この記事の要点
- 追悼ムービーは、まず葬儀社や会場に、流せる時間と再生する機器(DVDプレーヤー・ブルーレイの機器・パソコン)、ディスクや動画のファイルを持ち込めるかを聞いてから作り始めます。会場の機器がDVDプレーヤーなら、ブルーレイは映りません。
- 写真と動画は、故人のアルバムやスマホ、きょうだいや親戚、友人の手元に分かれています。受け取り口を1人に決め、集める人・選ぶ人・並べる人を家族で分担して、元の画質で集めます。
- 長さは式の進行に合わせて決め、写真の枚数は「長さ(秒)÷1枚の秒数」で逆に数えます。5分を1枚7秒で並べると約43枚です。生まれたころから晩年まで時代の順に並べると、歩みがそのまま伝わります。
- 曲は、会場で流すことと、動画に入れてDVDにすることが別の扱いです。会場で流すのは、条件がそろえば許諾は要りません(著作権法第38条)。一方、曲を入れた動画を作るのは複製にあたり、会場で流す動画や配るDVDのように私的使用の範囲を超えるなら、曲と音源の手続きが要ります。
- 会場で流すディスクは本番と同じ機器で最後まで試し、配るDVDは、見る家と同じ種類の機器で1枚目を試してから、枚数をそろえます。元の写真と動画のファイルは、家族の手元の2か所以上に残します。
通夜と告別式まで、あと数日。お別れ会や四十九日の法要までなら、あと数週間。故人の写真を映して参列した人と一緒に見送りたい、来られなかった親族や遺族の手元にも残したい。そう思って追悼ムービーの準備を始めると、写真は故人のアルバムやスマホ、きょうだいや友人の手元に散らばっていて、会場の機器も曲の扱いも、分からないことばかりです。
追悼ムービーは、葬儀社や会場に流せる時間と再生する機器を先に聞き、写真と動画を家族で分担して集めて作ります。長さから写真の枚数を逆に数えて、生まれたころから晩年まで時代の順に並べ、1080pの動画に書き出します。曲は、会場で流すか、動画に入れてDVDで配るかで扱いが変わります。参列者や親戚に配るメモリアルDVDは、1枚目を試してから枚数をそろえます。
葬儀までの日数が限られているときは、作る範囲を絞ります。日数がかかるのは、親戚や友人からの写真集めと、古いビデオテープからの取り出し、曲の手続きの3つです。間に合わない素材は、あとの法要やお別れ会で流す版に回せます。ムービーを作るのは家族か、葬儀社や映像の制作会社で、当社はできあがった動画をDVD・ブルーレイにする店です。
追悼ムービーの作り方|流す日から逆に数え、家族で分担する
追悼ムービーを流す場には、通夜・告別式のように準備に使える日数が限られるものと、お別れ会や偲ぶ会、法要のように、日取りを決めてから準備できるものがあります。どちらの場合も、流す日から後ろ向きに予定を立てます。
- 流す日と場所を決める(通夜・告別式、お別れ会、偲ぶ会、法要など)
- 葬儀社や会場に、流せる時間・再生する機器・持ち込めるものを聞く
- 配るDVDを作るなら、配る範囲と渡す日を決める。店に頼むなら、発送までとお届けまでの日数を見込む
- 会場で流すディスクや動画のファイルを、本番と同じ機器で試す日を取る
- 曲の手続きが要るなら、ディスクを作る前に許諾を得る日を決める
- 書き出しと見直しを終える日を置く
- きょうだいや親戚、故人の友人に、写真と動画の締め切りを伝える
- 古いビデオテープなどの取り出しを始める。業者に頼むなら、仕上がりまでの日数を見積もりで確かめる
通夜・告別式まで数日しかないときは、家族の手元にある写真で1本を作ります。テープの映像や、あとから届いた写真は、お別れ会や法要で流す版で足せば、葬儀の前に全部をそろえなくても済みます。
日数のかかる素材は、あとの法要やお別れ会の版に回せる
受け取り口を1人に決め、家族で分担する
写真と動画の受け取り口は、まとめ役の1人に絞ります。受け取り口を広げると、誰の写真がどこにあるかを追いきれなくなるからです。そのうえで、作業を分けます。
- 窓口:葬儀社や会場とのやりとりと、試写の日取り
- 集める:親戚や故人の友人への声かけと、届いた写真の受け取り
- 選ぶ:喪主や、故人をよく知る家族
- 並べる:編集アプリに慣れた家族。書き出したら、選んだ人と一緒に見直す
選ぶ役を喪主が受け持つなら、葬儀社との打ち合わせと重ならないよう、窓口と並べる役はほかの家族が引き受けると、作業が止まりにくくなります。
葬儀社や制作会社にムービーを頼むなら
ムービーの制作を葬儀社や映像の制作会社に頼むときは、次のことを先に確かめます。
- 制作と上映が葬儀のプランに入っているか、別の料金か(見積もりで確かめる)
- 渡す写真の枚数と形(プリントかデータか)、預けた写真が戻る日
- 曲を会場で流すだけか、配るDVDにも入れるか。曲の手続きは誰がするか
- 仕上がりを確かめる日と、直してもらえる範囲
- できあがった動画のファイルを受け取れるか
- 配るDVDも頼めるか。頼めるなら、枚数と追加の頼み方
動画のファイルを受け取っておくと、四十九日の法要で流したいとき、配るDVDをあとから作り足したいときにも、同じ内容で用意できます。
最初に葬儀社や会場へ聞くこと|流せる時間・再生する機器・持ち込み
家で映ったディスクが、会場の機器で同じように映るとは限りません。ソニーの説明書にも、記録済みのDVD-Rなどは、記録状態や記録した機器・ソフトの特性などで再生できないことがあると書かれています。葬儀社との打ち合わせや、会場を予約するときに、次のことを聞いておきます。
| 聞くこと |
中身 |
| 流せる時間 |
式の進行の中で、 いつ、何分 流せるか。 |
再生する 機器 |
DVDプレーヤー、 ブルーレイの機器、 パソコンのどれか。 |
| 持ち込み |
ディスク、 動画のファイル、 パソコンのどれを 持ち込めるか。 |
| 映す画面 |
テレビか、 プロジェクターか。 機器をつなぐ 端子は何か。 |
| 音 |
会場の スピーカーから 流せるか。 |
| 曲 |
曲の入った映像や、 CDを流して よいか。 |
| 試写 |
本番と同じ機器で、 前もって試せるか。 |
| 流す人 |
誰が、どの合図で 再生を始めるか。 |
会場の機器がDVDプレーヤーなら、ブルーレイは映りません(ソニー)。ディスクで流すなら、DVDビデオの形に組み立てたディスクにします。MP4などの動画ファイルをそのままDVDに書き込んだものは、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できません(パナソニック)。当日は、ディスクと、パソコンで再生できる動画のファイルの2つを持っていくと、1つがうまく動かなくても流せます。
お寺や自宅で法要を営むとき
お寺の本堂などで法要を営むなら、映像を流してよいか、テレビやプレーヤーを持ち込めるかを、菩提寺に先に聞きます。読経の前後に流すのか、会食の席で流すのかといった段取りも、菩提寺や葬儀社と決めておきます。自宅で流すなら、当日使うテレビとプレーヤーで、前もって最後まで流しておきます。
試写で見ること
- ディスクを入れてから、最初の場面が出るまでの時間
- 画面の端で、名前や日付の文字が欠けていないか。後ろの席から読めるか
- 暗い写真や古い写真が、見えにくくなっていないか
- 曲の音量と、声の入った動画の聞こえ方
- 最後まで流れたあと、止まるか、最初に戻るか、メニューが出るか
会食の間に繰り返し流したいなら、会場のプレーヤーで繰り返しの再生ができるかも聞いておきます。気になる点が見つかれば元の動画を直して作り直すことになるので、試写は当日の朝ではなく、前もって済ませます。
写真と動画の集め方|故人のアルバムやスマホと、親戚・友人の手元
故人が生まれてから晩年までの記録は、1つの家にまとまっていません。探し始める前に、残っていそうな場所を書き出します。
- 故人の家のアルバムと、袋に入ったままのプリント
- 故人のスマホやパソコン、デジカメと、そのメモリーカード
- 故人のきょうだいや、いとこの家のアルバム。子どものころや若いころの写真は、こちらに残っていることがある
- 職場や趣味の仲間、友人の手元。家族の知らない場面の写真もある
- 家族のスマホと、iCloud写真やGoogle フォトなどのクラウド
- 押し入れのビデオテープや、家で焼いたDVD-R
親戚や友人に頼むときは、「何年ごろの、何の場面の写真か」を添え、締め切りと送り方を1つに決めて伝えます。借りたプリントやアルバムは、誰から借りたかを控えておき、使い終えたら返します。
写真も動画も、元の画質で送ってもらう
LINEのトークで受け取った動画は、元のファイルと同じとは限りません。トークで送った動画の画質がどう変わるかはLINEのヘルプに書かれていないので、確かめるなら、撮った人の手元にあるファイルと大きさを比べます。渡し方はLINEで動画の画質が落ちる?オリジナル画質と元の画質で渡す方法にまとめました。
iPhoneの写真アプリの共有アルバムは、iOS 26以前で作ったアルバムだと、写真が長辺2048ピクセルに、ビデオが720pまでに縮められて保存されます。iOS 27以降で作ったアルバムなら、元の形式のまま縮めずに保存されます(Apple)。ギガファイル便で送ってもらうなら、保持期限は何も変えなければ5日で、アップロードしたあとで延ばせないので、届いた日のうちにダウンロードします。
集めたら、10年ごとのフォルダに分けて名前を付ける
集めた写真と動画は、1つのフォルダの下に10年ごとのフォルダを作って入れます。「1975_結婚式」のように年と出来事を名前に入れておくと、並べるときに探せます。米国国立公文書館(NARA)の手引きも、フォルダの名前に日付と出来事を入れると見つけやすいとしています。
Google フォトからダウンロードした写真や動画には、ダウンロードした時刻が新しい日時として付くことがあります(Google)。そのため、ファイルの日付で並べると、撮った順とずれることがあります。
ファイルの日付は撮った順とずれることがある。年と出来事を名前に入れて探す
故人のクラウドのアカウントにある写真
故人のアカウントのクラウドにある写真は、各社の仕組みを通して申し出ることになります。Googleは「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」のページで家族や代理人からの申し出を受け付けていて、場合によってはコンテンツを提供できるとしています。パスワードなどのログイン情報は教えてもらえず、応じるかどうかは慎重な審査で決まります。
Appleは、本人が生前に「故人アカウント管理連絡先」を追加していれば、その人がアクセスキーと、死亡の記載がある戸籍謄本で申請できます。
審査や申請の手続きを経るので、葬儀に間に合わせる1本は家族や親戚の手元にある写真で作り、故人のアカウントから取り出せた写真は、あとの法要やお別れ会の版で足す、と分けて考えます。
古いアルバムとビデオテープは、読める機器があるうちに取り出す
アルバムのプリントは、スキャナーで取り込みます。エプソンは自社のスキャナーの説明で、300dpiを写真の複製やスライドショー、共有に、600dpiを引き伸ばしやトリミングに向くとしています。スキャナーがなければ、Googleの「フォトスキャン」のように、スマホのカメラで写真を撮って、写真の端を見つけて切り抜き、光の反射も取り除くアプリもあります。
ビデオテープは、再生できるデッキやビデオカメラとビデオキャプチャーをパソコンにつないで、再生しながら取り込むか、ダビングサービスに頼みます。自分で取り込むなら、見直しまで入れて映像の長さの約3倍の手間がかかります(カナダ保存研究所)。カビのあるテープは再生せず、専門の業者に相談します。
白黒写真やネガ、8ミリフィルムまで含めた取り出し方は、還暦・金婚式の思い出ムービーをDVDで贈る方法|写真の集め方・曲・渡し方の古い媒体の節にあります。テープのつなぎ方はビデオテープをデジタル化する方法|自分でやる手順と、業者に頼むときの確かめ方にまとめました。
追悼ムービーは何分にする?写真の枚数は長さから逆に数える
長さに決まりはありません。式の中で流すのか、会食の間に流すのか、お別れ会で時間を取って見てもらうのか、流す場と進行で決めます。流せる時間は、葬儀社や会場、会の世話役に先に聞いておきます。
写真の枚数は、手元にある枚数ではなく、長さから逆に数えます。計算は「長さ(秒)÷1枚あたりの秒数=枚数」です。
1枚を何秒見せるかにも決まりはありません。iPhoneのiMovieは写真を初めの設定で6〜12秒表示し、PowerPointでスライドを動画にするときは、各スライドの所要時間の既定が5秒です(Apple・Microsoft)。1枚7秒で数え、80年の歩みに割り振ったときの10年あたりの枚数も添えると、次のようになります。
| 長さ |
1枚7秒で並べると |
5分 (300秒) |
約43枚。 10年に約5枚。 |
10分 (600秒) |
約86枚。 10年に約11枚。 |
15分 (900秒) |
約129枚。 10年に約16枚。 |
動画も入れるなら、動画の合計の長さを先に引いてから、残りの秒数で写真の枚数を出します。5分のうち声の入った動画を1分入れるなら、写真に使えるのは4分(240秒)で、1枚7秒なら約34枚です。曲の長さから決める方法もあります。4分30秒(270秒)の曲1曲に合わせるなら、1枚7秒で約39枚になります。候補の写真は決めた枚数より多めに集め、並べてから減らしていくと、流れの悪いところに気づけます。
手元の枚数からではなく、流せる長さから写真の枚数を決める
構成の一例|時代の順に並べる
構成に決まった型はありませんが、時代の順に並べると、生まれてから晩年までの歩みがそのまま伝わります。
- はじめに、故人の名前と、会の名前や日付を入れた題
- 生まれた家と、子どものころ
- 学校と、働き始めたころ
- 結婚と、子育てのころ
- 仕事や趣味、友人と過ごした場面
- 孫が生まれたころと、晩年の暮らし
- 終わりに、家族の集合写真と、家族からの短い言葉
写真の少ない時期は、1枚を長めに見せるか、その時期の動画で埋めます。声の入った短い動画があれば、ところどころに挟むと場面の区切りになります。写真に添える文字は、年や場所など見分けに要ることに絞り、表示の秒数のうちに読み切れる長さにします。闘病中の写真や、家族の間で触れにくい出来事が写る写真をどう扱うかは、会場に誰が来るかを考えて、喪主と家族で相談して決めます。
1080pで書き出し、HDRはオフにする
写真と動画を並べて1本にするのは、iPhoneのiMovieやパソコンの編集アプリなど、手元にあるもので足ります。できあがったら、1080p(1920×1080)の動画に書き出します。DVDにもブルーレイにも使える形で、DVD用に縮めるのはディスクを作る段階の作業です。
iPhoneのiMovieでは、HDRのビデオが入っていると書き出しの「HDR」が初めからオンになるので、オフにします。Appleも、ほとんどの機器との互換性を保つにはオフにするよう案内しています。アプリごとの手順は写真のスライドショーをDVDにする方法|枚数の決め方・曲の手続き・当日の確認にまとめました。
書き出したら、編集画面ではなく、書き出したファイルを最初から最後まで再生して確かめます。見るのは、名前や日付の誤字、写真の向き、場面が変わるところの音の大きさです。故人の名前と日付は、喪主か、故人をよく知る家族にも見てもらいます。
写真の著作物と、写っている人の了解
写真も、著作権法で守られる著作物です(第10条に「写真の著作物」が挙がっています)。家庭内など限られた範囲で、仕事以外で使うために、使う本人が複製するのは、著作権法の「私的使用のための複製」にあたります(第30条・文化庁)。会場で大勢に見せたり、DVDにして参列者や親戚に配ったりするのは、家庭内の使い方ではありません。
友人や親戚が撮った写真と、写真館で撮ってもらった写真は、撮った人や権利を持つ側に使い方を伝え、確かめてから使います。写真を送ってもらうときに、会場で流すことと、DVDにして配ることを伝えておけば、あとで確かめ直さずに済みます。写真館で撮った写真は、使える範囲が写真館の規約や、データを受け取るときの条件で決まるので、写真館に聞きます。誰が撮ったか分からない写真は、家族で見る版にだけ入れる、という分け方もできます。
写っている親族や友人の了解(肖像権)
追悼ムービーには、故人と一緒に、親族や友人、職場の人が写ります。肖像権は、自分の肖像をみだりに他人に公開されない権利で、法律に定めはなく、判例によって確立されてきた権利です。文化庁は学校向けの冊子で、他人の肖像を使うときは、あとでトラブルにならないよう、事前に本人や保護者の承諾を得ておくよう勧めています。
個人情報保護委員会も、会社の行事で撮った写真を社内で展示する例について、プライバシーの権利や肖像権の侵害にあたる場合もあると注意しています。望ましい取り組みとして挙げているのは、展示の期間を限ること、不特定多数に渡すときに本人の同意を得ることです。
追悼ムービーも同じ考え方で配る範囲を決め、友人や職場の人が大きく写る写真を配るDVDに入れるなら、写っている本人に先に聞いておきます。写りたくない人がいれば、事情は聞かずに外します。了解の取り方は同窓会の上映ムービーの作り方|当時の写真の集め方・曲・欠席者に渡すDVDの写る人の節にも書きました。
撮った人と写っている人の両方に、使い方を先に伝えて確かめる
曲を入れるなら|会場で流すか、DVDに入れて配るかで扱いが変わる
故人が好きだった曲や、家族の思い出の曲を入れたいときに知っておきたいのは、会場で曲を流すことと、曲を動画に入れてディスクにすることが、法律では別の行為として扱われる点です。会場の画面に映して流すのは上映、曲を動画に入れて焼くのは複製にあたります(著作権法第2条)。
| 使い方 |
曲の手続き |
家族が家で 見るために 自分で作る |
私的使用の複製 (第30条)。 許諾は要らない。 |
別の家に住む 家族に渡す |
私的使用に 入るかは、一律には 言えない。 |
参列者や 親戚に配る |
私的使用の範囲を 超えるなら、 曲と音源の 手続きが要る。 無料で配っても、 公衆なら頒布。 |
葬儀や お別れ会の 会場で流す |
営利目的でなく、 料金を取らず、 出演者に報酬が なければ要らない (第38条)。 |
会場で流す 動画を作る |
複製にあたり、 第38条の例外には 入らない。 |
葬儀やお別れ会の会場で流すとき
営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を払わない場合は、公表された曲を許諾なしに上映・演奏できます(第38条)。
ただし、文化庁の著作権テキストは、この例外に「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれないとしています。会場で流すことが条件に当てはまっても、曲を入れた動画を作ることは、この例外では済みません。JASRACも、市販のCDやダウンロードした音源を使った映像を上映するときは、上映の手続きとは別に、その映像を作ることの手続きが要ると案内しています。
市販のCDを会場でそのまま流すのは演奏で、働くのは曲の著作権だけです(JASRAC)。会費を集めるお別れ会や偲ぶ会では、その会費が何の対価かで扱いが変わります。文化庁は、名目を問わず著作物を見せる対価の性格があるものを「料金」とし、集めたお金を会場費に充てる場合も含めています。葬儀社が式の進行の中で流す場合のように、条件に当てはまるかを家族だけでは決めにくい場もあるので、会場で曲を流すことの扱いは、葬儀社や会場、JASRACにも確かめてください。
参列者や親戚に配るDVDに曲を入れるとき
家族が家で見るために、自分でムービーを作ったりディスクにしたりするのは、著作権法第30条の「私的使用のための複製」として、許諾なしにできます。コピーガードを外して複製することは、この例外に入りません。別の家に住む家族にディスクを渡す使い方がこの範囲に入るかは、一律には言えません。
家で見るために作った複製を、その目的の外で配ったり公衆に見せたりすると、複製をしたものとみなされます(第49条)。参列者や親戚に配るディスクは、無料でも「頒布」にあたりえます。著作権法は、有償か無償かを問わず複製物を公衆に渡すことを頒布とし(第2条)、「公衆」には特定かつ多数の人も含まれます。何人から「多数」になるかに決まった人数はありません(文化庁)。
曲と音源の手続きは、ディスクを作る前に
CDや音楽配信で売られている曲には、次の3つの権利が含まれています(JASRAC)。
- 作詞者・作曲者の著作権
- 歌手や演奏家(実演家)の権利
- その音を録音したレコード製作者の権利
JASRACやNexToneが許諾するのは作詞・作曲の著作権なので、市販のCDの音をそのまま使うなら、音源(原盤)についてレコード会社などの許諾が別に要ります。結婚式なら式場を通してISUMでまとめて手続きする仕組みがありますが、ISUMが代行するのは結婚式(披露宴・2次会)での利用だけです。葬儀や法要、お別れ会で使う曲に手続きが要るときは、曲と音源の権利者に、それぞれ自分で申し込みます。
- 曲を管理している団体を調べる。JASRACは作品検索データベース「J-WID」、NexToneは「NexTone作品データベース」で調べる
- 市販のCDや配信の音をそのまま使うなら、レコード会社や歌手の所属事務所などに連絡して、音源の許諾を得る
- 曲の許諾を、JASRACはオンラインの窓口「J-RAPP」から、NexToneはクリアランスシステム「PlayN」から、ディスクを作る前に申し込む
JASRACはJ-RAPPなら許諾番号の通知まで通常2〜3営業日、書類で申し込むと最低1週間ほど、NexToneは申請から許諾まで通常5営業日ほどと案内しています。通夜・告別式までの日数によっては、手続きを待てないこともあります。
JASRACの案内では、写真のスライドショーは「録音物」、DVD・ブルーレイは「映像ソフト」と、製作の区分が分かれています。写真と動画が混ざるムービーをどの区分で申し込むかは、先にJASRACやNexToneに確かめてください。申し込みの細かな手順は、写真のスライドショーをDVDにする方法|枚数の決め方・曲の手続き・当日の確認の曲の節にあります。
市販のCDの音をそのまま使うなら、曲とは別に音源の許諾も要る
手続きをしないで作るなら
- ムービーには曲を入れずに作る。会場では、第38条の条件に当てはまり、会場が応じるなら、上映に合わせて市販のCDを流す
- 利用規約で、動画に入れて配ることが認められた音源を使う
- 故人や家族の声、その場の音を生かす
「著作権フリー」とされる音源も、使える範囲は規約しだいです。文化庁もイラストの例で、「著作権フリー」などの表示があっても利用の条件が決められている場合があるとして、条件をよく確かめるよう呼びかけています。編集アプリに付いている音楽も同じです。Google フォトで作る動画に付く音楽は「非営利目的の個人使用のみ」、Mac版iMovieの使用許諾契約は、付属のオーディオの用途を「個人的、非営利的な用途のみ」に限っています。
配るDVDは、見る家のプレーヤーで映るように作る
見る家の機器が分からないならDVDにする
DVDプレーヤーでは、ブルーレイを再生できません(ソニー)。反対に、ブルーレイのプレーヤーはDVDも再生できるものが多いので、配る先の家の機器が分からないならDVDにします。映像の細かさはDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080です。大きなスクリーンの会場で流す分はブルーレイ、配る分はDVD、と同じ内容を分けて作ることもできます。
長さの心配はあまり要りません。DVD-R(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモード相当の画質(約5Mbps)で約2時間なので、15分や30分のムービーなら1枚に収まります。
1枚目を試してから、枚数をそろえる
DVDビデオの形で作ったディスクでも、記録状態や記録した機器・ソフトの特性で再生できないことがある、とソニーの説明書は書いています。何枚か作るなら、先に1枚を作り、DVDだけのプレーヤーやブルーレイのレコーダーなど、配る先と同じ種類の機器で最初から最後まで再生します。見るのは、ディスクを入れて始まるか、止まらずに流れるか、音が出るか、画面の端で名前などの文字が欠けていないかです。
DVDビデオの形で作っても、記録状態などで再生できないことがある(ソニー)
配る先の機器の型番が分かれば、説明書や仕様表の「再生できるディスク」の欄で、DVD-Rの行を見ます。シャープは、ほかのDVDプレーヤーで再生できないとき、まずそのプレーヤーがDVD-R・DVD-RWを再生できるかを確かめ、分からなければプレーヤーのメーカーに聞くよう案内しています。カナダ保存研究所は、とくに古い機器では、DVD-RのほうがDVD+Rより互換性がよいとしています。配る前の確かめ方は配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るには|形式・ディスク・確認にまとめました。
盤面に名前と日付を入れ、紙のラベルは貼らない
盤面には、故人の名前と会の名前、日付を入れておくと、何年かたって棚から出てきたときも、何のディスクかがすぐ分かります。盤面やケースに入れる言葉に迷ったら、葬儀社や菩提寺に相談します。紙のラベルやシールは貼らないでください。PlayStationの公式の案内は、シールや紙のラベルが貼られたディスクを、本体の故障の原因になる場合があるとして使わないよう書いています。
法要や葬儀で配るメモリアルDVDの枚数と、渡すときに添えること
配るDVDの枚数は、配る範囲を書き出してから数えます。先に枚数を決めると、渡す先が漏れたり、余ったりすることがあります。
- 喪主と、故人のきょうだいや子の家
- 通夜や葬儀に来られなかった親族
- 故人と親しかった友人や、職場・趣味の仲間
- 写真を貸してくれた人や、会の準備を手伝ってくれた人
1つの家に1枚にするか、1人に1枚にするかも決めておきます。数え終えたら、上映用と配る分で中身を分けるかを決めます。曲を差し替えた版や、写っている人の了解に合わせて写真を外した版を配るなら、上映用とは別の内容として作ることになります。枚数がはっきりしないときは、分かっている分を先に作り、四十九日などの法要やお別れ会の席で希望を聞いてから作り足す方法もあります。
いつ、どう渡すかは、葬儀社や菩提寺に相談する
葬儀の当日に渡すか、法要の席で渡すか、あとから郵送するか。包み方や、添える言葉をどうするか。こうしたことは、葬儀社や菩提寺、会場に相談して決めます。
高齢の親族がひとりで見るなら、テレビの入力の切り換え方と、プレーヤーの電源・再生・取り出しのボタンを紙に書いて、ディスクと一緒に渡しておきます。施設で暮らす人に渡すなら、部屋や談話室にDVDを再生できる機器があるかを、職員の方に先に聞いておきます。
受け取る人に添える一文
配るディスクには、故人だけでなく、ほかの親族や友人も写っています。受け取る人には、家で見る範囲で使い、SNSや動画サイトには載せないようお願いを添えます。ケースに入れるカードの文の一例です。◯◯の部分は書き換えてください。
【お渡しするDVDについて】
このDVDは、◯◯の葬儀(お別れの会)で流した映像をまとめたものです。
映像には、ご親族やご友人の方も写っています。ご家庭でご覧になる範囲でお使いいただき、SNSや動画サイトには載せないでください。
DVDプレーヤーや、ブルーレイのレコーダーに入れてご覧ください。
スマホで見たい人には、動画のファイルやURLで渡す方法もあります。LINEやURLは、受け取った人が転送すれば広がる点で、ディスクと違います。ほかの人が写る動画であることは変わらないので、同じお願いを添えます。
枚数は先に決めず、配る範囲から数える。受け取る人へのお願いも添える
元の写真と動画は、家族の手元に2か所以上残す
書き出したムービーと、集めた写真と動画の元のファイルは、使わなかった分も含めて、パソコンと外付けのドライブ、クラウドなど、2か所以上に置きます。ディスクは、テレビで見るための複製です。DVDの映像は720×480、ブルーレイでも1920×1080に作り直されるので、撮ったままの細かさは元のファイルにしか残りません。
NARAの手引きは、複製を3つ、種類の違う媒体に、できれば別々の場所に持つよう勧め、クラウドだけに頼らないよう書いています。組み方は写真・動画の長期保存はクラウドとDVDのどっち?|3-2-1バックアップの組み方で説明しています。カナダ保存研究所の資料では、平均の寿命の目安は、一般的なDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年です。
書き出したムービーの元のファイルを、きょうだいなど家族の何人かで持っておけば、一周忌やお別れ会で流したいときも、DVDを作り足したいときも、同じ内容で作れます。データで預かった写真をどうするかも、会のあとで決めておきます。故人の家に残るアルバムやビデオテープの整理は、実家じまいで出てきた写真・ビデオテープの整理とデータ化|急ぐものの順番と残し方で扱っています。
当社に頼むとき|できあがった追悼ムービーをDVD・ブルーレイにする
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、1枚から注文できる、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、受け付けるのは完成した動画のデータです。追悼ムービーを作るのは、家族か、葬儀社や映像の制作会社です。できあがったムービーの動画をギガファイル便にアップロードし、その共有URLを注文フォームに貼っていただければ、スマホからも入稿できます。動画のファイルは、MP4・MOV・MTSなど一般的な形式に対応しています。
ムービーと、会食の間に流す別の動画のように、動画が複数あるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けて、収める順番を指定してください。受け取った動画はプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、大阪・梅田の店舗でお渡しします。仕上がりはDVDが720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイが1920×1080です。
ギガファイル便にダウンロードパスワードを付けてアップロードしたときは、URLを貼ると開く「ダウンロードパスワード」の欄に入れてください。入れないと注文に進めません。盤面レーベル印刷とケース+背表紙印刷は、選ぶと開く欄に、画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。会場の再生機器や使う日など、ほかの希望は注文フォームの備考欄に書いてください。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円です。同じ内容で2枚以上作るときは、2枚目から追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円と、ケース+背表紙印刷(1枚あたり)+1,500円は基本料金に含まれないオプションで、付けた枚数分かかります。ほかの項目の金額は料金表に載せています。
会場で流す分はブルーレイ、配る分はDVDのように同じ内容を両方で作る場合や、上映用と配る分で内容を変える場合は、それぞれ1枚目から数えます。法要の席で希望を聞いてから作り足すときのように、後日に追加で注文する分も、新しい注文の1枚目から数えます。
通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付で、発送までの日数は、土日祝・休業日を除いた営業日で数えます。急ぐときは、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)の短納期のオプションがあります。土日祝の注文・入稿は、翌営業日からの作業です。
使う日から逆に数えた締切はDVDを急いで作るには|当日受け取り・翌日発送の締切と、使う日からの逆算にまとめました。間に合いそうにないときは、会場で動画のファイルを流せるかを、葬儀社や会場に早めに聞いておきます。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
よくある質問
Q1. 葬儀まで数日しかないとき、追悼ムービーはどう作ればいいですか?
作る範囲を絞って進めます。まず葬儀社や会場に、流せる時間と再生する機器、持ち込めるものを聞き、家族や親戚の手元にある写真から選びます。曲は入れずに作り、会場が応じるならCDを流す方法もあります。ビデオテープの取り込みや、故人のアカウントの写真のように日数のかかるものは、あとの法要やお別れ会で流す版に回します。
Q2. 追悼ムービーは何分にして、写真は何枚用意すればいいですか?
長さに決まりはなく、式の進行の中で流せる時間を葬儀社や会場に聞いて決めます。写真の枚数は「長さ(秒)÷1枚の秒数」で出せ、5分を1枚7秒で並べると約43枚、10分なら約86枚です。動画を入れるなら、その長さを先に引きます。
Q3. お別れ会や偲ぶ会でスライドショーを流すときは、葬儀のときと何が違いますか?
日取りを決めてから準備できる会なら、故人の友人や職場の仲間からも写真を集めやすく、テープの映像や曲の手続きも間に合わせやすくなります。ホテルや飲食店が会場なら、再生する機器と持ち込めるものを会場に聞きます。会費を集める会では、その会費が何の対価かで曲の扱いが変わり、文化庁は集めたお金を会場費に充てる場合も「料金」に含めています。
Q4. 法要で、お寺や自宅で追悼ムービーを流すときは、何を確かめればいいですか?
お寺の本堂などで流すなら、映像を流してよいか、テレビやプレーヤーを持ち込めるか、流す時と合図を菩提寺に聞きます。自宅なら、当日使うテレビとプレーヤーで前もって最後まで流します。DVDプレーヤーではブルーレイは映らないので、機器が分からないならDVDにし、当日はディスクと動画のファイルの2つを用意します。
Q5. 故人が好きだった曲を、葬儀の会場で流してもいいですか?
会場で流すのは上映・演奏にあたり、営利を目的とせず、料金を取らず、出演者に報酬を払わない場合は、許諾なしにできます(著作権法第38条)。この例外に複製は入らないので、曲を入れた動画を作ることは別に考えます。ムービーには曲を入れず、会場が応じるなら上映に合わせてCDを流す方法もあります。会場での扱いは、葬儀社や会場、JASRACにも確かめます。
Q6. 参列者や親戚に配るDVDに、市販の曲を入れてもいいですか?
参列者に配るなら、曲と音源の手続きが要ります。家庭内など限られた範囲の私的使用(第30条)を超え、無料で配っても公衆に渡せば頒布にあたりえます(第2条)。別の家に住む家族に渡す分がこの範囲に入るかは、一律には言えません。曲はJASRACやNexToneに、市販のCDの音をそのまま使うならレコード会社などにも、ディスクを作る前に申し込みます。ISUMの代行は結婚式での利用だけです。
Q7. クラシックの曲なら、手続きなしで入れられますか?
作曲者が亡くなった年の翌年から数えて70年を過ぎた曲は、曲の著作権の保護期間が終わっています(第51条・第57条)。ただ、市販のCDの音には、演奏した人と録音したレコード会社などの権利が別にあり、演奏や発売の翌年から70年守られます(第101条)。CDの音をそのまま使うなら、音源の手続きは残ります。外国の作品には、戦時加算で保護期間が延びているものもあります(文化庁)。
Q8. メモリアルDVDは何枚作ればいいですか?
配る範囲を書き出して数えます。喪主と故人のきょうだいや子の家、来られなかった親族、親しかった友人と渡す先を挙げ、1つの家に1枚か、1人に1枚かを決めます。はっきりしないときは分かっている分を先に作り、法要やお別れ会の席で希望を聞いてから作り足す方法もあります。当社では、後日に追加で注文する分も、新しい注文の1枚目から数えます。
Q9. 故人のGoogleやAppleのアカウントにある写真は、取り出せますか?
各社の仕組みを通して申し出ることになります。Googleは「故人のアカウントに関するリクエストを送信する」のページで家族の申し出を受け、審査のうえでコンテンツを提供する場合があり、パスワードは教えてもらえません。Appleは、本人が故人アカウント管理連絡先を追加していれば、その人がアクセスキーと戸籍謄本で申請できます。葬儀に間に合わせる1本は、家族の手元の写真で作ります。
Q10. 葬儀社にムービーの制作や上映を頼むときは、何を確かめればいいですか?
制作と上映がプランに入っているか別の料金かを見積もりで確かめ、渡す写真の枚数と形、預けた写真が戻る日、仕上がりを確かめる日を決めます。曲を会場で流すだけか、配るDVDにも入れるか、手続きを誰がするかも聞きます。できあがった動画のファイルを受け取っておくと、法要で流すときや、DVDを作り足すときにも同じ内容で用意できます。
参考にした公式の情報
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法律の運用や各団体の手続き、アプリやサービスの画面は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月23日から26日にかけて確かめた法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。流すときの機器と曲の扱いは葬儀社や会場に、法要での段取りは菩提寺に、曲の手続きはJASRAC・NexTone、レコード会社などの権利者に確かめてください。
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