この記事の要点
記録が消える原因は保管の技術ではなく保管の場所が個人 にあることで、個人のスマホ・自宅・個人アカウントに置かれた資料は役員交代と同時に取り出せなくなります。
残す文書は規約・お金・議事録・行事の段取り の4種類に絞り、お知らせや案内文書は周知が終われば捨てる、という線引きを先に決めます。
保存年限は永久・10年・5年・3年の4段階 が扱いやすく、補助金の証拠書類は交付年度の翌年度から5年間という別枠で管理します。
写真は個人情報になり得るため、撮影の告知と広報紙掲載のルール を行事の前に決め、同意を得た日付を記録に残しておきます。
保管は団体名義のアカウントに集約したうえで、年度ごとのコピーを1つオフライン で書庫に置き、鍵と通帳と同じ場所で引き継ぎます。
3月の終わりに、前の会長さんから段ボール1箱を受け取る。中を開けると会計の綴りと去年の総会資料だけが入っていて、夏祭りや防災訓練の写真は「私のスマホに入っているので、あとで送ります」と言われたきり届かない。数年前に配ったはずの案内文の原稿も、業者の見積書も、どこにあるか誰も知らない。自治会・町内会の引き継ぎでは、これに近いことが毎年どこかで起きています。
困るのは写真が見られないことより、来年の行事が組み立て直しになることです。どの業者にいつ発注したのか、テントは何張り借りたのか、去年の支出はいくらだったのか。前の代が当たり前にやっていた段取りが残っていないと、新しい役員は毎回ゼロから調べることになり、その負担がまた「役員のなり手がいない」につながります。
この記事では、記録が消える構造的な原因を整理したうえで、残すべき文書と捨ててよい文書の線引き、保存年限の決め方、行事の段取りをA4一枚に落とす方法、写真と個人情報の扱い、そして個人の端末やアカウントから団体の保管場所へ移す具体的な手順までをまとめます。年度末の作業を仕組みにするところまで書きますので、そのまま総会の議案にできる形を目指しました。
記録が消える原因は保管技術ではなく「置き場所が個人」であること
失われた記録をたどっていくと、原因はたいてい保管の技術ではありません。夏祭りの写真は会計係のスマホの中、業者の見積書は会長の自宅の書斎、回覧の原稿は副会長のパソコンのデスクトップ。役員が交代した瞬間、これらは「他人の家の中」に移動します。返してくださいとは言い出しにくく、本人も1年経てば探せなくなります。
クラウドに上げてあれば安心かというと、個人名義のアカウントである限り同じことが起こります。Googleは、2年間使用されていない個人のGoogleアカウントについて、アカウントとその中のコンテンツを削除する方針を公表しています。このポリシーは職場や学校など組織を通じて設定されたアカウントには適用されず、削除が始まる最も早い時期は2023年12月1日とされています。役員を降りた方がメールアドレスを乗り換えて古いアカウントを2年放置すれば、そこに置いた行事の写真は消えることになります。
無料のファイル転送サービスも引き継ぎ先にはなりません。ギガファイル便は公式サイトに「1ファイル300Gまで、個数無制限」と記載があり大容量を扱えますが、アップロード時に設定した保存期間 を過ぎればダウンロードできなくなります。「あのURLに全部入っています」というメモは、半年後には何も指していない文字列になります。
LINEのグループやアルバムも同じ性質を持ちます。役員が入れ替わるたびにグループを作り直せば、前のグループにあった写真とやり取りは引き継がれません。前年度のグループを退会した人の端末からは見えなくなり、誰かが「まだ残っている人」を探して回ることになります。
置き場所を3つに分けて考える
個人の端末 (スマホ・自宅のパソコン)――交代した時点で取り出せなくなる
個人名義のアカウント (個人のGoogleドライブ、個人のメール、転送サービスのURL)――本人が生きていても、放置・退会・期限で消える
団体の場所 (集会所の書庫、団体名義のアカウント、団体で保管する記録メディア)――役員が変わっても残る
やることは単純で、1と2にあるものを3へ移すだけです。難しいのは技術ではなく、「団体の場所」がそもそも決まっていない自治会が多いことです。まず集会所の鍵付き書庫の一段を「自治会の記録棚」と決め、そこに入っていないものは記録として扱わない、と役員会で合意するところから始めると話が早く進みます。
残すのは規約・お金・議事録・行事の段取りの4種類|お知らせは周知が終われば捨てる
全部残そうとすると、結局どれも残りません。段ボールが増えるほど中身の把握ができなくなり、次の代は開けずに物置へ積みます。線引きを先に決めるほうが実務的です。
仙台市が町内会向けに配布している文書保存のポイントでは、文書を「長期間の保存が必要なもの」と「長期間の保存が不要なもの」の2つに分けた目安が示されています。長期保存が必要なものとして規約(会則)・規程類、財産目録、契約書、総会議案書、役員名簿、表彰に関する書類が永年、助成金・補助金等に関する書類や会計帳簿等が6年(処理した年+5年)として挙げられています。一方で、お知らせや案内文書は1年もしくは周知が終了するまで、定期的に行う会議の資料は終了後1年程度で十分とされ、災害時要援護者リストは最新版を受領したら以前のリストは廃棄できる、と整理されています。
4種類に振り分ける
規約系 ――会則、各種規程、集会所の使用規則、契約書・協定書。団体の骨格なので永久保存。失効したものは廃棄してよい
お金系 ――会計帳簿と付属書類、財産目録、補助金の申請書と実績報告と領収書。年限が明確に決まる種類
意思決定系 ――総会資料と議事録、役員会の議事録。「なぜそう決まったか」が残る唯一の記録
段取り系 ――行事ごとの手順、発注先、数量、タイムテーブル。次の代の負担を直接減らす種類で、しかも一番残っていない
この4つに当てはまらない紙は、原則として周知が終われば捨てる対象です。回覧の控え、市からの案内、イベントのチラシの余り。捨てにくいのは「もしかしたら要るかも」という気持ちですが、それを許すと保管場所が埋まり、本当に必要な4種類が探せなくなります。
なお、毎年発行・更新されるもの――活動の手引き、避難所運営マニュアル、ハザードマップ、災害時要援護者リストなど――は最新版だけを手元に置き、古いものは処分してよい、というのが仙台市の示す考え方です。古い版が混ざっていると、いざというときに間違ったほうを見る事故につながります。ファイルの背に年度を大きく書き、更新のたびに前年度分を抜く運用にしておくと迷いません。
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保存年限は永久・10年・5年・3年の4段階|補助金の証拠書類だけ別枠にする
保存年限は法律で自治会向けに一律に決まっているものではなく、団体の中で規程を作って決めるのが基本です。多くの市町村が自治会向けに「文書保存規程(作成例)」を配布しており、内容はおおむね共通しています。愛媛県西条市や地域自治組織向けの様式集で配布されている作成例では、次のような区分になっています。
文書名
保存期間
備考
自治会会則及び規程類
永久
失効したものは廃棄する
財産目録(資産台帳)
永久
契約書・協定書
永久
失効したものは廃棄する
総会資料・議事録
永久
役員会議事録
10年
会計帳簿・付属書類
5年
上記に含まれない書類
3年
この作成例では、保存方法として「各保存文書は、紙文書として事務所で保存する。なお、必要により電磁的記録も含めて保存する」、廃棄方法として「保存期間を経過した文書は、毎年総会終了後廃棄処分する」と定められています。廃棄の時期を総会後と決めてあるのが実務的で、これがないと誰も捨てられず、年限だけが形骸化します。
補助金を受けている場合は別枠
補助金・助成金の証拠書類は、交付元の要綱で保存期間が指定されていることがあります。仙台市地区連合町内会運営補助金の例では、補助事業に係る収入・支出を明らかにした帳簿等の証拠書類を、補助金の交付を受けた年度の翌年度から5年間保存することとされています。年度の数え方が「作成した年から5年」ではなく「交付年度の翌年度から5年」である点に注意してください。募集要項に保存期間の記載があるかを、申請の段階で確認して規程に書き写しておくのが安全です。
認可地縁団体には法律上の備え置き義務がある
市町村長の認可を受けた認可地縁団体(法人格を持つ自治会)の場合は、地方自治法にはっきりした義務があります。第260条の4は、認可を受ける時および毎年1月から3月までの間に財産目録を作成し、常にこれを主たる事務所に備え置かなければならないこと、構成員名簿を備え置き、構成員の変更があるごとに必要な変更を加えなければならないことを定めています。事業年度を設けている団体は、毎事業年度の終了時に財産目録を作成します。あわせて第260条の13で少なくとも毎年1回の通常総会の開催、第260条の15で総会の招集通知は少なくとも5日前までに会議の目的である事項を示して行うことが定められています。認可を受けている団体は、この3点を年間予定表に固定で入れておくと漏れません。
写真より効くのは段取りの記録|行事1件をA4一枚の「行事カルテ」にする
引き継ぎで一番喜ばれるのは、実は写真ではありません。次の役員が知りたいのは「去年はどうやったのか」であり、その答えは写真には写っていないことがほとんどです。テントを何張り借りたのか、氷はどこに何時に取りに行ったのか、警察への道路使用許可はいつ出したのか。これらを行事1件につきA4一枚にまとめておくと、翌年の準備時間が目に見えて短くなります。
行事カルテに書く項目
開催日と曜日、開始・終了時刻 ――曜日まで書く。翌年の日付を決めるときに参照される
逆算の予定 ――何日前に何をしたか。「2か月前に会場申請」「3週間前に回覧」「1週間前に景品発注」のように日数で書くと、翌年そのまま使える
発注先と担当者名、電話番号、締切 ――業者名だけでなく締切日と支払方法まで。個人名を書く場合は取扱いに注意する
数量と単価 ――テント◯張、長机◯本、ジュース◯本、参加者◯名。数量の根拠が残ると、翌年の増減を判断できる
当日のタイムテーブルと人員配置 ――何時に誰が何をしたか。人数の過不足がここに出る
雨天・中止の判断基準と実際の判断 ――何時に誰が決めたか。毎年もめる部分
支出実績 ――予算との差と、その理由
反省と申し送り ――3行でよい。「駐車場が足りなかった」「音響の延長コードが1本足りない」
写真は、この段取りを補強する使い方をすると効きます。完成した集合写真より、設営が終わった状態の会場を四隅から撮ったもの、看板をどこに掲示したか、備品をどう並べたか、配線をどう引き回したかのほうが、翌年の役に立ちます。「きれいな写真」ではなく「状態の記録」として撮る、と決めておくと、撮る人も迷いません。
映像も同じ観点で撮れます。設営後の会場をスマホでゆっくり一周させながら、「テントはここに3張、受付は入口の左」と声を入れて2〜3分撮っておく。文章と写真では伝わりにくい配置と動線が、これだけでかなり残ります。防災訓練や避難所開設訓練のように手順が多い行事では、この形の記録が特に有効だと考えられます。
行事カルテはワープロで作らなくても構いません。項目を印刷した用紙を人数分コピーしておき、当日の終了直後に担当者が手書きで埋めて回収する方式のほうが、後日入力するより確実に埋まります。埋まった紙をスキャンして年度フォルダに入れ、原本は年度ファイルに綴じる。この2段構えにしておくと、どちらかが失われても残ります。
個人が写る写真は撮る前に決める|告知と掲載ルールを先に用意する
行事の記録を残す方針を決めると、次に出てくるのが写真の扱いです。ここは後から揉めやすいので、撮影する前に決めておくほうが結果的に手間が少なくなります。
前提として、自治会・町内会も個人情報保護法の対象です。改正前は取り扱う個人情報が5,000人分以下の事業者は適用対象外とされていましたが、2017年5月30日の全面施行によりこの要件が撤廃され、営利・非営利を問わずすべての事業者が対象になりました。町内会や同窓会のような非営利の団体も含まれます。
横浜市が公開している「自治会町内会における個人情報取扱いQ&A集」では、個人が特定できれば写真や映像も個人情報にあたるため取扱いに一定の注意が必要だとしたうえで、イベント時に参加者の写真を撮る場合は、イベント告知のちらしや当日の会場で、記録用や広報紙掲載のために写真を撮ること、不都合があれば事前に役員まで申し出ていただくことを周知するとよい、と示されています。「撮ります」と黙って撮るのではなく、「こういう目的で撮ります、困る方は言ってください」を先に出す形です。
広報紙に氏名を載せる場合は、また別の配慮が要ります。同Q&Aでは、会員の名前を広報紙に載せることについて本人の同意を得ていることが必要としたうえで、その都度同意を取るのは大変なので、あらかじめ個人情報取扱ルールなどに「●●の場合は広報紙に掲載します」と明示して同意を取っておく方法も考えられる、としています。個人情報取扱ルールを定めること自体は個人情報保護法上の義務ではないものの、国のガイドラインでは作成が求められており、横浜市は策定を推奨しています。定めた場合は、利用目的を通知または公表することが法令上求められるため、総会や回覧で全会員に周知する必要があります。
同意を取ったら日付を書く
同意の取り方について、同Q&Aは口頭による意思表示や書面の受領、同意する旨のメールの受信、確認欄でのチェックなどが国のガイドラインで挙げられているとし、口頭の場合はトラブル回避のために「○月○日確認」のように記録を残しておくのがよい、としています。この一行があるかどうかで、数年後に問い合わせがあったときの対応がまったく変わります。行事カルテの余白に「掲載可否の確認欄」を作っておくと自然に残ります。
不要になった名簿は残さない
行事の参加申込で集めた名簿については、同Q&Aは、会合の開催にあたり参加者を把握するために氏名等を集めていることが明らかであれば利用目的の明示は不要としつつ、参加者名簿は不要になった時点で速やかに廃棄すればよい、としています。行事の記録として残すのは人数と内訳であって、個人の氏名・連絡先の一覧ではありません。カルテには「参加者112名(うち子ども38名)」と書き、申込用紙は行事終了後に処分する。この切り分けを最初に決めておくと、引き継ぎ箱の中に古い名簿が溜まりません。
保管場所を個人から団体へ移す|引き継ぎ箱の中身を先に決めておく
方針が決まったら、置き場所を物理的に作ります。集会所がある団体は鍵付き書庫の一段、集会所がない団体は蓋つきの収納ボックス1つを「自治会の記録」と決め、毎年その中身を引き継ぐ形にします。ボックスは中身が見えるものより、中身の目録を蓋の裏に貼れる不透明なもののほうが管理しやすいです。
引き継ぎ箱に入れるもの
規約・規程類の原本 と、市町村への届出の控え
年度ファイル (総会資料と議事録、役員会議事録、会計帳簿と付属書類、行事カルテ一式)を年度ごとに1冊
通帳・印鑑・キャッシュカード (保管者と保管場所を役員会で決め、名義変更の手順書を添える)
鍵の一覧 ――集会所、倉庫、掲示板、防災倉庫。何本あって誰が持っているかの表
備品台帳 ――テント、長机、発電機、AED、放送設備。購入年と保管場所と点検時期
連絡先一覧 ――市区町村の担当課、連合会、消防団、業者。担当者名ではなく部署名と代表番号で書くと陳腐化しにくい
アカウント情報 ――団体名義のメールアドレスとパスワード。紙に書いて封筒に入れ、通帳と同じ場所で管理する
最後の項目が抜けている団体が多く、ここが次の代の詰まりどころになります。ホームページ、防犯カメラのクラウド、写真の保管先。すべて団体名義のアカウントを1つ作り、そこに集約します。名義を「◯◯自治会」にして、連絡先メールも団体名義にしておけば、役員が交代してもアカウントごと引き継げます。逆に個人名義のまま運用していると、その方が引っ越したり、体調を崩したりした時点で誰も入れなくなります。
目録は1枚で足ります。箱の中に何が入っているかをA4一枚に書き、蓋の裏と年度ファイルの最初のページに同じものを綴じる。引き継ぎの場では、この1枚を見ながら現物を突き合わせて、双方が署名して1部ずつ持つ。「言った・言わない」がここで消えます。
引き継ぎの日は年度をまたぐ前に固定しておくと動きます。総会の日程が決まった時点で「総会の翌週の◯曜日に引き継ぎ」と決め、旧役員と新役員が同席する。当日1時間、箱を開けて目録を突き合わせながら、年度ファイルの中身をざっと説明する。この1時間があるかどうかで、翌年度の立ち上がりが変わります。
クラウドだけに置かない|団体名義に集約したうえでオフラインの控えを1つ持つ
写真や映像は量が多く、紙のファイルには綴じられません。そこで団体名義のクラウドに置くことになりますが、クラウド「だけ」にすると、アカウントの管理が途切れた瞬間に全部が消えます。オンラインとオフラインで1つずつ持つのが、手間と安全のバランスが取れる形です。
オンライン側の決めごと
アカウントは団体名義。復旧用の連絡先も団体名義のメールにする
フォルダは「年度/行事名」の2階層まで。深くすると誰も辿らない
ファイル名は「20260810_夏祭り_設営_01.jpg」のように日付を頭に置く。並べ替えだけで時系列になる
共有リンクは連絡用と割り切る。転送サービスのURLは期限で消えるため、保管先として扱わない
オフライン側は年度ごとに1枚
年度末に、その年度の写真・映像・行事カルテのスキャンをまとめて1枚のディスクにし、年度ファイルと同じ棚に置く。ハードディスクやUSBメモリでもよいのですが、上書きされない・小さくて棚に立つ・盤面に年度を印刷できるという点で、光ディスクは引き継ぎ箱と相性がよい形です。
保存環境の目安もあります。JIS X 6257:2017(長期データ保存用光ディスクの品質判別方法及び長期保存システムの運用方法)では、長期保存環境として温度10℃〜25℃・相対湿度40%〜60%、オフィス保存環境として温度5℃〜30℃・相対湿度15%〜80%で保存することが望ましいとされています。同規格では保存期間中の定期品質検査についても触れられており、その頻度は約5年ごとを目安とし、保存する文書の保存計画と合わせて決めるとされています。集会所の書庫でも、直射日光が当たらず湿気の溜まらない場所を選ぶ、という判断はこの数値から導けます。5年に一度、再生できるかを確認する日を決めておくとさらに安心です。
ディスク化を外部に頼む場合、私たちディスクメーカーでは動画データからDVD・Blu-rayを1枚1,500円から、1枚単位で制作しています。プレーヤーで再生できる形式に組み立てるオーサリングは料金に含まれます。盤面へのレーベル印刷に対応しているので「2026年度 ◯◯自治会 行事記録」と刷っておけば、箱の中で年度を取り違えません。ケースと背表紙の印刷も対応しているため、書棚に立てたときに背から年度が読めます。夏祭り・防災訓練・清掃活動のように行事が複数ある年度は、メニュー画面の作成とチャプター分けを使って行事ごとに頭出しできる形にしておくと、次の役員が必要な場面だけをすぐ出せます。
入稿はダウンロードできる共有URLで受け付けています。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などが使えるので、撮影データをそのまま送っていただければ大丈夫です。納期は通常便のほか、お急ぎ(+1,500円/15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、特急(+3,000円/15時までの注文・入稿で翌日発送)、当日店舗お渡し(+3,500円/平日12時までの注文・入稿、大阪市北区の店舗で受け取り)から選べます。総会の日に配りたい、といった締切のある場面でも間に合わせやすい構成にしています。
年度末の作業を仕組みにする|総会の議案にして担当と日付を決める
ここまでの内容は、役員個人の熱意でやると1年で途切れます。続くようにするには、規程・担当・日付の3つを決めて総会に通すのが確実な方法です。
総会に出す3点
文書保存規程 ――前述の作成例をそのまま使えます。永久・10年・5年・3年の4段階と、保存場所、廃棄の時期(毎年総会終了後)を書く
個人情報取扱ルール ――利用目的、写真・映像の扱い、広報紙への掲載、名簿の配付範囲、不要になった情報の廃棄。定めたら回覧や総会で全会員に周知する
記録担当 ――会計や書記とは別に「記録」を1名置く。仕事は行事カルテの回収と年度末のまとめだけと明記する
個人情報取扱ルールの策定方法について、横浜市のQ&Aは特に定められた方法はないとしつつ、総会議案として議決したうえで策定する例、役員の中で決定した後に回覧等で会員に周知する例があると紹介しています。団体の規模に合わせて選べばよく、重要なのは決めた内容を全会員が知っている状態にすることです。
年度末の30分でやること
3月の役員会の最後に30分取り、次の順で進めます。
行事カルテがすべて揃っているか確認し、抜けている行事は担当者に口頭で聞いて埋める
年度ファイルを綴じる(総会資料・議事録・役員会議事録・会計帳簿・行事カルテ)
写真・映像を団体名義のクラウドの年度フォルダに集約し、各役員の端末から集め終わったことを確認する
年度分をオフラインの控えにして引き継ぎ箱へ入れる
保存年限を過ぎた文書を廃棄する(規程どおり、総会終了後に)
引き継ぎ箱の目録を更新し、蓋の裏と年度ファイルの先頭に差し替える
この6つを毎年繰り返すだけで、5年後の役員は「去年どうやったか」を人に聞かずに調べられるようになります。逆に言えば、どれか1年でも抜けると、その年度だけが空白になって後から埋められません。日付を先に決め、役員会の議題に固定で入れておくのが、続けるための一番簡単な工夫です。
記録を残す目的は、過去を懐かしむことではなく、次の代の負担を減らすことです。段取りが残っていれば、初めて役員になった方でも去年と同じ水準の行事を回せます。それが結果として「役員を引き受けてもいい」と思える下地になります。年度末の30分は、そのための投資と考えてよいと思います。
よくある質問
Q. 自治会の書類は何年保存すればいいですか?
A. 法律で自治会向けに一律の年限が定められているわけではなく、団体で文書保存規程を作って決めるのが基本です。市町村が配布している作成例では、会則・規程類、財産目録、契約書・協定書、総会資料・議事録を永久、役員会議事録を10年、会計帳簿・付属書類を5年、それ以外を3年とする区分が示されています。廃棄は毎年総会終了後に行う、と規程に書いておくと運用が止まりません。補助金の証拠書類は交付元の要綱で別に指定されている場合があるため、募集要項を確認してください。
Q. 前の役員が持っている資料を返してもらえません。どうすればいいですか?
A. 個人宅にある資料を後から回収するのは、実際にはかなり難しい作業です。まず現存するものだけで年度ファイルを作り直し、以後は「引き継ぎ箱に入っていないものは記録として扱わない」と役員会で合意するほうが早く前に進みます。そのうえで、返却をお願いする対象を規約・通帳・印鑑・鍵・備品台帳など団体の財産に関わるものに絞ると、話が具体的になります。写真については、返却ではなく「団体のフォルダへコピーを置いていただく」形でお願いすると応じてもらいやすい傾向があります。
Q. 行事の写真を広報紙やホームページに載せるのに、全員の同意が要りますか?
A. 個人が特定できる写真は個人情報にあたるため、扱いには配慮が必要です。横浜市のQ&A集では、イベントで写真を撮る場合、告知のちらしや当日の会場で、記録用や広報紙掲載のために撮影すること、不都合があれば事前に役員まで申し出ていただくことを周知するとよい、とされています。氏名を広報紙に載せる場合は本人の同意が必要とされており、その都度取るのが大変なら、個人情報取扱ルールに「●●の場合は広報紙に掲載します」と明示して同意を取っておく方法が挙げられています。
Q. 会員名簿は行事の記録として残しておいてよいですか?
A. 行事の参加申込で集めた名簿は、記録として残す必要がありません。横浜市のQ&A集では、会合の参加者を把握するために氏名等を集めていることが明らかな場合は利用目的の明示は不要としつつ、参加者名簿は不要になった時点で速やかに廃棄すればよい、とされています。記録に残すのは参加人数とその内訳で十分です。行事カルテには「参加者◯名(うち子ども◯名)」と書き、申込用紙は行事終了後に処分する運用にしておくと、引き継ぎ箱に古い名簿が溜まりません。
Q. 引き継ぎ資料は紙とデータのどちらで残すべきですか?
A. 両方を役割で分けるのが現実的です。規約、議事録、会計帳簿、行事カルテは紙で年度ファイルに綴じ、集会所の書庫に置きます。写真と映像は量が多く紙にできないので、団体名義のクラウドに集約したうえで、年度ごとの控えをオフラインで1つ持ちます。市町村の文書保存規程の作成例でも、保存方法として紙文書で事務所に保存し、必要により電磁的記録も含めて保存する、という書き方がされています。片方だけにしないことが要点です。
Q. 記録用のGoogleアカウントは誰の名義で作ればいいですか?
A. 団体名義で作ってください。Googleは、2年間使用されていない個人のGoogleアカウントについて、アカウントとそのコンテンツを削除する方針を公表しています。役員個人のアカウントに置いたまま本人が使わなくなれば、そこにある記録は失われます。アカウント名を「◯◯自治会」とし、復旧用の連絡先も団体名義のメールにしておけば、役員が交代してもアカウントごと引き継げます。IDとパスワードは紙に書いて封筒に入れ、通帳と同じ場所で保管し、交代のたびに変更する運用にしておくと安全です。
Q. 行事の映像をディスクにする場合、費用と手間はどのくらいかかりますか?
A. ディスクメーカーでは動画データからDVD・Blu-rayを1枚1,500円から、1枚単位で制作しています。プレーヤーで再生できる形式に組み立てるオーサリングは料金に含まれます。入稿はダウンロードできる共有URLで、ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などが使えます。盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しているので、年度と行事名を印刷して棚に立てておけば、次の役員が探しやすくなります。
Q. 認可地縁団体になると、記録の扱いは変わりますか?
A. 変わります。市町村長の認可を受けた認可地縁団体には、地方自治法第260条の4により、認可を受ける時および毎年1月から3月までの間に財産目録を作成して主たる事務所に常に備え置くこと、構成員名簿を備え置き構成員の変更があるごとに必要な変更を加えることが定められています。事業年度を設けている団体は毎事業年度の終了時に財産目録を作成します。あわせて第260条の13で少なくとも毎年1回の通常総会、第260条の15で総会の招集通知は少なくとも5日前までに目的である事項を示して行うことが定められています。