この記事の要点
お店で市販の曲を流すことは、CDなどを再生する場合も含めて、著作権法の「演奏」です(第2条7項・第22条)。許可なしに流せる例外は、営利を目的とせず、料金を取らず、演奏者に報酬を払わない場合(第38条1項)で、営業として流す店のBGMは入りません。
手段は3つです。JASRACと契約している業務用のBGMサービスを使う、CDなどを流す店がJASRACとBGMの契約を結ぶ(店舗の面積500㎡までなら年額6,000円・消費税相当額は別)、店での利用を認めたライセンスの音源を使う、のどれかです。
Spotify、Apple Music、Amazon Music、YouTube Music、LINE MUSICは、日本語の利用規約で使い道を個人・非商用(私的使用)の範囲に限っていて、店のBGMにはできません。
テレビやラジオの放送を、通常の家庭用の受信機でそのまま流すのは、営利の店でも許可は要りません(第38条3項)。ネットラジオ、録画した番組、画面を大きく映す特別な装置(第100条)は別です。
市販やレンタルのDVD・ブルーレイを店で映すのは「上映」で、作品の権利者の許可が要ります(第22条の2)。CDをコピーして流すなら複製の許諾が、生演奏ならBGMとは別の手続きが要ります。
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開店の準備で、スマホの音楽アプリをBluetoothのスピーカーにつなぎ、店に合いそうなプレイリストを流してみる。音の雰囲気は申し分なくても、その曲を店で流してよいかは、別に確かめておく必要があります。
お店で市販の曲を流すことは、CDなどを再生する場合も含めて、著作権法の「演奏」にあたります(第2条7項)。曲を公衆に聞かせる目的で演奏する権利は、作詞者・作曲者のものです(第22条)。許可なしに流せる例外は、営利を目的とせず、聞く人から料金を取らず、演奏する人に報酬を払わない場合です(第38条1項)。JASRACは、お店の営業の一環として音楽を使う場合は、ミュージックチャージのような直接の対価を受けていなくても手続きが必要だとしています。
手続きの方法は3つあります。JASRACと契約している業務用のBGMサービスなら、事業者が店に代わって使用料を払っているので、店の手続きは要りません。CDなどを自分で流すなら、店がJASRACとBGMの契約を結びます。年額の使用料は店舗の面積で決まり、500㎡までなら6,000円(消費税相当額は別)です。3つめは、店での利用を認めたライセンスの音源を使う方法。
個人向けの音楽配信は、Spotify、Apple Music、Amazon Music、YouTube Music、LINE MUSICのどれも、利用規約で使い道を個人・非商用の範囲に限っているので、店のBGMにはできません。
個人向けの音楽アプリはどれにも入らない。3つのどれかで流す
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
お店で音楽を流すのは著作権法の「演奏」|営業する店は例外に入らない Spotify・Apple Musicなどのサブスクを店で流せない理由 店舗でBGMを流す3つの方法 JASRACのBGMの使用料はいくらか、どう申し込むか テレビやラジオは、家庭用の受信機でそのまま流すなら手続き不要 市販やレンタルのDVD・ブルーレイを店で流すには、上映の許可が要る CDを店のパソコンやスマホにコピーして流すとき 生演奏やライブを店で開くとき 残りの3項目を見る 自社で撮った紹介映像を店で流す 開店前に確かめる5つのこと よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
お店で音楽を流すのは著作権法の「演奏」|営業する店は例外に入らない
著作権法は、録音されたものを再生することも「演奏」に含めています(第2条7項)。文化庁の著作権テキストも、演奏権は生の演奏だけでなく、CDやDVDなどの録音物・録画物から音楽を再生することにも働くと説明しています。歌うことも演奏のうちです(第2条1項16号)。
ネットで配信される曲や、テレビ・ラジオの放送を受信して聞かせることには、「公の伝達」という別の権利(第23条2項)がかかわります。文化庁は、放送番組をテレビで公衆に見せることや、インターネットなどで送られてくる著作物をディスプレイなどで公衆に伝えることを、その例に挙げています。
演奏権が働くのは、公衆に直接聞かせることを目的とする場合です(第22条)。著作権法の「公衆」には、不特定の人のほか、特定かつ多数の人も入ります(第2条5項)。文化庁は、相手が一人であっても、誰でも対象になるサービスなら「不特定の者」に向けたものとして公衆向けと評価される、と書いています。
許可なしに演奏できる例外として、第38条1項は次の3つを定めています。
営利を目的としないこと
聴衆から料金を取らないこと
演奏する人に報酬を払わないこと
3つをすべて満たすときの例外で、文化庁が挙げる例は、学校の学芸会や公民館での上映会です。店については、自分で買ったCDでも、店のBGMとして流すなら演奏(録音物の再生)の許諾手続きが必要だと、JASRACは答えています。学校行事で曲を流すときの第38条の考え方は、学校行事の録画・DVD配布と著作権 にまとめました。
CDをそのまま流すときに働くのは、作詞者・作曲者の演奏権で、手続きをするのは店の経営者です。歌手やレコード会社の権利(著作隣接権)は、CDをそのまま流すことには働きません(JASRAC)。
流し方
要る手続き
スマホの音楽アプリ
規約で使い道が個人・非商用に限られている
業務用のBGMサービス
JASRACの一覧に載る事業者なら 店の手続きは不要
買ったCDをそのまま
JASRACとBGMの契約を結ぶ
CDをコピーして流す
複製の許諾と、場合によってはレコード会社などの許諾も要る
テレビ・ ラジオをそのまま
通常の家庭用の受信機なら不要(第38条3項)
YouTubeの動画
規約が、不特定 または多数への上映を認めない
市販・ レンタルのDVDなど
作品の権利者の上映の許諾(第22条の2)
生演奏・ ライブ
BGMとは別にJASRACなどへ申し込む
Spotify・Apple Musicなどのサブスクを店で流せない理由
スマホで聞き放題の音楽配信(サブスク)は、著作権の手続きより前に、サービスとの約束である利用規約で使い道が決まっています。2026年9月25日に各社の日本語の利用規約を読むと、どれも個人(私的)で非商用の利用に限っていました。
サービス
利用規約の決まり
Spotify
個人利用と非商業利用に限って許可する
Apple Music
サービスとコンテンツの利用は、個人利用と非商用利用のみ
Amazon Music
買った曲も含め、個人の非商用の娯楽目的に限る
YouTube Music
有料サービスは、個人的かつ非商用目的に限る
LINE MUSIC
私的使用目的の範囲に限り、商用の使用は認めない
Spotifyの利用規約(2025年8月26日更新)は、サービスとコンテンツを「個人利用および非商業利用」に限って許可しています。ユーザーガイドラインは、コンテンツの上演や公開、公衆への提供を認めていません。
Appleのメディアサービス利用規約(2026年9月14日更新)は、Apple MusicやiTunesを含むサービスとコンテンツの利用を「個人利用および非商用利用のみ」としています。Amazon Musicの利用規約(2025年1月29日更新)も、買った曲を含めて、個人の非商用的な娯楽目的に限って使えるとしています。
YouTube Music Premiumを含むYouTubeの有料サービスの利用規約(2026年6月18日発効)は、個人的かつ非商用目的で利用する場合にだけ使える、という定めです。LINE MUSICの利用規約(2026年9月9日更新)は、コンテンツの使用を「私的使用目的の範囲」に限り、商用の使用は一切認めないと書いています。インターネットでラジオを聞くradikoのユーザー規約も、「ユーザー本人の」個人的な視聴を超えて使うことを認めていません。
曲ごとに買ったダウンロードの音源も、AppleとAmazonの規約では、この個人・非商用の決まりの中に入っています。JASRACも、聞き放題のサービスは個人的な利用に限られている場合があるとして、店のBGMに使うなら、申し込みの前に各サービスの利用規約を確かめるよう案内しています。JASRACとの契約は曲の著作権の許諾で、配信サービスの規約とは別のものです。
店舗でBGMを流す3つの方法
どの方法でも、流す曲の権利がどう扱われているかを、公式の説明で確かめてから使います。
①JASRACと契約している業務用のBGMサービスを使う
有線音楽放送のように店に音源を届ける事業者(音源提供事業者)には、JASRACと契約し、店に代わってBGMの使用料を払っている事業者があります。JASRACの「利用許諾契約を締結している音源提供事業者一覧」(2025年6月18日更新)に載っている事業者のサービスなら、店がJASRACに手続きをする必要はありません。有線音楽放送とCDの両方をBGMとして流す場合も、店が個別に手続きしなくてよい、というのがJASRACの案内です。
一覧に載っていない事業者のサービスでJASRACの管理曲を流すなら、店の経営者がJASRACと契約します。申し込む前に、一覧に事業者の名前があるかと、サービスの公式の説明で店での再生の著作権がどう扱われているかを確かめます。
②CDをそのまま流し、JASRACとBGMの契約を結ぶ
手持ちのCDなどを自分で流したいときは、店がJASRACとBGMの利用許諾契約を結びます。年間の包括的な契約で、JASRACが管理するすべての曲が対象になり、使用料は店舗の面積で決まります。契約の名義人は店の経営者で、BGMだけの利用ならオンラインで申し込めます。
ただし、JASRACの許諾の対象は、JASRACが著作権を管理する曲だけです。そのほかの曲は、それぞれの権利者から許諾を得ます(JASRACのよくあるご質問)。
③店での利用を認めた音源を使う
権利者が店での利用を認めている音源を、その条件どおりに使う方法です。たとえばOpenTracks(2026年9月15日にDOVA-SYNDROMEから改名)の音源利用ライセンスは、商用・非商用を問わない背景音楽としての使い方に「店舗、結婚式、その他イベントでの利用」を挙げています。そのうえで、音源をダウンロードして、CDやパソコン、スマホなどの外部メディアから流すよう求めています。
このサービスで曲を公開する作曲者には、著作権管理団体などと管理の契約をしていないことが条件になっています。同じサービスでも、作曲者が別に利用条件を決めている曲は、その条件が優先されます。使う曲のページとライセンスを読み、曲名と作曲者名、ページのURL、ダウンロードした日を控えておけば、出どころを聞かれたときに見せられます。
JASRACのBGMの使用料はいくらか、どう申し込むか
JASRACの使用料規程(第12節 BGM)では、年間の契約の使用料が、一般の店舗は店舗の面積、宿泊施設は宿泊定員で6段階に分かれています。一般の店舗の年額は次のとおりで、どの額にも消費税相当額が加わります。
店舗の面積
年額
500㎡まで
6,000円
1,000㎡まで
10,000円
3,000㎡まで
20,000円
6,000㎡まで
30,000円
9,000㎡まで
40,000円
9,000㎡を超える場合
50,000円
面積に数えるのは、音楽が流れている(聞こえる)範囲です。事務所やバックヤード、厨房、従業員専用の休憩室やトイレのように、従業員しか使わない場所は含めません(JASRACのよくあるご質問)。規程には年間の契約のほか、1か月ごと(500㎡までで1,200円)と、1曲1回ごとの使用料もあります。
申し込みの流れ
JASRACのサイトの「BGMオンライン申請」の注意事項を読み、手続きが要らない場合(下の早見表)や、BGMの契約では流せない使い方に当たらないかを確かめる
個人か法人かのフォームを選んで申し込む。郵送で申し込むなら、申込書をダウンロードして送る
JASRACから許諾書とステッカーが届く。ステッカーは契約店であることを示すもので、店の入口などに貼る
使用料を払う。口座引落のほか、銀行やコンビニエンスストアでの振込、PayPayなどのスマホ決済も選べる
オンラインの申し込みは、店で続けてBGMを流す場合のためのものです。海の家やビアガーデンのように月単位で期間を限って流す場合や、展示会などで1日から数日だけ流す場合は、JASRACの支部に連絡します。チェーン店のように複数の店を経営しているなら、まとめて契約できるので担当の支部に相談します。2店舗目を開くとき、移転するとき、BGMの契約をした店で生演奏を始めるときも、支部への連絡が要ります。
NexToneが管理する曲を流すとき
曲の著作権を管理しているのは、JASRACだけではありません。NexToneの管理の区分には「上映・BGM等」が含まれ、使用料規程(2026年2月27日届出)の第22条にBGMの使用料が定められています。年額と月額は、JASRACと同じ面積の区分の額に、流す曲のうちNexToneが管理する曲の割合(著作物利用比率)を掛けたものです。
ただ、NexToneの利用者向けのページには、コンサート・イベントや上映会の申し込みの案内はあるものの、店のBGMの案内は載っていません(2026年9月25日時点)。NexToneの曲も流すなら、手続きの方法をNexToneに問い合わせます。どちらの団体の曲かは、JASRACの作品検索データベース(J-WID)や、NexToneの作品データベースで調べられます。
業態別の早見表|手続きが要らない場合もある
JASRACのBGMの扱いは、場所や業態でも変わります。使用料規程とBGMオンライン申請の注意事項をもとに並べました。
場所・業態
JASRACのBGMの扱い
一般の店舗
店舗の面積の区分で年額
宿泊施設
宿泊定員の区分で年額
医療施設・ 福祉施設
当分の間、使用料は免除
教育機関
当分の間、使用料は免除
事務所・ 工場
主に従業員向けなら免除
露店
短時間で軽微な利用なら免除
海の家・ ビアガーデン
月単位の利用。オンラインでは申し込めない
展示会など数日の催し
オンラインでは申し込めず、支部に連絡
表の免除は、使用料規程に「当分の間、使用料を免除する」とある利用です。ほかにも、次の場合は、JASRACへのBGMの手続きは要りません。
テレビやラジオの放送をそのまま流す場合(第38条3項)
一覧に載ったBGMサービスを使う場合
カラオケや生演奏ですでにJASRACと契約している場合
著作権が消滅した曲や、JASRACが演奏を管理していない曲だけを流す場合
反対に、BGMの契約では足りない使い方もあります。生演奏、カラオケ、ダンスやショー・演劇の伴奏、モニターやスクリーンで映像を伴う利用、商品や企業の広告のための利用、フィットネスクラブのスタジオ、カルチャーセンターの講座、音楽教室での教授は、BGMとは別の手続きで、オンラインでは申し込めません(JASRAC)。
当てはまるものは、BGMの契約とは別に手続きする。オンラインでは申し込めない
テレビやラジオは、家庭用の受信機でそのまま流すなら手続き不要
放送中の番組を受信機でそのまま流すことは、第38条3項の例外にあたります。条文は、営利を目的とせず料金も取らない場合に、受信装置を使って放送を公に伝達できるとしたうえで、「通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする」と続けています。文化庁はこの例外を「喫茶店に置いてあるテレビなどの受信機」の場合として説明し、通常の家庭用受信機を使うなら営利目的でもよいとしています。JASRACの案内でも、テレビやラジオの放送をそのまま流すBGMは手続き不要です。
そのJASRACが、原則として手続きが必要だとしているのは、インターネットラジオを使う場合、放送を録音して流す場合、家庭用の受信装置以外を使う場合の3つです。ネットで聞くradikoのユーザー規約も、個人的な視聴を超える利用を認めていません。
大きな画面で番組を見せるとき(第100条)
テレビ放送を受信し、影像を拡大する特別の装置を使って公に見せる権利は、放送局(放送事業者)が持っています(第100条)。文化庁は、この装置の例として超大型テレビやオーロラビジョンを挙げています。どこからが「通常の家庭用受信装置」かは、条文に大きさの数字では書かれていません。大きなスクリーンやプロジェクターで試合や番組を見せたいときは、放送局に確かめます。
録画した番組を流すとき
録画した番組を店で流すのは、放送をそのまま伝えることとは違います。文化庁は、パソコンなどに保存した著作物をスクリーンなどに映すことは「上映」で、「公の伝達」ではないと説明しています。
店で流すための録画は、仕事で使う複製なので、私的使用のための複製(第30条)に入りません(文化庁)。家で見るつもりで録画した番組を、あとから店で流すと、目的外の使い方として複製をしたものとみなされます(第49条)。録画とダビングの決まりはテレビ番組の録画とダビング10 で説明しています。
手続きが要らないのは、放送を家庭用の受信機でそのまま流すときだけ
市販やレンタルのDVD・ブルーレイを店で流すには、上映の許可が要る
ディスクやパソコンの映像をテレビやモニターに映すことは、著作権法の「上映」です。条文は、著作物を映写幕その他の物に映すことを上映とし、映画の音を再生することも含めています(第2条1項17号)。文化庁は、スクリーンやディスプレイに映すことが上映にあたり、インターネットで入手してパソコンに保存した動画をディスプレイで見せることも上映だと説明しています。
著作者は、著作物を公に上映する権利を持っています(第22条の2)。非営利・無料・無報酬の例外(第38条1項)は上映にも当てはまりますが、営業している店で流すなら、演奏と同じくこの条件から外れます。JASRACも、店や施設で音楽付きの動画を流す場合は上映の手続きが必要だとしています。市販やレンタルのDVD・ブルーレイを店内で流すには、映像作品の権利者の許可が要ります。
JASRACが扱うのは、映像の中の曲の権利です。小売店などのキッズコーナーでアニメなどのDVDを流す場合には、映像に入ったJASRACの管理曲について、モニター1台あたり月額400円(消費税相当額は別)の決まりがあります。これは曲の分の手続きで、作品そのものの上映を認めるのは、その作品の権利者です。
店で流すために、市販のDVDやブルーレイをパソコンやUSBメモリにコピーすることも、仕事で使う複製で、私的使用には入りません。多くの作品にかかっているコピーガードを外して複製することは、家庭で見るためでも私的使用の例外から除かれています(第30条1項2号)。仕組みはコピーガードとは|DVD・ブルーレイの見分け方と著作権法の決まり にまとめました。
YouTubeの動画を店のモニターで流すなら、YouTubeの利用規約を見ておきます。規約は、個人的・非営利的な用途以外での視聴を禁じ、その例に、不特定または多数の人のために動画を上映したり音楽をストリーミングしたりすることを挙げています。店頭のデジタルサイネージで流す映像も、中にJASRACの管理曲が入っていれば、JASRACの「映像ソフト等の上映」の手続きの対象です。
CDを店のパソコンやスマホにコピーして流すとき
CDをパソコンに取り込んでプレイリストを作る、スマホや携帯音楽プレーヤーに入れる、CD-Rに焼いてまとめる。こうして別の媒体にコピーした音源を店のBGMにするなら、演奏の手続きとは別に、複製の許諾が要ります。JASRACのBGMオンライン申請の注意事項にこう書かれていて、市販のCDをそのまま再生するなら、この手続きは要りません。
コピーには、曲の権利に加えて、CDに入っている音そのものの権利も関わります。歌手や演奏家(実演家)は実演を録音する権利を(第91条)、レコード会社などのレコード製作者はレコードを複製する権利を(第96条)持っています。
JASRACの説明の表でも、店で流すBGMのためにCD-Rや携帯音楽プレーヤーにコピーする場合は著作権と著作隣接権の両方が働き、CDをそのまま流す場合は著作権だけです。JASRACは著作隣接権を管理していないので、音源の許諾はレコード会社などに確かめます。
店で流すためのコピーは、仕事で使う複製なので、私的使用のための複製(第30条)には入りません(文化庁)。JASRACとBGMの契約を結んでいても、コピーした音源を流すなら複製の許諾は別に要り、著作隣接権の許諾が要る場合もあります(JASRAC)。会場で流すことと、映像や別の媒体に入れることの違いは、結婚式ムービーのBGMと著作権|市販の曲・ISUM・著作権フリー音源の使い方 でも場面ごとに比べています。
JASRACとBGMの契約を結んでいても、コピーした音源には別の許諾が要る
生演奏やライブを店で開くとき
店でピアノやギターを弾く、歌い手を呼んでライブを開く。こうした生演奏も曲の演奏で、歌うことも含まれます(第2条1項16号)。お店の営業の一環なら、ミュージックチャージを取るかどうかで手続きは変わらないとJASRACは説明しています。BGMの契約では生演奏はできないため、別に申し込みます。
JASRACへの生演奏の申し込みは書類で行い、申込書は申込書類請求フォームから取り寄せます。飲食を提供する施設などでの演奏は、JASRACが管理するすべての曲を使える包括許諾と、1曲1回ごとの曲別許諾から選べます。曲別許諾は、利用日の5日前までに申込書と利用明細書を出す決まりです。
NexToneも、ライブハウスなどの施設が包括的な契約を望むときの問い合わせ先を案内しています。管理を任された曲は、作った本人が使う場合もNexToneが許諾すると説明しています。
自社で撮った紹介映像を店で流す
店の紹介、商品の使い方、メニューの説明のように、自社で撮影・制作した映像なら、何を流すかを店で決められます。気をつけたいのは、映像に入れる素材です。JASRACは、動画やスライドショーを作るときに音楽を付けるなら、録音物・映像ソフトの製作の手続きが要るとしています。市販のCDやダウンロードした音源を使った映像を上映するなら、上映の手続きに加えて制作の手続きも必要だとしています。
市販の音源なら、曲の手続きと合わせて、レコード会社などの著作隣接権者への手続きが要る場合もあります(JASRAC)。曲を入れないか、ライセンスで映像への利用が認められた音源を使えば、市販の曲の手続きは要りません。
店内で撮った映像にお客さまや従業員が映るなら、映る人の了解の取り方も決めておきます。同意書の作り方と文例は園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例 にまとめています。
曲の手続きはJASRACの案内による。人が映るなら了解の取り方も決める
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、動画データからDVD・ブルーレイを1枚から作る小さな店です。自社で撮影・制作した紹介映像なら、ギガファイル便のURLを注文フォームに貼って入稿していただき、プレーヤーで再生できる形に組み立てて書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、自分で撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画だけです。市販のDVDやテレビ番組の録画など、他人の著作物の複製はお引き受けできません。
開店前に確かめる5つのこと
店で鳴らす音の出どころを書き出す。音楽アプリ、CD、有線、テレビ・ラジオ、モニターの映像、生演奏のどれを使うか
個人向けの音楽アプリやネットラジオは、店のBGMから外す(各サービスの利用規約)
業務用のBGMサービスを使うなら、JASRACの音源提供事業者一覧に事業者の名前があるかを確かめる
CDなどを自分で流すなら、音楽が聞こえる範囲の面積を測り、JASRACのBGMオンライン申請で申し込む。NexToneの曲も流すなら、NexToneにも問い合わせる
映像の上映、コピーした音源、生演奏は、BGMの契約とは別に、それぞれの窓口に確かめる
ここまでは、2026年9月25日時点の法律と、各団体・各サービスの公式の説明をもとにした一般的な決まりです。個別の事情で判断に迷うときは、JASRACやNexToneの窓口、各サービスの運営会社、弁護士などの専門家に確かめてください。
よくある質問
Q1. 小さな個人店でも、店内のBGMに著作権の手続きは要りますか? 要ります。JASRACの使用料規程には、店舗の面積が小さいことだけで使用料が免除される決まりはなく、500㎡までの区分の年額は6,000円(消費税相当額は別)です。免除されるのは、医療・福祉・教育機関での利用、主に従業員向けの事務所や工場での利用、露店での短時間で軽微な利用などです。文化庁は、相手が一人でも、誰でも対象になるサービスなら公衆向けと評価されると説明しています。
Q2. 自分で買ったCDなら、店で流しても手続きは要りませんか? 要ります。JASRACは、自分で購入したCDでも、店や施設のBGMとして流すなら演奏(録音物の再生)の許諾手続きが必要だとしています。CDをそのまま流すときに働くのは作詞者・作曲者の権利だけなので、JASRACの管理曲なら、JASRACとBGMの契約を結べば流せます。CDの曲をパソコンやスマホにコピーして流すなら、複製の許諾が別に要り、レコード会社などの許諾が要る場合もあります。
Q3. SpotifyやApple Musicの有料プランなら、店で流してもいいですか? 利用規約の上で流せません。料金を払っていても、Spotifyは「個人利用および非商業利用」、Apple Musicを含むAppleのサービスは「個人利用および非商用利用のみ」と、規約で使い道を限っています。Amazon Music、YouTube Music Premium、LINE MUSICの規約も、個人・非商用(私的使用)の範囲です。JASRACと契約しても規約の決まりは変わらないので、店では業務用のBGMサービスやCDなどを使います。
Q4. 有線放送などの業務用BGMを契約していれば、JASRACの手続きは要りませんか? JASRACの「利用許諾契約を締結している音源提供事業者一覧」に載っている事業者のサービスなら、事業者が店に代わってBGMの使用料をJASRACに払っているので、店の手続きは要りません。有線音楽放送とCDの両方を流す場合も同じです。一覧に載っていない事業者のサービスでJASRACの管理曲を流すなら、店の経営者がJASRACと契約します。
Q5. 店でテレビやラジオをつけておくのに、手続きは要りますか? 放送を通常の家庭用の受信機でそのまま流すなら、営利の店でも要りません(第38条3項)。文化庁は、喫茶店に置いてあるテレビを例に挙げています。ただしJASRACは、インターネットラジオを使う場合、放送を録音して流す場合、家庭用以外の受信装置を使う場合は、原則として手続きが必要だとしています。超大型テレビのような特別な装置で見せる権利は、放送局にあります(第100条)。
Q6. 待合室のモニターで、子ども向けのDVDを流してもいいですか? DVDを映すのは上映で、作品の権利者が上映権を持っています(第22条の2)。営利を目的とせず、料金を取らず、報酬を払わないという第38条1項の条件を満たさないなら、権利者の許可が要ります。医療施設のBGMはJASRACの使用料が当分の間免除されていますが、映像を伴う利用はBGMとは別の扱いです。JASRACには、小売店などのキッズコーナーでのDVDの上映について、曲の分の決まりがあります。
Q7. CDの曲をスマホやUSBメモリに入れて、店で流してもいいですか? 別の媒体にコピーした音源を店のBGMにするなら、演奏の手続きのほかに複製の許諾が要り、歌手やレコード会社などの著作隣接権の許諾が要る場合もあります(JASRAC)。歌手・演奏家は実演を録音する権利(第91条)を、レコード製作者はレコードを複製する権利(第96条)を持っています。店で流すためのコピーは仕事で使う複製なので、私的使用(第30条)にも入りません。
Q8. 店でライブや弾き語りをするときは、どんな手続きが要りますか? 生演奏も曲の演奏で、BGMの契約では行えないため、JASRACに別に申し込みます。申し込みは書類で、すべての管理曲を使える包括許諾か、1曲1回ごとの曲別許諾(利用日の5日前までに申込書と利用明細書を出す)を選びます。お店の営業の一環なら、ミュージックチャージを取らなくても手続きは要ります(JASRAC)。NexToneが管理する曲は、NexToneにも確かめます。
Q9. BGMの使用料を決める「面積」は、店のどこまでですか? 音楽が流れている(聞こえる)範囲の面積です。事務所やバックヤード、厨房、従業員専用の休憩室やトイレなど、従業員しか使わない場所は含めません(JASRACのよくあるご質問)。一般の店舗の年額は、500㎡まで6,000円、1,000㎡まで10,000円と面積の区分で上がり、9,000㎡を超える場合は50,000円です。どの額にも消費税相当額が加わります。
Q10. 手続きをしないでBGMを流していたら、どうなりますか? JASRACは、音楽の利用状況を確かめたりBGMの契約を案内したりするため、文書や電話、訪問で連絡することがあるとしています。著作権の侵害には、差止めや損害賠償などの民事上の請求と、刑事罰があります。刑事罰は、個人が10年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方で(第119条1項)、法人は3億円以下の罰金です(第124条)。原則として権利者の告訴が前提です(第123条)。気づいた時点で、流している音源を確かめて手続きを進めます。
参考にした公式の情報
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法律の条文や、各団体の手続き・使用料、各サービスの規約は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月25日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。
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