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舞台映像を販売するときの手続き|出演者の許諾と値付けの実務

2026 10/10
舞台映像を販売するときの手続き|出演者の許諾と値付けの実務

この記事の要点

  • 公演の記録映像を売るには出演者・脚本・音楽・会場の四方向の許諾が要り、公演を上演できた許諾がそのまま映像化と販売の許諾になることはありません。
  • 著作権法第38条の非営利・無料・無報酬の規定は上演・演奏・上映・口述にしか及ばないため、無料で配る場合でも複製の許諾は別に取ることになります。
  • JASRACのビデオグラム録音使用料は1曲あたり利用時間1分までごとに基本800円+複製使用料という構造で、基本使用料が枚数で割られるぶん枚数が多いほど1枚あたりは下がります。
  • 公演で市販CDの音源を流していた場合はレコード製作者(原盤権者)への個別許諾が別に必要で、JASRACの許諾だけでは映像商品に収録できません。
  • 価格は固定費と変動費に分けて1枚あたりの原価を出してから決め、予約を締め切ってから製造する順番にすれば在庫を抱えずに済みます。

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公演が無事に終わって、客席から「映像は売らないんですか」と声がかかる。記録用に回していたカメラのデータもある。作れそうだ——と思ったところで手が止まるのが、権利の処理と値付けです。上演できたのだから映像も出せるはず、という感覚は自然ですが、法律上はまったく別の手続きになります。

この記事では、公演の記録映像をディスクにして販売するまでに踏む手続きを、出演者・脚本・音楽・会場の四方向に分けて整理します。とくに音楽については、JASRACの使用料規程に書かれている実際の計算式と金額を使って、50枚・100枚・200枚でいくらになるかまで出しました。使用料は許諾番号の通知から2〜3か月後に請求が届くため、価格を決める前に自分で試算しておく必要があるからです。

公演の時点で得ていた許諾と、映像を売るときに要る許諾を4つの方向で比べた表。出演者は出演の同意と録画・販売の同意、脚本は上演許可と映像化・販売の許可、音楽は公演で流せたことと詞曲と原盤の許諾、会場は撮影可と販売目的の撮影可
公演を上演できた許諾は、そのまま映像化と販売の許諾にはならない

あわせて、原価を固定費と変動費に分けて値付けする手順、予約を締め切ってから製造することで在庫をゼロにする進め方、通信販売として申込ページに表示する事項、予約から発送までを1枚の表で追う管理方法まで扱います。なお個別の契約や区分の最終判断は権利者やJASRACの回答によりますので、この記事は自分たちのケースを整理して問い合わせるための下敷きとしてお使いください。

この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります

  1. 配布と販売の分かれ目|著作権法38条は上演までで、ディスク化は別の許諾
  2. 出演者の許諾|実演家には録画権があり、出演の同意と販売の同意は別に取る
  3. 脚本と振付の許諾|上演許可と映像化・販売の許可は別の契約になる
  4. 音楽の許諾は二段構え|JASRACへの申請と、原盤権者への個別交渉
  5. 会場の確認|「撮影可」と「販売目的の撮影可」は別の回答
  6. 価格の決め方|固定費と変動費に分けてから1枚あたりの原価を出す
  7. 予約販売という進め方|締め切ってから作れば在庫はゼロになる
  8. 通信販売の表示と、予約から発送までの管理
  9. よくある質問

撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る

配布と販売の分かれ目|著作権法38条は上演までで、ディスク化は別の許諾

公演当日に上演する分の権利処理と、その映像をディスクにして人に渡す分の権利処理は、別の話として扱います。著作権法第38条第1項は「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる」と定めています。非営利であること、観客から料金を取らないこと、出演者に報酬を払わないことが揃った場合の規定で、対象はあくまで上演・演奏・上映・口述です。映像を複製してディスクにすること、それを人に渡すことは、この条文の外側にあります。

ここを取り違えると「入場無料の公演だったから映像も自由に配れる」という判断になってしまいます。無料で配る場合でも、脚本や音楽といった他人の著作物を使っているなら、複製についての許諾は別に取ることになります。

「実費だけ」は有償と無償のあいだに落ちる

JASRACの使用料規程 第7節(ビデオグラム録音)は、商用複製を「営利を目的とする者が行う複製又はそれ以外の者が有償(実費相当の額のみを受ける場合を除く。)で第三者に頒布することを目的として行う複製」、非商用複製を「教育機関、非営利団体又は個人が営利を目的とせず、無償で頒布するために行う複製など」と定義しています。実費相当額だけを受け取る形は商用複製の定義から外れますが、非商用複製の側は「無償で頒布するため」と書かれているので、実費徴収はちょうど両者の隙間に入ります。自分たちのケースがどちらの区分になるかは、申請の前にJASRACに直接確認するのが早道です。

実務では、次の三つに切り分けて考えると整理しやすくなります。

  • 出演者と関係者に無償で配る……複製の許諾は要るが、売上の管理は発生しない
  • 実費だけ受け取って配る……区分の確認が要る。受け取った額の記録は残しておく
  • 価格をつけて販売する……商用複製として扱われる前提で、以下の手続きをすべて踏む

この記事は三つ目を前提に書いています。一つ目・二つ目の場合でも、出演者と脚本の許諾については同じ考え方が当てはまります。

出演者の許諾|実演家には録画権があり、出演の同意と販売の同意は別に取る

著作権法第91条第1項は「実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する」と定めています。舞台に立つ俳優、ダンサー、生演奏の演奏者は実演家です。公演に出演することへの同意と、その実演を録画してディスクにし、値段をつけて売ることへの同意は、別々に取り付けます。

同条第2項には、いわゆるワンチャンス主義の規定があります。「前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない」というものです。ただし舞台の記録映像が「映画の著作物」に当たるかどうかは撮影や編集の実態によって変わりうるところで、この論点を事後に議論するのは得策ではありません。最初の書面で販売までの範囲を書いて同意を得ておけば、そもそも争点になりません。

同意書に入れておく七項目

  • 収録する公演日と、収録すること自体への同意
  • その映像をディスクとして複製し、有償で頒布すること
  • 使う媒体の範囲(DVD・Blu-rayに限るのか、配信やSNSでの一部公開を含むのか)
  • 販売の期間と、増刷・追加製造の可否
  • 出演料とは別の分配があるかないか。あるなら計算の方法
  • パッケージ、チラシ、販売ページに写真や氏名を使うこと
  • 降板や事故で出演者が変わった場合、その人が映っている部分をどう扱うか

肖像については著作権法のような明文の規定がなく、判例の積み重ねのなかで人格的な利益として認められてきたものです。だから著作権・著作隣接権の許諾とは別に、顔と名前を使うことへの同意を取ります。未成年の出演者がいるダンススクールの発表会では、保護者の署名欄を設けておきます。

出演者以外が映り込む部分

カーテンコールで客席にカメラを振る演出は珍しくありません。客席を撮る予定があるなら、チケット購入時の記載と会場での掲示で「記録映像を撮影し、販売する場合がある」ことを事前に知らせておきます。当日になってから判断するのではなく、撮影計画の段階で決めておくと現場が楽になります。

生演奏を入れた公演なら演奏者も実演家です。ゲスト、当日パンフに名前が載らないエキストラ、影ナレの担当者まで、映像に姿か音が残る人を一度リストにすると漏れが減ります。「あとで連絡すればいい」と思っていた人ほど、公演後は連絡がつかなくなります。

脚本と振付の許諾|上演許可と映像化・販売の許可は別の契約になる

既成の戯曲を使った公演では、上演許可はふつう「その公演を上演すること」についての許可です。これは著作権法第22条の上演権に関する話で、映像に固定して複製し配布することは第21条の複製権にあたります。演出の都合で台詞や場面を変えているなら第27条の翻案権も関わり、翻案した脚本による映像を売る場面では、第28条により原作者にも同じ種類の権利が働きます。上演許可の書面に映像化のことが書かれていないなら、含まれていないと考えて取り直します。

窓口は作品によって違います。現役の劇作家なら本人か所属事務所、日本劇作家協会が運営する戯曲デジタルアーカイブに登録のある作品なら同サイトから上演の申請ができます。出版された戯曲は出版社、故人の作品は著作権を継承した遺族、海外戯曲は日本のエージェントが窓口になることが多いです。上演の申請をする時点で「収録して販売する予定がある」と書き添えておくと、あとから取り直す手間がなくなります。

金額より先に決める四点

使用料の決め方は作品と権利者ごとに違うため、相場として言える金額はありません。そのかわり、許諾を得る段階で次の四点を文字にしておくと、売れたあとで揉めなくなります。

  • 定額なのか、販売枚数に応じた率なのか
  • 率の場合、掛ける対象は税抜の販売価格か、送料と手数料を引いた手取りか
  • 精算のタイミング(販売終了後に一括か、期間を区切って定期か)
  • 増刷したときの扱いと、報告の方法

オリジナル脚本でも書面にする

劇団内の座付き作家が書いた脚本でも、著作権は書いた個人にあります。劇団が法人ではなく任意団体である場合は職務著作の議論も持ち出しにくいので、「この脚本による公演の記録映像を、団体が複製・販売してよい」という一文を、脚本料の支払いと同じタイミングで交わしておきます。退団した作家の作品を再演して映像を売る、という場面になってから効いてきます。

振付についても同じ考え方をします。ダンス作品の振付は著作物として保護されうるものなので、外部の振付家に依頼した作品なら、映像化と販売の範囲を依頼時の契約に入れておきます。発表会の映像を毎年販売しているスクールでは、講師との契約書に恒常的な条項として入れてしまうほうが運用が軽くなります。

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音楽の許諾は二段構え|JASRACへの申請と、原盤権者への個別交渉

公演で音楽を使ったなら、映像化にあたって二つの許諾を並行して進めます。一つは作詞者・作曲者の著作権で、JASRAC管理曲ならJASRACに申請します。もう一つは市販の音源をそのまま流した場合に発生する著作隣接権で、こちらはJASRACの管轄外です。この二段構えを知らずに片方だけ済ませてしまうのが、いちばん多い落とし穴です。

公演で使った音楽を映像に入れるときの2つの許諾を比べた表。詞と曲は著作権で作詞者・作曲者が持ち、JASRAC管理曲ならJASRACに申請して許諾番号の通知を受ける。市販の音源は著作隣接権でレコード製作者が持ち、レコード会社などに直接問い合わせ、断られることもある
JASRACの許諾だけでは、市販CDの音源は映像に入れられない

JASRACへの申請は四つのステップ

  • J-WID(作品データベース)で、使う曲がJASRAC管理かどうか、「複製」の権利が管理されているかを確認する
  • J-RAPP(オンライン窓口)から申請する。書類での手続きも可能
  • 許諾番号とロゴマークの通知を受け、複製物にそれを表示する
  • 許諾番号の通知から2〜3か月後に請求書が届く

請求が後から来る流れなので、価格を決める前に自分で試算しておく必要があります。

使用料の試算|1曲あたり利用時間1分までごとに基本800円+複製使用料220円から

使用料規程 第7節では、ビデオグラムを内容によって四つに分類しています。「演劇など、原作又は脚本に基づき俳優やキャラクターが物語を演じる内容のもの」はドラマ・アニメのビデオグラム、「オペラ、ミュージカル、バレエなど物語の展開に合わせて音楽が用いられ、かつ音楽が主体的に利用される内容」や「音楽を聞かせることを主たる内容とする」ものは音楽のビデオグラム、いずれにも当たらないものはその他のビデオグラムです。ダンススクールの発表会がどれに入るかは構成によって変わるので、申請時に確認します。

市販ルートに乗せず自分たちの観客に売る場合は、規程1(3)の「(1)及び(2)以外の目的で複製する場合」の適用が考えられます。この区分の「音楽のビデオグラム以外のビデオグラム」であれば、基本使用料が個数にかかわらず1曲あたり利用時間1分までごとに800円、複製使用料が1曲1分までごとに50個まで220円、50個を超える分は220円に1個につき4.4円を加算した額です。時間はいずれも1分未満を切り上げます。

2分・3分・1分の3曲(合計6分)を使った映像で計算すると、次のようになります。

製造枚数 基本使用料 複製使用料 合計(税抜) 1枚あたり
50枚 4,800円 1,320円 6,120円 約122円
100枚 4,800円 2,640円 7,440円 約74円
200枚 4,800円 5,280円 10,080円 約50円

基本使用料は枚数にかかわらず定額なので、枚数が増えるほど1枚あたりは下がっていきます。無償で配る非商用複製にあたる場合は、この区分の額の50%です。ただし区分の判断は最終的にJASRACの回答によりますので、上の数字は問い合わせ前に持っておく試算として扱ってください。

市販CDの音源を流した公演は、レコード会社の許諾が別に要る

著作権法第96条は「レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する」と定めています。JASRACも映像ソフト制作の案内のなかで「別途著作隣接権(音源製作者やアーティストの権利)の許諾を得る必要があります。音源製作者(レコード会社等)へ直接お問い合わせください」と明記しています。JASRACが扱うのは詞と曲についての権利で、鳴っている音源そのものは別だということです。

そしてこの許諾は、申請すれば下りるとは限りません。公演で流すぶんには問題がなくても、映像商品への収録は断られることがありますし、返答までに時間もかかります。選曲の段階で「映像を売る」と決まっているなら、次のどれかに寄せておくと後戻りが減ります。

  • 生演奏や自団体での演奏に差し替える(この場合も詞と曲の許諾は別に要る)
  • 商用利用の条件が明示されている音源ライブラリの楽曲を使う
  • 作曲を依頼したオリジナル楽曲にし、契約で映像化の範囲まで含めておく
  • 販売版だけ該当シーンの音楽を差し替える、またはそのシーンを収録から外す

会場の確認|「撮影可」と「販売目的の撮影可」は別の回答

収録と販売は、会場の利用条件にも引っかかります。公共ホールの利用規約には撮影や録音の可否、機材の持ち込みと固定の方法、営利目的利用の区分が書かれていることが多く、区分が変わると施設使用料そのものが変わる場合があります。記録用の撮影は認めていても、販売目的の撮影は別申請という運用のホールもあります。「撮影していいですか」ではなく「販売する映像を撮影していいですか」と聞き分けるのが要点です。

会場に確認しておく項目を挙げます。

  • 本番の撮影可否と、販売目的である旨を伝えたうえでの可否
  • 客席内での三脚設置の可否と、使える座席の位置(避難通路を塞がないこと)
  • 電源の取り出し口とアンペア、延長ケーブルの養生方法
  • ゲネプロや場当たりの収録可否(本番の保険として押さえておく)
  • ロビーでの物販の可否、販売手数料の有無、釣銭とレジの扱い
  • 照明・音響のキューデータをもらえるか(暗転の多い演目は編集で効いてくる)

やり取りはメールで残します。当日に口頭で許可をもらっても、担当者が替われば根拠が消えます。申請書のコピーと返信メールを、公演のフォルダにまとめて置いておきます。

カメラの置き方が編集の自由度を決める

販売する前提の映像では、カメラの位置がそのまま商品の質になります。センター後方の固定1台に加えて、上手か下手から寄りを1台足すだけで、編集時の選択肢が大きく変わります。台数を出せないなら、客席後方の高い位置から舞台全体が切れずに収まる画角を優先し、演目の途中でズームを動かさないほうが、あとで見返したときに疲れません。

音は別録りを検討します。客席で回したカメラの内蔵マイクだけだと、客席のノイズを拾って台詞が聞き取りにくくなりがちです。音響卓からライン出力をもらえるなら、それをレコーダーに落として編集で差し替える、あるいは会場マイクの音と混ぜると、販売できる水準に近づきます。この判断も会場との事前打ち合わせの範囲です。

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価格の決め方|固定費と変動費に分けてから1枚あたりの原価を出す

値付けは「他所がいくらか」から入らず、1枚あたりの原価を出してから決めます。舞台映像の原価は、枚数に関係なくかかる固定費と、枚数に比例する変動費に分かれます。

固定費と変動費の切り分け

固定費は、撮影と編集にかかった費用、音楽の基本使用料、脚本の使用料が定額のときのその額、ジャケットやレーベルのデザイン費です。変動費は、ディスクの製造費、音楽の複製使用料、脚本の使用料が枚数比例のときのその額、送料と梱包材です。固定費を製造枚数で割った額が変動費に乗ります。つまり枚数を決めないと原価が出ず、原価が出ないと価格が決まりません。

1枚あたりの原価を固定費と変動費に分けた図。固定費は撮影と編集の費用、音楽の基本使用料、定額のときの脚本の使用料、デザイン費で、製造枚数で割る。変動費はディスクの製造費、音楽の複製使用料、枚数比例のときの脚本の使用料、送料と梱包材
固定費を製造枚数で割って変動費に足すと、1枚あたりの原価が出る

ディスク制作側の目安として、当サービスでは基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで、映像をプレーヤーで再生できる形に組み立てるオーサリングは料金に含まれています。盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しています。部数や加工内容で料金がどう変わるかの考え方は、DVDのコピー・焼き増しを頼む料金にまとめてあるので、見積もりを取る前の準備に使ってください。

決める順番

  • 想定枚数を仮置きする(予約販売にするなら、この時点では幅で持っておく)
  • 固定費を合計して、想定枚数で割る
  • 変動費を足して、1枚あたりの原価を出す
  • 出演者や作者への分配があるなら、その率を上乗せする
  • 消費税込みの表示価格として、切りのいい数字に丸める

四番目を先に決めておくのが肝心です。「売れたら分けよう」を口約束で始めると、精算の段になって原価をどこまで引くかで揉めます。売上総額に対する何%なのか、原価を引いたあとの何%なのか、どちらかを選んで書面にします。

DVDとBlu-rayを両方出すか

媒体を二種類作れば固定費は据え置きでも変動費が増え、在庫の管理も二本立てになります。DVDとブルーレイの違いで容量と画質の差を確認したうえで、観客の再生環境を考えて決めます。両方出すなら価格差をつけるのか同額にするのかも、予約を取り始める前に決めておきます。予約フォームで選ばせておけば、締切時点でそれぞれの枚数が確定します。

予約販売という進め方|締め切ってから作れば在庫はゼロになる

公演の記録映像は、予約を取ってから作る順番にすると在庫が出ません。当日物販で現物を売るには公演前に製造を終えている必要があり、記録映像ではそれが成立しないので、「当日は予約だけ受けて、後日発送」が基本の形になります。この制約は、裏返せば在庫リスクを持たなくていいという利点です。

予約の受け方

  • 当日パンフレットとチラシにQRコードを載せ、申込フォームに飛ばす
  • ロビーに申込用紙と筆記具を置く(現金をその場で受け取るなら控えの用紙も用意する)
  • 予約の締切日を公演の1〜2週間後に置き、そこで枚数を確定する
  • 発送予定日を先に告知する。編集期間+製造の納期+発送日数から逆算する

締切のあとに「やっぱり欲しい」が出てくるのは毎回のことです。1枚から頼める小ロット対応の業者を使っておくと、追加分を1枚単位で作れるので、予備を余分に刷って抱え込む必要がなくなります。ディスクメーカーも1枚から注文できます。

予約の前に価格と発送予定日を決め、公演当日に予約を受け、公演の1〜2週間後に締め切り、締切の翌日に表の枚数を合計して発注し、発送予定日に発送する。締切のあとの追加は1枚単位で作り、数年後の再製造に備えてマスターを残す
締め切ってから作れば在庫は出ない。追加と再製造はマスターから

入稿と納期の組み立て

編集が終わったら、動画データをダウンロードできる共有URLの形で渡します。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、リンクからダウンロードできる形であれば手段は問いません。盤面とジャケットのデザインデータについては、DVD・CDのレーベルとジャケットの入稿データの作り方に塗り足しや解像度の考え方をまとめています。

納期は通常便のほか、お急ぎ(+1,500円、平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、特急(+3,000円、平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、当日店舗お渡し(+3,500円、平日12時までの注文・入稿、大阪市北区の店舗で受け取り)から選べます。追加公演や巡業で次の会場までに間に合わせたい、といった場面で使い道があります。

ひとつ注意しておきたいのは、書き出した動画ファイルをそのままディスクに書き込んでも、据置きのプレーヤーでは再生できないという点です。DVD-VideoやBDMVという形式に組み立てる工程が別に要ります。理由と仕組みはオーサリングとは?DVD・ブルーレイを再生できる形にまとめる作業と手順で説明しています。当サービスではこの工程が料金に含まれているので、編集済みの動画ファイルをそのまま渡してもらえれば済みます。メニュー画面から幕やナンバーごとに飛べるようチャプターを切っておくと、観客が特定の場面を見返しやすくなります。

通信販売の表示と、予約から発送までの管理

オンラインで申し込みを受けて代金をもらう形は、特定商取引法上の通信販売にあたります。広告(申込ページ)に表示する事項は同法第11条に定めがあり、販売価格(送料についても表示が要る)、代金の支払時期と方法、商品の引渡時期、事業者の氏名・住所・電話番号、申込期間に定めがある場合はその内容、返品特約がある場合はその内容が挙げられています。

見落としやすいのが返品の扱いです。通信販売にクーリング・オフの制度はなく、代わりに商品を受け取った日から8日以内であれば消費者の送料負担で返品できるのが原則です。ただし広告にあらかじめ返品特約を表示していれば、その特約が優先します。ディスクは開封後の返品を受けたくない商品なので、「不良品以外の返品はお受けできません」「不良品の場合は到着後◯日以内にご連絡ください。同等品と交換します」といった内容を申込ページに書いておきます。スペースの都合で省略できる事項もありますが、申込期間の定めと返品に関する事項は省略できない扱いです。

団体名義で売るなら、事業者の氏名・住所・電話番号には実在の連絡先を書きます。個人の自宅住所を出したくない場合の扱いは、使う販売プラットフォームの規約に沿って判断してください。

予約から発送までは1枚の表で追う

管理は表計算ソフトで足ります。次の列を持つ表を1枚作って、そこだけを見るようにします。

列 入れる内容
受付日/氏名/連絡先 フォームと紙の申込を同じ表に集約する
媒体/枚数/金額 DVDとBlu-rayを別行にせず媒体列で分ける
入金方法/入金日 現金・振込・決済サービスを区別して記録
発送先/発送日/追跡番号 会場受け渡しの人は発送先を「手渡し」と記入
備考 宛名の表記ゆれ、まとめ買い、関係者配布など

入金日と発送日を別の列にしておくのがポイントです。ひとつにまとめると、入金済みで未発送の人が何人いるかを一目で出せなくなります。予約締切の翌日にこの表の枚数を合計したものが、そのまま製造の発注枚数になります。

マスターデータと余剰分の保管

編集済みのマスターデータは、公演が終わっても消さずに残します。数年後に「もう1枚欲しい」と言われることがあり、そのときに再製造できるかどうかはマスターが残っているかで決まるからです。外付けハードディスクとクラウドストレージなど、置き場所と媒体を分けて2か所以上に置いておきます。あわせて、使用した楽曲リスト、JASRACの許諾番号、出演者の同意書、脚本と振付の許諾書も同じフォルダにまとめておくと、再製造や再演のときに一から調べ直さずに済みます。

予備として数枚だけ余分に作るなら、直射日光と高温多湿を避け、ケースに入れて立てて保管します。余剰を大量に抱えるより、必要になったときに追加で作るほうが、置き場所の心配もディスクの劣化の心配もありません。

よくある質問

Q. 公演のDVDを販売するのに、出演者全員の同意は要りますか

A. 著作権法第91条第1項で実演家には録画権が認められているため、舞台に立った俳優・ダンサー・生演奏の演奏者から同意を得ておきます。出演することへの同意と、その映像を有償で販売することへの同意は別です。同意書には、収録すること、ディスクとして複製して売ること、販売期間と媒体の範囲、増刷の可否、写真や氏名を宣伝に使うことを書きます。未成年の出演者がいる場合は保護者の署名欄を設けてください。

Q. 入場無料の公演なら、DVDも自由に配れますか

A. 配れません。著作権法第38条第1項は、非営利・観客から料金を取らない・出演者に報酬を払わないという条件のもとで「上演し、演奏し、上映し、又は口述する」ことを認めた規定で、複製と頒布はここに含まれていないためです。無料で配る場合でも、脚本や音楽など他人の著作物を使っているなら複製の許諾を別に取ります。JASRACの使用料規程にも非商用複製という区分があり、無償頒布であれば有償の場合より低い料率が定められています。

Q. 公演で使った市販CDの曲を、そのままDVDに入れて売れますか

A. JASRACの許諾だけでは足りません。著作権法第96条でレコード製作者にレコードの複製権が認められており、JASRAC自身も映像ソフト制作の案内で、著作隣接権については音源製作者(レコード会社等)へ直接問い合わせるよう案内しています。公演で流すのは問題なくても映像商品への収録は断られる場合があり、回答にも時間がかかります。生演奏への差し替え、商用利用可の音源ライブラリ、オリジナル楽曲のいずれかを選曲段階で検討しておくと安全です。

Q. JASRACへの申請はいつまでにすればいいですか

A. 製造に入る前です。手順はJ-WIDで管理状況を確認し、J-RAPPから申請し、通知された許諾番号とロゴマークを複製物に表示する流れなので、ディスクの盤面やジャケットのデザインを固める前に申請しておく必要があります。請求書は許諾番号の通知から2〜3か月後に届くため、価格を決める段階では規程に沿って自分で試算しておきます。区分の判断に迷う場合は申請前に問い合わせておくと、あとで金額が大きく動きません。

Q. 公演DVDの価格はどうやって決めればいいですか

A. 1枚あたりの原価を出してから決めます。撮影・編集費、音楽の基本使用料、デザイン費といった固定費を想定枚数で割り、そこにディスク製造費・音楽の複製使用料・送料などの変動費を足したものが原価です。出演者や作者への分配があるなら、その率を先に決めて上乗せします。分配を「売れたら分ける」の口約束にしておくと精算時に揉めるので、売上総額に対する率か原価控除後の率かを書面で確定しておいてください。

Q. 何枚作ればいいか読めません。多めに作っておくべきですか

A. 予約を締め切ってから枚数を確定するのが確実です。記録映像は公演後に編集するので当日物販に間に合わず、どのみち後日発送になります。公演の1〜2週間後に予約締切を置き、その時点の合計枚数を発注すれば在庫はゼロになります。締切後の追加希望は、1枚から製造できる業者を使えば都度対応できます。予備を多めに刷って保管場所と劣化を気にするより、必要になってから追加するほうが負担が軽くなります。

Q. 会場が撮影を許可していれば、販売もしていいことになりますか

A. 別の確認が要ります。公共ホールの利用規約では記録目的の撮影と営利目的の利用が区分されていることがあり、区分が変わると施設使用料が変わる場合もあります。問い合わせるときは「撮影していいですか」ではなく「販売する映像を撮影していいですか」と聞き分けてください。あわせて三脚を置ける座席の位置、電源とケーブルの養生、ロビー物販の可否も確認し、やり取りはメールで残しておきます。

Q. 上演許可をもらっている脚本なら、映像化の許可も含まれていますか

A. 書面に映像化のことが書かれていなければ含まれていないと考えます。上演許可は著作権法第22条の上演権に関する許可で、映像に固定して複製・頒布するのは第21条の複製権の話です。演出で台詞や場面を変えているなら第27条の翻案権も関わります。窓口は劇作家本人か所属事務所、戯曲デジタルアーカイブ登録作品なら同サイト、出版戯曲なら出版社、海外作品なら日本のエージェントです。上演申請の時点で販売予定を書き添えておくと二度手間になりません。

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DVDとブルーレイの違いを知りたい方へ

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ディスクの作り方・依頼先を調べている方へ

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この記事の目次

  1. 配布と販売の分かれ目|著作権法38条は上演までで、ディスク化は別の許諾
  2. 出演者の許諾|実演家には録画権があり、出演の同意と販売の同意は別に取る
  3. 脚本と振付の許諾|上演許可と映像化・販売の許可は別の契約になる
  4. 音楽の許諾は二段構え|JASRACへの申請と、原盤権者への個別交渉
  5. 会場の確認|「撮影可」と「販売目的の撮影可」は別の回答
  6. 価格の決め方|固定費と変動費に分けてから1枚あたりの原価を出す
  7. 予約販売という進め方|締め切ってから作れば在庫はゼロになる
  8. 通信販売の表示と、予約から発送までの管理
  9. よくある質問

撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る

配る分のディスクも1枚から1枚1,500円〜

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