この記事の要点
映像をディスクで納品するなら、受注のときに、誰が何の機器で見るか、映像のDVDかブルーレイかデータか、何枚か、チャプターやメニュー、盤面、納品日を決めて、見積書や発注書に書いておきます。
MP4を焼いただけのデータのDVDは、パソコンでは開けても、多くのDVDプレーヤーでは映像として再生できません。プレーヤーで見る納品物は、DVD-Video(ブルーレイはBDMV)の形に組み立てて作ります。
相手の機器が分からないならDVDが基本です。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できません。1層のDVDに無理なく入るのは約2時間で、超えるなら2枚か2層、またはブルーレイにします。
まずマスター1枚を作り、クライアントに実際に使う機器で最後まで確かめてもらいます。了解を記録に残してから、同じ動画で枚数をそろえます。
複製を外に頼むなら、上映日や配布日から逆に数えて、入稿の形・枚数・盤面・納期を先に伝えます。曲の入った映像や人が写る映像は、曲の手続きと写る人の了解も先に確かめます。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
本番を終えて収録データを持ち帰ると、クライアントから「記録の映像をDVDでもらえますか」と頼まれることがあります。会議室のプレーヤーで役員に見せたいのか、来場者に配りたいのか、社内に保存したいのか。同じ「DVD」でも、渡すものは使い道で変わります。
映像をディスクで納品するときは、受注の段階で、誰が何の機器で見るか、映像のDVDかブルーレイかデータか、何枚か、チャプターやメニュー、盤面、納品日を決めて書面に残します。MP4を焼いただけのデータのDVDは、多くのDVDプレーヤーでは映りません。まずマスター1枚をクライアントに実際の機器で確かめてもらい、了解を得てから枚数をそろえます。複製を外に頼むなら、上映日や配布日から逆に数えて、入稿の形・枚数・盤面・納期を先に伝えます。
撮影と編集は、イベント会社や音響の会社、映像制作会社、式場の映像担当の側で済ませる工程として書いています。法律の説明は、e-Gov法令検索の条文と、文化庁・個人情報保護委員会・JASRACの公式の資料で確かめた範囲です。
映像をDVDで納品するときに、受注の段階で決める仕様
「DVDで」とだけ決めて進めると、渡したディスクが相手の機器で映らない、枚数や納品日が使い道と合わない、といったことが起きかねません。見積もりの段階で、次の項目をクライアントと決めておきます。
決めること
中身
見る人と 機器
誰が、何の機器で見るか。会議室のプレーヤー、パソコン、配る先の家。
渡す形
映像のDVD、ブルーレイ、データ。組み合わせるか。
枚数
上映用、配布用、保存用と予備。内容ごとに数える。
長さ
合計の長さ。1層のDVDに無理なく入るのは約2時間。
チャプター・メニュー
区切る位置と、メニューを出すか。入れたらすぐ始まる作りにするか。
盤面とケース
題名、日付、社名の原稿と、印刷の有無。
納品日と届け先
上映日や配布日と、確かめる日。届け先は1か所か、配る先ごとか。
データ
データでも渡すか。ファイルの形式と、受け取りの期限。
曲と写る人
曲の手続きと、写る人の了解。配る範囲。
映像の使い道
ディスクで配る、ウェブに載せるなど、使える範囲。
素材の保管
収録データをいつまで持ち、いつ消すか。
決めた内容は、見積書や発注書に形式の名前まで書きます。「DVD一式」ではなく、「映像のDVD(DVD-Video)1枚と、同じ内容の複製30枚。盤面印刷あり。◯月◯日着」のように書けば、クライアントの担当者も同じものを見ながら社内で確かめられます。
MP4を焼いただけのデータDVDは、多くのプレーヤーで映らない
見た目が同じDVD-Rでも、焼き方で中身は2つに分かれます。MP4などのファイルをファイルのまま書き込んだのが「データのDVD」、DVD-Videoという規格の形に組み立ててから書き込んだのが「映像のDVD」です。パナソニックは、パソコン内の動画をそのままDVDに書き込んでも、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できないと説明しています。
プレーヤーで見る納品物は、動画をDVD-Videoの形に組み立ててから書き込みます。この組み立ての作業を、オーサリングと呼びます。日本向けのDVD-Videoは、画面が720×480、1秒29.97コマのNTSCで、映像はMPEG-2です(オーサリングソフトTMPGEnc Authoring Works 7の仕様)。ブルーレイでは、BDMVという形に組み立てます。
手元のディスクがどちらかは、パソコンで開けば分かります。映像のDVDならVIDEO_TSというフォルダがあり、中に拡張子がVOB・IFO・BUPのファイルが並びます(Corel)。「講演会.mp4」のように動画のファイル名がそのまま見えれば、データのDVDです。見分け方と作り直し方はデータDVDと映像DVDの違い|テレビで再生できない原因と見分け方 にまとめました。
クライアントが社内で編集する、ウェブに載せる、といった使い道なら、要るのは動画のファイルです。映像のDVDは720×480に作り直した見るための複製なので、見る分はディスク、使う分はファイルと分けて渡します。
納品はDVDかブルーレイか|見る機器と長さで決める
DVDプレーヤーでは、ブルーレイを再生できません。ソニーの説明では、DVDプレーヤーの赤色レーザーではブルーレイの細かな記録を読みこめず、ブルーレイのハイビジョン映像を解読する技術も積んでいないためです。反対に、ブルーレイのプレーヤーやレコーダー、PS5(ディスクドライブ付き)・PS4はDVDも再生できます。
比べる点
DVD
ブルーレイ
画面
720×480
1920×1080
1層の容量
4.7GB
25GB
入る長さ
約2時間(SP相当)
約2時間20分(24Mbps)
見られる 機器
DVD機、BD機
BD機だけ
向く納品
配る、機器が分からない
細かさが要る、2時間を超える
相手の機器が分からないときや、来場者に配るときはDVDが基本です。フルHDで収録した映像もDVDでは720×480になり、縦の画素が1080から480へ半分以下になるので、テロップやスライドの小さな文字はつぶれて読めないことがあります。細かさを残したい相手で、見る機器がブルーレイに対応しているならブルーレイに。上映はブルーレイ、配る分はDVD、と分けて作ることもできます。違いはDVDとブルーレイの違い|画質・容量・再生機器と、どっちがいいか で比べています。
2時間を超える講演や式典は、2枚に分けるか2層かブルーレイに
1層のDVD-R(4.7GB)に無理なく入るのは、レコーダーのSPモードと同じくらいの画質で約2時間です。それより長い記録は、区切りのよいところで2枚に分けるか、2層のDVD-R DL(8.5GB)にするか、ブルーレイにします。カナダ保存研究所(CCI)は、記録型のDVDやブルーレイは1層のほうが2層より機器との互換性がよいとし、ソニーの説明書には、2層は層が切り換わるときに映像・音声が一瞬途切れることがあるとあります。大勢に配るなら、1層の2枚に分けるほうが確かです。GBと分を行き来する計算はDVDに何分入る?ブルーレイに何時間入る?|容量・画質別の早見表と計算式 にあります。
収録したデータを、納品する1本の映像に仕上げる
スイッチャーやレコーダーから持ち帰ったファイルは、まだ納品物ではありません。どのファイルを使い、音と前後をどう整え、どう書き出すかを先に決めます。
スイッチャーの録画は、機種によって録れるものが違う
ブラックマジックデザインのATEM Mini Pro ISOは、切り替えた映像(プログラム)と、HDMIの入力4つの映像を別々に、H.264の.mp4ファイル(音声はAAC)で録り、切り替えの内容をDaVinci Resolveのプロジェクトファイルとして残します。ローランドのVR-6HDは、MP4(H.264)でSDXCカードに録画する機種です。HDMIでつないだ外部のレコーダーで録る方法もあり、ローランドのV-8HDは、レコーダーの録画の開始と停止をスイッチャーから操作できます。
納品のもとにするのは、たいていプログラムを編集した1本です。カメラごとの映像は、切り替えを編集し直すための素材になります(ブラックマジックデザインの説明)。表彰の場面だけの短い版のように、あとから別の版を頼まれることもあるので、素材は受注のときに決めた期間まで残します。
1回の収録が、何本かのファイルに分かれることもあります。ATEM Miniは、複数のディスクをつないでおくと、1つが一杯になったとき次のディスクへ続けて録る仕組みです。編集で1本につなぐか、ディスクにする順をファイル名の頭の「01_」「02_」で決めてから渡します。
音と前後を整える
ミキサー(卓)から録った音と、会場の音を拾うマイクの音を両方録っているなら、拍手や会場の反応をどこまで入れるかを決めて混ぜます。開場前や撤収の場面は切り、前後の黒い画面の秒数を指定されていれば、編集で動画の中に入れておきます。ディスクやプレーヤーの設定で足すものではありません。音の大きさは、見る機器に近いテレビで確かめます。
書き出しは、元の解像度とフレームレートのまま
編集を終えたら、撮った解像度とフレームレートのまま、十分な画質のMP4(H.264)かMOVで書き出します。ディスクの形への変換はディスクを作る段階で行うので、先に720×480へ縮める必要はありません。60pの映像も同じで、1920×1080のまま1秒59.94コマで収める形はふつうのブルーレイの規格になく、DVDは29.97コマなので、コマ数の変換もディスクを作る段階で行われます。HDRで撮った映像が混ざっているなら、SDRにして書き出し、色を確かめてから渡します。
書き出したファイルは最初から最後まで通しで再生し、長さ、口の動きと声のずれ、テロップの誤字を見ておきます。編集ソフトごとの設定はDVD・ブルーレイ用の書き出し設定|Premiere Pro・Final Cut Pro にあります。
チャプターとメニューを決める
式典や講演の記録なら、式次第や登壇者の区切りでチャプターを付けておくと、リモコンの「次へ」で見たい場面へ飛べます。区切る位置は始まる瞬間より少し前に置き、完成した動画の時刻で「00:12:30」のように書き留めます(編集で前半を短くすると、あとの時刻はすべてずれます)。数の目安はチャプター分けとは?DVD・ブルーレイの章の付け方と数の目安 にまとめました。
メニュー画面は、入れる動画の本数で決めます。短い映像が1本ならメニューなしで入れたらすぐ再生する作りで足り、第1部・第2部のように何本か入れるなら、トップメニューに本ごとのボタンを並べます。会場で流すディスクは、入れたらすぐ始まるか、最後に止まるかを、会場と同じ機器で確かめてください。メニューの形はブルーレイのメニュー画面の出し方と作り方|表示されないときの確認 で説明しています。
マスター1枚をクライアントに確かめてもらってから、枚数をそろえる
何十枚も配る案件でも、完成品と同じ形の1枚を先に作ります。形式もディスクも条件どおりに作っても、1台の機器で映らないことはあるからです。ソニーのレコーダーの説明書は、記録済みのDVD-Rなどは、傷や汚れのほか、記録状態や記録した機器・ソフトの特性で再生できないことがあると書いています。CCIも、1台で再生できないディスクが、別の機器ではふつうに再生できることがあるとしています。
チャプター、メニュー、盤面まで、完成品と同じ形のマスターを1枚作る
社内で、DVDだけのプレーヤー、ブルーレイのレコーダー、ゲーム機など種類の違う機器で、最初から最後まで再生する
クライアントに、実際に使う機器(会議室のプレーヤー、会場の機器など)で見てもらう
「この内容で枚数をそろえてよい」という了解を、メールなど記録の残る形で受け取る
確かめたマスターと同じ動画で、残りの枚数を作る
見てもらうところは、次の5つです。
ディスクを入れて本編が始まるか。メニューを付けたなら、メニューから再生できるか
最初から最後まで止まらずに流れるか。2層なら、層の切り換わりのあとも続くか
チャプターを付けたなら、次のチャプターへ飛べるか
音が出るか。音の大きさと、映像とのずれはないか
画面の端が欠けていないか。名前やスライドの小さな文字が読めるか
確かめてもらうのは、実際に枚数をそろえるのと同じ作り方の1枚です。社内で焼いた試しの1枚と、頼む先が作るディスクとでは、組み立てたソフトも書き込んだ機器も違うためです。確かめたあとで動画を直したら、別の版として1枚目から確かめ直します。複製したあとで直すと、作った枚数がすべて作り直しになります。 機種ごとの再生できるディスクと試し方は配るDVDを、どの家のプレーヤーでも見られるように作るには|形式・ディスク・確認 に書きました。
自分で焼き続けるか、複製を外注するか
社内で焼くには、パソコンと書き込めるドライブ、動画を映像のディスクに組み立てるオーサリングソフトが要ります。WindowsやMacに最初から入っている書き込みの機能で作れるのは、データのディスクまでです。焼いたDVDはファイナライズまで済ませます。パナソニックは、ファイナライズしていないDVDは、作ったパソコンやレコーダー以外の機器では再生できないと説明しています。
何枚から外に頼むほうがよいかに、決まった数字はありません。比べるときは、社内で作るのにかかる時間と手間を、次の項目で数えます。
1枚ごとの書き込みと、再生の確かめ。どちらも枚数分かかる
盤面の印刷。印刷できるプリンターと、印刷に対応したディスクが要る
焼き損じたときに、作り直す時間があるか
梱包と発送の手間。ほかの現場や編集と日が重なるか
盤面に題名を入れるなら、紙のラベルやシールは避けます。PlayStationの公式の案内は、シールや紙のラベルが貼られたディスクを、本体の故障の原因になる場合があるとして使わないよう書いていて、米国国立標準技術研究所(NIST)の手引きも、接着のラベルを使わないよう勧めています。「インクジェットプリンター対応」などと書かれたDVDなら、レーベル面に直接印刷できるプリンターで刷れます(マクセル)。
数えた時間と手間は、見積もりの総額と並べて比べます。1〜2枚をすぐ渡したいときや、焼き直す余裕があるときは社内で。枚数が多い、盤面の印刷まで要る、使う日が決まっていて社内の手が空かない、というときは外に頼むことを考える場面です。
何百枚なら、プレスとコピーの両方を比べる
プレスは、工場がマスターから原盤と型(スタンパー)を作り、その凹凸を樹脂の円盤に写して作る方法で(国立国会図書館の調査報告書)、できあがるのは市販のDVDと同じ再生専用の盤です。コピーは、記録型のDVD-Rなどに同じデータを書き込む方法です。プレスでは、枚数にかかわらず型を作る手間と日数が加わります。何枚からプレスのほうが安くなるかに決まった数字はないので、同じ仕様で両方の見積もりを取り、作る枚数の候補ごとに「総額÷作る枚数」で比べます。見込みより多く作った分は在庫になります。比べ方はCD・DVDのプレスとコピーの違い|費用・ロット・納期の比較方法 に書きました。
複製を外注するときに、見積もりで確かめること
見積もりは、同じ動画、同じ枚数、同じ仕上がり、同じ受け取りの日で取って、はじめて比べられます。次の項目を、頼む先ごとに同じ順で確かめます。
項目
確かめること
入稿の形
動画のファイルか、完成した盤か。送り方と期限。
オーサリング
プレーヤーで見る形に組み立てる作業が、料金に入っているか。
形式
DVDはDVD-Video、ブルーレイはBDMV。DVDは国内向けのNTSCか。
ディスク
DVD-Rか+Rか。1層か2層か。
チャプター・メニュー
基本の料金に入っているか、追加の料金か。
盤面の表示
印刷か、シールか。原稿の送り方と、仕上がりの見本。
ケース
ケースに入れるか。背表紙やジャケットの印刷。
枚数の数え方
1枚目と、同じ内容の2枚目から。内容違いと、DVD・ブルーレイの組み合わせ。
納期
営業日で数えるか。締め切りの時刻と、発送日か届く日か。
送料
1注文ごとか、届け先ごとか。追跡できるか。
データ
送った動画をいつまで持ち、いつ消すか。
再生の確認
書き込んだあと、何の機器でどこまで見るか。
困ったとき
映らないときの連絡先と、作り直しの条件。
ほかの会社の料金は改定で変わるので、公式の料金表と見積もりで確かめます。1枚あたりの金額だけを並べず、最初の1枚、同じ内容の2枚目から、盤面やケース、急ぎの料金、送料、消費税の行に分けて、総額で比べます。業者の選び方と、枚数ごとに見るところはDVD・ブルーレイ作成を業者に頼むとき|選び方と見積もり、1枚からの注文 にまとめました。
入稿でつまずきやすいところ
気をつけたいのは、次の5つです。
完成した盤を送るなら、映像のDVD(VIDEO_TSフォルダがある)になっているか
動画のファイルを送るなら、元の解像度とフレームレートのまま書き出したものか。DVD用に縮めると、変換が2回重なる
何本かに分かれたファイルの順番。ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けて、収める順を決めておく
共有URLの期限。ギガファイル便は、保持期限をアップロードの前に3日から100日までの7種類から選び(何も変えなければ5日)、アップロードしたあとは延ばせない
盤面やジャケットの原稿。頼む先が指定するサイズと形式で作り、チャプターの時刻は完成した動画で測り直す
納期は、上映日や配布日から逆に数える
式典で流す、来場者に配る、というように使う日が動かない納品は、納品日ではなく使う日から逆に数えます。
上映日・配布日を置く
その前に、会場の機器で試す日と、マスターを確かめてもらう日を置く
ディスクが手元に届く日を決める。予備の日も入れる
発送から届くまでの日数を引く
頼む先の作業の日数を、営業日で引く。締め切りの時刻も確かめる
残った日が入稿の締め切り。曲の手続きが要るなら、許諾はディスクを作る前に得る
曲の許諾にも日数がかかります。JASRACはオンラインの窓口「J-RAPP」なら許諾番号の通知まで通常2〜3営業日、NexToneは申請から許諾まで通常5営業日ほどと案内しています。当社の場合の締め切りと、使う日から逆に数える例はDVDを急いで作るには|当日受け取り・翌日発送の締切と、使う日からの逆算 にまとめました。
曲の入った映像と、写る人の了解の確かめ方
イベントの記録には、会場のBGMや出演者の演奏、講演の話が入り、来場者や出演者も写ります。どこまで手続きや了解が要るかは、映像の中身と配る範囲で変わるので、主催するクライアントと一緒に確かめ、迷うときはJASRACなどの窓口や弁護士に尋ねてください。
会場で流すことと、ディスクにして配ることは別
会場でBGMを流すのは演奏(CDなどの音源の再生も含みます)、録画してディスクにするのは複製にあたります(著作権法第2条)。営利を目的とせず、観客から料金を取らず、出演者に報酬を払わない場合は、公表された曲を許諾なしに演奏・上映できます(第38条)。ただ、文化庁の著作権テキストは、この例外に「複製・譲渡」は含まれないとしています。会場で流すことの扱いとは別に、曲の入った記録をディスクにして配るなら、原則として曲の手続きが要ります。
仕事として作って配るディスクは、私的使用のための複製(第30条)にあたりません。文化庁は第30条を、家庭内など限られた範囲で、仕事以外で使うために、使う本人が複製する場合の例外と説明しています。「頒布」は有償か無償かを問わず、「公衆」には特定かつ多数の人も含まれます(第2条)。JASRACも、無料で配布する場合でも利用申請が要り、申請は複製物を作る前としています。
市販のCDや配信の音源には、作詞者・作曲者の著作権のほかに、歌手や演奏家(実演家)とレコード製作者の権利も含まれています(JASRAC)。日本レコード協会も、市販CD等の音源を使うには、レコード会社等と音楽著作権管理団体のそれぞれの許諾が要ると案内しています。結婚式の記録撮影の映像に市販の音源を入れる手続きは、ISUMがブライダル事業者に代わって行っています(個人からの申請は受け付けず、月額制の配信サービスの音源は使えません)。
出演者の演奏と、講演の話
ステージの演奏や歌には、演じた人(実演家)の権利があり、実演家は自分の実演を録音・録画する権利を持っています(第91条)。出演を頼む段階で、録画することと、ディスクにして配ることを伝えて了解をもらっておきます。ほかの人が作った曲を演奏するなら、曲の手続きはこれとは別です。講演の話も、言語の著作物になりえます(第10条に「講演」が挙がっています)。文化庁は、「生」の講演を録音する行為にも著作者の複製権が働くと説明しているので、講演の記録を配るなら講師の了解をもらっておきます。
納品した映像を、クライアントが何に使えるか
文化庁の著作権テキストは、著作物の創作を他人や他社に委託した場合、料金を払ったかどうかにかかわらず、実際に創作した受注者の側が著作者になり、発注者が納品後に増刷などで使うには、そのための契約を前もって交わしておく必要があると説明しています。ディスクにして配る、ウェブに載せる、あとで枚数を増やす、といった使い道を契約に書いておきます。許諾を受けた側は、その方法と条件の範囲で使えます(第63条第2項)。
来場者や出演者が写るとき
誰か分かるように写った映像は個人情報で、個人情報保護委員会のガイドラインも、本人が判別できる映像を個人情報の例に挙げています。委員会のQ&Aは、会社の行事で撮った写真を社内で展示する例について、利用目的を知らせるか公表することは必要とし、プライバシーの権利や肖像権の侵害にあたる場合もあると注意したうえで、不特定多数に渡すときは本人の同意を得る、といった取り組みを望ましいとしています。肖像権は、法律に定めはなく、判例によって確立されてきた権利です(文化庁)。
記録を配る予定があるなら、主催するクライアントと相談して、撮ることと使い道(会場での上映、ディスクでの配布、ウェブへの掲載)を、申し込みの案内や受付で知らせておきます。写りたくない人の希望を受ける窓口を決め、その人が大きく写る場面は配る映像から外します。受け取る人には、SNSや動画サイトに載せないよう、盤面やケースに一文を添えておくと伝わります。
当社に複製を頼むときの入稿と流れ
当社(ディスクメーカー)は、大阪市北区・梅田にある、DVD・ブルーレイの書き込み代行の小さな店で、注文は1枚から承ります。受け付けるのは、編集を終えた完成した動画のデータです。MP4・MOV・MTSなど一般的な形式の動画をギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox などにアップロードし、共有URLを注文フォームに貼っていただければ、スマホからも入稿できます。何本かの動画を1枚に入れるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けて収録順を指定してください。ギガファイル便にダウンロードパスワードを付けたときは、URLを貼ると開く「ダウンロードパスワード」の欄に入れます(入れないと注文に進めません)。
受け取った動画は、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。DVDは720×480(NTSC 29.97fps・MPEG-2)、ブルーレイは1920×1080で作ります。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円で、オーサリング+書き込み+ケース入れ込みを含みます。同じ内容の2枚目からは、追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。内容が違うディスクと、DVD・ブルーレイの組み合わせは、それぞれ1枚目から数えます。盤面に題名や日付を入れるなら、盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円を選び、開いた欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。式次第の区切りは、チャプター分け(1枚あたり)+1,500円を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の位置を時刻で入れてください。1つ目は冒頭の00:00:00に自動で入り、最大50チャプターまでです。メニュー画面作成とケース+背表紙印刷の金額は、料金表に載せています。
マスターの1枚を先に作って確かめてから残りを頼むときは、後日の追加注文も新しい注文の1枚目から数えます。DVDを1枚作って確かめ、あとで9枚を足すと税抜の小計は 11,000円 、同じ10枚をまとめて頼むと 10,500円 です。確かめておく安心と、その差を比べて決めてください。
通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降のご注文は翌営業日の受付で、発送までの日数は土日祝・休業日を除いた営業日で数えます。日が迫っているときは、特急お届け(平日15時までの注文・入稿で翌日発送)、お急ぎお届け(平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、当日店舗お渡し(平日12時までの注文・入稿)の短納期のオプションがあります。見る機器や配る日などの希望は注文フォームの備考欄に、注文の前に確かめたいことは相談・問い合わせフォームに書いてください。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。
よくある質問
Q1. イベントの映像をDVDで納品するとき、受注の段階で何を決めればいいですか?
誰が何の機器で見るか、映像のDVDかブルーレイかデータか、内容ごとの枚数、合計の長さ、チャプターとメニュー、盤面、納品日と届け先を決めます。曲の手続きと写る人の了解、納品した映像を何に使えるかも確かめ、見積書や発注書に形式の名前まで書いておきます。
Q2. MP4のファイルをDVD-Rに焼いて納品してもいいですか?
プレーヤーで見てもらうなら、そのままでは向きません。パナソニックも、パソコン内の動画をそのままDVDに書き込んでも、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できないと説明しています。DVD-Videoの形に組み立ててから焼き、編集や保存に使う相手にはファイルのまま渡します。
Q3. 納品はDVDとブルーレイのどちらがいいですか?
相手の機器が分からないならDVDです。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できませんが、ブルーレイの機器やPS5・PS4はDVDも再生できます。画面はDVDが720×480、ブルーレイが1920×1080なので、小さな文字まで残したい相手で、ブルーレイの機器があるならブルーレイにします。
Q4. スイッチャーで録ったファイルは、そのままディスクにできますか?
プログラムの映像を、納品する1本に仕上げてからにします。前後の不要な部分を切り、音のバランスを決め、分かれたファイルは編集でつなぐか、ファイル名の頭の「01_」「02_」で順番を決めます。書き出しは撮った解像度とフレームレートのままでかまいません。
Q5. マスターの確認は、クライアントにどう頼めばいいですか?
完成品と同じ形の1枚を渡し、実際に使う機器で最初から最後まで見てもらいます。本編が始まるか、止まらずに流れるか、チャプターで飛べるか、音と小さな文字を見てもらい、了解をメールなど記録の残る形で受け取ります。直した版は、1枚目から確かめ直してください。
Q6. ディスクの複製は、何枚から外注するのがいいですか?
決まった枚数はありません。社内で作るなら、1枚ごとの書き込みと再生の確かめ、盤面の印刷、梱包の時間が枚数分かかります。その時間と手間を、同じ仕様の見積もりの総額と並べて決めます。使う日が決まっていて社内の手が空かないときは、外に頼むことを考える場面です。
Q7. 会場のBGMや演奏が入った記録を、DVDにして配ってもいいですか?
配るなら、原則として曲の手続きが要ります。会場で流すことが著作権法第38条の条件に当てはまっても、文化庁は、この例外に「複製・譲渡」は含まれないとしています。無料で配る場合も利用申請が要る、というのがJASRACの案内です。市販のCDの音源ならレコード会社などの許諾、演奏した出演者がいればその了解も要ります。
Q8. 来場者や出演者が写った映像を配るときは、何を確かめればいいですか?
誰か分かる映像は個人情報にあたります(個人情報保護委員会のガイドライン)。委員会のQ&Aは、会社の行事の写真の例で、不特定多数に渡すときは本人の同意を得る取り組みを望ましいとしています。主催するクライアントと相談して撮ることと使い道を知らせ、写りたくない人の希望を受けます。
Q9. 写真館やフォトスタジオで撮った動画を、DVDにしてお客さまに渡すときも同じですか?
同じ考え方で進められます。見る家の機器でDVDかブルーレイかを決め、マスター1枚を最初から最後まで再生して確かめてから枚数をそろえます。七五三や成人式の動画に市販の曲を入れるなら、会場で流すこととディスクにして渡すことは別の扱いなので、ディスクにする分の手続きが要ります(この記事の「会場で流すことと、ディスクにして配ることは別」)。撮った元のデータをいつまで保管するかと、あとからの焼き増しの受け方は、お客さまに先に伝えておきます。
参考にした公式の情報
機器の仕様や各団体の手続き、法律の運用は変わることがあります。この記事は、2026年9月27日時点の法令と、各社・各機関の公式の記載をもとにしたものです。
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