この記事の要点
弁論・スピーチの記録は情報がほぼ音声に集中するため、映像より先に音の経路を決める のが失敗を減らす近道です。
会場に音響卓があるならREC OUTかAUX OUTから一系統借りる のが最も効果が大きく、当日ではなくリハーサル前に依頼します。
ライン出力は民生規格で−10dBV(約0.316VRMS) あり、カメラのマイク入力へ直挿しすると過大入力になるためパッドを挟みます。
PA音声を借りられない場合は演台から2m前後の近接録音 に切り替え、カメラ内蔵マイクは保険として並走させます。
配布は全体1本ではなく出場者ごとのチャプター分けか1枚単位 にすると、頭出しの手間と同意範囲の問題が同時に片づきます。
自分で 焼く 手間も、 失敗の 心配も なく。
動画ファイルを 送るだけで、 家の プレーヤーで 見られる ディスクに してお届けします。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
弁論大会や英語スピーチコンテストの記録係を引き受けて、いちばん困るのは当日の朝ではありません。後日、撮ったファイルを開いて再生した瞬間です。映像は問題なく写っている。でも声が遠い。空調の唸りと客席の咳のほうが大きい。拍手のところで音が潰れて、そのあと数秒間、何を言っているのか分からない。三分間の原稿を何週間もかけて仕上げた生徒に、その状態のファイルは渡せません。
スピーチの記録が難しいのは、情報がほぼ全部「音」に入っているからです。ダンスや吹奏楽なら映像だけでもある程度は伝わりますが、弁論は聞き取れなければゼロになります。しかも会場は学校の体育館や市民ホールで、カメラは客席後方、演台まで十メートル以上、という条件が最初から決まっていることが多い。この条件のまま内蔵マイクだけで撮ると、かなりの確率で聞き取りにくい記録になります。
聞き取れる形で残すには、映像より先に音の経路を決めます。会場に音響卓があるなら、リハーサル前にREC OUTかAUX OUTから一系統もらう交渉をし、無理なら演台から2m前後の近接録音に切り替えます。カメラの内蔵マイクは保険として並走させ、二系統で録った音は後から拍手を目印に合わせます。配るときは、出場者ごとに区切って渡します。機材を買い足す前提ではなく、学校にあるもので届く範囲から並べます。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
記録で最優先なのは音|映像の粗さは許容できても、聞き取れない声は後から救えない 会場のPA卓からREC OUTかAUX OUTを一系統もらえるか、先に聞く ライン出力をカメラのマイク端子に直挿しすると、音が割れる PAを借りられないときは、演台から2m前後の近接録音に切り替える 二系統の音は拍手で合わせ、出場者ごとに同期を取り直す 出場者ごとに区切って渡す|チャプター分けと1枚単位の作り分けで探す手間をなくす 講評と質疑を残すかは同意の取り方で決める|肖像権は明文規定がなく個別判断になる 校内選考の記録は練習教材になる|正面バストアップと引きの2カメ、時間が分かる状態で撮る よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
記録で最優先なのは音|映像の粗さは許容できても、聞き取れない声は後から救えない
編集の現場で経験的にはっきりしているのは、映像の失敗と音の失敗では、後からの回復可能性がまるで違うということです。露出が少し暗い、構図が傾いている、ピントが甘い。これらは見づらくはあっても、話している内容は伝わります。一方、声が環境音に埋もれている、拍手で潰れている、途中で途切れている。この三つは、編集ソフトのノイズ除去をどれだけかけても元の声は戻りません。存在しない情報を復元することはできないからです。
会場で音が使えなくなる原因は、だいたい三つに絞られます。一つ目は距離です。客席後方の三脚に据えたカメラは、演台から十メートル以上離れているのが普通です。二つ目は環境音で、空調の低い唸り、客席の咳や衣擦れ、隣室の音が、声と同じ比重で内蔵マイクに入ります。カメラの内蔵マイクは指向性が弱く、正面を向けても背後や側面の音をかなり拾います。
三つ目は録音レベルの急な変化です。多くのカメラは自動ゲイン制御が働いていて、静かな導入部ではゲインを上げきった状態になります。そこへ拍手が入ると、その瞬間に音が潰れ、その後しばらくゲインが下がったままになって声が小さく聞こえます。
対策の考え方はひとつです。同じ声を二系統以上で同時に録っておく 。片方が失敗しても、もう片方が残ります。優先順位は次のとおりです。
録り方
期待できる音質
当日の手間
失敗したときの影響
会場の音響卓からライン録り
最も良い。距離と環境音の問題がほぼ消える
事前依頼とケーブル準備が要る
接続ミスで無音のまま録れることがある
演台付近に置いた録音機・ピンマイク
良い。声が環境音に対して大きく入る
設置と回収、電池の管理
置き位置がずれると片寄る
カメラの内蔵マイク
会場によっては聞き取りづらい
ほぼゼロ
単独で使うと記録として不十分になりやすい
三段目のカメラ内蔵マイクは、単独で頼るものではなく「あとの二つが全滅したときの保険」として位置づけます。内蔵マイクだけで臨むのは、保険しか持たずに本番に出るのと同じです。
当日にやっておきたいのは、リハーサルでの試し録りです。数分でいいので実際に録り、その場でヘッドホンを挿して聞く。スマホのスピーカーや目視のレベルメーターでは、ハムノイズや片チャンネル欠けに気づけません。本番前に耳で確認しなかった音は、本番でも直せません。
会場のPA卓からREC OUTかAUX OUTを一系統もらえるか、先に聞く
体育館でも市民ホールでも、マイクを使って進行するなら音響卓(ミキサー)があります。演台のマイクはそこに入っています。つまり会場にはすでに、演者の口元で拾ったきれいな音が存在している わけです。これを分けてもらうのが、費用も手間もいちばん少ない改善です。
依頼は当日ではなく、会場打ち合わせの段階で
当日の朝に「録音したいので線をください」と言っても、卓の担当者は本番準備で手が離せません。会場の下見や打ち合わせのタイミングで、こう伝えておきます。
「記録用に録音を回します。卓から一系統いただけないでしょうか。REC OUT、AUX OUT、モニターアウトのどれでも構いません。端子の形状だけ先に教えていただければ、こちらでケーブルを用意します」
端子形状を先に聞くのが要点です。業務用の卓ならXLR(キャノン)かTRSフォン、簡易な卓ならRCAピンや3.5mmステレオミニのこともあります。会場側が変換ケーブルを貸してくれる前提で行くと、当日そこで行き詰まります。自分で持参する前提で組み立ててください。
AUXから取るならPRE/POSTの確認を
記録目的ならPOST FADER を指定します。AUX送りには、フェーダーの前から分岐するPRE FADERと、後から分岐するPOST FADERの切り替えがあります。PREにしたままだと、オペレーターが本番中に音量を上げ下げした操作が録音側に反映されません。声が小さい出場者に合わせて卓で持ち上げた分が、録音では反映されないことになります。REC OUT(レコーディングアウト)が独立している卓なら、これは通常マスターの後段なのでそのまま使えます。
卓から取ると入るもの、入らないもの
卓を通っているのは、演台のマイク、司会のマイク、開会式の来賓マイク、そして入退場のBGMです。つまり卓から録ると、これらが全部きれいに入ります。逆に、卓を通っていない音は入りません。客席の拍手、生徒の笑い、演台に立つ前の足音といった会場の空気感はごっそり抜け落ちます。
これが、卓の音だけで済ませない理由でもあります。拍手が一切ないスピーチ記録は、聞くと不自然なほど平板になります。実務としては、卓の音を主、客席側のカメラ内蔵マイクを従として、編集で客席側を小さく混ぜるのが扱いやすい形です。混ぜる比率は、卓の音を基準に、客席側を耳で聞いて拍手がうっすら分かる程度まで下げるところから始めると、不自然になりにくくなります。
なお、会場によっては録音出力を外部に出すこと自体を断られる場合があります。ホールの規定や、音響を外部業者が請け負っている場合の契約上の理由です。断られたら粘らず、近接録音に切り替えてください。
どの経路で録る場合も、カメラ内蔵マイクは保険として並走させる
ライン出力をカメラのマイク端子に直挿しすると、音が割れる
もらったケーブルをカメラの外部マイク端子(3.5mm)に挿すと、音がバリバリに割れます。卓から線をもらえることになった後、一度引っかかる人が多いところです。端子の形が合っているので挿さってしまうのですが、想定している信号の大きさが違います。
ライン出力の公称レベルは、民生機器で−10 dBV(約0.316 VRMS) 、業務用で+4 dBu(約1.228 VRMS) とされています。一方、マイク入力はこれよりはるかに小さい信号を受け取ってプリアンプで増幅する前提の設計です。そこへライン信号を入れれば入力段が飽和します。カメラ側の録音レベルをいくら絞っても、歪みは入り口で起きているので取れません。
対処は三つのどれかです。
ライン入力を持つ機器で受ける。フィールドレコーダーやハンディレコーダーの多くは、入力をMIC/LINEで切り替えられます。これがいちばん素直です。
アッテネータ(パッド)を挟む。−20dBや−30dBの減衰を入れてマイクレベルまで落とすインラインアッテネータが市販されています。カメラで受けるならこれです。
カメラ側にライン入力があるなら、そちらへ入れて切り替える。上位機種では入力レベルの切り替えを持つものがあります。
本番前に決めておく録音レベル
リハーサルで、その日いちばん声が大きい人に話してもらい、拍手も実際に鳴らしてもらって、そのときのピークを見ます。デジタル録音は0dBFSを超えた瞬間に波形が切り取られて戻らないので、ピークで−6dBFS前後、平均で−18dBFS前後 を目安に余裕を残します。小さめに録って後から持ち上げるほうが、大きく録って割るより回復可能です。
あわせて、録音機側のオートゲイン(AGC)は切ってマニュアルに固定します。オートのままだと、静かな導入部で勝手にゲインが上がり、空調の唸りまで持ち上げてしまいます。リミッターは、切るのではなくかけておくほうが安全です。想定外の絶叫や、マイクを叩いてしまったときの保険になります。
サンプリング周波数は48kHzで揃える
録音機の設定は48kHz/16bit以上にしておきます。理由は最終的な出力先にあります。DVD-Videoの音声規格では、リニアPCMは48kHzまたは96kHz、ドルビーデジタル(AC-3)は48kHz固定と定められています。44.1kHzで録っておくと、どこかの工程で48kHzへの変換が一段挟まります。実用上ほとんど聞き分けられない差ではありますが、変換を減らせるなら減らしておくに越したことはありません。
動画側の音声トラックがどの形式で入っているかを含め、ファイル形式の基本はMP4・MOV・AVIなど動画ファイル形式の基礎 で整理しています。
小さめに録って後から持ち上げるほうが、割れた音より回復できる
PAを借りられないときは、演台から2m前後の近接録音に切り替える
卓から取れない、そもそも卓がない、という会場は珍しくありません。教室での校内予選や、小規模な多目的室での開催がこれに当たります。この場合はマイクを声に近づける という一点に集中します。
音源を点として自由な空間で考えると、距離が2倍になるごとに音圧レベルは約6dB下がります。実際のホールは壁や床の反射があるので理論どおりにはなりませんが、近づくほど声が環境音に対して相対的に大きくなる、という方向は変わりません。客席後方から十メートルで拾っていたものを二メートルまで縮めるだけで、声と空調ノイズの差はかなり開くと考えられます。特別な機材より、置き場所の変更のほうが役に立ちます。
置き方の選択肢
ハンディレコーダーを演台の上に置く。演台にはたいてい原稿を置くスペースがあります。その奥側、口元から30〜50cmの位置に、小さな布かフェルトを敷いて置きます。直接置くと、原稿をめくる音や演台に手をついた振動が固体伝搬でゴツンと入るためです。
ピンマイク(ラベリアマイク)を胸元に。いちばん確実に声が録れる方法ですが、出場者ごとに着け替える時間が要ります。転換時間が数十秒しかない進行では現実的でないことが多いので、審査員講評や講演だけに使う、という使い分けが実務的です。
マイクスタンドで演台の斜め上から狙う。正面から狙うと吐息(ポップノイズ)が乗るので、口元の高さより少し上か横から、10〜30度ずらして向けます。
置く前に確認する三点
拡声用スピーカーの正面を避けます。演台のマイクと同じ卓に入っていなくても、スピーカーから出た音を至近距離で拾い直すと、直接音との時間差でこもった響きになります。
ケーブルは動線を横切らせない。どうしても横切るなら養生テープで床に貼り、出場者がつまずかない状態にします。
録音機は大会が始まる前に回して、終わるまで止めない 。出場者ごとに録音を止めて開始し直すと、押し忘れが必ず起きます。長回しして後から切るほうが安全です。
電池とメディアの残量も、開始前に一度リセットしておきます。二時間半の大会を48kHz/24bitのステレオWAVで通しで録ると、おおむね数GB規模のファイルになります。カードの空き容量とファイル分割の設定(多くの機種は2GBまたは4GBで自動的にファイルを分けます)を、リハーサルの試し録りで確認しておいてください。分割位置がスピーチの途中に来ても、編集ソフト上でつなげば問題ありません。
二系統の音は拍手で合わせ、出場者ごとに同期を取り直す
カメラの映像と、別録りした音声。この二つを編集ソフトの上で重ねる作業が、当日以上に地味に時間を食います。手順を決めておけば早く終わります。
目印を作る
いちばん簡単なのは拍手です。開会の直後や、各出場者の登壇直前に必ず拍手が入るので、その波形の立ち上がりを目印にできます。編集ソフトで両方のトラックを並べ、拍手の最初の一発が縦に揃うようにスライドさせます。
より確実にするなら、記録係が録音開始直後に一度、カメラの前で手を叩きます。映画の撮影でカチンコを打つのと同じ理屈で、映像上で手が合わさる瞬間と、音声上のパルスを合わせます。所要五秒で、後の作業が十分ほど短くなります。
長時間ではズレが少しずつ増える
カメラと録音機は別々の内部クロックで動いているので、二時間三時間と回すうちに数フレームから十数フレーム分ずれていくことがあります(クロックドリフト)。冒頭で合わせたのに、閉会式では口の動きと声が微妙に合っていない、という現象です。
これに対する現実的な答えが、全体を一本のまま合わせようとしないこと です。出場者ごとに切り出し、それぞれの先頭で同期を取り直せば、一人あたり三分から五分の区間しかないので、ズレが目に見える量まで蓄積しません。出場者ごとに区切って渡す配布の方法は、編集の都合とも一致します。
仕上げでやること、やりすぎないこと
やるべきなのは三つです。ひとつめは低域の整理で、80〜100Hz以下をハイパスフィルタで落とすと、空調の唸りと演台に触れたときのゴトゴトが軽くなります。人の声の基音はこの帯域より上にあるので、聞こえ方はほとんど変わりません。ふたつめは音量の均一化です。出場者によって声量が違うため、そのまま並べると視聴者がリモコンで音量を上げ下げすることになります。書き出し前に、区間ごとの平均レベルを揃えます。みっつめが不要部分のカットで、転換の無音や機材トラブルの間を詰めます。
やりすぎないほうがいいのはノイズリダクションです。強くかけると、消したい空調音と一緒に子音の成分まで削られ、声がこもって水中のような質感になります。これは「ノイズは減ったが聞き取りやすさは下がった」という本末転倒になりがちなので、かけるなら控えめにして、かけた版とかけない版を聞き比べてから決めてください。
出場者ごとに同期を取り直せば、長時間でもズレがたまらない
出場者ごとに区切って渡す|チャプター分けと1枚単位の作り分けで探す手間をなくす
ここが配布の設計で、いちばん差が出るところです。二時間半の大会をまるごと一本にして渡すと、受け取った保護者は自分の子どもの三分間を探すために早送りをすることになります。市販のプレーヤーでの頭出しは、パソコンのシークバーほど自由が利きません。
まずチャプターを切る
出場者一人につき一チャプター。開会式、各部門の講評、閉会式にもそれぞれチャプターを立てます。そのうえでメニュー画面に演題と氏名を並べておけば、リモコンの十字キーで直接その人のところへ飛べます。ディスクにデータを書き込むだけではメニューもチャプターも作られません。再生できる形に組み立てる工程が別に要るという話は、DVDオーサリングとは何か にまとめています。当社ではこのオーサリングを料金に含めていて、メニュー画面の作成とチャプター分けにも、別料金のオプションで対応しています。
配布先ごとに中身を変える
もう一段進めると、渡す相手によって収録内容を変えるやり方があります。
学校の保管用は全編。開会から閉会まで、講評も含めて記録として残します。
出場者本人・保護者向けはその生徒の登壇分と、必要なら全体の集合場面だけ。他の生徒の映像が入らないので、同意の範囲が明快になります。
次年度の指導用は上位入賞者の数本だけを抜き出したもの。
この作り分けが現実的かどうかは、小ロットで受けてくれるかにかかっています。出場者が十二人いて、それぞれ一枚ずつとなると、一種類あたり一枚の注文が十二種類、という形になります。当社は1枚から注文できる小ロット対応 で、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からです。盤面へのレーベル印刷とケース・背表紙の印刷にも対応しているので、印刷する画像に氏名と演題を入れて入稿しておけば、棚に並べたときにどれが誰か一目で分かります。日々多くのご注文をお受けしており、こうした少部数の依頼が中心です。
DVDにするかブルーレイにするか
全編を一枚に収めたい場合は容量が判断材料になります。BD-Rは片面1層で25GB、2層で50GBです。DVDの容量では、長時間の大会を高い画質のまま一枚に入れるのは難しく、画質を落とすか枚数を分けるかになります。
一方で、学校の視聴覚室や家庭に置かれているプレーヤーがブルーレイに対応していないこともあるため、確実に再生してもらう優先度が高いならDVDを選ぶ判断もあります。画質・容量・互換性の三点の比較はDVDとブルーレイの違い で整理しました。迷うなら、保管用をブルーレイ、配布用をDVDと使い分けるのが無難です。
納品時期から逆算する
大会記録は、卒業や年度末に間に合わせたい場面が出てきます。当社の納期の選択肢は次のとおりです。
納期
追加料金
条件
通常便
—
受付から5営業日で発送(お届けは発送から2〜3日)
お急ぎお届け
+1,500円
平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送
特急お届け
+3,000円
平日15時までの注文・入稿で翌日発送
当日店舗お渡し
+3,500円
平日12時までの注文・入稿、大阪市北区の店舗で受け取り
入稿はダウンロードできる共有URLで受け付けています。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、学校で使えるものを選んでください。共有リンクを作る際は、閲覧権限が「リンクを知っている人」になっているかと、有効期限が納期より先に切れないかの二点を確認しておくと、やり取りが一往復減ります。
講評と質疑を残すかは同意の取り方で決める|肖像権は明文規定がなく個別判断になる
記録を作る側が後から困りやすく、技術より先に決めておいたほうがいいのが、権利の話です。
肖像権は法律の条文ではなく判例で形づくられている
日本の実定法には肖像権を直接定めた条文がありません。憲法13条の幸福追求権を根拠として、判例の積み重ねによって確立されてきた権利とされています。判断は一律ではなく、被撮影者の社会的地位、撮影の場所・目的・態様、必要性などを総合的に考慮して行われます。
つまり「学校行事だから問題ない」とも「本人が写っているから駄目」とも機械的には言えません。実務としては、争点になりそうな部分をあらかじめ同意の形にしておくのが最も手堅い進め方です。
同意は一括ではなく項目を分けて取る
募集要項や参加申込書に、次のように分けて記載し、それぞれチェックしてもらいます。
大会の様子を記録として撮影・録音すること
記録を学校が保管し、次年度以降の指導資料として校内で使用すること
記録を出場者本人と保護者に配布すること
記録の一部を学校ウェブサイト・広報誌・SNSに掲載すること
四つ目だけは同意しない、という回答は実際にそれなりの割合で出ます。だからこそ最初から分けておく意味があります。「配布は可、ネット掲載は不可」という人が一人でもいれば、掲載用と配布用を別に作る必要が出てくるためです。配布先ごとに中身を変える作り分けは、この場面で役に立ちます。
審査員の講評は本人の許諾がいる
講評は、審査員が自分の言葉で語った内容です。これを記録して配布するなら、審査員本人にひとこと確認しておきます。外部から招いた大学教員やネイティブスピーカーの場合は特にです。「記録として撮り、出場者と保護者に配ります」と伝えて了承を得るだけで、後の面倒がなくなります。断られた場合は講評の区間だけカットすれば済みます。編集の段階で出場者ごとにチャプターが切ってあれば、この操作は数分で終わります。
暗唱部門と入退場BGMには別の権利がある
英語スピーチコンテストには、自作原稿による部門のほかに、既存の演説や物語を暗唱するレシテーション部門があることがあります。生徒の声そのものは生徒のものですが、読み上げている文章には原著作者の権利がある場合があります。
著作権法35条により、学校その他の教育機関では、授業の過程で必要かつ適切な範囲の複製を、著作権者の許諾なく無償で行えるとされています(著作権者の利益を不当に害する場合は対象外)。ただし「授業の過程」に当たるかどうかは、大会記録を保護者に配布する行為まで含めて考えると慎重な判断が要る領域です。判断に迷うなら、暗唱部門は校内保管に留めて配布物には入れない、あるいは著作権の保護期間が満了している題材かどうかを確認する、といった形で切り分けるのが安全です。
入退場に市販の楽曲を使っている場合も同じ考え方です。会場で流す行為と、それを含んだディスクを複製して配る行為は別に扱われます。編集で音楽を差し替えるか、その区間を外すのが手間の少ない対処になります。
迷う部分は配布物から外すか、項目を分けた同意で切り分ける
校内選考の記録は練習教材になる|正面バストアップと引きの2カメ、時間が分かる状態で撮る
本大会の記録とは別に、校内選考や練習を撮っておくと、指導の材料になります。ただし本大会用の撮り方をそのまま持ち込むと、練習には使いにくいものができます。目的が違うからです。
記録用と練習用では画角が変わる
記録用は「会場全体の雰囲気が分かること」が求められるので、引きの絵になります。一方、練習用に見たいのは表情、視線がどこを向いているか、手の位置、体の揺れです。これらは引きの絵ではほとんど確認できません。
二台使えるなら、一台を正面のバストアップ(胸から上)、もう一台を全身が入る引きにします。一台しかないなら、練習では迷わずバストアップ側を選びます。指導で使えるのは表情が見えるほうです。
時間が分かる状態にしておく
ほとんどの大会には制限時間があり、超過は減点や失格の対象になります。練習の記録に時間の情報を残しておくと、後から「どこで巻きが必要か」を具体的に指摘できます。撮影ソフトで時刻を焼き込めるならそれが一番ですが、なければ画角の隅にストップウォッチやタイマーを写り込ませるだけでも実用に足ります。
そのうえで、原稿の語数を実測時間で割って一分あたりの語数を出しておくと、当日の余裕が数字で見えます。制限時間ぎりぎりで通せている生徒は、本番の緊張で早口になるか、逆に間を取りすぎて超過するかのどちらかに振れやすいので、事前に幅を持たせておく判断ができます。
本人が見て気づけるのは音のほうが多い
生徒に自分の映像を見せると、最初は姿勢や手の動きに目が行きます。ただ、実際に改善効果が大きいのは音の側です。「えー」「あのー」といったつなぎ語が何回入ったかを数える、語尾が下がって消えていないか聞く、強調したい単語の前に間が取れているか確認する。これらは、聞き取れる音で録れていて初めてできる作業です。音を優先する理由は、本大会の記録だけでなく、この練習の局面でも同じです。
年度をまたいで残すなら媒体を分ける
校内選考の記録は、次年度の生徒に「去年の先輩はこうだった」と見せる教材として価値があります。ただ、校内サーバーの共有フォルダやクラウドストレージに置いたままだと、年度末の整理、担当者の異動、アカウントの契約変更といったタイミングで消えます。実際、数年前の記録を探して見つからない、という相談は珍しくありません。
保存先を性質の違う場所に分けておくと、この種の消失に強くなります。作業用のクラウド、校内のNASやハードディスク、そして棚に置いておけるディスク。この考え方は3-2-1バックアップの実践 で整理しています。ディスクは電源もアカウントもネットワークも要らず、資料室の棚に年度別に並べておけるので、担当が替わっても引き継ぎやすいという実務上の利点があります。年に一度、大会が終わったタイミングで一枚焼いて棚に足す、という運用にできるかどうかが分かれ目です。
よくある質問
Q. スピーチコンテストの録画で声が小さい。編集で大きくすれば直りますか? A. 音量を上げるだけでは、声と一緒に空調音や客席のノイズも同じだけ大きくなるので、聞き取りやすさはあまり改善しません。声が環境音に埋もれている状態は、録音の時点で決まってしまいます。改善効果が大きいのは、次回に向けてマイクを口元に近づけることです。会場に音響卓があるなら卓から一系統もらう、なければハンディレコーダーを演台上に置く。すでに撮ってしまった素材については、80〜100Hz以下を落とすハイパスフィルタで低い唸りを減らし、ノイズリダクションは声がこもらない範囲で控えめにかける、という順序で試してください。
Q. 会場の音響卓から線をもらうとき、何を持っていけばいいですか? A. 端子形状を事前に確認したうえで、それに合うケーブルとアッテネータ(パッド)を持参します。業務用の卓ならXLRかTRSフォン、簡易な卓ならRCAや3.5mmステレオミニのことがあります。会場側が変換ケーブルを貸してくれる前提で行くと当日に詰まるので、自分で用意する前提で組み立てます。カメラのマイク入力で受けるなら、ライン信号をそのまま入れると割れるため、−20dBから−30dB程度のインラインアッテネータを挟みます。ライン入力に切り替えられるハンディレコーダーがあるなら、そちらで受けるほうが簡単です。
Q. カメラの内蔵マイクだけで撮るのは避けたほうがいいですか? A. 内蔵マイクを使ってはいけないという話ではなく、それ「だけ」に頼るのが危ないという話です。内蔵マイクは指向性が弱く、演台の声も空調も客席の咳も近い比重で拾います。さらに自動ゲイン制御が働いていると、拍手の瞬間に音が潰れ、その後しばらく声が小さくなります。おすすめは、別の録音機かPA卓からの音を主として使い、内蔵マイクの音は拍手や会場の空気感を足すためと、主系統が失敗したときの保険として残しておく形です。二系統あるだけで、当日の失敗がほぼ致命傷にならなくなります。
Q. 出場者ごとに分けたディスクを作りたいのですが、少ない枚数でも頼めますか? A. 当社は1枚から注文でき、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)からです。出場者一人につき一枚にするときは、出場者ごとに区切った動画を用意し、注文フォームの「+別の内容を追加」で内容ごとに共有URLと枚数を入れます。再生できる形に組み立てるオーサリングは料金に含まれていて、メニュー画面の作成とチャプター分けにも、別料金のオプションで対応しています。盤面へのレーベル印刷とケース・背表紙の印刷もできるので、印刷する画像に氏名と演題を入れて入稿しておけば、棚に並べたときにどれが誰の記録か一目で分かります。学校保管用は全編、本人配布用は登壇分だけ、というように中身を変えるときも、それぞれを別の内容として入稿する形です。
Q. 二時間半の大会を一枚に収めたい。DVDとブルーレイのどちらを選ぶべきですか? A. 収録時間と再生環境の兼ね合いで決めます。BD-Rは片面1層で25GB、2層で50GBあるので、長時間の大会を画質を落とさずに一枚へ収めやすいのはブルーレイです。ただし配布先の家庭や学校の視聴覚室にブルーレイ対応のプレーヤーがないと再生できません。確実に見てもらう優先度が高いならDVDを選ぶ判断もあります。実務的には、学校の保管用をブルーレイ、保護者への配布用をDVDと使い分けると、両方の事情に対応できます。
Q. 記録を保護者に配布するのに、事前の同意はどこまで必要ですか? A. 日本の実定法には肖像権を定めた条文がなく、判例によって確立された権利とされています。判断は撮影の場所・目的・態様・必要性などを総合的に考慮して行われるため、一律の線引きはできません。実務としては、募集要項や参加申込書で「撮影・録音すること」「学校が校内で保管・使用すること」「本人と保護者に配布すること」「ウェブサイトやSNSに掲載すること」を項目ごとに分けて同意を取っておくのが手堅い方法です。掲載だけ同意しない回答は実際に出るので、最初から分けておくと後の作り分けが楽になります。
Q. 暗唱(レシテーション)部門の録画を配ってもいいのでしょうか? A. 生徒の声そのものは生徒のものですが、読み上げている文章に原著作者の権利がある場合があります。著作権法35条により、教育機関では授業の過程で必要かつ適切な範囲の複製を許諾なく無償で行えるとされていますが、大会記録を保護者へ配布する行為までが「授業の過程」に含まれるかは慎重に判断すべき領域です。迷う場合は、暗唱部門は校内保管に留めて配布物には入れない、または保護期間が満了している題材かどうかを確認する、といった切り分けをおすすめします。入退場に使った市販楽曲も同様で、編集で外すか差し替えるのが手間の少ない対処です。
Q. 入稿はどうやって行いますか。学校のネットワークからでも大丈夫ですか? A. ダウンロードできる共有URLを送っていただく形です。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなど、学校で利用できるサービスを選んでください。共有リンクを作る際は二点だけ確認をお願いしています。閲覧権限が「リンクを知っている人が閲覧可」になっているか(組織内限定のままだと開けません)と、リンクの有効期限が納品予定日より先に切れないかです。この二点が整っていれば、やり取りが一往復減ってそのぶん早く進みます。