この記事の要点
自治会・町内会の記録が役員の交代で消えるのは、置き場所が役員のスマホや自宅、個人名義のアカウントにあるためです。まず置き場所を団体へ移します。
残すのは規約・お金・議事録・行事の段取りの4種類です。何年残すかは団体の規程で決め、補助金の書類は交付した自治体の要綱の年数に従います。
会員名簿を使う自治会も、個人情報保護法の対象です。写真と動画は、撮る前に目的と載せる先を知らせ、広報紙やホームページに載せる決まりを作ってから集めます。
集めた写真と動画は、団体名義の保存先と、ネットにつながないオフラインの控えの2か所に置き、年に一度、開けるかを確かめます。
年度末に引き継ぎ箱と目録を作り、新旧の役員が現物を突き合わせて渡します。祭りの記録は、撮る場面と分担、曲の扱いを先に決めておきます。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
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1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
3月の役員会で、前の会長から段ボール箱を1つ受け取る。中にあるのは会計の綴りと去年の総会資料だけで、夏祭りや防災訓練の写真は「私のスマホに入っているので、あとで送ります」と言われたまま届かない。業者の見積書も、回覧した案内文の原稿も、どこにあるのか誰も知らない。次の夏祭りの段取りを覚えている人は、もう役員の中にいません。
記録を残して引き継ぐ手順は、5つに分けられます。置き場所を個人から団体へ移す。残すもの(規約・会計・議事録・行事の段取り)と、何年残すかを決める。写真と動画は、撮る前に告知と掲載の決まりを決めてから集める。集めたものは、団体名義の保存先とオフラインの控えの2か所に置く。そして年度末に、目録と一緒に次の役員へ渡す。どれも特別な機材は要らず、役員会で決めて毎年繰り返せば続きます。
祭りや盆踊り、神輿の記録も、同じ流れに乗せられます。本番の華やかな場面より、朝の設営と夜の片付けの段取りを撮っておくほうが、翌年の役員の助けになります。写る人と曲の扱いを撮る前に決めておけば、配る段になって慌てずに済みます。
役員が替わると記録が消えるのは、置き場所が個人にあるから
夏祭りの写真は会計係のスマホの中、業者の見積書は会長の自宅、回覧の原稿は副会長のパソコン。役員が交代すると、こうした記録はそのまま他人の家の中に残ります。返してほしいとは言い出しにくく、持っている本人も、時間がたつと探し出せなくなることがあります。記録が消える原因は、保管の技術より、置き場所が個人にあることです。
クラウドでも、個人名義のアカウントなら事情は同じです。Googleは、2年使われていないアカウントを無効とみなし、そのデータを削除できるとしています。この決まりは個人の Google アカウントに適用され、職場や学校など組織を通じて設定したアカウントには適用されません。役員を降りた人が古いアカウントを使わなくなれば、そこに置いた行事の写真も、いずれ削除の対象になりえます。
転送サービスやLINEも、置き場所にはなりません。ギガファイル便の保持期限は最長100日で、初期値は5日です。アップロードしたあとで期限を延ばすこともできません(ギガファイル便のFAQ)。「あのURLに全部入っています」というメモは、期限が過ぎれば何も指さなくなります。期限の選び方はギガファイル便の保存期間は何日?期限切れの復元と、延長できないときの対処 にまとめました。LINEのトークで受け取っただけの写真や動画も、LINEのサーバーに残るのは一定の期間だけです(LINEのヘルプ)。
置き場所を3つに分けて考える
個人の端末(スマホ、自宅のパソコン):役員を降りると、団体から取り出せなくなる
個人名義のアカウントやURL(個人のGoogleドライブやメール、転送サービスのURL):使わなくなる、期限が来る、といった理由で消えることがある
団体の場所(集会所の鍵のかかる棚、団体名義のアカウント、団体で持つ控えの媒体):役員が替わっても残る
することは、1と2にあるものを3へ移すことです。集会所がある団体は、鍵のかかる棚の一段を「自治会の記録の棚」と決め、そこに無いものは記録として扱わない、と役員会で決めておくと話が進みます。集会所が無い団体は、ふた付きの箱1つを記録の置き場にして、箱ごと次の役員へ渡します。
残す記録は4種類|規約・お金・議事録・行事の段取り
全部を残そうとすると、箱が増えて中身が分からなくなり、次の代は開けずに物置へ積むことになりかねません。何を残すかを先に決めます。自治会・町内会の記録は、次の4つに分けると整理できます。
規約の類:会則と規程、契約書・協定書、集会所の使用規則。団体の骨組みなので長く残し、失効したものは捨ててよい
お金の類:会計帳簿と領収書などの付属書類、財産目録、補助金の申請と報告の書類。年数を決めやすい種類
決めたことの類:総会の資料と議事録、役員会の議事録。なぜそう決まったかを後から確かめられる
段取りの類:行事ごとの手順、頼んだ先、数量、時間割。次の役員の手間を直接減らす
この4つに入らない紙は、周知が終われば捨てる対象です。回覧の控え、市からの案内、チラシの余り。仙台市が町内会向けに示す目安でも、お知らせや案内文書は「1年、もしくは周知終了まで」とされています。毎年発行・更新される「町内会活動の手引き」「避難所運営マニュアル」「ハザードマップ」「災害時要援護者リスト」なども、最新版を手元に置き、古いものは捨ててよいとしています(仙台市)。古い版が混ざっていると、いざというときに違う版を見るおそれがあります。
写真と動画は、この4つのどれかを補う資料として扱います。行事の写真なら段取りの類、総会の様子なら決めたことの類というように、年度と行事の名前で結びつけて置いておくと、あとで探せます。
自治会・町内会の書類の保存期間は何年か|議事録・会計帳簿・補助金
自治会の書類を何年残すかは、団体の規約や規程で決めるのが基本です。認可地縁団体について定めた地方自治法の条文にも、個人情報保護法にも、議事録や帳簿を何年残すかの定めはありません。個人情報保護委員会のQ&Aも、法律は個人情報の保存期間や捨てる時期を定めていないとし、使う必要がなくなった個人データは遅滞なく消すよう努めることになっている、と説明しています。仙台市は、団体の中で決めた基準や規定があればそれに従うとしたうえで、目安を示しています。
規程を作るときの見本になるのが、自治体が配っている作成例です。愛媛県西条市の「文書保存規程作成例」は、次のように分けています。
文書
保存期間
自治会会則 および規程類
永久。失効したものは廃棄する。
財産目録(資産台帳)
永久。
契約書・ 協定書
永久。失効したものは廃棄する。
総会資料・ 議事録
永久。
役員会 議事録
10年。
会計帳簿・ 付属書類
5年。
上記に含まれない書類
3年。
この作成例は、保存方法を「各保存文書は、紙文書として事務所で保存する。なお、必要により電磁的記録も含めて保存する」、捨て方を「保存期間を経過した文書は、毎年総会終了後廃棄処分する」と定めています。捨てる時期まで決めてあると、年限が形だけにならずに済みます。
仙台市の「町内会の文書を保存する際のポイント」は、長く残すものと、そうでないものに分けた目安です。規約(会則)・規程類、財産目録、契約書、総会議案書、役員名簿などは「永年」で、このうち規約・規程類、財産目録、契約書は、失効したものは廃棄可能とされています。助成金・補助金などの書類や会計帳簿などは「6年(処理した年+5年)」です。仙台市も、この分け方はあくまで目安で、各町内会の実情に合わせて保存・廃棄するよう書いています。西条市と仙台市でも会計帳簿の年数が違うように、答えは1つではありません。団体で年数を決めて規程に書き、毎年そのとおりに回せば足ります。
補助金の書類は、交付した自治体の要綱で決まる
補助金や助成金を受けた年の書類は、団体の規程とは別に、交付した自治体の要綱や募集要項で保存の年数が決められていることがあります。仙台市の地区連合町内会運営補助金では、補助事業の収入と支出を明らかにした帳簿などの証拠書類を、交付を受けた年度の翌年度から5年間保存することになっています。令和4年度に交付を受けたなら、令和9年度末まで残す計算です。ほかの補助金も、申請するときに要綱で年数を確かめ、文書保存規程の表に書き写しておきます。
認可地縁団体は、財産目録と構成員名簿を備え置く
市町村長の認可を受けた自治会・町内会(認可地縁団体)には、地方自治法の決まりが加わります。認可を受けるときと毎年1月から3月までの間に財産目録を作り、主たる事務所に常に備え置くこと(事業年度を設けている団体は、毎事業年度の終わりに作る)。構成員名簿を備え置き、構成員が変わるたびに直すこと(第260条の4)。少なくとも毎年1回、通常総会を開くこと(第260条の13)。総会の招集の通知は、総会の日の少なくとも5日前に、会議の目的を示して出すこと(第260条の15)。
西条市が認可地縁団体向けの手引きに載せている規約の作成例には、主たる事務所に規約、会員名簿、認可や登記の書類、総会と役員会の議事録、収支の帳簿、財産目録などを備えておく、という条文があります。備えておく書類を何年残すかは、規約や文書保存規程で決めます。
名簿を配った記録は、原則3年残す
会員名簿を会員に配ることは、名簿に載っている本人から見ると、ほかの会員への個人データの提供にあたり、配る前に原則として本人の同意が要ります(個人情報保護委員会の自治会・同窓会等向けハンドブック)。個人データを第三者に渡したときは、渡した年月日や相手などの記録を作り、決められた期間保存します(個人情報保護法第29条)。その期間は原則3年です(同法施行規則第21条)。横浜市の手引も、名簿を配るときは配付先を記録し、原則3年保存するよう案内しています。この記録も、引き継ぎ箱に入れる書類の1つです。
捨てるときは、中身が分からないようにする
仙台市の「町内会の文書を廃棄する際のポイント」は、捨てるときに注意が要る書類を挙げています。名前や住所の載った名簿、補助金の申請書類、監事が押印した監査資料、団体の銀行口座や暗証番号が書かれた書類などです。これらは、シュレッダーにかけるなど内容が分からないように処理してから捨てます。保存期間が決まっているものは、満了するまで残しておきます。個人情報保護委員会のハンドブックも、古い名簿はデータを消したり回収してシュレッダーにかけたりして、適切に捨てるよう書いています。
行事の段取りは「行事カルテ」に1件1枚で残す
引き継ぎで役に立つのは、写真よりも「去年はどうやったか」の記録です。テントを何張り借りたか、氷をどこへ何時に取りに行ったか、道路の使用の許可をいつ申請したか。写真には写らないこうした段取りを、行事1件につきA4の用紙1枚にまとめたものを、ここでは行事カルテと呼びます。
行事カルテに書く項目
開催日と曜日、始まりと終わりの時刻
準備の予定を、本番から逆に数えた日数で(「2か月前に会場を申し込む」「3週間前に回覧」など)
頼んだ先の名前と連絡先、締め切り、支払いの方法(担当者の個人名より、部署名と代表の番号)
借りた物・買った物の数量と単価、参加した人数
当日の時間割と、誰がどこについたか
雨天や中止を決める基準と、実際にいつ誰が決めたか
予算と使った金額、その差の理由
申請や届け出(道路の使用の許可、会場の申し込みなど)の日付と、控えの置き場所
反省と申し送り(3行ほどで足りる)
写真は、段取りを補う撮り方をすると役に立ちます。集合写真より、設営を終えた会場を四隅から撮ったもの、看板や備品の置き方、電源の取り方が分かるもののほうが、翌年の準備に使えます。スマホで設営後の会場をゆっくり一周しながら「テントはここに3張、受付は入口の左」と声を入れて撮っておくと、配置と動線がそのまま残ります。
カルテは、項目を印刷した用紙を用意しておき、行事が終わったその日のうちに担当者に手で書いてもらって回収すると、記憶が新しいうちに埋められます。埋まった紙はスキャンして団体の保存先の年度フォルダに入れ、原本は年度のファイルに綴じます。紙と電子の両方に残るので、どちらかをなくしても困りません。
町内会の祭り・盆踊り・神輿は、撮る場面と分担を先に決める
祭りの記録で翌年の役に立つのは、やぐらや本部のテントをどう組んだか、提灯の電源をどこから取ったか、何をどこへ返して片付けたか、という段取りです。本番の踊りや巡行は係でなくても撮る人がいますが、来場者のいない朝の設営や夜の片付けは、係を決めておかなければ撮られないまま終わります。撮る場面は、次のように前日から翌日までを並べて決めます。
場面
撮るもの
前日まで
倉庫の中身、部材や備品の数、借りる物の一覧。
当日の朝
やぐら・テントの組み立て、提灯と電源の配線、本部の設え。
始まる前
会場全体を歩いて一周、掲示物と受付の置き方。
本番
踊りの輪の全体、神輿の出発と巡行の道順、音頭取りと囃子。
片付け
解体の手順、ごみの集め方、借りた物の返し先。
翌日以降
反省会の板書、危なかった場面の申し送り。
撮る人は、場面ごとに「そのときその場にいる役員」へ割り振ると、持ち場を離れずに撮れます。設営の班の人が設営を、本部の人が受付を撮る形です。全体を写すカメラかスマホを三脚で1台固定し、もう1台で寄りの場面を追うと、あとで選べる場面が増えます。撮る人どうしで解像度とフレームレートの設定をそろえ、テレビで見返すつもりなら横向きで撮る、と最初の役員会で伝えておくと、つなぐときも楽です。巡行は、神輿の後ろから道順どおりに歩いて撮っておくと、それ自体が順路の記録になります。
音も記録の1つです。掛け声、鉦や太鼓の打ち方、音頭の節回しは、紙の申し送りには書けません。数分でよいので、話し声が入らないようにして囃子の音を録っておくと、あとで習う人の手本になります。録った音や映像を配るときの曲の扱いは、後の節で説明します。
集め方は、元のファイルを締め切りまでに1か所へ
撮った写真と動画は、撮った本人から元のファイルを受け取ります。ギガファイル便などの転送サービスのURLで送ってもらい、受け取った係は、期限が来る前に団体名義の保存先へ移します。転送サービスは受け渡しの道具で、置き場所ではありません。LINEで送ってもらうなら、画質の選び方をLINEで動画の画質が落ちる?オリジナル画質と元の画質で渡す方法 で確かめてから頼みます。
集める締め切りは、祭りの翌週の役員会などに決めて、実行計画に書いておきます。写真は1つのフォルダに集め、ファイル名の頭に日付や番号を付けておくと、並べ替えや差し替えがしやすくなります。集めた写真を、敬老会などで映せる映像にまとめる手順は写真のスライドショーをDVDにする方法|枚数の決め方・曲の手続き・当日の確認 で説明しています。映像を係でまとめて配るまでの段取りは、学校の例ですが体育祭・運動会の映像をDVDで保護者に配布する方法|学校・PTAで決めること と同じ流れです。
道路で神輿を担ぐ・露店を出すなら、許可の控えも記録に
道路で祭礼行事をするときや、場所を移動しないで道路に露店を出すときは、その場所を管轄する警察署長の許可(道路使用許可)が要ることがあります(道路交通法第77条)。祭礼行事のような行為のうち、どれが許可の対象になるかは、都道府県の公安委員会が定めます。東京都内では、祭礼行事やパレード、撮影会などで一般交通に著しい影響を及ぼす場合に許可が要る、と警視庁は案内しています。申請に出すものの例は、行事の概要が分かる書類、現場の見取図、経路や誘導員の配置を書いた図などです。申請先は、その道路を管轄する警察署です。
ほかの道府県でも、対象と申請の書類は管轄の警察署で確かめます。申請した日、出した書類の写し、許可証の控えを行事カルテと一緒に残しておくと、翌年の申請の見本になります。
写真・動画に写る人|広報紙やホームページに載せる前の告知と同意
自治会・町内会も、個人情報保護法の決まりが当てはまる団体です。個人情報保護委員会の自治会・同窓会等向けハンドブックは、会員名簿などを事業に使っていれば、自治会・町内会のような非営利の団体も「個人情報取扱事業者」にあたると説明しています。横浜市も、2017年5月30日から、自治会町内会を含むすべての事業者が個人情報保護法のルールに沿った扱いを求められていると案内しています。
写真や動画も、誰か分かれば個人情報です。委員会のハンドブックは、鮮明な顔画像はそれだけで個人情報になるとし、横浜市のQ&A集も、個人が特定できれば写真や映像も個人情報にあたるとしています。
では、イベントの写真を載せた会報を配るときは、どう考えるか。委員会のハンドブックの答えは、本人が分かる写真は個人情報でも、名簿のような個人データにはあたらないと解される、というものです。それでも、利用目的を知らせるか公表することは必要です。プライバシーの権利や肖像権の侵害にあたる場合もあるため、不特定多数の人に渡すときは本人の同意を得るなどの取り組みが望ましい、とハンドブックは添えています。肖像権は、自分の肖像をみだりに他人に公開されない権利で、法律に定めはなく、判例によって確立されてきた権利です(文化庁の著作権テキスト)。
撮る前に、目的と載せる先を知らせる
横浜市のQ&A集は、イベントで参加者の写真を撮るときは、告知のちらしや当日の会場で、記録用や広報紙に載せるために撮ること、不都合があれば事前に役員へ申し出てほしいことを知らせるとよい、としています。何のために撮って、どこに載せるのかを、撮る前に出しておく形です。
載せる先は、見られる人の広さで分けて考えます。会報や広報紙を見るのは配った先の家庭、集会所での上映はその場にいる人ですが、ホームページやSNSは会の外の誰でも見られます。見た人が保存したものまでは消せないので、誰でも見られる場所ほど慎重に扱います。載せる先ごとに分けて聞く同意書の作り方と文例は、園向けの記事ですが園の動画・写真を配るときの同意書|作り方と、使い道ごとに選べる文例 にまとめました。
広報紙に名前を載せるなら、ルールに書いて同意を取る
会員の名前を広報紙に載せるには、本人の同意が要る、というのが横浜市のQ&A集の説明です。その都度取るのが大変なら、個人情報取扱ルールなどに「●●の場合は広報紙に掲載します」と書いて同意を取っておく方法もあります(同)。横浜市はこの個人情報取扱ルールを定めることを勧めており、個人情報保護委員会のハンドブックも、安全管理の例の1つに、個人データの取得・利用・保存などの基本的なルールを決めることを挙げています。ルールの決め方には、総会の議案として議決する例も、役員の中で決めて回覧で知らせる例もあります。利用目的は、全会員への周知が必要です(横浜市のQ&A集)。
同意の取り方には、口頭、書面の受け取り、メール、確認欄へのチェックなどがあります。口頭で確かめたときは「○月○日に確認」のように記録を残しておくとよい、というのが横浜市のQ&A集の説明です。委員会のハンドブックも、同意は必ずしも書面でなくてよいが、記録として残っていたほうがトラブルを防げるとしています。子どもが写る場合、保護者などの法定代理人から同意を得る必要がある年齢は、一般的には12歳から15歳までの年齢以下の子どもと考えられています(委員会のハンドブック)。
行事の参加者名簿は、終わったら捨てる
行事の参加を申し込んでもらったときの名簿は、記録として残すものではありません。横浜市のQ&A集は、会合の参加者を把握するために名前を集めていることが明らかなら利用目的を示す必要はなく、参加者名簿は要らなくなった時点で速やかに廃棄すればよい、としています。行事カルテには「参加者◯名(うち子ども◯名)」と人数だけを書き、申込用紙は行事のあとで捨てます。
祭りの映像に入る曲|会場で流すのと、録画して配るのは別
盆踊りの曲や、祭りの会場で流す音楽。会場で流すことと、その様子を録画してディスクで配ることは、著作権法の上で別の扱いです。
場面
手続き
会場でCDを流す・踊る
営利目的でなく、入場料を取らず、出演者に報酬がなければ要らない(第38条)。
家族が家で見るために撮る
私的使用の複製(第30条)。手続きは要らない。
録画して会員や協力先に配る
要る。市販のCDの音が入っていれば、レコード会社などの許諾も要る。
自分たちの囃子や歌を録って配る
保護期間中の曲なら、曲の手続きが要る。CDの歌手やレコード会社の権利は関わらない。
無料で配る
要る。無償でも、公衆に配れば頒布になる(第2条)。
会場で曲を流すことが許諾なしにできるのは、第38条の条件がそろうときです。営利を目的としない、名目を問わず入場料を取らない、出演者に報酬を払わない、の3つです(JASRAC)。文化庁の著作権テキストは、この例外の例に「市民グループの発表会、公民館での上映会」を挙げています。市販のCDを会場でそのまま流すことも、法律上は「演奏」に含まれます(第2条)。祭りが営利を目的としないと言えるか迷うときは、JASRACに確かめてください。
ただし、文化庁の同じテキストは、この例外に「複製・譲渡」や「公衆送信」は含まれないと書いています。祭りを録画してディスクにすれば複製、会員に配れば頒布で、当日の例外では済みません。集会所で記録の映像を上映する場合も、上映そのものとは別に、曲の入った映像をディスクにする段階の扱いを考えます。
市販のCDや配信の音源には、作詞者・作曲者の著作権のほかに、歌手や演奏家(実演家)とレコード製作者の権利が含まれています(JASRAC)。NexToneが許諾するのは作詞者・作曲者などの著作権だけで、ほかの2つはアーティストやレコード製作者などの許諾が要ります。地域の囃子や歌を自分たちで演奏した音なら、CDの歌手やレコード会社の権利は関わりませんが、曲の作詞者・作曲者の権利は残ります。著作権は原則として作者の死後70年まで続き(第51条)、JASRACも、原則として著作者の死後70年が経過した作品は手続きなく利用できると案内しています。CDに録音された音の権利は、発行の翌年から70年と別に数えます(第101条)。
手続きは、曲ごとに、ディスクを作る前に行います。JASRACの管理曲は作品検索データベース「J-WID」で調べて「J-RAPP」から、NexToneの管理曲は作品データベースの「ビデオ」の欄で確かめて「PlayN」から申し込みます。非営利団体などが営利を目的とせず、無償か製作費の実費だけで配るディスクは、JASRACの使用料では「非商用複製」の区分です。自治会の配布がこの区分に当たるかは、申し込むときにJASRACで確かめます。
市販のCDの音が入った場面で音源の許諾が得られないときは、その部分の音を外すか、配る映像から外します。申し込みの細かな流れは、学校行事の例ですが学校行事の録画・DVD配布と著作権|運動会・合唱・卒業式でよくある質問 にまとめました。学校だけに認められた授業の例外は、自治会には当てはまりません。
保管は団体名義の保存先と、オフラインの控えの2か所に
写真や動画は量が多く、紙のファイルには綴じられません。置き場所は、ふだん使う団体名義の保存先(クラウドなど)と、ネットにつながないオフラインの控えの2つにします。国立公文書館のガイドブックは、守らなければならない決まりではないとしたうえで、データを3つ持ち、記録媒体を2種類に分け、1つを離れた場所に置く「3-2-1」を、広く知られた実践例として紹介しています。2か所で手が回るようになったら、控えをもう1つ作って別の建物に置くと、この形に近づきます。組み合わせ方は写真・動画の長期保存はクラウドとDVDのどっち?|3-2-1バックアップの組み方 で詳しく書きました。
団体名義の保存先で決めておくこと
アカウントは団体の名前で作り、再設定用のメールアドレスも団体の連絡先にする。Googleは、使われていないアカウントを消す前に、アカウントのメールと再設定用のメールアドレスに知らせるとしている
年に一度はログインしてファイルを開き、使われていない状態にしない
フォルダは「年度/行事名」の2階層まで。ファイル名は「20260810_夏祭り_設営_01.jpg」のように日付を頭に置く
共有のリンクや転送サービスのURLは受け渡しにだけ使い、保存先にしない
役員が替わるときは、ログインの情報を新しい役員に渡し、パスワードを変える
同期のしくみにも気をつけます。iCloud写真では、1台で消した写真や動画がiCloud写真を使っているすべての機器から消え、戻せるのは30日以内です(Apple)。Googleフォトも、アプリで消すとバックアップがオンの機器から消え、ゴミ箱に30日置かれたあと消えます(Google)。同期はバックアップの代わりにならないので、もう1つを別の場所に置きます。
オフラインの控えは、年度ごとに作る
年度末に、その年度の写真・動画と、行事カルテのスキャンを、外付けのHDDや、書き換えのできないDVD-R・BD-Rに写し、年度のファイルと同じ棚に置きます。書き換えのできないディスクのデータは誤って消されることがなく、元のファイルがあとで壊れても影響を受けない、と米国の政府機関US-CERT向けにまとめられた手引きは説明しています。ケースの背に年度と中身を書いておけば、棚で取り違えません。
ディスクにも寿命があります。カナダ保存研究所が示す平均の目安は、一般的なDVD-R(銀合金の反射層)で10〜20年、BD-Rで5〜10年です。JIS Z 6017などが長期保存に向く環境として示すのは温度10〜25℃・湿度40〜60%で、読めるかを確かめる点検は5年程度が目安です(国立国会図書館の報告書による)。直射日光が当たらず結露しない場所に、1枚ずつケースに入れて立てて置きます。置き方の注意はDVD・CDの正しい保管方法|温度・湿度・置き方と、やってはいけないこと にまとめました。
控えは作って終わりにせず、年に一度、別のパソコンやプレーヤーで開いて、戻せるかを確かめます。集会所のパソコンでしか開けない、パスワードが分からない、といったことは、必要になってからでは直せません。自治体などの記録を台帳で管理し、担当の交代をまたいで残す考え方は、公文書・自治体の電子記録の長期保存|保存期間・形式・媒体と光ディスクの使い方 で書いています。
テレビで見る映像のディスクは、元の動画の代わりにならない
行事の動画を、集会所のテレビや敬老会で見られる映像のDVD・ブルーレイにしておく方法もあります。映像のディスクは、動画をプレーヤーで再生できる形に作り直した、見るための複製です。DVDは720×480、ブルーレイは1920×1080で記録するので、スマホで撮った4Kの動画は元より粗くなります。元の動画ファイルは、団体の保存先とオフラインの控えに残しておきます。
自治会の引き継ぎで渡す書類と、年度末の段取り
引き継ぐものは、年度末に1つの箱(集会所があれば記録の棚)にまとめます。何を書き出せばよいかは、西条市の「事務引継書作成例」が参考になります。引き継ぐ事項として挙がっているのは、次の項目です。
いまの事務の状況(総会と役員会の時期、集会所の鍵の管理者と保険、会計年度、行政の担当の部署と申請書類など)
資料と物品の種類と保管場所(年間資料綴り、自治会長印、会員名簿、預金通帳、財産台帳、契約書など)
懸案の事項と、まだ手を付けていない事項
そのほか引き継ぐ必要のある事項
年間のスケジュール表(月ごとの行事名と内容)
引き継ぎ箱に入れるもの
規約・規程の原本と、市区町村への届け出の控え
年度ファイル(総会の資料と議事録、役員会の議事録、会計帳簿と付属書類、行事カルテ)を年度ごとに1冊
通帳と印鑑(保管する人と場所を役員会で決め、名義を変える手順を添える)
鍵の一覧(集会所、倉庫、掲示板、防災倉庫。何本あって誰が持っているか)
備品台帳(テント、長机、発電機など。買った年と置き場所)
連絡先の一覧(市区町村の担当の部署、連合会、頼んでいる業者。個人名より部署名と代表の番号)
団体名義のアカウントの一覧と、オフラインの控えの置き場所
個人情報取扱ルールと、名簿を配った記録
ログインの情報をどう渡すかは、役員会で安全な方法を決めます。国立公文書館のガイドブックは、ファイルにパスワードをかけて保存すると、やがて誰もパスワードが分からなくなりかねないと注意しています。保存している記録は台帳で組織に共有し、特定の個人だけが開ける状態にしない、という同じガイドブックの考え方は、自治会の記録にもそのまま使えます。
目録を見ながら、現物を突き合わせて渡す
箱の中身は、A4の用紙1枚の目録にします。ふたの裏と年度ファイルの最初のページに同じものを入れておき、引き継ぎの日は、旧役員と新役員が同じ席で目録を見ながら現物を一つずつ確かめます。確かめ終えたら双方が署名し、1部ずつ持ちます。引き継ぎの日は、総会の日程が決まった時点で「総会の翌週の◯曜日」のように先に決めておくと、年度をまたいでも抜けません。
年度末にすること
年度の最後の役員会に、次の6つを毎年の議題として入れておきます。
行事カルテがそろっているか確かめ、抜けている行事は担当者に聞いて埋める
年度ファイルを綴じる(総会・役員会の議事録、会計帳簿、行事カルテ)
写真と動画を団体の保存先の年度フォルダに集め、役員の端末から集め終わったことを確かめる
年度分のオフラインの控えを作り、別のパソコンやプレーヤーで開けるか確かめてから棚に入れる
保存期間を過ぎた文書を、規程どおりに捨てる(名簿などはシュレッダーにかける)
目録を直し、ふたの裏と年度ファイルの先頭を差し替える
総会で決めておく3つ
文書保存規程:何を何年残すか、どこにどう保存するか、いつ捨てるか
個人情報取扱ルール:利用目的、写真と動画の扱い、広報紙やホームページへの掲載、名簿を配る範囲、要らなくなった情報の捨て方
記録の係:行事カルテの回収と、年度末のまとめを受け持つ役
規程とルールと係が総会で決まっていれば、熱心な役員が1人抜けても仕組みは止まりません。段取りが残っていれば、初めて役員になった人でも、去年と同じように行事を回せます。
祭りや行事の映像をDVD・ブルーレイにして配るとき
祭りや防災訓練の動画を、協力してくれた団体や役員に配る、集会所に置いて敬老会で流す。そうした使い方には、テレビのプレーヤーで見られる映像のDVD・ブルーレイが向いています。配る相手が多いなら、多くの家庭で見られるDVDを基本にします。DVDプレーヤーではブルーレイを再生できないので(ソニー)、ブルーレイは、再生できる機器があると分かっている相手に渡します。
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、動画ファイルからDVD・ブルーレイを1枚から作る、書き込み代行の小さな店です。撮影や編集はしていないので、編集を終えた動画をギガファイル便やGoogle ドライブなどにアップロードし、その共有URLを注文フォームに貼ってください。スマホからも入稿できます。プレーヤーで再生できる形に組み立てて書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円で、同じ内容の2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)1,000円です。盤面に年度と行事名を入れるなら盤面レーベル印刷(1枚あたり)+1,000円を選び、開いた欄に画像をアップロードするか、ギガファイル便のURLを入れます。
準備・本番・片付けのように場面ごとに頭出ししたいときは、チャプター分け(1枚あたり)+1,500円を選びます。開いた「チャプター位置の指定」の欄に、2つ目以降の位置を時刻で入れます。1つ目は動画の冒頭に自動で入り、1枚に最大50チャプターまでです。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。注文の流れは、動画をDVD・ブルーレイにする注文の手順|初めてでも迷わない決めることと送り方 にまとめています。
よくある質問
Q1. 自治会の書類は何年保存すればいいですか?
団体の規約や規程で決めるのが基本で、自治体の作成例が目安になります。西条市の文書保存規程の作成例は、会則・規程類、財産目録、契約書・協定書、総会資料・議事録を永久、役員会の議事録を10年、会計帳簿・付属書類を5年、それ以外を3年としています。捨てる時期は毎年の総会のあとと決めてあります。補助金の書類は、交付した自治体の要綱で決まる年数に従います。
Q2. 町内会の総会や役員会の議事録は、何年残せばいいですか?
地方自治法の認可地縁団体の条文にも個人情報保護法にも、議事録を何年残すかの定めはなく、団体の規程で決めます。西条市の作成例は総会の資料・議事録を永久、役員会の議事録を10年とし、仙台市の目安も総会議案書を永年の側に入れています。総会の議事録は、なぜそう決まったかを後から確かめる記録なので、長く残す側に入れておきます。
Q3. 補助金の書類は何年保存しますか?
交付した自治体の要綱や募集要項で決まります。仙台市の地区連合町内会運営補助金では、補助事業の収入と支出を明らかにした帳簿などの証拠書類を、交付を受けた年度の翌年度から5年間保存することになっています。数え始めが交付の翌年度である点に気をつけ、申請の段階で要綱の年数を確かめて、文書保存規程の表に書き写しておきます。
Q4. 自治会の引き継ぎでは、どんな書類を渡せばいいですか?
規約と規程、年度ごとの総会・役員会の議事録、会計帳簿と付属書類、行事の段取りの記録に、通帳と印鑑、鍵と備品の一覧、連絡先、団体名義のアカウントの一覧を加えます。西条市の事務引継書の作成例は、年間資料綴り、自治会長印、会員名簿、預金通帳、財産台帳、契約書の保管場所や、懸案の事項、年間のスケジュール表も挙げています。目録を作り、新旧の役員が突き合わせて渡します。
Q5. 行事の写真を広報紙やホームページに載せるのに、同意は要りますか?
本人が分かる写真は個人情報で、載せるなら利用目的を知らせるか公表する必要があります。個人情報保護委員会は、不特定多数の人に渡すときは本人の同意を得るなどの取り組みが望ましいとしています。横浜市のQ&A集は、撮る前にちらしや会場で目的を知らせ、困る人には申し出てもらうこと、名前を広報紙に載せるなら本人の同意を得ることを挙げています。
Q6. 祭りや盆踊りの写真・動画は、誰がどう撮って集めればいいですか?
撮る場面を先に決め、場面ごとにその場にいる役員へ割り振ります。本番より、朝の設営と夜の片付けを係が受け持つと、翌年に使える段取りが残ります。全体を写す1台を三脚で固定し、もう1台で寄りを撮ると、選べる場面が増えます。集めるときは撮った本人から元のファイルを転送サービスのURLで受け取り、締め切りを決めて団体の保存先へ移します。
Q7. 盆踊りの曲が入った映像を、会員に配ってもいいですか?
配るなら、原則として曲の手続きが要ります。営利を目的とせず、入場料を取らず、出演者に報酬を払わない盆踊りで曲を流すことは許諾なしにできても(第38条)、この例外に複製や譲渡は含まれないと文化庁は説明しています。JASRACやNexToneの管理曲はディスクを作る前に申し込み、市販のCDの音が入っていれば、レコード会社などの許諾も要ります。
Q8. 記録用のGoogleアカウントは、誰の名義で作ればいいですか?
自治会の名前で作り、再設定用のメールアドレスも団体の連絡先にします。Googleは、2年使われていない個人のアカウントを無効とみなしてデータを削除できるとし、この決まりが当てはまらないのは職場や学校など組織を通じて設定したアカウントだとしています。自治会の名前でも無料で作ったアカウントなら、年に一度はログインしてファイルを開き、交代のときにログインの情報を引き継ぎます。
Q9. 前の役員が、行事の写真を個人のスマホに持ったままです。どうすればいいですか?
返してもらうより、元のファイルのコピーを団体の保存先に置いてもらう形でお願いします。転送サービスのURLで送ってもらい、受け取った側がすぐに団体の保存先へ移します。あわせて、いま手元にあるものだけで年度ファイルを作り直し、以後は引き継ぎ箱と団体の保存先に無いものは記録として扱わない、と役員会で決めます。通帳や印鑑、鍵のような団体の財産は、目録を作って返してもらいます。
Q10. 認可地縁団体になると、記録の扱いは変わりますか?
地方自治法の決まりが加わります。財産目録は、認可を受けるときと毎年1月から3月までの間に作り、主たる事務所に備え置きます(事業年度を設けていれば毎事業年度の終わりに作る)。構成員名簿も備え置き、構成員が変わるたびに直します(第260条の4)。通常総会は少なくとも毎年1回開き(第260条の13)、招集の通知は総会の日の少なくとも5日前に、目的を示して出します(第260条の15)。
Q11. NPOや市民団体の活動の記録も、同じように残して引き継げますか?
同じ考え方で残せます。記録を役員個人ではなく団体名義の保存先に置き、規約・お金・議事録・行事の段取りを年度ごとにまとめ、写真と動画はオフラインの控えと2か所にします。写る人の了解は、広報紙やホームページに載せる前に取ります。助成金の報告に使う記録や写真は、報告の様式と、帳簿や証拠書類を何年残すかを、助成元の募集要項や交付の決まりで確かめてください。
参考にした公式の情報
法律の運用や自治体の資料、各社の仕様は、改正や更新で変わることがあります。この記事は、2026年9月26日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、市区町村の担当の部署、個人情報保護委員会、JASRAC・NexTone、管轄の警察署などに確かめてください。
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