この記事の要点
音が出ないときは据置きプレーヤーとパソコンの両方で同じディスクを再生 し、ディスク側の中身の問題か機器側の設定かを先に切り分けます。
DVD-Videoが扱える音声はリニアPCM・ドルビーデジタル・MPEG-2オーディオ の3種類で、NTSCのディスクは前の2つのどちらかを1本以上含むことが求められます。
mp4やMOVのAAC音声はDVD-Videoの規格外 で、オーサリング時に変換されず素通りすると、映像だけ再生されて無音のディスクができます。
リニアPCMのサンプリング周波数は48kHzと96kHz のみで、音楽CD由来の44.1kHz は規格に含まれず、変換を挟まないまま焼くと鳴らないことがあります。
配布用は48kHz・2ch に統一するのが無難で、5.1chのセンターにセリフを置くと2ch環境でセリフだけ聞こえない事故が起きます。
書き出しまでは順調で、パソコンでプレビューしたときも普通に音が鳴っていた。ところがディスクに焼いてテレビのプレーヤーで再生したら、映像は出るのに音だけが出ない。撮影も編集も終わっているのに、最後の工程だけが通らない状態です。
この症状の原因は、意外なほど狭い範囲に収まります。DVD-Videoという規格が受け付ける音声の形式が3種類に限られていて、そこから外れたものが混ざると、プレーヤーは映像だけを再生して音声を黙って捨てるからです。加えて、編集ソフトの書き出し設定で音声が落ちているケースと、ディスクは正常なのに再生機器の音声出力設定でつまずいているケースがあります。
この記事では、焼き直す前にやるべき切り分けから、DVD-Videoが要求する音声形式の具体的な数値、編集ソフトで音が消える4か所、5.1chと2chの取り違え、機器側の設定まで、実際に手を動かせる粒度で順に説明します。最後に、確認する順番を一覧にまとめました。
焼き直す前の切り分け|同じディスクを2台で再生すると原因が半分に絞れる
音が出ない原因は「ディスクの中身」か「再生機器の設定」のどちらかです。この2つは対処が正反対で、機器側の問題なのに焼き直しても症状は変わりません。作業に取りかかる前に、5分の切り分けを済ませてください。
3つのテストを順に行う
テスト1|同じディスクを別の機器で再生する。 据置きのDVDプレーヤーで無音だったなら、パソコンの光学ドライブに入れて再生します。逆にパソコンで無音だったなら、テレビに繋いだプレーヤーで試します。
テスト2|ディスクの中身を直接再生する。 ディスクをパソコンに入れ、エクスプローラーまたはFinderで開くと、VIDEO_TS というフォルダがあります。その中の VTS_01_1.VOB を VLC media player などにドラッグして再生します。ディスクのメニューを経由しない、生の映像音声の状態が確認できます。
テスト3|焼く前の元動画を再生する。 編集ソフトから書き出した mp4 や MOV そのものをパソコンで再生します。ここで音が出ないなら、原因は書き出しの段階にあり、ディスクは無関係です。
結果の読み方
据置きプレーヤー
パソコン
疑うべき場所
無音
無音
ディスクの中身。音声トラックが入っていないか、形式が規格外
無音
音が出る
音声形式がプレーヤー非対応、または機器の音声出力設定
音が出る
無音
パソコン側の再生ソフトまたは出力デバイスの選択
テスト3で元動画も無音だった場合は、この先の「編集ソフトの書き出しで音が消える4か所」まで進んでください。ディスク側の話は関係ありません。
DVD-Videoが受け付ける音声は3種類|NTSCではリニアPCMかドルビーデジタルが要る
DVD-Videoは1枚に最大8本の音声トラックを持てますが、その中身に使える形式は3つに限られています。DVD FAQ(Jim Taylor)にまとめられた仕様は次のとおりです。
形式
サンプリング周波数
量子化ビット数
チャンネル数
ビットレート
リニアPCM
48kHz / 96kHz
16 / 20 / 24bit
1〜8ch
最大 6.144Mbps
ドルビーデジタル(AC-3)
48kHz
最大 24bit
1〜5.1ch
64〜448kbps
MPEG-2オーディオ
48kHz
16bit
1〜5.1 / 7.1ch
32〜912kbps
重要なのは、地域の映像方式によって「どれを入れておくべきか」が違う点です。日本を含むNTSC(525/60)のディスクは、少なくとも1本をリニアPCMかドルビーデジタルにすることが規定されています。PAL/SECAM(625/50)の場合はこれに加えてMPEGオーディオでも要件を満たせます。
MPEGオーディオ(MP2)を選ぶと日本のプレーヤーで詰まりやすい
海外製の無料オーサリングソフトには、音声の初期設定がMPEG-1 Layer II(MP2)になっているものがあります。ヨーロッパや中国のPAL 環境では通用する設定ですが、NTSC側では必須トラックとして認められていないため、国内で流通しているプレーヤーが再生してくれる保証がありません。設定画面で音声形式の欄を開き、AC-3 か LPCM に変更してください。
DTSはオプション扱いで、無視するプレーヤーがある
DTSやSDDSはDVD-Videoの追加オプションとして定義されているものの、再生には外部デコーダが必要で、多くのプレーヤーはこのトラックを読み飛ばします。DTSだけしか入っていないディスクを作ると、対応機器以外では無音になります。配布用のディスクでDTSを単独トラックにする理由はほとんどありません。
44.1kHzは規格の表に存在しない
見落としやすいのがサンプリング周波数です。DVD-Videoの音声は48kHz(リニアPCMのみ96kHzも可)で、音楽CDやネット配布音源で一般的な44.1kHzは表に載っていません。BGMをCDから取り込んだ、フリー音源サイトから44.1kHzのwavを落とした、という素材をそのまま通すと、変換を挟まないソフトでは規格外のまま焼かれてしまいます。
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mp4のAAC音声は素通りしていないか|VLCでディスクの中身を確かめる
スマートフォンで撮った動画、編集ソフトから書き出したmp4、いずれも音声は多くの場合AACです。AACはDVD-Videoの音声形式の表に含まれていません。つまりオーサリングの工程で、AACをドルビーデジタルかリニアPCMに変換する処理が必ず入っている必要があります。
「再エンコードしない」設定が事故の入口になる
書き込みソフトには、処理時間を短縮するために「元のデータをそのまま使う」「再エンコードしない」「スマートレンダリング」といった項目があります。映像については有効な場合もありますが、音声にこれを効かせるとAACのままVOBに入ってしまい、映像は出るのに音が出ないディスクができます。オーサリング設定の音声欄は、時間がかかっても明示的にAC-3またはLPCMを選んでください。
焼いたディスクの音声を実際に読む手順
ディスクをパソコンに入れ、VIDEO_TS フォルダの中の VTS_01_1.VOB を VLC media player で開きます。
再生中に「ツール」→「コーデック情報」(Windowsは Ctrl+J、Macは command+I の「コーデック」タブ)を開きます。
ストリームの一覧に「オーディオ」の項目があるかを見ます。オーディオの欄そのものが無ければ、音声トラックが入っていません。 オーサリングの段階で落ちています。
オーディオがある場合、コーデック名を読みます。「A52」または「AC-3」ならドルビーデジタル、「PCM」ならリニアPCM。「MPEG Audio layer 1/2」ならMP2、「MPEG AAC」ならAACです。後ろの2つは作り直しが要ります。
同じ画面でサンプリングレートも読めます。44100Hz と表示されていたら、48000Hz に直して焼き直します。
トラックはあるのに鳴らないときは選択を疑う
音声トラックが複数入っているディスクでは、再生ソフト側でトラックが「無効」に切り替わっていることがあります。VLCなら「オーディオ」メニューの「オーディオトラック」、据置きプレーヤーならリモコンの「音声切替」ボタンで、トラックを順に送ってみてください。これで鳴るなら、ディスク自体は正常で、既定トラックの指定だけの問題です。
編集ソフトの書き出しで音が消える4か所|元動画が無音ならここを見る
切り分けのテスト3で元動画も無音だった場合、ディスクではなく書き出しの問題です。原因になりやすいのは次の4か所で、上から順に確認すると早く見つかります。
1|タイムラインのミュートとソロ
作業中に一時的に切ったミュート(M)やソロ(S)が入ったままになっているパターンです。とくにソロは、映像トラックだけを単独再生する目的で押したまま忘れやすく、書き出しにもそのまま反映されます。オーディオトラックのヘッダーを一通り見て、点灯しているボタンがないか確認します。
2|オーディオトラックの出力先
トラックの出力先がマスターに繋がっていないと、タイムライン上に波形があっても書き出しには乗りません。DaVinci Resolveのように、サブミックスバスを経由する構成を組めるソフトで起きます。ミキサーを開き、各トラックの出力先がマスターに届いているかを目で追ってください。
3|書き出しダイアログのオーディオ設定
Premiere Pro |書き出し画面の「オーディオ」タブで「オーディオを書き出し」のチェックを入れ、サンプルレートを 48000Hz、チャンネルをステレオにします。
DaVinci Resolve |デリバーページの Audio タブで「Export Audio」を有効にし、Output Track の欄が空になっていないか確認します。
共通|プリセットを切り替えた直後は、オーディオ関連の設定が既定値に戻っていることがあります。プリセット選択のあとで必ず開き直します。
4|プロジェクトのサンプリング周波数が44.1kHz
音楽素材を軸に組んだプロジェクトは、44.1kHzで作り始めていることがあります。書き出し設定で48kHzを指定すれば変換されますが、指定を忘れると44.1kHzのまま出て、前の見出しで説明した規格外の状態になります。
おまけ|片チャンネルにしか音が入っていない
ピンマイクやICレコーダーで録った音は、ステレオ2chのうち左だけに入っていることがよくあります。この状態で書き出すと右チャンネルは無音になり、テレビが片側のスピーカーしか使っていない環境では「音が出ない」ように聞こえます。クリップのオーディオ設定でモノラルとして扱うよう変更し、左右両方に同じ音を送ってから書き出してください。
5.1chと2chの取り違え|センターにセリフを置くと2ch環境で声だけ消える
「音楽は聞こえるのにセリフだけ聞こえない」という症状は、5.1chで作ったディスクを2ch環境で再生したときに起きます。5.1chではセリフをセンターチャンネルに置くのが基本で、センターが出力されない構成だと会話だけが抜け落ちます。
ドルビーデジタルとリニアPCMで挙動が違う
ドルビーデジタルはストリームの中にダウンミックスの係数を持っているため、2chしか出せない機器でもデコーダが左右2本に混ぜ直して出力します。一方、リニアPCMの多チャンネル音声はこうしたメタデータを前提としておらず、2chへの折りたたみ方が再生機器の実装に委ねられます。手元では鳴っても、配布先の機器でどうなるかを見通しにくいということです。
プレーヤーのスピーカー設定が5.1のままでも起きる
実際にはテレビの2つのスピーカーしか繋がっていないのに、プレーヤー側のスピーカー設定が5.1chのままだと、機器は「センタースピーカーがある」前提で出力します。プレーヤーの設定メニューでスピーカー構成を2ch(またはステレオ/ダウンミックス)に変更すると、セリフが戻ることがあります。この場合はディスクを焼き直す必要はありません。
不特定多数に配るディスクは2chに統一する
発表会の記録、講演の配布用、社内向けの資料映像のように、再生される環境がこちらから見えないディスクは、48kHz・2chに揃えておくのが安全側の判断です。サラウンド版も残したい場合は、第1トラックを2ch、第2トラックを5.1chにして、既定の再生トラックに2chを指定します。こうしておけば、サラウンド非対応の機器でも最初のトラックで音が出ます。
ディスクは正常なのに鳴らない場合|デジタル音声出力の設定を疑う
切り分けでパソコンでは音が出て、据置き機だけ無音だったなら、ディスクではなく接続と設定の問題である可能性が高くなります。焼き直しは不要です。
光デジタル・同軸で繋いでいるとき
DVDプレーヤーの設定に「デジタル音声出力」という項目があり、多くは「ビットストリーム」と「PCM」を選べます。ビットストリームはドルビーデジタルの信号をそのままアンプに渡す設定で、受け側のアンプがドルビーデジタルのデコードに対応していないと何も鳴りません。ここをPCMに変えると、プレーヤー側でデコードしてから送るため音が出ます。原因の特定として、まずPCMに切り替えて試すのが手早い方法です。
HDMIで繋いでいるとき
テレビの入力設定で、その HDMI 端子の音声入力が別系統(アナログ音声入力など)に割り当てられていないか確認します。
テレビの音声出力が「外部スピーカー」「オーディオシステム」になっていると、繋がっていないアンプへ音が送られます。「テレビスピーカー」に戻します。
ARC/eARC対応端子を使っている場合、経路の途中の機器で音声が止まっていることがあります。プレーヤーをテレビに直結して切り分けます。
パソコンで再生しているとき
音声の出力先が、繋いでいないHDMIモニターやBluetoothイヤホンに向いていることがあります。OSのサウンド設定で出力デバイスを確認し、VLCなら「オーディオ」メニューの「オーディオデバイス」も見てください。また、DVD再生に対応していない再生ソフトを使っている場合、映像だけ表示して音声デコーダが動かないこともあります。VLCなど別のソフトで開き直すと切り分けられます。
音は出るが小さすぎる場合|ピークの位置とダイナミックレンジ設定を見る
まったくの無音ではなく「ボリュームを最大にしてやっと聞こえる」という場合は、規格の問題ではなく音量設計の問題です。
書き出す前に波形のピークを揃える
編集ソフトのオーディオメーターで、いちばん大きい音がどこまで振れているかを見ます。ピークが -12dBFS や -15dBFS で止まっているなら、素材の収録レベルが低いままです。ピークが -1dBFS を超えない範囲、目安として -3dBFS 付近に収まるよう、トラック全体のゲインを上げてください。単純に持ち上げると大きい音だけが天井に当たるので、コンプレッサーで幅を詰めてからリミッターで頭を押さえる順序が扱いやすい方法です。
ドルビーデジタルのダイアログレベル設定
AC-3にエンコードするとき、エンコーダは dialnorm(ダイアログノーマライゼーション)というメタデータを書き込みます。これは「この素材の会話部分の平均的な音量はこのくらいだ」という申告値で、再生側はこの値をもとに出力レベルを調整します。エンコーダの初期値が実際の素材より大きい値になっていると、再生機器は音量を下げる方向に働きます。エンコード設定にダイアログレベルの項目があるソフトなら、素材の実測に近い値へ合わせておくと、再生時の音量が想定どおりになります。
再生側のダイナミックレンジ圧縮
プレーヤーやアンプには「ダイナミックレンジ圧縮」「ナイトモード」「オートボリューム」といった設定があります。オンにすると大きい音が抑えられ、小さい音が持ち上がるため、会話は聞き取りやすくなる一方で全体の迫力は落ちます。セリフが聞き取りにくいという相談なら、ディスクを作り直す前にこの設定をオンにしてもらうだけで解決することがあります。
作り直す前の確認順序|上から7項目、6番以降は焼き直し不要
ここまでの内容を、実際に手を動かす順番に並べ直します。上から順に見ていくと、焼き直しが必要なケースと不要なケースが途中で分かれます。
順
確認すること
該当したときの対処
1
焼く前の元動画をパソコンで再生して音が出るか
出ないなら編集ソフトの書き出し設定から見直す
2
VIDEO_TS 内の VOB を VLC で開き、オーディオストリームが存在するか
無ければオーサリングで音声が落ちている。設定を確認して作り直す
3
コーデックが AC-3 または PCM か
AAC・MP2・DTS なら AC-3 か LPCM に変換して作り直す
4
サンプリングレートが 48000Hz か
44100Hz なら 48kHz に変換して作り直す
5
チャンネル数が 2ch か
5.1ch のみなら 2ch トラックを第1トラックとして追加する
6
プレーヤーのデジタル音声出力が PCM になっているか
ビットストリームから PCM に変更(焼き直し不要)
7
テレビ・アンプ側の入力割り当て、音量、消音
設定を戻す(焼き直し不要)
作り直すときに変更する点は1つに絞る
原因が特定できていない状態で、音声形式もサンプリング周波数もチャンネル数もまとめて変えて焼き直すと、次に同じ症状が出たときにまた最初から探すことになります。1枚のディスクにつき変更点は1つにして、鳴ったかどうかを記録しておくと、2枚目以降が速くなります。DVD-RW やBD-REのような書き換え可能なメディアを1枚用意しておくと、検証のたびに未使用のディスクを消費せずに済みます。
本番のディスクは検証用と同じ設定で焼く
検証で鳴ることを確かめたあと、本番用に別のソフトやプリセットを使うと、そこで音声設定が変わることがあります。検証に使ったプロジェクトファイルとオーサリング設定をそのまま流用し、変えるのは書き込み枚数だけにしてください。
音声形式の変換まで含めて任せる場合|制作側がどこを揃えているか
ここまでの工程を自分でやりきるには、編集ソフトの書き出し設定、オーサリングソフトの音声設定、書き込みソフトの3つを別々に把握する必要があります。1回きりのディスクのためにそこまで時間をかけられない、あるいは配布先の再生環境が読めないという場合は、制作を外に出す選択肢があります。
ディスクメーカーは、動画データからDVDとBlu-rayを制作する書き込み代行サービスです。この記事で扱ったオーサリング、つまり動画データを再生できる形式に組み立てる工程は料金に含まれていて、音声形式の変換もその中で行います。料金は1枚1,500円からで、1枚から注文できます。
入稿と、あわせて頼めること
入稿はダウンロードできる共有URLを送る形です。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage など、リンクからダウンロードできるものであれば形式は問いません。あわせて、盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しています。
納期の選び方
通常便 |追加料金なし。
お急ぎ便 |+1,500円。15時までの注文・入稿で翌々日までに発送。
特急便 |+3,000円。15時までの注文・入稿で翌日発送。
当日店舗お渡し |+3,500円。平日12時までの注文・入稿で、大阪市北区太融寺町の店舗で受け取り。
運営は株式会社プラスカルチャーで、なお、米国の Disc Makers 社とは別の事業者です。
よくある質問
Q. DVDで映像は出るのに音が出ないのはなぜですか
A. 多いのは3つです。1つ目は、mp4やMOVのAAC音声がDVD-Videoの規格外のまま焼かれていて、プレーヤーが音声を読み飛ばしているケース。2つ目は、編集ソフトの書き出しでオーディオが出力されておらず、そもそも音声トラックが入っていないケース。3つ目は、ディスクは正常でプレーヤーのデジタル音声出力設定やテレビ側の入力設定でつまずいているケースです。まず同じディスクをパソコンで再生し、どちらの側の問題かを切り分けてください。
Q. mp4をそのままDVDに焼いたら音が出ません。どうすればいいですか
A. DVD-Videoの音声はリニアPCM、ドルビーデジタル、MPEG-2オーディオの3種類だけで、mp4で一般的なAACは含まれていません。オーサリングの設定画面で音声形式を開き、ドルビーデジタル(AC-3)またはリニアPCMを明示的に選んでから焼き直してください。処理時間を短縮する「再エンコードしない」「元の音声をそのまま使う」といった項目が有効になっていると、AACが変換されずに通ってしまうので、あわせて解除します。
Q. DVDの音声はリニアPCMとドルビーデジタルのどちらを選ぶべきですか
A. 収録時間が長い映像ではドルビーデジタルが扱いやすくなります。リニアPCMは非圧縮で、48kHz・16bit・2chでも1.536Mbpsを使うのに対し、ドルビーデジタルは64〜448kbpsに収まるため、その差を映像側のビットレートに回せるからです。日本のNTSC環境ではどちらも規格上の要件を満たすので、短い映像で音質を優先するならリニアPCM、長尺で画質を確保したいならドルビーデジタル、という選び方になります。
Q. パソコンでは音が出るのにテレビのDVDプレーヤーだと出ません
A. ディスクは正常で、機器側の設定である可能性が高い状態です。光デジタルや同軸でアンプに繋いでいる場合、プレーヤーの「デジタル音声出力」がビットストリームになっていて、受け側がドルビーデジタルのデコードに対応していないと無音になります。設定をPCMに変更して試してください。HDMI接続なら、テレビ側でその端子の音声入力割り当てと、音声出力が外部スピーカーになっていないかを確認します。いずれも焼き直しは不要です。
Q. 音は出るが小さすぎる場合はどうすればいいですか
A. 編集ソフトのオーディオメーターでピークがどこまで振れているかを見てください。-12dBFS程度で止まっているなら収録レベルが低いままなので、コンプレッサーで音量の幅を詰めてからリミッターで頭を押さえ、ピークが-3dBFS付近に来るよう調整して書き出し直します。再生側の対処としては、プレーヤーやアンプの「ダイナミックレンジ圧縮」「ナイトモード」をオンにすると小さい音が持ち上がり、会話が聞き取りやすくなります。
Q. 5.1chで作ったDVDでセリフだけ聞こえないのはなぜですか
A. 5.1chではセリフをセンターチャンネルに置くのが基本で、そのセンターが出力されない環境だと会話だけが抜け落ちます。プレーヤーのスピーカー設定が5.1chのままで、実際にはテレビの2つのスピーカーしか繋がっていない、という状況で起きやすい症状です。プレーヤー側の設定を2ch(ステレオ/ダウンミックス)に変えると戻ることがあります。配布先の再生環境が分からないディスクは、48kHz・2chに統一しておくほうが安全です。
Q. 音が出ないDVDは焼き直すしかありませんか
A. 原因によります。音声トラックが入っていない、AACやMP2のまま焼かれている、サンプリング周波数が44.1kHzになっている、といったディスクの中身に起因する場合は作り直しが必要です。一方、プレーヤーのデジタル音声出力設定、テレビの入力割り当て、スピーカー構成の設定、複数音声トラックの選択といった機器側の問題なら、設定を変えるだけで解決します。記事中の確認順序の1〜5番が中身の問題、6〜7番が設定の問題です。
Q. 焼き直すときは何を変えればいいですか。一度に全部直したくなります
A. 1枚につき変更点を1つに絞ることをおすすめします。音声形式もサンプリング周波数もチャンネル数もまとめて変えると、鳴ったときにどれが効いたのか分からず、次に同じ症状が出たときにまた最初から探すことになります。DVD-RWやBD-REのような書き換え可能なメディアを1枚検証用に用意し、変更点と結果を控えながら進めると、本番用のディスクを無駄にせずに済みます。