この記事の要点
- 症例動画を学会発表で使う前に、同意と匿名化の決まりを確かめます。外科関連学会協議会の指針は、氏名や入院番号、画像に含まれる番号などを消しても個人が特定される可能性があれば、患者の同意を得るか、倫理委員会の承認を得るとしています。
- 動画では、顔、名前を呼ぶ声、画面に焼き込まれた患者IDや検査日を消し、書き出したら最初から最後まで見直します。氏名を消し顔にマスキングをしても、ほかの情報と容易に照らし合わせて誰か分かれば、個人情報のままです(個人情報保護委員会・厚生労働省のQ&A)。
- 院外へ持ち出すときは、病院の規程の手順に従います。厚生労働省のガイドライン(第7.0版)は、暗号化やパスワードで容易に読めないようにすることと、持ち出しに使えるネットワークサービスを病院が承認したものに限ることを求めています。
- 演題応募の倫理的な手続き、動画の形式、会期のあとに配信するかどうかは、発表する学会の募集要項や規定で確かめます。
- 勉強会で配るディスクは、見る機器でDVDかブルーレイかを決め、1枚目を何台かの機器で試してから枚数をそろえます。要らなくなったら、ディスクに対応したシュレッダーなどで読めないように壊します。
内視鏡やエコー、手術の動画を、学会の口演や院内の症例検討会で見せる。予演(発表の練習)を録画して、指導医に見てもらう。勉強会の参加者に、ディスクにして配る。症例動画を使う場面はいくつもありますが、先に確かめることは共通しています。患者の同意と匿名化、院外へ持ち出すときの病院の決まり、発表する学会の規定の3つです。
同意が要るかどうかは、使い方と、匿名化をしても個人が特定されうるかで変わります。外科関連学会協議会は、「症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針」を定めています。この指針は、氏名や入院番号、住所を記載せず、顔写真は目を隠し、画像情報に含まれる番号などを削除するとしています。そのうえで、こうした配慮をしても個人が特定される可能性がある場合は、発表について患者本人(または遺族か代理人、小児では保護者)の同意を得るか、倫理委員会の承認を得る、というのが指針の定めです。
動画で消し忘れやすいのは、画面の隅に焼き込まれた患者IDや検査日、体位を変えたときに一瞬映る顔、名前を呼ぶ声です。消したら、書き出した動画を最後まで見直し、元の動画とは名前を分けて残します。
学会で症例動画を見せるとき、患者の同意は要るか
答えは、使う場面で変わります。病歴を含む個人情報は、個人情報保護法第2条第3項が定める要配慮個人情報にあたります。場面ごとの考え方は、個人情報保護委員会と厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(2026年4月一部改正)と、そのQ&A(事例集)に書かれています。
| 使う場面 |
ガイダンスと Q&Aの説明 |
院内の 勉強会 |
職員向けの研修は、 第三者への提供に あたらない。 利用目的を 院内掲示などで 公表していなければ、 本人の同意か、 匿名加工情報への 加工が要る。 |
院外の人も 加わる 症例検討会 |
第三者への提供になり、 原則として、 あらかじめ 本人の同意が要る。 匿名加工情報なら 同意は要らない。 |
研究として 発表する |
倫理指針などに従う。 原則として 同意を得る。 必ずしも要しない 場合も定めがある。 |
院内の勉強会は、利用目的を公表していれば改めて同意を得る必要はありません。それでも、できる限り氏名などを消し、必要最小限の利用にとどめるのが望ましい、とQ&Aは答えています。ガイダンスは、医療機関の通常の業務で想定される利用目的の例に「医療機関等の内部において行われる観察研究や症例報告」を挙げているので、院内掲示に何が書かれているかを先に確かめます。
学会での発表そのものを名指しした説明は、2026年4月の改正版のガイダンスにもQ&Aにも見当たりませんでした。ガイダンスは学会と学会の会員を「学術研究機関等」に含め、学術研究の成果を公表するためにやむを得ない場合の例外を説明しています。例に挙がっているのは、写真全体にモザイクをかけると研究成果の公表の目的を達せられない、顔面の皮膚病の医学論文です。
個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある場合は、この例外から除かれます。個々の発表が例外にあたるかは、院内の倫理審査委員会や個人情報の窓口に確かめてください。
同意書の文言を、使う前に読み直す
手術や検査の前に取った同意書があるなら、その文言が、学会での発表、論文、院内の教育、会期のあとの配信のどこまでを含むかを読み直します。含まれていない使い方をするなら、改めて同意を得るか、院内の窓口に相談します。外科関連学会協議会の指針は、同意を得る相手を患者本人とし、遺族か代理人、小児では保護者も挙げています。
症例報告と研究の分かれ目は、症例の数ではない
文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」のガイダンス(2024年4月1日一部改訂)は、「研究」にあたらない例を挙げています。そのひとつが、いわゆる症例報告です。
症例報告とは、医療従事者が自ら行った医療の患者の転帰や予後などについて、他の医療従事者と情報を共有するため、個別の症例を報告することです。報告の場として挙がっているのは、所属する機関内の症例検討会や、機関外の医療従事者どうしの勉強会、関係学会、医療従事者向けの専門誌などです。研究目的でない医療の一環とみなせる場合には、指針のいう研究にあたらないと判断してよい、とされています。
「何例までなら症例報告」という数の線引きは、このガイダンスには見当たりませんでした。日本医学会連合の「学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」(2024年1月10日一部改正)は、症例報告に症例数の制限を設けていないと明記しています。比較検討や統計解析を加えずに複数の症例を示す、いわゆるケースシリーズも症例報告として扱います。反対に、侵襲や介入など研究を目的とする行為を伴う場合や、観察研究の解析の方法をとる場合は、症例の数にかかわらず倫理指針が適用になる、という整理です。
分かれ目は症例の数ではない。迷うときは機関の倫理審査委員会に確かめる
研究にあたれば、倫理指針の手続きに従います。個人情報保護委員会と厚生労働省のQ&Aは、指針では原則としてインフォームド・コンセント(同意)を得る必要があり、一定の条件で必ずしも要しない場合も定められている、と説明しています。
研究として症例の動画や画像を扱うなら、研究計画書に試料・情報の保管と廃棄の方法を書き(第7)、研究責任者が漏えいや紛失などが起こらないよう管理する(第13)という決まりもかかります。保管と廃棄の考え方は研究データの保存期間と管理|10年の考え方・残し方・引き継ぎとDMPにまとめました。
倫理指針は2026年8月27日に一部改正が告示され、同じ年の12月1日から施行されます。改正に合わせたガイダンスはこれから改訂される、と施行通知に書かれています。研究にあたるかどうかで迷うときは、所属する機関の倫理審査委員会に確かめてください。
症例動画の匿名化|顔・声・画面に焼き込まれたIDと日付
外科関連学会協議会の指針は2004年4月に定められ、2019年6月までに3回、一部改正されています(日本外科学会のページで確認)。主な項目は次のとおりです。
- 氏名、入院番号、イニシャル、「呼び名」は記載しない
- 住所は記載しない。疾患の発生場所が病態などに関わる場合は、神奈川県、横浜市のような区域までに限る
- 日付は、個人が特定できないと判断される場合は、年月まで記載してよい
- ほかの情報と診療科名を照らし合わせて患者が特定されうるなら、診療科名は記載しない
- 他院で診断や治療を受けていれば、その施設名と所在地は記載しない。救急医療で搬送元の記載が欠かせない場合は除く
- 顔写真は目を隠す。眼の病気では、顔全体が分からないよう眼球だけを拡大した写真にする
- 症例を特定できる生検、剖検、画像情報に含まれる番号などは削除する
指針の書き方は論文や発表の文章と写真が前提で、動画を名指ししてはいません。動画に置き換えて見ると、同じ項目にかかわるものが、画面と音声のあちこちにあります。
| 見る場所 |
見落としやすいもの |
| 画面の文字 |
内視鏡やエコーの 画面の隅の患者ID、 氏名、生年月日、 検査の日時。 |
| 顔と体 |
体位を変えたときの 一瞬の顔や目元、 特徴のある傷あと。 |
| 音声 |
名前を呼ぶ声、 院内放送、 電話や会話の声。 |
| 映り込み |
別のモニター、 ホワイトボード、 リストバンド、 紹介状などの書類。 |
| ファイル |
ファイル名や フォルダ名に入れた 患者IDと日付。 |
画面の隅の患者IDは指針の「画像情報に含まれる番号」に、検査の日時は「日付は年月まで」に、名前を呼ぶ声は「氏名や呼び名」に、紹介状は「他院の施設名」にかかわります。音声も見落とせません。ガイダンスは、個人に関する情報には映像や音声による情報も含まれる、と書いています。
モザイクをかけても、個人情報でなくなるとは限らない
動画にモザイクをかけたことだけで、同意が要らない扱いになるわけではありません。Q&Aは、氏名などを消したり、顔写真に一定のマスキングをしたりして、それ単体では誰か分からないように加工しても、ほかの情報と容易に照らし合わせて特定の個人が分かるなら、全体として個人情報にあたると答えています。
ガイダンスも、氏名を取り除いたり顔写真にマスキングをしたりしただけで、規則の基準に従って加工しておらず元に戻せるものは、匿名加工情報にあたらないと注意しています。院外の人が加わる症例検討会で同意を要しないとされるのは、匿名加工情報を使う場合です。
消したら全編を見直し、元の動画と分けて残す
動画は場面ごとに映るものが変わるので、1つの場面を直しても、ほかの場面に消し忘れが残ることがあります。作業の順番を決めておくと、見直しの漏れを減らせます。
- 元の動画には手を加えず、コピーで作業する
- 発表に使う場面だけを切り出し、画面の文字、顔、声を消す
- 元の解像度とフレームレートのまま書き出す
- 書き出したファイルを、最初から最後まで音を出して再生する。消した人とは別の人も見る
- 場面が変わったところで、患者IDや日付が別の位置に出ていないかを見る
- スライドに貼った静止画と、動画の最初に表示されるコマも同じように見る
- ファイル名に「匿名化済み」と版を入れ、元の動画とは別のフォルダに置く
ディスクにする動画の書き出しは、元の解像度とフレームレートのままで足ります。ソフトごとの手順はDVD・ブルーレイ用の書き出し設定|Premiere Pro・Final Cut Proにまとめました。
元の動画と匿名化した版を取り違えないよう、どちらを誰に渡したかは、版ごとに分けて記録しておきます。
発表する学会の規定で確かめること
学会ごとの決まりは、発表する学会の演題募集要項、投稿規定、発表者への案内で確かめます。見ておきたいのは次の点です。
- 演題の応募で、倫理審査を受けたかや、演題の種類(症例報告か研究か)の申告を求めているか
- 症例の提示や、写真・動画に写る患者の個人情報についての規定
- 演台のパソコンの環境、動画の形式、持ち込みのパソコンが使えるか
- 会期のあとに発表の録画を配信するか。するなら、公開の期間と見られる人の範囲
- 事前に収録した発表の動画を出す場合の、形式と長さ
日本外科学会は、演題応募の倫理的な手続きについて、日本医学会連合の指針に倣う方針を示しています。その日本医学会連合の指針は、学術集会での発表に症例の提示が含まれるなら、使う画像や動画などの診療情報の個人情報保護に十分留意するよう求めています。外科関連学会協議会の指針を載せた日本外科学会のページには、協議会の加盟学会と、指針に賛同する学会の一覧もあります。発表する学会がどの指針を使っているかは、その学会の規定で確かめてください。
スライドに動画を入れて発表するなら、形式も確かめます。Microsoftは、PowerPointで使う動画に、H.264の映像とAACの音声で作ったMP4のファイルを推奨しています。学会が形式を指定していれば、その指定に合わせます。
院外への持ち出し|USBメモリも転送サービスも病院の規程で
自宅で発表の準備をする、共同演者に動画を渡す、ディスクを作る店に送る。どれも、病院の外へ動画を出すことです。厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第7.0版(2026年6月)は、医療機関に、医療情報の持ち出しの方針と手順を含む規程を定めるよう求めています(企画管理編)。手順を定めるときは、記録媒体や情報機器で運ぶ場合だけでなく、ネットワークを通じて外に送る場合も想定することとされています。
| 持ち出し方 |
ガイドラインの求め |
USBメモリや ディスク |
持ち出せる媒体を限る。 手続きと、 持ち帰ったときの 確かめ方を決める。 |
| 転送サービス |
病院が承認した サービスだけを使う。 |
| 中身 |
暗号化やパスワードで、 容易に内容を 読めないようにする。 |
| 所在 |
台帳で管理し、 定期的に 棚卸をする。 |
表の上の2行は企画管理編、下の2行はシステム運用編の求めです。システム運用編は、医療情報が保存されているなら記録媒体に暗号化を施す必要がある、とも書いています。持ち出すものを、発表に要る場面を切り出して匿名化した版だけにしておくと、なくしたときに外へ出る情報を減らせます。ただ、匿名化した版にも持ち出しの手続きが要るかどうかは、病院の規程しだいです。
なくしたときのことも考えておきます。個人情報保護委員会のガイドラインは、病院の患者の診療情報を含む個人データを記録したUSBメモリーの紛失を、委員会への報告が要る事例に挙げています(高度な暗号化などの措置が講じられていれば、報告は要りません)。媒体の保管、紛失したときの報告、廃棄の決まりは個人情報の入ったUSBメモリ・DVDの管理にまとめました。医療画像の保存期間と電子保存の条件は、医療画像の保存期間は何年かにまとめました。
学会発表の予演や録画を残すとき
予演を録画するときに気をつけたいのは、スライドに映した症例の画像や動画も、そのまま録画に入ることです。匿名化を済ませる前のスライドで予演をしたなら、その録画も元の症例動画と同じように扱います。持ち出すなら病院の規程に従い、見せる相手は院内の関係者にとどめます。
録画には、発表者のほかに、質問する同僚や指導医の顔と声も入ります。ガイダンスは映像や音声による情報も個人に関する情報に含めているので、録画することと、誰が見るかを、予演の前に参加者へ伝えておきます。
発表の動画を事前に収録して出す形や、会期のあとに録画を配信する形の学会なら、会場で一度流れるだけのときより、見られる期間も人数も増えます。匿名化の見直しは、配信されることを前提に行います。会場での録画や撮影の可否も、学会の案内に従います。
残すときは、ファイル名に日付、学会名、版をそろえて入れ、元の症例動画、匿名化した版、予演の録画を別のフォルダに分けます。講演の録画の版を管理する考え方は講演会・セミナーの映像をDVDにして配る方法|講師の了解・資料の文字・教材の管理と同じです。
発表を終えて見返す必要がなくなった録画は、消します。個人情報保護法第22条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることを求めています。
症例の画像を映した予演の録画も、元の症例動画と同じ決まりで扱う
勉強会で配るなら、DVDかブルーレイかは見る機器で決める
最初に確かめるのは、勉強会で使う部屋の機器です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できません。ソニーの説明では、DVDプレーヤーの赤色レーザーではブルーレイの細かな記録を読みこめないためです。反対に、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くは、DVDも再生できます。配る相手の家や医局の機器が分からないなら、DVDが無難です。
画面の細かさは、DVDが720×480(約35万画素)、ブルーレイが1920×1080(約207万画素)です。フルHDで記録した動画をDVDにすると、縦の画素は1080から480に減ります。細かな所見や画面の小さな文字を見せたい場面は、試しにDVDにして、見る人と同じくらいの大きさの画面で読み取れるかを確かめます。読み取れなければ、ブルーレイにします。違いの詳しいところはDVDとブルーレイの違い|画質・容量・再生機器と、どっちがいいかで比べています。
細かな所見や小さな文字は、DVDで試して読めなければブルーレイに
長さの目安は、1層のDVD-Rで、レコーダーのSPモードと同じくらいの画質なら約2時間です。25GBのブルーレイは、BSデジタル放送と同じ24Mbpsで約2時間20分入ります。発表用に切り出した短い場面なら、何症例分も1枚に収まります。計算のしかたはDVDに何分入る?ブルーレイに何時間入る?|容量・画質別の早見表と計算式で説明しています。
プレーヤーで見るディスクと、パソコンで開くディスク
動画のファイルをそのままディスクに書き込んだデータのディスクは、パソコンでは開けても、一般的な家庭用のDVDプレーヤーでは再生できません(パナソニック)。会議室のプレーヤーで流すなら、プレーヤーで再生できる形に組み立てた映像のディスクにします。見分け方はデータDVDと映像DVDの違い|テレビで再生できない原因と見分け方にあります。
会議室のパソコンで流すときは、ディスクのドライブと再生ソフトがあるかも見ておきます。Windows 10・11のWindows Media Player(従来版)には、DVDの再生機能が含まれていません(Microsoft)。
1枚目を試してから、枚数をそろえる
形式どおりに作っても、1台で映らないことはあります。ソニーのレコーダーの説明書は、記録済みのDVD-Rなどは、記録状態や記録した機器・ソフトの特性などで再生できないことがあると書いています。
まず1枚を作り、勉強会で使うプレーヤーやパソコンで、本編が始まるか、最後まで止まらずに流れるか、音が出るか、画面の端の文字が欠けていないかを確かめます。症例ごとにチャプターを付けたなら、次の症例へ飛べるかも見ます。確かめ方の細かな点は配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るには|形式・ディスク・確認に書きました。
配ったディスクの管理と、読めないように壊す方法
プレーヤーに入れれば再生できる形で作ったディスクは、手にした人なら誰でも中身を見られます。配るのは、匿名化と見直しを済ませた版だけにします。盤面には勉強会の名前、日付、版を書き、患者を特定できることは書きません。
配った相手、枚数、版、回収するかどうかは、台帳に書いておきます。安全管理のガイドラインのシステム運用編も、医療情報が入った可搬媒体の所在を台帳などで管理し、定期的に棚卸をする手順を作るよう求めています。
要らなくなったディスクは、読めないように壊してから、自治体の分け方で捨てます。DVD-RやBD-Rは、書き込んだ部分をあとから書き換えられないので、中身を上書きで消すことができません。マクセルは、廃棄のときにディスクを割ると破片が飛び散ってけがをするおそれがあるとして、割らないよう求めています。
書類用のシュレッダーには、ディスクを入れないよう説明書に書かれた機種があります(アイリスオーヤマ)。CD・DVD用の投入口を持つシュレッダーで、説明書のとおり1枚ずつ細断します。ブルーレイを入れてよいかは、使う機種の説明書で確かめます。
病院の規程に破棄の手順があればそれに従い、いつ、何を、どう壊したかを記録します。細断の手順と、業者に頼むときの確かめ方はCD・DVDの捨て方|何ごみかの調べ方と、読めないように壊す方法にまとめました。
DVD-RやBD-Rは上書きで消せない。手で割らず、対応したシュレッダーで壊す
当社にディスクの作成を頼むとき
当社は、大阪市北区・梅田にあるDVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店です。受け付けるのは完成した動画のデータで、勉強会で配るディスクなら、匿名化と見直しを済ませた動画を送っていただく形になります。院外の事業者にデータを渡すことになるので、病院の持ち出しの手順と、使ってよい転送サービスを先に確かめてください。
入稿は、動画を上げたギガファイル便のURLを注文フォームに貼る形です。ダウンロードパスワード(DLキー)を付けたギガファイル便のURLを貼ると、「ダウンロードパスワード」の欄が開き、入力しないと注文に進めません。
受け取った動画は、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で作り、注文は1枚からです。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円です。同じ内容で2枚以上作るときは、2枚目から追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。内容が違うディスクと、DVD・ブルーレイの組み合わせは、それぞれ1枚目から数えます。
症例ごとの区切りは、チャプター分け(1枚あたり)+1,500円を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の位置を時刻で入れてください。1つ目は動画の冒頭の00:00:00に自動で入り、1枚に最大50チャプターまでです。見る部屋の機器や配る日などは、注文フォームの備考欄に書いてください。
通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付で、営業日は土日祝・休業日を除いて数えます。勉強会が迫っているときは、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)を選べます。1枚目を試す日も入れて、配る日から逆に数えて頼んでください。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
よくある質問
Q1. 症例報告の学会発表で手術動画を使うとき、患者の同意は必ず要りますか?
必ずとは限りません。外科関連学会協議会の指針は、氏名や番号を消し、顔写真は目を隠すといった配慮をしても個人が特定される可能性がある場合に、患者本人(または遺族か代理人、小児では保護者)の同意か、倫理委員会の承認を求めています。研究として発表するなら、倫理指針に従って原則として同意を得ます。院内の規程と、発表する学会の規定もあわせて確かめます。
Q2. 何例までなら症例報告で、研究にあたらないのですか?
症例の数では決まりません。倫理指針のガイダンスは、個別の症例を学会などで報告する症例報告を、研究目的でない医療の一環とみなせる場合は研究にあたらないと判断してよい、としています。日本医学会連合の演題応募の指針は症例報告に症例数の制限を設けず、研究を目的とする行為や観察研究の解析を伴えば、数にかかわらず倫理指針が適用になるとしています。
Q3. 顔にモザイクをかければ、個人情報ではなくなりますか?
それだけでは決まりません。個人情報保護委員会と厚生労働省のQ&Aは、氏名を消したり顔写真にマスキングをしたりしても、ほかの情報と容易に照らし合わせて特定の個人が分かるなら、全体として個人情報にあたるとしています。動画では、画面の患者IDや検査日、名前を呼ぶ声、ファイル名も手がかりになるので、全編を見直します。
Q4. 手術動画の同意書には、何を書いておけばよいですか?
院内で決まった書式があれば、それを使います。学会での発表、論文、院内の教育、会期のあとの配信のうち、どこまで使うかが分かるように書いておくと、あとで使い道を広げるときに、同意の範囲を確かめられます。研究として行うなら、倫理指針の手続きと、倫理審査委員会の指示に従います。
Q5. 院内の勉強会で症例動画を流すのに、患者の同意は要りますか?
ガイダンスは、職員を対象にした研修での利用を、第三者への提供にあたらないとしています。ただし、その利用目的を院内掲示などで公表していなければ、本人の同意を得るか、匿名加工情報に加工する必要があります。公表していれば改めて同意は要りませんが、できる限り氏名などを消し、必要最小限の利用にとどめるのが望ましい、とQ&Aは答えています。
Q6. 他院の医師も参加する症例検討会で動画を見せるときは、どうすればよいですか?
職員以外の人が参加すると、使う患者の個人データを第三者に提供することになるため、原則として、あらかじめ本人の同意が要る、というのがQ&Aの答えです。匿名加工情報にして使うなら、個人情報にあたらないので同意は要りません。規則の基準に従って加工しておらず元に戻せるものは匿名加工情報にあたらない、とガイダンスは注意しています。
Q7. 症例動画をUSBメモリに入れて、自宅に持ち帰ってもよいですか?
病院の規程で決まった手順に従います。厚生労働省の安全管理のガイドラインは、医療機関が持ち出しの手順を定め、持ち出すときは暗号化やパスワードで容易に読めないようにし、可搬媒体の所在を台帳で管理するよう求めています。持ち出しが認められていても、要る場面を切り出して匿名化した版にとどめると、なくしたときに外へ出る情報を減らせます。
Q8. 予演や学会発表の録画は、いつまで残してよいですか?
院内の規程で決めます。個人情報保護法第22条は、利用する必要がなくなった個人データを遅滞なく消去するよう努めることを求めています。症例の画像が映った予演の録画は、発表が終わって見返す必要がなくなったら消し、ディスクに焼いたものは読めないように壊します。残すなら、元の症例動画と同じ規程で管理します。
Q9. 勉強会で配るのは、DVDとブルーレイのどちらがよいですか?
見る機器で決めます。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できませんが、ブルーレイのプレーヤーやレコーダーの多くはDVDも再生できます。細かさはDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080なので、細かな所見や小さな文字を見せたいならブルーレイが向きます。どちらでも、1枚目を見る部屋の機器で最後まで再生して確かめてから、枚数をそろえます。
Q10. 要らなくなった症例動画のディスクは、どう捨てればよいですか?
DVD-RやBD-Rは中身を上書きで消せないので、読めないように壊してから、自治体の分け方で出します。CD・DVD用の投入口を持つシュレッダーで1枚ずつ細断し、手で割ることはしません。書類用のシュレッダーにも入れず、ブルーレイを入れてよいかは機種の説明書で確かめます。病院の規程に破棄の手順があればそれに従い、いつ、何を、どう壊したかを記録します。業者に頼んだら、廃棄の証明書などで確かめます。
参考にした公式の情報
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この記事は、2026年9月28日時点の法令と、各機関の公式資料の記載をもとにした一般的な説明です。倫理指針は2026年12月1日に改正版が施行され、ガイダンスも改訂される予定です。個人情報保護法は2026年7月17日に改正法が公布されていて、施行後は内容や条番号が変わることがあります。個別の判断は、所属する機関の倫理審査委員会や個人情報の窓口と、発表する学会に確かめてください。
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