この記事の要点
フレームレートはiPhoneなら29.97fps、Android版は29.97fpsが選べないので30fps。どちらも暗い場面でコマ数が勝手に変わらない
シャッタースピードは会場の電源で決める。60Hzの地域は1/60か1/120、50Hzの地域は1/50か1/100にすると照明のちらつきが出にくい
ISOとホワイトバランスはリハーサルの照明で決めてロックする。色のついた照明の場面を自動の色合わせで消さないため
公式の仕様にリミッターの項目は無い。合奏や太鼓のいちばん大きな音でも、メーターが緑の上限を越えない位置と大きさに決める
1分あたりの容量は公表されていないので、本番と同じ設定で1分撮って測り、120倍に余裕を足した空きを用意する
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
体育館やホールの客席で、スマホを三脚に載せて子どもの発表会を撮った。家に帰って見返すと、照明を落とした劇の場面だけ動きがカクカクして、スポットライトが当たるたびに画面全体の明るさが上下し、合奏の大太鼓のところで音がバリバリと割れていた。パソコンの編集ソフトに入れたら、終わりのほうで口の動きと声が合わない。標準のカメラで行事を撮ると、こうした困りごとがまとめて起こることがあります。
原因の多くは、標準のカメラが明るさ・色・コマの数を場面ごとに自動で合わせていることにあります。Blackmagic Designが無料で出している撮影アプリ「Blackmagic Camera」は、iPhoneとAndroidのスマホ(Pixel・Galaxyなど)で使え、フレームレート、シャッタースピード、ISO、ホワイトバランスを決めた値のまま固定し、音の大きさをメーターで見ながら撮れます。発表会なら、フレームレートはiPhoneで29.97fps、Androidで30fpsを選び、シャッターは60Hzの地域で1/60、50Hzの地域で1/50か1/100にします。ISOと色はリハーサルの照明で決めてロックし、音は合奏のいちばん大きな音でもメーターが緑の上限を越えない置き場所を探します。
容量は本番と同じ設定で1分だけ試し撮りして測り、2時間ぶんの空きを用意します。決めた設定はプリセットに保存しておけば、当日の朝に呼び出すだけで済みます。決めておく値を下の図に先に並べ、理由と手順はこのあと項目ごとに書きます。
どれも本番の前に決め、プリセットに保存しておく
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
標準のカメラで撮った発表会に起きること 使える機種と入れる前に知っておくこと|iPhone版とAndroid版で違う所 画面のどこを触るか フレームレートは29.97fps|Android版は30fpsを選ぶ 縦長ビデオ・オフスピード・コマ落ち|撮る前に見ておく設定 シャッタースピードは会場の電源が50Hzか60Hzかで決める ISOとホワイトバランスはリハーサルの照明で固定する ピント・レンズ・手ぶれ補正 残りの15項目を見る 音楽会・劇・ダンスで変えるところ 音声レベル|リミッターが無いのでいちばん大きな音に合わせて余白を取る マイクの選び方と客席での置き場所 H.264かH.265か・4KかHDか 2時間ぶんの容量は本番と同じ設定の試し撮りで測る 撮ったファイルの大きさとDVDに入る時間は別に考える 電池と熱・撮影中に音と光を出さない設定 2台のスマホで撮るとき 発表会の3週間前から終演後まで 開演前の10分と演目の合間にすること 撮った映像の困りごとを症状から直す 音が入らない・割れた・途中で止まったときの見分け方 DVDにするまで音がずれない理由 取り出してディスクにする|自分で焼くときと当社に頼むとき よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
標準のカメラで撮った発表会に起きること
スマホの標準のカメラは、誰が撮っても見られる映像になるように作られています。昼の公園で子どもを撮るなら、それで困ることはほとんどありません。困るのは暗い客席から明るい舞台を、2時間近く同じ位置で撮り続ける発表会のような場面です。照明が変わるたびにカメラが合わせ直し、その合わせ直しが映像にそのまま残ります。
暗い場面で下がるコマ数
iPhoneの標準のカメラには「FPS自動調整」という設定があり、暗い場面では見やすくするためにフレームレートを24fpsまで下げます。場所は「設定」の「カメラ」から「ビデオ撮影」で、iPhone 18 Proでは4Kで撮るときにも働くとAppleのユーザガイドにあります。Galaxyの標準のカメラにも「自動FPS」という項目があり、暗い場所で明るく撮るためにフレームレートを自動で変えると取扱説明書で説明されています。
コマの数が途中で変わった動画は、再生アプリで見るぶんには気づかないことが多いのですが、編集ソフトの中には1秒を決まったコマ数で数えるものがあり、そこで映像と音の長さが合わなくなります。iPhoneの設定の意味とオフにする判断はiPhoneのFPS自動調整の記事 で詳しく書きました。この設定は標準のカメラでもオフにできますが、ほかの自動の働きは残ります。
照明が変わるたびに動く明るさと色
発表会の照明は演目ごと、場面ごとに変わります。幕が開く前の暗い舞台、全体を照らす明かり、ひとりに当てるスポットライト、青や赤の色のついた照明。標準のカメラはそのたびに画面全体がちょうどよい明るさになるよう露出を合わせ直します。暗転に近い場面では黒い舞台が灰色に持ち上がってざらつき、スポットライトの場面では顔が白くなって表情が見えなくなります。
色も同じです。青い照明で静かな場面を演出しているのに、カメラの自動の色合わせが「青すぎる」と判断して、普通の明かりに近い色へ戻してしまうことがあります。iPhoneには録画中のホワイトバランスをロックする設定があり、画面を長押しすれば明るさとピントも固定できます。ただ、どの値で固定されたのかは画面に数字で出ないので、リハーサルで決めた状態を本番で再現するのは難しくなります。なお、iPhone 18 Proの標準のカメラは、仕様ページにシャッタースピードやホワイトバランスなどの「プロレベルのコントロール」が加わったと書かれています。
撮っている間に見えない音の大きさ
標準のカメラの画面には録音している音の大きさを示すメーターがありません。合奏の大太鼓やシンバル、スピーカーのすぐ前の席で拾った音楽は、録音できる上限を越えると波形の頭が切れて、バリバリとした割れた音になります。撮っている間は画面に何も出ないので、気づくのは家で再生したときです。割れた音はあとから編集で元の音に戻せません。
標準のカメラが場面ごとに合わせ直すコマの数や明るさ、色を、Blackmagic Cameraは決めた値のまま保ち、音の大きさもメーターで見られます。
標準のカメラは場面ごとに合わせ直し、Blackmagic Cameraは決めた値を保つ
決めた値のまま撮るBlackmagic Camera
Blackmagic Cameraは、映画やテレビの撮影に使う業務用カメラを作っているBlackmagic Designのアプリで、同社のカメラと同じ操作の画面をスマホで使えるようにしたものです。フレームレート、シャッタースピード、ISO、ホワイトバランスを数字で選び、それぞれロックできます。ロックした値は照明が変わっても動きません。暗い場面は暗いまま、青い照明は青いまま、舞台で起きたことが映像に残ります。
音はメーターで見ながら撮れます。メーターの振れ方を見て、スマホの置き場所や入力の大きさを本番の前に決められるのが、標準のカメラとのいちばん大きな違いです。フレームレートが途中で変わらないことは、あとでDVDにするまで音と映像の長さがそろう理由にもなります。その仕組みは後半の節で書きます。
標準のカメラが暗い場面で下げるのは24fps、発表会で選ぶのはiPhone版が29.97fps、Android版が30fpsです。
暗い場面でもコマ数を変えないことが、発表会の撮影の出発点
一方で、すべてを自分で決めるぶん、決め方を知らないまま撮ると、標準のカメラより暗い映像や、色の偏った映像になります。本番の前に、同じ会場か、明るさの近い部屋で試し撮りをする時間を取ってください。このあとの節はその試し撮りで決める順番に並べています。
使える機種と入れる前に知っておくこと|iPhone版とAndroid版で違う所
Blackmagic Cameraは無料で、iPhoneとiPadはApp Store、AndroidはGoogle PlayとGalaxy Storeから入れられます。公式の仕様ページ(2026年11月時点)では、iPhoneはiOS 16.6以降、iPadはiPadOS 18以降、AndroidはAndroid 13以降の携帯電話に対応すると書かれています。表示する言葉は日本語を選べます。
Androidの対応機種は仕様ページに一覧があります。GalaxyはS21・S22・S23・S24の各シリーズ、PixelはPixel 6から9までのFoldを除く全機種、ほかにOnePlusの11・12シリーズ、Xiaomiの13・14シリーズ、Xperiaの1・5シリーズとPRO-Iが並び、OppoとVivoは互換性のある機種とされています。一覧にはすべての機種がすべての機能に対応するわけではない、という注記も付いています。
一覧に無い新しい機種で使うとき
PixelやGalaxyの新しい機種が一覧に無いからといって、使えないとは限りません。ストアからアプリを入れられるか、入れたうえでフレームレートやシャッターの選択肢が出るかは、手元の機種で開いてみるのが確かです。発表会の当日に初めて開くのは避け、少なくとも1週間前には入れて、10分ほどの試し撮りまで済ませてください。選べる値は機種と、選んだコーデック(映像を圧縮する方式)で変わると仕様ページにあります。
iPhone版とAndroid版の違い
同じ名前のアプリでも、iPhone版とAndroid版では選べる値が違います。発表会の撮影で影響が大きいのは、フレームレートの29.97fpsがAndroid版に無いこと、音声の入力の大きさ(ゲイン)を変えられる音源の範囲、音声の形式の3つです。iPhone版はゲインを変えられるのが「互換性のある外部オーディオソース」と書かれ、Android版は「すべてのソース」で設定できると書かれています。iPhoneの内蔵マイクで撮るときは、入力の大きさを画面で下げられない場合があると考えて、置き場所で調整する前提にしておきます。
公式の仕様ページ(2026年11月時点)による。選べる値は機種で変わる
ほかにも、iPhone版はApple ProRes(編集向けの大きなファイル)で記録でき、Android版は対応機種で8Kまで選べるなど、仕様の違いはいくつもあります。ただ、DVDやブルーレイにする発表会の映像では、そこまで大きなファイルは要りません。以下はどちらの版でも選べるH.264とH.265、HDの解像度を前提に書いています。
標準のカメラのままでよい場面
Blackmagic Cameraが向かないのは、試し撮りの時間が取れず当日に初めて設定を決めることになるとき、撮るのが祖父母などスマホの細かい操作に慣れていない人のとき、手に持って歩きながら短い場面だけを撮るときです。決める値が多いぶん、どこかを間違えると、標準のカメラより見づらい映像になります。
そうしたときは、標準のカメラのままで、iPhoneならFPS自動調整とHDRビデオをオフにし、撮る前に舞台を長押しして明るさとピントを固定するだけでも、困りごとの多くは減ります。一方、三脚で2時間撮り続ける、合奏の音を割らずに録りたい、照明の色を残したい、という発表会なら、Blackmagic Cameraで値を決めるほうが、仕上がりを読みやすくなります。
画面のどこを触るか
アプリを開くと、撮っている映像の上に、いまの設定が文字で重なって表示されます。この表示はヘッドアップディスプレイ(HUD)と呼ばれ、レンズ、フレームレート、シャッター、ISO、ホワイトバランス、ティント(色の緑とマゼンタの寄り)、ヒストグラム、音声のメーターなどが並びます。数字をタップすると、その場で値を選び直せます。画面を上か下にスワイプすると表示が消え、映像だけを全画面で見られます。
細かい設定は「設定」の画面に分かれています。公式の仕様の一覧は設定を次のような分け方で載せています。アプリの表記はバージョンで少しずつ変わるので、名前が違うときは働きの近い項目を探してください。
公式の仕様の一覧の分け方。アプリの表記はバージョンで変わる
撮影中によく触るのは上の段のフレームレートとシャッター、ISO、ホワイトバランスの4つと、下のほうにある音声のメーターです。メーターをタップすると、ゲインなど音の設定がまとまった画面が重なって開きます。画面の下にはストレージの表示もあり、録画できる残りの時間が出ます。撮った動画をどこに保存するか(クリップの保存先)は設定の「メディア」の項目で選び、撮った動画は「メディア」のタブで見返します。
初めて開いた日は何も撮らずに、この4つの数字と2つの表示がどこにあるかを確かめるだけで十分です。発表会の前日に初めて触ると、選び方を調べているうちに時間が過ぎてしまいます。
初めて開いたときの許可
アプリを初めて開くと、カメラ、マイク、写真へのアクセスなどを許可するかを尋ねる表示が順に出ます。カメラとマイクは必ず許可します。マイクを許可しないと、映像は撮れても音が入りません。写真への許可は撮った動画を写真アプリにも保存したいときに要ります。位置情報は動画に場所を残さないなら許可しなくてかまいません。あとから変えるときは、iPhoneは「設定」の「プライバシーとセキュリティ」、Androidは設定のアプリの権限から直せます。
決めた設定はプリセットに保存する
このあとの節で決める値は、最後にプリセットとして保存します。仕様の一覧によると、プリセットは新しく保存するほか、読み込みと書き出しができ、iPhone版は上書きもできます。名前は「発表会_29.97_1-60」のように、フレームレートとシャッターが分かる形にしておくと、別の行事用のプリセットと取り違えません。HUDの右にある3つの機能ボタン(F1〜F3)にはプリセットを割り当てられるので、当日はボタン1つで呼び出せます。
上書きには注意が要ります。会場で値を少し変えたあとにうっかり上書きすると、家で決めた値が消えます。会場で変えた値は別の名前のプリセットとして保存してください。2台目のスマホに同じ設定を入れるときも、書き出したプリセットを読み込めば、1つずつ合わせる手間が省けます。
フレームレートは29.97fps|Android版は30fpsを選ぶ
フレームレートは1秒の映像を何枚の静止画(コマ)で作るかを表す数です。発表会をDVDにするなら、iPhone版では29.97fpsを選びます。日本の家庭用のDVDはNTSCという方式で、1秒が29.97コマと決まっているからです。当社が作るDVDも、720×480・29.97fpsの形です。ブルーレイの1920×1080の映像にも29.97コマ(インターレースで1秒59.94回の書き換え)の形があるので、29.97fpsで撮っておけば、DVDでもブルーレイでもコマ数を変えずに済みます。
フレームレートはHUDの数字をタップして選びます。選べる値は機種とコーデックで変わり、iPhone版の仕様ページには23.98、24、25、29.97、30、48、50、59.94、60、100、120fpsが並んでいます。29.97と30は数字が近いので、選んだあとにHUDの表示が「29.97」になっているかを見直してください。
29.97と30の0.1%の差は1時間で約3.6秒
29.97fpsは正確には30000÷1001で、30fpsより0.1%だけ少ない数です。ふだん見ていて違いは分かりませんが、どちらかの数で撮った映像を、もう一方の数だと思い込んで並べると、1時間でおよそ3.6秒の差になります。2時間の発表会なら、最後の演目で7秒前後、音が先に進んだり遅れたりする計算です。
変換の手順をきちんと踏めば、このずれは出ません。困るのは編集ソフトの設定と撮った値が食い違ったまま書き出したときです。29.97fpsで撮って29.97fpsのまま渡せば、途中で数え直す場面そのものが無くなります。2つの数の成り立ちと書き出しの合わせ方は29.97fpsと30fpsの違いの記事 にまとめました。
生活発表会や音楽会なら、ほとんどの場合は29.97fpsか30fpsになる
Android版は30fpsを選ぶ
Android版の仕様ページに並ぶフレームレートは、24、25、30、48、50、60、120、240fpsで、29.97fpsはありません。Androidで撮るなら30fpsを選びます。30fpsの映像をDVDにするときは、時間の長さを変えずに29.97fpsへ直します。一般的なやり方は1001コマにつき1コマ、つまり約33秒に1コマを間引く形で、見ていて気づくほどの変化はありません。
30fpsのまま一定の間隔で記録されていることが大事です。標準のカメラのように暗い場面で24fpsに下がることがなければ、コマ数を直す計算は最初から最後まで同じで済みます。30fpsで撮った動画を入稿するときは、撮った値をそのまま伝えれば十分です。
24fps・25fpsを選ばない理由
24fpsと23.98fpsは映画のような動きに見せるための値です。DVDの29.97fpsに直すときは、コマを決まった順で2回、3回と繰り返して数を合わせるため、横に動く子どもや、カメラを左右に振った場面で、動きがわずかにぎくしゃくします。25fpsと50fpsはヨーロッパの多くの国などで使われるPALという方式の値で、日本の家庭用のDVDプレーヤーの方式とは違います。どちらも、発表会をDVDにする前提なら選ぶ理由がありません。
アプリを入れた直後は、初めから入っている値が24fpsや25fpsになっていることがあります。とくにほかの人が使っていたスマホや、映像制作の練習で使ったスマホでは、前の設定が残っています。発表会の前に、フレームレートの表示を必ず見てください。
59.94fps・60fpsを選んでよい場面
ダンスの発表会のように動きの速い演目が中心で、舞台が明るく、会場が60Hzの地域なら、59.94fps(Android版は60fps)も選べます。1秒のコマ数が倍になるので、速い動きの1枚1枚がはっきりします。DVDは1秒に59.94回、画面の半分ずつを書き換える方式なので、この細かさはDVDにしてもある程度残せます。仕組みは30fps・60fpsとインターレースの記事 で書いています。
代わりに、同じ画質を保つにはデータが多く要り、シャッタースピードを1/60より遅くできなくなります。1コマの間隔が約1/60秒なので、それより長く光を取り込めないからです。暗い会場ではISOを上げるしかなく、映像のざらつきが増えます。次の節で書くとおり、50Hzの地域では1/60が使えないので、1/100まで速めることになり、さらに暗くなります。生活発表会や音楽会のように、暗い照明の場面や、歌や演奏でじっと立っている場面が多い会では、29.97fpsのほうが扱いやすい値です。
差の大きさを数字で見ておくと、29.97と30を取り違えたときの影響がつかめます。
正しく変換すれば長さは変わらない。困るのは取り違えたときだけ
縦長ビデオ・オフスピード・コマ落ち|撮る前に見ておく設定
フレームレートのほかにも、知らないうちに映像の形や時間の流れを変えてしまう設定が3つあります。どれも一度決めればプリセットに入るので、アプリを入れた日に見ておきます。前の持ち主や家族が別の用途で使っていたスマホでは、とくに見落としやすい項目です。
縦長ビデオはオフにして横向きで撮る
Blackmagic Cameraには、SNS向けの縦長の映像を撮る「縦長ビデオ」という設定があります。オンのままスマホを縦に持つと、縦長の映像で記録されます。DVDやブルーレイは横長の画面なので、縦長の映像は左右に大きな黒い帯が付き、子どもの姿が小さく映ります。発表会では縦長ビデオをオフにして、スマホを横向きに三脚へ付けます。
仕様の説明では、縦長ビデオがオフなら、スマホを縦向きにしても横長の形式で撮影されます。製品ページも、目立たないように撮りたいときは縦向きのまま16:9で撮れると紹介しています。三脚が使えない会で、縦に構えたほうが周りの視界をさえぎりにくいなら、この使い方もできます。「現在の向きにロック」をオンにすると、スマホの向きが変わっても今の向きのまま撮り続けます。
オフスピード収録はオフ
設定には「オフスピード収録」という項目もあります。撮るときのコマ数と再生するときのコマ数を変えて、スローモーションや早回しを作る機能で、撮った映像は選んだプロジェクトのフレームレートで再生されます。発表会の記録では時間の流れが実際と変わってしまうので、オフのままにします。
コマ落ちのときは「警告」を選ぶ
「コマ落ち発生時の対処方法」は「警告」と「収録の停止」から選べます。スマホの処理が追いつかずにコマを取りこぼしたとき、警告を出して撮り続けるか、撮るのを止めるかの選択です。発表会の撮り直しはできないので、「警告」を選び、撮り終えたあとに映像を確かめるほうが、途中で止まって演目を撮り逃すよりも損が小さくなります。警告が出たら、演目の合間に一度止めて、ほかのアプリを閉じてから撮り直し始めます。
シャッタースピードは会場の電源が50Hzか60Hzかで決める
シャッタースピードは1コマごとに光を取り込む時間です。発表会の撮影では明るさや動きのにじみより先に、照明のちらつきが出ない値かどうかで決めます。体育館の天井の照明や、ホールの客席の照明、舞台の照明の多くは、家庭のコンセントと同じ交流の電気で光っていて、目には見えない速さで明るさが上下しています。その周期とシャッターが合わないと、画面に横縞が流れたり、画面全体が細かく明るくなったり暗くなったりします。
東日本の多くは50Hz・西日本の多くは60Hz
日本の電気の周波数は東日本の多くが50Hz、西日本の多くが60Hzです。境目はおおむね静岡県の富士川から新潟県の糸魚川のあたりで、その周辺には両方が混ざる地域もあります。照明の明るさは1回の波で2回上下するので、50Hzの地域では1秒に100回、60Hzの地域では1秒に120回、明るさが波打っています。
シャッターを開けている時間が、この波のちょうど整数倍になっていれば、どのコマにも同じ量の光が入り、ちらつきは出ません。50Hzの地域なら1/100秒か1/50秒、60Hzの地域なら1/120秒か1/60秒です。逆に、50Hzの会場で1/60や1/120を使うと、コマごとに光の量がずれて、横縞やちらつきの原因になります。
照明は1回の波で2回明るさが上下する。シャッターをその周期に合わせる
29.97fpsで撮るときのシャッターの目安
動きのにじみ方も考えると、29.97fpsで撮るときの目安は、60Hzの地域で1/60、50Hzの地域で1/50か1/100です。1/60は1コマの間隔のおよそ半分の時間光を取り込むので、動きが自然につながって見えます。映画の撮影でシャッターアングル180度と呼ばれる設定に近い値です。
50Hzの地域の1/50は1/60より少し長く光を取り込むので、暗い会場では明るさに余裕が出ます。そのぶん、速く動く手足はわずかにぶれます。1/100は動きがくっきりする代わりに、光の量が1/50の半分になり、ISOを上げることになります。踊りの多い演目は1/100、劇や合唱は1/50、と演目で選ぶ考え方もありますが、途中で変えると明るさがそろわなくなるので、1本の発表会では1つの値に決めて通すほうが無難です。
シャッターの値は1コマごとに光を取り込む時間そのものです。ミリ秒に直して並べると、1/100秒は1/50秒の半分の時間しか開いていないことが分かります。時間が半分なら、取り込める光も半分です。
時間が半分になれば、取り込む光も半分になる。そのぶんISOを上げる
「フリッカーの生じないシャッター」とシャッターの表示
Blackmagic Cameraの設定には「フリッカーの生じないシャッター」という項目があり、iPhone版は50Hzと60Hz、Android版は50Hz・60Hz・自動から選べます。撮る場所の電源の周波数を選んでおく項目です。製品ページでは、シャッターの値を選ぶダイヤルをスクロールして、推奨の速度を選べると説明されています。会場の地域に合わせて選んでから、シャッターの値を決めてください。
シャッターは「シャッタースピード」と「シャッターアングル」のどちらで表示するかを設定で選べます。アングルは映画の撮影で使う表し方で、フレームレートによって同じ角度でも時間が変わります。この記事の値は秒で書いているので、表示はシャッタースピードにしておくと迷いません。仕様ページにある値は1/24から1/8000までで、1/50、1/60、1/100、1/120も含まれています。値を決めたら、ロックをオンにします。
正しい値でもちらつくとき
舞台用のLEDの照明の中には、明るさを調整するために、電源の周波数とは別の速さで点滅させているものがあります。また、舞台の後ろの大きなLEDの画面や、プロジェクターで映した映像は、シャッターの値を合わせても縞が出ることがあります。リハーサルや前の演目の時間に10秒ほど撮って再生し、縞が出るなら、1/50と1/100(60Hzの地域なら1/60と1/120)を入れ替えて比べてください。
どの値でも縞が消えない照明はあとから編集で消すのも難しいものです。縞の出る照明が使われるのが一部の演目だけなら、その場面はあきらめて、ほかの場面の見やすさを優先します。
値を決めたら、1本の発表会の間は動かさない
ISOとホワイトバランスはリハーサルの照明で固定する
フレームレートとシャッターを決めると、明るさを調整できるのは主にISOになります。ISOはカメラの受けた光をどれだけ増幅するかの値で、上げるほど明るく写る代わりに、暗い部分のざらつき(ノイズ)が増えます。仕様ページの範囲はiPhone版がISO 21〜5472、Android版がISO 25〜10666で、実際に選べる値は機種とレンズで変わります。HUDのISOの数字をタップして選びます。
ISOは顔の明るさで決める
ISOを決める基準は舞台の上の子どもの顔です。演目の多くは舞台全体を普通に照らした明かりで行われます。その明かりの下で顔が自然な明るさに見えるところまでISOを上げ、そこで止めます。背景の幕や体育館の壁を基準にすると、顔が明るくなりすぎます。
決めたあとで照明が暗い場面になると、映像も暗くなります。それで正しい状態です。暗転に近い静かな場面は暗く映ってこそ演出どおりで、標準のカメラのように灰色に持ち上げてざらつかせるより、見ていて自然です。暗い場面に合わせてISOを上げ直すと、次に明るい照明に戻ったとき、顔が真っ白になります。演目の途中では動かさないでください。
ゼブラとフォルスカラーで顔の明るさを見る
スポットライトが当たったときに顔が白くつぶれないかは、スマホの画面の明るさでは判断しにくいものです。会場が暗いと、画面は実際より明るく見えます。そこで使うのが、明るすぎる部分に斜めの縞を重ねる「ゼブラ」と、明るさの段階を色で塗り分ける「フォルスカラー」です。製品ページの説明では、フォルスカラーで明るめの肌に適した明るさはピンク、暗めの肌は緑で示され、赤は明るすぎる部分です。
ゼブラをオンにして、スポットライトの当たった顔に縞が出るなら、ISOを一段下げます。縞が白い衣装や照明そのものに出るのは気にしなくてかまいません。フォルスカラーは映像そのものが見えにくくなるので、確かめるときだけオンにして、確かめたらオフに戻します。どちらも画面に重ねる表示で、撮った映像には残りません。
ホワイトバランスは白い服や幕が白く見える値に
ホワイトバランスは照明の色に合わせて、白いものを白く写すための設定です。数字はケルビン(K)で表し、小さいほど電球のような黄色っぽい光、大きいほど青白い光に合わせた値になります。Blackmagic Cameraでは、2,500Kから10,000Kの間で手で選べるほか、「白熱電球」「蛍光灯」「日光」「曇り」「日陰」のプリセットがあります。緑やマゼンタに寄った色はティントで直します。
決め方はISOと同じく、舞台全体を普通に照らした明かりで行います。白い体操服や白いブラウス、白い幕など、白いはずのものが画面で白く見える値を探します。プリセットの中から近いものを選び、ケルビンの数字を少しずつ動かして合わせると早く決まります。舞台のLEDの照明には色の出方が電球と違うものもあるので、プリセットの名前だけで決めず、画面で白さを見て決めてください。
露出と色はフレームレートから順に決め、最後にロックしてプリセットに保存します。
前の値が決まらないと次が決まらない。この順でリハーサルの時間に決める
色のついた照明は色のまま残す
青い照明の夜の場面や、赤い照明の夕焼けの場面は、照明の係が色で演出しているところです。ホワイトバランスをオートにしていると、カメラはその色を「ずれ」とみなして打ち消そうとし、場面の色が薄くなります。全体の明かりで決めた値をロックしておけば、青い場面は青く、赤い場面は赤く残ります。
ロックはHUDのホワイトバランスの表示から行うほか、カメラの設定に「収録のホワイトバランスをロック」という項目もあります。録画を始めたら色が動かないように、こちらもオンにしておきます。
色の照明は演出の一部。打ち消さずに残す
ピント・レンズ・手ぶれ補正
ピントはオートフォーカスのオンとオフ、画面をタップして合わせるタッチフォーカス、手で動かすマニュアルフォーカスから選べます。iPhone版のマニュアルフォーカスは、いちばん近い位置を0.00、いちばん遠い位置を1.00とした数字で表示されます。ピントの合っている輪郭に色を付けて見せるフォーカスアシストもあります。
客席から舞台を撮るなら、リハーサルの時間に舞台の中ほどにいる子どもをタップしてピントを合わせ、オートフォーカスをオフにします。オートのままだと、暗転のたびにピントが前後に迷ったり、前の席の人の頭が画面を横切ったときにそちらへピントが移ったりします。スマホのカメラは客席から舞台までの距離なら、ピントの合う奥行きが広いことが多く、舞台の前と後ろを子どもが行き来しても、合わせ直さずに済む場合がほとんどです。
レンズの選び方と録画中のズーム
複数のカメラを持つ機種では、HUDで使うレンズを選びます。舞台全体が入る広さのレンズにするか、わが子の立ち位置が大きく入る望遠のレンズにするかは、席と目的で決めます。どのレンズでも、指で広げて拡大するデジタルのズームは、画素を引き伸ばしているぶん粗くなります。2台目のスマホがあるなら、1台を全体、1台を望遠に分ける方法が後の節にあります。
録画しながらズームやレンズの切り替えをすると、画面が揺れたり、明るさや色が一瞬変わったりします。演目の途中で触らないのが基本で、どうしても寄りたい場面があるなら、演目の合間に一度録画を止めて切り替えます。
DVDにするときのデジタルのズームの目安
デジタルのズームで粗くなるといっても、どこまでなら困らないかは、仕上げる先で変わります。DVDの画面は720×480の画素で、16:9の映像では横に引き伸ばして表示されます。HDの1920×1080で撮った映像から一部を切り出す場合、計算上は2倍あまりまで寄っても、切り出した範囲の画素の数がDVDの画面を下回りません。4Kで撮れば、4倍あまりまで同じことが言えます。
ただし、これは画素の数だけの計算です。スマホのズームは画素を引き伸ばすときに輪郭を強めるなどの処理をすることが多いので、寄るほど細かい部分の不自然さは増えます。暗い会場では、ざらつきも一緒に拡大されます。DVDで見る前提なら、わが子が画面の高さの半分くらいに入る程度の寄りにとどめ、それ以上は、編集で切り出すか、望遠のレンズに切り替えて撮るほうが自然に見えます。
三脚なら手ぶれ補正はオフ
手ぶれ補正(スタビライゼーション)は、iPhone版がオフ・標準・シネマ・最大、Android版がオフ・標準・光学補正から選べます。手ぶれ補正の多くは画面の周りを少し切り取り、その余白で揺れを打ち消す仕組みです。iPhoneの標準のカメラの設定の説明にも、わずかにズームインして手ぶれを補正するとあります。三脚や机にしっかり固定して撮るなら、揺れが無いのでオフにして、画面の広さを使い切ります。
手で持って撮るなら、まず標準を試します。強い補正は揺れをよく抑えますが、切り取る範囲が広がり、暗い場面では動きの止まった部分がわずかに揺らいで見えることがあります。どれを選ぶかは、三脚や机に固定できるか、手すりや膝で支えられるかで決まります。
固定できるならオフ。手で持つなら標準から試す
音楽会・劇・ダンスで変えるところ
ここまでの設定はどの発表会でもほとんど同じです。それでも、演目の種類によって、先に決めるものと気を付ける場面が少しずつ違います。園の生活発表会は劇と合奏と歌が混ざることが多く、小学校の音楽会は合唱と合奏が中心、ダンスの発表会は照明と音楽が大きく動きます。自分が撮る会がどれに近いかを見て、試し撮りで確かめる順番を決めてください。
音楽会・合唱は音の大きさから決める
音楽会や合唱の会は照明が演目の間ほとんど変わらず、出演者も大きくは動きません。映像の設定は全体の明かりでISOとホワイトバランスを一度決めればほぼ済みます。そのぶん、仕上がりの差は音で出ます。合奏のいちばん大きな部分でメーターが緑の上限を越えないかを最初に確かめ、置き場所は舞台の正面の中ほどを選びます。シャッターは60Hzの地域なら1/60、50Hzの地域なら1/50です。
劇は顔の明るさと色を先に決める
劇やオペレッタは場面ごとに照明が変わり、色のついた照明や暗転も入ります。全体の明かりで顔が自然に見えるISOを決め、ホワイトバランスをロックするのが先です。登場人物が舞台の端から端まで動くので、レンズは舞台全体が入るものを選び、寄りは2台目か編集に任せます。せりふの声は小さく録れがちですが、合奏が同じ会にあるなら、前に書いたとおり合奏に合わせます。
ダンスはシャッターを速めにする
ダンスは手足の動きが速く、1/50や1/60では動きがぶれて見えます。舞台が明るければ、60Hzの地域は1/120、50Hzの地域は1/100にすると、動きの1コマ1コマがくっきりします。光の量が半分になるので、ISOがどこまで上がるかを試し撮りで確かめます。照明の点滅や、舞台の後ろのLEDの画面が使われることもあるので、ちらつきはリハーサルで必ず確かめます。音楽はスピーカーから大きく流れるので、メーターの振れ方は音楽会より大きめに見積もります。
演目ごとの違いを表にした下の図では、シャッターは60Hzの地域の値を先に書いています。
シャッターは60Hzの地域の値、50Hzの地域の値の順に書いた
音声レベル|リミッターが無いのでいちばん大きな音に合わせて余白を取る
デジタルの録音には記録できる音の大きさの上限があります。この上限を0dBFSと呼び、これを越えた音は波の頭が切り取られて、割れた音として記録されます。Blackmagic Cameraの製品ページは、歪みを防ぐには音の最も大きいところ(ピーク)が、メーターの緑の範囲の上限近くに収まるのが理想だと説明しています。
標準のカメラと違って、Blackmagic Cameraは音の大きさをメーターで見ながら撮れます。ただし、公式の仕様の一覧(2026年11月時点)には、大きすぎる音を自動で抑えるリミッターや、入力の大きさを自動で調整する項目は載っていません。いったん決めた大きさのまま録音されると考え、発表会でいちばん大きな音が鳴っても上限に届かないように、最初から余白を取っておく必要があります。
メーターの種類と基準の値
メーターの種類はVUとPPMから選べます。VUは音の大きさの平均をゆっくり示し、PPMは瞬間の大きな音にすばやく反応します。発表会で気にしたいのは太鼓やシンバル、拍手のような一瞬の大きな音なので、PPMのほうが割れそうな音を見つけやすくなります。基準の値は-18dBFSと-20dBFSから選べます。基準の値はメーターの目盛りのどこを標準の大きさとして示すかの違いで、録音される音そのものは変わりません。
音の設定の画面では、サンプルレート(1秒に音を何回記録するか)を自動・44.1kHz・48.0kHzから選べます。DVDの映像の音は48kHzが基本なので、48.0kHzを選んでおくと、ディスクにする段階でサンプルレートを変える手間が要りません。チャンネルはステレオにします。iPhone版にはデュアルモノや4チャンネルもありますが、家庭のテレビで見るディスクにはステレオで十分です。
上限の0dBFSを越えた音は割れたまま記録され、あとで戻せない
ゲインを下げられるかを先に確かめる
メーターをタップすると、ゲイン(入力の大きさ)のスライダーが出る画面が開きます。Android版の仕様はすべての音源でゲインを設定できると書いています。iPhone版はゲインを設定できるのを「互換性のある外部オーディオソース」としているので、iPhoneの内蔵マイクで撮る場合は、スライダーが使えないか、動かしても変わらないことがあります。手元のスマホで、内蔵マイクのままメーターをタップして確かめておいてください。
ゲインを下げられないときは、スマホの置き場所と向きで音の大きさを決めます。外付けのマイクをつなぐ場合は、iPhone版でもゲインを使えることがあり、マイクの本体に入力の大きさを切り替えるスイッチがあれば、そちらでも下げられます。
iPhoneの内蔵マイクは、置き場所で調整する前提にする
いちばん大きな演目で振れ方を見て決める
ゲインや置き場所は静かな歌や先生のあいさつで決めてはいけません。そこで緑の上限近くに合わせると、合奏が始まったとたんに上限を越えます。リハーサルを見られるなら合奏や太鼓の演目で、見られないなら1つめの演目の拍手や、開演前に流れる音楽で、PPMの振れ方を見ます。いちばん大きな音で、針やバーが緑の上限のあたりで止まり、上の黄色や赤に入らないところが目安です。
そう決めると、歌やせりふの場面では、メーターが基準の値の下のほうで振れることになります。小さく録れた音は編集で持ち上げられます。割れた音は戻せません。迷ったら、小さめに録る側に寄せてください。
劇の小さな声と合奏の大きな音が同じ会にあるとき
生活発表会では、劇のせりふと、鍵盤ハーモニカや太鼓の合奏が、同じ午前中に続くことがよくあります。リミッターが無い以上、両方にちょうどよい大きさは選べません。合奏に合わせると劇の声は小さく、劇に合わせると合奏が割れます。この場合は合奏に合わせ、劇の声は編集で持ち上げる、と決めておきます。
劇の声をもっとはっきり残したいなら、2台目のスマホを舞台に近い席に置いて、劇の演目だけ近くから録る方法もあります。主催者の許可が取れれば、外付けのマイクを舞台の近くに置く方法もあります。どちらも編集で音を差し替える手間が増えるので、自分で編集するかどうかと合わせて決めてください。
マイクの選び方と客席での置き場所
ゲインを下げられない場面が多いぶん、スマホの発表会の録音は、どのマイクを使い、スマホをどこに置くかで仕上がりの大半が決まります。席を選べる会なら、映像の見え方と同じくらい、音の入り方で席を決めてください。
内蔵マイクは背面から試す
iPhone版では内蔵マイクを自動・背面・底部・前面から選べます(機種によって選べるものは違います)。舞台に向けたカメラと同じ面にあるのは背面のマイクなので、舞台の音を拾いたいなら背面を試します。Android版は自動・内蔵マイク(1)・内蔵マイク(2)で、どれが舞台側かは機種で違うため、試し撮りで聞き比べて決めます。
聞き比べるときは、スマホを三脚に付けた状態で行います。三脚のホルダーの爪や、スマホのケースの縁が、マイクの小さな穴をふさいでいることがあるからです。手で持って試したときはよく録れていたのに、三脚に付けたら音がこもった、というときは、まず穴の位置とホルダーの当たる位置を見比べてください。
客席のどこに置くか
置き場所でいちばん避けたいのはスピーカーや打楽器のすぐ前です。体育館の発表会では、舞台の両わきや客席の前のほうにスピーカーが置かれることが多く、その近くでは音楽が大きく入りすぎます。客席の中ほどで、舞台の正面に近い位置が、音の大きさと響きの釣り合いを取りやすい場所です。
体育館は天井が高く、壁や床で音がよく響きます。後ろの壁ぎわまで下がると、舞台からまっすぐ届く声より、響いて遅れて届く音のほうが多くなり、歌やせりふが聞き取りにくくなります。ホールは響きが整えられていることが多いぶん、後ろの席でも聞きやすく録れますが、出入り口や通路の近くは、人の出入りやドアの音が入ります。反響の大きい体育館での音の録り方は卒業式の呼びかけ・合唱を録る記事 にも書いています。
見落としやすいのが、撮っている人自身の拍手と声です。スマホのすぐ横で手をたたくと、その音がいちばん大きく入り、メーターが一気に上限を越えます。三脚に載せたスマホから少し離れて拍手する、隣の人との会話は小声にする、といった気づかいで、録音の割れはかなり減ります。
ゲインを下げられない内蔵マイクは、置き場所で音の大きさが決まる
外付けのマイクを使うとき
内蔵マイクで満足できないなら、外付けのマイクをつなぐ方法があります。Blackmagic Cameraの音源は「なし」「スマホのマイク」「サードパーティのマイク」から選べます。製品ページは、ケーブルかワイヤレスで外付けのマイクを加えて録音できると説明しています。iPhone版でも、互換性のある外部の音源ならゲインを設定できます。
スマホの上に付ける小さなマイクは、向けた方向の音を多めに拾うものが多く、客席のざわめきを減らすのに役立ちます。ワイヤレスのマイクで送信機を舞台の近くに置く方法は、音はよく録れますが、主催者の許可が要ります。どちらの場合も、つないだら音源が外付けのマイクに切り替わっているか、メーターが振れるかを確かめ、10分ほど試し撮りしてから本番に使います。マイクの電池が途中で切れると、その時点から音が入らなくなります。
音声の形式とモニタリング
iPhone版は音声の形式をリニアPCM、IEEE Float、AACから選べます(機種によります)。リニアPCMは圧縮しない形式で、容量が増える代わりに、録った音をそのまま残せます。AACは圧縮した形式で、容量が小さく済みます。2時間の発表会なら、どちらでも撮れます。容量に余裕がある機種ならリニアPCM、空きが少ないならAACと考えてください。Android版はAACだけです。
撮りながら音を聞く「オーディオモニタリング」もあり、出力はスピーカーかBluetoothから選びます。Bluetoothのイヤホンは音が少し遅れて届くことがあるので、映像と音のずれを確かめるときには使わないほうが無難です。発表会の客席でイヤホンを付けたままにするのも気が引けるので、聞いて確かめるのはリハーサルの時間に済ませ、本番はメーターを見るだけにします。
H.264かH.265か・4KかHDか
映像の記録の形は設定の「収録」で選びます。決めるのはコーデック、解像度、ビットレート、カラースペースの4つです。DVDやブルーレイにする発表会の映像なら、答えはほぼ決まっていて、H.265かH.264、HD(1920×1080)、ビットレートは容量と相談、カラースペースはRec 709です。
コーデックはH.265かH.264
H.265(HEVC)はH.264より新しい圧縮の方式で、同じくらいの見た目の画質なら、ファイルが小さく済みます。2時間を撮るスマホの空きを考えると、まずH.265を選びます。一方で、古いパソコンや一部の編集ソフトでは、H.265の動画を開くのに追加の部品が要ることがあります。Windowsでは、Microsoft Storeの「HEVCビデオ拡張機能」を入れると再生できるようになります。撮った動画を自分のパソコンで編集する予定があり、そのパソコンでH.265が開けるか分からないなら、H.264を選ぶほうが無難です。2つの違いはH.264とH.265の違いの記事 で詳しく比べています。
iPhone版で選べるApple ProResは、編集の作業で扱いやすいように作られた形式で、ファイルがとても大きくなります。AppleがProResの資料で示している目安では、ProRes 422 HQの1920×1080・30pは1秒あたり220Mb、1時間でおよそ99GBです。2時間の発表会なら200GB近くになり、スマホの空きにはまず収まりません。ProRes RAWは外部のストレージが必要です。Android版の対応機種で選べるAPVも、編集向けの形式です。発表会の記録には使いません。
2時間の発表会はH.265から。編集するパソコンが古いならH.264
解像度はHDか4Kか
DVDの映像は720×480、当社が作るブルーレイは1920×1080です。HD(1920×1080)で撮れば、DVDにもブルーレイにも足ります。4K(一般に3840×2160)は画素の数がHDの4倍あり、そのぶん容量もスマホの負担も増えます。DVDにするときは720×480まで縮めるので、4Kで撮っても、テレビで見るDVDの細かさはHDで撮った場合と大きくは変わりません。
4Kが役に立つのは、あとで編集して、舞台全体の映像から、わが子のいるあたりだけを切り出すときです。4Kの画面の4分の1を切り出しても、HDと同じ画素の数が残ります。全体を1台で撮って、編集で寄りの場面を作りたいなら、4Kを選ぶ理由があります。そうした編集をしないなら、HDにして容量と電池に余裕を回してください。
4Kは一般的な3840×2160で描いた。DVDは16:9に引き伸ばして表示する
ビットレートは「最大・高・中・低」から
ビットレートは1秒の映像に使うデータの量です。Blackmagic Cameraでは「最大」「高」「中」「低」の4段階から選びますが、それぞれが何Mbpsにあたるかは公式の仕様ページに書かれていません。値が大きいほど細かい部分まで残り、ファイルは大きくなります。DVDにする段階で映像は作り直されるので、元の動画は、DVDの画質より余裕のある量で撮れていれば十分です。空きに余裕があるなら「高」、足りなければ「中」から試し、次の節の方法で容量を測って決めます。
カラースペースとHDRの設定
カラースペースは色と明るさをどの範囲で記録するかの決まりです。iPhone版はRec 709、Rec 2020 – HDR、P3 D65、Apple Log – HDR、Apple Log 2 – HDRなどから、Android版はRec 709、Rec 2020 HLG10、BT2020 HDR10から選べます(機種によります)。DVDにする映像はRec 709を選びます。iPhone版にはカメラの設定に「HDRビデオ」のオンとオフもあるので、オフにします。
HDRの映像は明るい部分と暗い部分の差を広く記録できますが、DVDや通常のブルーレイの規格にHDRは無く、ディスクにする段階で普通の明るさの範囲に直すことになります。そこで色や明るさが変わって見えることがあります(HDR動画をディスクにすると色が変わる理由 )。Apple Logはあとで色を整える前提の記録の形で、そのまま見ると平たく灰色っぽい映像です。色を整える作業をしないなら選びません(動画が灰色っぽい原因の記事 )。
コーデックと解像度の組み合わせは、撮ったあとに誰がどう使うかで決まります。自分で編集するか、編集で寄りの場面を作るかの2つに答えれば、選ぶものが決まります。
編集しないなら、HDとH.265で容量と電池に余裕を回す
2時間ぶんの容量は本番と同じ設定の試し撮りで測る
標準のカメラなら、設定画面に1分あたりの容量の目安が出る機種があります。たとえばiPhoneの標準のカメラは、iOS 18.6の設定画面で、1080p・30fpsを高効率とHDRの組み合わせで撮ると1分約65MBと表示されます。Blackmagic Cameraには、こうした1分あたりの目安が公表されていません。ビットレートの段階が名前でしか示されていないので、何GBあれば足りるかは、自分のスマホで測るのがいちばん確かです。
1分だけ撮ってファイルの大きさを見る
測り方は簡単です。フレームレート、シャッター、コーデック、解像度、ビットレート、音声の形式まで、本番と同じ設定にします。部屋の明かりを落として、発表会の暗さに近い状態で、ちょうど1分撮ります。撮れた動画のファイルの大きさを、iPhoneなら「ファイル」アプリで、Androidならファイルを管理するアプリで見ます。その値を120倍すれば2時間ぶんです。
暗い場面を撮るのは、圧縮の方式によっては、ざらつきの多い暗い映像のほうがデータが増えることがあるからです。明るい窓辺で撮った1分を基準にすると、本番で足りなくなるおそれがあります。動きの多い映像でも量が増えることがあるので、試し撮りの間は、カメラの前で手を動かすなどしておくと、少し多めの値が出ます。
仮の値で計算すると、1分が100MBなら2時間で12GB、200MBなら24GBです。図の値は計算の例で、Blackmagic Cameraの実際の大きさではありません。
1分あたりの量を120倍した計算。値は仮の例で、アプリの実際の大きさではない
開演前と休憩のぶんの余裕
発表会の撮影は演目の時間ちょうどでは終わりません。開演前のあいさつや、演目の入れ替わりの時間、休憩のあとの再開まで撮り続けることもあります。120倍した値に、2〜3割の余裕を足した空きを用意してください。プログラムが2時間を超える会なら、その長さで計算し直します。
空きは写真や使っていないアプリを整理して作ります。撮影の当日に空けようとすると、写真をうっかり消してしまったり、整理の途中で開演を迎えたりします。前の週のうちに済ませてください。容量の空け方はスマホの容量不足を解消する記事 にまとめました。
プロキシのオフと残りの時間の表示
「プロキシの収録」をオンにすると、撮るたびに1920×1080のH.265の小さなファイルが、元の動画とは別にもう1本作られます。離れた場所の編集者に素早く送るための機能で、発表会の記録には要りません。オンのままだと、そのぶん空きが減ります。オフにしてください。
Blackmagic Cameraの画面の下には、ストレージの表示があります。製品ページによると、この表示は録画できる残りの時間を時間・分・秒で示します。残りの時間なので、コーデックやビットレートを変えると値も変わります。表示が出ていないときは、設定の「モニター」で「ストレージ状況表示」をオンにします。試し撮りで測った値と、この表示の残り時間の両方を見ておくと、当日の朝に足りるかどうかをすぐ判断できます。
外付けのストレージに記録するとき
スマホの空きが足りないなら、USB-Cでつないだ外付けのSSDなどに記録する方法もあります。iPhone版は内部・外部のストレージへのファイル、Android版も内部・外部のストレージへのファイルを保存先に選べます(機種によります)。外付けのストレージはFAT32で初期化されていると1つのファイルが4GBまでしか作れないので、exFATで初期化しておきます。ケーブルが抜けると記録が止まるので、三脚に固定する方法も含めて、本番の前に同じ組み合わせで10分以上撮って確かめてください。
撮ったファイルの大きさとDVDに入る時間は別に考える
DVDにするときは映像を作り直す
2時間で20GBを超えるような動画を撮ると、「DVDの4.7GBに入らないのでは」と心配になるかもしれません。DVDにするときは、映像をDVDの形(MPEG-2)に作り直すので、撮ったファイルの大きさをそのままディスクに入れるわけではありません。撮るときは、画質と空きの釣り合いだけを考えれば十分です。DVDに何分入るかは作り直したあとの映像の量で決まります(DVDに何分入るかの記事 )。
作り直したあとの量にはDVDの規格で上限があります。DVDの映像は1秒あたり最大9.8Mbpsで、1層のDVDの4.7GBをこの上限の量で埋めると、計算上は1時間ほどで一杯になります。2時間を1層に収めるなら、音も含めた平均を1秒あたり約5.2Mbpsまで下げる計算です。当社の料金表の目安でも、1層のDVDに入るのは約1.5〜2時間です。長くなるほど1秒に使える量が減り、動きの多い場面の細かさが失われやすくなります。
ブルーレイは1層で25GBあり、2時間を入れても、計算上は1秒あたり約27.8Mbpsを使えます。HDで撮った映像の細かさをなるべく残したいなら、ブルーレイを選ぶ理由になります。ただし、ブルーレイはDVDプレーヤーでは再生できないので、祖父母の家の機器を確かめてから決めます。
2枚に分けるなら休憩で区切る
2時間を超える会や、細かさを残したい会を2枚のDVDに分けるなら、区切りは休憩の位置にします。演目の途中で区切ると、1枚目の最後と2枚目の最初で同じ演目が切れてしまいます。休憩で録画をいったん止めておけば、前半と後半のファイルが最初から分かれているので、そのまま1枚ずつにできます。
当社に頼む場合、前半と後半のように内容の違うディスクは、注文フォームの「+別の内容を追加」で内容ごとに分け、それぞれにギガファイル便のURLと枚数を入れます。同じURLを別の内容に貼ると警告が出るので、前半と後半は別々にアップロードしてURLを作ります。内容の違うディスクは料金もそれぞれ1枚目から数えます。
当社に頼むときのデータの大きさの境目
当社に頼むときは、元のデータの大きさで手数料が変わる境目があります。2時間の動画でその境目を計算すると、次の数字になります。
撮ったファイルの大きさと、ディスクの容量は別に考える
当社では、1つの内容のデータがDVDで5GB以上(ブルーレイで25GB以上)のとき、エンコード手数料(大容量データ・内容1種類につき)の3,000円(税抜)がかかります。同じ内容の焼き増しの分にはかかりません。2時間の発表会を1分あたり約42MBより多い量で撮ると、DVDの境目の5GBを超える計算です。画質を下げてまで5GBに収める必要はなく、撮りたい画質で撮ったうえで、この境目を知っておけば十分です。
電池と熱・撮影中に音と光を出さない設定
2時間続けて撮ると、スマホの電池はかなり減ります。どれだけ減るかは機種、電池の傷み具合、画面の明るさ、会場の温度で変わり、Blackmagic Cameraの公式の資料にも時間の目安はありません。満充電で始めても、途中で切れる前提で備えておくほうが安全です。モバイルバッテリーをケーブルでつなぎ、ケーブルの重さで三脚が傾かないよう、バッテリーは三脚の脚や床に置きます。
撮りながら充電すると、スマホは熱を持ちます。暖房の効いたホールや、日の当たる窓際では、熱で動きが遅くなったり、画面が暗くなったりすることがあります。分厚いケースは外し、三脚の上で風が通るようにしておきます。1週間前の試し撮りで、同じ組み合わせで30分ほど撮り、触って熱すぎないかを確かめます。熱くなるようなら、撮りながらの充電はやめて、休憩の間に充電する段取りに変えます。
録画を始めるときの音と光を消す
静かな会場で困るのが、録画を始めたときに鳴る音や光です。Blackmagic Cameraには「トリガー収録インジケーター」という設定があり、録画の開始を知らせる方法を「音」「音とフラッシュ」「なし」から選べます。発表会では「なし」にします。リハーサルで録画を始めたときに、隣の席に音が聞こえないか確かめてください。
撮っている間の画面の明るさも、周りの人の目に入ります。収録中に画面を右へスワイプすると、画面を暗くできます(設定でこの機能をオンにしておきます)。暗い客席で明るい画面が光っていると、後ろの席の人の視界に入ります。画面を暗くすれば、電池の減りも抑えられます。
音量ボタン・通知・位置情報
「音量ボタンで収録をトリガー」をオンにすると、スマホの音量のボタンで録画を始めたり止めたりできます。手で持って撮るときは便利ですが、三脚に付け直すときや、スマホの向きを直すときに、うっかり押して録画が止まることがあります。三脚で撮るならオフにしておくほうが確かです。
電話の着信やアプリの通知も、撮影の妨げになります。通知の音が録音に入ったり、画面に重なった通知を消そうとして録画を止めてしまったりします。開演前に、通知を止める設定(iPhoneなら集中モード、Androidならサイレントモードなど)にしておきます。
「位置情報をクリップに保存」も、オフにしておきます。撮った動画のデータに会場の場所が記録され、あとで動画を人に渡したときに、場所も一緒に伝わるからです。園や学校の行事の映像を配る予定があるなら、とくに気を付けたい項目です。
Blackmagic Cloudへの自動のアップロードやライブ同期は、仕事で離れた場所の編集者とやり取りするための機能です。子どもの映像を知らないうちに送らないよう、発表会ではオフにします。撮影の前に、次の項目を一度に見直してください。
音と光を出さず、容量と電池を余計に使わないための設定
2台のスマホで撮るとき
家族で2台のスマホを持っていくなら、役割を分けると、あとで見返したときの満足度が大きく変わります。1台は三脚に載せて舞台全体を最初から最後まで撮り続け、もう1台は望遠のレンズで、わが子の立ち位置を中心に撮ります。全体の映像が切れ目なく残っていれば、寄りの映像で撮り逃した場面があっても困りません。
2台の映像を編集で切り替えるなら、フレームレート、シャッター、ホワイトバランスを2台でそろえます。色の決め方が違うと、切り替えるたびに衣装の色が変わって見えます。Blackmagic Cameraは決めた設定をプリセットとして保存し、書き出したり読み込んだりできるので、1台目で決めた設定を書き出し、2台目で読み込むと手間が減ります。iPhoneとAndroidを組み合わせるときは、Android版に29.97fpsが無いので、iPhone版も30fpsにそろえてください。29.97fpsと30fpsを混ぜると、編集で合わせ直す手間が増えます。
リモートの操作とタイムコード
Blackmagic Cameraには、1台のスマホをコントローラーにして、ほかのスマホのカメラを操作する「リモートカメラコントロール」もあります。仕様の一覧にはカメラの名前やパスワードの設定、すべてのカメラで収録を同期する項目が並んでいます。2台の録画を同時に始めたいときに使えます。つなぐための条件は公式の案内で確かめ、同じ組み合わせで事前に試してから本番に持ち込みます。
2台の映像を編集であとから合わせるときは、タイムコード(映像の各コマに付く時刻の番号)を「時刻(TOD)」にしておくと、同じ時刻の場面を探しやすくなります。編集ソフトで音の波形を見比べて合わせる方法もあります。
全体の映像が切れずに残っていれば、寄りで撮り逃しても困らない
2台目の置き場所と撮り始め
2台目を別の家族が手で持つなら、1台目の三脚の前を横切らない位置に座ってもらいます。全体を撮る1台目の画面に、2台目を構える人の腕や頭が入ると、いちばん長く残る映像が見づらくなります。2台とも三脚を立てるなら、周りの席の人の視界を2台ぶんさえぎることになるので、会のきまりで許される範囲かを先に確かめます。
2台の録画は開演前のアナウンスが始まる前にそろって始めておくと、あとで編集するときに、アナウンスの声を目印にして2本の映像の位置を合わせられます。途中で止めた場合も、再開したあとの最初の拍手や司会の声が、同じように目印になります。
発表会の3週間前から終演後まで
Blackmagic Cameraで発表会を撮るなら、準備は3週間ほど前から始めます。最初にするのは、アプリを入れることより先に、会の撮影のきまりを確かめることです。園や学校によっては、三脚を使える場所が決まっていたり、撮影する場所が後ろの一角に限られていたりします。三脚が使えないなら、手ぶれ補正やレンズの選び方が変わります。
2週間前には、アプリを入れて、家の暗い部屋で設定を決めます。フレームレート、シャッター、ISO、ホワイトバランス、音声の形式を決めて、1分の試し撮りで容量を測ります。1週間前には、同じ設定で30分ほど続けて撮り、電池の減り方と熱、撮れた動画をパソコンやテレビで再生したときの見え方を確かめます。ここで決めた設定をプリセットに保存します。
前日には、充電、空きの確保、持ち物の準備を済ませ、アプリを開いてプリセットを読み込んでおきます。当日は開演の20分前には席に着き、終演後はその日のうちに動画をパソコンなど2か所に写します。DVDにする作業はそのあとでかまいません。
会場で試せないことは、リハーサルや前の演目の時間に確かめる
前日に用意する持ち物
当日の朝に慌てないよう、持ち物は前日の夜にひとまとめにしておきます。三脚が使えない会なら、三脚とホルダーの代わりに、膝や手すりで支える持ち方を家で練習しておきます。
三脚と、スマホを挟むホルダー(マイクの穴をふさがないもの)
満充電のモバイルバッテリーと、スマホにつなぐケーブル
外付けのマイクを使うなら、マイク本体と予備の電池
レンズを拭く柔らかい布
演目の順番と時間が分かるプログラム(休憩の時刻に印を付ける)
家で試すときの再現のしかた
会場で試せない場合は、家で会場に近い状態を作ります。部屋の明かりを消して、スタンドの電球だけをつけると、舞台の照明に近い明暗の差ができます。子どもに数歩離れた場所で歌ってもらうか、音楽を流して、メーターの振れ方と音の割れ方を確かめます。ただし、照明のちらつきは、会場の照明でなければ確かめられません。リハーサルや前の演目の時間に10秒撮って再生する時間を、当日の段取りに入れておきます。
係として撮るときに先に決めること
保護者会や先生から、記録の撮影係を頼まれた場合は、自分の子どもを撮るときより、先に決めることが増えます。撮影する場所と三脚の可否、コンセントを借りられるか、撮った動画を誰のスマホやパソコンに置いていつ消すか、配る相手はどこまでかを、3週間前の時点で主催者と文字で確かめておきます。
撮影係のスマホで撮った動画は、個人のスマホに子どもたちの映像が残ることになります。Blackmagic Cloudへの自動のアップロードはオフにし、配り終えたら消す日を決めておくと、あとで扱いに困りません。配るときの決まりと段取りは最後の節で挙げる記事にまとめています。
開演前の10分と演目の合間にすること
席を選べるなら、舞台の正面に近く、通路や出入り口から離れた列を選びます。正面からは舞台の左右が同じように入り、端の席より出演者が重なって見えにくくなります。前のほうの席は顔が大きく撮れる代わりに、見上げる角度になり、スピーカーにも近づきます。三脚が使える会なら、後ろの人の視界をさえぎらない高さに収まる、客席の中ほどから後ろ寄りが扱いやすい位置です。
席に着いたら、三脚を立てて、スマホを水平に固定します。iPhone版は画面に重ねるガイドに「水平」があり、傾きを確かめやすくなります。舞台全体が画面に入るか、前の席の人が立ったり手を挙げたりしても主な部分が隠れないかを見て、高さを決めます。三脚を高くしすぎると、後ろの席の人の視界をふさぐので、会のきまりと周りの人への配慮を優先します。
次に、前日に読み込んだプリセットのまま、HUDの数字を1つずつ見ます。フレームレートが29.97(Androidは30)か、シャッターが決めた値か、ISOとホワイトバランスがロックされているか、マイクの選択が試し撮りと同じかを確かめます。開演前のアナウンスや流れている音楽で、メーターが振れているかも見ます。10秒だけ撮って再生し、映像と音が入っていることを確かめたら、準備は終わりです。
10秒の試し撮りを再生すれば、音が入っていない失敗は防げる
録画は幕が開く少し前から
録画は司会のあいさつが始まる前か、幕が開く30秒ほど前から始めます。始めるのが遅れて最初の数秒を撮り逃すより、余分に撮って編集で切るほうが損が小さいからです。始めたら、画面を右へスワイプして暗くし、演目の間はスマホに触りません。照明が初めて暗くなったときに、映像が暗くなっても、ISOを上げ直さないでください。
演目の合間と休憩で見ること
演目と演目の間や休憩のときに、画面を明るくして、ストレージの残り時間、電池の残り、コマ落ちの警告が出ていないかを見ます。休憩が10分以上あるなら、録画をいったん止めてかまいません。1本の長い動画にするより、休憩の前後で分かれていたほうが、あとで並べるときにどこからどこまでが前半か分かりやすくなります。止めたら、再開の前に録画を始め忘れないよう、プログラムの次の演目の前に時間を書いたメモを手元に置いておきます。
撮った映像の困りごとを症状から直す
設定を決めて撮っても、家で見返して困ることはあります。直せるものと直せないものがあるので、症状から原因を絞り、次の行事に生かせる形で記録しておきます。よく起きるものを症状、原因、確かめ方、直し方の順に書きます。
写真アプリに動画が見当たらない
撮ったはずの動画がiPhoneの写真アプリやAndroidのギャラリーに無いとき、いちばん多いのは、クリップの保存先が「アプリ内のみ」になっている場合です。iPhone版の保存先は「アプリ内のみ」「アプリ内と写真ライブラリ」「内部・外部ストレージへのファイル」から選べ、アプリ内のみにすると、写真アプリには出てきません。Blackmagic Cameraの「メディア」の画面を開けば、撮った動画が並んでいます。
見つかったら、メディアの画面で動画を選び、写真アプリやファイルの場所へ書き出します(項目の名前はバージョンで変わります)。次の撮影からは、保存先を「アプリ内と写真ライブラリ」にしておくと、ギガファイル便へのアップロードやパソコンへの取り込みのときに、写真アプリから選べて迷いません。Android版はギャラリーかファイルを選べます。
画面に横縞が流れる・明るさが細かく揺れる
照明の周期とシャッターが合っていないときの症状です。撮った映像を一時停止して、縞が画面の上下に向かってゆっくり動いていれば、ほぼこれが原因です。50Hzの地域で1/60や1/120、60Hzの地域で1/50や1/100を使っていなかったか、設定を見返します。撮ってしまった縞を編集できれいに消すのは難しく、ちらつきを和らげる編集の機能も、効果には限りがあります。次の行事では、地域の周波数に合った値で撮り直すつもりで準備します。
映像が灰色っぽい・色が薄い・明るさが変
カラースペースでApple Logを選んでいたか、HDRで撮っていたときに起きます。動画の情報やBlackmagic Cameraの設定でカラースペースを確かめ、Logなら、編集ソフトで色を普通の見え方に直す変換(LUT)を当ててから書き出します。HDRなら、普通の明るさの範囲(SDR)に直して色を確かめてから渡します。直し方は先に挙げたLogとHDRの記事に書いています。
動きがゆっくりか早回しに見える
オフスピード収録がオンになっていたときの症状です。撮るときと再生するときのコマ数が違うので、時間の流れが実際と変わります。編集ソフトで速度を元に戻せる場合もありますが、音の扱いを含めて手間がかかります。次からは、オフスピード収録がオフになっているかを、プリセットを保存する前に確かめます。
音が入らない・割れた・途中で止まったときの見分け方
音と録画の長さの困りごとは、映像を見ただけでは原因が分かりにくいものです。いつから、どの演目で起きたかを手がかりに絞ります。
音がまったく入っていない
映像は撮れているのに音が一切入っていないときに、最初に疑うのは、アプリにマイクを使う許可を出していない場合です。初めてアプリを開いたとき、カメラやマイクを使ってよいかを尋ねる表示が出ます。そこで許可しなかったマイクは使われません。iPhoneなら「設定」の「プライバシーとセキュリティ」から「マイク」を開き、Blackmagic Cameraがオンになっているかを見ます。Androidは設定のアプリの一覧からBlackmagic Cameraを選び、権限でマイクを許可します。
許可が出ているのに音が無いときは、音の設定で音源が「なし」になっていないか、外付けのマイクの電池が切れていないかを見ます。どれも、撮る前の10秒の試し撮りを再生すれば気づけるものです。撮ってしまった映像に音を足すことはできないので、開演前の確かめ方を次の行事から段取りに入れてください。
合奏や拍手のところで音が割れている
ゲインが大きすぎたか、スマホが音の出るところに近すぎたときの症状です。編集ソフトで音の波形を見ると、割れたところは波の頭が平らに切り取られた形になっています。割れた音を元に戻すことはできず、目立たなくする処理にも限りがあります。全体の音を下げても、割れた部分の濁りは残ります。どの演目で割れたかを書き留め、次はその演目の音の大きさでゲインと置き場所を決めます。
途中で録画が止まっている・思ったより短い
原因として多いのは、空きが無くなった、電池が切れた、コマ落ちのときの動きを「収録の停止」にしていた、音量ボタンに触れた、の4つです。最後の動画が終わった時刻をプログラムと見比べ、そのときスマホに何が起きたかを思い出します。空きと電池には、次の行事で試し撮りの値に余裕を足して備えます。止まった区間はあとから取り戻せません。2台目のスマホで全体を撮っていれば、その区間だけ差し替えられます。
パソコンで開けない・編集ソフトで音がずれる
H.265で撮った動画は古いパソコンでは開けないことがあります。WindowsならHEVCの拡張機能を入れるか、H.264に変換してから編集します。編集ソフトで音がずれるときは、編集の作業の場(タイムライン)のフレームレートが、撮った値と同じになっているかを見ます。29.97fpsで撮った動画を30fpsのタイムラインに置くと、ソフトによっては変換が入ります。ずれ方から原因を見分ける方法は動画の音ズレの直し方の記事 にまとめました。
家で見返して困ったときは、下の図で症状から原因と直し方を引けます。
音割れと止まった区間は戻せない。次の行事の準備に生かす
DVDにするまで音がずれない理由
動画のファイルには映像のコマの並びと、音の波の記録が別々に入っています。映像の長さは「コマの数×1コマの間隔」で、音の長さは「記録した音の数÷1秒の記録回数」で決まります。2つの長さが最初から最後まで同じなら、どこで再生しても、口の動きと声は合ったままです。
コマの間隔が一定なら長さは変わらない
29.97fpsで2時間撮ると、映像のコマは計算上およそ21万5,800枚です。1コマの間隔はどのコマも同じ1/29.97秒です。編集ソフトに読み込んでも、29.97fpsのタイムラインで並べても、29.97fpsで書き出しても、DVDの29.97fpsに組み立てても、コマの数と間隔は変わりません。音も48kHzのまま運ばれます。だから、撮影からDVDまで、映像と音の長さがそろったままになります。
Android版の30fpsでも考え方は同じです。30fpsのまま一定の間隔で記録されていれば、DVDの29.97fpsに直すときは、1001コマに1コマを間引くという同じ計算を最初から最後まで当てはめるだけで、時間の長さは変わりません。
どの段階でもコマ数と間隔が変わらないので、映像と音の長さがそろう
コマの間隔が揺れると編集ソフトで長さが変わることがある
標準のカメラが暗い場面で24fpsに下げた動画は、明るい場面と暗い場面でコマの間隔が違います。ファイルにはコマごとに「何秒の位置に出すか」という時刻が入っているので、再生アプリはその時刻のとおりに出し、ずれません。ところが、編集ソフトの中には、コマを数えて決まった間隔で並べ直すものがあり、そこで映像の長さが実際より短くなったり長くなったりします。音はそのままの長さなので、後半ほど口と声が離れていきます。
Blackmagic Cameraで決めたフレームレートは、暗い場面でも動きません。コマを取りこぼしたときは警告が出るので、撮った側が気づけます。撮ったあとに確かめたいときは、MediaInfoなどで動画の情報を開き、「フレームレートの種類」(Frame rate mode)が「固定 (CFR)」と表示されるかを見ると確実です。
書き出しの設定が違うときのずれ
一定の間隔で撮った動画でも、編集や書き出しの設定で数え方を変えると、ずれが生まれます。よくあるのは30fpsの動画を29.97fpsだと読み替えて並べてしまい、全体がわずかに遅く再生される場合です。この場合、2時間で7秒ほど映像が音より長くなります。書き出したら、元の動画と長さを秒の単位まで比べ、最後の演目で口と声が合っているかを見てください。
書き出したら、最後の演目で口と声を見比べる
取り出してディスクにする|自分で焼くときと当社に頼むとき
終演後は、その日のうちに動画をスマホの外へ写します。パソコンに取り込むか、外付けのストレージに写し、もう1か所、別の場所にも控えを置きます。スマホを落としたり、うっかり消したりしても、2か所にあれば撮り直せない映像を守れます。元のファイルは編集せず、そのまま残してください。
iPhoneなら、保存先を写真ライブラリにしていれば写真アプリから、ファイルにしていれば「ファイル」アプリから選べます。Androidならギャラリーか、ファイルを管理するアプリから選びます。スマホからそのままアップロードする手順はスマホでギガファイル便に動画を送る記事 に、Androidで保存先を探す方法はAndroidスマホから入稿する記事 に書きました。
2時間の発表会はディスク1枚に入るか
当社の料金表の目安では、1層のディスクに入るのは、DVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間です。それより長いときは、2層のディスクにするか、2枚に分けます。2時間ちょうど前後の発表会はこの境目にかかります。1枚で通して見たいなら2層のDVDかブルーレイ、休憩をはさんで前半と後半に分かれる会なら、2枚に分けるのも見やすい方法です。ブルーレイはDVDプレーヤーでは再生できないので、渡す家の機器を確かめてから選びます。
1層の目安はDVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間
当社に頼むときの入稿の手順
当社が受け付けるのは完成した動画のデータです。動画をギガファイル便にアップロードし、そのURLをDVDの注文ページ の注文フォームに貼ります。ギガファイル便の保持期限は初期値が5日で、アップロードしたあとに延ばすことはできないので、余裕のある日数をアップロードの前に選びます。前半と後半のように複数のファイルを1枚に収めるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その番号の順に収録します(入稿ファイル名の付け方 )。
料金は基本料金(DVD・1枚あたり)が1,500円で、オーサリングと書き込み、ケースへの入れ込みまでが含まれます。家族や祖父母に同じものを配るなら、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)の1,000円です。2時間を1枚に収める2層のディスクは、2層ディスク(1枚目)が2,500円です。演目ごとにリモコンで飛べるようにしたいなら、オプションの「チャプター分け」(1枚あたり+1,500円・最大50チャプター)を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、各演目の始まりの時刻を入れます。料金の全体は料金表 で確かめてください。撮った機種、アプリ、フレームレートは、注文フォームの備考欄に書いておきます。
お引き受けできるのは撮った本人か権利者の許可がある動画です。園や学校の行事の映像を保護者に配るときの決まりと段取りは、生活発表会の記録DVDの作り方 で扱っています。
演目の時刻を書き出してチャプターの位置にする
チャプターを付けるなら、撮った動画を再生しながら、各演目が始まる時刻を「00:12:30」のように書き出します。チャプター位置の指定の欄では、1つめのチャプターは動画の冒頭(00:00:00)に自動で入り、2つめから時刻を指定します。前半と後半の2つのファイルを「01_」「02_」の順に1枚へ収める場合の時刻の数え方は、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
自分で焼くとき
自分のパソコンでDVDを作るなら、書き込みのソフトで、映像をDVDプレーヤーで再生できる形に組み立てる作業(オーサリング)をします。動画のファイルをそのままディスクに書き込んでも、家庭のDVDプレーヤーでは再生できないことが多くあります。ソフトの設定でNTSC・29.97fpsになっていること、音声が48kHzで書き出されることを確かめ、焼いたディスクは、渡す家と同じような家庭用のプレーヤーで最初から最後まで再生して確かめます。どちらで作るにしても、渡す前に見る項目は同じです。
自分で焼くときも、当社に頼むときも、見る所は同じ
次の発表会でBlackmagic Cameraを使うなら、まずアプリを入れ、家の暗い部屋で29.97fps(Androidは30fps)、住んでいる地域の周波数に合ったシャッター、HD・H.265の組み合わせで1分撮ってみてください。ファイルの大きさとメーターの振れ方が分かれば、残りの設定は会場のリハーサルで決められます。
よくある質問
Q. Blackmagic Cameraは無料で使えるのか A. 無料です。iPhoneとiPadはApp Store、AndroidはGoogle PlayとGalaxy Storeから入れられます。公式の仕様ページ(2026年11月時点)では、iPhoneはiOS 16.6以降、AndroidはAndroid 13以降に対応します。Androidは対応機種の一覧があり、すべての機種ですべての機能が使えるとは限らないので、発表会の1週間前までに入れて試し撮りをしてください。
Q. 発表会は何fpsで撮ればよいか A. DVDにするなら、iPhone版は29.97fpsです。家庭用のDVDが1秒29.97コマなので、コマ数を変えずに済みます。Android版は29.97fpsが選べないので30fpsにし、DVDにするときに時間の長さを変えずに29.97fpsへ直します。ダンス中心で明るい会場なら59.94fpsや60fpsも選べますが、暗い会では29.97fpsのほうが扱いやすくなります。
Q. シャッタースピードはいくつにすればよいか A. 会場の電源の周波数で決めます。照明は電源の周期で明るさが上下しているので、合わない値だと横縞やちらつきが出ます。29.97fpsなら、西日本の多くを占める60Hzの地域は1/60、東日本の多くを占める50Hzの地域は1/50か1/100が目安です。リハーサルで10秒撮って再生し、縞が出ないかを確かめてください。
Q. iPhoneの内蔵マイクで音の大きさを下げられるか A. 下げられない場合があります。iPhone版の仕様は、ゲインを設定できるのを互換性のある外部の音源としています。内蔵マイクで撮るなら、スピーカーや打楽器のすぐ前を避け、客席の中ほどで舞台の正面に置くなど、置き場所と向きで音の大きさを決めます。Android版はすべての音源でゲインを設定できると書かれています。
Q. 音が割れないようにするリミッターはあるか A. 公式の仕様の一覧(2026年11月時点)に、リミッターや入力の大きさを自動で整える項目は載っていません。合奏や太鼓など、その会でいちばん大きな音が鳴る演目でメーターを見て、ピークが緑の上限を越えない置き場所と大きさに決めます。小さく録れた音は編集で持ち上げられますが、割れた音は戻せません。
Q. H.264とH.265のどちらで撮ればよいか A. 2時間を撮るスマホの空きを考えると、まずH.265です。同じくらいの画質ならファイルが小さく済みます。撮った動画を古いパソコンで編集する予定があり、H.265が開けるか分からないならH.264が無難です。iPhone版で選べるProResはファイルがとても大きく、2時間の発表会の記録には向きません。
Q. 2時間撮るのにどれだけの空きが要るか A. Blackmagic Cameraには1分あたりの容量の目安が公表されていないので、本番と同じ設定で、暗い部屋で1分撮って大きさを測ります。その値を120倍し、開演前や休憩の分として2〜3割の余裕を足した空きを用意します。画面の下のストレージの表示でも、録画できる残りの時間を確かめられます。
Q. 撮った動画が写真アプリに見当たらないのはなぜか A. クリップの保存先が「アプリ内のみ」になっていると、写真アプリには出てきません。Blackmagic Cameraの「メディア」の画面を開くと、撮った動画が並んでいます。そこから写真アプリやファイルの場所へ書き出せます。次からは保存先を「アプリ内と写真ライブラリ」にしておくと、アップロードのときに迷いません。
Q. 4Kで撮ったほうがDVDはきれいになるか A. DVDは720×480の画素まで縮めるので、4Kで撮ってもHDで撮った場合と大きくは変わりません。4Kが役に立つのは、あとで編集して、舞台全体の映像からわが子のあたりだけを切り出すときです。そうした編集をしないなら、HDにして容量と電池に余裕を回すほうが、2時間の発表会では扱いやすくなります。
Q. 2台のスマホで撮るときに気を付けることは何か A. フレームレート、シャッター、ホワイトバランスを2台でそろえます。プリセットを書き出して2台目で読み込むと手早く済みます。iPhoneとAndroidを組み合わせるなら、Android版に29.97fpsが無いので2台とも30fpsにします。録画は開演前のアナウンスの前にそろって始めておくと、編集で位置を合わせる目印になります。
Q. 2時間の発表会はDVD1枚に入るか A. 当社の料金表の目安では、1層のディスクに入るのはDVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間です。2時間前後の会は境目にかかるので、1枚で通して見たいなら2層のDVDかブルーレイ、休憩で前半と後半に分かれる会なら2枚に分ける方法もあります。ブルーレイは渡す家の機器で見られるかを先に確かめてください。
Q. Blackmagic Cameraで撮った動画を当社に入稿できるか A. 完成した動画のデータとして入稿できます。動画をギガファイル便にアップロードし、そのURLを注文フォームに貼ります。ギガファイル便の保持期限は初期値が5日で、あとから延ばせないので、アップロードの前に選びます。撮った機種、アプリ、フレームレートは注文フォームの備考欄に書いておいてください。