この記事の要点
診療録は5年保存します(医師法第24条第2項)。保険医療機関は、診療録を完結の日から5年、療養の給付に関する帳簿・書類その他の記録を完結の日から3年保存します(療養担当規則第9条)。
エックス線写真・手術記録・検査所見記録は、医療法施行規則第20条第10号の「診療に関する諸記録」です。病院は過去2年間の分を備えておきます。
電子保存は、真正性・見読性・保存性の3条件を満たすことが前提です。厚生労働省のガイドライン第7.0版(2026年6月)は、媒体が劣化する前の複写と、読めるかの定期的な確認を求めています。
患者や他院に渡すCD-Rは、7団体の合意事項(2016年)で、PDIに準拠し、圧縮も自動起動もせず、1枚に患者1名、動画は入れず、盤面に患者氏名・提供元・問い合わせ先を印刷する、と合意されています。
研修や学会で画像・動画を使うのは、保存とは別の手続きです。院内の研修は利用目的の公表が前提で、院外の人が加わる症例検討会は、原則として本人の同意が要ります。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
CTやMRI、レントゲンなどの医療画像を何年残すかは、その画像を法令のどの記録として扱うかで決まります。診療録は5年(医師法第24条第2項)。エックス線写真は医療法施行規則第20条第10号の「診療に関する諸記録」に名前があり、病院は過去2年間の分を備えておかなければなりません。保険医療機関には、保険医療機関及び保険医療養担当規則(療養担当規則)第9条もかかります。診療録は完結の日から5年、療養の給付に関する帳簿・書類その他の記録は完結の日から3年保存します。
法令の年数は、保存しなければならない期間です。 それより長く残すかどうかは、院内の規程で決めます。一方で、個人情報保護法第22条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることも求めています。何のために何年残すかを規程に書いておくと、残す根拠にも、消す時期の目安にもなります。
手術の映像や内視鏡の動画は、ここで確かめた条文に名指しの年数がありません。何の記録として残すかを院内で決め、決めた年数のあいだ読める状態を保ちます。電子で保存するなら、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」が求める真正性・見読性・保存性の3つの条件も満たす必要があります。
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医療画像の保存期間は何年か|法令ごとの年数と数え始め 手術映像・内視鏡の動画は、何を手がかりに残すか 電子保存の3条件(真正性・見読性・保存性)とは 保存先の媒体は、劣化する前に移し、切り離した複製を持つ 患者や他院に渡すCD-R|7団体の合意事項による作り方 研修・症例検討会・学会で画像や動画を使うとき 保存期間を過ぎた記録を消すときの手順 院内の決まり(規程)に書いておく項目 院内の画像と動画を見直す順番 よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
医療画像の保存期間は何年か|法令ごとの年数と数え始め
検査画像にかかわる保存の決まりを、条文の言葉に沿って並べました。条文は、2026年9月25日にe-Gov法令検索で確かめた現行の本文です。
記録
年数と根拠
診療録
5年 医師法第24条第2項
歯科の診療録
5年 歯科医師法 第23条第2項
診療録(保険診療)
完結の日から5年 療養担当規則第9条
帳簿・書類その他の記録(保険診療)
完結の日から3年 療養担当規則第9条
診療に関する諸記録(病院)
過去2年間の分を備えておく医療法施行規則 第20条第10号
診療録は5年。保存するのは管理者か、その医師
医師法第24条第2項は、病院や診療所に勤める医師がした診療の診療録はその病院・診療所の管理者が、それ以外の診療録はその医師が、5年間保存すると定めています。歯科医師法第23条第2項も、同じ形で5年です。検査の画像や動画をこの診療録の一部として扱うのか、別の記録として扱うのかは、院内の規程で決めておく事柄です。
エックス線写真は「診療に関する諸記録」。病院は過去2年間の分を備える
医療法第21条第1項は、病院が備えておく記録として「診療に関する諸記録」を挙げています(第9号)。その中身を定めた医療法施行規則第20条第10号には、「過去二年間の」次の記録が並びます。
病院日誌
各科診療日誌
処方せん
手術記録
看護記録
検査所見記録
エックス線写真
入院患者と外来患者の数を明らかにする帳簿
入院診療計画書
エックス線写真・手術記録・検査所見記録は、条文に名前のある記録です。地域医療支援病院(第21条の5第2号)と特定機能病院(第22条の3第2号)の諸記録にも、過去2年間のエックス線写真が挙がります。こちらには、紹介状や、退院した患者の入院期間中の診療経過の要約が加わります。どの規定も、主語は「病院」です。ここで確かめた条文には、CTやMRIの画像を名指しした言葉はありませんでした。
保険医療機関は「完結の日から」3年と5年
保険医療機関には、療養担当規則第9条がかかります。療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録は、その完結の日から3年。ただし、患者の診療録は完結の日から5年です。
数え始めを条文に書いているのは、この療養担当規則です。医師法第24条第2項は「五年間」とだけ書き、医療法施行規則第20条第10号は「過去二年間の」記録を備えておく、という書き方をしています。記録ごとに、どの規定の何年を当てはめ、いつから数えるかを規程に書いておけば、消してよい時期を判断するときに迷いません。
他院から持ち込まれた画像や、紙のカルテも対象になる
厚生労働省のガイドラインのQ&A(2026年9月)は、他の医療機関から持ち込まれたエックス線写真のコピーや画像データを自院の診療に使った場合について答えています。原本の保存義務は元の医療機関にあるものの、持ち込まれた医療情報を診療に使った医療機関にも保存義務が生じる、という答えです。紹介状に添えられたCD-Rの画像を診療に使ったら、自院でも残す記録になります。
電子カルテを入れる前の紙のカルテにも、法定の保存期間がかかります。紙の診療録をスキャナなどで適切に電子化し、管理責任者が保存義務の対象を電子化した診療録だと認めていれば、紙の診療録に法定の保存義務はない、というのが同じQ&Aの答えです。
手術映像・内視鏡の動画は、何を手がかりに残すか
手術の映像や、内視鏡・超音波の動画を何年残すかを名指しした規定は、この記事で確かめた医師法・医療法施行規則・療養担当規則の条文にはありませんでした。医療法施行規則の諸記録には「手術記録」がありますが、映像がそれに当たるかどうかは条文に書かれていません。どの記録の一部として何年残すかを院内の規程で決め、所管の行政機関に確かめておきます。
決めるときの手がかりは、厚生労働省のガイドラインのQ&Aにある、画像についての次の答えです。
CTの画像から作った3D画像を診断に使ったときは、元の画像だけでは保存性の条件を満たせない場合があるため、3D画像か、作り直すのに必要な処理の条件を保存する
3D画像を作るためだけに使い、診断の根拠にしていない中間の画像(thin slice の画像など)は、保存しなくてよい
確定した画像の濃度を変えたり拡大したりしただけの一時的な表示の変更は、原則として保存しなくてよい
検像を行う場合は、原則として検像のあとに確定した画像を保存する
4つの答えに共通するのは、診断の根拠に使ったものを、あとから同じ形で見られるように残すことです。動画のどこまでを残すかを決めるときも、同じ考え方が使えます。
診断の根拠に使ったものを、あとから同じ形で見られるように残す
紹介のために他院へ渡すCD-Rについては、事前の合意がない限り動画を入れない、という取り決めがあります。
残す形式は、仕様が公開された標準形式から選ぶ
形式について、同じQ&Aは、仕様が公開された標準形式を使うよう求めています。例に挙がっているのは、医用画像ならDICOM、文書ならPDF/A、表ならCSVです。形式を選ぶときは、仕様が公開されているか、長く保存できるか、文字・画像・署名の情報を保てるかを確かめるように、という注記も付いています。ガイドラインのシステム運用編も、保存性の条件に応えるために標準規格を採用するよう求めています。手術の映像を動画ファイルで残す場合も、この確かめ方で形式を選びます。
電子保存の3条件(真正性・見読性・保存性)とは
診療録やエックス線写真を電子媒体に保存するときの条件をまとめているのが、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」です。最新は2026年6月の第7.0版で、2023年5月の第6.0版を改めたものです。企画管理編によると、医師法の診療録のように法令にしたがって作る文書を電子媒体に保存するときは、3つの条件を満たす必要があります。条件の出どころは、厚生労働省の施行通知(2005年3月31日付け、2016年3月31日最終改正)です。
条件
求められること
真正性
書き換えや消去の有無と内容を確かめられる。作成の責任の所在が明らか
見読性
必要なときに画面に表示でき 書面にもできる
保存性
保存する期間中 復元できる状態で保存する
同じ3つの措置は、条文では、厚生労働省の所管する法令についての省令(平成17年厚生労働省令第44号)の第4条第4項が定めます。電磁的記録で保存できるものとして、医師法第24条第2項の診療録、療養担当規則第9条の記録、医療法第21条第1項の記録を並べているのも、この省令の別表です。
3つを短い言葉で言い直したのが、ガイドラインのQ&Aです。真正性は、作った人の意思どおりに作られ、その後に不正に作られたり書き換えられたり消されたりしていないことを確かめられること。見読性は、必要なときに人が読める形で表示か出力ができること。保存性は、法令などで決まった保存期間を通して、情報を元に戻せる状態で保存できることを指します。
見読性は、読むための機械とソフトまで残すこと
見読性について、Q&Aは、保存した情報と、表示や印刷に要るソフトウェア・マスタ・設定を対応付け、定期的に見読性を確かめるよう求めています。ソフトウェアやマスタのサポートが終わることも、見読性のリスクに挙がっています。ディスクに残すなら、読むためのドライブとソフトが手元にあるかも、確かめる対象に入ります。
保存性は、媒体が劣化する前に移すこと
保存性に直接かかわるのが、記録媒体の劣化への対策です。システム運用編は、記録媒体や設備の劣化で読み取れなくなるのを防ぐため、媒体が劣化する前に新しい媒体へ複写するよう求めています。媒体と機器ごとに、劣化せずに保管できる期間をはっきりさせ、使用開始日と使用終了予定日を管理し、定期的に読めるかを確かめる。その手順も作っておく、という内容です。
「一度しか書き込めないディスクなら改ざんされない」をどう読むか
DVD-RやBD-Rは、書き込んだ部分をあとから書き換えられないディスクです。ただ、真正性の条件は、書き換えや消去があったかどうかとその内容を確かめられることと、作成の責任の所在をはっきりさせることの2つでできています。書き換えられない性質は前の半分を助けますが、それだけで条件がそろうわけではありません。
いつ、誰が、どの記録を書き込み、元のデータと照らし合わせたか。これを台帳に残しておくと、責任の所在を示す材料になります。ガイドラインも、医療情報を入れた可搬媒体の所在を台帳で管理し、定期的に棚卸をする手順を作るよう求めています。媒体を台帳で管理するやり方は個人情報の入ったUSBメモリ・DVDの管理 で説明しています。
書き換えられない性質だけでは真正性の条件はそろわない。台帳は責任の所在を示す材料になる
保存先の媒体は、劣化する前に移し、切り離した複製を持つ
ガイドラインのシステム運用編は、バックアップを含む記録媒体について、保管の環境に気を配り(高温多湿や直射日光を避ける)、劣化する前に新しい媒体へ複写するよう求めています。ネットワークにつながない可搬媒体で外部に保存する場合の注意は2つです。耐久性の低い製品もあるので、経年の変化に慎重に対応すること。1つの媒体に入る情報の量が多いので、紛失にもより慎重になること。
HDDもディスクも、永久にはもたない
外付けHDDについて、バッファローは、精密機器であり消耗品でもあり、使う環境や使い方によっては数年で寿命になることがあると案内しています。恒久的なデータの保存場所ではない、とも書いています。何年もつかの年数は、HDD・SSD・USBメモリ・光ディスクの寿命比較 で確かめたメーカーの範囲では公表されていません。
記録型のディスクも永久ではありません。マクセルはDVDについて、自社で定めた環境試験で、よい記録状態なら一般的な環境と使い方で数十年の保存に耐える性能を確かめているとしています。ただし永久ではなく、取り扱いで保存できる期間は大きく変わる、ともしています。BD-Rを含む種類ごとの年数の目安と、資料によって数字が違う理由はCD・DVD・ブルーレイの寿命は何年か にまとめました。どの媒体を選んでも、院内で保管期間を決め、その前に次の媒体へ移すことになります。
ランサムウェアに備えて、ネットワークから切り離した複製を持つ
第7.0版の策定の通知が見直しの背景に挙げたのは、第6.0版の公表のあとも、医療機関などを対象にしたサイバー攻撃が続いていることでした。
システム運用編によると、一定規模以上の病院や、地域で重要な機能を果たしている医療機関では、バックアップの記録媒体を端末やサーバ、ネットワークから切り離して保管することが強く求められます。日次でバックアップを取るなら少なくとも3世代を持ち、3世代目以降の古い世代は、ネットワーク的に、あるいは論理的に書き込めない状態にする。そうした対策が必要だ、とも書かれています。
方式は、次の中から2つ以上を選ぶ想定です。1つの障害で、すべてのバックアップが使えなくなるのを避けるためです。
外部ストレージ・内蔵ストレージ(HDD、SSDなど)
リムーバブルメディア(RDX、磁気テープ、DVDなど)
NAS
クラウドサービス
Q&Aも、ランサムウェアへの対策としてオフラインのバックアップを確保するのは有効だと答えています。複数の媒体に分けることと、製品や事業者のサービスが終わることも考えて、定期的な読み出しの確認と移行の計画を決めることも、あわせて求めています。
「追記不能型」のバックアップ用の記録媒体(一定期間追記不能型のWORMストレージを含む)の整備も、通常時に備える技術的な対応の例の一つです。書き換えられない媒体が攻撃への備えになる理由はランサムウェア対策のオフライン保管 にまとめました。複製を3つ持ち、2種類の媒体に分け、1つは別の場所に置く考え方は3-2-1バックアップの組み方 に書きました。
災害に備える置き場所
災害への備えとして、ガイドラインは遠隔地へのバックアップを例に挙げています。医療情報を入れた機器や記録媒体を保管する建物についても、地震・水害・落雷・火災と、それに伴う停電に耐えられる機能と構造があり、結露などへの対策が講じられているかを考えるよう求めています。サーバと同じ建物にだけ複製を置くと、同じ災害で両方を失うおそれがあります。
HDDもディスクも永久にはもたない。劣化する前に移し、置き場所を分ける
患者や他院に渡すCD-R|7団体の合意事項による作り方
紹介状に添える画像のCD-Rには、作り方の取り決めがあります。2016年9月12日付けの「患者紹介等に付随する医用画像についての合意事項」です。まとめたのは、次の7団体です。
日本医学放射線学会
日本放射線技術学会
日本画像医療システム工業会(JIRA)
保健医療福祉情報システム工業会
日本IHE協会
日本医療情報学会
日本診療放射線技師会
紹介などのために医用画像を可搬型媒体やネットワークで他の医療施設に渡す場合と、受け取った場合が対象になります。特定の施設と事前に協議し、双方が内容を承知している受け渡しは対象外ですが、患者が希望した場合でも、施設どうしの事前の合意がなければ、この合意事項を当てはめます。
合意事項が準拠を求めるPDI(Portable Data for Imaging)は、可搬型の媒体で医用画像をやり取りするためのIHEの統合プロファイルです。厚生労働省の標準規格の一覧(2025年1月改正)にも「IHE統合プロファイル「可搬型医用画像」およびその運用指針」(HS009)として載り、DICOM(HS011)と並んでいます。提供する側が守ることは、次のとおりです。
項目
合意事項の内容
規格
PDIに準拠するDICOM規格に違反しない
圧縮
DICOM画像を圧縮しない
自動起動
ビューアなどを自動で起動させない
患者の数
1枚のCD-Rに患者1名・1ID
入れないもの
シンスライスやボリュームデータ などの大量の画像、動画像
盤面
患者氏名・ 提供元の医療施設名・問い合わせ先をレーベル印刷
ビューア
同梱するならREADME.TXTにベンダー名と問い合わせ先
ほかのファイル
PDFやJPEGはOther Contentとして扱い、そのことを盤面かREADME.TXTに明記する
作った後
ほかの情報を追記しない
動画や大量の画像を入れない理由として、合意事項の解説は、受け取る側の端末の性能や環境によっては、開けない、見かけ上フリーズするなど、ふだんの診療に支障が出るおそれを挙げています。病歴にある全部の検査画像のような大量の情報を1枚に書き込むと、受け取った側はどれが要の検査かをすぐに判断できません。代わりに勧めているのは、提供する側が要となる検査やシリーズ(キースタディ、キーシリーズ)を選んで入れることです。
合意事項の対象の外になりますが、緊急を要する手術のための搬送のように、相手が求める画像が先に分かっているときは、大量の画像をDVD-Rなどに入れることもあります。その場合も、データの構造はPDIを踏襲する、と解説は書いています。
ビューアを入れるか、入れないか
ビューアを同梱すること自体は問題ない、というのが合意事項の立場です。置き場所はPDIのOther Contentの位置とし、起動の方法と操作の方法を書いたファイルか説明書を添えるのが望ましい、とされます。一方で、病院の端末は自動起動やソフトのインストールが禁止されている例が多く、自動で起動する設定のCD-Rは流通させるべきでない、とも書いています。
日本IHE協会が掲載しているPDIの説明(連携用医用情報)は、もう一歩慎重です。ビューアを入れるとセキュリティと相互運用の問題が生じうるので、望ましくないとしています。
ディスクの中身と、渡したあとの扱い
PDIのディスクには、中身を参照するためのファイルが2つあります。ディスクに入れたDICOMのファイルすべてを参照するDICOMDIRというファイルと、入れるかどうかを選べる、ウェブブラウザで見るためのINDEX.HTMです。DICOMのファイルは、ルートディレクトリには置かないものとされています。
DICOMのファイルはルートに置かない。ビューアやPDFはOther Contentに入れる
PDIは、暗号化などのアクセス制限を扱っていません。PDIの説明は、こうして作ったディスクを鍵のかからない情報(紙の記録のようなもの)と考えるのが望ましいとしています。例に挙がっているのは、他の患者のデータを含むディスクを患者に渡さないことと、部外者に持ち去られる場所に置かないことです。
ネットワークで渡す方法もあります。日本IHE協会の「トークンを用いたクラウド型情報交換技術仕様(cloudPDI)」は、PDIの形式のデータを元に送る仕様で、これまでのCD・DVDを使った運用と併用できるとしています。この仕様は、2025年1月に厚生労働省の標準規格(HS043)に加わりました。
受け取ったディスクを読み込むとき
受け取る側について、合意事項は次のことを求めています。
病院の情報端末は、自動起動の設定を無効にしておく
持ち込まれた画像の検査日時を変えない
モダリティコードを、本来の検査の種類と違うコードに変えない
特段の理由なく、持ち込まれた画像を他の施設に出さない
診断には、できる限りふだん使っているPACSなどのビューアを使う
持ち込まれたデータを自施設のシステムに取り込む手順を扱うのが、日本IHE協会が説明しているIRWFという統合プロファイルです。他施設から持ち込まれたCDなどのデータを取り込むとき、元の情報を残したまま、自施設の運用に合わせた情報に書き換えられるようにします。外部から情報を受け取るときは、コンピュータウイルスなどのマルウェアが混じっていないかを確かめるよう、ガイドラインのシステム運用編も求めています。取り込んだ画像を診療に使えば、自院にも保存義務が生じます。
患者さんが手元で見るとき
PDIの説明によると、患者や紹介先の医師は、ディスクに入ったビューアか、ウェブブラウザで中身を見ることができます。このデータは必ずしも診断や治療の基礎にすることを意図したものではなく、参考のためのデータとされています。
中身はパソコンで開くデータで、テレビにつないだDVDプレーヤーで再生する映像のディスクとは作りが違います(データDVDと映像DVDの違い )。ドライブのないパソコンで開くときは、外付けのドライブを使います(ドライブのないパソコンでDVDを見る方法 )。
研修・症例検討会・学会で画像や動画を使うとき
保存と、研修や発表に使うことは、別の手続きです。病歴を含む個人情報は、個人情報保護法第2条第3項が定める要配慮個人情報に当たります。使う場面ごとの考え方は、個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(2026年4月一部改正)と、そのQ&A(事例集)に書かれています。
院内の研修。職員を対象にした研修での利用は、第三者への提供には当たりません。ただし、その利用目的を院内掲示などで公表していなければ、本人の同意を得るか、個人が特定されないよう匿名加工情報に加工する必要があります(ガイダンス)。公表していれば、改めて同意を得る必要はありません。ただ、その場合もできる限り氏名などを消し、必要最小限の利用にとどめることが望ましいとされています(Q&A)
院外の人が加わる症例検討会。患者の個人データを第三者に提供することになるため、原則として、あらかじめ本人の同意が要ります。匿名加工情報にして使うなら、個人情報に当たらないので、同意は要りません(Q&A)
研究や学会での発表。学術研究には例外の規定があります。ただし、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」などの指針に当たる医学研究は、その指針に従います。指針では、原則としてインフォームド・コンセント(同意)を得ることとされ、一定の条件で必ずしも要しない場合も定められています(Q&A)
気をつけたいのは、名前を消しただけでは個人情報でなくなるとは限らないことです。Q&Aは、氏名などを消したり、顔写真に一定のマスキングをしたりしても、他の情報と容易に照らし合わせて特定の個人が分かる場合は、全体として個人情報に当たると答えています。動画には、顔のほかに声や、画面に映った患者名が入ることもあります。
学会や論文で使うときは、院内の倫理審査や個人情報の窓口と、発表先の決まりで手続きを確かめてください。発表用に加工した版を作ったら、元のデータと取り違えないように、どちらを誰に渡したかを台帳で分けて管理します。動画の匿名化で見る場所と、症例報告と研究の分かれ目は、症例動画を学会発表で使うとき にまとめました。
保存期間を過ぎた記録を消すときの手順
法令の年数を過ぎた記録を消すかどうかは、院内の規程で決めます。消すと決めたら、消し方にも決まりがあります。ガイドラインのシステム運用編は、医療情報を入れた機器について、OSのファイル管理の機能で削除するだけでは不十分だとしています。専用のソフトウェアなどで、元に戻せない形で確実に消すよう求めています。
記録媒体を物理的に壊すことも選択肢の一つです。廃棄を外部の事業者に頼んだときは、廃棄の対象・方法・実施日・実施者・結果を含む廃棄証明書などの証跡をもらって、内容を確かめます。
法的な保存期間が終わったあとも、個人情報の保護には十分に配慮する必要がある、ともガイドラインは書いています。DVD-RやBD-Rは、書いた中身を上書きで消せないので、物理的に読めなくして処分します。その方法はディスクの捨て方 にまとめました。
保存期間が終わったあとも、個人情報の保護に配慮して消す
院内の決まり(規程)に書いておく項目
ここまでの決まりを院内の規程にするときの項目です。どれも、この記事で取り上げた法令、ガイドライン、合意事項、ガイダンスのいずれかに対応しています。
対象にする記録と保存する年数。医師法・医療法施行規則・療養担当規則のどれにもとづくか、画像や動画を何の記録として扱うか、いつから数えるか
電子で保存するときの、真正性・見読性・保存性の確保のしかた
媒体と機器ごとの、劣化せずに保管できる期間、使用開始日と使用終了予定日、読めるかを確かめる周期と手順
バックアップの方式(2つ以上)と世代、ネットワークから切り離す媒体
画像を入れた可搬媒体の台帳と棚卸、持ち出すときの暗号化
患者や他院に渡すCD-Rの作り方と、受け取った媒体の取り込み方
研修・症例検討会・研究で使うときの手続き
保存期間を過ぎた記録の消し方と、その証跡
第7.0版では、専門の人材が足りない小規模の医療機関を想定した保守委託機関編が加わりました。すべてのサーバのセキュリティアップデートを事業者に委託している医療機関(クラウドサービスの利用を含む)は、保守委託機関編を守ることで、ほかの編の項目も守れているとみなす、という内容です。
院内の画像と動画を見直す順番
画像と動画がどこにあるかを書き出す(PACS、検査機器、外付けHDD、ディスク、USBメモリなど)
それぞれを何の記録として何年残すかを、条文と照らして決める
媒体ごとの保管期間と、読めるかを確かめる周期を決め、台帳に書く
ネットワークから切り離したバックアップと、その世代を確かめる
決めたことを規程に書き、所管の行政機関に確かめる
当社は、動画ファイルから、プレーヤーで再生できるDVD・ブルーレイを作る大阪・梅田の小さな店です。院内の研修や説明用に自分たちで撮った動画を、DVD・ブルーレイにして配るときにお使いいただけます。注文は1枚からで、動画を上げたギガファイル便のURLを注文フォームに貼っていただく形です。作るときの考え方は研修・マニュアル動画のDVD教材化 と会社案内DVDの作り方 の医療機関の説明の節にまとめています。
よくある質問
Q1. 医療画像(CT・MRI・レントゲン)の保存期間は何年ですか? 画像をどの記録として扱うかで変わります。エックス線写真は医療法施行規則第20条第10号の「診療に関する諸記録」に挙がり、病院は過去2年間の分を備えておきます。保険医療機関は療養担当規則第9条により、療養の給付に関する記録を完結の日から3年、診療録を5年保存します。ここで確かめた条文にCTやMRIの画像を名指しした言葉はないので、院内の規程で扱いを決めます。
Q2. 保存期間は、いつから数えますか? 数え始めを条文に書いているのは療養担当規則第9条で、「その完結の日から」です。医師法第24条第2項は「五年間」とだけ書き、医療法施行規則第20条第10号は「過去二年間の」記録を備えておく書き方です。記録ごとにどの規定を当てはめ、いつから数えるかを院内の規程と台帳に書いておくと、消してよい時期を判断しやすくなります。
Q3. 他院から持ち込まれたCD-Rの画像も、保存しなければなりませんか? 診療に使ったなら、保存の対象になります。厚生労働省のガイドラインのQ&Aは、原本の保存義務は元の医療機関にあるものの、持ち込まれた医療情報を診療に使った医療機関にも保存義務が生じると答えています。取り込むときは、合意事項のとおり検査日時やモダリティコードを変えず、端末の自動起動を無効にしておきます。マルウェアが混じっていないかの確認も、ガイドラインが求めています。
Q4. 手術動画や内視鏡の動画の保存期間は決まっていますか? この記事で確かめた医師法・医療法施行規則・療養担当規則の条文に、動画を名指しした年数はありません。医療法施行規則の諸記録には手術記録がありますが、映像がそれに当たるかは条文に書かれていません。何の記録として何年残すかを院内の規程で決め、所管の行政機関に確かめます。診断に使った3D画像は保存が要る、という厚生労働省のQ&Aの答えも手がかりになります。
Q5. 電子カルテにする前の紙のカルテやフィルムは、捨ててもよいですか? 紙のカルテにも法定の保存期間がかかります。厚生労働省のガイドラインのQ&Aは、要件を満たして電子化すれば原本を廃棄できるとしています。一方で、法令上原本の保存が必要な文書や、スキャンで有用な情報が失われる場合は、原本を残すか別の記録手段を使うよう求めています。フィルムを読み取る解像度は、日本医学放射線学会の「デジタル画像の取り扱いに関するガイドライン」などを参考にするよう書かれています。
Q6. 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の最新版は何版ですか? 2026年6月の第7.0版です(2026年9月25日に厚生労働省のページで確認)。2023年5月の第6.0版を改めたもので、概説編・経営管理編・企画管理編・システム運用編に、保守委託機関編が加わりました。Q&Aは2026年9月版です。電子保存の3条件は企画管理編に、媒体の劣化やバックアップの決まりはシステム運用編に書かれています。
Q7. 患者に渡すCD-Rに、ビューアを入れてもよいですか? 7団体の合意事項は、同梱すること自体は問題ないとしています。PDIのOther Contentの位置に置き、起動と操作の方法を書いたファイルか説明書を添え、README.TXTにビューアのベンダー名と問い合わせ先を書きます。自動で起動する設定は禁止です。病院の端末は自動起動やインストールを禁止している例が多く、受け取る側は、できる限りふだん使っているPACSなどで診断することとされています。
Q8. BD-RやDVD-Rに保存すれば、改ざんしていない証明になりますか? 書き換えられない性質だけで、真正性の条件がそろうわけではありません。電子保存の真正性は、書き換えや消去の有無と内容を確かめられることと、作成の責任の所在をはっきりさせることの2つからなります。誰がいつ何を書き込み、元のデータと照らし合わせたかを台帳に残し、媒体の所在も台帳で管理しておくと、説明の材料がそろいます。
Q9. 外付けHDDに保存しておけば足りますか? 1台だけに任せないようにします。バッファローはHDDを精密機器であり消耗品でもあるとし、使い方によっては数年で寿命になることがあると案内しています。厚生労働省のガイドラインが想定するのは、HDD・SSD、RDXや磁気テープ・DVDなどのリムーバブルメディア、NAS、クラウドから、2つ以上の方式を選ぶことです。一定規模以上の病院などには、ネットワークから切り離した媒体での保管を強く求めています。
Q10. 学会発表で検査画像を使うとき、患者の同意は要りますか? 研究として行うなら「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」などに従い、原則として同意を得ます(一定の条件で必ずしも要しない場合も定められています)。氏名を消したり顔にマスキングをしたりしても、他の情報と照らし合わせて個人が分かれば、個人情報のままです。院内の倫理審査や個人情報の窓口と、発表先の学会の決まりで手続きを確かめてください。
参考にした公式の情報
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この記事は、2026年9月25日時点の法令(e-Gov 法令検索)と、各機関の公式資料の記載をもとにしたものです。個別の判断は、院内の規程と所管の行政機関に確かめてください。
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