この記事の要点
- 撮ってよいか、どこから撮るか、映像を誰に配ってよいかは、学校・会場・大会の決まりで決まります。撮る前に、顧問を通して確かめておきます。
- 既成の脚本なら、上演の許可と、録画してディスクで配ることの許可を分けて、作者や上演許可を扱う出版社などに確かめます。劇中の曲も、流すことと録画して配ることは別の手続きです。
- 暗い舞台は、明るさ(露出)とピントを固定して撮ります。声は、マイクやレコーダーを舞台に近づけて録ります。
- カメラは、舞台全体が入る引きの1台を三脚に据え、開演から終演まで止めずに回します。寄りの映像は、もう1台に任せます。
- 部員と家族に配るならDVDを基本にし、1枚目を何台かの機器で最後まで再生してから枚数をそろえます。元の動画は、部の記録として2か所以上に残します。
文化祭の公演、地区大会、3年生の引退公演。幕が下りると、部員や家族から「映像で残したい」「DVDでほしい」という声が上がります。舞台は同じ形では二度と上演されず、撮り損ねた場面をあとから撮り直すことはできません。
演劇部の公演を映像で残すなら、まず撮ってよいか、どこから撮るか、配ってよいかを、学校・会場・大会の決まりで確かめます。既成の脚本で上演するなら、上演の許可とは別に、録画してディスクで配ることの許可も作者の側に確かめます。本番は、舞台全体が入る引きのカメラを1台、明るさとピントを固定して止めずに回し、声はマイクを舞台に近づけて録ります。配るのは多くの家で見られるDVDが基本で、1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえ、元の動画は部の記録として2か所以上に残します。
あとから直しにくいのは決まりの確認と許可。ディスクを作る前に済ませる
このうち、あとから直しにくいのは決まりの確認と許可です。配り終えたディスクは集め直せず、脚本や曲の許可はディスクを作る前に得ておくものだからです。
演劇部の公演を撮影してよいかは、学校・会場・大会の決まりで決まる
撮ってよいか、どこから撮ってよいかは、著作権とは別に、公演の場を管理する側の決まりで決まります。校内の公演なら学校、ホールを借りた公演なら会場と主催者、大会なら大会を開く団体です。前の年と同じとは限らないので、公演ごとに確かめます。
| 公演の場 |
確かめる先と 確かめること |
校内の 公演・ 文化祭 |
学校。撮る場所、 三脚を使えるか、 映像を配る範囲。 |
ホールを 借りた公演 |
会場と主催者。 カメラの置き場所、 電源、音響の音。 |
地区大会 などの大会 |
大会を開く団体。 要項に無いことは 顧問から問い合わせる。 |
ホールで撮るなら、会場の決まりと主催者の許可の両方が関わります。記録のためのカメラを入れるなら、会場との打ち合わせで、カメラを据える場所、三脚が通路や出入り口をふさがないか、電源を使えるか、会場の音響から録音用の音をもらえるかを話しておきます。会場の決まりの例は発表会・舞台の映像をDVD・ブルーレイに|撮影の決め方から作成・配布までに載せました。
撮影の相談と同じ時期に、次のことも決めておきます。どれも、あとから変えると許可の取り直しや枚数の数え直しにつながります。
- 撮る範囲。本番だけか、ゲネプロ(本番と同じ照明・衣装で通す稽古)も撮るか
- 映像の使い道。稽古の振り返りに部の中で見るか、記念に配るか、部の記録として保存するか
- 配る相手。部員、家族、顧問、卒業した先輩、部の保存分のどこまでか
- インターネットに載せるか。載せないなら、受け取る側にもそう頼む
- 脚本と、劇中の曲・効果音の一覧。作者・作詞者・作曲者と、音が市販の音源かどうか
既成の脚本は、上演の許可と「録画して配る許可」を分けて確かめる
営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を払わない公演なら、劇を演じることは許諾なしにできます(著作権法第38条1項)。文化庁の学校向けの冊子も、この例外の適用例に「文化祭などでブラスバンド部の演奏や演劇部の演劇を行う場合」を挙げています。入場料を取る公演は、この例外から外れます。
この例外が認めているのは、上演・演奏・上映・口述だけです。文化庁の著作権テキストは、条件の1つめに「「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれない」と書いています。劇の上演を録画すると、法律の上では脚本の複製です(第2条1項15号イ)。ディスクにして配れば頒布で、頒布は有償か無償かを問わず、公衆には特定かつ多数の人も含まれます(第2条)。無料の公演を撮って部員や家族に無料で配る場合も、脚本の作者の許諾が要る側に入ります。
| 使い方 |
脚本と曲の扱い |
当日に 演じる・ 曲を流す |
無料・非営利・ 無報酬なら要らない (第38条)。高校演劇の 大会は、既成の脚本の 上演許可が決まり。 |
家族が 家で見る ために撮る |
要らない。 第30条の 私的使用。 |
録画して 部員や家族に 配る |
要る。脚本も曲も。 無料で配っても要る。 |
部の記録として 保存する |
曲はJASRACが 手続きの要る例に 挙げている。 学校に確かめる。 |
高校演劇の大会では、上演そのものにも許可を取ります。全国大会の開催を事業に掲げる全国高等学校演劇協議会(全国高演協)の著作権ガイドラインによると、無料の公演は、法律の上では許可なしに上演できる場合があります。それでも、著作権のある既成の脚本(潤色・構成を含む)を上演するには作者の許可が必要、というのが高校演劇独自のルールです。全国大会の上演時間は60分以内と定められていて、台本を削ったり一部を変えたりすることが多く、改変の許可を含めた上演許可が要るから、というのがガイドラインの説明です。
同じガイドラインは、無料の公演で制限されるのは上演権や演奏権だけで、複製権は制限されないとも書いています。上演の許可をもらった脚本でも、録画してディスクで配ることまで許されたとは限りません。上演の許可を頼むときに、記録の映像を撮ることと、ディスクにして配る相手・枚数も伝え、上演とは別に、録画して配ってよいかを確かめておきます。文化祭の演目ごとの権利は、文化祭・学園祭のDVDの作り方|撮影・著作権・配る・売るときの段取りにまとめています。
上演許可の取り方|全国高演協の著作権ガイドラインの手順
- 脚本の著作権が残っているかを確かめる。翻訳の脚本なら、翻訳者の権利も確かめる
- 作者に直接連絡するか、上演許可を代行している出版社・劇団などに連絡する
- 上演の趣旨を伝え、有効期限・範囲・上演料などの条件と、台本を削る・変えるときはその可否を確かめる
- 許可は書面で交わすのを基本にする。改変した台本を作者に送り、最終の判断をもらうのが高校演劇では一般的とされている
ガイドラインは、練習を始める前に上演許可の内諾を取ることを原則としています。作者や代行する側と連絡がつかない、改変が認められない、といったときは、上演をあきらめて別の脚本を検討するよう書いています。
日本劇作家協会の戯曲デジタルアーカイブで選ぶとき
日本劇作家協会が運営する戯曲デジタルアーカイブでは、掲載された戯曲を読めます。上演するには一部の例外を除いて著作権者の許諾が要り、条件は戯曲ごとに違います。作品のページには改変を許しているかどうかが示され、利用目的の項目は「中学、高校演劇での演劇上演」と「動画配信サービス、配信公演」が別になっています。見積もりができない使い方は著作権者に直接連絡する形なので、記録の映像をディスクで配ることも、上演とは別に確かめます。
部員や顧問が書いた脚本、原作のある脚本
部員や顧問が自分で書いた脚本なら、作者は書いた人です(著作者は著作物を創作する者。第2条)。記録の映像を配るときは、書いた人の了解も得ておきます。小説や物語、絵本などを原作に脚本へ書き改めたもの(脚色)は、原作に著作権があれば原作の著作権者の許可が要る、と全国高演協のガイドラインは書いています。原作のある台本は法律の上では二次的著作物で(第2条1項11号)、原作の作者も同じ種類の権利を持つので(第28条)、録画して配るときも原作の側に確かめます。
劇中の曲と効果音|流すのは許諾なしでも、録画して配ると手続きが要る
劇中で曲や効果音を流すことも、第38条の条件を満たす公演なら許諾は要りません。手続きが要るのは、その音が入った映像を録画して配るときです。
市販のCDや配信の音源には、作詞者・作曲者の著作権と、歌手や演奏家(実演家)の著作隣接権、レコード製作者の著作隣接権の3つの権利が含まれています(JASRAC)。JASRACの学校向けの解説は、小学校を除くクラブ活動は教育課程上の「授業」にあたらないとしたうえで、クラブのみんなに配るための録画は、販売するときはもちろん、無料で配るときも手続きが要るとしています。背景音楽に市販のCDなどを使った場合は、レコード会社や演奏者の了解も必要です。
市販の音源を使った映像を配るなら、曲の手続きに加えて演奏者とレコード会社の了解も要る
曲の手続きは、曲ごとに、ディスクを作る前に行います。JASRACの管理曲は、作品検索データベース「J-WID」で調べ、オンラインの窓口「J-RAPP」から申し込み、届いた許諾番号とロゴマークをディスクなどに表示します。書類で申し込むと、許諾番号などの通知までに最低1週間ほどかかります。JASRAC以外が管理する曲の調べ方や、使用料の計算のしかたは学校行事の録画・DVD配布と著作権|運動会・合唱・卒業式でよくある質問にまとめました。
効果音やBGMの素材集の音も、映像に入れて配ってよいかは、配布元の規約で決まります。手続きが間に合わない、許諾が得られないときは、配るディスクではその場面の音を外すか、規約で認められた音源に替えます。動きを曲に合わせた場面は、替えると合わなくなる点も考えて決めます。
稽古の振り返りと、部の記録としての保存
学校では、先生と生徒が授業の過程で使うために、必要な範囲で許諾なしに複製できます(第35条)。ただ、部活動がこの「授業」に入るかは、公式の説明が分かれています。文化庁の学校向けの冊子は第35条の「授業」の例に部活動を挙げ、JASRACはクラブ活動を授業にあたらないとしています。稽古の振り返りに部の中で見る使い方がどちらになるかは、顧問を通して学校に確かめてください。
記念に配るディスクでは、どちらの説明も許諾が要る側です。文化庁の冊子は、記念品として配る目的で行事などの映像を残すのは授業に当たらず、許諾が要るとしています。JASRACの学校向けの解説は、生徒などに配るための録画だけでなく、学校やクラブのライブラリーに保存するための録画も、手続きが必要な例に挙げています。部の記録としてどこまで残すかも、学校に確かめておきます。
暗い舞台をビデオで撮るには、明るさとピントを固定する
舞台は、照明の当たった役者と暗い背景の明るさの差が大きい場所です。ソニーのハンディカム(FDR-AX45など)のヘルプガイドは、タッチした被写体に明るさを合わせる「スポット測光」を、舞台上の人物の撮影など、被写体と背景のコントラストが強いときに使う機能と説明しています。シーンセレクションの「スポットライト」も、スポットライトを浴びている人物の顔などが白く飛んでしまうのを防ぐ設定です。
どの機能を使うにしても、ねらいは本番の途中で明るさを機械任せにしないことです。同じヘルプガイドには、画像の明るさを手動で固定できる「カメラ明るさ」があり、スポット測光を使うと、この設定は自動で「マニュアル」になります。明るさを決めるときの目安には、設定した明るさの部分にしま模様を出す「ゼブラ」が使えます。100IRE以上の部分は白とびすることがあり、しま模様は記録されません(ソニー)。
明るさは、リハーサルで本番の照明を当ててもらって決めます。いちばん明るい場面で顔にしま模様が出ないか、暗い場面で役者を見分けられるかを、撮った映像を大きな画面で見て確かめます。暗い場面を明るくしすぎると、画面が荒れます。ソニーはAGC(オートゲインコントロール)の説明で、ゲインが高くなるほど暗い場所でも適正な明るさにできる一方、ノイズが増えるとしています。ゲインを低くすると、明るさを補うためにシャッタースピードが遅くなり、手ブレや被写体ブレが起こりやすくなります。
| 困ること |
確かめる設定 (ソニーなどの例) |
顔が 白く飛ぶ |
スポット測光、 カメラ明るさ、 シーンの 「スポットライト」。 |
暗い場面が ざらつく |
ゲインの上限 (AGCリミット)。 |
ピントが 迷う |
フォーカスを 手動にして固定。 |
画面に 横筋が出る |
シャッタースピードを 50Hzの地域は1/100、 60Hzの地域は1/60。 |
色合いが おかしい |
ホワイトバランスを 合わせ直す。 |
機能の名前やあるなしは機種で違うので、手元のカメラの説明書で、明るさ・フォーカス・シャッタースピードの項目を探しておきます。
ピントは手動で合わせ、ズームは光学ズームの範囲で
暗い舞台では、オートフォーカスのピントが合いにくいことがあります。パナソニックは、オートフォーカスでピントが合いにくい場面では手動で合わせるよう案内しています。三脚に据えた引きのカメラなら、リハーサルで舞台の中央あたりにピントを合わせて固定します。ソニーのヘルプガイドには、ズームを望遠側にしてピントを合わせてから広角側に戻すと合わせやすい、というヒントもあります。
ズームは、光学ズームの範囲で使います。ソニーはデジタルズームについて、デジタル処理のため画質は劣化すると書いていて、設定で使わないようにもできます。引きのカメラは、舞台全体が入る画角に決めたら、本番中はズームを動かしません。
照明で横筋が出るとき、色がおかしいとき
蛍光灯やLEDなどの照明で画面に横筋が出るときは、シャッタースピードを関東地方など50Hzの地域では1/100、関西地方など60Hzの地域では1/60にするよう、ソニーとパナソニックが案内しています。体育館やホールのように光源がいくつもある場所で色合いがおかしいときは、ホワイトバランスを「屋内2」に、うまく撮れないときは「セットモード」にする、とパナソニックはHC-V495Mのよくある質問で答えています。
スマホで撮るときは、ピントと露出を固定する
iPhoneのカメラは、ピントと露出を自動で合わせます。Appleのユーザガイドによると、画面のピントを合わせたい所をタッチしたまま押さえ、「AE/AFロック」と表示されると、ピントと露出が固定されます。露出はピントの枠の横にあるマークを上下にドラッグして調整でき、画面をタップすると固定は解けます。ユーザガイドのこの説明は写真の撮影を例にしているので、ビデオの画面でも同じ表示が出るかを、リハーサルで確かめておきます。
撮り始めたら、固定が解けないよう画面には触れないようにします。スマホも三脚に固定し、電池と空き容量は前日に確かめておきます。Androidのスマホは、機能の名前もあるなしも機種ごとに違うので、説明書で確かめてください。
カメラは何台、どこに置くか|引きの1台を止めずに回す
基本は、舞台全体が入る引きのカメラを1台、三脚に据えて、開演から終演まで止めずに回す形です。表情などの寄りの映像は、もう1台に任せます。寄りのカメラが場面を撮り損ねても、引きの映像があれば、舞台の記録としては途切れません。カメラが1台しかないなら、引きを選びます。
置き場所は、学校や会場が認める場所の中から選びます。舞台の端から端までが画面に収まり、前の席の観客の頭が入りにくい位置が目安です。三脚が通路や出入り口をふさがないかも確かめます。寄りのカメラには、本番で撮影だけに専念する人をつけます。
長い公演を止めずに撮るには、電池と記録の容量を先に見積もります。ソニーのハンディカムは、ACアダプターを使ってコンセントから電源を取れ、バッテリーを付けたままでもバッテリーは消耗しない、とヘルプガイドにあります。使ってよいコンセントは、学校や会場に確かめます。
2台で撮るなら、解像度とフレームレートの設定をそろえておくと、編集でつなぎやすくなります。開演前に、カメラと録音機のすべてに入る大きさで一度手をたたいておけば、あとで映像と音の位置を合わせる目印にできます。ゲネプロも本番と同じ位置と設定で撮っておけば、設定の確かめになり、本番で撮り損ねた場面を補う材料にもなります。
本番中に明るさ・ピント・ズーム・録音レベルを触らずに済むよう、前に決めておく
役者の声を聞き取りやすく録るには、マイクを舞台に近づける
客席の後ろに置いたカメラのマイクで録ると、台詞が遠く聞こえます。マイクが話す人から遠いほど、声は小さく入り、会場の響きや客席の物音に埋もれやすくなるからです。オーディオテクニカも、マイクと口元が離れすぎると、声を拾うために入力を増幅する「ゲイン」を上げることになり、周囲の音も大きくなって雑音が目立ちやすくなると説明しています。
いちばん効果があるのは、マイクやレコーダーを舞台に近づけることです。舞台の前など、学校や会場と決めた場所にレコーダーを置き、マイクを舞台の方へ向けます。揺れるものの上には置かず、大きな音でひずむときは距離を離します(ソニー)。
音響の機器から録音用の音をもらう
会場や学校の音響の機器(ミキサーや放送設備)から録音用の音をもらえれば、響きの少ない音を録れます。ただし、その音に入るのは、設備のマイクで拾った声と、設備から流した音楽や効果音です。マイクで拡声していない役者の声は入りにくいので、舞台の前に置いたレコーダーでも録り、編集で使い分けます。どの機器のどの端子から、どの大きさの音でつなぐか、そもそもつないでよいかは、音響の担当の先生や会場の担当者と決めます。レコーダーの側は、ほかの機器の音を入れる設定にします(ソニーのPCM-A10なら外部入力の「Audio IN」)。
録音レベルは、リハーサルでいちばん大きな音(効果音や叫ぶ台詞、拍手)に合わせて決め、本番中は触りません。ソニーのリニアPCMレコーダーPCM-A10のヘルプガイドは、ピークレベルメーターの−12dBを目安に調節するとしています。カメラで録る音も、手動にできる機種ならヘッドホンで確かめながら合わせます(ソニーのハンディカム)。置き場所や設定の決め方は、卒業式の呼びかけ・合唱をきれいに録る方法|体育館の反響と音割れを防ぐで詳しく説明しています。
写る部員と観客の了解|配る範囲を決めて、先に知らせる
公演の映像には、舞台に立つ部員だけでなく、客席の観客も写ります。個人情報保護委員会のガイドラインは、本人が判別できる映像を個人情報の例に挙げていて、誰か分かる姿が写った映像は個人情報にあたります。委員会はまた、会社の行事で撮った写真を社内で展示する例について、プライバシーの権利や肖像権の侵害にあたる場合もあると注意し、不特定多数に渡すときは本人の同意を得るなどの取り組みを望ましいとしています。
学校が撮った映像を、保護者会などが借りてディスクにして配るなら、渡してよいかを決めるのは学校です。委員会のQ&Aも、PTAが学校から生徒などの情報を受け取る場面について、学校が第三者に渡すことは個人情報保護法の決まりに沿って適正に扱うよう求めています。部で撮った映像を配るときも、配ってよい範囲は学校の決まりに合わせます。
- 撮影と配布の予定(誰に、どんな形で配るか)を、部員と家族に先に知らせ、了解を得る
- 写ることを避けたい事情のある部員がいれば、撮る人と編集する人にだけ伝え、映し方と配る範囲を相談する
- 客席は後ろから撮り、観客の顔が大きく写らないようにする。撮影していることは、プログラムや受付の掲示で知らせる
- 配るときに、家庭で見る範囲で使い、SNSや動画サイトに載せないようお願いを添える
了解をもらう書面の作り方と文例は、園向けの記事ですが園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例にまとめました。学校と保護者会で決めることは、体育祭・運動会の映像をDVDで保護者に配布する方法|学校・PTAで決めることでも説明しています。
演劇部の公演をDVDにして配るまで|全員にDVD、1枚目を何台かで試す
ディスクにする前に、編集を終えます。開演前の待ち時間や休憩を詰め、公演名・日付・会場の題名と、キャスト・スタッフの名前を入れます。名前の表記は、名簿と照らし合わせます。書き出しは撮ったときの解像度のままで構いません。DVDにするからといって、先にDVDの大きさ(720×480)に縮める必要はなく、HDRで撮った動画は書き出しの段階でSDRにして、色を確かめてから渡します。場や幕ごとにチャプターを付けるなら、区切りの時刻は編集を終えた動画で測ります。
配るディスクは、多くの家で見られるDVDを全員に、ブルーレイは再生できる機器がある家庭にだけ、希望を聞いて作るのが基本です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できず(ソニー)、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くと、PS5(ディスクドライブ付き)・PS4はDVDも再生できます。映像の細かさはDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080です。1層のDVD(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモード相当の画質で約2時間なので、それを超える公演は2枚に分けるか、ブルーレイにします。違いの詳しいところはDVDとブルーレイの違い|画質・容量・再生機器と、どっちがいいかで比べました。
多くの家で見られるDVDを全員に。ブルーレイは機器のある家庭に希望を聞いて
自分で書き込んだDVD-Rは、記録状態や記録した機器・ソフトの特性などで再生できないことがあります(ソニーのレコーダーの説明書)。全部を作る前に1枚を作り、DVDだけのプレーヤー、ブルーレイのレコーダー、ゲーム機など、種類の違う機器で最後まで再生します。配る家庭のうち何軒かにも先に見てもらえると、古いプレーヤーでの様子まで分かります。自分で焼くときの形式とディスクの選び方は配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るには|形式・ディスク・確認にまとめました。
引退の記念ディスクと、部の記録として残す元の動画
引退する3年生に公演のディスクを渡すなら、盤面に部の名前、年度、公演名を入れておくと、何年たっても中身が分かります。曲の許諾番号やロゴマークを表示するなら、盤面の原稿を作る前に受け取っておきます。後輩が作る引退ムービーと合わせて渡す段取りは、部活動の引退ムービーをDVD・ブルーレイにする方法|追いコンに間に合わせる段取りで説明しています。
部の記録として残すなら、ディスクは見るための形と考えます。元の撮影データと、書き出した完成版の動画は、ディスクとは別に、種類の違う2か所以上にコピーを置き、1つは部室とは別の場所にします。焼き増しをするときも、ブルーレイで作り直すときも、使うのはディスクではなく、この動画ファイルです。組み合わせ方は写真・動画の長期保存はクラウドとDVDのどっち?|3-2-1バックアップの組み方にまとめました。
翌年の部員に引き継ぐものも決めておきます。動画ファイルのほか、脚本と曲の許可の記録(許可書、許諾番号、配った枚数と相手)、カメラの位置と設定、データの置き場所を1枚にまとめて渡すと、記録係が替わっても毎年の記録が続きます。
当社にDVD・ブルーレイの作成を頼むとき
当社(ディスクメーカー・大阪市北区・梅田)は、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、1枚から注文できます。受け付けるのは完成した動画のデータなので、撮影と編集は部や学校の側で済ませてから、書き出した動画をお送りください。ギガファイル便やGoogle ドライブなどの共有URLを注文フォームに貼って入稿でき、スマホからも送れます。第1部・第2部のように何本かの動画を1枚に入れるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その順に収録します。
受け取った動画は、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円です。同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円で、部員と顧問の分など同じ内容のDVDを20枚作るなら、税抜で20,500円です。DVDとブルーレイの両方を作るときや、1枚目を試したあとで残りを頼む注文は、それぞれ新しい1枚目から数えます。
盤面に公演名や部の名前、許諾番号を入れるなら、盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円を選び、開いた欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。場や幕ごとに頭出しできるようにするなら、チャプター分け(1枚あたり)+1,500円を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の区切りを「00:12:30」のような時刻で入れてください。1つ目は動画の冒頭(00:00:00)に自動で入り、1枚に最大50チャプターまでです。どちらのオプションも、付けた枚数分かかります。
通常便は、受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付になり、土日祝の注文・入稿は翌営業日からの作業です。配る日や、配る相手の再生機器は、注文フォームの備考欄に書いてください。ほかの項目の金額は料金表に載せています。
よくある質問
Q1. 演劇部の公演を撮影していいか、誰に確かめればいいですか?
公演の場を管理する側です。校内の公演や文化祭なら学校、ホールを借りた公演なら会場と主催者、大会なら大会を開く団体が、撮ってよいか、どこから撮れるかを決めます。大会は要項を読み、書かれていないことは顧問を通して確かめます。映像を配る範囲も、一緒に聞いておきます。
Q2. 文化祭の劇を録画して、部員や家族にDVDで配ってもいいですか?
許諾を得れば配れます。無料の公演で劇を演じるのは許諾なしにできても(第38条)、上演を録画すると法律の上では脚本の複製で(第2条1項15号イ)、配れば頒布です。既成の脚本なら作者や上演許可を扱う出版社などに、市販のCDを流した場面があれば曲と音源の権利者にも、ディスクを作る前に確かめます。無料で配る場合も同じです。
Q3. 既成の脚本の上演許可は、いつ、どこに頼めばいいですか?
演目を決めたら、練習を始める前に頼みます。全国高演協の著作権ガイドラインは、練習開始前に上演許可の内諾を取ることを原則としています。連絡する先は作者か、上演許可を代行している出版社・劇団などで、有効期限・範囲・上演料などの条件と、台本を削る・変えるときの可否を確かめます。許可は書面で交わすのが基本です。
Q4. 上演許可をもらった脚本なら、公演の映像を配ってもいいですか?
上演の許可だけでは足りないことがあります。全国高演協のガイドラインは、無料の公演で制限されるのは上演権や演奏権だけで、複製権は制限されないと書いています。録画してディスクで配るのは複製と頒布にあたるので、上演の許可とは別に、配る相手と枚数を伝えて作者の側に確かめます。
Q5. 暗い舞台を撮ると、役者の顔が白く飛ぶのはなぜですか?
照明の当たった顔と暗い背景の明るさの差が大きいためです。ソニーのハンディカムなら、舞台上の人物の撮影などに使う「スポット測光」、顔の白飛びを防ぐシーンの「スポットライト」、明るさを固定する「カメラ明るさ」があります。iPhoneにも、ピントと露出を固定する「AE/AFロック」があります(Apple)。
Q6. 役者の台詞がはっきり聞こえるように録るには、どうすればいいですか?
マイクやレコーダーを舞台に近づけて録ります。客席の後ろのカメラのマイクでは、声が遠く、響きや客席の物音に埋もれがちです。音響の機器から録音用の音をもらえるなら、それも録ります。ただ、マイクで拡声していない役者の声はその音に入りにくいので、舞台の前に置いたレコーダーの音と編集で使い分けます。
Q7. 観客が写った公演の映像を配ってもいいですか?
誰か分かる姿が写った映像は、個人情報にあたります(個人情報保護委員会のガイドライン)。客席は後ろから撮って観客の顔が大きく写らないようにし、撮影していることをプログラムや掲示で知らせます。配る範囲は学校の決まりに合わせ、写る部員と家族には先に了解を得て、受け取る側には、家庭で見る範囲で使いSNSなどに載せないようお願いを添えます。
Q8. 公演の映像を、動画サイトで部員や家族にだけ公開してもいいですか?
配信は公衆送信で、第38条の例外に入りません(文化庁の著作権テキスト)。公衆には特定かつ多数の人も含まれます(第2条)。全国高演協のガイドラインも、動画配信では著作権のあるものすべてに権利者の許可が要るとしています。文化祭のような学校行事なら、学校が補償金の制度を使って保護者などに限って配信できる場合があるので、学校に確かめてください(文化庁の冊子)。
参考にした公式の情報
出典の一覧(33件)を開く
法律の運用や各団体の手続き、機器の機能は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月27日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、学校や大会の主催者、脚本の作者、JASRACなどの権利者に確かめてください。
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