この記事の要点
合唱コンクールの録音は、ホールなら客席側から少し離して 、体育館なら音源に近づけて濁りを避ける のが基本で、リハーサルでの試し録りとヘッドホン確認が仕上がりの分かれ目になります。
演奏そのものは非営利・無料・無報酬の三条件を満たせば手続きが要りませんが、録音してCDやDVDにして配る行為には別途JASRACの手続きが必要 だと同協会が案内しています。
音声だけなら音楽CD(12cm・700MBで約80分)、姿も残すならDVD(片面1層4.7GB)というように媒体は収録時間と再生環境で決まり 、データCDにMP3を入れる方式は再生できない機械があります。
必要枚数は生徒数だけでは足りず、担任・学校保管・不良交換・別居家族の分 を見込んだうえで、追加希望の締切日を配布前に決めておくのが実務的です。
ディスクメーカーは1枚1,500円から1枚単位で制作 でき、オーサリングは料金に含まれ、盤面へのレーベル印刷やメニュー画面・チャプター分けにも対応しています。
合唱コンクールの記録係を任されたとき、いちばん困るのは「録ること」そのものではありません。録った後です。3学年分の音が1本の長い録音データになって手元に残り、そこからクラスごとに切り分け、権利の確認をして、何枚必要かを数え、配ってよい相手を確かめ、そして配った後に「うちのおばあちゃんにも1枚」という連絡が来ます。
本番は一度きりで、やり直しがききません。そのうえ配布までの工程は学校の年間行事の合間に進むため、どこか一箇所で止まると年度をまたいでしまいます。この記事では、会場ごとの録り方から、切り分けの具体的な手順、JASRACの手続き、枚数の見積もり方、同意の取り方、追加希望への備えまでを、実際に手を動かす順番で並べました。
数値や規格は出典を確認できたものだけを載せています。判断が分かれる部分は、そう書いてあります。
ホールと体育館では録り方が違う|響きを借りる会場と、濁りを避ける会場
合唱コンクールの会場は、市民ホールなどの音楽ホールか、学校の体育館のどちらかであることがほとんどです。この二つは音の伝わり方がまったく違うので、同じ機材を同じ置き方で使うと結果が大きく変わります。会場が決まった時点で、置く場所の方針を先に決めておくと当日が楽になります。
ホールでは客席側から、少し離して録る
音楽ホールは、残響を含めた響きが設計されたうえで作られています。ステージ上の声が壁や天井で反射し、客席で混ざり合ったところがいちばん良く聞こえるように意図されているため、録音機をステージの真下まで寄せると、その混ざる前の生々しい音だけを拾ってしまいます。人の声が近くて迫力はあるものの、実際に客席で聴いた印象とは別物になります。
出発点としては、客席中央通路のあたり、ステージ前縁から数メートル下がった位置に三脚を立て、マイクを床から1.5メートル前後の高さに置く形が扱いやすいと考えられます。前の席の人の頭を越える高さがほしいので、通路側や最前列より少し後ろが現実的です。
ステレオ録音は、内蔵マイクが左右に開いているICレコーダーをそのまま使えば足ります。マイクを2本立てる方式なら、2本の間隔を広げるほど左右が離れて広がり、狭めるほど中央にまとまります。ステージの幅と録音位置までの距離を見ながら、リハーサルで1曲録って聴き比べるのが確実です。
体育館では響きを足すのではなく、濁りを避ける
体育館は音楽用に設計されていません。平行な壁と硬い床が向かい合っているため、音が何度も往復して像がぼやけます。さらに、空調の送風音、照明のうなり、外を通る車の音といった暗騒音がホールより高いのが普通です。
ここで残響を稼ごうと後方に下がると、ぼやけた反射ばかりが増えて言葉が聞き取れなくなります。体育館では逆に、生徒の並びに近づけて直接音の比率を上げるほうが結果が良くなりやすいと考えられます。ステージの左右にスタンドを立てる、あるいは客席の前寄りに置く、といった判断です。床に直置きすると足音や振動を拾うので、高さは確保します。
どちらの会場でも、前日か当日朝にやっておくこと
リハーサルで1曲まるごと録り、その場でヘッドホンを付けて聴き返す。スピーカーや本体の小さなスピーカーでは判断できません。
録音機を置く場所に「機材のため着席不可」の札を立て、当日動かされないようにする。
本番中に空調を運転するのかどうかを運営担当に確認する。止めるなら、その分だけ暗騒音が下がります。
電源が必要な機材なら、コンセントの位置とケーブルを通す経路、養生テープでの固定まで決めておく。
進行表を手元に置き、録音開始の時刻をメモしておく。後の切り分けで効いてきます。
客席録音の限界|咳と拍手は後から消せないので、二重に録っておく
合唱コンクールの録音がスタジオ録音と決定的に違うのは、やり直しがきかないことと、客席の音を選べないことです。この二つは技術で解決できる部分と、できない部分がはっきり分かれます。
機材は2台。片方が止まっても記録が残る形にする
録音機が本番中に停止する原因は、電池切れ、記録メディアの容量不足、そして操作ミスです。どれも当日の緊張のなかで起きます。予算が許すなら、メインとバックアップの2台を別々の場所に置き、それぞれ独立した電源で動かします。設定を少し変えて、片方は録音レベルを低めにしておくと、想定外に大きな音が来たときの保険になります。
記録メディアの残量は、開演前に空にするのが原則です。あわせて、ファイルシステムがFAT32のカードでは1ファイルが4GBを超えられないため、長時間の連続録音では自動的にファイルが分割されます。分割自体は多くの機種で音が途切れないよう処理されますが、切り分け作業の際にファイルが複数になることを知らずにいると、後半の学年が丸ごと見つからないと勘違いします。事前に取扱説明書で挙動を確認しておきます。
録音レベルは、歪ませないことを最優先にする
デジタル録音では、上限(0dBFS)に達した瞬間に波形が潰れ、その歪みは後から取り除けません。逆に、小さめに録った音を後で持ち上げるのは比較的簡単です。とくに24bitで録れる機種なら、余裕を持たせても実用上の劣化はほとんど気になりません。
目安として、リハーサルでいちばん声量のあるクラスを録り、そのピークが上限から6〜12dBほど下に収まる設定にしておきます。オートレベル(自動調整)は、拍手や静寂に反応して音量が上下するため、合唱の記録には向きません。手動で決めたうえで、機種にリミッターがあれば併用するのが無難です。
消せない音を減らすには、置き場所で対処する
咳、くしゃみ、パンフレットをめくる音、椅子のきしみ、ビニール袋、前列の保護者が構えたビデオカメラのオートフォーカス駆動音。これらは録音後の処理ではほとんど手が付けられません。空調のような一定して鳴り続けるノイズは、ノイズ低減の処理である程度は薄くできますが、単発の物音は不自然な穴が空くだけです。
現実的な対策は、人の密度が低い側の通路寄りに機材を置くこと、そして周囲の座席を確保できるなら確保することです。司会のアナウンスは入ってしまいますが、これは後でクラスの切れ目を探すときの目印として役立つので、無理に避ける必要はありません。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
音だけならCD、姿も残すならDVD|音楽CDは約80分、DVD片面1層は4.7GB
配布する媒体を先に決めておくと、収録時間の上限や分割の単位が決まり、切り分け作業の方針も定まります。主な選択肢の規格を並べます。
媒体
記録できる量
主な仕様
音楽CD(CD-DA)
12cm・700MBで約80分、650MBで約74分
44.1kHz/16bit/2chステレオ。規格書は通称レッドブック(IEC 60908)
DVD-Video
片面1層4.7GB/片面2層8.54GB
映像はMPEG-2など、NTSCで720×480。音声はリニアPCMまたはドルビーデジタル(48kHz)
Blu-ray
1層25GB/2層50GB
H.264などに対応し、1080i/1080pの解像度を扱える
音楽CDの80分という上限が、分割の単位を決める
1クラスの持ち時間は課題曲と自由曲で5〜8分程度になることが多く、1学年で4〜6クラスあれば30〜50分前後です。1学年分なら音楽CD1枚に収まりますが、全学年を1枚にまとめようとすると80分を超えます。この時点で「学年ごとに1枚」という構成がほぼ自動的に決まります。全学年を1枚に入れたい場合は、媒体をDVDに変えるか、収録内容を絞るかの二択になります。
データCDにMP3を入れる方式は、再生できない機械がある
MP3ファイルをそのままCDに焼く方式は、パソコンでは問題なく再生できます。ただし据置きのCDプレーヤーやCDラジカセ、自動車のオーディオでは、MP3対応をうたっていない機種だと読み込めません。祖父母世代に配る想定があるなら、音楽CD形式(CD-DA)で作るほうが再生できる範囲は広くなると考えられます。ただし個々の機種で確実に再生できるかどうかは、その機種で試す以外に確かめる方法がありません。配布時に「再生できない場合はご連絡ください」と添えておくと、問い合わせの窓口がはっきりします。
映像を残すなら、クラス選択の導線まで設計する
ステージの様子を映像で残す場合、1本の長い動画をそのまま渡すと、自分の子どものクラスを探すのに毎回早送りが必要になります。DVDやBlu-rayでは、クラスごとにチャプターを打ち、トップにメニュー画面を置いて選べるようにするのが親切です。
ディスクメーカーでは、動画データからDVD・Blu-rayを制作しています。再生できる形式に組み立てるオーサリングは料金に含まれており、メニュー画面の作成とチャプター分けにも対応しています。1枚1,500円からで、1枚から注文できます。
クラスごとに切り分ける作業|拍手の扱いを先に決めて、全クラス同じ基準で切る
ここが記録係の作業時間の大半を占めます。1本の長い録音から、クラス単位のトラックを作る工程です。手順を決めずに始めると、途中で基準がぶれて、後から全部やり直すことになります。
先に決めておく三つの方針
拍手を入れるか切るか。 入れるなら何秒残すか。クラスによって拍手の長さは違うので、「拍手が始まってから3秒でフェードアウト」のように秒数で統一します。ここを揃えないと、拍手が長く入ったクラスと短いクラスができ、受け取った側が不公平に感じます。
曲の頭をどこにするか。 指揮者が構えてから歌い出しまでの静寂を1秒程度残すと、演奏が唐突に始まりません。0にすると出だしの子音が欠けることがあります。
司会のアナウンスを入れるか。 クラス名と曲名が読み上げられるので、記録としては入れたほうが親切です。入れる場合は全クラスで入れます。
切る位置の探し方
波形表示のある編集ソフトを使うと、拍手の塊と静寂が視覚的に分かるので、曲の切れ目は目で探せます。無音を自動検出して分割する機能を持つソフトもありますが、合唱の弱音部分を無音と誤検出することがあるため、自動分割の結果は一つずつ確認します。
切り出したら、切れ目に0.3秒程度のフェードイン・フェードアウトをかけます。波形の途中でいきなり切ると、再生開始時にプチッというクリックノイズが出ることがあります。
ファイル名は、並べたときに曲順になる形にする
「01_1年1組_大切なもの.wav」のように、先頭に2桁の連番を付けます。連番を付けないと、パソコンやディスク作成ソフトの並び順が名前順になり、プログラムの順番と食い違います。連番はプログラム記載の演奏順に合わせ、当日の進行変更(欠席による順番入れ替えなど)があった場合は、プログラムではなく実際の演奏順を採用します。ここは進行表とメモが効いてくる場面です。
音量は、クラスごとに揃えすぎない
クラス単位でノーマライズ(最大音量を基準まで持ち上げる処理)をかけると、声量の小さかったクラスだけが不自然に大きくなり、当日の印象と違うものになります。基本は全体に同じゲインをかけ、明らかに小さすぎるものだけ個別に手当てする、という順番が無難です。処理をしたクラスと、していないクラスをメモに残しておくと、後から質問が来たときに答えられます。
映像で残す場合は、チャプター位置を一覧にしておく
ディスク制作を外部に頼むなら、切り分けたファイルをそのまま渡す方法と、1本の長い動画に「何分何秒からが何組」という一覧を添えて渡す方法があります。後者のほうが編集の手間は少なく済みます。ディスクメーカーではチャプター分けとメニュー画面の作成に対応しているため、時間の一覧とクラス名を渡す形で進められます。
曲の権利という論点|演奏に手続きが要らなくても、録音して配るには手続きが要る
ここを見落としたまま配布まで進んでしまう例が少なくありません。演奏することと、録音して配ることは、著作権の扱いが別だからです。
演奏そのものは、三つの条件で手続きが不要になる
JASRACは、文化祭などでの演奏について、手続きが不要となるのは次の三条件をすべて満たす場合だと案内しています。営利を目的としていないこと、名目を問わず入場料をとらないこと、演奏者や指揮者など出演者へ報酬の支払いがないこと の三つです。学校の合唱コンクールは、この三つを満たす形で行われることが一般的です。
録音してCD・DVDにする段階で、手続きが必要になる
同じJASRACのページには、合唱祭などを録音・録画してCD・DVDで配付する場合について、「歌唱・演奏することについての手続きが不要となる場合においても、録音・録画の手続きは必要となります」 と明記されています。演奏の例外が、録音と複製までは及ばないという整理です。
学校の授業の例外(著作権法第35条)は合唱コンクールのような学校行事にも及びますが、文化庁は学校向けの冊子「学校における教育活動と著作権」で、記念品として配る目的で行事の映像を保存する場合は授業に当たらず、著作者などの許諾が必要だと説明しています。1枚だけ作る場合も同じです(第35条運用指針の特別活動追補版)。記念に配る録音のディスクは、曲の手続きを済ませてから作ります。
二つの進め方がある
一つは、学校または保護者が自分で手続きをする方法です。JASRACのオンライン窓口を通じて申請し、許諾通知までに最低1週間程度かかると案内されています。請求書は許諾番号の通知から2〜3か月後に届きます。外国曲の場合、音楽出版社が指定する額が別途必要になることがあります。使う曲がJASRAC管理かどうかは、作品検索データベース(J-WID)で事前に確認できます。
もう一つは、JASRACと利用許諾契約を結んでいる事業者に制作を依頼する方法です。JASRACは「卒業記念用およびコンクール用録音・録画物」について契約事業者の一覧を公開しており、契約した事業者は、学校行事やコンクールでの歌唱・演奏を録音・録画したCD・DVD等を製作し、有償・無償にかかわらず出演者や関係者に限定して配ることができる、と説明されています。地域別に多数の事業者が掲載されています。
使用料には、卒業記念用とコンクール用の減額区分があります。卒業記念用は、教育機関から依頼を受けて学校行事の様子を収録し生徒等に配布する目的のものが対象です。コンクール用は、製造数が9個以下のものに限り減額の対象になると案内されているため、クラス人数分を作る場合はこの枠に入りません。実際にどの区分になるかは、JASRACか依頼先の事業者に確認してください。
依頼前に、文書で確認しておきたいこと
制作を依頼する事業者がJASRACと契約しているのか、それとも学校側で手続きするのか。どちらが手続きの主体かを、口頭ではなく記録に残る形で確認します。
伴奏に市販CDの音源(カラオケ音源など)を使った場合、作詞作曲の権利とは別に、その録音物についての権利(原盤権)が関わります。ピアノの生伴奏であれば、この論点は生じません。
校歌を収録する場合も、JASRAC管理曲であれば同じ扱いになります。J-WIDで管理状況を確認します。
何枚必要かの読み方|生徒数だけで数えると足りない
枚数の見積もりは「クラスの人数」から始まりますが、実際にはそこに乗る分が必ず出ます。配布後に足りないと分かると、追加制作の段取りをもう一度組むことになるので、最初の見積もりに余裕を入れておくほうが結果的に手間もコストも減ります。
用途
枚数の考え方
生徒分
在籍人数。当日欠席した生徒も含めます
担任・副担任
クラスあたり1〜2枚
学校保管用
学年ごとに1枚。翌年度の参考資料や、紛失時の複製元になります
不良品の交換用
数枚。読み込めない、傷が付いた、といった連絡は一定数あります
別居のご家族分
希望を取ってから数える。事前に数えるのは難しい部分です
「学年ごとに1種類」か「全体で1種類」かで、必要な作業が変わる
1年生には1年生の録音だけを配るのか、全学年の録音を全員に配るのか。前者なら学年の数だけ内容の異なるディスクを作ることになり、それぞれに切り分けとレーベル印刷の版が必要です。後者なら内容は1種類で済み、枚数だけが増えます。
作業量は前者のほうが多くなりますが、収録時間の制約は緩みます。音楽CDで全学年分を1枚に入れると80分の上限に当たりやすいので、CDで配るなら学年別、DVDで映像込みにするなら全学年1枚、という組み合わせが実務的です。
予備を持ちすぎない選択もある
予備を厚めに作ると、余った分がそのまま無駄になります。逆に切り詰めると、追加のときに再度手続きと発注が必要になります。ここは、追加を1枚から受けてもらえる制作先を確保できているかどうかで判断が変わります。1枚単位で追加できるなら予備は最小限にして、後から必要な数だけ足す組み方ができます。
ディスクメーカーは1枚1,500円からで、1枚から注文を受けています。
ケースと背表紙を先に決めておく
複数枚を家庭で保管してもらうことを考えると、背表紙に「〇〇中学校 第〇回合唱コンクール 〇年〇組」まで入れておくと、棚に並べたときに探せます。盤面に何も書かれていないディスクは、数年後に中身が分からなくなります。ディスクメーカーでは盤面へのレーベル印刷と、ケース・背表紙の印刷に対応しています。印刷する文字列は、学年・組・開催年月日・学校名を入れておくと後から特定できます。
配布の同意をどう取るか|録音した後ではなく、録音する前に案内を出す
配布の可否をめぐる話は、録音が終わってから始めると打つ手が限られます。すでに録れてしまっているものについて「あなたの子だけ外してほしい」という要望が来ると、その1クラスだけ収録できなくなり、クラス全体に説明が必要になるからです。案内は録音の前に出すのが、いちばん問題が起きにくい順番です。
案内文に書いておく項目
何を記録するか。 音声だけなのか、映像も含むのか。映像は顔が写るため、受け止め方が音声とは異なります。
誰に配るか。 「出演した生徒とその保護者に限る」のように範囲を書きます。範囲が書かれていないと、どこまで広がるか分からないという不安が残ります。
費用があるか。 実費を集めるなら金額と徴収方法。無償配布なら、その旨。
いつ配るか、いつまで保管するか。 元データを学校がどれくらい保管するのかも書いておくと、後の問い合わせが減ります。
二次利用をしないでほしいこと。 SNSや動画共有サイトへのアップロードは、著作権の面でも肖像の面でも別の問題になります。「家庭内での視聴に限る」と明記します。
希望しない場合の連絡先と期限。 期限を切らないと、配布直前に申し出が来ます。
実務上の注意点
学校ごとに、個人情報や肖像の取り扱いについての方針や様式が定められていることが多いので、独自に案内文を作る前に、学校の担当部署に既存の様式があるか確認してください。すでに年度当初に包括的な同意を取っている学校もあり、その場合は個別の案内が不要になることもあります。逆に、行事ごとに取り直す運用の学校もあります。
希望しない生徒がいた場合の扱いは、あらかじめ方針を決めておきます。音声のみであれば個人を特定しにくいため配布可能とする学校もあれば、そのクラスは収録しないとする学校もあります。ここは記録係が単独で決める話ではなく、学校の判断を仰ぐ部分です。
ディスク自体にも一言入れる
配布の範囲や利用条件は、案内文を配っただけでは数年後に忘れられます。ディスクの盤面またはケースの背面に「本ディスクの複製・インターネットへの公開はご遠慮ください」といった一文を刷っておくと、ディスクが単独で人の手に渡っても条件が残ります。盤面印刷とケース印刷に対応している制作先であれば、この一文を入れるのは追加の手間になりません。
保護者からの追加希望への対応|締切を切り、1枚から作れる先を先に決めておく
配布した翌週から「祖父母にも渡したい」「1枚割ってしまった」という連絡が来ます。これは避けようがないので、来る前提で準備しておくほうが早く終わります。
締切を二段階にする
一次締切は録音前の同意確認と同時に、必要枚数の希望も一緒に取ります。二次締切は、配布から2週間後あたりに設定して「追加のご希望はこの日まで」と明記します。二次締切をまとめて処理すれば、1枚ずつバラバラに発注するより手間が少なくなります。締切を書かずに配ると、数か月後に個別の連絡が続きます。
追加分の費用負担を決めておく
初回は学校または学年費から、追加分は希望者の実費負担、という切り分けが一般的です。実費を集める場合は、金額を先に確定させる必要があるため、追加1枚あたりの制作費を制作先に確認しておきます。ディスクメーカーは1枚1,500円からで、1枚から注文できるため、追加が1枚でも見積もりが立ちます。オーサリング(再生できる形式への組み立て)は料金に含まれます。
納期を先に把握しておく
卒業式や学年末に間に合わせたい場合は、逆算が必要です。ディスクメーカーの納期区分は次のとおりです。
区分
追加料金
条件
通常便
―
―
お急ぎ
+1,500円
15時までの注文・入稿で翌々日までに発送
特急
+3,000円
15時までの注文・入稿で翌日発送
当日店舗お渡し
+3,500円
平日12時までの注文・入稿。大阪市北区の店舗で受け取り
いずれも注文と入稿の両方が揃った時点が起点です。データの準備に時間がかかると、この時計は動き出しません。切り分けとファイル名の整理を先に終わらせておくのが、実質的な短縮になります。
入稿の経路は、学校のネットワークで試しておく
入稿はダウンロードできる共有URLで受け付けています。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などが使えます。ギガファイル便は1ファイル300GBまで、保持期限は既定で5日(変更可能)と案内されています。合唱コンクール1回分の映像であれば、容量が問題になることは少ないと考えられますが、保持期限が切れるとダウンロードできなくなるため、入稿後は期限内に受領の連絡が来るかを確認します。
注意したいのは、学校のネットワークではファイル共有サービスへのアクセスが制限されていることがある点です。締切間際に「アップロードできない」と気付くと動けなくなるので、小さなテストファイルで一度通してみるか、別回線で作業できる環境を先に確保しておきます。
よくある質問
Q. 合唱コンクールの録音はスマホでもできますか
A. 記録として残す程度であれば録れます。ただしスマホのマイクは近くの声を明瞭に拾う設計が中心のため、ホールの離れた位置からステージ全体を捉える用途では、低音が薄くなったり周囲の話し声が目立ったりしやすいと考えられます。手で持つと擦れる音が入るので、三脚に固定し、機内モードにして通知音と着信を止めてください。配布用に仕上げるのであれば、ステレオマイクを備えたICレコーダーを1台用意し、スマホをバックアップに回す構成が現実的です。
Q. 録音したCDをクラス全員に配ると著作権法違反になりますか
A. 手続きをせずに配ると問題になり得ます。JASRACは、非営利・入場無料・出演者への報酬なしの三条件を満たせば演奏自体の手続きは不要としたうえで、合唱祭などを録音・録画してCD・DVDで配付する場合は「録音・録画の手続きは必要となります」と案内しています。進め方は二つで、学校や保護者がJASRACに直接申請するか、JASRACと利用許諾契約を結んでいる事業者に制作を依頼するかです。後者については、卒業記念用およびコンクール用の契約事業者一覧が公開されています。
Q. 何枚くらい用意すればいいですか
A. 生徒の在籍人数を基準に、担任・副担任の分、学校保管用に学年ごと1枚、不良品交換用に数枚を上乗せするのが基本です。加えて、別居の祖父母に渡したいという希望が一定数出るため、事前アンケートで希望枚数まで聞いておくと精度が上がります。予備を厚くすると余りが出るので、1枚単位で追加注文できる制作先を確保したうえで、初回は最小限にして後から足す組み方も選べます。ディスクメーカーは1枚から注文を受け付けています。
Q. CDとDVDのどちらで配るのがいいですか
A. 音声だけを残すならCD、ステージの様子も残すならDVDです。音楽CDは12cm・700MBで約80分が上限なので、1学年分なら収まりますが全学年をまとめると超えます。DVDは片面1層で4.7GBあり、映像込みでも全学年分を1枚に入れられることが多く、メニュー画面とチャプターでクラスを選べる形にできます。祖父母世代に配るなら、据置きのCDプレーヤーで再生できる音楽CD形式にしておくと、再生できる機械の範囲は広くなると考えられます。
Q. 合唱コンクールの映像を、歌声のきれいなDVDにするには
A. 歌声の聞こえ方は撮るときに決まります。ビデオカメラの内蔵マイクの音だけに頼らず、客席側に置いたICレコーダーでも録っておき、編集ソフトで映像に合わせて使う方法があります(映像と音を合わせるのは編集の作業です)。DVD-Video の映像は720×480、音声はリニアPCMかドルビーデジタルです。ステージを細かいところまで残したいならブルーレイ(1920×1080まで)も選べます。クラスごとにチャプターを打ち、メニューから選べる形にすると、見る人が自分の子のクラスをすぐに探せます。
Q. 音源データからディスクを作ってもらうには、どうやってデータを渡せばいいですか
A. ダウンロードできる共有URLを発行して伝える方法が使えます。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などが対象です。渡す前に、ファイル名を「01_1年1組_曲名」のように演奏順の連番付きに整理しておくと、収録順の行き違いが起きません。学校のネットワークではファイル共有サービスが制限されている場合があるので、締切前に小さなテストファイルで一度アップロードを試しておくと安心です。
Q. 卒業式に間に合わせたいのですが、最短でどのくらいかかりますか
A. ディスクメーカーの場合、平日15時までに注文と入稿が揃えば翌日発送の特急(+3,000円)、翌々日までに発送のお急ぎ(+1,500円)が選べます。大阪市北区の店舗で受け取れる方であれば、平日12時までの注文・入稿で当日お渡し(+3,500円)も可能です。いずれも起点は注文と入稿が両方そろった時点なので、データの切り分けとファイル名の整理が終わっているかどうかが実質的な締切になります。JASRACの手続きが別途必要な場合は、その所要期間も逆算に入れてください。
Q. 追加で1枚だけ欲しいと言われたのですが、少数でも作れますか
A. 作れます。ディスクメーカーは1枚1,500円からで、1枚から注文を受け付けており、再生できる形式に組み立てるオーサリングは料金に含まれます。盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷にも対応しているため、初回配布分と同じ体裁で揃えられます。追加が個別にバラバラで届くと手間が増えるので、配布から2週間後などに追加希望の締切を設けて、まとめて発注する運用にすると処理が楽になります。