この記事の要点
壁が閉じた時点で下地・配線・配管は見えなくなる ため、工事中の撮影だけは開業後に取り返しがきかず、着工前に撮影日を決めておく必要があります。
引き渡し当日の什器ゼロの空室を全面撮影 しておくと、退去時の原状回復の話し合いや設備トラブルの切り分けで、記憶ではなく画像で説明できます。
撮る日は引き渡し・解体後・設備配線・仕上げの4回 に絞り、三脚位置を床にマーキングして同じ画角で撮ると、並べたときに変化が読み取れます。
職人さんへの撮影の断りは着工前の打ち合わせで現場監督にまとめて通す のが早く、何を撮るか・顔が写るか・どこに出すかの3点を先に伝えておきます。
撮影後は3-2-1の考え方で保存先を分け 、協力者へ渡すときは期限で消える共有URLではなく手元に残る形を選ぶ判断が要ります。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
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物件の鍵を受け取ってから初日の朝まで、開業準備の数週間はとにかく忙しい時期です。図面の修正、什器の納期、保健所や消防の手続き、開店告知。記録を残すことは、たいてい後回しになります。
ただ、後回しにできるものと、できないものがあります。看板の写真は来年でも撮れますが、壁の中の配線は、ボードが貼られた瞬間に見えなくなります。解体でむき出しになった躯体も、天井裏のダクトも同じです。開業してから「あのとき撮っておけば」と言われるのは、ほぼこの種類のものです。
店舗や事務所を構えて独立するなら、撮る日は鍵の引き渡し当日・解体が終わった日・ボードを貼る前日・仕上げから什器搬入までの4回に絞ります。引き渡しの日に什器のない空室を全面撮っておくと、退去時の原状回復の話し合いで画像を出せます。ボードを貼る前日に撮った配線や下地は、数年後の改装や設備トラブルの相談で役に立ちます。
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壁が閉じると下地も配線も見えなくなり、工事中の写真は開業後に撮り直せない 内装が入る前の空の状態を全面撮る|退去時の原状回復と設備トラブルで役に立つ 撮る日は4回に決めておく|引き渡し・解体後・設備配線・仕上げ 職人さんへの撮影の断りは、毎日交渉せず着工前に現場監督へ一度で通す 看板の設置と初日の朝は音ごと録る|30秒の縦動画を場面ごとに1本ずつ 画質より先に保存先を決め、1分だけ試し撮りして容量を実測する 撮影後1〜2か月以内に10〜20秒のクリップへ切り分けておけば、開業の記録は周年のたびに使い回せる 関わってくれた人へ渡すならディスクという選択肢がある|共有URLは期限で消える よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
壁が閉じると下地も配線も見えなくなり、工事中の写真は開業後に撮り直せない
内装工事の記録を「思い出のため」だと考えていると、優先度は下がります。実際には、工事中の写真は数年後の実務で使う資料でもあります。開業から二年、三年と経って、棚を増やしたい、サイネージを壁付けしたい、コンセントが足りない、水漏れの原因を探したい、という場面が来ます。そのとき壁の中の写真が一枚あるかどうかで、業者との話が数十分で終わるか、探りながらの工事になるかが変わります。
見えなくなるものと、隠れる工程を並べると分かりやすくなります。
見えなくなるもの
隠れる工程
後で必要になる場面
壁の下地(間柱・合板の位置)
ボード貼り
棚・什器・モニターの固定、サイネージの追加
電気配線のルート
ボード貼り
コンセント増設、照明の追加、電源容量の相談
給排水管の位置
床・壁の仕上げ
厨房機器の入れ替え、水漏れ箇所の切り分け
天井裏のダクト・ドレン
天井貼り
空調の増設、排気の見直し
既存の躯体・梁
内装下地の組み立て
改装時の設計、耐荷重の相談
施工業者の写真は自分のものとは限らない
施工業者も工事写真を撮っています。ただしそれは施工管理のための記録で、そのまま施主に渡されるとは限りませんし、撮る角度も「工事が正しく行われたことを示す」目的で選ばれています。壁一面の下地がどう入っているかを引きで撮った写真は、管理用としては必要ないので残っていないこともあります。
着工前の打ち合わせで、工程写真を共有してもらえるかを一度聞いておくと、あとの手間が減ります。断られることは少ないと思われますが、契約に含まれない作業を頼む形になるので、もらえない前提で自分の分を撮っておくのが確実です。
撮影のために現場へ行く回数を先に確保する
施主が現場に入るのは、着工前の確認と中間検査、引き渡し検査くらい、というケースが珍しくありません。撮影のためだけに行く日を予定に入れておかないと、気づいたときには壁が閉じています。工程表をもらったら、ボードを貼る日がいつなのかを現場監督に確認して、その前日をカレンダーに入れてしまうのが一番早い方法です。
壁が閉じてからでは撮れない。撮影の段取りは工事が始まる前に決める
内装が入る前の空の状態を全面撮る|退去時の原状回復と設備トラブルで役に立つ
鍵を受け取った日、什器も養生も何もない状態の物件を撮っておきます。この一回だけは、記念というより記録です。所要は二十分ほどで、後から取り戻せない情報が一番多く残せます。
空室で撮るものの一覧
四面の壁・床・天井を、部屋の四隅それぞれから広角で一枚ずつ
既存の傷、汚れ、シミ、剥がれ、建具の不具合を寄りで(引きの一枚とセットで撮ると位置が分かる)
電気・ガス・水道メーターの数値と、検針票があれば一緒に
分電盤の扉を開けた状態と、回路の表示ラベル
残置されているエアコン・厨房機器・給湯器の銘板(型番と製造年)
シャッター、外壁、看板を出せる位置、電源の来ている場所
受け取った鍵の全本数を並べた一枚
銘板の写真は地味ですが役に立ちます。数年後に故障したとき、型番と製造年が分かっていれば、部品があるのか買い替えなのかの判断が電話一本で済みます。
原状回復の話し合いで使える形にしておく
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版・平成23年8月)は、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。借りた当時の状態に戻すことではない、とも明記しています。
同ガイドラインは、賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定したものです。店舗や事務所の賃貸借にそのまま適用されるわけではなく、事業用では契約書の定めが優先されることが一般的です。
ただ、同ガイドラインが「入退去時における損耗等の有無など物件の状況をよく確認しておくこと」がトラブル防止に有効だとしている点は、事業用でも同じ理屈が成り立ちます。とくにスケルトン返しの条件が付いている物件では、引き渡し時点がスケルトンだったのか、何が残置されていたのかで、退去時の負担が変わります。契約書の原状回復条項を読んだうえで、その条項に出てくる箇所を狙って撮っておくのが実務的です。
撮影日時を消さない
スマホで撮った写真には、撮影日時がExifという形で記録されます。ただし、加工アプリを通したり、SNSにアップロードし直したものをダウンロードしたりすると、この情報が失われることがあります。空室の記録については、加工していない元ファイルを別フォルダにそのまま保管しておき、加工が要る場合はコピーを使ってください。
撮る日は4回に決めておく|引き渡し・解体後・設備配線・仕上げ
毎日通うのは現実的ではありません。工程の中で情報量が変わる節目は限られているので、四回に絞ります。工期や工事の内容によって節目の数は変わりますが、この四つを押さえておけば、後から見返したときに流れが読めます。
回
タイミング
撮るもの
1回目
鍵の引き渡し当日
空室の四面・床・天井、メーター、分電盤、既存設備の銘板、既存の傷
2回目
解体が終わった日
躯体、梁、天井裏、既存の配管、床下、壁を剥がして出てきたもの
3回目
ボードを貼る前日
電気配線のルート、下地の位置、給排水の立ち上がり、断熱材、ダクト
4回目
仕上げから什器搬入
塗装・床・照明を入れた状態、什器の搬入、看板の取り付け
定点にするための三つの手順
同じ場所から同じ画角で撮ると、四枚を並べたときに変化がそのまま読み取れます。手間をかけずに定点を作るには、次の三つで足ります。
一回目の撮影で立った位置を、床に養生テープで小さく印を付ける(工事中に剥がれるので、柱や壁の隅からの距離をメモしておく)
スマホのカメラを毎回同じ倍率に固定する。0.5倍と1倍を混ぜると比較にならないので、広角なら0.5倍で統一する
グリッド表示をオンにして、水平線を同じ高さに合わせる
厳密に一致しなくても構いません。並べたときに同じ部屋だと分かる程度で、記録としては十分に機能します。
一回あたり15分の型を決めておく
現場での判断を減らすほど撮り漏らしが減ります。四隅から広角で四枚、注目箇所の寄りを五枚から十枚、最後にゆっくり一周する動画を三十秒。この型を決めておけば、現場に着いてから考えることがなくなります。動画の一周は、後から「あの棚の裏どうなってたっけ」を確認するのに使えるので、写真より雑でも撮っておく価値があります。
立つ位置と倍率をそろえると、4回分を並べたときに変化が読み取れる
工事中は足元に材料や工具が置かれています。撮影に集中して後ろ向きに下がる動きは避けて、一歩ごとに足元を見る前提で回ってください。
職人さんへの撮影の断りは、毎日交渉せず着工前に現場監督へ一度で通す
着工前の打ち合わせで、元請けの工事責任者である現場監督にまとめて話を通しておくのが早い方法です。現場に入って個別に「撮っていいですか」と声をかけていると、日によって職人さんが入れ替わるため、毎回交渉することになります。
伝えるのは三点だけ
何を撮るのか。工事の記録と、開業の記念として残したいこと。工程ごとに数回入ること
顔が写るのか。作業中の様子を撮りたいのか、現場の状態だけでいいのか
どこに出すのか。SNSや店のホームページに載せるのか、身内と関係者に配るだけなのか
三点目がいちばん大事です。「記録として残すだけ」と「SNSに載せる」では、答えが変わる人がいます。顔を出したくない人は普通にいますし、事情を聞く必要もありません。断られたら、手元の作業、背中、ヘルメット越しの後ろ姿といったカットに切り替えれば、現場の空気は十分に伝わります。
現場で守ること
撮影のために作業の前を横切ると、単純に危ないうえに手が止まります。脚立の下、溶接やグラインダーを使っている周辺、材料を担いで移動している動線には立ち入らないでください。昼休みの時間帯も避けます。現場によってはヘルメットや安全靴の着用を求められるので、入る前に確認しておくと当日に慌てません。
完成後に渡すと伝えておく
「完成したら記録をまとめてお渡しします」と先に言っておくと、協力が得やすくなる場面があります。職人さんの側から見ても、自分の仕事が形になって残るのは悪い話ではありません。実際に渡すところまでやると、その後の追加工事や不具合対応の相談もしやすくなります。
もう一つ、聞いておく価値があるのが、施工業者側でタイムラプス撮影をしているかどうかです。定点カメラを設置して工事の全期間を早回しで記録している業者があります。設置しているなら、その素材を分けてもらえるか相談してみてください。自分では撮れない、着工から完成までの連続した記録が手に入る可能性があります。
看板の設置と初日の朝は音ごと録る|30秒の縦動画を場面ごとに1本ずつ
看板の取り付けは、思っているより短時間で終わります。半日かかると思っていたら一時間で完了していた、ということが起こるので、いつ取り付けるのかを業者に確認して、その時間に現地にいるようにします。
看板で撮る四つのカット
看板が持ち上がって位置が決まる瞬間(動画)
取り付けが終わった直後の外観を、道の反対側から引きで
店名部分のアップ(後でSNSのプロフィール画像などに使える)
日が落ちてからの点灯状態(照明入りの看板の場合)
点灯は初日の夜でなくても撮れますが、取り付けの瞬間はその日だけです。
初日の朝に撮る順番
開店当日は自分が動く側なので、撮影に手を割く余裕はほとんどありません。順番を決めて、それぞれ三十秒だけ撮る、と決めておきます。
シャッターや鍵を開けるところ
照明を入れるところ
レジや端末が立ち上がるところ
最初のお客さんが入ってくるところ
この四本で、初日の空気はだいたい残ります。
お客さんが写る場合は、声をかけて確認してください。断られたとき、あるいは声をかける余裕がないときは、後ろ姿や手元、店内の引きの画で人物が特定できない構図にします。
音と、縦横の選び方
屋外では、風で音が割れます。風防を持っていないなら、体で風上を遮る、建物側に寄る、といった対処で改善します。どうしても音が拾えない条件なら、後から音楽を付ける前提で映像だけ丁寧に撮るほうが結果は良くなります。
SNSに出すなら縦、後でテレビやパソコンの画面で見るなら横です。両方に使う可能性があるなら、横で4K撮影しておいて、必要なときに縦へ切り出す方法があります。4K(3840×2160)の横画面から縦の1080×1920を切り出しても、元の高さ2160から切るので画質の余裕が残ります。逆に縦で撮ったものを横にすると、横幅が足りず両脇を埋める処理が要ります。
どの解像度や形式で撮るかで後の扱いやすさが変わるので、MP4・MOV・AVIといった動画ファイル形式の基礎 を一度確認しておくと、編集や共有でつまずきにくくなります。
もう一つ、忘れられがちなのが自分の言葉です。開店前か閉店後に、カメラに向かって三十秒だけ話しておいてください。今日どういう気持ちか、というだけの内容で構いません。一年後に、この三十秒がいちばん価値のある素材になっている可能性があります。
画質より先に保存先を決め、1分だけ試し撮りして容量を実測する
設定を詰めるより先に決めるべきなのは、撮ったものをどこに置くかです。開業準備の期間中にスマホの容量が尽きて、その場で古い動画を消す、という事態がいちばんもったいない失い方になります。
容量の見積もりは自分の端末で測る
一分あたりの容量は、機種・解像度・フレームレート・圧縮方式で大きく変わります。ネットに出ている数字を当てにせず、着工前に自分の端末で一分だけ撮って、ファイルサイズを確認してください。その数字に、撮影回数と一回あたりの分数を掛ければ、必要な容量が出ます。
一分撮る → ファイルの実サイズを見る(写真アプリの詳細表示、またはファイルアプリで確認できます)
その数字 ×(一回あたり撮る分数)×(撮影する回数)= 工事期間で必要な容量
出た数字が端末の空き容量に対して大きいなら、解像度を4Kから1080pに落とすか、その場でほかの保存先へ移す運用にする
4K60pは、記録用としてはたいてい過剰です。1080p30でも、工事の記録としても、後でテレビで見る素材としても十分に足ります。逆に、看板の取り付けや初日など「後から一部を切り出して拡大するかもしれない」場面だけ4Kにする、という使い分けが現実的です。
4Kは要る場面だけ。記録用ならたいてい1080p30で足りる
圧縮方式の選び方
近年のスマホには、同じ画質でもファイルが小さくなるHEVC(H.265)という圧縮方式を、初期設定で使うものがあります。その代わり、古いパソコンや古い編集ソフトで開けないことがあります。編集を人に頼む予定があるなら、頼む相手の環境を確認してから設定を決めてください。互換性を優先するなら、H.264のMP4で撮っておくのが無難です。
3-2-1で置き場所を分ける
スマホ一台に置いたままの状態が、いちばん弱い持ち方です。紛失、水没、機種変更の失敗のどれか一つで全部が消えます。バックアップの考え方として広く使われているのが、コピーを3つ、媒体は2種類以上、うち1つは別の場所に置く、という3-2-1です。クラウドと手元の記録媒体をどう組み合わせるかは、クラウドとディスクを併用する3-2-1バックアップの実践 にまとめてあります。
現場から戻ったその日のうちにパソコンへコピーする、という一手間を習慣にするだけで、失う確率は大きく下がります。フォルダ名は「20260401_01_引き渡し」のように日付を先頭に置くと、並べ替えたときに工程順になります。撮った日にフォルダを作る、その日のうちに移す。この二つだけ決めておけば足ります。
撮影後1〜2か月以内に10〜20秒のクリップへ切り分けておけば、開業の記録は周年のたびに使い回せる
開業の記録は、一度作って終わりの素材ではありません。使う場面は毎年やってきます。
一周年・三周年・五周年の投稿やDM(「この壁、最初はこうでした」は反応が取りやすい素材です)
採用ページや求人票に載せる、店の成り立ちの説明
融資の面談や補助金の申請で、事業の経過を説明する資料
改装や二号店の設計打ち合わせで、既存店の構造を設計者に見せる
移転・退去時の原状回復の協議
取材やメディア掲載で「開店当時の写真はありますか」と聞かれたとき
素材のままでは使えない
問題は、撮りっぱなしのフォルダは実質的に使えないという点です。三年後に「一周年のときの動画どこだっけ」と探し始めて、十分経っても見つからず諦める、という流れになります。
防ぎ方は単純で、撮影から一、二か月以内に、使えるところだけを十秒から二十秒のクリップに切り出して、別のフォルダに置いておくことです。元データは触らずに残したまま、「使えるカット」の棚を作るイメージになります。棚の中は工程で分けます。
01_空室 / 02_解体 / 03_下地・配線 / 04_仕上げ / 05_看板 / 06_初日 / 07_人
切り出すときにテロップや音楽は入れません。用途ごとに必要なものが違うので、素の状態で置いておくほうが後で使えます。そのうえで、三分から五分の完成版を一本だけ作っておくと、渡す相手ができたときにそのまま出せます。
写真は動画から切り出さず、その場で撮る
動画から静止画を切り出す機能は便利ですが、印刷や大きな表示に使うには解像度が足りないことがあります。撮影の現場で、動画を止めて写真も一枚撮る、という二度手間をかけたほうが、結果として使える素材が増えます。写真と動画は用途が違うので、どちらかに寄せる必要はありません。
年に一度、同じ場所から撮り足す
開業時の定点写真があるなら、周年ごとに同じ位置から一枚撮り足してください。五年分並ぶと、それ自体が使える素材になります。三脚の位置をメモしたファイルを、写真フォルダの中に一緒に置いておくと、翌年の自分が助かります。
関わってくれた人へ渡すならディスクという選択肢がある|共有URLは期限で消える
開業は一人では終わりません。施工業者と職人さん、資金を出してくれた人、保証人になってくれた家族、開店初日に来てくれた知人。記録をまとめたら、渡す相手が何人か出てきます。
渡す形の選び方
いちばん手軽なのは共有URLですが、これは期限で消えます。ギガファイル便のようなサービスには保存期限があり、クラウドドライブに置いた場合も、こちらがフォルダを整理した時点でリンクが切れます。相手がすぐダウンロードしてくれるとは限りませんし、数年後に「あのリンクもう一回」と言われたときに、こちらに手間がかかります。
USBメモリは残りますが、相手がパソコンを持っていない、テレビにつないでも再生できない、といった場面があります。年配の家族や、事務所にパソコンを置いていない職人さんに渡すなら、テレビのプレーヤーに入れるだけで再生が始まる形のほうが見てもらえます。
パソコンを持たない相手には、テレビのプレーヤーで見られる形が確実
ディスクにするなら、焼くだけでは終わらない
動画ファイルをそのままDVDに書き込んでも、家庭用のDVDプレーヤーでは再生できません。DVD-Videoという規格の形に組み立てる工程が必要で、これをオーサリングと呼びます。詳しくはDVDオーサリングとは何か(焼くだけでは再生できない理由) にまとめています。
当社では、このオーサリングを料金に含めています。基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで、1枚から注文を受け付けています。盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも、オプションで対応しています。渡す枚数が数枚しかないケースでも扱いは同じで、少ない枚数の頼み方については1枚から頼める小ロット対応 で説明しています。
チャプターを工程で切っておくと、渡した相手は見たいところを探す手間が省けます。「空室」「解体」「配線」「仕上げ」「看板」「初日」の六つに分けておけば、施工を担当した職人さんは自分の関わった箇所へ、家族は初日へ、それぞれ直接進めます。盤面には店名と開業日を入れておくと、棚に並んだときに何のディスクか分かります。盤面レーベル印刷は、店名や開業日も入れた画像を入稿していただき、その画像を印刷する形です。
納期は開業スケジュールとずらす
開業直前は予定が動きます。納期の選択肢は次のとおりです。
納期
追加料金
条件
通常便
—
受付から5営業日で発送(お届けは発送から2〜3日)
お急ぎお届け
+1,500円
平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送
特急お届け
+3,000円
平日15時までの注文・入稿で翌日発送
当日店舗お渡し
+3,500円
平日12時までの注文・入稿、大阪市北区の店舗で受け取り
入稿は、ギガファイル便のURLを注文フォームに貼る形です。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなどが使えます。開業当日に間に合わせようとすると慌てるので、一周年に合わせて渡す、という組み方も現実的です。
渡したあとの保管についても一言添えておくと親切です。ディスクは直射日光と高温多湿を避けて、立てて保管するのが基本になります。DVD・CDの正しい保管方法 にまとめてあるので、渡すときに一緒に伝えておくと、相手の手元で長く残ります。手元に置く保存用と、渡す配布用を分けて作っておくのも一つの方法です。
よくある質問
Q. 開業の記録は、まず何から撮ればいいですか? A. 物件の鍵を受け取った日に、什器が何もない空室の状態を全面撮ることから始めてください。部屋の四隅それぞれから壁・床・天井を広角で一枚ずつ、既存の傷や汚れを寄りで、電気・ガス・水道メーターの数値、分電盤の中と回路表示、残置されている設備の銘板(型番と製造年)を押さえます。所要は二十分ほどです。この一回は記念というより記録で、退去時の原状回復の話し合いや、数年後の設備トラブルの切り分けで使うことになります。
Q. 内装工事の写真は施工業者からもらえますか? A. 着工前に依頼すれば共有してもらえる場合がありますが、契約に含まれない作業になるため、もらえない前提で自分の分を撮っておくほうが確実です。業者が撮る工事写真は施工管理のための記録で、「工事が正しく行われたこと」を示す角度で選ばれています。壁一面の下地の入り方を引きで撮った写真のような、施主が数年後に使いたくなるカットは残っていないこともあります。工程表をもらった時点で、ボードを貼る日を確認して、その前日に自分で撮りに行く予定を入れておいてください。
Q. 職人さんを撮影するとき、許可は必要ですか? A. 着工前の打ち合わせで、元請けの現場監督にまとめて話を通しておくのがおすすめです。伝えるのは、何を撮るのか、顔が写るのか、どこに出すのか(SNSや店のホームページに載せるのか、関係者に配るだけなのか)の三点です。三点目で答えが変わる人がいます。顔を出したくない人は普通にいるので、断られたら手元の作業、背中、ヘルメット越しの後ろ姿に切り替えてください。それでも現場の空気は十分に伝わります。
Q. 工事中の記録は写真と動画のどちらがいいですか? A. 両方を撮ってください。用途が違います。壁の下地や配線の位置を後で確認する目的なら、解像度の高い写真のほうが向いています。一方で、現場を歩きながら撮る三十秒ほどの動画は「あの棚の裏はどうなっていたか」を後から探すのに使えるので、雑でも撮る価値があります。動画から静止画を切り出す機能は便利ですが、印刷や大きな表示に使うには解像度が足りないことがあるため、その場で写真も一枚撮っておくほうが結果的に使える素材が増えます。
Q. 撮った動画はどこに保存しておけばいいですか? A. スマホ一台に置いたままにしないでください。紛失・水没・機種変更の失敗のどれか一つで全部が消えます。バックアップの考え方として広く使われているのが、コピーを3つ、媒体は2種類以上、うち1つは別の場所に置くという3-2-1です。現場から戻ったその日のうちにパソコンへコピーし、クラウドと手元の記録媒体に分けて置いておく形が扱いやすくなります。フォルダ名は「20260401_01_引き渡し」のように日付を先頭に置くと、並べ替えるだけで工程順になります。
Q. 開業前後の手続きで、記録と関係するものはありますか? A. 賃貸借契約書の原状回復条項は、着工前に読んでおいてください。条項に出てくる箇所を狙って引き渡し時の状態を撮っておくと、退去時の協議で画像を出せます。税務では、青色申告をするなら承認申請書の提出期限があります。国税庁の案内では、新たに事業を開始した場合、開業日から2か月以内に提出することとされています(その年の1月16日以後に開業した場合)。工事費用の領収書や見積書も、工程写真と同じフォルダにまとめておくと後で照合しやすくなります。
Q. 記録をDVDにして渡すには、いくらぐらいかかりますか? A. 当社の場合は基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで、1枚から注文できます。動画ファイルを家庭用プレーヤーで再生できる形に組み立てるオーサリングは料金に含まれています。盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも、オプションで対応しています。納期は通常便のほか、お急ぎお届けが+1,500円(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、特急お届けが+3,000円(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)です。入稿は、ギガファイル便のURLを、注文フォームに貼る形になります。
Q. どのくらいの期間、記録を残しておけば足りますか? A. 期限を決めずに残しておくことをおすすめします。工事中の写真は、改装や設備の入れ替え、移転時の原状回復といった場面で、開業から何年経っていても使う可能性があります。周年の投稿や採用ページ、融資の面談資料としての使い道も、年数が経つほど増えていきます。ただし置きっぱなしのフォルダは実質的に使えないので、撮影から一、二か月以内に使えるカットを十秒から二十秒のクリップに切り出し、工程ごとに分けた別フォルダへ置いておいてください。