、選んだカメラは次の撮影まで選ばれたままになるとガイドにあります。倍率ごとの画質はiPhone 18 Proの動画ズームは何倍まで使えるか に詳しく書いています。
感度(ISO)は、手で決める項目に入っていない
感度は、センサーが受けた光の信号をどれだけ増幅するかの度合いで、ISOという数字で表します。数字を2倍にすると、同じ光で2倍明るく写りますが、信号と一緒に細かいざらつき(ノイズ)も大きくなります。暗い体育館の映像で、黒い幕の部分に色の粒がちらちらと動いて見えるのは、感度を大きく上げたときの典型的な姿です。
Appleのガイドが、iPhone 18 Proのカメラアプリで手動で設定できる項目として挙げているのは、絞り・シャッタースピード・ホワイトバランスの3つで、感度は入っていません。絞りとシャッタースピードを決めたあとの明るさは、カメラの自動の調整に任せる形になり、暗い会場では感度の側で補われると考えられます。暗さが足りない場面でざらつきが増えるのは、この補い方の結果です。
感度を数字で決めたい場合は、手動で撮れるアプリを使います。AppleのFinal Cut Cameraは、2025年9月の発表で、ホワイトバランスやシャッタースピード、ISOなどを調節できると紹介されています。iPhone 18 Proでどの項目を使えるかは、入れる前にApp Storeの説明で確かめます。標準のカメラのままでよい人は、感度の数字を追うより、ざらつきの増える原因(暗い・望遠に切り替わった・短いシャッター)を一つずつ減らすほうが近道です。
18 Proの仕様ページには「改良された低照度ビデオ(1080p)」という記載もあります。暗い場所での1080pのビデオを見やすくする機能として書かれていますが、明るさが何段分上がるといった数字は示されていません。4Kと1080pのどちらで撮るかを暗さで決めたいときの考え方は改良された低照度ビデオでどこまで明るく撮れるか にまとめています。
帯を防ぐ値は変えずに、ほかの要素で光を集める
暗さの見当を、前もってつける
試し撮りのときに、ƒ/1.48と長い側の値にしてヒストグラムを見ると、その会場でどれくらい明るさに余裕があるかが分かります。山が左半分に寄ったまま右へ伸びてこないなら、カメラは感度を大きく上げて補っていると考えられ、ざらつきの多い映像になる見込みです。そのときに打てる手は、1080pにする、望遠に切り替わらない倍率にとどめる、前の席に移れるなら移る、の三つです。帯を防ぐ値は変えずに、ほかの要素で光を集めます。
カメラツールの「露出」のスライダは、画面全体を明るく、または暗く寄せる調整です。ガイドによると、iPhone 18 Proではフォーカスと露出は別のコントロールで、片方を調整してももう片方は変わりません。シャッタースピードを固定したあとに、顔が白く飛ぶ・全体が暗い、と感じたら、この「露出」で寄せて、ヒストグラムで確かめます。露出を動かしたあとに帯が戻っていないかは、念のため試し撮りで見直してください。
「露出」のスライダで寄せた値も、「設定を保持」の「露出調整」がオンなら次回に残ります。行事が終わったら、シャッタースピードと一緒に「露出」も元に戻します。ガイドによると、露出をリセットするボタンもあります。翌日の明るい公園で、前日の暗い体育館向けの露出のまま撮ってしまう失敗は、こうして防げます。
ヒストグラムで露出を確かめる|舞台は山が左に寄っていてよい
ヒストグラムは画面の中にどの明るさの部分がどれだけあるかを、山の形で示すグラフです。横の軸は左が暗く右が明るく、山の高さはその明るさの部分の多さを表します。ガイドによると、iPhone 18 Proモデルでは、構図を決めるときにフレーム全体の露出をヒストグラムで確かめられます。カメラツールのメニューで「ヒストグラム」をタップするか、カメラフレームの上のツールに加えておけば、1回のタップで出せます。
スマホの画面は明るさを自動で変えるうえ、暗い客席で見ると実際より明るく感じやすく、画面の見た目だけで露出を判断するとずれます。ヒストグラムは画面の明るさの設定や周りの暗さに左右されない目安です。シャッタースピードを固定して明るさの調整が絞りと自動の調整に移ったいま、露出が行き過ぎていないかを確かめる手段として、この表示が役に立ちます。
舞台の発表会では、山は左に寄るのがふつうです。黒い幕、暗い客席、舞台の袖など、画面の大部分が暗いからです。気にしたいのは右の端で、左の山の大きさはあまり問題になりません。右の端に山が壁のように積み上がっていたら、スポットライトの当たった顔や白い衣装が真っ白になり、細部が残っていません。右の端の手前で山がなだらかに下がっていれば、明るい部分にも階調が残っています。
舞台では左に寄るのがふつう。見るのは右の端に余裕があるか
体育館の天井の照明を全部つけた会場では、画面全体が明るくなり、山は真ん中あたりに広がります。この形なら、露出はおおむね合っていると見てよいでしょう。暗転のあとに舞台の一部だけが照らされる場面では、山は左に大きく寄り、右の端の近くに小さな山が立つ形になります。小さな山が右の端にぶつかっていなければ、照らされた子の顔は残っています。
ヒストグラムは画面全体の集計なので、寄った構図と引いた構図では形が違います。舞台全体を写しているときは問題なくても、一人の顔に寄ると、顔の明るさが画面の多くを占めて右に寄っていく、ということが起きます。いちばん長く撮る構図と、いちばん寄る構図の両方で、右の端を見ておいてください。
一方で、ヒストグラムに帯は表れません。帯は画面の中の明暗の並び方の問題で、画面全体の明るさの分布はほとんど変わらないからです。露出はヒストグラム、帯は録画して再生した画面、と見る道具を分けます。暗い会場での露出の固定の考え方は暗いホールで白飛び・真っ暗になるときの露出の固定で、演目ごとの照明の変化と合わせて書いています。
暗転のあいだは、山がほとんど左の端に集まります。舞台が暗いのは演出どおりなので、この形を見て露出を上げる必要はありません。暗転のたびに露出を動かすと、明転した瞬間に舞台が白く飛びます。露出を合わせるのは照明がついた場面で、暗転は暗いまま記録する、と割り切ります。
露出はヒストグラム、帯は再生した画面と、見る道具を分ける
HDRビデオをオンにして撮ると、iPhoneの画面ではHDRの明るさで表示されます。DVDや通常のブルーレイの規格にはHDRの形が無いので、ディスクにするときはSDRの映像に変換し、明るい部分の見え方は撮影中の画面と変わります。ヒストグラムで右の端に余裕を残しておくと、変換のあとも顔や衣装の明るい部分が残りやすくなります。HDRで撮るかどうかはHDRビデオをオフにするかの判断 を見て決めてください。
ホワイトバランスも、シャッターと同じときに決める
体育館の映像が緑っぽい、黄色っぽいと感じたら、それはホワイトバランス(白を白として写すための色の調整)の問題で、帯とは別のものです。ただ、どちらも照明に合わせて撮る前に決める設定なので、試し撮りのときに一緒に決めると手間が一度で済みます。自動のままだと、構図を変えたり、赤や青の衣装が画面に多く入ったりしたときに、映像全体の色が途中で動くことがあります。
iPhone 18 Proでは、カメラツールの「ホワイトバランス」から、使う値をタップして固定できます。「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」の「ホワイトバランスをロック」は、録画中のホワイトバランスを固定する設定です。手で値を決めるか、録画を始めた時点の値でロックするかの違いで、どちらも録画中に色が動くのを防ぎます。
値を決めるのは、地明かり(舞台全体を均一に照らす基本の照明)や、体育館の天井の照明を全部つけた状態のときです。白い幕や壁、白い体操服を画面に入れて、白が白に近く見える値を選びます。色の付いた照明の場面で合わせると、その色を打ち消す方向に全体が寄り、ほかの場面がおかしな色になります。
色は編集である程度戻せるが、途中で動いた色はそろえにくい
体育館に水銀灯やメタルハライドランプが残っている会場では、照明をつけてから明るさと色が落ち着くまでに時間がかかります。開場の直前に照明をつけた会場で、すぐにホワイトバランスを決めると、そのあと色が変わっていきます。LEDの照明はつけてすぐに明るさがそろうので、この心配はありません。どちらか分からないときは、照明がついてから少し時間を置いて、開演の直前にもう一度だけ色を見ておきます。
窓のある体育館で、昼の光と照明が混ざっている場合は、どちらに合わせても片方の色がずれます。冬の発表会は午後に暗くなるのが早く、開演のころは窓の光が残っていても、終わりのころには照明だけになっていることがあります。暗幕を閉める会場なら照明に、閉めない会場なら本番の時間帯の光で合わせます。撮ったあとから色を直す方法は体育館の緑かぶりを直す手順にあります。色は編集である程度戻せますが、帯は色の補正では消えません。撮る前に固めるのはシャッター、余裕があれば色も、という順です。
モードごとの値|シネマティック、スロー、タイムラプス、写真
ガイドによると、iPhone 18 Proのプロレベルのコントロールは「ビデオ」以外に「シネマティック」「スローモーション」「タイムラプス」「写真」でも使えます。モードが変わると1コマの時間が変わり、帯の出ない値も変わります。発表会の途中で何気なくモードを切り替えると、その部分だけ帯が出ることがあるので、モードごとの値を頭に入れておくと安心です。
シネマティックの4K/60fps
シネマティックモードは、ピントを合わせた人の背景をぼかして撮るモードで、初期設定は1080 HD(30fps)です。iPhone 18 Proモデルでは、「設定」→「カメラ」→「シネマティック撮影」で4K(60fps)や1080 HD(60fps)も選べます。60fpsを選ぶと、帯の出ない値はビデオの60fpsと同じで、西日本は1/60秒か1/120秒、東日本は1/100秒だけです。暗い会場で背景をぼかしたいなら、30fpsのシネマティックで長い側の値を使うほうが、光の面で無理がありません。
スローモーションは、東日本では合う値がない
スローモーションの初期設定は背面のカメラで1080 HD(240fps)です。240fpsの1コマは1/240秒で、東日本の明滅1回(1/100秒)にも、西日本の1回(1/120秒)にも届きません。どのシャッタースピードを選んでも割り切れないので、明滅する照明の下では帯かちらつきが写る計算です。「設定」→「カメラ」→「スローモーション撮影」で120fpsに変えると、西日本なら1/120秒がちょうど1回分になり、合わせられます。東日本では120fpsの1/120秒でも明滅1回分に足りず、合う値がありません。
東日本の体育館でどうしてもスローを撮りたいなら、ビデオモードの4K/100fpsを使う方法があります。「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」で「PALフォーマットを表示」をオンにすると、25fpsと100fpsが選べるようになり、iPhone 18 Proではメインカメラで4K/100fpsが撮れます。100fpsの1コマは1/100秒なので、シャッターを1/100秒にすれば、明滅1回分がちょうど入る計算です。100fpsで撮ったビデオをスローにするのは、撮ったあとです。ガイドには、速いフレームレートで撮ったビデオは写真アプリで遅い速度で再生できる、とあります。100コマを1コマずつ30fpsのタイムラインに並べると、計算上は約0.3倍の速さのスローになります。この項目が何のためにあるかはPALフォーマットを表示の意味と25fps・100fpsの扱い で説明しています。
東日本でスローを撮るなら、PALの4K/100fpsと1/100秒の組み合わせ
この方法では、4K/100fpsの容量の大きさが引き換えになります。iPhoneの設定画面の目安(iOS 18.6の表記・HDRビデオがオンのとき)で1分約700MBです。1/100秒の短いシャッターは光も少ないので、照明の明るい場面に向きます。鼓笛の行進やダンスの見せ場のように、数秒から数十秒の場面に絞って使うのが現実的です。
容量が大きいので、数秒から数十秒の場面に絞って使う
タイムラプス
iPhone 18 Proモデルでは、タイムラプスを4Kで撮れます。会場の準備や、開場から満席になるまでの客席を短くまとめるのに使えますが、タイムラプスは間隔を空けて1コマずつ撮るので、コマごとに明滅のどの位置で光を集めたかがばらばらになりやすく、明るさがパタパタと変わる映像になることがあります。プロレベルのコントロールはタイムラプスでも使えるので、ビデオと同じ帯の出ない値に固定しておくと、明滅による明るさの揺れは抑えられます。
アクションモード
手ぶれを強く抑えるアクションモードは、最大2.8K・60fpsです。60fpsで撮るなら、帯の出ない値はビデオの60fpsと同じで、東日本は1/100秒だけになります。ガイドがプロレベルのコントロールを使えるモードとして挙げているのは「写真」「ビデオ」「シネマティック」「スローモーション」「タイムラプス」で、アクションモードのときの扱いは書かれていません。発表会の舞台を三脚で撮るならアクションモードを使う場面はあまり無いので、使うなら試し撮りで値と帯を確かめてからにします。
写真
写真でも同じことが起きます。明るい場面で速いシャッターになると、写真に横の帯が入ったり、連写した写真の明るさがそろわなかったりします。動いていない集合写真や、舞台の全景なら、ビデオと同じ1/100秒(東日本)や1/120秒(西日本)に固定すると、帯は出ません。動きを止めたい写真でそれより速いシャッターにするなら、帯が入る前提で枚数を多めに撮り、帯の目立たない1枚を選びます。
家で一度、帯を出して消してみる
当日の会場で初めてスライダを触ると、値を合わせるだけで時間がかかり、帯がどう見えるのかも分からないまま本番を迎えます。前の週のうちに、家の照明の下で一度、帯を「出して」「消して」みると、当日の判断が速くなります。用意するものはiPhone 18 Proと、天井の照明の下の白っぽい壁だけです。
ビデオモードでシャッタースピードのスライダを速い側いっぱいに動かし、照明に照らされた壁を10秒撮ります。再生して一時停止し、壁に横の縞が並んでいれば、その照明は明滅しています。次に、住んでいる地域の値(東日本は1/100秒、西日本は1/120秒)にして同じ壁を撮り、縞が消えるかを見ます。消えれば、値の選び方も、スライダの操作も合っています。
前の週に一度試すと、会場で帯と影を見分けやすくなる
速い側で撮っても縞が出ないなら、その照明の明滅は浅いということです。家庭用のLEDの照明には明滅のほとんど無い器具もあるので、縞が出なくてもおかしくありません。その場合は、台所や洗面所など別の照明でも試します。どこでも縞が出なければ、スライダの操作と表示の確認だけで十分です。会場の照明は家のものとは器具も明るさも違うので、本番の試し撮りは別に行います。
練習のついでに、スライダで選べる値も書き出しておきます。1/50秒・1/60秒・1/100秒・1/120秒のうち、ちょうどの値が表示されるもの、近い値しか出ないものを確かめておけば、当日に会場で探す手間がなくなります。近い値しか出ないものがあれば、シャッターを動かしたときの帯の濃さの計算を見返して、代わりに使う値を決めておきます。
この練習で確かめておきたいのは、帯の見え方そのものです。縞が止まっているのか、ゆっくり流れているのか、細いのか太いのか。家で一度見ておくと、会場で再生したときに、幕のしわや影と帯を見分けやすくなります。練習のあとはシャッタースピードを自動に戻しておきます。保持の設定をオンにしたままだと、翌日に子どもの公園遊びを撮ったときに、思わぬ値のまま録画することになります。
本番前の試し撮り|候補の値を15秒ずつ、照明の場面ごとに
計算で選んだ値が、その日の会場で本当に帯を消すかは、撮ってみるまで分かりません。照明の器具、舞台の照明の使い方、境目の地域なら周波数まで、会場ごとに違うからです。試し撮りにかかる時間は、撮るのに1分、見るのに2分ほどです。席に着いてから開演までのあいだに十分に収まります。
いつ、何を撮るか
撮るのは、開場から開演までのあいだが基本です。開場の時点で体育館の天井の照明がついていれば、その照明の帯はこの時間に確かめられるはずです。舞台の照明が開演まで点かない会場なら、最初の演目が始まってすぐの数十秒を、試し撮りを兼ねて撮ります。係として撮影を担当するなら、前日や当日朝のリハーサルに立ち会わせてもらうと、本番と同じ照明で確かめられます。
画面に入れたいのは、照明に照らされた平らな面です。舞台の幕、体育館の壁、床、舞台の背景の板など、模様が少なく明るさが均一な面ほど、帯は見つけやすくなります。人を大きく写すと帯は見落としやすく、ほかの家の子どもを撮ることにもなるので、試し撮りは幕や壁を中心に、本番で使う構図の倍率で撮ります。撮影のルールが決められている行事では、試し撮りもそのルールの中で行ってください。
用意する値は候補の二つで、続けて撮ります。東日本なら1/50秒と1/100秒、西日本なら1/60秒と1/120秒。それぞれ15秒ずつ、構図も絞りも変えずに撮ると、あとで比べたときに違いがシャッターだけになります。境目の地域で周波数が分からない会場なら、1/50秒と1/60秒の二つを撮り比べると、帯の消えるほうで周波数の見当もつきます。
撮るのに1分、見るのに2分ほど。開演前の時間で収まる
再生して、どこを見るか
撮った2本を写真アプリで再生し、一時停止して、二本の指で幕や壁の部分を広げて見ます。横に並んだ明暗の縞があれば、その値では帯が出ているということです。一時停止した画面では、止まった縞と幕のしわの見分けがつきにくいので、再生と停止を何度か繰り返し、縞が上下に動くかどうかも見ます。動いていれば、明滅による帯です。
画面の下の細長いコマの並びを指でゆっくり送ると、コマごとの明るさの変化も見られます。画面全体が明るくなったり暗くなったりを繰り返しているなら、帯にならずに全体が明滅している形です。原因も対策も帯と同じで、シャッタースピードの値を見直します。見るのは開演前のうちに済ませ、iPhoneの画面の明るさを上げて、照明の映り込みのない角度で確かめます。
二つの値で差が出なかった場合は、どちらでも帯は出ていないか、どちらでも消えない別の原因があるかのどちらかです。両方とも縞が無ければ、光を多く集められる長い側の値に決めます。両方に縞があるなら、後の節の「値を合わせても帯が残るとき」の順に原因を探します。
縞が動けば明滅による帯。止まった模様は幕のしわのこともある
試し撮りの映像は、家に帰るまで消さずに残しておきます。本番の映像に縞が見つかったとき、試し撮りと見比べると、値の問題か照明が変わったのかを切り分けられます。撮り比べた2本は、アルバムを分けるか、どちらの値で撮ったかをメモに残しておくと、あとで迷いません。家で見終えて不要になったら、容量を空けるために消して構いません。
試し撮りができないとき
開演の直前に着いた、開演前は撮影できない決まりになっている、といった事情で試し撮りができないこともあります。そのときは、会場の周波数の長い側の値(東日本は1/50秒、西日本は1/60秒)で撮り始めます。電源の明滅に合っていて、調光の点滅による縞も短い側より薄くなる値なので、何も確かめられないときの出発点として無理がありません。最初の演目のあとの区切りで数秒分を再生して、縞が無いかを確かめます。同じ会場で撮った去年の映像が手もとにあるなら、家で事前に見て、縞の有無と出方を確かめておくのも手がかりになります。
決めた値は、すぐに残す
決めた値はその場でスマホのメモに書いておきます。「会場の周波数・フレームレート・シャッタースピード・絞り・ホワイトバランス」の5つです。休憩のあとに画面の値が変わっていないかを見比べられ、来年の同じ行事でもそのまま使えます。カメラの画面をスクリーンショットで残しておくと、ツールの並びまで記録できます。
録画中は、値を触らないのが原則です。演目の途中で縞に気づいても、その演目の録画は止めずに続け、演目と演目のあいだで値を変えます。途中で値を変えると、変えた瞬間に明るさが段のように変わり、そのほうが帯より目立つこともあるからです。休憩の時間に前半の映像を少し再生して、帯と明るさを確かめておくと、後半で直せます。
録画中に触ってよいもの、触らないもの
値を決めて録画を始めたら、画面を触る回数はできるだけ減らします。録画中にシャッタースピードや絞りを動かすと、その瞬間に明るさが段のように変わり、帯より目立つ跡が残ります。モードやフレームレートは、録画を止めてから切り替えます。録画中に触ってよいのは、ピントと、試し撮りで確かめた範囲のズームくらいです。
ピントは、iPhone 18 Proなら焦点のツールで手で決められます。カメラツールのメニューで「焦点」をタップし、スライダで距離を決め、自動に戻すときはAをタップします。ガイドによると、18 Proではフォーカスと露出は別のコントロールで、片方を調整してももう片方は変わりません。一部のカメラモードでは焦点のツールは使えない、とも書かれています。
舞台の上を動き回る子を追うなら、フォーカストラッキングも使えます。被写体をタップして黄色の枠を出し、枠をダブルタップすると、被写体までの距離が変わってもピントが追いかけます。止めるときは「フォーカストラッキング」をタップします。トラッキングを使ったときに露出がどう扱われるかはガイドに書かれていないので、使うつもりなら試し撮りの段階で一度試し、明るさが揺れないかを見ておきます。
ズームは、試し撮りで帯と明るさを確かめた倍率の範囲にとどめるのが原則です。試していない倍率まで寄ると、カメラが切り替わって明るさが変わったり、帯の出方が変わったりすることがあります。「カメラをロック」をオンにしていれば録画中の切り替わりは起きませんが、メインカメラで録画を始めた場合はそのまま倍率を上げることになり、画質は粗くなります。寄る倍率を決めておくのが、いちばん確実です。
録画中に値を動かすと、明るさの段差が帯より目立つことがある
演目と演目のあいだは、録画を止めます。止めるたびにファイルが分かれるので、演目ごとの映像を探すのも、ディスクにするときに並べるのも楽になります。止めているあいだに、シャッタースピードの表示がメモの値のままか、フレームレートが変わっていないかを一目で確かめます。2時間を超える発表会を止めずに撮る場合の電池や熱、容量の段取りは2時間の発表会を止めずに撮り切る方法にあります。
暗い客席では、スマホの画面の明るさが周りの席の迷惑にならないよう、画面を暗めにしておきたいところです。画面が暗くても、露出の確認はヒストグラムで行えるので、映像の明るさの判断には影響しません。画面の見た目が暗いからといって、録画中に「露出」のスライダを上げるのは避けます。
会場と演目で変わる組み立て
同じ「発表会」でも、会場の広さ、舞台までの距離、照明の使い方は大きく違います。値の決め方は同じでも、絞りやフレームレートの組み合わせは場面で変わります。秋から冬にかけての行事で出会いやすい場面ごとに、組み立ての例を挙げます。いずれも帯の出ない値は会場の周波数で決まり、ここで変わるのは「長い側か短い側か」と、絞り・フレームレートの選び方です。
帯の出ない値は会場の周波数で決まり、場面で変わるのは長い側か短い側か
園の遊戯室・ホールでの生活発表会
保育園や幼稚園の遊戯室は、体育館に比べて舞台までの距離が近く、天井も低いことが多い会場です。ズームをあまり使わずにメインカメラで撮れるので、絞りを自分で選べます。小さな子どもは舞台の上で前後に動き、何人もが一度に並ぶので、ƒ/1.48で開けすぎると端の子がぼけることがあります。明るさに余裕があればƒ/1.8、暗ければƒ/1.48で試し撮りして、並んだ子の顔がそろって見える側を選びます。
フレームレートは30fpsで、シャッターは長い側(東日本1/50秒、西日本1/60秒)が基本です。劇や合奏のように大きく動かない演目では、これで動きの流れも気になりません。窓のある遊戯室で午前に発表会をするなら、外の光と照明が混ざります。ホワイトバランスは本番の時間帯の光で合わせ、窓の光が強ければ、照明の帯は目立ちにくくなります。
小学校の体育館での音楽会・学習発表会
体育館では、保護者席が舞台から遠くなりがちで、子どもの顔を大きく撮るには望遠を使うことになります。望遠に切り替わると絞りはƒ/2.8になり、メインのƒ/1.48に比べて光は約3.6分の1です。その分を補うために、フレームレートは30fps、シャッターは長い側にして、光を集められるだけ集めます。東日本の会場で60fpsと1/100秒を選ぶと、望遠のƒ/2.8と重なって、光の量ではいちばん不利な組み合わせになります。
演目中も天井の照明を客席側までつけたままの体育館なら、帯の原因になるのは主にこの照明です。試し撮りで帯が消えれば、本番中に変わる要素は少なく、最初に決めた値のまま最後まで撮りやすい会場です。三脚を立てられる位置が決まっているなら、発表会の三脚の置き場所も合わせて確かめておくと、構図を決める時間が短くなります。
市民ホールの音楽会・合唱の発表
ホールでは、演目中に客席の照明が消え、舞台だけが照らされます。画面の大部分が暗く、照らされた舞台が明るいので、ヒストグラムの右の端に注意する場面です。照明はホールの担当者が操作し、演目ごとに明るさや色が変わります。明るさを絞った照明の場面だけ縞が出る、ということも起こりえます。
ホールの舞台照明には、LEDの器具のほかに、ハロゲンなどの電球を使うスポットライトもあります。電球はフィラメントの余熱で光るので、電流が一瞬小さくなっても明るさはあまり下がらず、帯の原因にはなりにくい照明です。同じ舞台でも、どの器具が照らしているかで縞の出方が変わるのは、このためです。
試し撮りは開演前の幕の前だけでなく、最初の演目の地明かりの状態でも数十秒撮っておきます。合唱や器楽のように動きの少ない演目なら、長い側の値で十分です。照明が明るいホールでは、自動の露出なら速いシャッターを選ぶ場面でも、固定した長い側の値のまま撮ることになるので、「露出」のスライダやƒ/2.8・ƒ/4.0への絞り込みで、右の端に余裕を残します。
ダンス・鼓笛・リズムの演目
手足を大きく速く動かす演目では、1/50秒や1/60秒だと動きが流れて写ります。動きの形を残したいなら、60fpsにして、西日本は1/120秒、東日本は1/100秒を選びます。集まる光は長い側の半分になるので、照明が明るい舞台であることが前提です。暗い会場で無理に短くすると、感度が上がってざらつきが増え、動きはくっきりしても画全体が粗くなります。
動きの流れ方は好みの問題でもあります。ダンスの先生や出演者が「少し流れるくらいが踊りらしい」と感じることもあるので、係として撮るなら、試し撮りの映像を見せて相談するのも一つの方法です。同じ発表会の中で、ダンスの演目だけ60fpsにするなら、演目の前の転換の時間に切り替えます。
公民館や教会のクリスマス会
12月の園や地域のクリスマス会は、公民館の集会室や教会の礼拝堂などで開かれることもあり、体育館やホールとは照明の事情が違います。天井の照明と、窓の光、ツリーの電飾、ろうそくの灯りが混ざります。帯の原因になるのは主に天井の照明で、値の決め方はこれまでと同じです。ろうそくの炎の揺らぎは電源とは関係のない自然な明るさの変化なので、シャッタースピードでは止まりません。
ツリーの電飾には、点滅したり明るさが変わったりするものがあります。点滅の模様そのものは目で見えるとおりに写るので、帯とは別のものです。一方、明るさを細かく変える電飾の中には、カメラにだけ縞やちらつきとして写るものもあるので、ツリーを大きく写す場面があるなら、試し撮りに含めておきます。照明を消してろうそくだけにする演出がある会では、画面がかなり暗くなるので、その場面だけは帯よりも暗さへの対応(ƒ/1.48、長い側の値、1080p)を優先します。
構図と立ち位置で、帯を目立たせない
同じ値で撮っても、帯の目立ち方は構図で変わります。縞がいちばん見えやすいのは、舞台の幕、体育館の白い壁、天井、光沢のある床のような、平らで明るさの均一な面です。反対に、衣装の柄や子どもの顔、楽器が画面を埋めていると、同じ縞があっても見分けにくくなります。シャッタースピードで防ぐのが本筋ですが、構図でも目立ち方を減らせます。
まず気をつけたいのは、照明器具そのものを画面に入れないことです。天井のLEDや舞台の上の照明が写ると、明滅のいちばん強い部分が画面に入るうえ、まぶしさで露出も乱れます。体育館の後ろの高い位置から撮ると天井が入りやすいので、舞台の上の縁が画面の上の端に来るくらいに構図を下げます。
構図は残った縞を目立たなくする手。値を合わせるのが先
光沢のある床も要注意です。床に映り込んだ照明にも縞が出ます。舞台の前の床が画面の下の3分の1を占めるような構図なら、少し寄るか、床が少なくなる高さに三脚を合わせます。背景の幕は避けようがないので、幕が画面の半分以上を占める引きの構図は、試し撮りで縞が無いことを確かめた値のときだけにします。
席の位置も関係します。舞台の正面の後ろからなら、画面に入るのは舞台と幕が中心ですが、斜めの席からは、天井の照明に照らされた横の壁が画面の端に入りやすくなります。壁は平らで明るさが均一なので、縞のいちばん見えやすい面です。三脚を置ける場所が選べるなら、正面寄りの位置が向いています。
寄れば縞が消える、とは限らない点にも気をつけます。縞の間隔は、カメラが画面の上から下まで読み出す速さと、照明の明滅の速さで決まり、寄ったからといって縞が消えるわけではありません。平らな壁に寄っても縞は残り、壁が画面いっぱいになる分、かえって目立ちます。寄って目立たなくなるのは、画面が顔や衣装で埋まり、縞を見分けにくくなるからです。
構図での工夫は縞を消すものではなく、残った縞を目立たなくするものです。値の合わない設定のまま構図だけで済ませようとすると、寄った構図では見えなくても、引いた瞬間に縞が現れます。値を合わせたうえで、それでも残る調光の縞やスクリーンの縞に対して使う手、と考えておきます。
値を合わせても帯が残るとき
試し撮りで、候補の値のどちらにも縞が残ることがあります。そのときは、原因を一つずつ切り分けていきましょう。最初に疑うのは周波数の取り違えです。どの場面でも同じような太さの縞が規則正しく出ているなら、反対の地域の値(東日本の値で撮っていたなら1/60秒、西日本の値なら1/50秒)で撮り比べます。境目に近い会場や、遠方の会場で起きやすい取り違えです。
照明を絞った場面や、色の付いた照明の場面だけに細い縞が出るなら、明るさを絞ったLEDの点滅が原因と考えられます。この点滅の速さは電源の周波数と関係がないため、1/100秒や1/60秒に合わせても割り切れません。ただ、点滅が速いほど、長いシャッターの中に入る点滅の回数が多くなり、端数の影響は小さくなります(計算上)。東日本なら1/100秒より1/50秒、西日本なら1/120秒より1/60秒のほうが、電源の明滅にも合い、細い縞も薄くなる組み合わせです。調光の仕組みと、色の付いた縞の出方は、最初の節で挙げた体育館のちらつきの記事の「LEDでも出る理由」の節で書いています。
当てはまらなければ、表示の値が戻っていないか、モードが変わっていないかを見る
スクリーンに映した映像や、LEDの大型画面の中にだけ縞があるなら、画面そのものの書き換えや点滅が写ったものです。会場の照明の値では消せないことが多いので、画面が構図に占める割合を減らすか、その場面は画面を外して子どもに寄ります。発表会の合間に写真のスライドショーを映す園や学校では、スライドショーの時間だけ構図を変える、と決めておくと迷いません。
寄ったときだけ縞が出る、暗くなる、という場合は、ズームの途中でカメラが望遠に切り替わった可能性があります。メインカメラで合わせた値の扱いが望遠でどうなるかはガイドに書かれていないので、望遠の倍率でも試し撮りをして確かめます。「カメラをロック」をオンにしておくと、録画中の切り替わりは防げます。
照明を変えてもらうことは、基本的には考えません。舞台の照明は演出のためのもので、撮影のために明るさや器具を変えてもらうのは、行事の主催者にとって負担になります。係として公式の記録を撮る立場で、事前に照明の担当と話す機会があるなら、どの演目で明るさを絞るかを聞いておく程度にとどめ、撮る側の設定と構図で対応します。
どれにも当てはまらないときは、画面の表示を見直します。シャッタースピードの表示が自動に戻っていないか、スローモーションやシネマティックなど別のモードになっていないか、フレームレートが変わっていないか。休憩のあとにカメラを開き直して値が戻っていた、というのは見落としやすい点です。それでも縞が消えない場合は、縞の目立たない構図を選び、撮ったあとの補正に回します。補正でどこまで薄くできるかは、先の記事の後半で扱っています。
失敗の型と直し方|症状から原因を見分ける
シャッタースピードを手で決めると、帯は防げる代わりに、自動のときには起きなかった失敗が出てきます。多くは、設定の戻し忘れと、明るさの調整が絞りと自動の側に移ったことから起きるもので、症状から原因をたどれば次の行事の前に直せます。
症状から原因をたどれば、次の行事の前に直す設定が分かる
翌日、値が自動に戻っていた
前日に家で値を決めたのに、当日カメラを開いたら自動に戻っていた。原因は「設定を保持」の「露出調整」がオフになっていたことです。確かめ方は「設定」→「カメラ」→「設定を保持」を開くだけです。行事の前日に、値を決めたあとでこの項目をオンにし、一度カメラを閉じて開き直して、値が残っているかを見ておきます。
前半は帯が無かったのに、後半だけ出た
休憩のあいだにカメラを閉じて値が戻った、休憩のあとに照明の使い方が変わった、のどちらかが多い型です。録画のファイルを開いて、後半の最初のコマの明るさや動きの見え方が前半と違っていれば、値が戻っています。休憩が終わる前に、メモの値と画面の値を見比べる習慣にしておけば防げます。照明が変わった場合は、後半の最初の演目で数秒の試し撮りをやり直します。
寄ると画面が暗くなり、ざらつく
ズームで望遠に切り替わり、絞りがƒ/2.8になって光が減った型です。映像の中で、寄った瞬間に明るさが一段下がり、黒い部分の粒が増えていれば当てはまります。直し方は寄る倍率を決めて「カメラをロック」で切り替わりを防ぐか、メインカメラの範囲で撮って編集で切り出すかです。どちらを選ぶかは、子どもの顔をどこまで大きく残したいかで決めます。
明るい場面で、顔や衣装が真っ白になった
長い側の値で固定したまま、強いスポットライトの場面になった型です。自動なら速いシャッターで明るさを抑える場面でも、固定した値のままなので光が多すぎます。直し方は絞りをƒ/2.8やƒ/4.0の側に絞るか、「露出」のスライダを下げることです。ヒストグラムの右の端に山がぶつかっていないかで確かめます。シャッターを速くするのは、帯がまた出るので最後の手段です。
ピントが子どもでなく、後ろの幕に合っている
絞りをƒ/1.48に開いて寄った構図では、ピントの合う範囲が浅くなり、ピントが少しずれただけで顔がぼけて見えます。暗い舞台では自動のピントが明るい幕や背景の模様に引っ張られることもあります。iPhone 18 Proなら、焦点のツールで距離を決めておくか、フォーカストラッキングで子どもを追わせます。寄るほどぼけやすいので、寄る構図ではƒ/1.8に一段絞るのも手です。
途中から動きがカクカクする、灰色っぽく見える
動きが途中から粗くなったなら、FPS自動調整で24fpsに下がった可能性があります。暗い場面に入ったところから粗くなっていれば、この型です。次の行事では、「設定」→「カメラ」→「ビデオ撮影」の「FPS自動調整」をオフにしておきます。
映像全体が灰色っぽく、色が薄いなら、ProResのLogで撮った可能性があります。iPhoneの設定画面には「調整処理を行う前のLogは平坦でグレイに見えます」という説明があり、色を整える処理をしないとこの見え方のままです。行事の撮影では、「設定」→「カメラ」→「フォーマット」でApple ProResとLogを使っていないかを確かめます。
帯は消えたが、全体に暗い・動きが流れる
帯は消えたのに映像が暗くざらつくなら、短い側の値(1/100秒・1/120秒)や60fpsを選んでいた、望遠に切り替わっていた、のどれかが重なった型です。次の行事では、長い側の値、30fps、ƒ/1.48、1080pの順に光を集める側へ寄せます。撮ったものは、編集ソフトで明るさを少し持ち上げることはできますが、持ち上げるほどざらつきも目立つので、限度があります。
反対に、帯も暗さも問題ないのに、ダンスの手足が流れて写っているなら、長い側の値で寄った構図を撮った型です。DVDで見て気になるほどなら、次は60fpsと短い側の値の組み合わせを、明るい演目に限って使います。どちらの型も試し撮りの段階で「いちばん暗い場面」と「いちばん速い動きの場面」を撮っておけば、本番の前に気づけます。
どの値で撮ったかを、あとから確かめる
写真アプリで動画を開き、上にスワイプすると「情報」が出て、撮影したデバイスや日時、レンズなどを確かめられます。シャッタースピードまで表示されるかは、写真と動画、iOSのバージョンで違うことがあるので、表示されないときは当日のメモの値を頼りにします。縞のある場面と無い場面で表示を見比べられれば、どの値が合っていなかったかの見当がつき、来年の行事の準備に役立ちます。
家族や係で何台か撮るときは、値をそろえて伝える
引きの映像と寄りの映像を2台で撮り、あとで1本にまとめるなら、フレームレートとシャッタースピードをそろえておきます。片方が30fps・1/50秒、もう片方が60fps・自動だと、切り替えた瞬間に動きの見え方と明るさが変わり、つなぎ目が目立ちます。2台の映像の同期と切り替えの方法は、発表会を2台で撮って1本にまとめる方法が参考になるはずです。
手で値を決められるのがiPhone 18 Proの1台だけなら、役割の分け方で帯の出にくさが変わります。帯がいちばん目立つのは、照らされた幕や壁が広く入る引きの映像です。18 Proは舞台全体を写す引きの固定に回し、値を決められないほかのスマホは子どもに寄る役にすると、帯が出ても目立ちにくい側に回せます。寄った映像は人の顔や衣装が画面の大半を占め、平らな面が少ないからです。
ほかの人に値を伝えるときは、数字だけを短く送ります。「会場は東日本(50Hz)。30fps、シャッター1/50秒、HDRビデオはオフ、FPS自動調整もオフ」。家族のグループに送っておけば、当日の朝に読み返せます。ビデオカメラで撮る人がいるなら、機種によってシャッター速度の設定や、ちらつきを抑える設定があるので、取扱説明書でその項目を探してもらいます。
値を決められないiPhoneで撮る家族には、30fpsにすること、「FPS自動調整」をオフにすること、HDRビデオの扱いを18 Proとそろえることの三つを頼みます。シャッターは自動のままになるので、開演前に同じ幕を15秒ずつ撮って、2台の映像を並べて縞の有無を確かめます。ほかの機種の映像にだけ縞があれば、その機種は寄りの役に回すのが無難です。
数字だけを短く送り、当日の朝に読み返せるようにする
係として園や学校の公式の記録を撮る場合は、試し撮りの映像を担当者どうしで見せ合う時間を、開演前に5分だけ取っておきます。2台とも縞が無いことを確かめてから本番に入ると、編集のときに「片方だけ縞がある」場面で困りません。照明の担当の先生や会場の担当者に、明るさを絞る演目や、スクリーンを使う演目がどれかを聞いておくと、試し撮りをする場面の見当がつきます。
2台以上で撮った映像を一人がまとめて編集するなら、ファイルを集める段階で、どのカメラの映像かが分かるように分けておきます。フォルダを「引き」「寄り」のように分け、試し撮りの映像も一緒に入れておくと、編集する人がどの値で撮ったものかを確かめられます。縞のある場面をもう1台の映像に差し替えるときも、探す手間がかかりません。
ディスクにする前に、家のテレビで確かめる
帯はスマホの小さな画面では見落としやすく、テレビの大きな画面で初めて気づくことの多い乱れです。行事の翌日、ディスクにする前に、家のテレビやパソコンの大きな画面で映像を通して見ます。とくに見るのは、照らされた幕や壁が広く写っている場面と、照明を絞った演目、休憩のあとの最初の演目です。
iPhone 18 ProはUSB-Cから外付けのディスプレイに映せる機種で、テレビの入力に合ったアダプタやケーブルでつなげば、編集する前の映像をテレビの大きさで確かめられます。AirPlayに対応したテレビなら、ケーブルなしでも映せます。どちらの方法でも、スマホの画面より大きく映すことが目的なので、縞の有無を見る段階では画質の細かな違いは気にしなくて構いません。
縞が残っていた場面は、時刻をメモしておきます。編集ソフトの補正で薄くするか、その場面だけもう1台の映像に切り替えるか、そのまま残すかを、場面ごとに決めます。DVDにすると画面の大きさは720×480になり、細い縞は縮小で見えにくくなることもありますが、太い帯や画面全体の明滅は残ります。DVDやブルーレイにしたときの帯の見え方は、先のちらつきの記事でも触れているとおりです。
細い縞は縮小で見えにくくなることもあるが、太い帯や明滅は残る
HDRビデオで撮った映像は、DVDやブルーレイにする段階でSDRの映像になります。自分で編集して書き出すなら、書き出しの段階でSDRにして、色を確かめてから渡します。撮ったままのファイルを入稿するときは、撮影の設定(機種・フレームレート・HDRの有無)を注文フォームの備考欄に書いておくと、届いた映像の状態が伝わります。書いておく内容はiPhone動画の入稿メモに書くこと にまとめています。
4Kで長く撮ったときは、ファイルの大きさにも注意が要ります。iPhoneの設定画面の目安(iOS 18.6の表記・HDRビデオがオン)では、4K/30fpsが1分約190MBで、60分撮ると計算上は約11.4GBです。当社では、1つの内容のデータがDVDで5GB以上、Blu-rayで25GB以上のとき、エンコード手数料(大容量データ・内容1種類につき)として3,000円(税抜)がかかります。同じ内容の焼き増し分にはかかりません。
4Kで撮った映像をディスクにするとき、DVDなら720×480、ブルーレイなら1920×1080になります。祖父母の家のプレーヤーがDVDだけなら、DVDを選ぶしかありませんが、ブルーレイを再生できる家が多い配り先なら、細部の残るブルーレイも候補です。暗い会場の映像は、細部よりもざらつきの見え方で差が出るので、迷ったら、まずDVDとブルーレイを1枚ずつ作って見比べてから、配る枚数を決める方法もあります。
編集して書き出すときのフレームレート
自分で編集してから入稿するなら、タイムラインのフレームレートは撮影と同じ30fps(または29.97fps)にします。25fpsのタイムラインに30fpsの映像を入れたり、その逆にしたりすると、コマの間引きや重複で動きがぎこちなくなるからです。4K/100fpsで撮ったスローの場面は、編集ソフトで速さを変えてから30fpsのタイムラインに置きます。書き出したファイルは、ディスクが届いて再生を確かめるまで、元のファイルと一緒に残しておきます。
行事の2週間前から、ディスクを頼むまで
ここまでの準備を行事の日から逆に数えると、始めるのは2週間前で十分です。2週間前に会場の周波数を確かめ、前の週に家で帯を出して消す練習をし、前日に「設定を保持」と「設定」アプリの項目を整えます。当日は試し撮りで値を決めて触らず、翌日にテレビで確かめてから、ディスクにする分をまとめます。
準備は2週間前から。行事が終わったら保持の設定を元に戻す
行事が終わったら、メモの値に結果を書き足しておきます。「◯◯小体育館、50Hz、30fps・1/50秒で帯なし。舞台の照明を絞った劇の場面だけ細い縞」。翌年の同じ行事では、このメモから始めれば、試し撮りは確かめるだけで済みます。兄弟姉妹で別の園や学校に通っているなら、会場ごとに分けて残しておきます。
注文の前に決めておくのは、配る相手の再生機器(DVDかブルーレイか)、内容ごとの枚数、盤に何を収めるかの三つです。祖父母の家のプレーヤーがDVDだけ、という家庭が一つでもあるなら、その家の分はDVDにします。前半と後半で盤を分けるか、1枚に収めるかを決めるのは収録時間です。料金表の収録時間の目安は、1層のディスクでDVDが約1.5〜2時間、ブルーレイが約2時間で、それより長いときは2層ディスクか2枚に分けます。
当社に頼むときは、動画をギガファイル便にアップロードし、そのURLを注文フォームに貼ります。スマホからでもアップロードして注文できます。複数のファイルを1枚に収めるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その番号の順に収録します。前半と後半で2枚に分けるなど、内容の違うディスクを一度に頼むときは、注文フォームの「+別の内容を追加」で、内容ごとに別のURLと枚数を入れます。
当社が受け付けるのは、完成した動画のデータです。注文ページで作るのはプレーヤーで再生できる形に組み立てたDVDとブルーレイで、DVDは基本料金(DVD・1枚あたり)の1,500円、ブルーレイは基本料金(Blu-ray・1枚あたり)の1,500円で、どちらもオーサリングと書き込み、ケースへの入れ込みまでを含みます。祖父母や親戚に配るために同じ内容の盤を増やすときは、2枚目から1枚ごとの料金が変わり、追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)の1,000円です。通常便は受付から5営業日で発送します。行事の映像で、撮影した本人か権利者の許可があるものなら、DVDの注文ページ から頼めます。
よくある質問
Q. iPhone 18 Proで体育館を撮るシャッタースピードは何秒にすればよいか A. 会場の電気で決まります。西日本(60Hz)の会場なら1/60秒か1/120秒、東日本(50Hz)なら1/50秒か1/100秒です。照明は1秒に120回か100回明滅しているので、その周期の整数倍にすると、どのコマにも同じ量の光が入り、帯が出ません。暗い会場では、光を多く集められる長い側(1/60秒・1/50秒)から試します。
Q. 東日本の会場で60fpsで撮るときに使える値はどれか A. 1/100秒だけです。60fpsの1コマは1/60秒で、シャッターはそれより長くできません。その中で明滅1回(1/100秒)の整数倍になるのは1/100秒しかありません。1/60秒では明滅1.67回分になり、帯が出ます。暗い会場で動きの少ない演目なら、30fpsにして1/50秒を選ぶと光を2倍集められます。
Q. iPhone 18 Proのどこでシャッタースピードを決めるのか A. カメラアプリでカメラツールのメニューを開き、「シャッタースピード」をタップしてスライダを動かします。メニューの「編集」から、カメラフレームの上に「シャッタースピード」を並べておくと1回のタップで開けます。次にカメラを開いたときにも値を残すには、「設定」→「カメラ」→「設定を保持」で「露出調整」をオンにします(iOS 27の場合)。
Q. iPhone 17 ProやiPhone Duoでもシャッタースピードを決められるか A. 仕様ページに「プロレベルのコントロール」の記載があるのはiPhone 18 Proと18 Pro Maxで、iPhone Duoや17 Pro以前の機種には記載がありません。標準のカメラの画面を長押しするAE/AFロックは明るさを固定する操作で、帯を防ぐ機能は持っていません。ほかの機種で値を決めたいときは、Final Cut Cameraのような手動で撮れるアプリを使います。
Q. シャッターを固定すると映像が暗くなるときはどうするか A. 帯を防ぐ値は変えずに、ほかの要素で光を集めます。メインカメラの絞りをƒ/1.48に開く(ƒ/4.0の約7.3倍の光)、長い側の値(東日本1/50秒、西日本1/60秒)にする、30fpsで撮る、望遠に切り替わらない倍率にとどめる、の順です。感度(ISO)はカメラアプリの手動の項目に入っていないので、自動の調整に任せる形になります。
Q. LED照明はちらつかないはずなのに、なぜ帯が出るのか A. 電気用品安全法の技術基準は「ちらつきを感じないもの」を求めていて、光が途切れずに1秒100回以上で揺れる照明はこれに当たります。三重県工業研究所の報告には、基準では「ちらつきがない」とされる電球形LEDに、ピークから6割ほど下がる明るさの揺れがあった例が載っています。目に見えない揺れでも、短い時間で光を集めるカメラには写ります。
Q. スローモーションで体育館を撮ると帯が出るのはなぜか A. スローモーションの初期設定の240fpsは1コマが1/240秒で、明滅1回(東日本1/100秒、西日本1/120秒)より短く、どの値でも割り切れないからです。西日本なら120fpsにして1/120秒で合わせられます。東日本では、「PALフォーマットを表示」をオンにしてビデオの4K/100fpsで撮り、1/100秒にして、編集でスローにする方法があります。
Q. ヒストグラムの山が左に寄っているのは暗すぎるのか A. 舞台の発表会では、黒い幕や暗い客席が画面の多くを占めるので、山が左に寄るのはふつうです。見るのは右の端で、山が壁のように積み上がっていなければ、照らされた顔や衣装にも階調が残っています。山が左半分だけで右へ伸びてこないなら全体が暗いので、絞りを開くか「露出」を上げ、そのあとで帯が出ていないかを試し撮りで確かめます。
Q. 会場が50Hzか60Hzか分からないときはどうするか A. 日本の電気は、静岡県の富士川と新潟県の糸魚川のあたりを境に、東が50Hz、西が60Hzです。見るのは住まいではなく会場の場所です。境目に近い会場で分からないときは、施設の窓口に聞くか、当日に1/50秒と1/60秒を15秒ずつ撮り比べます。帯の消えるほうを選べば、周波数の見当もつきます。
Q. 本番前の試し撮りはいつ、何を撮ればよいか A. 開場から開演までのあいだに、照明に照らされた幕や壁など平らな面を、本番で使う倍率で撮ります。候補の値を二つ(東日本なら1/50秒と1/100秒)15秒ずつ撮り、再生して一時停止し、拡大して縞が無いかを見ます。舞台の照明が開演まで点かないなら、最初の演目の数十秒を試し撮りを兼ねて撮ります。
Q. 値を合わせたのに照明を絞った場面だけ縞が出るのはなぜか A. 明るさを絞ったLEDは、電源の周期と関係のない速さで点滅することがあり、1/100秒や1/60秒でも割り切れないためです。点滅が速いほど長いシャッターの中に入る回数が増えて端数の影響は小さくなるので、東日本なら1/50秒、西日本なら1/60秒の長い側にすると縞は薄くなります(計算上)。残る縞は構図で目立たなくします。
Q. 帯の出た映像をディスクにすると目立たなくなるか A. DVDは720×480に縮めるので、細い縞は見えにくくなることもありますが、太い帯や画面全体の明滅は残ります。ディスクにする前に、家のテレビなど大きな画面で通して見て、縞のある場面の時刻を控えます。補正するか、もう1台の映像に切り替えるか、そのまま残すかを場面ごとに決めてから入稿します。