この記事の要点
授業記録は板書が読める映像と発言が聞き取れる音声 の二系統がそろって初めて事後検討の材料になるため、撮る前に検討課題を一行決めておきます。
カメラは教室後方に三脚で固定した引きの一台 を基本とし、ズームせずに黒板全体と教師の動線が収まる画角を先に確定させます。
授業の録画映像は個人情報にあたり得る ため、利用目的・共有範囲・保存期限を撮影前に紙一枚へ書き出しておく必要があります。
文部科学省のガイドラインは必要以上の複製および配布を行わない と定めており、視聴は集約し配布枚数は最小に抑える設計が求められます。
SARTRASの運用指針では授業後の事後検討における複製は授業の過程 とされる一方、教職員会議は「授業」に該当しない例に挙げられています。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
研究授業が終わったあと、録画したはずの映像を再生してみたら子どもの発言がまったく聞き取れなかった。あるいは、子どもの表情はよく撮れているのに黒板に何が書かれていたのか判読できない。授業研究の担当になると、たいていの人が一度はこれをやります。カメラを回すこと自体は簡単なのに、事後検討会で使える記録になるかどうかは、録画ボタンを押す前にどこまで決めておいたかでほぼ決まってしまいます。
さらに厄介なのは、撮ったあとの扱いです。子どもが写った映像をどこに置き、誰まで見てよく、いつ消すのか。ここを決めずに個人の端末やUSBメモリに残ったまま年度が変わり、翌年の担当者には「どこかにあるらしい」としか引き継がれない。学校現場ではよくある話ですが、映像は個人情報を含み得るデータなので、放置してよいものではありません。
この記事では、研究授業の記録を「撮る」「聞き取る」「校内で見る」「保存して消す」「引き継ぐ」の順に、実際に手を動かせる粒度でまとめました。法令やガイドラインで根拠が確認できる部分は出典を示し、現場の判断に委ねられる部分はそう明記しています。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
授業記録は板書と発言の二系統が要る|どちらかが欠けると事後検討で使えない カメラは後方固定の一台から|台数を増やす前に画角と高さを決める 撮る前に決める三点|利用目的・共有範囲・保存期限(映像は個人情報になり得る) 音はカメラ任せにしない|教師にピンマイク、子どもの声は別系統で拾う 校内での視聴環境は三択|その場で見る・各自で見る・数年後に見返す 著作権の線引き|事後検討は「授業の過程」、教職員会議は「授業」に当たらない 保存年限と管理|「いつ消すか」を撮る前に書き、媒体の廃棄まで決める 次年度への引き継ぎ|消えるのは映像ではなく「見る手順」 よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
授業記録は板書と発言の二系統が要る|どちらかが欠けると事後検討で使えない
授業研究で見返したいのは、たいてい「教師の発問」「子どもの反応」「板書の変化」の対応関係です。発問のあとに何秒の間があり、そのあいだに誰が手を挙げ、その発言を受けて板書がどう書き換わったか。この三つがつながって初めて、協議会で具体的な話ができます。逆に言えば、映像だけ、音声だけの記録は、その場にいた人の記憶を補強することはできても、いなかった人には伝わりません。
そこで撮影前にやっておきたいのが、今回の授業で何を検討するのかを一行に絞る ことです。「発問後の待ち時間」なのか、「指名の偏り」なのか、「机間指導のルート」なのか、「板書の構造化」なのか。検討課題が決まると、必要な画角と音の拾い方が自動的に決まります。何でも撮れる万能の配置は存在しないので、優先順位を先につけたほうが結果的に良い記録になります。
記録は三層で残す
映像 :板書と教師の動線が入る引きの絵。あとから切り出せる余地を残す
音声 :教師の声と子どもの声を、可能なら別系統で
時刻付きメモ :参観者が「14時07分 A児が『でも』と言った」のように書き留める
三層目のメモは軽視されがちですが、これがあるかどうかで事後検討会の効率がまったく違います。映像を頭から流して該当場面を探すのは時間の無駄で、メモの時刻を見て頭出しすれば十数秒で目的の場面に着けます。あとでディスク化する際にチャプターを切る位置も、このメモから決められます。
複数台のカメラやICレコーダーを使うなら、授業開始前に全機材を回した状態で一度手を打っておくと、あとで波形を見て同期させるのが楽になります。教室の時計をカメラの前に写しておくのも同じ目的で有効です。地味な準備ですが、編集の手間を大きく減らします。
カメラは後方固定の一台から|台数を増やす前に画角と高さを決める
最初の一台は、教室後方に三脚で固定します。手持ちは避けてください。授業中は撮影者も授業を見てしまうので画が揺れますし、揺れた映像を四十五分見せられる参観者は内容に集中できません。三脚は一本あればよく、教室備品で足りることも多いはずです。
画角は、黒板の全体、教卓、教師が動く範囲 が一画面に収まる引きにします。授業中にズームやパンをしたくなりますが、我慢したほうが記録としては使えます。理由は二つあって、ひとつは操作の音と揺れが入ること、もうひとつは引きで撮っておけば後から必要な部分を切り出せることです。高解像度で収録できる機材なら、引きの画から板書部分を切り出しても実用に耐える場合があります。
高さは、後方に座る子どもの頭で黒板の下段が隠れない位置まで上げます。三脚を最大まで伸ばしても足りなければ、教室後方の机の上に載せる、あるいは教室の隅に寄せて斜めから狙う。黒板の下段はまとめの文が書かれる場所なので、ここが隠れると記録の価値が大きく落ちます。
二台目以降をどこに置くか
二台目を出せるなら、黒板脇から学級全体を狙います。挙手、視線、隣同士のやりとりが見えるようになり、後方カメラでは背中しか写らなかった子どもの反応が記録されます。三台目があるならグループ活動用に手持ちで一台。ただし台数が増えるほど撮影担当の人手と、あとでファイルを突き合わせる手間が増えます。一台をきちんと置いたほうが、三台を雑に回すより良い記録になることのほうが多いはずです。
台数を増やす前に、1台目の位置・画角・高さを決めておく
本番前に潰しておくこと
バッテリーと記録メディアの残量。四十五分の授業なら余裕をみて九十分以上の余力を確保する
十秒だけ試し撮りして、その場で再生し、映像と音の両方を確認する
録画開始は授業開始の数分前。始業のあいさつから入れておくと、あとで頭出しの基準になる
機種によっては一定サイズでファイルが自動分割されるので、分割された場合の並び順を確認しておく
撮影した素材の形式は、あとで校内のどの端末で再生するかに直結します。カメラの記録形式と再生環境の相性でつまずくことがあるので、MP4・MOV・AVIといった動画ファイル形式の違い を一度整理しておくと、当日あわてずに済みます。
撮る前に決める三点|利用目的・共有範囲・保存期限(映像は個人情報になり得る)
個人情報保護法第二条第一項第一号は、個人情報を「文書、図画若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項により特定の個人を識別することができるもの」と定義しています。授業の録画は、顔と声と名前の呼びかけがそろって記録されるものなので、特定の個人を識別できる情報として扱うのが自然です。
公立学校の場合、令和三年の改正個人情報保護法のうち地方公共団体・地方独立行政法人に関する部分は令和五年四月一日に施行され、それまでの各自治体の個人情報保護条例から同法へ一元化されました。そして同法第六十一条は、行政機関等が個人情報を保有するにあたって利用目的をできる限り特定しなければならず、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて保有してはならない と定めています。つまり「とりあえず撮っておく」「念のため残しておく」は、法の建て付けと相性が悪いということです。
撮影計画は紙一枚で足りる
項目
書く内容の例
利用目的
校内研究における授業改善の検討および記録
撮影対象
第◯学年◯組 ◯月◯日 第◯校時 ◯◯科
撮影者・管理者
研究主任(氏名)/管理責任者は教頭
共有範囲
本校教職員のみ/校外の研究協議会で使う場合は別途整理
保存場所
校務用クラウドの指定フォルダ(アクセス権を限定)
保存期限
令和◯年◯月末日
廃棄方法
復元できないように消去。媒体は処理記録を残して廃棄
この一枚を管理職と共有しておくと、あとで「誰が判断したのか」で揉めません。あわせて確認したいのが、年度当初に保護者から得ている同意の範囲です。学校だよりやホームページへの掲載についてのみ同意を取っている場合、校内研究のための録画と共有が同意の範囲に入るかは自明ではありません。研究授業の録画を恒常的に行うなら、同意書の項目そのものを見直すか、実施前に文書で周知するほうが後々の説明が楽になります。
子どもへの配慮は撮る前の座席配置から
映りたくない子ども、家庭の事情で映像を残せない子どもがいる可能性は先に確認しておきます。後方からの引きの画は基本的に背中しか写らないので、前方カメラを置かないという選択でかなりの部分は解決します。撮影当日は、教室に入る前に子どもたちへ「今日は先生の授業の勉強のためにカメラを置きます」と一言伝える。これは法的な要件というより、記録される側への最低限の礼儀の問題です。
なお、校外の研究会や大学の指導者に映像を渡す場合は、校内共有とはまったく別の判断になります。文部科学省の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(令和七年三月)」の対策基準では、情報資産を重要性に応じて四段階に分類したうえで、重要性分類Ⅱ以上の情報資産を外部に持ち出す際にはアクセス制限や暗号化を行い、管理者の個別許可を得て、持ち出しと持ち帰りの記録をつけることとされています。実際の運用ルールは各教育委員会のポリシーで定められているので、外部に出す話が出たら事務局に確認するのが確実です。
音はカメラ任せにしない|教師にピンマイク、子どもの声は別系統で拾う
授業記録でいちばん失敗が多いのが音です。カメラ内蔵マイクは、カメラの位置の音を拾います。教室後方に置いたカメラは、後方の音をよく拾い、前方の教師の声は遠くなり、前列でつぶやいた子どもの声はほぼ残りません。音の強さは音源からの距離が離れるほど急速に落ちるので、距離を詰める以外の解決策は基本的にありません。
教師の声はワイヤレスのピンマイクで確定させる
授業者の襟元にワイヤレスのラベリアマイクを付けると、発問も、机間指導中の個別の声かけも、板書しながらの独り言もすべて残ります。授業研究の対象が教師の言語活動である以上、ここは最優先で確保する価値があります。装着位置は襟元から口までの距離が変わりにくい場所にして、衣服とのこすれ音が入らないようクリップの向きを調整します。授業前に一度、実際に話しながら録音して再生確認してください。
子どもの声は座席側に音源を置く
子どもの発言を残したいなら、前方カメラのマイクだけでは足りないことが多く、机の上にICレコーダーを置く、あるいはバウンダリーマイクを教室中央に置くといった方法をとります。グループ活動の記録が目的なら、対象の班の机に一台置くのがいちばん確実です。別録りした音声は、あとで映像に合わせる作業が必要になりますが、拍手などの同期の目印を最初に入れておけば波形を見て合わせられます。
録る前に消せる雑音
空調の吹き出し音。可能なら授業前に一度止めるか風量を落とす
プロジェクタや大型提示装置の冷却ファン。マイクを近づけない位置に置く
廊下の話し声。当日は近隣の学級と時間割を確認し、扉を閉める
窓の外の運動場。窓側にマイクを置かない
参観者の私語と足音。後方の立ち位置とカメラの距離を確保する
テストは本番と同じ条件で行うのがコツです。誰もいない教室の静けさで「よく録れている」と判断すると、三十人が座った状態のざわつきで判断を誤ります。可能なら前の時間の休み時間に、子どもがいる状態で数十秒録って確認してください。
音はカメラ内蔵マイクに任せず、音源の近くにマイクを置く
体育館や音楽室のような残響の大きい場所では、マイクを音源に近づける以外に打つ手がほとんどありません。反響で言葉が重なると、あとから編集で分離するのは難しいと考えられます。特別教室での研究授業なら、ピンマイクの用意は特に効いてきます。
校内での視聴環境は三択|その場で見る・各自で見る・数年後に見返す
「校内で共有する」と一口に言っても、見る場面によって最適な手段は変わります。ここを分けずに一つの方法で済ませようとすると、どこかで無理が出ます。
見る場面
向いている方法
準備しておくこと
事後検討会でその場に集まって見る
大型提示装置に端末を直結して再生
当日と同じ機材で事前に再生確認。頭出し位置を控えておく
参加できなかった教員が空き時間に見る
校務用クラウドの限定共有フォルダ
アクセス権を教職員に限定。閲覧期限を設定する
年度をまたいで見返す・校外の講師に渡す
ディスクなどの物理媒体
再生機の有無を確認。保管場所と廃棄期限を台帳に記載
クラウドに置く場合、文部科学省のガイドラインの対策基準では、電子メールや外部ストレージサービスは教育委員会または学校から提供される公式サービスのみを利用し、私的に契約したサービスを利用してはならない とされています。個人のアカウントで作った共有リンクで回す運用は、便利でも避けるべきということです。あわせて、重要性分類Ⅲ以上の情報を外部送信する際にはアクセス制限や暗号化を行うことも定められています。
ディスクにする場面と、しない場面
ネットワーク経由で全部済むなら物理媒体は要りません。ディスクが効いてくるのは、校内の再生機で見る運用にしたいとき、外部講師や指導主事に手渡しで渡すとき、そして年度をまたいだ保管用に一部だけ形として残したいときです。逆に、参観者全員に配るような使い方はおすすめしません。同じガイドラインには「情報資産を利用する教職員等は、必要以上の複製及び配布をしてはならない」という条項があり、映像の複製枚数は少ないほど管理が楽になります。
ディスクにする際に見落とされがちなのが、動画ファイルをディスクに書き込んだだけでは再生機で見られない という点です。プレーヤーで再生できる形にするにはオーサリングという組み立ての工程が必要で、ここを飛ばすと「パソコンでは開けるのに再生機では反応しない」ディスクができあがります。
また、近年の学校用ノートパソコンには光学ドライブが搭載されていない機種が増えています。ディスクで配ったのに校内の誰も再生できない、という事態を避けるため、ドライブのないパソコンでディスクを扱う方法 を先に確認しておいてください。職員室のどの端末で再生できるか、外付けドライブが何台あるかを把握したうえで、ディスクにするかどうかを決めるのが順序として正しいと考えられます。
ディスク制作を外部に頼む場合の実際
校内で焼く時間が取れないときは、書き込み代行を使う手もあります。ディスクメーカーでは一枚一,五〇〇円から、一枚だけの注文にも対応しており、オーサリングは料金に含まれています。授業を「導入」「展開」「まとめ」でチャプター分けしておく、メニュー画面から場面を選べるようにする、盤面に単元名と実施日をレーベル印刷する、ケースと背表紙を印刷して書架に並べたときに背から探せるようにする、といった加工にも対応しています。入稿はダウンロードできる共有URLを送るだけで、ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などが使えます。授業記録は容量が大きくなりがちなので、この方式のほうが物理メディアの受け渡しより手間がかかりません。
著作権の線引き|事後検討は「授業の過程」、教職員会議は「授業」に当たらない
研究授業の記録には、教科書の紙面、資料集の図版、鑑賞に使った楽曲や映像教材が写り込みます。この扱いを考えるときの手がかりが、著作権法第三十五条にもとづく権利制限と、SARTRAS(授業目的公衆送信補償金等管理協会)が公表している「改正著作権法第三十五条運用指針」です。
運用指針では、第三十五条でいう「授業」を「学校その他の教育機関の責任において、その管理下で教育を担任する者が学習者に対して実施する教育活動」と説明し、該当する例として講義・実習・演習・ゼミ、初等中等教育の特別活動や部活動、課外補習授業、教育センターや教職員研修センターが行う教員に対する教育活動などを挙げています。一方で該当しない例として「教職員会議」「大学でのFD、SDとして実施される、教職員を対象としたセミナーや情報提供」「保護者会」 などが列挙されています。
ここだけ読むと校内の研究協議も外れるように見えますが、同じ運用指針には重要な注記があります。授業の過程での行為として、「授業用資料作成のための準備段階や授業後の事後検討における教員等による複製」「自らの記録として保存しておくための教員等または履修者等による複製」が挙げられているのです。つまり、その授業を担当した教員が、授業後の事後検討のために記録を複製することは授業の過程の行為として整理されている、という読み方になります。
現場での判断の目安
当該授業の事後検討のために、担当教員が記録を複製して用いる場面は、運用指針上「授業の過程」に位置づけられています
教職員会議での上映や、教職員向けのセミナー・情報提供は、運用指針が挙げる「授業」該当例には含まれていません
校外の研究発表会での上映、ウェブサイトでの公開、DVDの外部配布は、第三十五条の想定する場面から離れるため、著作権者の許諾の要否を個別に確認する必要があると考えられます
実務としては、外に出す可能性がある授業では、撮影の段階で著作物の写り込みを減らしておくのが手堅い方法です。教科書の紙面を大きく投影する場面ではカメラを引く、鑑賞した楽曲が長時間流れる部分は記録の目的上不要なら省く、といった判断です。判断に迷う案件は、学校単位で抱え込まず教育委員会の担当に確認してください。
同じ映像でも、使う場面によって著作権の扱いが変わる
保存年限と管理|「いつ消すか」を撮る前に書き、媒体の廃棄まで決める
個人情報保護法第六十一条第二項は、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないと定めています。研究授業の記録に置き換えると、校内研究の検討が終われば、その映像を持ち続ける理由は原則としてなくなる ということです。
では何年が適切か。これは一律には決まりません。学校で作成した文書の保存年限は各自治体の文書管理規程で分類ごとに定められており、研究授業の記録映像がどの分類に入るかも自治体によって異なります。決め方としては、まず事務局に「校内研究の記録映像はどの分類にあたるか」を確認し、規程上の分類が明確でなければ、校内研究のサイクルに合わせて期限を設定するのが現実的だと考えられます。当該年度と、成果をまとめる次年度までを見て期限を切り、それを撮影計画に書いておく。期限が来たら消す、という運用です。
保管中の管理で押さえる点
文部科学省のガイドラインの対策基準では、重要性分類Ⅲ以上の情報を記録した電磁的記録媒体を保管する場合、耐火・耐震・耐熱・耐水・耐湿の措置を講じた施錠可能な場所に保管することとされています。学校の実情に照らすと、職員室の施錠できるキャビネットに保管し、鍵の管理者を決める、というのが現実的な落とし所でしょう。あわせて台帳をつくり、授業者・実施日・学年教科・保存場所・保存期限・廃棄予定日を一行で記録しておきます。
ディスクで保管する場合、媒体そのものの扱いも寿命に影響します。ケースに入れて立てて並べる、直射日光と高温多湿を避ける、記録面に触れない、盤面にペンで強く書き込まない。DVD・CDの正しい保管方法 を一度共有しておくと、数年後に読み出せないという事故を減らせます。
廃棄まで手順に入れる
同じガイドラインの対策基準は、情報を記録している電磁的記録媒体を利用しなくなった場合は情報を復元できないように処置したうえで廃棄することとし、廃棄やリース返却を行った際は日時・担当者・処理内容を記録する ことを求めています。ディスクなら物理的に破断する、ハードディスクやUSBメモリなら消去ソフトで処理する、といった方法をとり、処理した日付と担当者名を台帳の同じ行に追記して完了とします。
「撮る・見る・消す」が一つの台帳の中でつながっていれば、担当が替わっても管理が続きます。逆に、消す手順を決めずに撮り始めると、消えないまま残った映像が校内のあちこちに散らばり、数年後に誰も手を出せなくなります。
保存期限は撮る前に決め、消した記録まで台帳の同じ行に残す
次年度への引き継ぎ|消えるのは映像ではなく「見る手順」
研究主任が替わったときに失われるのは、映像そのものよりも、その周辺の情報です。ファイルがどこにあるか、共有フォルダのアクセス権を誰が持っているか、パスワード付きの媒体の合言葉は何か、どの端末で再生できるか、そしてその授業で何を検討したのか。これらが揃って初めて、翌年の担当者が過去の記録を使えます。
引き継ぎに残す項目
授業の基本情報(実施日、学年・学級、教科、単元、授業者)
検討課題として設定した一行と、協議会で出た主な論点
ファイルの保存場所(クラウドのパス、または物理媒体の保管場所と台帳番号)
アクセス権を持つ職名と、権限を付け替える手順
再生方法(どの端末・どのソフト・どの再生機で確認済みか)
保存期限と廃棄予定日、廃棄の担当職名
制度としても、記録を残す前提は整えられています。教育公務員特例法第二十一条は「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」と定め、令和四年の改正で加わった第二十二条の五は、公立の小学校等の校長および教員の任命権者に対し、教員ごとに研修等に関する記録を作成しなければならないと定めています。校内研究の記録はこの法定の研修記録とは別物ですが、教員の学びを記録として蓄積するという方向性は共通しています。校内研究の記録を年度ごとの断片で終わらせず、数年単位でたどれる形にしておく意義はここにもあります。
媒体を分散させておく
クラウドだけに置いた記録は、契約の変更やアカウントの整理で消えることがあります。逆に、ディスクだけに残した記録は、破損や紛失で一度に失われます。重要な記録は、置き場所と媒体の種類を分けて持つのが定石です。クラウドとディスクを併用する3-2-1バックアップの考え方 は、学校の記録管理にもそのまま応用できます。ただし複製を増やせば管理対象も増えるので、前述の「必要以上の複製及び配布をしない」との兼ね合いで、残す本数は絞ってください。
研究発表の時期に間に合わせる
校内研究の記録は、研究紀要のまとめや研究発表会に合わせて形にする必要が出てきます。ディスクメーカーの納期は、通常便のほか、お急ぎ便が一,五〇〇円の追加で十五時までのご注文・ご入稿分を翌々日までに発送、特急便が二,五〇〇円の追加で十五時までのご注文・ご入稿分を翌日発送、平日十二時までのご注文・ご入稿であれば追加二,五〇〇円で大阪市北区の店舗でのお渡しにも対応しています。直近十二か月の完了注文は二四八件で、少部数の依頼が中心です。
よくある質問
Q. 研究授業の録画に保護者の同意は必要ですか A. 授業の録画は顔・声・氏名が結びついて記録されるため、特定の個人を識別できる個人情報として扱うのが自然です。公立学校は令和五年四月一日から個人情報保護法の行政機関等に関する規定が適用されており、同法は利用目的をできる限り特定することを求めています。年度当初に得ている同意が学校だよりやホームページ掲載に限られている場合、校内研究のための録画と共有がその範囲に含まれるかは自明ではありません。同意書の項目を見直すか、実施前に文書で周知しておくと、あとの説明が容易になります。判断は設置者のポリシーに従ってください。
Q. カメラは何台あれば足りますか A. 一台でも記録は成立します。教室後方に三脚で固定し、黒板全体と教卓、教師が動く範囲が収まる引きの画角にするのが基本です。二台目を出せるなら黒板脇から学級全体を狙い、挙手や表情、子ども同士のやりとりを残します。ただし台数が増えるほど撮影担当の人手と、あとでファイルを突き合わせる手間が増えます。三台を雑に回すより、一台をきちんと据えたほうが使える記録になることが多いはずです。まずは一台の位置と高さを詰めてください。
Q. 教室の後ろから撮ると板書の文字が読めません A. 打てる手は三つあります。第一に、カメラの高さを上げて後方の子どもの頭で黒板下段が隠れないようにすること。まとめの文が書かれる下段が隠れると記録の価値が大きく下がります。第二に、高解像度で収録して、あとから板書部分を切り出すこと。第三に、板書を授業の終わりに静止画で一枚撮っておくことです。授業中にズームで寄るのは、操作音と揺れが入るうえ全体が追えなくなるので、記録用としてはおすすめしません。
Q. 子どもの発言が聞き取れません。どうすれば改善しますか A. カメラ内蔵マイクはカメラの位置の音を拾うため、後方に置いたカメラで前方のつぶやきを拾うのは困難です。教師にはワイヤレスのピンマイクを装着し、発問と個別の声かけを確実に残します。子どもの声は座席側に音源を置くのが効果的で、班の机にICレコーダーを置く、教室中央にバウンダリーマイクを置くといった方法があります。別録りした音声は、開始時に拍手などの目印を入れておけば、あとで映像に合わせられます。テストは子どもがいる状態で行ってください。
Q. 授業で使った教科書や楽曲が映り込んでいます。校内で共有してよいですか A. SARTRASの改正著作権法第三十五条運用指針では、授業用資料作成のための準備段階や授業後の事後検討における教員等による複製は、授業の過程での行為として整理されています。一方で、同指針が挙げる「授業」に該当しない例には教職員会議や、教職員を対象としたセミナー・情報提供が含まれます。校外の研究発表会での上映やウェブ公開、外部への配布は第三十五条の想定から離れるため、許諾の要否を個別に確認する必要があると考えられます。迷う案件は教育委員会の担当に相談してください。
Q. 授業記録の映像はどのくらい保存すればよいですか A. 一律の年数は決まっていません。学校で作成した文書の保存年限は各自治体の文書管理規程で分類ごとに定められているため、まず事務局に該当分類を確認してください。個人情報保護法は、行政機関等が利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有してはならないと定めています。規程上の分類が明確でない場合は、校内研究のサイクルに合わせ、当該年度と成果をまとめる次年度までを目安に期限を切り、撮影計画書に書いておく運用が現実的だと考えられます。
Q. 学校のパソコンにドライブがありません。ディスクにする意味はありますか A. 再生できる環境がないなら、無理にディスクにする必要はありません。事後検討会でその場に集まって見るならクラウドの限定共有で足りますし、大型提示装置に端末を直結するのが最速です。ディスクが効くのは、校内の再生機で見る運用にしたいとき、外部の講師に手渡すとき、年度をまたいで保管用に残したいときです。校内のどの端末で再生できるか、外付けドライブが何台あるかを先に把握し、そのうえで形式を決めてください。
Q. 録画データが大きくて、ディスク制作を頼むときの受け渡しに困っています A. ディスクメーカーではダウンロードできる共有URLでの入稿に対応しています。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などのリンクをお送りいただければ、物理メディアの受け渡しは不要です。授業記録は容量が大きくなりやすいため、この方式のほうが手間がかかりません。一枚一,五〇〇円から、一枚だけの注文にも対応しており、再生できる形にするオーサリングは料金に含まれています。チャプター分けやメニュー画面、盤面へのレーベル印刷にも対応しています。