この記事の要点
- ①曲の権利:作詞・作曲を頼んだ人と、権利を誰が持ち、CDにして売る・配ってよいかを取り決めます。JASRAC・NexToneの管理曲は、無料で配るCDでも製造の前に申し込みます。
- ②作り方:少ない枚数ならCD-Rに書き込むコピー、多ければプレスの見積もりも取り、同じ仕様で「総額÷作る枚数」を比べます。
- ③部数:前の頒布の記録や予約の数から見込みの枚数を置き、作りすぎないようにします。追加で作るときの日数と条件は、先に聞いておきます。
- ④ジャケットと盤面:寸法は注文先のテンプレートに合わせ、許諾の表示(JASRACはロゴマークと許諾番号など、NexToneは許諾マーク)を入れます。
- ⑤日程:頒布の日から逆に数え、配送・製造・入稿の日と、曲の許諾を待つ日数(J-RAPPで通常2〜3営業日、NexToneは通常5営業日ほど)を置きます。
次のリリースイベントで、新曲を入れたCDを物販に並べたい。ワンマンの来場者に、特典として配りたい。自主制作で活動するアイドル(ライブアイドル、地下アイドルと呼ばれることもあります)の運営やメンバーが初めてCDを作ろうとすると、曲の権利、作り方、枚数、ジャケット、日程と、決めることがいくつも出てきます。
アイドルの特典CDは、①曲の権利、②作り方、③部数、④ジャケットと盤面、⑤頒布の日から逆に数えた日程、の順に決めます。最初に決める曲の権利は、作詞・作曲を頼んだ人との取り決めと、JASRAC・NexToneへの申し込みの2つ。管理を任せた曲なら、無料で配る特典CDでも、製造の前に申し込みが要ります。作り方は、少ない枚数ならCD-Rに書き込むコピーが候補で、多くなりそうならプレスの見積もりも並べて比べます。部数を置く根拠は、前の頒布の記録と予約の数です。
権利を先に決めるのは、JASRACの管理曲では、許諾のあとに届くロゴマークと許諾番号を盤面やジャケットに入れるからです。権利が決まらないと原稿が作れず、製造の日も決まりません。CDにチェキ券などの特典を付けるなら、景品表示法の決まりもあわせて確かめておきます。
アイドルの特典CDの作り方|決める5つのことと順番
5つの決めることと、それぞれの決め方を表にしました。
| 決めること |
決め方と確かめること |
| ①曲の権利 |
作家との取り決め。 管理曲は製造の前に JASRAC・NexToneへ |
| ②作り方 |
少ない枚数はコピー。 多ければプレスの 見積もりも取る |
| ③部数 |
前の頒布の記録と 予約の数から置く。 作りすぎない |
④ジャケット・ 盤面 |
寸法は注文先の テンプレートで。 許諾の表示を入れる |
| ⑤日程 |
頒布の日から 逆に数えて、許諾、 製造、配送の日を置く |
表の5つのほかに、メンバーの歌と写真を使うことへの了解と、特典の出し方(景品表示法)も、企画の段階で確かめます。どちらも、決まらないうちに原稿や告知を作ると、作り直しになることがあるからです。
音源は、録音、ミックス、マスタリングを終えて、CDの形(44.1kHz・16bit)に整えたものを用意します。録音から頒布までを進める流れは同人音楽CDの作り方|音源の仕上げ・曲の権利・プレスとコピー・入稿と頒布に、CDの音の数字の意味はCDの音質はどのくらい?にまとめました。
特典CDの曲の権利|作家との取り決めと、JASRAC・NexToneの手続き
CDに入れる音楽には、立場の違う人の権利が重なっています。アイドルの特典CDで確かめる相手は、次のとおりです。
| 使うもの |
確かめる相手 |
曲 (作詞・作曲) |
作詞・作曲をした人。 管理を任せた曲は JASRAC・NexTone |
オケ (伴奏の音源) |
音を最初に録音して 作った人(原盤) |
| メンバーの歌 |
歌ったメンバー (実演家) |
| 写真・絵 |
撮った人、描いた人と、 写っているメンバー |
| 録音・ミックス |
頼んだ相手。 使い道を取り決める |
物販で売るCDも、無料で配る特典CDも、著作権法では「頒布」にあたります。頒布は、有償か無償かを問わず、複製物を公衆に譲り渡すことをいうからです(第2条)。値段を付けないからといって、確かめることは減りません。
作家に頼んだオリジナル曲は、使い方を取り決めておく
グループのために外部の作家に書いてもらった曲でも、曲の権利を誰が持つかは、頼んだときの取り決め(契約)で決まります。著作権は譲ることができ(第61条)、作家が権利を持ったまま、使ってよい方法と条件を許すこともできます(第63条)。許しを得た側が使えるのは、許された方法と条件の範囲です。CDを作る前に、次のことを作家と取り決めておきます。
- 曲の権利を作家が持ち続けるのか、グループや運営に譲るのか
- CDにして売る・配ってよいか。枚数や期間の決まり、配信やライブ映像の円盤に使うときの扱い
- JASRACやNexToneに管理を任せるか
- オケ(伴奏の音源)も作ってもらったなら、その録音を誰が持つか
- 歌詞カードやジャケットに入れるクレジットの書き方
取り決めた内容は、あとから読み返せる形で残しておきます。メンバーが替わったときや、何年かあとに作り直すときの手がかりになります。
JASRAC・NexToneの管理曲は、無料の特典CDでも製造の前に申し込む
作家がJASRACやNexToneに管理を任せている曲は、グループのオリジナル曲として歌っていても、CDにするときは管理団体への手続きが要ります。JASRACは、管理を任せた作家が自分の作品を使う場合でも、原則として手続きと使用料が要るとしています(条件を満たす使い方には、作家本人が届け出る「自己利用」の扱いがあります)。NexToneも、届け出た作品は著作権者自身が使う場合も使用料を払う、と案内しています。まずは作家に、曲の管理の状況を聞いてください。
値段を付けずに配るCDでも同じです。JASRACは、無料で配布する場合でも利用申請が必要だとしていて、NexToneも、価格の有無にかかわらず申請が必要だと答えています。販売しないCDをJASRACのオンライン窓口「J-RAPP」で申し込むときは、定価・小売価格を「0円」と入力します。どちらの団体も、申し込みは製造の前です。
管理している団体は、曲ごとに調べます。JASRACの作品検索データベース「J-WID」で「複製」の「録音物」の区分を見て、見つからなければNexToneの作品データベースで「オーディオ」の欄を確かめます。JASRACに申し込むときは、JASRACが管理していない曲も含めて、収録する曲をすべて申告します。カバー曲を入れるときの替え歌・編曲の確かめ方や、窓口ごとの申し込みの手順は、記事「歌ってみた音源をCDにして頒布するには」にまとめました。
オケ(伴奏の音源)と、録音・ミックスを頼んだ人
曲の手続きとは別に、音そのものの権利があります。音を最初に録音して作った人(レコード製作者)には、その録音(いわゆる原盤)を複製する権利があり(第96条)、JASRACやNexToneが許諾するのは曲の著作権だけです。オケを作家や編曲者に作ってもらったなら、その人が原盤を持っていることがあるので、CDに入れて売る・配ってよいかを取り決めておきます。市販のCDやカラオケの音源を伴奏に使うなら、レコード会社など原盤の持ち主の許諾が別に要ります(JASRAC・NexTone)。
歌の録音やミックス、マスタリングを別の人に頼んだなら、その人とも、CDにして頒布することを含めた使い道を取り決めておきます。
メンバーの歌とジャケットの写真は、本人と撮った人の了解を取る
歌うメンバーは、著作権法でいう実演家です。実演家には自分の実演を録音する権利があり(第91条)、文化庁は、この権利が実演の録音されたCDなどをコピーすることにも及ぶとして、音楽CDをコピーするには、作詞家・作曲家とレコード製作者だけでなく、歌手や演奏家の了解も必要だと説明しています。自分の実演が録音されたCDなどを公衆に譲り渡す権利もあります(第95条の2)。メンバーとは、CDにして売る・配ることに加えて、あとで追加で作ること、卒業したあとの扱いまで、作る前に取り決めておきます。
ジャケットや歌詞カードにメンバーの写真を使うなら、写っている本人と、撮った人の両方に了解を取ります。写真は著作物の例に挙がっていて(第10条)、撮影を頼んだ人とは、ジャケットや物販に使ってよい範囲を取り決めます。肖像権は、法律に定めのない、判例で確立されてきた権利です(文化庁)。事務所に所属するメンバーなら、事務所の決まりも確かめてください。文化庁の著作権テキストは、芸能プロダクションに所属する芸能人の多くは、プロダクションがパブリシティ権を管理していると思われる、としています。絵を描いてもらったなら、その絵は描いた人の美術の著作物です(第10条)。
小ロットならコピー、枚数が多ければプレスも見積もりで比べる
CDの作り方は2つです。プレスは、工場がマスターのデータから作った型(スタンパー)の凹凸を、樹脂の盤に写して作る方法で、市販の音楽CDと同じ再生専用の盤ができます。コピー(デュプリケート)は、記録型のCD-Rに同じデータを書き込んで作ります。音の中身はどちらも同じデータから作れます。主な違いは、最小ロット、納期、再生機との相性、寿命、盤面の印刷です。寿命の目安は、音楽CDのようなプレスのCDが50〜100年、CD-Rは色素と反射層しだいで20年〜100年超です(カナダ保存研究所)。
プレスには、枚数にかかわらず原盤と型を作る工程が加わります。枚数が少ないときや頒布の日が迫っているときは、コピーが候補になります。枚数が多くなりそうなら、同じ仕様でプレスの見積もりも取り、候補の枚数ごとに「見積もりの総額÷作る枚数」で1枚あたりを比べてください。何枚からプレスのほうが安いかに決まった数字はなく、最小ロットや納期、料金は工場や業者で違います。盤面の印刷、ジャケット、ケース、包装、送料までをそろえて見積もりを頼むと、同じ条件で比べられます。
プレスでは、工場の指定の形(CDならDDPなど)で音のマスターを用意します。DDPの中身と作り方はDDPとは(CDプレスの入稿形式)に、2つの作り方の違いと見積もりの比べ方はCD・DVDのプレスとコピーの違いに詳しく書きました。
CD-Rで作るなら、再生できる機器を確かめる
CD-Rのコピー盤は、CDプレーヤーで聴く音楽CDの形(CD-DA)で書き込み、最後に再生専用とするクローズの処理まで済ませます。マクセルは、CD-Rに録音した音楽がCDプレーヤーで再生できない原因として、プレーヤーがCD-Rの再生に対応していない可能性や、クローズの処理をしていないことを挙げています。配る前に、自分の機器とは別の何台かで、最初から最後まで再生して確かめてください。
記録される音は、作り方では変わりません。44.1kHz・16bitの同じ音のデータを書き込めば、CD-Rでもプレス盤でも、記録される音のデータは同じです。聴く人の機器が分からないまま大勢に渡すなら、再生専用の盤になるプレスを選ぶ理由が1つ増えます。
物販に出す枚数は、前の頒布の記録と予約から置く
何枚作るかは、あとから数え直せるものを根拠に置きます。
- 前のリリースで、同じような現場の物販に出した枚数と、頒布できた枚数の記録
- 予約や取り置きの数。予約を締め切ってから作る枚数を決めれば、見込みを数字で置ける
- 来場者に配る特典なら、チケットの枚数と予備の枚数
見込みの枚数が置けたら、作る枚数の候補ごとに「見積もりの総額÷作る枚数」で1枚あたりを出し、「作る枚数−見込みの枚数」で余る枚数を出します。1枚あたりが安くても、見込みより多く作った分は、お金と置き場所の両方で在庫として残ります。1枚あたりの金額と余る枚数を並べてから、作る枚数を決めます。即売会や物販での値付けと当日の運営は、即売会でCD・DVDを頒布する準備|申込・部数・搬入・値付けと当日の運営にあります。
追加で作るなら、最初の見積もりで条件を聞いておく
初めてのCDで根拠が少ないときは、少なめに作り、なくなったら追加で作る進め方もとれます。そのときに困らないよう、追加で作れる最少の枚数と日数、型やデータを保管してもらえるかを、最初の見積もりのときに聞いておきます。NexToneの管理曲は、追加で製造するときに別途追加の申請が要ります。メンバーや作家との取り決めも、追加で作ることまで含めておけば、作るたびに確かめ直さずに済みます。
余った在庫は、ケースに入れて本のように立て、涼しく乾いた暗い場所に置きます。遠征の車に積んだままにするのは避けてください。記録型のディスクは、夏の車のダッシュボードのように直射日光で熱がこもる場所では、数日で使えなくなることがあります。熱で反ることもあり、ケースに入れていても熱は防げません(米国国立標準技術研究所)。置き場所の選び方はDVD・CDの正しい保管方法に書きました。
ジャケットと盤面に入れるもの|許諾の表示・寸法・JANコード
一般的な音楽CDのプラケースなら、表紙は120×120mm、裏面は左右の背表紙を含めて150×117mmが目安です。寸法は用紙や注文先で少し違うことがあるので、最後は注文先のテンプレートに合わせます。歌詞カードや紙ジャケットの寸法、ジャケ写の画像の大きさはCDジャケットのサイズにまとめました。
盤面の印刷は、作り方で方式が変わります。プレスの盤は工場の印刷機で刷り、コピーの盤は印刷に対応した記録型のディスクに刷ります。印刷できる範囲も工場やディスクの製品で違うので、見本や校正を出してもらえるかを、見積もりのときに確かめます。
JASRAC・NexToneの許諾の表示
管理曲を収めたCDには、許諾の表示を入れます。入れるものと場所は、団体で違います。
| 入れる場所 |
表示するもの |
JASRAC (盤面) |
ロゴマーク、 許諾番号、 曲の題名と作者名 |
JASRAC (ジャケット) |
盤面の3つに 申込者名を加え、 外から見える場所に |
| NexTone |
許諾マークを 製品の1か所に。 許諾番号は要らない |
JASRACのロゴマークの代わりに、「日本音楽著作権協会」と書いてもかまいません。許諾番号は許諾のときに通知されるので、盤面とジャケットの原稿は、許諾を受けてから仕上げます。NexToneの許諾マークは、盤面のほか、ケースやパッケージへの表示や貼り付けでも代えられます。
店や通販に置くなら、JANコードが要るかを確かめる
特典CDを店や通販サイトにも置くなら、取引先にJANコードが要るかを確かめます。JANコードは「どの事業者の、どの商品か」を表す番号で、GS1 Japanに事業者コードを登録申請してから、商品ごとに設定します。GS1 Japanは、インターネット通販などでは商品へのJANシンボルの表示が不要な場合があるので、取引先に確かめるよう案内しています。事業者コードは個人の事業者でも登録でき、事業者名や所在地などが公開されます。
CDに特典を付けるなら、景品表示法の決まりを確かめる
CDにチェキ券やポスターなどの特典を付ける。チケットを買った来場者に、特典CDを配る。こうした特典は、付け方によって景品表示法の「景品類」にあたることがあります。消費者庁の説明では、景品類は、客を誘う手段として、事業者が自分の商品やサービスの取引に付随して提供する、物品、金銭その他の経済上の利益です。あてはまれば、渡せる景品の額に上限がかかります。
同じ特典でも、出し方で扱いが分かれます。消費者庁の運用基準は、「セットで○○円」のように2つ以上の商品を組み合わせて売っていることが明らかな場合は、原則として取引に付随する提供にあたらないとしています。一方で、「××を買えば○○が付いてくる」「○○プレゼント」のように景品と受け取られる出し方や、「○○が当たる」のような懸賞は、取引に付随する提供にあたります。
| 特典の出し方 |
消費者庁の説明 |
| セットで売る |
組み合わせて売ると 明らかなら、原則として 取引に付随しない |
買った人に もれなく付ける |
総付景品。 景品の最高額に 上限がある |
くじで渡す、 一部に入れる |
懸賞。 最高額と総額に 上限がある |
絵柄を そろえさせる |
違う絵柄の組み合わせを そろえさせる懸賞は、 告示で禁止 |
同じCDを 1枚足す |
同じ対価で 同じ商品を足すのは、 原則として値引 |
商品やサービスの利用者や来店者に、もれなく渡す景品を総付景品と呼びます。申し込み順や先着順で渡すものも含まれ、景品の最高額は、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2です。くじのような偶然やクイズの正誤などで渡す懸賞では、取引価額が5,000円未満なら最高額が取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円までで、総額は懸賞にかかる売上予定総額の2%まで。一部の商品にだけ景品を付けていて、外から見て分からない場合も、消費者庁は懸賞の例に挙げています。
トレーディングカードのように絵柄の違う特典を封入するなら、もう1つ決まりがあります。違う種類の絵柄のカードを決まった組み合わせでそろえさせ、そろえた人に景品を渡す方法は、懸賞の告示で禁止されています。なお、「CD三枚買ったらもう一枚進呈」のように、同じ対価で同じ商品を付け足すことは、運用基準で原則として値引と認められる例に挙がっています(懸賞で付け足す場合は除きます)。
企画がどれにあたるかは、中身と出し方で変わります。消費者庁は、事業者がこれから行う企画について景品表示法の相談を受け付けていて、相談の前に運用基準や景品表示法のQ&Aを読むよう案内しています。実施の直前では回答できない場合があるとしているので、特典の中身は、日程の早いうちに決めて確かめます。
ライブの映像を特典のDVD・ブルーレイにするとき
特典を、ライブの映像を収めたDVDやブルーレイにすることもあります。映像のディスクでは、曲の手続きの窓口の名前が変わります。JASRACの管理曲は映像ソフト(DVD・ブルーレイなど)の製作としてJ-RAPPから、NexToneの管理曲はPlayNの「利用許諾申請(ビデオグラム)」から、どちらもディスクを作る前に申し込みます。オリジナル曲でも、作家が管理を任せていれば手続きが要るのは、CDと同じです。
出演者には自分の実演を録音・録画する権利があるので(第91条)、メンバーのほか、ゲストや対バンの出演者が映るなら、円盤にして配ることへの同意を得ます。撮れるかどうかは会場の決まりで変わるため、撮る前に会場に確かめ、客席が映るなら前もって告知します。市販のCDやカラオケの音源を流した部分は、レコード会社などの許諾も要ります。手続きの流れは、記事「推し活でCD・円盤を買う理由と、長く楽しむ保管・見る機器」の後半にまとめています。
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、動画データからDVD・ブルーレイを1枚から作る小さな店です。完成した動画の共有URL(ギガファイル便、Google ドライブなど)を注文フォームに貼っていただき、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。お引き受けできるのは、自分で撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画です。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円で、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。許諾の表示を盤面に入れるなら、盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円を選んで画像を入稿します。手順はDVD・CDの盤面印刷|方式の違い・デザインの例・データの作り方と頼み方にあります。
頒布の日から逆に数える、特典CDの日程
日程は、リリースイベントやワンマンなど、特典CDを頒布する日から逆に数えて組みます。製造の日数は見積もりで確かめるしかありませんが、製造の前に済ませる手続きには、公式に目安の日数が示されています。
- 頒布の日を決める。物販に並べる日と、会場への搬入の方法を確かめる
- 盤が届く日を決める。配送の日数と、受け取りの予備の日を見込む
- 製造の日数を、見積もりで確かめる。プレスは原盤と型を作る工程が加わる
- 入稿の日を決める。音のマスターと、許諾の表示を入れた盤面・ジャケットの原稿をそろえる
- 曲の手続きを、製造の前に済ませる。JASRACはJ-RAPPで通常2〜3営業日(書類なら1週間前後)、NexToneは通常5営業日ほどで許諾が出る
- 店や通販にも置くならJANコードを、配信もするならISRCを確かめる。GS1事業者コードは入金の確認後、通常3営業日以内に通知され、ISRCの取得は目安約1週間
- 作家、メンバー、撮影や録音を頼んだ人との取り決めと、特典の出し方の確認は、選曲と企画の段階で始める
表示を入れた原稿は許諾番号が届くまで仕上がらないので、曲の手続きは、入稿の日より前に余裕をもって申し込みます。JASRACも、許諾後のロゴマークや許諾番号の表示を前提にスケジュールを組むよう案内しています。
最初の一歩は、収録する曲を1曲ずつ、曲名と作詞者・作曲者の名前で書き出すことです。そのうえで作家に管理の状況を聞けば、JASRAC・NexToneへの申し込みが要るか、どんな取り決めが要るかが見えてきます。
よくある質問
Q1. アイドルの特典CDは、何から決めればいいですか?
曲の権利からです。作詞・作曲を頼んだ人と、権利を誰が持ち、CDにして売る・配ってよいかを取り決め、JASRAC・NexToneの管理曲なら製造の前に申し込みます。そのあと、作り方(コピーかプレスか)、枚数、ジャケットと盤面の許諾の表示、頒布の日から逆に数えた日程の順に決めます。許諾の表示を入れた原稿は、許諾のあとでないと仕上がりません。
Q2. 無料で配る特典CDにも、JASRACやNexToneの手続きは要りますか?
管理曲を収めるなら要ります。JASRACは無料で配布する場合でも利用申請が必要だとし、NexToneも価格の有無にかかわらず申請が必要だと答えています。著作権法の「頒布」は、有償か無償かを問いません(第2条)。販売しないCDをJ-RAPPで申し込むときは、定価・小売価格を「0円」と入力します。申し込みは、どちらも製造の前です。
Q3. 作曲家に書いてもらったオリジナル曲の権利は、誰が持ちますか?
頼んだときの取り決め(契約)で決まります。著作権は譲ることも(第61条)、作家が持ったまま使い方を許すこともできる(第63条)ので、CDにして売る・配ってよいか、枚数や配信の扱い、JASRAC・NexToneに管理を任せるかを、作る前に作家と取り決めておきます。作家が管理を任せている曲は、グループのオリジナル曲でも、管理団体への手続きが要ります。
Q4. 特典CDは、何枚作ればいいですか?
決まった枚数はありません。前のリリースで物販に出した枚数と頒布できた枚数の記録や、予約・取り置きの数から見込みを置きます。候補の枚数ごとに「見積もりの総額÷作る枚数」で1枚あたりを出し、作る枚数から見込みを引いた余る枚数と並べて決めます。根拠の少ない初めてのCDは少なめに作り、追加で作る条件を先に聞いておきます。
Q5. CD-Rで作った特典CDは、どのCDプレーヤーでも再生できますか?
どの機器でも再生できるとは限りません。マクセルは、プレーヤーがCD-Rの再生に対応していない可能性や、クローズの処理をしていないことを原因に挙げています。音楽CDの形(CD-DA)で書き込んでクローズまで済ませ、自分の機器とは別の何台かで最後まで再生して確かめます。聴く人の機器が分からないまま大勢に渡すなら、プレスの見積もりも比べます。
Q6. ジャケットにメンバーの写真を使うとき、何を確かめますか?
写っているメンバー本人の了解と、撮った人の了解です。写真は著作物の例に挙がっていて(第10条)、撮影を頼んだ人とは、ジャケットや物販に使ってよい範囲を取り決めます。肖像権は、法律に定めのない、判例で確立されてきた権利です(文化庁)。事務所に所属するメンバーなら、事務所の決まりも確かめます。
Q7. CDにチェキ券などの特典を付けるときに、決まりはありますか?
付け方によっては、景品表示法の景品の決まりがかかります。消費者庁の運用基準では、「セットで○○円」と組み合わせて売ることが明らかなら、原則として取引に付随する提供にあたらず、「××を買えば○○が付いてくる」のような出し方はあたります。買った人にもれなく渡す総付景品の最高額は、取引価額が1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2です。
Q8. 一部のCDにだけ、当たりの特典を入れてもいいですか?
懸賞の決まりを守る必要があります。消費者庁は、一部の商品にだけ景品を付けていて外から見て分からない場合を、懸賞の例に挙げています。懸賞の景品は、取引価額が5,000円未満なら最高額が取引価額の20倍まで(5,000円以上なら10万円まで)、総額は懸賞にかかる売上予定総額の2%までです。違う絵柄のカードを決まった組み合わせでそろえた人に景品を渡す方法は、告示で禁止されています。
Q9. ライブの映像を特典のDVDにするには、どんな手続きが要りますか?
曲は、JASRACならJ-RAPPで映像ソフトとして、NexToneならPlayNの「利用許諾申請(ビデオグラム)」で、ディスクを作る前に申し込みます。無料で配る特典の円盤も頒布です。出演者には実演を録画する権利があるので(第91条)、メンバーやゲスト、対バンの出演者の同意を得て、会場の撮影の決まりも撮る前に確かめます。市販の音源を流した部分は、レコード会社などの許諾も要ります。
Q10. 卒業したメンバーの歌が入ったCDを、追加で作ってもいいですか?
本人との取り決めしだいです。文化庁は、音楽CDをコピーするには歌手や演奏家の了解も必要だと説明していて、追加で作るのもCDの複製です。最初の取り決めで、追加で作ることや卒業後の扱いまで了解を得ていたかを確かめ、足りなければ本人(事務所があれば事務所)に確かめます。NexToneの管理曲は、追加の製造に追加の申請も要ります。
参考にした公式の情報
法律の運用や、各団体の手続き、サービスの規約は、改正や更新で変わります。この記事は、2026年9月26日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、JASRAC・NexTone、作家やレコード会社などの権利者、消費者庁に確かめてください。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。