この記事の要点
- 卒業記念DVDは、学校(PTA)と作る人・配る範囲・費用を先に決め、6年間(中学・高校なら3年間)の写真と動画を集め、写る子の扱いと曲の手続きを確かめてから作ります。
- 締め切りは卒業式から逆に数えて置きます。受験のある中学・高校では、生徒に頼むメッセージの撮影や写真の提出を、秋のうちに済ませる組み方にします。
- ほかの子が写る写真は、学校の決まりと写っている家庭の了解を先に確かめます。中学生・高校生なら本人の気持ちも聞き、受け取る家庭にはSNSに載せないようお願いを添えます。
- 式で曲を流すのは条件がそろえば手続きなしでできても、曲を入れたDVDを配るのは複製と頒布です。作るのが学校でも係でも手続きが要り、生徒が歌った合唱でも曲の権利は残ります。
- 配るのはDVDが基本で、ブルーレイは再生できる機器がある家にだけ渡します。1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえ、解散する前に元の動画を持つ人と追加の窓口を決めます。
卒業の年度にPTAの卒業対策委員(卒対)や係になると、卒業式までの数か月で、小学校なら6年間、中学校・高校なら3年間の写真と動画を集め、1本の動画にまとめて、卒業生の家庭に配るところまでを受け持つことになります。作るのが担任の先生や生徒の有志でも、決めることと進める順番は変わりません。
手間がかかるのは、編集よりも学校との相談と素材集めのほうなので、係が決まったら学校への確認から始めます。
ほかの子が写る写真の了解と、市販の曲の手続きは、作り終えてから気づくと作り直しになります。園の卒園記念DVDについては卒園記念DVDの作り方にまとめました。小学校から高校の卒業では、そこに学校とPTAの役割の分け方と、受験の時期との重なりが加わります。
卒業記念DVDを作る流れと、係が受け持つ仕事
卒業記念DVDの係の仕事は、動画を作る腕よりも、段取りと確認が大半を占めます。流れを7つに分けると、次のとおりです。
- 学校と、作る人・配る範囲・費用・使ってよい写真と動画を決める
- 卒業式の日から逆に数えて、素材の締め切りと注文の日を決める
- 保護者に、中学・高校なら生徒にも、写真と動画の提出を呼びかけ、集めて保存する
- 名簿と照らして写真を選び、構成を決めて編集する
- 市販の曲や合唱を入れるなら、曲の手続きを済ませる
- 学校と係で内容を確かめ、1枚目を何台かの機器で試す
- 人数分を作って配り、元の動画を持つ人と追加の窓口を決める
担当は、学校との連絡と注文を受け持つ代表、編集、名簿での確認、会計の4つに分けると回ります。編集する人と、できた動画を確かめる人は別にしてください。編集した本人は、名前の誤字や写っていない子に気づきにくいからです。学校には作業ではなく、判断と素材をお願いする形にすると、3学期の忙しい時期でも話が止まりにくくなります。
最初に学校と決めること|作る人・配る範囲・費用・使ってよい写真
作業を始める前に、係の代表が学年主任や担任の先生に相談して、次のことを決めます。あとから「この写真は使えない」「この曲は入れられない」と分かると、選び直しと編集のやり直しになるからです。
- 誰が作って配るか。PTA(卒対)か、保護者の有志か、学校か、生徒か
- 学校が撮った行事の写真や動画を使ってよいか。使ってよいなら、どの範囲か
- 写ることを避けたい事情のある子がいないか(学校を通して確かめる)
- 誰に配るか。卒業生の家庭だけか、先生や学校で保管する分も含むか
- 費用をどうするか。無償か、製作の実費だけを集めるか
- 完成した内容を、いつ誰に見てもらうか
誰が作るかは、ほかの項目にも関わります。学校が撮った写真をPTAが借りて使うなら、渡してよいかを決めるのは学校です。曲の手続きでも、学校が作るか、PTAや保護者が作るかで、使える例外が変わります。費用を無償か実費だけにするかは、JASRACの使用料の区分(非商用複製)の条件に関わります。体育祭の映像を配るときに学校とPTAで決めることは、体育祭・運動会の映像をDVDで保護者に配布する方法にも書きました。
学校や写真館が撮った写真を使うには
写真も、著作権法で守られる著作物です(第10条に「写真の著作物」が挙がっています)。学校が撮った行事の写真や、学校が撮影を頼んだ写真館などの写真は、撮った側や権利を持つ側の了解のうえで使うものです。DVDにして配ることまで伝えて、学校に確かめます。
子どもが写っていて誰か分かる写真や動画は、個人情報にもあたります。個人情報保護委員会のガイドラインは、本人が判別できる映像を個人情報の例に挙げています。委員会のQ&Aは、PTAが学校から生徒などの情報を受け取る場面について、学校が第三者に渡すことは個人情報保護法の決まりに沿って適正に扱うよう求めています。写真を係に渡せるか、どこまで使ってよいかは、学校がそれぞれの決まりで判断することです。断られた写真は使わず、保護者や生徒が撮った写真で組み立てます。
卒業式から逆に数えるスケジュールと、受験のある学年の組み方
準備は、卒業式の日から後ろ向きに組みます。卒業式が3月中旬の学校で、秋に係が決まった場合の目安は次のとおりです。式が3月の初めにある学校は、そのぶん全体を前に寄せてください。
| 時期の目安 |
やること |
| 9〜10月 |
係を決める。 作る人・配る範囲・ 費用を学校と 確かめる。 部数の見込みを 出す。 |
| 10〜11月 |
写真と動画の 提出を呼びかける。 生徒のメッセージを 撮る。曲を使うか、 どの曲かを決める。 |
| 12月 |
1回目の締め切り。 名簿と照らし、 写真の少ない子を 探す。 |
| 1月 |
2回目の締め切り。 構成を決めて 編集する。 曲の手続きを 申し込む。 |
| 2月上旬 |
学校と係で内容を 確かめて直す。 書き出して、 1枚目を作る。 |
| 2月中旬 |
1枚目を何台かの 機器で試す。 人数分を注文する。 |
| 3月上旬 |
枚数と盤面を 確かめる。 配る準備をする。 |
| 卒業式 |
配る。上映するなら、 開場前に機器を 確かめる。 |
締め切りを2回に分けるのは、遅れる家庭が出ても、足りない子の写真を探す時間を残すためです。1回目の締め切りのあとで名簿と照らせば、写真の少ない子が分かります。学校が使ってよいとした行事の写真から探すか、その家庭に個別にお願いすれば、2回目の締め切りまでに埋められます。
受験のある学年は、生徒に頼むことを秋に済ませる
中学校と高校の卒業学年には、冬に入試を控える生徒がいます。生徒にお願いすること(メッセージの撮影、手元にある写真の提出、名前の表記の確認)は、秋のうちに締め切る組み方にします。3学期に登校する日が少ない学年なら、クラス全員がそろう日に撮るものは2学期のうちに撮っておきます。
生徒の有志が編集まで受け持つなら、秋までに構成と写真の選び方を決めておきます。編集のデータと選んだ写真の一覧を係の間で共有し、冬に手を離しても、ほかの人が引き継げる形にしておけば、入試の日程に合わせて作業を休めます。
注文の日は、配る日から逆に数える
店にディスクを頼むなら、1枚目と残りの2回に分けて作ると、試す時間を取れます。次の順に決めていくと、どこに余裕が要るかが見えます。
- 配る日を決める(卒業式の日か、その前の登校日など)
- 残りの枚数を注文する日を決める(発送までとお届けまでの日数を見込む)
- 1枚目を何台かの機器で試す期間を取る
- 1枚目を注文する日を決める
- 曲の手続きが要るなら、1枚目を作る前に許諾を得る日を決める
- 学校に内容を見てもらう日と、編集を終える日を決める
曲の手続きにかかる日数は、JASRACはオンラインの窓口「J-RAPP」なら許諾番号の通知まで通常2〜3営業日、書類で申し込むと最低1週間ほど、NexToneは申請から許諾まで通常5営業日ほどと案内されています。どちらもディスクを作る前に済ませる手続きです。当社の通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日。15時以降のご注文は翌営業日の受付で、土日祝の注文・入稿は翌営業日からの作業になります。1枚目と残りの2回分を、この日数で見込んでください。
1枚目と残りの2回に分けると、試す時間を取れる。配る日から逆に日を置く
6年間・3年間の写真と動画を集める方法
素材の出どころは、主に4つです。
- 保護者のスマホやカメラ。入学式や低学年のころの写真は、機種変更の前の端末やクラウドに残っていることがある
- 学校が撮った行事の写真と動画。使ってよい範囲は学校が決める
- 生徒のスマホ(中学・高校)。休み時間や部活動、修学旅行の写真
- 先生のメッセージ。異動した先生に頼むなら、学校を通して連絡する
集める方法は、ひとつに絞って案内します。「LINEでもメールでも」と受け口を広げると、どの家庭の写真がどこにあるかを追いきれなくなります。1家庭あたりの枚数と、2回の締め切りも、最初の案内で伝えます。
送り方はひとつに絞り、枚数と締め切りは最初の案内で伝える
どの方法で集めるかで、届く写真の画質が変わります。LINEのアルバムに、有料会員でない人が追加できるのは通常画質の写真だけで、オリジナル画質の写真と動画を追加できるのは、LYPプレミアムなどの会員に限られます(LINEヘルプセンター)。iPhoneの写真アプリの共有アルバムは、iOS 26以前で作ったアルバムだと写真が長辺2048ピクセルに、ビデオが720pまでに縮められ、iOS 27以降で作ったアルバムなら元の形式・フル解像度で保存されます(Apple)。ギガファイル便は、データの加工や圧縮はしていないと公式FAQで答えていますが、保持期限は何も変えなければ5日で、アップロードしたあとで延ばせません。Google フォトの共有アルバムの扱いも含めた違いは、卒園記念DVDの作り方の写真の集め方の節で比べています。
名簿で、写っている回数を数える
集まった写真を見た目の印象で選ぶと、写真の多い家庭の子に偏ります。名簿の横に、選んだ写真に写った回数を書き込んでいくと、偏りがすぐに分かります。学年ごとにも数えておくと、入学したころの写真が少ない子に早めに気づけます。途中で転入した子は、転入した学年から後の写真で回数をそろえます。転校していった友だちを入れるかどうかは、学校に相談して決めてください。
そのまま使える募集の文
保護者への案内は、学校の連絡アプリやおたよりに合わせて直してください。
【卒業記念DVDの写真募集について】
卒業記念DVD係より、DVDに入れる写真と動画を募集します。
・内容:お子さんが写った写真を学年ごとに1〜2枚(入学式のころのものも歓迎です)と、30秒までの動画1本
・送り方:◯◯(共有アルバムの名前、またはURLの送り先)
・締め切り:1回目 ◯月◯日(◯)、2回目 ◯月◯日(◯)
※DVDは卒業生のご家庭と先生にお配りします。ほかのお子さんも写りますので、受け取ったDVDはご家庭でご覧になり、SNSや動画サイトには載せないでください。
※写ることを避けたい事情がある場合は、◯月◯日までに係か学校にお知らせください。
※撮影場所の情報を共有しない設定にできる場合は、オフにしてからお送りください。
集めた写真と動画には、ほかの家庭の子の顔と声がたくさん入っています。置き場所は係の数人だけが開ける所にし、共有アルバムのリンクを広めないようにします。Google フォトでは、共有アルバムからユーザーを削除しても、リンクの共有が有効なら、元のリンクを知っている全員がアルバムを見られます(Google)。集め終えたら、リンクの共有をオフにします。写真やビデオを共有すると、日付・時刻・場所などの情報も一緒に共有される、とAppleは説明しています。Google フォトなら、共有アルバムごとに[写真の撮影場所を共有する]をオフにできます(Google)。文例の最後の一文は、そのためのお願いです。
ほかの子が写る写真は、学校の決まりと家庭の了解を先に
卒業記念DVDには、ほかの家庭の子どもや先生がたくさん写ります。肖像権は、自分の肖像をみだりに他人に公開されない権利で、法律に定めはなく、判例によって確立されてきた権利です。文化庁は学校向けの冊子で、他人の肖像を使うときは、あとでトラブルにならないよう、事前に本人や保護者の承諾を得ておくよう勧めています。
個人情報保護委員会も、会社の行事で撮った写真を社内で展示する例について、プライバシーの権利や肖像権の侵害にあたる場合もあると注意しています。望ましい取り組みとして挙げているのは、展示の期間を限ること、不特定多数に渡すときに本人の同意を得ることです。卒業記念DVDも同じ考え方で配る範囲を決め、写真の募集と一緒に「卒業生の家庭に配るDVDを作ること」を知らせて、写っている家庭の了解を得ておきます。
中学生・高校生は、写る本人の気持ちも聞く
小学生は保護者に確かめるのが基本ですが、中学生・高校生は、写る本人の気持ちも聞いておきます。個人情報保護法の同意について、委員会のQ&Aは、親などの法定代理人から同意を得る必要がある子どもの年齢は、個人情報の項目や事業の性質で個別に判断するものとしたうえで、一般的には「12歳から15歳までの年齢以下の子ども」としています。写真の了解は、保護者と生徒の両方に届く形で聞くと、あとで行き違いが起きにくくなります。
写ることを避けたい子と、名前の出し方
写ることを避けたい事情がある子は、学校を通して確かめます。事情は聞かずに希望だけを受け取り、編集する人と確かめる人にだけ伝えます。名前を字幕やエンドロールで出すなら、出してよいか、フルネームにするかも学校と決めてください。名前も、特定の人を識別できる情報として個人情報にあたります(個人情報保護法第2条)。
在学中に亡くなった同級生や先生の写真を入れるかどうかは、学校を通してご家族の意向を確かめてから決めます。水着や着替えの場面が写った写真は選ばないでおき、受け取る家庭には、SNSや動画サイト、ほかのグループに載せないようお願いを添えます。個人情報保護法のどの決まりが当てはまるかは、学校が公立か私立かで分かれます。その違いと同意書の作り方・文例は、園向けの記事ですが園の動画・写真を配るときの同意書にまとめました。
ほかの子が写る写真は、学校の決まりと写る家庭の了解を先に確かめる
卒業スライドショーの構成と、全員が同じくらい写る選び方
構成に決まった型はありませんが、時期の順に並べると、入学からの成長がそのまま伝わります。
| 場面 |
入れるもの |
| オープニング |
校舎や通学路の 写真と、学校名と 年度の入った題。 |
| 入学のころ |
入学式と、 1年生のころの写真。 |
学年ごとの 毎日 |
行事とふだんの 写真を、学年の順に。 中学・高校なら 部活動や 修学旅行も。 |
| 行事の動画 |
運動会や音楽会の、 声の入った 短い場面。 |
| 先生から |
今の担任と、 お世話になった 先生のメッセージ。 |
| 一人ずつ |
顔写真と名前、 または一言。 |
| エンディング |
最近の集合写真。 |
動画は、声の入った短い場面が向いています。運動会のダンスのように市販の曲が流れている場面を入れるなら、その曲も手続きの対象になります。長さに決まりはありません。DVD-R(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモード相当の画質(約5Mbps)で約2時間なので、それより短ければ1枚に収まります。
写真の枚数は、場面の長さから逆に数える
写真を何枚使うかは、手元にある枚数ではなく、場面の長さから決めます。計算は「場面の長さ(秒)÷1枚あたりの秒数」です。一人ずつの場面で1人1枚を6秒ずつ見せるなら、卒業生60人の学年で360秒、6分になります。1枚の秒数に決まりはなく、iPhoneのiMovieでは、写真は初めの設定で6〜12秒表示されます(Apple)。写真が少ない子の場面は、1枚を長めに見せて、先生のひとことを字幕で添える方法もあります。
編集して、1080pで書き出す
写真を並べて動画にするのは、iPhoneのiMovieやパソコンの編集アプリなど、手元にあるもので足ります。機器ごとの手順は写真のスライドショーをDVDにする方法にまとめました。できあがったら、1080p(1920×1080)の動画に書き出します。DVDにもブルーレイにも使える形です。iPhoneのiMovieでは、HDRのビデオが入っていると書き出しの「HDR」が初めからオンになっているので、オフにします。Appleも、ほとんどの機器との互換性を保つにはオフにするよう案内しています。
書き出したら、編集画面ではなく、書き出したファイルを最初から最後まで再生して確かめます。見るのは、学校名・年度・名前の誤字、写っていない子がいないか、場面の変わり目の音の大きさです。名簿を持った別の係と一緒に見ると、見落としに気づきやすくなります。
卒業DVDの曲と著作権|式で流すこととDVDにして配ることは別
卒業式で合唱し、入退場にCDを流し、スライドショーを上映する。こうした式の中での使い方と、曲を入れた動画をDVDにして配ることは、著作権法の上で扱いが違います。前者は演奏や上映、後者は複製と頒布にあたるからです。
| 場面 |
手続き |
式で合唱し、 CDを流し、 上映する |
営利目的でなく、 入場料を取らず、 出演者に報酬が なければ要らない (第38条)。 |
学校が式で 流す動画に 曲を入れる |
式のためだけに 学校が作るなら 要らない(JASRAC)。 |
卒対や係が 動画に曲を 入れる |
複製にあたる。 学校の授業の例外 (第35条)も、 当日の例外 (第38条)も 使えない。 |
卒業記念 DVDにして 配る |
作るのが学校でも 係でも要る。 無料で配っても 要る。 |
家族が家で 見るために 撮る |
私的使用の複製 (第30条)。 要らない。 |
学校が式のために作る動画と、記念に配るDVDの違い
JASRACの学校向けの解説は、入学式・卒業式を「授業」の一環とし、式のためだけに市販のCDから音楽を入れてスライドショーや動画を作ることを、手続き不要としています。同じ解説が手続きの要る例に挙げているのが、「卒業記念DVDなどにするために録画(または録音)する」ことと、「卒業記念にCDやDVDを制作して生徒や保護者に配る」ことです。NexToneも、卒業記念のCDやDVDを作って生徒や保護者に配るときは、事前に権利者の許諾が要ると案内しています。
文化庁も学校向けの冊子で、記念品として配る目的で、著作物が含まれる特別活動の映像を保存する場合は、授業に当たらず、著作者や著作隣接権者などの許諾が必要だと書いています。式で流したスライドショーをそのままDVDにして配るのは、この「授業の外」の使い方です。授業のために作った複製物を、その目的の外で配ったり公衆に見せたりすると、複製を行ったものとみなされます(第49条)。PTAや保護者の係が作る動画は、第35条が定める「教育を担任する者及び授業を受ける者」の利用ではないので、初めからこの例外の外です。
無料で配っても、手続きは要ります。曲を動画に入れることは録音で、著作権法では「複製」にあたり、有償か無償かを問わず複製物を公衆に渡すことが「頒布」です(第2条)。著作権法の「公衆」には特定かつ多数の人も含まれ(同条5項)、何人から「多数」になるかに決まった人数はありません(文化庁)。家庭の中で見るための複製は第30条の私的使用として許諾なしにできますが、文化庁の説明では、家庭内など限られた範囲で使うために、使う本人が複製することが条件です。係が作って卒業生の家庭に配るDVDは、この範囲に収まりません。
生徒が歌った合唱や校歌も、曲の権利は残る
CDや音楽配信で売られている曲には、作詞者・作曲者の著作権、歌手や演奏家(実演家)の著作隣接権、その音を録音したレコード製作者の著作隣接権の、3つの権利が含まれています(JASRAC)。生徒や先生が歌い、演奏した音なら、市販のCDにある歌手やレコード会社の権利は関わりません。それでも曲に作詞者・作曲者がいれば、曲の著作権の手続きは要ります(NexTone)。JASRACも、合唱祭などを録音・録画したCD・DVDを配るときは、歌うことに手続きが要らない場合でも、録音・録画の手続きが要ると案内しています。校歌にも作詞者と作曲者がいて、JASRACの管理曲かどうかは作品検索データベース「J-WID」で確かめられます。
曲の手続きの流れ
- 曲を管理している団体を調べる。JASRACは「J-WID」、NexToneは「NexTone作品データベース」で調べる
- 市販のCDや配信の音をそのまま使うなら、先にレコード会社やアーティストの所属事務所などに連絡して、音源の許諾を得る
- 曲の許諾を、JASRACはオンラインの窓口「J-RAPP」から、NexToneはクリアランスシステム「PlayN」から、ディスクを作る前に申し込む
- 届いた許諾番号とJASRACのロゴマーク、NexToneの許諾マークを、それぞれの案内に従ってディスクなどに表示する
無償か製作費の実費だけで配るDVDは、JASRACの使用料では「非商用複製」の区分で、曲ごとの収録時間と作る枚数から計算します。JASRACの案内では、写真のスライドショーは「録音物」、DVD・ブルーレイは「映像ソフト」と製作の区分が分かれているので、写真と動画が混ざるDVDをどの区分で申し込むかは、先にJASRACやNexToneに確かめてください。使用料の計算のしかたと申し込みの細かな手順は、学校行事の録画・DVD配布と著作権にまとめました。
手続きをしないで作るなら
- DVDには曲を入れずに作る。式や謝恩会の会場では、第38条の条件に当てはまり、会場が応じるなら、市販のCDをそのまま流す
- 利用規約で、動画に入れて配ることが認められた音源を使う
- 教室や校庭で録った声など、曲の入っていない音を生かす
「著作権フリー」とされる音源も、使える範囲は規約しだいです。文化庁もイラストの例で、「著作権フリー」などの表示があっても利用の条件が決められている場合があるとして、条件をよく確かめるよう呼びかけています。編集アプリに付いている音楽も同じで、Google フォトで作る動画に付く音楽は「非営利目的の個人使用のみ」、Mac版iMovieの使用許諾契約は、付属のオーディオの用途を「個人的、非営利的な用途のみ」に限っています。
部数の数え方と、1枚目を何台かの機器で試す手順
部数は、希望する家庭・先生・学校の保管・予備を足す
部数は、希望する家庭の分、先生の分、学校で保管する分に、予備を足して出します。祖父母の分など、1家庭で2枚以上を希望できるかは、集金の前に決めて案内しておきます。予備は、届いてから割れや数え違いが見つかったときと、あとから追加を希望する家庭に備える分です。家庭用と先生用で内容を変えるなら、それぞれの枚数を数えます。曲の手続きが要るなら、JASRACの使用料は作る枚数でも変わるので、申し込むのは予備を含めた枚数が決まってからです。
集める金額は、部数と盤面の印刷などの内容が決まってから、学校と係で決めます。支払いの記録と領収書を残し、収支を1枚にまとめて配るときに添えておくと、卒業したあとで問い合わせがあっても答えられます。
配るのはDVDが基本、ブルーレイは希望する家に
配るのはDVDが基本です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できませんが、ブルーレイのプレーヤーはDVDも再生できるものが多いからです(ソニー)。映像の細かさはDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080なので、大きなテレビで見る家庭には差が出ます。全員にDVDを渡し、ブルーレイを再生できる機器があると分かっている家にだけ、希望を聞いてブルーレイも作る、という分け方ができます。違いはDVDとブルーレイの違いで比べています。
大きなテレビで見る家庭には差が出る。全員にDVDを渡し、ブルーレイは希望する家に
1枚目を何台かの機器で試す
決まった形に組み立てたDVDでも、どの家の機器でも同じように映るとは限りません。ソニーのレコーダーの説明書は、記録済みのDVD-Rなどは、傷や汚れのほか、記録状態や記録した機器・ソフトの特性によって再生できないことがあると書いています。MP4などの動画ファイルをそのままDVDに書き込んだものは、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できません(パナソニック)。
そこで、全部を作る前に1枚を作り、配る相手のうち何軒かに見てもらいます。DVDだけのプレーヤーの家、ブルーレイのレコーダーの家、ゲーム機で見る家、車で見る家が含まれていると、確かめられる範囲が広がります。見てもらうのは、次の点です。
- ディスクを入れて、本編が始まるか。メニューを付けたなら、メニューから再生できるか
- 最初から最後まで、止まらずに流れるか
- チャプターを付けたなら、クラスごとの区切りに飛べるか
- 音が出るか。音の大きさと、映像とのずれはないか
- 画面の端で、名前などの文字が欠けていないか
映らないという返事があったら、その機器の型番を聞き、説明書の「再生できるディスク」の欄を確かめてから残りを作ります。配るDVDを多くの家で見られるようにする作り方は、配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るにはにまとめました。
盤面とケースに入れること
盤面やケースには、学校名、年度、「卒業記念」の題を入れておくと、何年かたって棚から出てきたときも、何のディスクかがすぐ分かります。校章を使うなら、使ってよいかを学校に確かめてから画像を作ります。曲の手続きをしたときは、許諾番号やロゴマーク、許諾マークを、それぞれの案内に従って入れます。紙のラベルやシールは貼らないでください。PlayStationの公式の案内は、シールや紙のラベルが貼られたディスクを、本体の故障の原因になる場合があるとして使わないよう書いています。
卒業式の日に配るか、あとで配るか|元の動画と追加の窓口
手渡ししやすいのは、卒業式の日か、その前の登校日です。ただ、式の日に配るDVDに、式そのものの映像は入りません。式の様子も入れたいなら、配るのは式のあとになります。卒業したあとは全員が集まる日を取りにくいので、学校を通して渡すか、郵送するかを先に決めておきます。欠席した家庭の分も同じです。名簿で、渡した家庭に印を付けていくと、渡し漏れを防げます。
卒業式や謝恩会で上映するなら
式や謝恩会の会場で流すことは、第38条の3つの条件(営利を目的としない、料金を取らない、出演者に報酬を払わない)がそろえば、手続きなしでできます。謝恩会で会費を集めるときは、その会費が何の対価かで扱いが変わります。文化庁は、名目を問わず著作物を見せる対価の性格があるものを「料金」とし、集めたお金を会場費に充てる場合も含めています。なお、JASRACは、市販のCDやダウンロードした音源を使った映像を上映するときは、上映の手続きとは別に、その映像を作ることの手続きが要ると案内しています。
上映も受け持つときは、会場の担当の方に、映す機器(プロジェクターかテレビか)、再生する機器(DVDプレーヤー、ブルーレイの機器、パソコンのどれか)、音をどこから出すかを先に聞きます。会場の機器がDVDプレーヤーなら、ブルーレイは映りません。本番と同じ機器とつなぎ方で前もって最後まで流し、当日はディスクと、パソコンで再生できる動画ファイルの2つを持っていくと、1つがうまく動かなくても上映できます。
データでも渡すなら
スマホで見たい家庭や生徒には、データで渡す方法もあります。LINEやURLは、受け取った人が転送すれば広がる点で、ディスクと違います。ほかの子が写る動画であることは変わらないので、配る範囲とお願いの一文を添えます。配り方ごとの違いは、園行事の動画はLINEとDVDのどちらで配る?にまとめました。
解散する前に、元の動画と追加の窓口を決める
卒業すると、係で集まる機会はなくなります。その前に、元の動画ファイルと使った写真の一覧を誰が持っておくか、追加のディスクがほしい人は誰に連絡すればよいかを決め、クラスの連絡に残しておきます。元の動画は、パソコンと外付けのドライブ、クラウドなど、2か所以上に置いてください。何年かたって同窓会で流したいという話が出たときも、元の動画があれば同じ内容で作れます。曲の手続きをしたDVDを追加で作るときは、追加の枚数の扱いをJASRACやNexToneに確かめます。使わなかった写真を消すか、学校に返すかも、ここで決めておきます。
元の動画があれば、何年たっても同じ内容で作り直せる
当社に頼むとき|編集を終えた動画を入稿する
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、1枚から注文できる、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、受け付けるのは完成した動画のデータです。編集を終えた卒業記念の動画をギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive などにアップロードし、その共有URLを注文フォームに貼っていただければ、スマホからも入稿できます。動画が複数あるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けて、収める順番を指定してください。受け取った動画はプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。仕上がりはDVDが720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイが1920×1080です。
ギガファイル便にダウンロードパスワードを付けてアップロードしたときは、URLを貼ると開く「ダウンロードパスワード」の欄に入れてください。入れないと注文に進めません。クラスごとに頭出しできるようにするなら、「チャプター分け」を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の区切りの位置を時刻で入れます(1つ目は動画の冒頭00:00:00に自動で入ります。最大50チャプター)。盤面レーベル印刷とケース+背表紙印刷は、選ぶと開く欄に、画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。配る日などほかの希望は、注文フォームの備考欄に書いてください。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)で、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円、ケース+背表紙印刷(1枚あたり)+1,500円、チャプター分け(1枚あたり)+1,500円は基本料金に含まれないオプションで、付けた枚数分かかります。家庭用と先生用のように内容の違うディスクや、同じ内容をDVDとブルーレイの両方で作る場合は、それぞれ1枚目から数えます。1枚目を試してから残りを頼むときのように、後日に追加で注文する分も、新しい注文の1枚目から数えます。ブルーレイやメニュー画面作成など、ほかの項目の金額は料金表に載せています。
配る日が近いときは、急ぐお届けも選べます。特急お届けは平日15時までの注文・入稿で翌日発送、お急ぎお届けは平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送、当日店舗お渡しは平日12時までの注文・入稿で、大阪・梅田の店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
よくある質問
Q1. 卒業記念DVDの準備は、いつから始めればいいですか?
卒業式の日から逆に数えて決めます。学校との相談、写真の募集と2回の締め切り、編集、学校による内容の確認、曲の手続き、1枚目の試し、人数分の注文の順に時間がかかるので、卒業式が3月なら、秋に係が決まった時点で学校への確認から始めます。受験のある中学・高校では、生徒に頼むメッセージの撮影や写真の提出を、秋のうちに済ませる組み方にします。
Q2. 卒対や卒業DVDの係になったら、最初に何をすればいいですか?
学校に相談して、誰が作って配るか、学校が撮った写真や動画を使ってよいか、写ることを避けたい事情のある子がいないか、配る範囲、費用を無償にするか実費を集めるか、完成した内容をいつ誰に見てもらうかを決めます。そのうえで、卒業式から逆に数えた締め切りと、写真の集め方を決めます。編集する人と確かめる人は、分けておきます。
Q3. 卒業スライドショーをDVDにするには、どうすればいいですか?
編集アプリで1080p(1920×1080)の動画に書き出し、その動画をDVDビデオ(DVD-Video)の形に組み立ててから書き込みます。MP4などの動画ファイルをそのままDVDに書き込んだものは、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できません(パナソニック)。iPhoneのiMovieで書き出すときは、HDRのビデオが入っていると「HDR」が初めからオンになっているので、オフにします。
Q4. 卒業記念DVDに市販の曲を使ってもいいですか?
配るなら手続きが要ります。式で流すことは第38条の条件がそろえば手続きなしでできますが、曲を動画に入れることは複製で、この例外に入りません。学校が作る場合も、記念品として配るDVDは授業に当たらないと文化庁は説明しています。曲はJASRACやNexToneに、市販のCDや配信の音をそのまま使うならレコード会社などにも、ディスクを作る前に申し込みます。
Q5. 卒業式で上映したスライドショーを、そのままDVDにして配ってもいいですか?
曲が入っているなら、配る前に手続きが要ります。学校が式のためだけに動画に曲を入れることは、手続き不要とされています(JASRAC)。けれども、それをDVDにして配るのは授業の外の使い方で、授業のために作った複製物を目的の外で配ると、複製を行ったものとみなされます(第49条)。卒対や係が作った動画なら、初めから第35条の外です。
Q6. 生徒が歌った合唱や校歌なら、手続きは要りませんか?
生徒や先生が歌った音なら、市販のCDにある歌手やレコード会社の権利は関わりません。それでも曲に作詞者・作曲者がいれば、曲の著作権の手続きは要ります(NexTone)。JASRACも、合唱祭などを録音・録画したCD・DVDを配るときは、歌うことに手続きが要らない場合でも、録音・録画の手続きが要ると案内しています。校歌がJASRACの管理曲かどうかは、J-WIDで確かめられます。
Q7. ほかの子が写っている写真を、卒業DVDに使ってもいいですか?
配る前に、学校の決まりと、写っている家庭の了解を確かめます。文化庁は、他人の肖像を使うときは、事前に本人や保護者の承諾を得ておくよう勧めています。中学生・高校生なら、本人の気持ちも聞きます。学校が撮った写真を使うなら、係に渡してよいかは学校が決めます。受け取る家庭には、SNSや動画サイトに載せないようお願いを添えます。
Q8. 卒業記念DVDは、何枚作ればいいですか?
希望する家庭の分、先生の分、学校で保管する分に、予備を足します。祖父母の分など、1家庭で2枚以上を希望できるかは、集金の前に決めて案内します。予備は、割れや数え違いが見つかったときと、あとから追加を希望する家庭に備える分です。曲の手続きが要るなら、使用料は作る枚数でも変わるので、予備を含めた枚数が決まってから申し込みます。
Q9. 配るのは、DVDとブルーレイのどちらがいいですか?
相手の機器が分からないならDVDです。ブルーレイはDVDプレーヤーでは再生できませんが、ブルーレイのプレーヤーはDVDも再生できるものが多いからです。画質はDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080なので、大きなテレビで見る家庭には差が出ます。全員にDVDを渡し、希望する家庭にだけブルーレイも作る、という分け方もできます。
Q10. 卒業したあとで、追加のディスクを作れますか?
元の動画ファイルが残っていれば作れます。卒業する前に、元の動画と使った写真の一覧を誰が持っておくか、追加を希望する人の連絡先を係で決め、元の動画はパソコンとクラウドなど2か所に残します。曲の手続きをしたDVDなら、追加の枚数の扱いをJASRACやNexToneに確かめます。当社に頼む場合、後日の追加注文は新しい注文の1枚目から数えます。
Q11. 担任の先生が1年間の学級の記録ムービーを作り、生徒に配るときも同じですか?
同じことを先に決めます。誰が作って誰に配るか、学校が撮った写真や動画をどこまで使うか、写ることを避けたい事情のある子がいないかを、学校の決まりに沿って学年主任や管理職と確かめます。最後のホームルームで流すだけか、ディスクにして配るかで、曲の扱いが変わるのも同じです。配るなら、1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえます。
参考にした公式の情報
出典の一覧(35件)を開く
法律の運用や各団体の手続き、アプリやサービスの画面は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月24日から26日にかけて確かめた法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、学校、JASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。