この記事の要点
作業は古い媒体の救出から 着手します。記録型DVD-Rの寿命は10〜30年程度が目安とされ、テープは再生機の確保そのものが年々難しくなるためです。
素材の選定は年ごとに18個のフォルダへ割る ところから始めると、全体を見渡さずに一年ずつ判断でき、半日程度で片がつきます。
配分は0〜3歳に全体の3割 を割くと効果があります。本人の記憶が始まる前の映像は、本人にとって初めて見る自分の姿だからです。
完成尺は15〜25分 に抑えると、DVD1枚でもビットレートに余裕が生まれ、最後まで観てもらえる長さに収まります。
渡す形はディスクとクラウドの二段構え にすると、機器を選ばない実物と、手元でいつでも見返せる複製の両方が残ります。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
進学や就職が決まって、子どもが家を出る日が具体的な日付になった。そのタイミングで「これまでの写真と動画をまとめて渡したい」と考える方は少なくありません。ところが実際に手をつけようとすると、素材が押し入れのDVDケース、古いパソコン、スマホ、クラウド、祖父母の家のアルバムに散らばっていて、どこから触ればいいのか分からないまま数週間が過ぎます。
18年という期間は、記録媒体が何度も入れ替わるには十分すぎる長さです。しかも古い媒体ほど、放っておくと読み出せなくなる方向に進みます。つまりこの作業は「時間ができたらやる」より「劣化しているものから順に処理する」で組み立てたほうが、結果的に失うものが少なくなります。
この記事では、素材の棚卸しから、古い媒体の救出、年ごとの選び方、尺の決め方、そして渡す形と渡すタイミングまでを、実際に手を動かせる順番で並べました。編集の技術論ではなく、限られた時間で終わらせるための段取りの話です。
時間ができたらではなく、劣化しているものから順に処理すると失うものが少ない
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
18年分は媒体が5〜6世代にまたがる|最初にやるのは選ぶことではなく並べること 古い媒体から先に手をつける|自作DVD-Rとテープは、待っている間に読めなくなる 年ごとに区切って選ぶ|18個のフォルダに割ると、選定は半日で終わる 本人が覚えていない0〜3歳に尺の3割を割く|記憶のない時期ほど効果が大きい 家族が写っているカットを意識して探す|撮っていた人は、写真に残っていない 尺は15〜25分に抑える|長い作品は、一度しか再生されない 渡す形はディスク1枚とクラウドの二段構え|共有URLは手元に残らない 渡すタイミングは引っ越し当日を外す|1週間前の夜に、家族で一度だけ通して観る よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
18年分は媒体が5〜6世代にまたがる|最初にやるのは選ぶことではなく並べること
生まれた頃はコンパクトデジカメとビデオカメラ、途中でスマートフォンに移り、写真はいつの間にかクラウドへ。動画のほうもminiDVテープ、SDカード、DVDレコーダーで焼いたディスク、パソコンのフォルダと、保存先が転々としているのが普通です。作業が止まるいちばんの理由は、素材が足りないことではなく「どこに何があるか分かっていない」ことにあります。
そこで最初にやるのは選定ではありません。散らばっている置き場所を、紙かスプレッドシートに一覧化することです。1〜2時間かけて、次のような表を埋めていきます。中身は見ません。存在と場所と、再生できるかどうかだけを書きます。
媒体
だいたいの時期
想定される中身
今すぐ確認すること
ビデオテープ(VHS・8mm・miniDV)
0〜6歳ごろ
運動会、発表会、日常の長回し
再生できるデッキ・カメラが動くか
自分で焼いたDVD-R・DVD-RAM
0〜10歳ごろ
テープからのダビング、レコーダー録画
ディスクの記録面に変色やカビがないか
SDカード・メモリースティック
3〜12歳ごろ
デジカメの写真、短い動画
読み込めるカードリーダーがあるか
古い外付けHDD・使わなくなったPC
全期間
取り込み済みの写真フォルダ
電源が入るか、通電したまま放置していないか
スマホ本体
10歳〜現在
大半の写真と動画
本体保存かクラウド同期かの区別
クラウド(Googleフォト等)
10歳〜現在
自動バックアップ分
空き容量、画質を落として保存されていないか
プリント写真・アルバム
0〜10歳ごろ
スタジオ写真、祖父母が持っている分
実家や祖父母宅にある分の所在
この表を埋めると、たいてい二つのことが分かります。ひとつは、思っていたより素材が多いこと。もうひとつは、再生する手段が今はもう手元にない媒体が混じっていることです。この二つ目が、あとの作業順を決めます。
デジタルデータ側については、拡張子がMP4、MOV、AVI、MTS、WMVなどとばらばらになっているはずです。ここで一本化しようとすると作業が止まるので、この段階では触りません。編集ソフトや制作の依頼先が扱える形式かどうかは後で判断すれば足ります。それぞれの形式の特徴を先に知っておきたい場合は、MP4・MOV・AVIの違いと選び方 を読んでおくと、あとで変換が必要になった場面で迷いません。
棚卸しの表は、作業の進捗管理にもそのまま使えます。「救出済み」「選定済み」の列を足しておくと、何日か空いて再開したときに、どこまでやったか思い出す手間がなくなります。
古い媒体から先に手をつける|自作DVD-Rとテープは、待っている間に読めなくなる
棚卸しが終わったら、着手順は新しい順ではなく古い順です。理由は二つあります。
ひとつは媒体そのものの劣化です。記録型のDVD-RやCD-Rは有機色素に記録する方式で、寿命の目安は10〜30年程度とされています。保存環境の目安は温度10〜25度、湿度40〜60%程度の安定した場所です。押し入れの段ボール、直射日光の当たる本棚、夏場に締め切る部屋は、どれもこの条件から外れます。18年前に焼いたディスクは、すでに目安の下限に入っている計算になります。
もうひとつは再生装置の側です。テープは媒体が無事でも、再生する機械がなければ中身を取り出せません。VHSデッキやminiDVカメラは、押し入れで長期間動かしていないと、いざ電源を入れたときにベルトが切れていたりヘッドが汚れていたりします。動くうちに一度通しておくかどうかで、その後の選択肢がまるで変わります。
着手の優先順位は、おおむね次の順です。
再生機がもう手元にない媒体(8mmビデオ、miniDV、MDなど)
自分で焼いたDVD-R・CD-R
長く通電していない外付けHDDや古いパソコン
SDカード・メモリースティック
スマホとクラウド(ここは最後で構いません)
読み出しを試してうまくいかなかったときは、いきなり研磨剤や自己流の方法に手を出さないでください。まずディスク側の問題か、ドライブ側の問題かを切り分けます。別のディスクを同じ機器で試し、次に問題のディスクを別の機器で試す、という順です。この切り分けと、自分でできる範囲の対処については読み込めないDVDを復活させる方法|原因の見分け方と、裏ワザの効き目 にまとめてあります。無理な処置を重ねると、まだ読める部分まで失うことがあります。
救出したデータは、この段階では作品用に選別しません。ひとつのフォルダにまとめて放り込み、とにかく残すことだけを考えます。整理と選定は、素材が消えない状態になってからでも間に合います。逆に、選定しながら救出しようとすると、判断で手が止まって救出が進みません。
なお、外付けHDD1台だけに集約した状態は、まだ安全ではありません。作業中の素材こそ、少なくとも2か所に置いておく価値があります。編集作業の途中で元データを失うと、18年分をもう一度集め直すことになります。
年ごとに区切って選ぶ|18個のフォルダに割ると、選定は半日で終わる
素材が手元にそろったあと、多くの人がつまずくのが選定です。全部を見渡してから選ぼうとすると、量に圧倒されて終わりません。解決策は単純で、最初に18個のフォルダを作ってしまうことです。
フォルダ名は「2008_0歳」「2009_1歳」のように、西暦と年齢を並べます。年度ではなく暦年で切るほうが、写真の撮影日時と一致するので仕分けが速くなります。あとは素材を撮影日時順に並べ、上から順にフォルダへ放り込んでいくだけです。
ここで注意したいのが日付の扱いです。ファイル名やファイルの更新日時は、コピーや移動の過程で書き換わっていることがあります。信頼できるのは写真ならExifの撮影日時、動画ならメディア作成日です。写真管理ソフトや動画管理ソフトで「撮影日」の列を表示してソートすれば、ファイル名がばらばらでも時系列に並びます。日付情報が失われている素材は、写っている服装や場所から推定して該当フォルダに入れれば十分です。
次に、フォルダごとの上限枚数を先に決めます。目安として、1年あたり写真12枚・動画クリップ3本程度です。上限を先に決めておくと、「この年から選ぶ」という有限の作業に変わり、判断が速くなります。上限を決めずに始めると、良いものを全部残そうとして最終的に何百枚にもなり、そこからもう一度削る二度手間が発生します。
選ぶ基準は、写りの良さではありません。18年分を通して観たときに、その年がどんな年だったか分かるカットです。具体的には、次のようなものが残ります。
身長や顔つきの変化が分かる、正面から写った1枚
その年に熱中していたもの(習い事、ゲーム、部活の道具)が写り込んでいるカット
行事のハイライト1つ(運動会、卒園式、旅行など。年に1つで十分です)
何気ない日常(食卓、寝顔、宿題をしている背中)
迷ったときは残すのではなく外します。18年分という長さの作品では、似たカットが2枚並ぶだけで冗長に感じられます。外した素材は消さずに「保留」フォルダへ移しておけば、あとで尺が足りないときに戻せます。
上限を先に決めると「この年から選ぶ」という有限の作業になり、判断が速くなる
年ごとの枚数には大きな偏りが出ます。0〜2歳は数千枚あるのに、中学以降は年に数十枚しかない、というのはよくある形です。これは撮る側の意欲と、本人が撮られたがらなくなる時期が重なるためで、異常ではありません。偏りをどう扱うかは、次の配分の話につながります。
作業は1日で終える必要はありません。1日1年分と決めれば18日、週末に3年分ずつなら6週です。フォルダ名で進捗が一目で分かるので、間が空いても再開しやすい方法です。
本人が覚えていない0〜3歳に尺の3割を割く|記憶のない時期ほど効果が大きい
幼児期の記憶は、一般に3歳前後より前の出来事が本人に残りにくいとされています。裏を返すと、0〜3歳の映像は、本人にとって初めて見る自分の姿だということです。高校時代の写真は本人のスマホにも残っていますが、歩き始めた日の映像は、親が残していなければどこにも存在しません。ここに尺を多く割く価値があります。
配分の目安を挙げると、次のような形になります。
時期
尺の配分
理由
0〜3歳
約30%
本人の記憶にない期間。素材も最も多い
4〜6歳(園)
約15%
断片的な記憶が残り始める時期
7〜12歳(小学校)
約25%
期間が6年と長い。行事も多い
13〜15歳(中学)
約15%
素材が減る時期。部活や制服姿を中心に
16〜18歳(高校)
約15%
本人が持っている素材を借りて補う
後半が少ないのは手を抜いているからではなく、素材の実態がそうなっているからです。高校生の写真の大半は本人と友人のスマホの中にあり、親の手元にはほとんど届いていません。ここを補うには本人から数枚もらう必要がありますが、サプライズにしたい場合は事情を伏せて集めることになります。「アルバムの整理をしている」「祖父母に送る写真を探している」といった理由づけであれば、不自然にはなりません。あるいは、高校時代は本人が自分で足せるように、あえて少ないまま渡すという割り切りもあります。
0〜3歳のパートで効果があるのは、写真より音声の入った短い動画です。まだ言葉になっていない声、名前を呼ばれて振り向く数秒、初めて歩いた場面。10秒あれば十分で、写真100枚より記憶を引き出すことがあります。テープから救出した映像は画質が粗く、そのままでは見栄えがしないと感じるかもしれませんが、この時期に関しては画質より音のほうが役立ちます。
逆に、削っても影響が小さいのは、同じ行事の連続カットと、風景だけのカットです。旅行先の景色は本人が写っていなければ、その年の記録としての情報量が少なくなります。景色を入れるなら、本人が画面の中にいるものを選びます。
配分を決めたら、フォルダごとの選定枚数をそれに合わせて調整します。0〜3歳のフォルダだけは上限を1年12枚から20枚程度に引き上げ、中学以降は8枚程度に落とす、という具合です。ここまで決まっていれば、あとは並べる作業になります。
家族が写っているカットを意識して探す|撮っていた人は、写真に残っていない
18年分を並べ終えたところで、多くの家庭が同じことに気づきます。撮影担当だった親が、ほとんど写っていないのです。カメラを構えていた人は画面のこちら側にいるので、当然といえば当然なのですが、完成した作品を本人が観たときに、その不在ははっきり伝わります。
意識して探すと、実は何枚かは見つかります。探す場所は決まっています。
他人が撮った写真。運動会で他の保護者が撮ってくれたもの、旅行先で店員に頼んだ集合写真
スタジオで撮った七五三・入学式・成人式の家族写真
年賀状用に撮った家族写真。データがなくてもプリントが残っていることが多い
祖父母の家のアルバム。親が主役の時期の写真も含めて保管されている
兄弟姉妹のフォルダ。自分の子を撮ったつもりの写真に、別の家族が写り込んでいる
祖父母の家のアルバムは、早めに当たっておく価値があります。プリントしか残っていない写真をスキャンする作業には時間がかかりますし、依頼するにしても往復のやり取りが挟まります。スキャンは専用機がなくてもスマホのスキャン機能で実用的な品質になりますが、光の映り込みが出やすいので、窓際の間接光の下で、アルバムから外して1枚ずつ撮るのが確実です。
すでに亡くなっている方が写っているカットは、優先して入れてください。本人が幼すぎて覚えていない曾祖父母が抱いている写真は、この作品でしか本人に届きません。同じ理由で、飼っていたペット、引っ越す前に住んでいた家、通っていた通学路の風景も、いま残しておく対象になります。どれも「そのうち撮ればいい」と思っているうちに存在しなくなるものです。
並べ方にも影響があります。本人単独のカットばかりが続くと、18年分を通して観たときに単調になります。単独カットの合間に家族が一緒に写ったものを挟むと、その年の様子が伝わりやすくなります。目安としては、5枚に1枚くらいの割合で誰かと一緒に写っているカットを入れると、リズムが出ます。
それと、撮影担当だった親自身が写っている写真は、渡す本人だけでなく、あとで作り手自身にとっての記録にもなります。18年間カメラの後ろにいた人の姿が数枚も残らない、という状態は、この機会に少しだけ修正しておいてよいものです。
尺は15〜25分に抑える|長い作品は、一度しか再生されない
素材が集まると、どうしても長くなります。しかし90分の作品は、渡された側が最後まで観るのに覚悟が要ります。一度通して観て、そのまま棚に入って終わりです。20分なら、実家に帰ったときや、ふとした夜にもう一度再生されます。繰り返し観てもらえるかどうかは、内容より尺で決まる部分が大きいと考えられます。
15〜25分は、素材の枚数から逆算しても現実的な数字です。写真は1枚4〜5秒、動画クリップは8〜15秒が観やすい長さなので、写真120枚と動画15本を並べると、写真で約9分、動画で約3分、合計12分。ここに年ごとの区切りカードやタイトルを入れて15分弱に収まります。1年あたり写真12枚・動画3本という上限は、この計算から出ています。
尺を抑えることは、画質の面でも役立ちます。DVDの映像規格は720×480、画素数にすると約35万画素で、映像のビットレートは最大9.8Mbpsです。1層のDVDは4.7GBなので、20分程度の作品ならビットレートに余裕を持って割り当てられます。逆に2時間詰め込むと、同じ容量に収めるためにビットレートを落とすことになり、動きの多い場面でブロックノイズが出やすくなります。ブルーレイなら1920×1080の約207万画素、容量も1層25GBと桁が違うので余裕がありますが、それでも短いほうが有利であることは変わりません。両者の違いはDVDとブルーレイの違い に整理してあります。
短い作品ほど繰り返し再生され、DVDでも画質に余裕が残る
もうひとつ実務上の問題が、スマホで撮った縦向きの動画です。横長の画面に置くと左右に黒帯が出ます。対処は三つあります。黒帯のまま割り切る、背景に同じ映像を拡大してぼかしたものを敷く、縦動画を2〜3本横に並べて1画面にする。テレビで観る前提なら横長で作り、縦素材にだけこの処理をするのが扱いやすい方法です。作品全体を縦にすると、今度はテレビで上下が大きく余ります。
音については、市販の楽曲を使うかどうかを早めに決めてください。家族だけで観るために自分で焼くなら私的使用の複製にあたると考えられますが、業者にディスクの作成を頼むと、複製するのが使う本人ではなくなるため、私的使用の例外にはあたりません。別の家に住む親族に配る分は一律には言えず、SNSに上げるのは私的使用の範囲を超えます。配る予定があるなら、著作権フリーの音源を使うほうが後戻りがありません。
曲の長さも尺の制約になります。1曲が4〜5分なので、4曲分でちょうど20分前後です。曲の切れ目を年代の切れ目に合わせておくと、編集の手間が減り、観ているほうも構成を把握しやすくなります。
渡す形はディスク1枚とクラウドの二段構え|共有URLは手元に残らない
完成したデータをどう渡すか。いちばん手軽なのはクラウドの共有URLですが、これ一本にすると問題があります。
ファイル転送サービスには保存期間の上限があります。たとえばギガファイル便は無料で1ファイル300GBまで、個数無制限で送れる一方、アップロードしたファイルには保持期限が設定されます。期限が来ればリンクは開けなくなります。Googleドライブのようなストレージサービスは期限こそありませんが、無料で使える容量はアカウントあたり15GBです。18年分の動画を置けば早々に足りなくなり、有料プラン(Google Oneの100GBで月額290円)に切り替え続けなければ、いずれ整理を迫られます。つまり「クラウドに置いたから安心」は、そのままでは成立しません。
だからといってディスクだけにする必要もありません。現実的なのは、本人がすぐ観られるクラウドのコピーと、棚に置いておける実物のディスクを両方渡す二段構えです。ディスクは再生機器の更新やアカウントの都合から独立していますし、封を開けてプレーヤーに入れるという動作そのものが、データをタップして開くのとは違う体験になります。
ここで一つ、つまずきやすい点があります。編集して書き出したMP4ファイルをそのままDVDに書き込んでも、家庭用のDVDプレーヤーでは再生できません。DVD-Videoという規格に沿って、映像をMPEG-2に変換し、メニューやチャプターの構造を組み立てる工程が必要になります。これがオーサリングと呼ばれる作業で、詳しくは焼くだけでは再生できない理由 にまとめてあります。パソコンでは再生できたのにプレーヤーで映らない、という失敗の大半はここが原因です。
自分で環境をそろえるなら、書き込み用の光学ドライブとオーサリングソフトが要ります。すでに手元にない場合は、制作を請け負うサービスに出す選択肢もあります。ディスクメーカーでは基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚単位で注文できます。オーサリングは料金に含まれ、盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しています。
この用途で役立つのがチャプター分けです。18年分を1本にすると、あとから「小学校のところだけもう一度」と思ったときに探しにくくなります。年ごと、あるいは0〜3歳、園、小学校、中学、高校といった区切りでチャプターを打っておくと、リモコンのスキップで目当ての場所に行けます。メニュー画面に区切りを並べておけば、渡された本人が説明なしで操作できます。
データの受け渡しは、ダウンロードできる共有URLがあれば足ります。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、リンクからダウンロードできる形であれば形式は問いません。盤面やジャケットに使う画像を自分で用意する場合は、入稿データの作り方に決まりがあるので、先に確認しておくと差し戻しが減ります。
納期も先に押さえておいてください。ディスクメーカーの場合、通常便のほかに、お急ぎ(+1,500円、平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、特急(+3,000円、平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、当日店舗お渡し(+3,500円、平日12時までの注文・入稿で、大阪市北区の店舗にて受け取り)が選べます。渡す日が決まっているなら、この選択肢を前提に逆算します。
渡すタイミングは引っ越し当日を外す|1週間前の夜に、家族で一度だけ通して観る
作品ができたあと、意外と失敗しやすいのが渡す日です。引っ越し当日は荷造りと移動で一日が終わります。感情の余裕もないので、渡しても中身が受け止められないまま荷物の中に紛れます。おすすめは1週間前くらい、家族が全員そろっている平日の夜です。
渡し方は二通りあります。一度だけ家族で通して観てから本人に預けるか、何も言わずにディスクだけ渡すか。前者を選ぶなら、20分という尺が役立ちます。「ちょっと観てほしいものがある」と言って20分なら、誰も断りません。90分だと予定を組む話になり、そのまま流れます。
一緒に観ると、その場で親のほうが説明を始めたくなりますが、できれば黙って観たほうがよいです。18年分の記録は、それ自体が説明になっています。観終わったあとに出てくる「これ、どこ?」という質問に答えるほうが、事前の解説より届きます。
手紙を添えるなら、ディスクケースの中に入れておく形が扱いやすいです。ケースには背表紙が印刷できるので、そこにタイトルと年の範囲を入れておくと、本棚に立てたときに背から中身が分かります。「〇〇の18年 2008-2026」といった表記で十分です。数年後、本人が自分の本棚を見たときに背表紙が目に入る、という設計にしておくと、思い出す機会が増えます。
渡したあと、親側にも原本を残しておいてください。本人に渡した1枚が唯一の存在になっている状態は避けたいところです。原本データは、同じ機械の中に2つ置いても意味がありません。異なる媒体、異なる場所に分けるのが原則で、この考え方は3-2-1バックアップの実践 にまとめてあります。編集用の素材フォルダ一式と、書き出した完成データの両方を残しておくと、あとで追加や作り直しをするときに一から集め直さずに済みます。
手元に残すディスクの保管は、温度10〜25度、湿度40〜60%程度の安定した場所が目安です。押し入れの奥や夏場に閉め切る部屋より、居室の本棚のほうが条件としては良くなります。ケースに入れて立てて置き、重ねて圧をかけないようにします。
最後にもう一つ。下の子がいる家庭は、今回の作業手順をメモに残しておくと、次のときの負担が大幅に減ります。棚卸しの表、年ごとのフォルダ構成、配分の割合、使った音源。この4つが残っていれば、2回目は素材集めから始めても半分の時間で終わります。1回目に18日かかったものが、2回目は週末2回で片付く、というのは十分ありえる話です。
荷造りで慌ただしい当日を外し、家族がそろう夜に20分だけ時間をもらう
よくある質問
Q. 18年分の写真と動画をまとめるのに、どれくらい時間がかかりますか A. 内訳で見ると、素材の棚卸しに1〜2時間、古い媒体からの救出に数日(機材の手配待ちを含む)、年ごとの選定に半日、編集に2〜3日というのが現実的なところです。まとまった時間が取れないなら、1日1年分と決めて18日かける方法があります。渡す日が決まっているなら、ディスクにする場合の発送日数も含めて、3週間前には着手しておくと余裕を持って進められます。急ぐ場合は特急便などの選択肢もありますが、素材集めの時間だけは短縮できません。
Q. 古いビデオテープは自分でデータ化できますか A. 再生できるデッキやカメラと、映像を取り込むキャプチャ機器があれば可能です。VHSやminiDVは再生機のアナログ出力をUSBキャプチャに通す方法が一般的で、テープの再生時間と同じだけ実時間がかかります。1本2時間なら取り込みも2時間です。ただし機器が動かない、テープが絡む、映像が大きく乱れるといった状態では自力での対応は難しくなります。テープは再生するたびに負担がかかるため、状態が怪しいものは試行を重ねず、早い段階で専門の業者に相談する判断が現実的です。
Q. 写真だけでも作品になりますか A. なります。動画が少ない年ほど写真で埋める形になりますし、1枚4〜5秒で並べれば120枚で約9分です。ただし静止画だけだと単調になりやすいので、短くても音声の入った動画を数本混ぜると印象が変わります。言葉になる前の声や、名前を呼ばれて振り向く数秒のクリップは、写真を何十枚も並べるより記憶を引き出すことがあります。動画が1本もない年でも、他の年から音声のあるクリップを持ってきて全体のリズムを作れば、通して観たときの印象は保てます。
Q. DVDとブルーレイ、どちらで渡すのがよいですか A. 再生する側の機器で決めます。DVDは720×480で約35万画素、ブルーレイは1920×1080で約207万画素と画質には差がありますが、ブルーレイはDVD専用のプレーヤーでは再生できません。本人がどんな機器を使うか分からない場合や、祖父母にも配る場合はDVDのほうが再生できる範囲が広くなります。本人にブルーレイの再生環境があり、元素材がハイビジョン以上で撮られているならブルーレイが役立ちます。両方作って渡す先ごとに使い分ける方法もあります。
Q. スマホで撮った縦向きの動画も使えますか A. 使えます。ただし横長の画面に置くと左右に黒帯が出ます。対処は三つあり、黒帯のまま割り切る、背景に同じ映像を拡大してぼかしたものを敷く、縦動画を2〜3本横に並べて1画面にする、のいずれかです。テレビで観る前提なら作品全体は横長で作り、縦の素材にだけこの処理をするのが扱いやすい形です。作品全体を縦向きにしてしまうと、テレビで再生したときに上下が大きく余り、かえって見づらくなります。
Q. 市販の曲をBGMに使ってもよいですか A. 家族だけで観るために自分で複製するなら私的使用の複製にあたると考えられます。業者にディスクの作成を頼むと、複製するのが使う本人ではなくなるため、私的使用の例外にはあたりません。別の家に住む親族に配る分は一律には言えず、SNSに公開するのは私的使用の範囲を超えます。配布や公開の予定が少しでもあるなら、著作権フリーの音源やロイヤリティフリーの音楽サービスを使うほうが後戻りがありません。曲は1曲4〜5分程度なので、4曲で20分前後の尺にちょうど合います。
Q. 何枚くらい作っておけばよいですか A. 本人用に1枚、親の手元に1枚、祖父母がいれば1〜2枚というのが目安です。あとから追加しようとすると編集データを開き直したり、入稿からやり直したりする手間が発生するため、最初にまとめて作るほうが結果的に楽です。ディスクメーカーは基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで1枚単位の注文にも対応しているので、少部数でも問題なく作れます。渡す相手の再生環境が違う場合は、同じ内容でDVDとブルーレイを混在させるという作り方もできます。
Q. データはどうやって渡せばよいですか A. ダウンロードできる共有URLがあれば足ります。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、リンクからダウンロードできる形であれば形式は問いません。ギガファイル便は無料で1ファイル300GBまで、個数は無制限で送れますが、アップロードしたファイルには保持期限があるため、URLを発行したら期限内に手続きを済ませてください。動画ファイルのほか、盤面やジャケットに使う画像データがある場合も、同じURLにまとめて入れておくとやり取りが1往復で済みます。