この記事の要点
最初にやることは、上書きを止めること。エンジンを切り、記録用のカードを抜き、そのカードには二度と録画させない
提出用と控え用に、元のファイルを変えずに2か所へコピーする。編集や変換をしたものを「元データ」として出さない
提出先で形が違う。データのまま渡す場面と、DVD-Rで渡す場面、プレーヤーで再生できるDVD-Videoが喜ばれる場面がある
切り出しは「前後を含めて長め」に。必要な場面だけを短く切ると、状況が分からなくなり、切り出したこと自体を疑われる
盤面に日付・時刻・カメラの向きを書き、同じものを2枚以上作る。相手に渡した1枚は戻ってこない前提で用意する
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
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事故のあと、警察や保険会社から「ドライブレコーダーの映像を提出してください」と言われて、どうすればよいか分からない、という相談が当社にも届きます。スマホに転送して送ればよいのか、DVDに焼くのか、焼くならどの形式か。慌てている最中に調べるのは大変で、しかもその間にも映像は上書きされていきます。
上書きを止めることと、元のファイルを変えずに残すことが、いちばん大事です。提出の形はあとから作れますが、消えた映像は戻りません。求められる形は提出先によって違い、データのまま渡す場面もあれば、DVDに焼いて渡す場面もあります。
当社は法律の相談を受ける立場ではないので、提出の要否や証拠としての扱いは提出先や弁護士に確かめてください。ここで書くのは、映像を「使える状態のまま渡す」ための技術と段取りです。
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初動|エンジンを切り、カードを抜いて、上書きを止める 元のファイルは変えずに、控えを2か所へ 提出先ごとの形|データのまま、DVD-R、再生できるDVD-Videoの三つ 切り出しは前後を長めに残し、明るさや速度は変えない DVDに焼く手順|データとして焼く場合と、DVD-Videoにする場合 盤面には日付・時刻・カメラの向きを書き、中身の一覧を添える 保険会社への送り方|アプリ、メール、媒体の三つと、容量の上限 他人が写った映像も提出はできる。SNSに上げるのは別の話 残りの3項目を見る 提出用のディスクは、控えを含めて3枚が目安 事故に備える、普段からの設定と社用車での保管 よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
初動|エンジンを切り、カードを抜いて、上書きを止める
ドライブレコーダーは、記録用のカード(多くはmicroSD)の容量がいっぱいになると、古い映像から順に消して新しい映像を記録します。事故の映像も、そのまま走り続ければ数時間から数日で消えます。衝撃を検知して保護する機能が付いた機種でも、保護の対象は衝撃の前後の短い時間だけです。事故に至るまでの経緯は通常の録画領域にあり、上書きの対象です。
ですから、安全が確保できたら、エンジンを切り、記録用のカードを抜きます。抜いたカードは、そのまま別のドライブレコーダーやパソコンに挿して録画や書き込みをせず、読み出しだけに使います。カードを抜いたあとの録画には、予備のカードを使います。
カードを抜けない機種や本体にメモリがある機種は、電源を入れないまま、取扱説明書の手順で映像を取り出します。取り出し方はビデオカメラの内蔵メモリから動画を取り出す方法 と同じ考え方です。
もう一つ、車の走行を再開する前に、相手方の車や周囲の状況をスマホでも撮っておくと、ドライブレコーダーに映っていない角度を補えます。この記事の主題からは外れますが、映像は多いほど状況の説明が楽になります。
元のファイルは変えずに、控えを2か所へ
カードをパソコンに挿したら、まずカードの中身をフォルダごと、そのままパソコンにコピーします。事故の場面だけでなく、カードに入っている全部です。これが「元データ」になります。次に、そのコピーを外付けHDDやクラウドにもう一つ置きます。カード、パソコン、もう一か所、と三つに同じものがある状態にしてから、次の作業に進みます。
ここでは、元のファイルを一切変えないことが大事です。名前を変える、別の形式に変換する、切り出す、明るさを直す、といった操作は、すべてコピーしたファイルに対して行い、元のファイルはそのまま残します。編集や変換を加えた映像を「元データ」として提出すると、あとで「手を加えたのではないか」という疑いを招きます。
提出用に切り出した映像と、元のファイルの両方を渡せる状態が理想です。証拠として残すための保全の考え方は動画を証拠として保存する方法 で詳しく書いています。
上書きを止めて元のファイルを変えずに残せば、提出の形はあとから作れる
ドライブレコーダーのファイルは、機種によってMP4、MOV、AVI、TSといった形式で、1〜3分ごとに分割されています。事故の場面が二つのファイルにまたがっていることも多いので、前後のファイルも必ず含めます。GPSの位置や速度のデータを映像とは別のファイルに記録する機種もあり、フォルダごとコピーするのはそのためです。
提出先ごとの形|データのまま、DVD-R、再生できるDVD-Videoの三つ
提出の形は、提出先と場面によって三つに分かれます。ひとつめは、データのまま渡す形です。保険会社はアプリやサイトから動画をアップロードできる仕組みを持っていることが多く、事故の受付で案内されます。この場合は、切り出したファイルをそのまま送ります。
ふたつめは、DVD-RやUSBメモリにデータとして入れて渡す形です。警察に任意で提出する場合や、保険会社から「媒体で送ってほしい」と言われた場合に多く、映像ファイルをそのまま、あるいは専用の再生ソフトと一緒に入れます。
みっつめは、プレーヤーで再生できるDVD-Videoにして渡す形です。相手が映像の専門部署ではなく、パソコンの環境が限られている場合や、弁護士に見てもらう場合、示談の場で相手方と一緒に見る場合には、ディスクを入れれば映る形が喜ばれます。
ただしDVD-Videoにすると解像度が720×480に変わり、ナンバープレートのような細かい文字が読みにくくなることがあるので、DVD-Videoは「見せる用」、元のファイルは「調べる用」と分けて、両方を用意するのが確実です。二つの形の違いはビデオ形式かデータ形式か にまとめています。
どの形で出すかは、提出先に必ず確かめてください。「DVD-Rで」と言われたときに、データディスクとDVD-Videoのどちらを指しているかまで聞いておくと、作り直しを防げます。多くの場合、元のファイルをデータとして入れたDVD-Rに、再生用のソフトや再生できる形式の動画を添えるのが、いちばん扱いやすい形です。
DVD-Videoは見せる用、元のファイルは調べる用。どの形かは提出先に確かめる
切り出しは前後を長めに残し、明るさや速度は変えない
事故の場面だけを短く切り出したくなりますが、切り出しは長めにしてください。事故の30秒前から30秒後、できれば信号や合流の経緯が分かる数分前からが目安です。必要な場面だけを短く切ると、状況が分からなくなるうえ、「都合の悪い部分を切ったのではないか」という見方をされます。分割されたファイルは、切らずにそのまま複数渡すほうが、かえって信用されます。
明るさの補正、速度の変更、拡大、テロップの追加、といった編集も避けます。見やすくしたい場合は、編集したものを「見やすくした版」と明記して、元のファイルとは別に添えます。
個人情報への配慮で他人の顔をぼかす場面もありますが、証拠として提出する映像では、ぼかす前のものを提出先に渡し、ぼかした版は別の用途に限ります。ぼかしの基準はぼかしとモザイクの実務基準で書いています。
専用形式の映像は、再生ソフトも添える
ドライブレコーダーの中には、専用の再生ソフトでしか正しく再生できない形式や、GPSの地図と速度を映像に重ねて表示する仕組みを持つ機種があります。提出先がその機種のソフトを持っていることはまずないので、メーカーのサイトから再生ソフトをダウンロードして、ディスクやUSBメモリに一緒に入れておくか、入手先を書いたメモを添えます。
あわせて、多くのパソコンで再生できるMP4に変換した版も入れておくと、相手が困りません。変換で画質が落ちる仕組みはエンコードとは何かを参照してください。
DVDに焼く手順|データとして焼く場合と、DVD-Videoにする場合
データとして焼く場合は、パソコンの書き込み機能や書き込みソフトで、切り出したファイル(と元のファイル、再生ソフト)をDVD-Rに書き込みます。盤はDVD-R(書き換えられないもの)を使い、書き込みの最後にディスクを閉じる(ファイナライズする)設定にします。書き換えられる盤や、閉じていないディスクは、「あとから変えられる」と見なされる可能性があり、証拠の用途には向きません。盤の選び方はDVD-RとDVD+Rの違い、閉じる処理はファイナライズとは で説明しています。
1層のDVD-R(4.7GB)に入りきらない量の映像は、分割されたファイルを枚数に分けて焼くか、USBメモリを使います。焼いたあとは、別のパソコンでディスクを開き、ファイルが再生できることを確かめてください。焼き損ないは目で見ても分かりません。分割の扱いは動画が分割されている時 にまとめています。
書き換えられる盤や閉じていないディスクは、あとから変えられると見なされる可能性がある
プレーヤーで再生できるDVD-Videoにする場合は、動画をDVD-Videoの構造に組み立てるオーサリングが必要で、書き込みソフトのデータ書き込みでは作れません。仕組みはDVDオーサリングとは何か を参照してください。
自分で作るなら、オーサリングソフトを使います。当社に依頼する場合は、切り出した映像を上げたギガファイル便のURLを注文フォームに貼ってもらえれば、組み立てと書き込み、実際のプレーヤーでの再生確認まで行います。ご自身の車の映像であれば、当社でお引き受けできます。基本料金(DVD・1枚あたり)は1,500円(税抜)です。提出先が複数あって枚数を増やす場合の追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)は、1,000円です。
盤面には日付・時刻・カメラの向きを書き、中身の一覧を添える
盤面には、事故の日付と時刻、車両(自分の車か相手の車か)、カメラの向き(前方・後方・車内)、そして「元データ」か「切り出し」かを、盤面用のペンで手書きします。シールは剥がれて、プレーヤーの中で外れるトラブルがあるので貼りません。同じ内容の盤が複数あるなら、「1/2」「2/2」のように通し番号を付けます。
ディスクとは別に、中身の一覧を書いたメモを一枚添えます。ファイル名、それぞれの録画時刻、機種名、再生ソフトの入手先、連絡先です。受け取った側がファイルを開く前に全体が分かるので、問い合わせが減ります。個人情報の観点からは、メモに書くのは自分の連絡先だけにし、相手方の情報は映像の中にあるもの以上を書かないようにします。
受け取った側がファイルを開く前に、中身の全体が分かるようにする
保険会社への送り方|アプリ、メール、媒体の三つと、容量の上限
保険会社への提出は、事故受付の担当者から案内される方法に従います。多いのは、次の三つの方法です。
スマホのアプリやサイトからのアップロード
指定のメールアドレスへの送信
DVD-RやUSBメモリの郵送
アップロードは早くて確実ですが、1ファイルの容量に上限があることが多く、数分の切り出しなら通っても、前後を長く含めた元のファイルは通らないことがあります。その場合は、切り出した版をアップロードで先に送り、元のファイルは媒体で後から送る、と分けます。
メールで送る場合は、添付できる容量がさらに小さいので、大きなファイルはギガファイル便などの転送サービスの共有URLを送る形になります。ただし保険会社によっては外部の転送サービスからの受け取りを制限していることがあるので、担当者に可否を確かめてから使います。転送サービスの使い方はギガファイル便での入稿ガイド と同じ手順です。
媒体で送る場合は、この記事のDVDの手順で焼き、追跡のある便で送ります。封筒には事故の受付番号と自分の氏名を書き、担当者名が分かっていれば宛名に添えます。届いたかどうかは追跡番号で確かめられますが、担当者が開封して確認したかまでは分からないので、数日後に電話で受領を確かめると安心です。
他人が写った映像も提出はできる。SNSに上げるのは別の話
ドライブレコーダーの映像には、相手方の車のナンバー、運転者の顔、通行人が写ります。事故の証拠として警察や保険会社に提出することは、事故の処理という目的の範囲で行われるもので、写っている人の同意を取る必要は通常ありません。ぼかしを入れずに、そのまま提出します。ぼかした版が必要かどうかは、提出先に確かめてから判断します。
一方で、同じ映像をSNSに上げる、動画サイトで公開する、知人に見せて回る、というのは目的が違います。相手方の顔やナンバーが特定できる形で公開すると、事故とは別の問題を生むことがあります。提出用と公開用は分けて考え、公開はしない前提で扱ってください。写り込みの考え方はイベント撮影の写り込みはどこまで許されるか で整理しています。
提出用のディスクは、控えを含めて3枚が目安
提出したディスクは、原則として戻ってきません。警察用、保険会社用、自分の控え用、と最低でも3枚を用意します。弁護士に依頼する場合や相手方の保険会社にも渡す場合は、その分を足します。すべて同じ内容で焼き、盤面の記載も揃えます。当社で作る場合は、同じ内容の追加コピーで枚数を増やせます。
渡すときは、手渡しなら受け取りの記録(日付と相手の部署名)を自分のメモに残し、郵送なら追跡番号のある便で送ります。ディスクは曲げと擦れに弱いので、硬い台紙で挟んで封筒に入れてください。梱包の手順はディスクを郵送するときの梱包にまとめました。
事故に備える、普段からの設定と社用車での保管
事故が起きてからでは、上書きとの競争になります。普段からできる備えは三つです。記録用のカードを容量の大きいものにして、上書きまでの時間を延ばすこと。予備のカードを車に置いておき、事故のときに差し替えられるようにしておくこと。そして、衝撃検知の感度と保護の設定を、取扱説明書で一度確かめておくことです。
社用車を複数台持つ事業者では、映像の保存と提出の手順を決めておくと、担当者が替わっても対応が揃います。誰がカードを抜くか、どこにコピーするか、何日保管するか、提出の判断は誰がするか。この手順の作り方はドライブレコーダー映像の社内保存 で書いています。防犯カメラの映像を求められたときの初動は防犯カメラの映像を保存・提出するには にまとめています。
よくある質問
Q. 事故のあと、ドライブレコーダーの映像はどのくらいで消えますか? A. カードの容量と画質の設定によりますが、数時間から数日で古い映像から上書きされます。衝撃検知で保護された部分も、前後の短い時間だけです。安全が確保できたらエンジンを切り、記録用のカードを抜いて、そのカードでは録画しないようにしてください。
Q. ドライブレコーダーの映像の提出は、DVDでないといけませんか? A. 提出先によります。保険会社はアプリやサイトからのアップロードで受け付けることが多く、警察に任意で提出する場合はDVD-RやUSBメモリで求められることがあります。形式は必ず提出先に確かめ、「DVD-R」と言われたら、データディスクとプレーヤーで再生できるDVD-Videoのどちらかまで聞いておくと作り直しを防げます。
Q. 事故の場面だけを短く切り出して渡していいですか? A. 前後を長めに含めてください。事故の30秒前後は最低限で、信号や合流の経緯が分かる数分前からが目安です。短く切ると状況が分からなくなり、切り出したこと自体を疑われます。分割されたファイルはそのまま複数渡すほうが、かえって信用されます。元のファイルも別に残しておいてください。
Q. 明るさを直したり、ナンバーを拡大したりして見やすくしてもいいですか? A. 提出用の映像には手を加えないでください。見やすくしたい場合は、編集した版を「見やすくした版」と明記して、元のファイルとは別に添えます。元のファイルを変えずに残し、編集はコピーに対して行うのが原則です。
Q. 専用の再生ソフトが要る形式です。どう渡せばいいですか? A. メーカーのサイトから再生ソフトを入手して、ディスクやUSBメモリに一緒に入れるか、入手先を書いたメモを添えます。あわせて、多くのパソコンで再生できるMP4に変換した版も入れておくと、受け取った側が困りません。元の形式のファイルも必ず含めてください。
Q. DVD-RWやUSBメモリで渡してもいいですか? A. 提出先が指定するならそれに従います。指定が無い場合、書き換えられる盤(RW)は「あとから変えられる」と見なされる可能性があるので、一度しか書けないDVD-Rに焼き、書き込みを閉じる設定にするのが無難です。1層のDVD-R(4.7GB)に入りきらない映像は、複数枚に分けるかUSBメモリを使います。
Q. ドライブレコーダーの映像のDVD化は、業者に頼めますか? A. ご自身の車のドライブレコーダーの映像であればお引き受けできます。切り出した映像を上げたギガファイル便のURLを注文フォームに貼ってもらえれば、プレーヤーで再生できるDVD-Videoに組み立てて書き込み、再生を確かめてから発送します。複数の提出先に渡す枚数は追加コピーで増やせます。データディスクで出す必要がある場合に当社で対応できるかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
Q. 提出用のディスクは何枚用意すればいいですか? A. 警察用、保険会社用、自分の控え用の3枚が目安です。弁護士に依頼する場合や相手方の保険会社にも渡す場合はその分を足します。提出したディスクは戻ってこない前提で用意し、すべて同じ内容で焼いて、盤面の記載も揃えてください。