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教育実習の授業記録|撮影の許可取りから保管・削除までの実務

2026 10/21
教育実習の授業記録|撮影の許可取りから保管・削除までの実務

この記事の要点

  • 教育実習の授業録画は本人の振り返りが目的であり、誰が何のために見るのかを一行で書けないうちは、撮影の相談を持ちかける前に目的を詰めるほうが早いです。
  • 許可は大学・実習校の管理職・保護者の三階層で必要になることが多く、指導教員の口頭了解だけで撮り始めてしまうのが最もありがちなつまずき方です。
  • 公立学校も令和5年4月1日から個人情報保護法の適用対象になっており、顔が判別できる映像は個人情報として扱われると個人情報保護委員会が示しています。
  • カメラは教室後方に三脚で固定し、音声はICレコーダーを胸元に入れて別録りすると、板書も声も後から使える記録になります。
  • 保存場所・保存期間・削除する担当者を撮影前に紙一枚で決めておくと、実習が終わったあとにデータが誰の手元にあるか分からなくなる事態を避けられます。

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教育実習の研究授業を控えて、「自分の授業を録画しておきたい」と考える実習生は少なくありません。指導教員から「撮っておいたら」と勧められることもあります。ところが実際に撮ろうとすると、誰に許可をもらえばいいのか、児童生徒が写ることをどう扱えばいいのか、撮ったデータを実習後にどうすればいいのかが、どこにも書かれていないことに気づきます。大学の事前指導では「個人情報に気をつけて」までは言われますが、その先の具体的な手順までは説明されないことが多いためです。

教育実習の授業録画は、原則として実習生本人の振り返りのためのものです。許可は、大学の教職課程担当、実習校の管理職、保護者への周知という三階層で考えます。指導教員の口頭了解だけでは、学校の許可になりません。実習後のデータをどこに置き、いつ誰が消すかも、撮る前に決めておきます。

この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります

  1. 実習の録画は本人の振り返りが目的|「誰が何のために見るか」を一行で書けないなら撮らない
  2. 撮影の許可は大学・実習校の管理職・保護者の三階層で、実習の第一週に確認する
  3. 児童生徒への配慮|画角は教壇側に固定し、健康や家庭の話題が出た場面は録らない
  4. カメラは教室後方に三脚で固定し、音声はICレコーダーを胸ポケットで別録りする
  5. 振り返りは三周で見る|等倍で通し、1.5倍速で自分の発話を拾い、最後に指示の言葉を書き出す
  6. 実習の最終日までに、私物端末のデータを学校管理の保存先へ移し、共有リンクを切る
  7. 保管と削除は撮る前に決める|保存場所・保存期間・削除する人を紙一枚に書いておく
  8. 共有リンクを増やさず、範囲を限った1枚のディスクで完結させる
  9. よくある質問

撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る

実習の録画は本人の振り返りが目的|「誰が何のために見るか」を一行で書けないなら撮らない

教育実習で授業を録画する目的は、原則として実習生本人の振り返りです。評価のための証拠でもなければ、学校の広報素材でもありません。ここが曖昧なまま撮影を始めると、あとから「大学の事後指導で使いたい」「同期にも見せたい」「就職活動で話のネタにしたい」と用途がずるずる広がり、最初に得た許可の範囲を気づかないうちに超えていきます。トラブルの多くは撮影そのものではなく、この目的の後付けから起きます。

そこで、撮影の相談を持ちかける前に、次の一文を自分で書いてみてください。「〇月〇日〇時限の自分の授業を、自分の授業技術の振り返りのために撮影し、指導教員と大学の事後指導担当者のみが視聴し、〇月〇日までに削除する」。この一文が書けないなら、まだ撮る段階にありません。書ければ、そのまま許可を求めるときの説明文になります。

実習日誌と映像は、記録できるものが違う

実習日誌に書けるのは、自分が意識できた範囲の出来事です。一方、映像に残るのは意識できなかった部分で、この差が振り返りの価値になります。両方を突き合わせると、日誌に「発問がうまく伝わらなかった」と書いた場面で、実際には発問の言葉ではなく声量と立ち位置が原因だった、といったずれが見えてきます。

記録手段 よく分かること 分かりにくいこと
実習日誌 授業の意図、判断の理由、自分の反省点 実際の声量・間・視線・立ち位置
指導教員の所見 経験者から見た改善点の優先順位 細部の再現(言い回しや秒数)
授業の録画 発話量、待ち時間、板書の速度、動線 児童生徒の内面、授業前後の文脈

研究授業だけを撮ればよいと考えがちですが、振り返りの材料としては、むしろ実習序盤の普段の授業を一度撮っておくほうが役に立ちます。研究授業は準備量が多く、普段との差が大きいためです。序盤に一度、研究授業で一度、合計二回撮れば、変化が自分の目で確認できます。撮る本数を増やすほど許可も管理も重くなるので、二回で十分だと考えられます。

撮影の許可は大学・実習校の管理職・保護者の三階層で、実習の第一週に確認する

「撮影の許可」と一言で言っても、実際には三つの階層があります。どれか一つが欠けていると、あとから撮り直しも公開停止もできません。順序としては大学、実習校、保護者の順に確認していくのが動きやすい流れです。

第一に大学の教職課程担当

大学と実習校のあいだには受入れの取り決めがあり、実習生が結ぶ誓約書の内容もそこに紐づきます。撮影が取り決めの外にある場合、実習校が良いと言っても大学側の規程に触れることがあります。事前指導の期間中に、教職課程の事務室か担当教員に「実習中の授業撮影について大学としての方針はあるか」を確認しておいてください。方針が文書化されていれば、実習校への説明がそのまま楽になります。

第二に実習校の管理職

最終的な判断は校長です。指導教員が「いいよ」と言ったとしても、それは指導教員個人の了解であって学校の許可ではありません。指導教員に相談したうえで、管理職まで話を上げてもらうか、指導教員同席で自分から相談する形をとってください。相談は実習の第一週のうちに済ませ、研究授業で撮るなら遅くとも二週間前には結論を出しておくと、断られた場合の代替案(指導教員によるメモ記録など)を用意する余裕が残ります。

事前指導の期間中に大学の方針を確かめ、実習の第1週に管理職へ相談し、研究授業の2週間前までに撮影の可否を決め、撮影当日は冒頭で子どもに説明して30秒のテスト録画をし、その日のうちに冒頭と末尾を再生して確かめる流れ
相談は早めに。断られても代わりの記録方法を用意する余裕が残る

相談の場では口頭説明だけでなく、A4一枚の依頼文を持っていくと話が早く進みます。書くのは次の項目です。

  • 撮影する日時と教科、場所(教室名)
  • 目的(実習生本人の授業改善の振り返り)
  • カメラの位置と画角(教室後方から教壇側を撮り、児童生徒は後方から写る旨)
  • 録音の有無と方法
  • 視聴する人の範囲(実習生本人、指導教員、大学の事後指導担当者など)
  • 保存場所と保存期間、削除の期日と削除を確認する人
  • ネットワーク上にアップロードするかどうか(しないならその旨を明記)

第三に保護者への周知

保護者の同意は、実習生が直接取りにいくものではありません。学年だよりや学校からの文書という形で、学校が周知するのが筋です。年度当初に「学校行事等の撮影」について包括的な同意を得ている学校もありますが、その範囲に実習生による授業撮影が含まれるかは学校ごとに違います。ここは自己判断せず、管理職に確認を委ねてください。

前提として押さえておきたいのは、顔が判別できる映像は個人情報にあたるという整理です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、防犯カメラの映像を例に「本人が判別できる映像情報」は個人情報に該当するとしています。

さらに、令和3年の法改正により、地方公共団体の機関に関する規律は令和5年4月1日から施行され、公立学校も個人情報保護法の枠組みで扱われることになりました。私立学校は以前から個人情報取扱事業者として同法の対象です。つまり撮影データは、学校が管理する個人情報として扱うのが前提だということです。

児童生徒への配慮|画角は教壇側に固定し、健康や家庭の話題が出た場面は録らない

配慮というと抽象的に聞こえますが、実務では画角と音声と場面の三つに分解できます。順に決めていけば迷いません。

画角は教壇側を向ける

撮影の目的が実習生本人の振り返りである以上、被写体は実習生です。教室の後方にカメラを置き、教壇と黒板が中心に来るように据えれば、児童生徒は後頭部だけが写ります。これは配慮であると同時に、映像の使いやすさにも直結します。児童生徒の顔が正面から写った映像は、大学の事後指導で画面を出す際にもためらいが生じますが、後ろ姿だけなら扱いやすくなります。

逆に、教壇側から児童生徒を撮る配置は、たとえ「反応を見たいから」という理由があっても、許可のハードルが一段上がります。児童生徒の反応を確認したいなら、まずは音声で拾うことを考えてください。ざわつきの質、うなずきの気配、手が挙がるまでの間は、音だけでも相当に分かります。

音声にも個人が入る

見落とされやすいのが音声です。授業中は呼名や指名で児童生徒の氏名が繰り返し発せられます。映像に顔が写っていなくても、氏名と発言内容がセットで記録されていれば、個人が特定できる記録になります。音声を含めて個人情報として扱う、という認識で保管方法を決めてください。

録らない場面をあらかじめ決めておく

個人情報保護委員会のガイドラインは、病歴や身体障害などを要配慮個人情報とし、取得や第三者提供には原則として本人の同意が必要で、オプトアウトによる提供は認められないとしています。授業中に、児童生徒の通院や服薬、家庭の事情、支援の必要性に関わる話題が出ることは十分にあり得ます。

こうした場面が出そうな単元や、支援員が個別に入る時間帯は、そもそも撮影日から外すのが確実です。撮影中に想定外の話題が出たら、その場で録画を止め、あとで該当部分を削除する、と決めておいてください。

子どもたちに黙って撮らない

授業の冒頭に、実習生自身の口から一言説明してください。「今日は先生(実習生)が自分の授業を見直すために、後ろのカメラで先生のことを撮ります。みなさんは後ろ姿だけが映ります。授業が終わったらこのビデオは先生と指導の先生だけが見て、実習が終わったら消します」。この程度で十分です。黙って撮られることの気持ち悪さは大人と同じで、説明が一つあるだけで教室の空気が変わります。

撮られたくないと申し出る児童生徒がいた場合、席を移動させるのは避けてください。特定の子だけ動かす対応は、その子を目立たせてしまいます。カメラの位置や画角のほうを変える、その時間は撮影を見送る、といった方法で対応するのが穏当です。教室に支援員や他の教職員が入る場合も、事前に一声かけておきます。

カメラを教室後方から教壇側に向ける、児童生徒は後頭部だけが写るようにする、呼名や指名の声も個人情報として扱う、健康や家庭の話題が出そうな単元は撮らない、冒頭で一言説明する、嫌がる子がいたら席ではなく画角を変える、などのチェックリスト
配慮は画角・音声・場面の3つに分けて決めると迷わない
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MOVとMP4の違い|動画ファイル形式の種類(AVI・MKVほか)と使い分け

カメラは教室後方に三脚で固定し、音声はICレコーダーを胸ポケットで別録りする

授業記録の失敗で圧倒的に多いのは、画質ではなく音声です。何を言っているか聞き取れない映像は、振り返りの材料としてほぼ機能しません。機材にかける手間は、音声に七割、映像に三割で考えてください。

カメラは固定する

三脚を使い、教室後方の中央からやや斜め、レンズの高さは床から140〜150cm程度に据えます。この高さだと、児童生徒の頭越しに黒板の下端まで入ります。斜めに振るのは、教卓の陰に入ることを避けるためです。設置したら、必ず30秒のテスト録画をして再生してください。確認するのは、黒板の文字が読めるか、教室の左右の端まで入っているか、実習生が板書位置に立ったときに見切れないか、の三点です。

誰かに手持ちで撮ってもらう方法は勧めません。撮る人の判断でズームやパンが入ると、映像がその人の関心を反映したものになり、自分の動線や立ち位置といった全体像が失われます。それに、授業に参加できるはずの誰かをカメラ係で拘束することにもなります。固定一台が最小構成であり、多くの場合は最適でもあります。

音声は別に録る

カメラの内蔵マイクは、数メートル離れると教室の反響を拾って明瞭度が落ちます。ICレコーダーかピンマイク型の録音機を胸ポケットに入れ、自分の声を至近距離で録ってください。数千円の機材で、映像の使い勝手が大きく変わります。あとで映像と音声を合わせる作業が面倒なら、映像の内蔵音声はそのまま残し、聞き取れない箇所だけ録音データで補う、という使い方でも十分に実用になります。

スマートフォンで撮る場合のチェック

私物のスマートフォンを使うこと自体は、学校の許可があれば選択肢になります。ただし設定の詰めが甘いと途中で止まります。

  • 空き容量を確認する。1080pで45〜50分の授業を録ると数GB規模になることが多く、残り容量が少ないと録画が途中で終わります
  • 自動ロックと画面の自動オフを解除する(機種により録画は継続しますが、確認できないと不安が残ります)
  • 通知と着信を切る。機内モードにしたうえで、必要なら手動でWi-Fiだけ切っておきます
  • 電源に挿す。長時間録画は発熱と電池消費が大きく、熱で停止する機種もあります
  • 録画形式を確認する。iPhoneは既定でMOV、Androidの多くはMP4です。MP4・MOV・AVIといった動画ファイル形式の違いを先に把握しておくと、あとで大学のパソコンで開けないといった詰まり方を避けられます

録り終わったら、その日のうちに冒頭と末尾を再生して確認してください。授業直後は疲れていて後回しにしがちですが、翌日に「音が入っていなかった」と気づいても、同じ授業は二度とありません。

振り返りは三周で見る|等倍で通し、1.5倍速で自分の発話を拾い、最後に指示の言葉を書き出す

撮った映像を最初から最後まで一度眺めて「うまくいかなかったな」で終わってしまうのが、いちばんもったいない使い方です。一本の映像から取り出せる情報は多く、見る目的を分けて三周すると、具体的な改善点まで見えてきます。所要時間は50分の授業でおよそ2時間半、実習の忙しさを考えるなら、二日に分けて構いません。

一周目は等倍で止めずに通して気になった再生位置だけを書き、二周目は1.5倍速で自分の発話の量とリズムを追い、三周目は指示の言葉だけを書き起こし、最後に聞きたい箇所を2〜3か所に絞って指導教員と見る、という手順
見る目的を周ごとに分けると、具体的な改善点まで届く

一周目:等倍で止めずに通す

メモは取らず、気になった瞬間の再生位置(分秒)だけを紙に書き留めます。ここでの目的は、授業を受けている側に近い時間感覚で自分の授業を体験することです。止めて分析を始めると、この感覚が失われます。「12:30あたりで教室が静かすぎた」「28:10で自分が焦っていた」程度の走り書きで十分です。

二周目:1.5倍速で自分の発話だけを追う

倍速にすると、内容よりも量とリズムが前に出ます。自分がしゃべり続けている区間、児童生徒の発言を待たずに引き取ってしまう癖、同じ接続詞の繰り返しといったものが、等倍では気づけない鮮明さで浮かびます。ここで測っておくと役に立つのが、次の項目です。

見る項目 測り方 気づけること
教師の発話時間の割合 自分が話している時間を足して授業時間で割る 説明過多になっていないか
発問から指名までの秒数 数か所をストップウォッチで計る 考える時間を与えられているか
黒板に背を向けている時間 連続して何秒背中を向けたかを見る 板書中に教室が見えているか
教室内の動線 教室の見取り図に自分の移動を線で描く 教卓周辺に留まっていないか
指名した児童生徒の分布 座席表に指名を正の字で記録する 特定の列・特定の子に偏っていないか

秒数や割合に「正解の数値」を求める必要はありません。基準値を探すより、自分の現在値を知って、次の授業で意図的に変えてみるほうが実践的です。二回撮っておくと、この比較が自分のデータでできます。

三周目:指示の言葉だけを書き起こす

「教科書の34ページを開いて、3行目から音読します」のような、児童生徒に行動を求めた発話だけを紙に書き出します。書き出すと、一つの指示に複数の行動を詰め込んでいたり、主語が抜けていたり、「〜してみようか」と語尾がぼやけて指示なのか提案なのか分からなくなっていたりが、目で見て分かります。授業技術の改善で最も再現性が高いのがこの部分です。

指導教員と一緒に見るときは、場所を指定する

指導教員に「見てください」と映像を丸ごと渡すのは、実務上あまり歓迎されません。50分を割いてもらうのは負担が大きいためです。一周目・二周目で作った再生位置のメモから、聞きたい箇所を2〜3か所に絞ります。そのうえで「18分20秒あたりで発問を言い直しているのですが、最初の言い方のどこが伝わりにくかったでしょうか」という形で持っていくと、短時間で密度の高い助言が返ってきます。

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ギガファイル便でのデータ入稿手順 ―初めての方でも迷わない完全ガイド

実習の最終日までに、私物端末のデータを学校管理の保存先へ移し、共有リンクを切る

実習が終わった直後は、荷物の返却や日誌の提出、お礼状の準備で慌ただしく、映像データのことはたいてい後回しになります。しかし、いちばん危ないのはこの時期です。私物のスマートフォンやノートパソコンの中に児童生徒の映像が入ったまま実習校との関係が切れると、管理する人がいない状態のデータが残ります。実習最終日を締切にして、以下を片付けてください。

置き場所を一か所に決める

撮影から最終日までのあいだ、データは複数の場所に増えがちです。スマートフォンの本体、自動でアップロードされたクラウドのフォトライブラリ、確認のためにコピーした自宅のパソコン、大学の共用端末。まずどこに何があるかを紙に書き出し、残す場所を一か所だけ決めて、残りをすべて消します。クラウドの自動バックアップは、意識せずコピーを作る典型なので、撮影期間中はオフにしておくのが安全です。

スマートフォン本体やクラウド、自宅のパソコンなど置き場所を書き出し、残す場所を学校が指定する保存先の一か所に決め、ほかはゴミ箱まで空にして消し、共有リンクは渡し終えたら切り、期限が来たら決めた担当者が消して報告する手順
置き場所を一か所に絞り、リンクと複製を残さない

共有リンクは期限つきで、使い終わったら切る

大学の事後指導で使うため、あるいは実習校に渡すために、ファイルを送る必要が出ることがあります。メールに添付できる容量ではないので、共有サービスを使うことになりますが、ここで気をつけたいのが「リンクを知っている人は誰でも見られる」設定です。転送されれば範囲は無制限に広がり、こちらからは追跡できません。

使うなら、宛先を限定できる設定か、ダウンロード期限とパスワードを設定できるサービスを選びます。ギガファイル便のようなサービスでの大容量データの受け渡し方を押さえておくと、期限やパスワードの設定漏れを防げます。渡し終えたら、期限を待たずにその場でリンクを削除してください。「そのうち期限が切れるから」は、切れたことを誰も確認しないという意味です。

目的の外には出さない

実習の映像を、就職活動での自己PRの素材にしたい、卒業論文の分析対象にしたい、教育系のサークルで共有したい、といった希望が出ることがあります。いずれも当初の許可の範囲外です。どうしても必要なら、実習校の管理職に対して用途を明示して改めて相談するところからやり直してください。SNSへの投稿は、内輪の非公開アカウントであっても選択肢に入りません。

実習校側で決めておきたいこと

指導教員・管理職の側では、実習受入れの手引きに次の一行を入れておくと、毎年の判断がぶれません。「実習生が撮影した授業記録は、実習最終日までに学校が指定する保存先に移し、実習生の私物端末からは削除する。学校に控えを残すか否かは管理職が判断する」。控えを残さない方針であっても、方針として明記されていることに意味があります。

保管と削除は撮る前に決める|保存場所・保存期間・削除する人を紙一枚に書いておく

学校で扱う記録には、法令で保存年限が定まっているものがあります。たとえば指導要録は、学校教育法施行規則第28条第2項により、学籍に関する記録は卒業後20年間、指導に関する記録は卒業後5年間の保存とされています。一方で、教育実習生が振り返りのために撮った授業の映像に、これに相当する一律の年限を定めた規定は見当たりません。

自治体の文書管理規程や学校独自の規程で扱いが定められている場合があるので、まずはそちらを確認してください。定めがない場合は、自分たちで期限を決めるしかないということになります。

紙一枚のテンプレート

撮影の許可を求める段階で、次の六項目を書いた紙を作り、実習生と指導教員の双方が同じものを持っておきます。あとから「もう消したはず」「まだ残っている気がする」というやりとりが発生しません。

  • 何を:〇年〇月〇日 〇年〇組 〇時限 〇〇科の授業記録(動画1本、約50分)
  • 誰が管理するか:実習生〇〇(実習期間中)/指導教員〇〇(実習終了後)
  • どこに置くか:学校の〇〇(具体的な保存先を一か所だけ書く)
  • いつまで:〇年〇月〇日まで(大学の事後指導が終わる時期を基準にする)
  • 誰が消すか:〇〇が削除し、〇〇に報告する
  • 複製の扱い:複製は作らない/作る場合は〇部までとし、同じ期限で削除する

保存期間は、長ければ丁寧というものではありません。長く持つほど、管理する人が異動し、保存先が分からなくなり、消す担当がいなくなります。大学の事後指導が終わるまで、あるいは教員採用の結果が出るまで、といった具体的な出来事を基準にして、短めに切るほうが安全です。

期限中の保管は分散させる

期限までのあいだ、データを一か所だけに置いていると、端末の故障で消えます。逆に何か所にも置くと管理できません。実務的な折衷案が、バックアップの3-2-1という考え方です。クラウドとディスクを併用した3-2-1バックアップの実践を参考に、置き場所の数を意図的に決めておくと、増やしすぎも減らしすぎも避けられます。個人情報を含む記録では、置き場所が増えることのリスクも同時に増えるので、通常より控えめの構成でよいと考えられます。

削除は「ゴミ箱を空にする」まで

ファイルを消したつもりでも、多くの環境ではゴミ箱に残ります。クラウドストレージでは、削除後30日程度は復元可能な領域に保持される仕様が一般的です。削除の作業は、ゴミ箱を空にするところまでを一連の手順として書いておいてください。スマートフォンの写真アプリも、「最近削除した項目」に一定期間残ります。ここを見落として、実習から数か月後に端末の写真一覧で再会する、というのはよくある話です。

ディスクで保管する場合の置き場所

期限つきで物理的に保管する場合、ディスクの置き場所にも条件があります。直射日光と高温多湿を避け、立てて保管し、盤面に直接シールを貼らない、といった基本を守るだけで劣化の進みが変わります。DVD・CDの正しい保管方法にまとめられている条件を、施錠できる書庫の中で満たすようにしてください。

共有リンクを増やさず、範囲を限った1枚のディスクで完結させる

授業記録の管理でやっかいなのは「数えられなくなること」です。クラウド上のファイルは、コピーとリンクが気づかないうちに増えていき、いま何か所にあるのかを誰も把握できなくなります。物理的なディスクにしてしまうと、この性質が反転します。枚数を数えられ、貸出簿がつけられ、鍵のかかる場所に置け、期限が来たら物理的に処分できます。個人情報を含む記録に対して、この「数えられる」という性質は思っているより強い利点です。

再生できる形にするには一手間かかる

撮影したMP4やMOVのファイルを、そのままディスクに書き込んでも、教室のDVDプレーヤーでは再生できません。DVD-Videoは規格が決まっており、映像はMPEG-2で、標準的なNTSCの解像度は720×480とされています。この規格に合わせて映像を変換し、メニューやチャプターの構造を組み立てる工程がオーサリングです。焼くだけでは再生できない理由とオーサリングの中身を知っておくと、学校のパソコンで作業する場合の見積もりが立てられます。

実習生が自分でやるにはソフトの用意と変換時間が要り、実習の最中に確保できる時間ではないことが多いはずです。当社のようなディスク制作の代行を使う場合、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで、1枚から注文できます。オーサリングは料金に含まれます。1枚から頼める小ロット対応の考え方を押さえておくと、実習生本人用と実習校保管用の2枚だけ、といった必要最小限の枚数で頼めます。

入稿は、ギガファイル便のURLで受け付けています。

盤面に管理情報を書いておく

地味ですが効果が大きいのが、盤面へのレーベル印刷です。「〇年度 教育実習 授業記録/保存期限 〇年〇月/管理者 〇〇」と印刷しておけば、書庫を開けた人が中身と期限を判断できます。手書きのマーカーは擦れて読めなくなりますし、シールは経年で剥がれて再生機のトレイに残ることがあります。

ケースと背表紙の印刷にも対応しているので、背表紙側に同じ情報を入れておくと、棚に並べたまま期限切れのものを見つけられます。メニュー画面の作成やチャプター分けにも対応しているため、授業の導入・展開・まとめで区切っておくと、指導教員と見返すときに頭出しが速くなります。

納期の目安

実習の日程は動かせないので、いつ手元に届くかは事前に確認しておいてください。納期は通常便のほか、お急ぎお届けが+1,500円で平日15時までの注文・入稿なら翌々日までに発送、特急お届けが+3,000円で平日15時までの注文・入稿なら翌日発送となります。大阪市北区の店舗で受け取る場合は、当日店舗お渡しが+3,500円で、平日12時までの注文・入稿が条件です。DVDを急いで作るときの締切と逆算を踏まえて、事後指導の日程から逆算して発注すると余裕が出ます。

なお、ディスクを作ったら元のファイルは消す、という順序を守ってください。ディスクを作ることは、記録の置き場所を減らして管理しやすくするための手段です。ファイルもディスクも両方残せば、管理対象が増えただけで何も解決していません。紙一枚に書いた「どこに置くか」を、ディスクの所在に書き換えるところまでが一連の作業です。

日々多くのご注文をお受けしており、学校や教育関係の記録もその中に含まれます。用途に迷う点があれば、入稿前に相談してください。

よくある質問

Q. 教育実習で自分の授業を録画してもいいですか?

A. 学校の許可があれば可能です。ただし指導教員の口頭了解だけでは足りず、実習校の管理職の判断が必要になります。あわせて、大学の教職課程担当に実習中の撮影に関する方針があるかを事前指導の段階で確認してください。保護者への周知が必要かどうかは学校ごとに扱いが異なるため、自己判断せず管理職に相談します。撮影日時、目的、カメラの位置、視聴者の範囲、保存期間、削除の期日を書いたA4一枚の依頼文を用意して相談すると、話が早く進みます。

Q. 撮影の許可は誰に、いつまでに取ればいいですか?

A. 大学の教職課程担当、実習校の管理職、保護者への周知という三階層で考えます。大学には事前指導の期間中に、実習校には実習の第一週のうちに相談するのが動きやすい流れです。研究授業を撮る場合は、遅くとも二週間前には結論を出しておいてください。直前に相談して断られると、代替の記録方法を用意する時間がなくなります。保護者への周知は実習生が直接行うものではなく、学校からの文書という形で学校側が行うのが筋です。

Q. 児童生徒の顔が写らないように撮るにはどうすればいいですか?

A. カメラを教室の後方に置き、教壇と黒板が中心に来るように向けると、児童生徒は後頭部だけが写ります。三脚で床から140〜150cm程度の高さに固定し、中央からやや斜めに振ると、児童生徒の頭越しに黒板の下端まで入ります。ただし顔が写らなくても、授業中の呼名や指名で氏名と発言内容が音声に残ります。音声も個人情報を含む記録として扱い、保管方法を決めてください。撮影前に児童生徒へ一言説明することも欠かせません。

Q. 撮影を嫌がる児童生徒がいる場合はどうすればいいですか?

A. その子の席を移動させる対応は避けてください。特定の子だけを動かすと、かえって目立たせてしまいます。カメラの位置や画角のほうを変える、その時間は撮影を見送る、別の日に振り替える、といった形で吸収します。また、児童生徒の通院や家庭の事情など、健康や生活に関わる話題が出そうな単元は、あらかじめ撮影日から外しておくのが安全です。撮影中に想定外の話題が出たら、その場で録画を止め、あとで該当部分を削除します。

Q. スマートフォンで撮ってもいいですか?

A. 学校の許可があれば選択肢になりますが、設定を詰めておかないと途中で止まります。空き容量の確認、自動ロックの解除、通知と着信のオフ、電源への接続を必ず行ってください。1080pで50分ほど録ると数GB規模になることが多く、残り容量が少ないと録画が途中で終わります。また、私物端末に児童生徒の映像が残り続けるのは望ましくないので、実習最終日までに学校が指定する保存先へ移し、端末側からは削除するところまでを予定に入れておきます。

Q. 撮った授業動画は実習が終わったらいつ消せばいいですか?

A. 授業の録画に一律の法定保存年限を定めた規定は見当たらないため、自分たちで期限を決めることになります。大学の事後指導が終わるまで、あるいは教員採用の結果が出るまでといった具体的な出来事を基準にして、短めに切るのが安全です。長く持つほど管理者が異動し、保存先が分からなくなり、消す担当がいなくなります。削除の際は、ファイルを消すだけでなくゴミ箱を空にするところまでを手順に含めてください。クラウドは削除後も一定期間復元可能な領域に残る仕様が一般的です。

Q. 撮った動画を大学の事後指導や卒業論文に使ってもいいですか?

A. 最初に許可を得た目的の範囲に入っているかどうかで判断します。依頼文の段階で「大学の事後指導担当者が視聴する」と書いて許可を得ていれば、その範囲では使えます。卒業論文の分析対象にする、就職活動で見せる、サークルで共有するといった用途は当初の範囲外になるので、実習校の管理職に用途を明示して改めて相談するところからやり直してください。SNSへの投稿は、非公開アカウントであっても選択肢に入りません。

Q. 動画をDVDやブルーレイにする意味はありますか?

A. 最大の利点は、記録が数えられる状態になることです。クラウド上のファイルはコピーと共有リンクが静かに増えていき、いま何か所にあるか把握できなくなりますが、ディスクなら枚数を数え、貸出簿をつけ、施錠した書庫に置き、期限が来たら物理的に処分できます。盤面に保存期限と管理者名を印刷しておけば、書庫を開けた人が扱いを判断できます。ただし撮影したMP4やMOVをそのまま書き込んでも家庭用プレーヤーでは再生できず、オーサリングという変換・組み立ての工程が必要です。

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  • プレスリリース1

この記事の目次

  1. 実習の録画は本人の振り返りが目的|「誰が何のために見るか」を一行で書けないなら撮らない
  2. 撮影の許可は大学・実習校の管理職・保護者の三階層で、実習の第一週に確認する
  3. 児童生徒への配慮|画角は教壇側に固定し、健康や家庭の話題が出た場面は録らない
  4. カメラは教室後方に三脚で固定し、音声はICレコーダーを胸ポケットで別録りする
  5. 振り返りは三周で見る|等倍で通し、1.5倍速で自分の発話を拾い、最後に指示の言葉を書き出す
  6. 実習の最終日までに、私物端末のデータを学校管理の保存先へ移し、共有リンクを切る
  7. 保管と削除は撮る前に決める|保存場所・保存期間・削除する人を紙一枚に書いておく
  8. 共有リンクを増やさず、範囲を限った1枚のディスクで完結させる
  9. よくある質問

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