この記事の要点
黒帯は不具合ではなく、映像を切らずに全体を映すための余白で、16:9の映像を4:3の画面に収めると高さの25%(上下12.5%ずつ) が帯になります。
4:3は1892年の35mmフィルム由来、16:9は1984年にSMPTEのKerns H. Powers氏が提案した妥協案 で、当時の主要比率の幾何平均としてこの数字が選ばれました。
帯を消す方法は「切る」か「伸ばす」の二択 で、4:3を16:9いっぱいに伸ばすと横だけが約1.33倍になり、人物の顔が横に広がって見えます。
DVD-Videoの記録画素はNTSCなら720×480の1種類だけ で、16:9は横に縮めて記録し再生時に戻すアナモルフィック方式が使われます。
入稿前に決めるのは完成比率・帯を焼き込むかどうか・縦動画の背景処理・書き出し時のピクセル縦横比 の4点で、ここを揃えると仕上がりのブレが消えます。
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編集を終えて書き出した映像をテレビで再生したら、上下に黒い帯が出た。あるいは左右が真っ黒で、映像が画面の真ん中に小さく表示される。編集ソフトのプレビューでは画面いっぱいだったのに、と首をかしげている方は多いはずです。
この黒帯はほとんどの場合エラーではありません。映像そのものの縦横比と、映し出す画面の縦横比が違うときに、映像を切り落とさずに全体を見せるための余白として自動的に入ります。つまり帯が出ている状態は「映像が正しく全部映っている」状態でもあります。
この記事では、なぜ帯が出るのかを数字で説明したうえで、消したいときの選択肢とその副作用、DVDやブルーレイに焼くときに特有の注意点、そして素材の比率がバラバラなときにどう方針を決めるかまでを扱います。読み終えたときに、自分の映像をどの比率で仕上げるべきかが決められる状態を目指します。
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黒帯が出るのは縦横比が合っていないから|16:9を4:3に収めると高さの25%が帯になる 4:3は1892年のフィルム、16:9は1984年の妥協案|数字の出どころ 上下の帯はレターボックス、左右の帯はピラーボックス|四辺に出たら二重変換を疑う 帯を消す手段は「切る」か「伸ばす」の二択|伸ばすと4:3は横に約1.33倍になる DVD-Videoは記録画素が1種類だけ|16:9は横に縮めて記録し再生時に戻す 素材が混在しているときは完成比率を1つ決めて全部そこへ合わせる 入稿前に決めておく4項目|比率・帯・背景・ピクセル縦横比 よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
黒帯が出るのは縦横比が合っていないから|16:9を4:3に収めると高さの25%が帯になる
アスペクト比とは、映像の横と縦の長さの比のことです。16:9は横が縦の約1.78倍、4:3は約1.33倍。この二つは形が違うので、片方の形の映像をもう片方の形の画面に「全部見せたまま」入れようとすると、どうしても余りが出ます。その余りが黒帯です。
割合は計算で出ます。16:9の映像を4:3の画面に幅いっぱいで入れると、映像の高さは画面の高さの (4÷3) ÷ (16÷9) = 0.75、つまり75%にしかなりません。残りの25%が上下の帯で、均等に配置されるので上に12.5%、下に12.5%です。逆に4:3の映像を16:9の画面に入れると、今度は幅が75%になり、左右に12.5%ずつの帯が出ます。
主な組み合わせを整理すると次のようになります。
映像の比率
画面の比率
帯の位置
帯が占める割合
16:9
4:3
上下
高さの25%(上下12.5%ずつ)
4:3
16:9
左右
幅の25%(左右12.5%ずつ)
2.39:1(シネスコ)
16:9
上下
高さの約26%
1.85:1(ビスタ)
16:9
上下
高さの約4%
9:16(スマホ縦)
16:9
左右
幅の約68%
表の最終行が、いま最も相談の多いケースです。スマートフォンで縦に撮った9:16の映像を16:9のテレビに映すと、映像が使えるのは画面幅の約32%だけ。残る約68%が左右の帯になります。「思ったより小さい」と感じるのは錯覚ではなく、実際に画面の3分の1しか使っていません。
1.85:1の映画が16:9のテレビでほぼ全画面に見えるのも同じ計算で説明できます。1.85と1.78の差はわずかなので、帯は高さの4%程度、テレビの額縁に紛れてほとんど意識されません。帯が気になるかどうかは「合っていないかどうか」ではなく「どれだけずれているか」で決まります。
4:3は1892年のフィルム、16:9は1984年の妥協案|数字の出どころ
なぜ4:3と16:9という中途半端な数字が並んでいるのか。これは技術的な必然というより、歴史の積み重ねです。
4:3は35mmフィルムのコマの形から来ている
1892年、ウィリアム・ディクソンとトーマス・エジソンが35mmフィルムでパーフォレーション(送り穴)4つ分を1コマとする形式を定め、これが事実上の標準になりました。その画面サイズは24.89mm×18.67mmで、比にするとおよそ1.33:1、すなわち4:3です。その後トーキー化にともなって音声トラックの幅が必要になり、アカデミー比と呼ばれる22mm×16mm(1.375:1)に改められました。
初期のテレビが4:3を採用したのは、映画に合わせるためでした。1940年代から1950年代にかけて、35mmで撮られた映画をそのままテレビで流せることには大きな意味があったからです。日本の家庭にあったブラウン管テレビ、VHSのビデオテープ、初期のビデオカメラ。これらはすべてこの系譜に属します。
16:9は「どの比率にもそこそこ合う形」として選ばれた
16:9を最初に提案したのは、SMPTE(米国映画テレビ技術者協会)の高精細電子製作作業部会に所属していたKerns H. Powers氏で、1984年のことです。彼は当時使われていた4:3、5:3、1.85:1、2.35:1の各比率で面積の等しい長方形を切り出し、中心を揃えて重ねました。すると、すべての長方形が収まる外側の長方形と、すべてに共通して含まれる内側の長方形が、どちらも約1.78:1になったのです。
この値は両端である4:3と2.40:1の幾何平均、√(1.333×2.40) ≒ 1.79 とほぼ一致します。つまり16:9は「どの比率にとっても最良」ではなく「どの比率からの距離も最小になる妥協点」として設計された数字でした。1993年には欧州連合が2億2800万ユーロの予算をつけた「16:9アクションプラン」を実施し、放送側の普及を後押ししています。
この出自を知っておくと判断が速くなります。16:9は万能ではなく妥協案なので、シネスコ(2.39:1)を入れれば上下に帯が残り、4:3を入れれば左右に帯が残るのは設計どおりです。帯が出たときに「設定を間違えたのでは」と疑う前に、そもそも合うはずのない組み合わせではないかを確かめてください。
上下の帯はレターボックス、左右の帯はピラーボックス|四辺に出たら二重変換を疑う
帯には呼び名があります。用語を押さえておくと、編集ソフトの設定項目や外注先とのやり取りで話が早くなります。
レターボックス :上下に帯が入る状態。横長の映像を、それより縦長の画面に収めたときに起きます。16:9の映像を4:3のテレビで見る、シネスコ映画を16:9で見る、といった場合です。
ピラーボックス :左右に帯が入る状態。4:3や9:16といった縦長寄りの映像を、横長の画面に収めたときに起きます。柱(pillar)が左右に立っているように見えることからこの名があります。
ウィンドウボックス :上下左右の四辺すべてに帯が入り、映像が中央に切手のように小さく表示される状態。額縁現象とも呼ばれます。
ウィンドウボックスは事故のサイン
前の二つは仕様どおりの結果ですが、ウィンドウボックスだけは扱いが違います。これは変換が二重にかかったときに起きる現象で、ほぼ確実に作業工程のどこかに原因があります。
典型的な経路はこうです。まず16:9の映像を、上下に黒帯を焼き込んだ状態で4:3のファイルとして書き出す。その4:3ファイルを、あとから16:9のプロジェクトに読み込む。すると編集ソフトは4:3の映像として扱うので、左右にピラーボックスを追加します。結果、上下は最初に焼き込んだ帯、左右は今回追加された帯となり、四辺すべてが黒くなります。
直すのは最終出力ではなく素材。帯の無い元の16:9素材に差し替える
この場合に直すべきは最終出力ではなく、前の工程の素材です。帯が焼き込まれていない元の16:9素材に差し替えれば一度で解決します。出力側で拡大して帯を画面外に出すという対処もできますが、映像を必要以上に拡大することになり解像感が落ちるので、素材を直せるなら素材を直してください。
逆に言えば、あとで比率を変える可能性がある素材には帯を焼き込まないのが原則です。帯は映像データの一部として記録されると、あとから取り除くのが難しくなります。
帯を消す手段は「切る」か「伸ばす」の二択|伸ばすと4:3は横に約1.33倍になる
黒帯を消したいという相談に対する答えは、残念ながら「映像の一部を切り捨てるか、形を歪めるか、どちらかを選んでください」になります。情報量を保ったまま形だけ変える方法は存在しません。
伸ばす(ストレッチ)と人が横に広がる
4:3の映像を16:9の画面いっぱいに引き伸ばす場合、縦はそのままで横だけを (16÷9) ÷ (4÷3) = 1.333倍にします。顔の幅が33%増えるということです。円形のものは楕円になり、人物は太って見えます。古いホームビデオを最近のテレビで再生したときに違和感があるのは、テレビ側が自動でこの処理をかけていることが多いためです。
逆方向、つまり16:9を4:3に縮めて入れると横が0.75倍になり、今度は全員が痩せて縦に伸びて見えます。どちらも被写体の形が変わるため、記録映像や商品紹介など「実物の形」が意味を持つ内容ではおすすめできません。
切る(クロップ/パンスキャン)と画面外が発生する
もう一方の選択肢は切り取りです。16:9の映像を4:3に切り出すなら、横方向の25%(左右12.5%ずつ)が画面の外へ出ます。映画で使われてきたパンスキャンという手法は、被写体の位置に合わせて切り出す位置を場面ごとに動かすもので、単純な中央固定より自然になりますが、手作業のコストがかかります。
実務で問題になりやすいのは、切り取りで消えるのが映像の端に置かれがちな要素だという点です。字幕、テロップ、日付表示、演者の並びの端。とくに発表会や式典の記録で舞台の端にいる人が切れると、あとから取り返しがつきません。切る方針を採るなら、切ったあとの画面で全編を一度通して確認してください。
なお、比率を変える処理はどれも映像の作り直し、つまり再エンコードを伴います。元データより画質が良くなることはないので、変換の回数は少ないほど有利です。この点は画質を劣化させずにコピーする方法 の考え方と共通していて、工程の途中で何度も書き出し直すほど不利になると考えられます。
第三の方法は「余白を黒以外にする」
切るのも伸ばすのも避けたい場合、余白そのものをデザインしてしまう手があります。縦動画の左右に同じ映像をぼかして拡大したものを敷く、単色や写真の背景を置く、タイトルやロゴを配置する。映像は無加工のまま画面が埋まるので、形も情報も失われません。SNS向けの動画で広く使われている処理で、テレビ再生でも同じように使えます。
伸ばせば形が、切れば端が変わる。余白を飾れば両方を保てる
DVD-Videoは記録画素が1種類だけ|16:9は横に縮めて記録し再生時に戻す
DVDに焼くときには、ファイル配信にはない制約が加わります。DVD-Video規格で使える映像サイズが決まっているためです。
NTSC(日本や北米の方式)では720×480が標準で、ほかに704×480、352×480、352×240が定められています。PAL方式では720×576などです。ここで注意したいのは、720×480という数字そのものは4:3でも16:9でもないという点です(720÷480は1.5)。
アナモルフィックという仕組み
DVDは映像ストリームに「この映像は4:3として表示せよ」「16:9として表示せよ」というフラグを持っており、プレーヤーはそれを読んで横方向に引き伸ばして表示します。16:9のワイド映像は、いったん横に圧縮した状態で720×480に記録され、再生時に横へ広げて元の形に戻される。これがアナモルフィック(スクイーズ)記録です。
フラグを正しく付ければ、縮めて記録した映像は再生時に元の形に戻る
記録されている画素は正方形ではありません。ITU-R BT.601に基づく値では、NTSC 720×480の画素縦横比は4:3表示なら10:11(約0.90=やや縦長)、16:9表示なら40:33(約1.21=横長)とされています。厳密には有効画素704を基準にした値なので、720で扱う際の解釈には実装差があると考えられますが、実務上はオーサリング側が処理するため、制作者が意識すべきは「フラグを正しく設定すること」だけです。
この、映像ファイルを再生可能なディスク構造へ組み立てる工程についてはDVDオーサリングとは何かを解説した記事 で詳しく扱っています。ファイルをそのまま書き込んでもDVDプレーヤーで再生できないのは、この工程を経ていないためです。
フラグを間違えたときの症状
実際の映像
設定したフラグ
再生時の見え方
16:9
4:3
全体が縦に伸びて細長く見える
4:3
16:9
全体が横に広がって太って見える
帯を焼き込んだ16:9
16:9
上下に帯が残ったまま、さらに左右にも帯(額縁)
ブルーレイでは事情が変わります。BDMV規格は1920×1080(16:9・正方画素)を中心に、1440×1080のアナモルフィック、1280×720などをサポートしており、16:9の映像を縮めずそのまま記録できます。解像度と容量の違いを含めた比較はDVDとブルーレイの違い にまとめています。16:9で撮った映像を16:9のまま無理なく収めたい場合、ブルーレイのほうが工程がシンプルになります。
もうひとつ、ディスク側が正しくても再生機側の設定で見え方が変わる点は押さえておいてください。テレビやプレーヤーには「ノーマル」「フル」「ズーム」「ワイド」といった画面モードがあり、ここが自動拡大に設定されていると、正しく作ったディスクでも引き伸ばされて表示されます。再生環境ごとの挙動の違いについては家庭用プレーヤーの互換性ガイド も参考になります。
素材が混在しているときは完成比率を1つ決めて全部そこへ合わせる
結婚式のプロフィール映像、周年記念のダイジェスト、部活動の記録。こうした案件では、スマホの縦動画、一眼の16:9、古いビデオの4:3、写真のスキャンデータが1本のタイムラインに混在します。ここで方針を決めずに並べると、再生中に帯の出方が場面ごとに変わり、画面がちらつく印象になります。
手順は3ステップ
完成比率を先に決める :テレビで再生するなら16:9が基本です。プロジェクト設定を最初に16:9(DVDなら720×480の16:9フラグ、ブルーレイなら1920×1080)に固定し、以降は動かしません。
素材ごとに合わせ方を決める :4:3素材は左右にピラーボックスを置くか、上下を切って16:9にするか。人物の頭上に余裕がある映像なら切っても成立しますが、集合写真のように上下いっぱいに情報が入っている映像は切らないほうが安全です。
縦動画の背景を統一する :9:16素材が複数ある場合、ある場面はぼかし背景、別の場面は黒帯、という混在は目立ちます。どちらかに揃えてください。
判断基準は「元の構図が崩れるか」
迷ったときは、切ったあとの画面を静止画として眺めて、意図した構図が保たれているかを見ます。被写体の頭が画面の上端に接している、テロップの一部が欠けている、集合の端の人が消えている。このいずれかが起きるなら切らずに帯で対応する。逆に、周囲に余白が多く中央に被写体が収まっているだけの映像なら、切っても情報は失われません。
素材を集める段階では、ファイル形式ごとに比率情報の持ち方が違う点にも注意が必要です。同じ16:9でも、MP4、MOV、AVIでメタデータの扱いが異なり、編集ソフトが自動判定に失敗することがあります。形式ごとの特徴はMOVとMP4の違い|動画ファイル形式の種類(AVI・MKVほか)と使い分け にまとめてあります。読み込み直後に、プレビュー上で人物の顔が丸いか、円形のものが楕円になっていないかを一度確認しておくと、後工程での作り直しを避けられます。
入稿前に決めておく4項目|比率・帯・背景・ピクセル縦横比
ここまでの内容を、ディスク制作を依頼する前のチェック項目にまとめます。この4点が決まっていれば、仕上がりが想定と食い違うことはほぼなくなります。
この4点が決まっていれば、仕上がりが想定と食い違うことはほぼなくなる
1. 完成比率と解像度
16:9か4:3か。テレビでの再生を前提にするなら16:9が標準です。DVDなら720×480に16:9フラグ、ブルーレイなら1920×1080。書き出し前にプロジェクト設定を確認してください。
2. 黒帯を焼き込むかどうか
すでに帯が焼き込まれている素材を渡す場合は、その旨を伝えてください。伝わっていないと、受け取り側が「帯なしの素材」と判断して比率を合わせ直し、四辺に帯が出る額縁状態になることがあります。可能であれば帯を焼き込まないデータを渡すほうが選択肢が広がります。
3. 縦動画・4:3素材の余白処理
黒のままでよいのか、ぼかし背景を敷くのか、指定色にするのか。ここを決めずに渡すと、標準処理として黒帯が入ります。
4. 書き出し設定のピクセル縦横比
編集ソフトの書き出し画面にある「ピクセル縦横比」は、特別な理由がなければ「正方形ピクセル(1.0)」にしてください。ここが1.0以外になっていると、環境によって横に伸びたり縮んだりして見えます。前述のアナモルフィックへの変換はオーサリング工程で処理されるので、素材側で先回りする必要はありません。
渡し方と、こちらで確認していること
データはダウンロードできる共有URLでお送りいただけます。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などに対応しています。アップロードの手順はギガファイル便での入稿ガイド にまとめました。
ディスクメーカーでは基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚単位で承っています。再生できる形式へ組み立てるオーサリングは料金に含まれており、その工程で映像の比率と表示フラグの整合を確認しています。メニュー画面やチャプター分け、盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷にも対応しているので、比率の判断に迷う素材がある場合は、その旨を添えてお送りください。
納期は通常便のほか、お急ぎ便(+1,500円/平日15時までのご注文・ご入稿で翌々日までに発送)、特急便(+3,000円/平日15時までのご注文・ご入稿で翌日発送)をご用意しています。平日12時までのご注文・ご入稿であれば、+2,500円で大阪市北区の店舗でのお渡しも可能です。
よくある質問
Q. DVDの上下に黒い帯が出ます。消せますか? A. 消す方法は二つあり、どちらも代償があります。ひとつは映像の左右を切って画面の比率に合わせる方法で、この場合は横方向の25%ほどが画面外に出ます。もうひとつは縦方向に引き伸ばす方法で、被写体が縦長に見えるようになります。情報も形も保ったまま帯だけを消すことはできません。テレビ側の画面モードを「フル」や「ズーム」にすると帯は消えますが、実際には拡大や引き伸ばしが行われています。帯が出ている状態は、映像が切られずに全部映っている状態でもあります。
Q. 4:3の古いビデオを16:9のテレビで全画面表示にしても問題ありませんか? A. 形が変わってよい内容なら問題ありません。4:3を16:9いっぱいに広げると横方向だけが約1.33倍になり、顔の幅が33%増えます。風景中心の映像では気づきにくいものの、人物が正面に写っている映像でははっきり違和感が出ます。式典や発表会の記録のように「そのときの見え方」を残したい映像は、左右に帯を残したまま元の比率で見るほうが実物に近くなります。判断に迷ったら、同じ場面を両方の設定で再生して見比べてください。
Q. スマホの縦動画をDVDにすると左右が真っ黒になります。どうすればいいですか? A. 9:16の縦動画を16:9の画面に入れると、映像が使えるのは画面幅の約32%だけで、残る約68%が左右の余白になります。これは仕様どおりの結果です。実務でよく使われるのは、同じ映像をぼかして拡大したものを背景に敷く方法で、映像を切らずに画面を埋められます。ほかに、背景を単色や写真にする、複数の縦動画を左右に並べる、といった処理もあります。逆に画面いっぱいにしたい場合は上下を大きく切ることになり、被写体が入りきらないことが多いのでおすすめしません。
Q. 黒帯の分だけ画質は落ちますか? A. 帯そのものは黒を表示しているだけなので、映像の中身が劣化するわけではありません。ただし、記録できる画素数のうち帯が占める分は映像に使われないため、実質的な解像度は下がります。たとえば16:9の映像を4:3として帯付きで記録すると、高さの25%が黒に使われます。DVDのように記録画素が限られている形式ではこの差が見えやすくなるので、16:9の映像は帯を焼き込まず16:9フラグで記録するほうが有利です。
Q. テレビのリモコンの「画面モード」ボタンで直せますか? A. 見え方を変えることはできます。多くのテレビには「ノーマル」「フル」「ズーム」「ワイド」といったモードがあり、ノーマルは元の比率のまま表示(帯が出る)、フルは画面いっぱいに引き伸ばし、ズームは拡大して帯を画面外に出す動作です。ディスク自体が正しく作られていても、ここが自動拡大に設定されていると引き伸ばされて表示されます。「作ったディスクだけおかしい」と感じたときは、ほかの映像を再生して同じ症状が出るかを確かめると切り分けができます。
Q. 16:9で書き出したのに、再生すると横に縮んで縦長に見えるのはなぜですか? A. 表示比率の情報が正しく伝わっていない可能性が高い症状です。DVD-Videoでは映像に「4:3として表示せよ」「16:9として表示せよ」というフラグが付いており、16:9の映像に4:3のフラグが付くと、横に圧縮されたまま表示されて縦長に見えます。編集ソフト側の書き出し設定で「ピクセル縦横比」が意図しない値になっている場合にも同じ症状が出ます。特別な理由がなければ、書き出しは正方形ピクセル(1.0)にしておくと安全です。
Q. 上下左右すべてに帯が出て、映像が中央に小さく表示されます。 A. ウィンドウボックス(額縁現象)と呼ばれる状態で、比率の変換が二重にかかったときに起きます。典型的なのは、上下に黒帯を焼き込んだ4:3のファイルを、あとから16:9のプロジェクトに読み込んだ場合です。上下は焼き込まれた帯、左右は新たに追加された帯となり、四辺すべてが黒くなります。直すべきは出力設定ではなく素材側で、帯が焼き込まれていない元データに差し替えるのが確実です。元データが手元にない場合は拡大して帯を画面外に出す対処もありますが、解像感は落ちます。
Q. DVDとブルーレイで黒帯の出方は変わりますか? A. 変わります。DVD-VideoのNTSC規格では記録画素が720×480などに限られ、16:9は横に圧縮して記録し再生時に戻すアナモルフィック方式が使われます。一方ブルーレイは1920×1080(16:9)を中心とした規格で、16:9の映像をそのままの形で記録できます。16:9で撮影した映像を16:9で仕上げる場合、ブルーレイのほうが工程が単純になり、比率まわりの取り違えも起きにくくなります。ただし再生機がブルーレイに対応している必要があるので、渡す相手の再生環境から逆算して選んでください。