この記事の要点
カメラで特定の個人を識別できる画像を撮ること自体に本人同意は求められておらず、個人情報保護法が求めているのは利用目的の特定(法17条1項)と通知・公表(法21条1項) です。
掲示が法的に働くのは適正取得・利用目的の公表・肖像権の総合考慮という3か所 で、同意書の代わりにはならないため寄りで撮る出演者には別途書面を用意します。
掲示に入れる6要素は誰が撮るか・目的・映像の行き先・保存期間・申し出方法・問い合わせ先 で、実際に抜け落ちやすいのは行き先と保存期間の2つです。
入場する前に読める位置へ貼り、申込フォームや案内メールにも同じ文言を載せる と「来てから知った」という不満が大きく減ります。
記録映像を関係者にだけ渡すならディスクは配布範囲を枚数で閉じられる ので、掲示文の「どこへ行くか」を具体的な言葉で書けるようになります。
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来場者が数百人いる発表会や地域イベントで、受付に同意書を積んで一人ずつ署名をもらう。理屈では正しくても、開場20分でその列は破綻します。かといって何も告知せずにカメラを回せば、終演後に「勝手に撮られた」という連絡が入る。その間を埋めるのが、掲示で告知して、望まない人には申し出てもらう運用です。
ただ、この方式には誤解がついて回ります。「掲示しておけば同意を取ったことになる」という理解です。これは正確ではありません。掲示が働く場所は法律上3か所あり、そのどれも同意ではない。どこまでが掲示でカバーでき、どこからは書面が要るのかを分けておかないと、文面はいくら整えても運用が崩れます。
掲示に入れるのは、誰が撮るか・目的・映像の行き先・保存期間・申し出方法・問い合わせ先の6つです。貼る位置は、入場する前に読める場所が本体です。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
同意書と掲示の使い分けは、寄りで撮る人に書面、客席全体に掲示 掲示は同意書の代わりにならない|働くのは適正取得・利用目的の公表・肖像権判断の3か所 掲示に入れる6要素|抜けやすいのは「映像の行き先」と「いつ消すか」 映りたくない人の逃げ道は、目印・非撮影エリア・事後の削除申請の3段構え 掲示の置き場所は、入口・受付・会場内の3か所 受付の声かけと撮影者の腕章|聞かれる前に言うと問い合わせが減る そのまま貼れる掲示文の文例3本を、自分のイベント用に削って使う 配布先を書けるようにするには、枚数を先に決める よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
同意書と掲示の使い分けは、寄りで撮る人に書面、客席全体に掲示
撮影に関わるルールは、個人情報保護法という条文の世界と、肖像権という判例の世界の二階建てになっています。この二つは求める内容が違うので、混ぜたまま考えると掲示文が組み立てられません。
個人情報保護法の側から見ると、カメラで特定の個人を識別できる画像を取得すること自体に、本人の同意は求められていません。求められているのは、利用目的をできる限り特定すること(法17条1項)と、それを本人に通知するか公表すること(法21条1項)です。
個人情報保護委員会の「カメラに関するQ&A」も、防犯カメラについて「利用目的をできる限り特定し、当該利用目的の範囲内でカメラ画像を利用しなければなりません」と述べています。そのうえで、同意ではなく通知・公表を求める組み立てになっています。同意が必要になるのは、要配慮個人情報を取得する場合(法20条2項)など、別に定められた場面です。
一方、肖像権は条文ではなく裁判所の判断の積み重ねです。最高裁は平成17年11月10日の判決(民集59巻9号2428頁)で、「人は、みだりに自己の容ぼう等を撮影されないということについて法律上保護されるべき人格的利益を有する」としました。
そのうえで、承諾なく撮影することが違法になるかどうかは「被撮影者の社会的地位、撮影された被撮影者の活動内容、撮影の場所、撮影の目的、撮影の態様、撮影の必要性等を総合考慮して」判断すべきだと示しました。同意の有無だけで白黒がつく話ではなく、どう撮ってどう扱ったかが評価に入ってくるということです。
この構造を踏まえると、二つの方式の守備範囲はこう分かれます。
同意書方式
掲示方式
向く相手
登壇者、出演者、インタビュー対象など顔が主役になる人
客席、通路、会場全景に写り込む不特定多数
手間
人数に比例して増える
人数が増えてもほぼ一定
弱いところ
当日の飛び込み参加、出入りの多い人に追いつかない
「見ていない」と言われる余地が残る
相性のいい映像
寄りの画、商用利用、外部への公開
引きの記録映像、内部共有、雰囲気カット
実際に回っているのは、この二つを人によって切り替える形です。全員から個別同意を取るのは無理でも、寄りで撮る相手だけに絞れば書面は回ります。登壇者と出演者、取材に応じてくれた来場者には署名をもらい、会場全体には掲示で伝えて申し出を受ける。この線引きを撮影担当者にも共有しておくと、当日「この人は書面が要る側か」の判断が現場でできます。
掲示は同意書の代わりにならない|働くのは適正取得・利用目的の公表・肖像権判断の3か所
掲示が法的に働いている場所は3つあります。順に見ると、掲示文に何を書くべきかが自然に決まります。
1. 隠し撮りにしないための措置(法20条1項)
個人情報保護法20条1項は、偽りその他不正の手段による個人情報の取得を禁じています。カメラに関するQ&AのA1-13は、これを受けて「カメラの設置状況等から、カメラにより自らの個人情報が取得されていることを本人において容易に認識可能といえない場合には、容易に認識可能とするための措置を講じなければなりません」としています。その具体例として、店舗や駅・空港等の入口、カメラの設置場所への掲示を挙げています。
さらに、外観からカメラだと分かる場合であっても、掲示を行ってより容易に認識できるようにすることが望ましいとも書かれています。イベント撮影の掲示は、まずこの「隠していない」を成立させる措置です。
2. 利用目的を公表したことにする(法21条1項)
法21条1項は、個人情報を取得したら速やかに利用目的を本人に通知するか公表せよと定めています。例外として「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」(法21条4項4号)があり、防犯カメラはこれに当たると整理されています。ただしイベントの記録撮影は違います。記録として残すだけなのか、広報物に使うのか、SNSに出るのか。カメラの外観からは読み取れません。明らかだと言い切れない以上、書いて公表しておくほうが素直です。
3. 肖像権の総合考慮でプラスに働く
個人情報保護委員会が公開しているカメラ利用ハンドブックには、防犯カメラに関する裁判例で考慮されてきた要素として、次の7つが整理されています。
被撮影者の社会的地位
撮影された被撮影者の活動内容
撮影の場所(範囲)
撮影の目的
撮影の態様
撮影の必要性
撮影された画像の管理方法
このうち「撮影の態様」の具体例として「カメラが作動中である旨の周知をしているか」「カメラが被撮影者から見える状態であったり、カメラが設置されていることがわかる状態であるか」が明記されています。周知しているかどうかは、それ自体が判断材料の一つとして扱われてきたということです。
逆に、掲示では代われない場面もはっきりしています。本人の同意が求められるのは、要配慮個人情報の取得(法20条2項)、個人データの第三者提供(法27条1項)、そして特定した利用目的の範囲を超えた利用(法18条1項)です。カメラに関するQ&AのA1-15も、防犯目的で取得した画像をマーケティング等の商業目的に使う場合はあらかじめ本人の同意が必要だとしています。記録用に撮ったものを後から広告へ転用する動きは、掲示の射程の外にあると考えられます。
もう一つ、用語の注意があります。「オプトアウト方式」は現場では「原則撮る、望まない人が申し出る」という意味で使われますが、個人情報保護法27条2項には「オプトアウト届出」という別の制度があります。こちらは個人データを本人の同意なしに第三者提供するために個人情報保護委員会へ届け出るもので、要配慮個人情報や不正取得された個人データは対象外とされています(同項ただし書)。
社内や委託先との打ち合わせで「オプトアウト」という語を使うと、話がずれることがあります。そのため、掲示文そのものにはこの語を使わず、「撮影をご希望されない方は受付までお申し出ください」と平易に書くほうが伝わります。
掲示に入れる6要素|抜けやすいのは「映像の行き先」と「いつ消すか」
掲示文に載せる要素は6つです。個人情報保護委員会のカメラ利用ハンドブックは、顔識別機能付きカメラシステムについて、運用主体、利用目的、問合せ先を掲示し、さらに詳細をウェブサイトに掲載することが望ましいとしています。イベント撮影でも骨格は同じで、そこに映像の行き先、保存期間、申し出方法を足した形になります。
抜けやすいのは行き先と保存期間。この2つが問い合わせをいちばん多く生む
1. 誰が撮るのか
主催者名を正式名称で書きます。委託した撮影会社が入るなら、その旨も書いておくと、当日ビブスを着た知らない人がカメラを構えていても不安になりません。
2. 何のために撮るのか
ここが利用目的の特定にあたります。「記録のため」だけでは、後で広報に使うときに範囲外になります。使う可能性のある用途を先に並べておくのが実務的です。
3. 撮ったものがどこへ行くのか
いちばん抜け落ちる項目であり、いちばん問い合わせが来る項目でもあります。参加者に配るのか、内部保管だけなのか、ウェブに出るのか。行き先が書いていない掲示は、読んだ人からすると「どこまで広がるか分からない」という状態のままです。
4. いつまで持ち、いつ消すのか
法22条は、個人データについて利用の必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることを求めています。ここには技術的な但し書きがあって、カメラに関するQ&AのA1-41によれば、映像情報は特定の個人を検索できるように体系的に構成されていない限り個人情報データベース等には当たらないとされています。つまりイベント映像のファイルをそのまま置いているだけなら、法22条や法23条が直接かかる「個人データ」ではない可能性が高い。
ただしA10-8は、データベースを構築していない場合でも漏えい等がないよう各種の安全管理措置を参考に適切に扱うことが望ましいとしています。義務かどうかとは別に、保管期間を決めて書いておくほうが読む側は安心します。保管先を分散させる考え方は3-2-1バックアップの実践 が参考になります。
5. 映りたくないときにどうすればいいか
申し出の窓口と、その場でできる回避手段を具体的に書きます。「ご配慮します」では、読んだ人は何をすればいいか分かりません。
6. 問い合わせ先
当日と後日の両方です。当日は受付、後日はメールアドレスか電話番号。掲示した日付も入れておくと、去年の紙が貼りっぱなしという事故を防げます。
よく見る書き方
書き直した例
会場内で写真・動画の撮影を行います。
本日の公演は、主催者が記録および広報のために写真・動画を撮影します。
撮影した写真は各種媒体で使用する場合があります。
撮影した写真・動画は、記録映像のディスク(出演者・関係者のみに配布)、次回開催の案内チラシ、当会ウェブサイトおよび公式SNSに使用することがあります。
撮影データは適切に管理します。
撮影データは主催者が保管し、公演日から1年経過後に削除します。
撮影をご遠慮されたい方はお申し出ください。
撮影をご希望されない方は、受付でグレーのリストバンドをお受け取りください。着用の方は撮影対象から外します。また、ホール後方のC・Dブロックは撮影範囲に含めません。
映りたくない人の逃げ道は、目印・非撮影エリア・事後の削除申請の3段構え
掲示方式が成立する条件は、掲示文の出来ではなく、読んだ人が実際に避けられるかどうかです。「申し出てください」とだけ書いて避ける手段がない掲示は、告知しているようで選択肢を渡していません。逃げ道は3段で用意します。
目印を配る
リストバンド、シール、ストラップなどを受付で渡し、着けている人を撮影対象から外す方式です。設計で迷うのが、撮られたくない側に配るか、撮られてもいい側に配るかという点です。
撮られてもいい側に配る形は、心理的なハードルは低いのですが、配布率が上がらないと撮れる人が極端に減ります。実務では撮られたくない側に配るほうが回りやすい。ただし赤や蛍光色を使うと、着けていること自体が目立って「撮られたくない人」という表示になってしまいます。グレーや紺など、遠目には気づきにくい色を選ぶほうが、申し出やすさは上がります。
撮影担当者には「この色を着けている人は撮らない」ではなく「この色が画角に入ったら構図を変える」と伝えます。前者だと、後方に写り込んだ人を見落とします。
物理的に撮らないエリアを作る
いちばん確実なのがこれです。客席の特定ブロック、ホール後方、通路の一部を撮影範囲から外し、掲示にその場所を書いておく。カメラの位置と画角をあらかじめ決めておけば、担当者が判断する余地がなくなるので、当日のミスが起きません。目印方式は撮影者の注意力に依存しますが、エリア方式は依存しません。
座席指定のイベントなら、申込時点で「撮影範囲外の席を希望する」の選択肢を置くと、当日の受付が楽になります。
後から消せる窓口を残す
当日は気づかなかった、あるいは家族が写っていた、というケースは残ります。開催後の削除申請窓口を作り、期限を切って掲示に書きます。期限は編集スケジュールから逆算します。記録映像をディスクにして配るなら、書き込みに入る前に締める必要があるので、公演から2週間程度が現実的な線です。
申請を受けたら何をするのかも、決めておくと当日慌てません。写真なら該当カットの削除、動画なら該当場面のカットかぼかし処理。全編を撮り直すことはできないので、ぼかしで対応する場合はその旨も掲示に書いておくと、期待値のずれが起きません。
撮影者の注意力に頼らない非撮影エリアがいちばん確実
子どもが参加する行事の場合
保育園、小学校、子ども向け教室では、申し出るのが保護者で、写るのが子どもという構造になります。当日の掲示だけでは、送迎に来ない保護者に届きません。申込書やお便りの段階で意思確認を取り、当日の掲示はその再確認として置く。この二段構えにしておくと、「聞いていない」がほぼ消えます。
掲示の置き場所は、入口・受付・会場内の3か所
掲示が働くかどうかを決めるのは、文面よりも位置です。判断の基準は一つで、読んだ人が「入るのをやめる」「申し出る」という選択をまだ取れる場所かどうかです。入場して着席してから初めて知るのでは、告知はしていても選択肢は渡していません。
置く場所は3か所に分けます。
入口の外側または入場列の手前。入る前に判断できる位置に置きます。ここが本体です。
受付カウンター。申し出る動作がその場でできる位置。目印を渡す場所と一致させます。
会場内の、カメラの近く。三脚を立てる位置や、固定カメラを置く位置のそば。撮っていることを見える形にしておくのは、前述の「撮影の態様」に関わる部分です。
サイズについては、規格から逆算するより実地で確かめるほうが早いです。掲示を貼り、来場者が通る位置に立ち、そこから読めるかを見る。入口のポスターはだいたい2〜3m離れた位置から見られるので、A4に本文をびっしり書いたものはまず読まれません。上段に大きな文字で「本日、記録用の撮影を行います」と結論だけを置き、詳細は下段に小さく置く二層構成にすると、通りすがりでも要点は入ります。
紙面に全部を詰め込むのは無理があるので、詳細はウェブに載せます。個人情報保護委員会のハンドブックも、運用主体・利用目的・問合せ先を掲示したうえで、さらに詳細な内容を自社のホームページに掲載することを望ましい対応として挙げています。イベント特設ページに撮影ポリシーの節を作り、掲示にはそのQRコードを入れる。これで紙面が空きます。
言語は、来場者の構成に合わせます。訪日客が来る催しなら日本語と英語の併記、地域によっては中国語や韓国語。全文を訳すと紙面が破綻するので、カメラのピクトグラムと「Photography and video recording in progress」程度の一行に、詳細ページのQRを添える形が現実的です。日本語も、漢字を減らして分かち書きにした「やさしい日本語」の一文を足しておくと、届く範囲が広がります。
そして、当日の掲示だけに頼らないことです。申込フォームの注意事項、チケットの裏面、リマインドメール、会場アナウンス。同じ文言を事前の接点にも置いておくと、当日その場で初めて知るという状況が減ります。掲示は最後の確認であって、最初の告知ではないという配置にするのが、苦情がいちばん少ない形です。
当日の掲示は最後の確認。同じ文言を事前の接点にも置く
受付の声かけと撮影者の腕章|聞かれる前に言うと問い合わせが減る
紙は読まれないことがあります。読まれなかった分を拾うのが受付の一言です。長くすると受付が詰まるので、10秒で終わる型を決めておきます。
「本日、記録用に写真と動画を撮影しています。撮影をご希望されない場合は、こちらのリストバンドをお渡しします。後方のC・Dブロックのお席は撮影範囲に入りません。」
この三文で、事実の告知、回避手段、代替席までが伝わります。受付スタッフには、この文言を紙に書いて手元に置いてもらいます。人によって説明が違うと、後で「あの人はこう言った」という話になります。
撮影する側の識別も、同じくらい役に立ちます。腕章かビブス、あるいは首から下げるIDに「撮影担当」と入れておく。来場者からすると、知らない人がカメラを構えているのと、主催者の撮影担当が撮っているのとでは受け止め方がまったく違います。これは前述の「カメラが被撮影者から見える状態であるか」という観点にも重なります。
撮影担当者へは、当日の朝に指示書を渡します。A4一枚で足ります。
撮ってよい範囲と、撮らないエリア(座席ブロック単位で明記)
目印を着けている人への対応(構図を変える、後で削除する)
寄りで撮る相手のリストと、書面の同意が取れているかどうか
子どもを撮る場合の扱い
撮ったデータの受け渡し方法と、私物端末に残さないこと
最後の項目は見落とされがちですが、撮影後のデータがスタッフの個人スマートフォンに残り続ける状態は、掲示に書いた保管ルールと食い違います。回収方法まで書いて、当日中に受け渡す運用にしておきます。
申し出があったときの記録シートも用意します。受付時刻、席番号、目印を渡したかどうか、外見の特徴を一言。編集の段階で「そういえば申し出があった」を思い出すのは無理なので、紙に残しておくと確認作業が具体的にできます。個人を特定するメモになるので、編集が終わったら処分する扱いにします。
申し出は紙に残して編集で確かめ、終わったら処分する
そのまま貼れる掲示文の文例3本を、自分のイベント用に削って使う
以下は下敷きです。自分のイベントに要らない行を削り、固有名詞と日付を埋めて使います。書いていない範囲には使えないという性質のものなので、迷ったら広めに書いておくより、実際に使う先だけを具体的に書くほうが読む側の納得は得られます。
A. 一般的なイベント向け(入口掲示)
【撮影のお知らせ】 本日の◯◯フェスティバルでは、主催者が記録および広報のために写真・動画を撮影します。
・撮影者:◯◯実行委員会および委託先の◯◯(撮影担当の腕章を着用しています) ・使用先:当会ウェブサイト、公式SNS、次回開催の案内チラシ、活動報告書 ・保管:主催者が保管し、2027年3月31日に削除します ・撮影をご希望されない方:受付でグレーのリストバンドをお渡しします。着用の方は撮影対象から外します。また、会場後方のCブロックは撮影範囲に含めません ・掲載後の削除をご希望の場合:2026年◯月◯日までに下記へご連絡ください ・お問い合わせ:◯◯実行委員会 事務局 電話◯◯/メール◯◯ 掲示日:2026年◯月◯日
B. 子どもが参加する行事向け
【撮影についてのお願い】 本日の発表会では、主催者が記録のために写真・動画を撮影します。
・使用先:園内掲示、保護者の皆さまへお渡しする記録ディスク、園だより ・園のウェブサイトやSNSには掲載しません ・撮影をご希望されない場合:事前にご提出いただいた確認書に沿って対応します。当日変更される場合は受付までお申し出ください ・保護者の皆さまの撮影について:お子さまのご家族の撮影は自由ですが、他のお子さまが写った写真・動画のSNS等への掲載はご遠慮ください ・お問い合わせ:◯◯園 電話◯◯ 掲示日:2026年◯月◯日
3行目の「掲載しません」は、書けるなら書いたほうがいい行です。保護者がいちばん気にしているのは撮影そのものではなく、公開範囲だからです。
C. 記録映像を関係者に配る場合
【撮影と記録映像の配布について】 本日の◯◯公演は、記録映像として撮影します。
・撮影者:◯◯(撮影担当の腕章を着用) ・記録映像の配布先:出演者および関係スタッフ(◯名)にDVDでお渡しします。一般の販売、ウェブでの公開は行いません ・写真の使用先:次回公演の案内チラシおよび当団体ウェブサイト ・撮影データの保管:主催者が原本を保管し、2028年◯月末に削除します ・撮影をご希望されない方:受付までお申し出ください。客席後方のD・Eブロックは撮影範囲に含めません ・お問い合わせ:◯◯ メール◯◯ 掲示日:2026年◯月◯日
Cの「◯名にDVDでお渡しします」という一行が、この記事でいちばん伝えたい形です。配布先が枚数で言い切れると、読んだ人は自分の映像がどこまで行くのかを具体的に把握できます。渡した先の再生環境が気になる場合の考え方は家庭用プレーヤーの互換性 にまとめています。
配布先を書けるようにするには、枚数を先に決める
掲示の6要素のうち「映像がどこへ行くか」は、映像の渡し方を決めないと書けません。共有リンクで配る場合、リンクは転送できてしまうので、掲示に書ける言葉が「関係者に共有します」までしか具体化できません。読む側からすると、範囲がどこで止まるのか分からない書き方です。
ディスクにすると、配布先の数がそのまま枚数になります。出演者12名と運営スタッフ8名なら20枚。掲示には「出演者および関係スタッフ20名にDVDでお渡しします」と書けます。転送で広がる経路がないぶん、書いた範囲と実際の範囲が一致しやすい。掲示文の精度は、配布方法の設計で決まる部分が大きいということです。
その前提で枚数を決めるとき、少量だと単価が跳ね上がる想定があるかもしれませんが、少量前提の作り方なら事情が変わります。1枚から頼める小ロット対応 という選択肢があり、当社でも基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からで1枚単位の注文を受けています。動画データを再生できる形に組み立てるオーサリングは料金に含まれます。当社が受け付けるのは完成した動画のデータです。日々多くのご注文をお受けしており、この種の小口の記録映像が中心です。
盤面とジャケットは、掲示文と揃えると役に立ちます。盤面に「◯◯公演 記録映像/関係者配布用」と刷り、ジャケットの裏に「本ディスクは関係者配布用です。複製および再配布はご遠慮ください」と入れておく。掲示で「一般の販売・公開は行いません」と告知した内容が、ディスク自体にも書いてあることになります。渡された側が数年後に見返したときにも、扱いの前提が残ります。
盤面レーベル印刷、ケース+背表紙印刷、メニュー画面作成、演目ごとのチャプター分けに対応しているので、演目名を入れておけば探す手間も減ります。盤面とジャケットに刷る文字は、印刷する画像に入れて入稿してもらう形です。入稿データの作り方はDVD・CDのレーベルとジャケットの入稿データの作り方 にまとめました。
入稿はダウンロードできる共有URLで受け付けています。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、撮影データを置いた場所のリンクを注文フォームに貼る形です。手順はギガファイル便での入稿ガイド にあります。
納期は、削除申請の締切とセットで考えます。開催後2週間を申請期限にするなら、そこから編集して入稿するので、通常便で組めることが多いはずです。日程が詰まっている場合は、次の3つから選べます。
お急ぎお届け(+1,500円、平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)
特急お届け(+3,000円、平日15時までの注文・入稿で翌日発送)
当日店舗お渡し(+3,500円、平日12時までの注文・入稿で大阪市北区の店舗にて受け取り)
掲示に書いた削除申請期限を守ろうとすると編集期間が圧縮されるので、期限を決める段階で納期の選択肢を頭に入れておくと、後で無理をしなくて済みます。
よくある質問
Q. 撮影の掲示を出しておけば、参加者の同意を得たことになりますか? A. 掲示は同意そのものではありません。掲示が働くのは、隠し撮りにならないようにする措置(個人情報保護法20条1項)、利用目的の公表(同21条1項)、そして肖像権をめぐる判断で「撮影の態様」として考慮される部分の3か所です。本人の同意が求められるのは、要配慮個人情報の取得(同20条2項)、個人データの第三者提供(同27条1項)、特定した利用目的を超える利用(同18条1項)などで、これらは掲示では代替できません。顔が主役になる登壇者や出演者には、掲示とは別に書面で同意を取っておくのが安全です。
Q. イベントで来場者を撮影するのに、そもそも本人の同意は必要ですか? A. 個人情報保護法は、カメラで特定の個人を識別できる画像を取得すること自体には本人の同意を求めていません。求めているのは、利用目的をできる限り特定すること(法17条1項)と、それを本人に通知するか公表すること(法21条1項)です。個人情報保護委員会の「カメラに関するQ&A」も、防犯カメラについて同意ではなく通知・公表を求める組み立てになっています。ただし人種や信条、病歴などの要配慮個人情報を取得する場合は、原則として事前の同意が必要です(法20条2項)。また肖像権は別の枠組みで、撮影の目的・場所・態様などを総合考慮して判断されます。
Q. 撮影の掲示はどこに貼ればいいですか? A. 入場する前に読める位置が本体です。入口の外側か入場列の手前に置き、読んだ人が「入るのをやめる」「申し出る」という選択をまだ取れる状態にします。加えて受付カウンター(申し出る動作がその場でできる位置)と、会場内のカメラの近くに置きます。当日の掲示だけに頼らず、申込フォームの注意事項、チケット裏面、リマインドメールにも同じ文言を載せておくと、「来てから知った」という不満が大きく減ります。実際に来場者が通る位置に立って読めるかを、貼ってから確かめてください。
Q. 掲示文には何を書けばいいですか? A. 6つです。誰が撮るのか(主催者名と委託先)、何のために撮るのか(利用目的)、撮ったものがどこへ行くのか(配布先・公開先)、いつまで保管していつ消すのか、映りたくないときの申し出方法、問い合わせ先。個人情報保護委員会のカメラ利用ハンドブックも、運用主体・利用目的・問合せ先を掲示し、詳細はウェブに載せることを望ましい対応として挙げています。実務で抜け落ちやすいのは「どこへ行くか」と「いつ消すか」の2つで、この2つが問い合わせをいちばん多く生みます。
Q. 撮影されたくない人に、当日どう対応すればいいですか? A. 3段構えで用意します。ひとつは目印で、受付でリストバンドやシールを渡し、着用している人を撮影対象から外します。色は赤や蛍光色ではなくグレーや紺を選ぶと、着けていること自体が目立たず申し出やすくなります。ふたつめは非撮影エリアで、客席の特定ブロックや通路を撮影範囲から外し、掲示にその場所を書いておきます。撮影者の注意力に依存しないので、これがいちばん確実です。みっつめは事後の削除申請窓口で、開催後2週間など期限を切って掲示に明記します。
Q. 「オプトアウト方式」と個人情報保護法のオプトアウト届出は同じものですか? A. 別のものです。現場で言う「オプトアウト方式」は、原則として撮影し、望まない人が申し出るという運用の呼び名です。一方、個人情報保護法27条2項の「オプトアウト届出」は、個人データを本人の同意なしに第三者へ提供するために、氏名・住所、提供される個人データの項目、取得の方法、提供の方法、本人の求めを受け付ける方法などを個人情報保護委員会へ届け出る制度で、要配慮個人情報や不正取得された個人データは対象外とされています。打ち合わせで混同すると話がずれるので、掲示文には「撮影をご希望されない方は受付までお申し出ください」と平易に書くほうが伝わります。
Q. 子どもが参加する行事では、掲示だけで足りますか? A. 当日の掲示だけでは届かない相手がいます。申し出るのが保護者で、写るのが子どもという構造なので、送迎に来ない保護者には掲示が見えません。申込書やお便りの段階で撮影と使用先について確認を取り、当日の掲示はその再確認として置く二段構えにしてください。掲示文には「園のウェブサイトやSNSには掲載しません」のように、公開しない範囲まで書いておくと納得が得られやすくなります。保護者による撮影については、他の子どもが写った写真のSNS掲載を控えてもらう旨も添えておきます。
Q. 撮影した映像は、いつまで保管すればいいですか? A. 法律上の一律の期限はありません。個人情報保護法22条は、個人データについて利用の必要がなくなったときは遅滞なく消去するよう努めることを求めています。ただしカメラに関するQ&AのA1-41によれば、映像は特定の個人を検索できるように体系的に構成されていない限り個人情報データベース等には当たらないとされており、撮影ファイルを置いているだけなら「個人データ」に該当しない場合が多いと考えられます。とはいえ読む側の安心のために、次回開催まで、あるいは1年など具体的な期限を決めて掲示に書き、その日が来たら実際に消す運用にするのが分かりやすい形です。