この記事の要点
テレビ番組をDVDに録るとVR形式(DVD-VR) になり、市販DVDと同じビデオ形式(DVD-Video)とは互換性のない別フォーマットのため、対応していない機器では読み込めません。
デジタル放送の録画に使われるCPRM は、ディスク内周のBCAに記録された固有IDと機器側の鍵が揃って初めて復号できる方式で、ファイルをコピーしても再生できません。
再生には「DVD-VRを読めること」と「CPRM対応であること 」の二条件が必要で、片方だけ満たす機器では番組が映らないという症状が出ます。
ファイナライズ は未完成のディスクを他機で読める状態にする処置であり、VR形式をビデオ形式に変換したりCPRMを外したりする機能はありません。
2012年10月施行の改正著作権法で暗号型の保護技術が技術的保護手段に加わり、回避を伴う複製は私的複製から除外 されています。
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自宅のレコーダーで録った番組をDVDに残した。手元の本体では問題なく映るのに、実家のプレーヤーに入れると「このディスクは再生できません」と出る。パソコンに入れてもプレーヤーアプリが何も表示せずに止まる。ディスクの傷を疑って拭いてみても、状況は変わらない。
これはディスクの不良ではなく、多くの場合は形式と保護の問題です。テレビ番組をDVDに記録すると、市販のDVDとは違う「VR形式」というフォーマットになり、さらにCPRMという暗号がかかります。この二つは別々の仕組みで、どちらか一方に対応していない機器では映りません。
この記事では、手元のディスクがどちらの形式かを確かめる方法、CPRMが何をしているのか、ファイナライズで直るケースと直らないケースの切り分け、そして複製という手段が使えない理由までを順に整理します。最後に、自分で撮影した映像であればこれらの制約がまったくかからない、という話で締めます。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
「録画用」と「録画済み」は中身が違う|まず手元のディスクがどちらか切り分ける VR形式とビデオ形式の違い|デジタル放送はVR形式にしか記録できない CPRMの仕組み|ディスク固有IDと機器側の鍵が揃って初めて復号できる 対応機器でないと読めない理由|「VR再生対応」と「CPRM対応」は別々の条件 ファイナライズしても解決しない場合|形式の違いは後工程では変えられない ダビング10とコピーワンス|DVDに直接録ると世代管理が消える 複製できない理由|2012年から、回避を伴うコピーは私的複製から外れている 手元の映像なら制約がない|自分で撮った映像はビデオ形式で作れる よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
「録画用」と「録画済み」は中身が違う|まず手元のディスクがどちらか切り分ける
再生できないDVDは、大きく二系統に分かれます。ひとつは工場でプレスされた市販・レンタルのディスク。もうひとつは、レコーダーやパソコンで自分が書き込んだ記録型のディスクです。原因も対処もまったく違うので、最初にここを分けます。
市販品が映らない場合は、CSSという別の暗号や、リージョンコードの不一致、あるいは経年による読み取り不良が疑われます。一方、レコーダーで録った番組が映らない場合は、これから説明するVR形式とCPRMの話になります。同じ「DVDが再生できない」でも、確かめることが分かれます。
盤面から見分ける
記録面(レーベルの裏側)を光にかざすと、傾向がつかめます。プレス品は反射層のアルミがそのまま見えるため銀色一色になることが多く、記録型は色素や記録層の関係で紫、青紫、灰色、金色がかった色に見えることが多いです。
確認する場所
市販・レンタルのプレス品
レコーダー等で焼いた記録型
記録面の色
銀色一色に見えることが多い
紫・青紫・灰色・金色がかって見えることが多い
レーベル面
タイトルが印刷されている
無地、手書き、インクジェット印刷
内周の刻印
製造ロット番号など
DVD-R / DVD-RW / DVD-RAM の表記
関係する保護
CSS、リージョンコード
CPRM(放送番組を録画した場合)
パソコンでフォルダ名を見るのが最短
もっと確実なのは、パソコンのドライブに入れて、再生せずにディスクの中身をエクスプローラーやFinderで開くことです。ルート直下のフォルダ名だけで形式が判別できます。
VIDEO_TS というフォルダがある … ビデオ形式(DVD-Video)。市販DVDと同じ構造です
DVD_RTAV というフォルダがある … VR形式(DVD-VR)。レコーダーで番組を録画したディスクです
フォルダが見えない、ディスクが空に見える … ファイナライズされていない可能性があります
DVD_RTAV の中には VR_MANGR.IFO と VR_MOVIE.VRO といったファイルが入っています。この時点で、市販DVDとはファイル構成そのものが違うことがわかります。拡張子を .mpg に変えれば見られるという話が出回っていますが、CPRMがかかっている番組ではファイル本体が暗号化されているため、名前を変えても中身は読めません。
市販品か自分で焼いたものかを分け、ルートのフォルダ名で形式を見分ける
なお、ディスクを買うときの「録画用」と「データ用」という表示は、もともと私的録画補償金制度に由来する区分です。管理団体だった私的録画補償金管理協会(SARVH)は2015年3月31日に解散しましたが、2022年の政令の改正でブルーレイの機器と盤が改めて指定され、2025年12月1日からは私的録音録画補償金管理協会(SARAH)が録画用のブルーレイなどで補償金を集めています(DVDは2026年9月時点で、SARAHの対象の一覧に入っていません)。CPRMに対応しているかどうかは補償金とは別の技術要件なので、パッケージの「CPRM対応」「デジタル放送録画対応」という記載を見てください。
VR形式とビデオ形式の違い|デジタル放送はVR形式にしか記録できない
DVDには、映像を記録するための規格が二種類あります。市販のDVDソフトに使われている DVD-Video (ビデオ形式)と、録画機で使われる DVD-VR (VR形式)です。DVD-VRは論理構造こそDVD-Videoをもとにしていますが、規格としては互換性のない別フォーマットとして定義されています。
DVD-VRはもともとDVD-RAM向けの録画フォーマットとして開発されました。ファイルシステムにUDF 2.0を採用し、録画したあとで映像を分割したり、結合したり、不要部分をカットしたり、順番を入れ替えたりという編集ができます。追記型のDVD-Rへの記録は2004年から可能になりました。テレビ番組を録って後からCMを切る、といった使い方はこの規格があってこそ成立しています。
決定的なのは「CPRMはVRモードにしか記録できない」という規格上の制約
DVDにおいて、CPRMによる保護を伴う記録はVRモードにしか認められていません。地上デジタル放送やBSデジタル放送の番組はコピー制御の対象なので、DVDに残すならVR形式一択になります。裏を返すと、放送番組をビデオ形式のDVDとして作ることは規格上できません。ここが「録画したDVDだけ他の機器で映らない」現象の原因です。
項目
VR形式(DVD-VR)
ビデオ形式(DVD-Video)
ルートのフォルダ
DVD_RTAV
VIDEO_TS
デジタル放送の記録
できる
規格上できない
CPRM
対応
非対応
録画後の編集
分割・結合・カット・順序変更ができる
書き込んだ時点で内容が固定される
再生できる機器
DVD-VR再生に対応した機器
一般的なDVDプレーヤー
主な用途
テレビ番組の録画
市販ソフト、制作したディスク
ビデオ形式が広く再生できる理由
ビデオ形式は市販のDVDソフトとまったく同じ構造です。映像はMPEG-2、解像度は720×480(NTSC)で、片面1層のディスク容量は4.7GB。この規格は1990年代に固まっていて、以降のDVDプレーヤーはこれを読めることを前提に作られています。だから機器を選びにくい。
ただし、パソコンで動画ファイルをそのままディスクに書き込んでもビデオ形式にはなりません。MP4やMOVをフォルダごと焼いただけのディスクは、パソコンではファイルとして開けても、家庭用プレーヤーからは映像として認識されないのが普通です。VIDEO_TS という構造に組み直す工程が要ります。この工程についてはDVDオーサリングとは何か、焼くだけでは再生できない理由 で詳しく整理しています。
VR形式のディスクをビデオ形式に作り替えれば互換性が上がるのでは、と考えたくなりますが、CPRMがかかっている番組ではそれができません。次にその理由を見ます。
CPRMの仕組み|ディスク固有IDと機器側の鍵が揃って初めて復号できる
CPRM(Content Protection for Recordable Media)は、Intel、IBM、東芝、パナソニックの4社が設立した 4C Entity が策定した保護技術です。市販DVDに使われていたCSSの後継として、記録型メディア向けに強化された仕組みとして作られました。対象メディアはDVD-R、DVD-RW、DVD-RAM、DVD-R DL、それにSDメモリーカードなどが含まれます。
暗号は三つの要素で成り立っている
CPRMの復号には、次の三つが揃う必要があります。
メディア固有ID … ディスク内周のBCA(Burst Cutting Area)という領域に記録された、そのディスク1枚だけの識別子。通常の書き込みソフトからは書き換えられない領域です
メディアキーブロック(MKB) … ディスク上に置かれた鍵の束。機器鍵と組み合わせてメディアキーを導きます
機器鍵(デバイスキー) … 4C Entityからライセンスを受けた再生機器・ソフトだけが内部に持っている鍵
コンテンツ本体は56ビットのC2という暗号方式で暗号化されており、この三つが揃ったときだけ平文の映像に戻ります。
だからファイルコピーは意味を持たない
ここが実務上いちばん重要な点です。DVD_RTAV フォルダの中身をパソコンで別のディスクにコピーしても、コピー先のディスクはBCAに別のIDを持っています。市販の書き込みソフトやドライブはBCAを任意の値で書けないため、元のIDを再現できません。IDが違えば鍵が導けず、映像は復号できない。つまり、暗号を解かずに「ディスクを丸ごと複製する」という発想自体が成立しない設計になっています。
もうひとつ、MKBは更新される仕組みを持っています。暗号が破られた場合、新しいメディアに更新されたMKBを載せることで、問題のある機器では再生できないようにできます。古い機器で新しいディスクが読めない、という現象が起きうる背景のひとつです。
ブルーレイはCPRMではなくAACS
混同されやすいのですが、ブルーレイ(BD)で使われている保護技術はCPRMではなく AACS (Advanced Access Content System)です。CSSやCPRMに代わって採用されたもので、更新の仕組みも別に持っています。BDレコーダーで録画したディスクはBDAVという記録フォーマットになり、市販のBDソフトに使われるBDMVとはこれも別形式です。容量は1層25GB、2層50GB。DVDとBDでは容量も保護も記録形式も別体系だという点は、DVDとブルーレイの違い(画質・容量・互換性) で整理しています。
DVDに録った番組が読めないからブルーレイに移せばいい、という話にならないのは、AACS側にも同じように機器のライセンスと世代管理があるためです。
対応機器でないと読めない理由|「VR再生対応」と「CPRM対応」は別々の条件
録画したDVDを再生するには、機器が二つの条件を満たしている必要があります。
条件1:DVD-VR形式を読めること … DVD_RTAV という構造を解釈できるか
条件2:CPRMに対応していること … 4C Entityのライセンスを受けた機器鍵を内蔵しているか
この二つは独立しています。だから、症状の出方も分かれます。VR再生に対応しているがCPRM非対応の機器では、外部入力から録ったCPRMなしのVRディスクは映るのに、地デジ番組を録ったディスクだけ映らない、という現象が起きます。逆にどちらも非対応なら、ディスクを入れた瞬間に何も認識されません。
VR再生とCPRMは別々の条件。片方だけの機器では地デジ番組だけが映らない
手元の機器が対応しているかを確かめる手順
推測せずに仕様表で確かめるのが早いです。
取扱説明書の巻末にある仕様欄で「CPRM」「DVD-VR」「VRモード」の語を探す
本体背面や底面の品番を控え、メーカーの製品ページで仕様を開く。多くの機種で「再生可能ディスク」の項に記載があります
本体前面やパッケージに「CPRM対応」のロゴが入っている機種もあります
パソコンで再生する場合は、ドライブがCPRMに対応していることに加えて、CPRM対応をうたう再生ソフトが必要です。PowerDVDやWinDVDといった市販ソフトがこれに該当します。WindowsやmacOSの標準アプリ、無料の汎用プレーヤーの多くはライセンスを持たないため、ディスクを認識しても番組を開けません。家庭用ゲーム機の一部にも対応機があります。
年式による傾向
CPRMの実装が広く行き渡ったのは、地上デジタル放送の録画が一般化して以降です。それ以前の2000年代前半に発売されたDVDプレーヤーは非対応であることが多いと考えられます。実家に置いてある古いプレーヤー、車載のDVDユニット、ポータブルDVDプレーヤー、DVD再生機能付きのゲーム機などは、対応していない可能性を先に疑ったほうが早く原因にたどり着けます。
プレーヤー側の条件がどこまで揃えば映るのかという一般論は、家庭用プレーヤーの互換性 にまとめています。ディスクを配る予定があるなら、受け取る側の機器を選ばない形式で作るという発想に切り替えるのが現実的です。
ファイナライズしても解決しない場合|形式の違いは後工程では変えられない
「他の機器で再生できないならファイナライズすればいい」という説明をよく見かけます。半分は正しく、半分は的外れです。
ファイナライズとは、記録メディアのフォーマットとして未完成な部分を完結させ、書き込んだ機器以外でも読み取れる状態にする処置です。DVD-Rのような追記型は、一度ファイナライズすると元の状態に戻せず、以降の追記もできなくなります。DVD-RWのような書換型は「ファイナライズ解除」という処理で元に戻せるため、解除してから追記し直すことができます。
ファイナライズができること・できないこと
できる :未完成だったディスクを、他の再生機器から読み取れる状態にする
できない :VR形式をビデオ形式に変換する
できない :CPRMの暗号を外す
できない :非対応の再生機器を対応させる
つまり、原因が未ファイナライズだけなら解決しますが、形式や保護が原因なら状況は変わりません。ファイナライズという処置そのものの位置づけはファイナライズとは何か で解説しています。
順番に確かめる切り分け手順
次の順で確認すると、少ない手数で原因が絞れます。
1. 録画したレコーダー本体で再生できるか … 映るなら、ディスク自体は読めています。原因は再生側かファイナライズです
2. ファイナライズ済みか … 録画したレコーダーのディスク管理メニューで状態を確認し、未実施なら実行します。DVD-Rの場合、実行後は追記できなくなります
3. パソコンでルートフォルダを見る … DVD_RTAV なら形式はVR。VIDEO_TS ならビデオ形式なので、原因は別のところにあります
4. 再生機の仕様表で「CPRM」「DVD-VR」を確認する … 記載がなければ、その機器では映りません
5. 別の対応機器で試す … 他機で映るならディスクは正常、映らないならディスク側の問題です
6. 記録面を確認する … 指紋、傷、記録層の変色や剥離がないかを見ます
6まで来て記録面に異常が見つかった場合は、形式の話ではなくメディアの劣化です。原因の切り分けと応急処置は読み込めないDVDを復活させる方法|原因の見分け方と、裏ワザの効き目 にまとめています。読めるうちに別媒体へ退避するのが基本方針になります。
形式と保護の確認が先。ディスクの劣化を疑うのは最後
ダビング10とコピーワンス|DVDに直接録ると世代管理が消える
再生の話に加えて、コピー回数のルールも押さえておくと、取れる方法が整理できます。
デジタル放送のコピー制御は当初コピーワンスで運用されていました。放送そのものが起点で、録画した時点で1世代目になるため、そこから他媒体へ移すのは移動(ムーブ)のみ。ムーブに失敗すると元も残らないという問題がありました。
これを緩和したのが ダビング10 です。2008年7月4日4時から運用が始まり、正式には「コピー9回+ムーブ1回」と呼ばれます。HDDが起点になり、他媒体へのコピーが1世代目になる。9回目までは元がHDDに残り、10回目は自動的にムーブとなって元が消えます。対象は地上デジタル放送とBSデジタル放送の主に無料放送で、WOWOWとスター・チャンネルは著作権上の理由から対象外です。有料放送やCATV経由の録画も原則として対象外です。
DVDに直接録るとこの回数は使えない。まずHDDに録ってから書き出す
DVDへ直接録画すると回数の余地が残らない
ここが見落とされやすい点です。対応機器でDVDに直接録画した場合、ダビング10の世代管理は適用されず、そのディスクから先のコピーは禁止になります。HDDを経由せずに焼いたディスクは、あとから別のディスクに移すことができません。
保管を目的とするなら、次のような順序が現実的です。
まずHDDに録画し、オリジナルをHDDに残したままコピー枠を使ってDVDやBDへ書き出す
配布や持ち出し用に複数枚必要なら、コピー枠の残数を確認してから枚数分を書き出す
10回目(ムーブ)を使うと元が消えるため、書き出し中の停電やディスク不良に備えて、その回は避けられるなら避ける
レコーダーが故障した場合、HDDに残した番組は原則として取り出せません。ディスクに書き出したものだけが手元に残ります。一方でそのディスクも、CPRM対応機がなければ読めない。デジタル放送の録画は、この二重の制約の中にあります。
なお、家庭の映像資産全体をどう守るかという観点では、放送番組と自分で撮った映像を同じ扱いで考えないほうがいいです。後者には制約がないので、3-2-1バックアップの実践 のような多重化がそのまま使えます。
複製できない理由|2012年から、回避を伴うコピーは私的複製から外れている
技術的な話とは別に、法律の側にも線が引かれています。
日本の著作権法では、個人的または家庭内で使うための複製は私的使用のための複製として認められてきました。ただし2012年10月に施行された改正著作権法により、CSSのような暗号型の保護技術が「技術的保護手段」に追加され、それを回避して行う複製は私的使用の範囲から明文で除外されました。加えて、回避のためのプログラムや装置を提供する行為には罰則が設けられており、実際に検挙された事例も報じられています。
したがって、ネット上で見かける「CPRM解除」の手順は、たとえ自宅で自分だけが見る目的であっても、私的複製として正当化されません。この記事でも具体的な手段には触れません。
手元に残っているディスクに対して現実的にできること
複製ができないぶん、選べるのは次の四つです。
再生できる機器を1台用意する … CPRM対応かつDVD-VR再生対応のプレーヤーを1台確保しておけば、既存のディスクは読めます。仕様表に両方の記載がある機種を選びます
パソコン側を整える … CPRM対応ドライブとCPRM対応の再生ソフトを組み合わせます
元のレコーダーが動くうちにダビングする … コピー枠が残っていれば、レコーダーの機能でBDなど別媒体へ書き出せます。機器の機能を使う限り、回避には当たりません
正規の配信・パッケージを探す … 番組によっては配信やソフト化されています。画質も保管性もそちらのほうが安定します
放送番組と自作映像を分けて考える
ここまでの制約は、いずれも「放送された著作物である」ことに由来します。運動会でビデオカメラを回した映像、結婚式のダイジェスト、スマホで撮った子どもの記録、自社の説明会を収録したデータ。こうした自分の手元にある映像には、CPRMもダビング10も関係しません。何枚でも作れますし、複製で画質が落ちる理由もありません。デジタルデータをそのまま扱う限り劣化は起きない、という点は画質が劣化しないコピー で整理しています。
問題を切り分けるとき、「これは放送由来か、自分の映像か」で一度分けてください。分けた瞬間に、後者にはほとんどの制約がかかりません。
手元の映像なら制約がない|自分で撮った映像はビデオ形式で作れる
自分で撮影・編集した映像には、放送由来の保護がかかりません。CPRMは不要ですし、VR形式で記録する理由もない。市販DVDと同じ ビデオ形式(DVD-Video) でディスクを作れます。これは実務上とても大きな差です。
再生機器を選びにくい。VR再生対応やCPRM対応という条件が要りません
同じ内容を必要な枚数だけ作れます。コピー回数の制限がありません
メニュー画面やチャプターを自由に設計できます
ファイナライズの状態を含めて、渡す前にこちらで整えられます
ただし前述のとおり、MP4やMOVをディスクにそのまま書き込んでも家庭用プレーヤーでは映りません。映像をMPEG-2に変換し、VIDEO_TS という構造に組み立てるオーサリングという工程が必要です。手元の素材がどの形式で、どう扱われるのかは動画ファイル形式の基礎(MP4/MOV/AVI) を先に読んでおくと判断が早くなります。
ディスクメーカーでできること
ディスクメーカー(運営:株式会社プラスカルチャー)は、動画データからDVD・ブルーレイを制作する書き込み代行サービスです。基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚単位で注文できます。再生できる形式への組み立て(オーサリング)は料金に含まれます。
対応している内容は次のとおりです。
盤面へのレーベル印刷
ケース+背表紙の印刷
メニュー画面の作成
チャプター分け
入稿はダウンロードできる共有URLをお送りいただく形です。ギガファイル便、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorage などに対応しています。ディスクを郵送していただく必要はありません。
納期は通常便のほか、お急ぎ便(+1,500円、平日15時までのご注文・ご入稿で翌々日までに発送)、特急便(+3,000円、平日15時までのご注文・ご入稿で翌日発送)、当日店舗お渡し(+3,500円、平日12時までのご注文・ご入稿、大阪市北区・梅田の店舗で受け取り)をご用意しています。
レコーダーで録った番組のディスクは、この記事で見てきたとおり形式と保護の制約から外れられません。一方で、自分たちで撮った映像なら、渡す相手の機器で見られる形を選んで作り直せます。困っているディスクが前者なら再生環境を揃える方向で、後者なら作り直す方向で考えると、迷いが減るはずです。
よくある質問
Q. CPRM対応のDVDかどうか、見ただけで分かりますか A. ディスク単体を目視で判別するのは困難です。パッケージやスピンドルのラベルに「CPRM対応」「デジタル放送録画対応」といった記載があるかで確認するのが確実です。すでに録画済みのディスクについては、パソコンに入れてルート直下に DVD_RTAV フォルダがあればVR形式で記録されており、デジタル放送を録ったものであればCPRMがかかっていると考えられます。ビデオ形式(VIDEO_TS)で記録されているディスクにはCPRMはかかっていません。
Q. VRモードで焼いたDVDをパソコンで再生できますか A. 条件が揃えば再生できます。必要なのは、CPRMに対応した光学ドライブと、CPRM対応をうたう再生ソフトの組み合わせです。PowerDVDやWinDVDといった市販ソフトがこれに該当します。WindowsやmacOSの標準アプリ、無料の汎用プレーヤーの多くはライセンスされた復号鍵を持たないため、ディスクを認識しても番組を開けません。近年はドライブを搭載しないパソコンも増えているため、外付けドライブを選ぶ際も仕様欄でCPRM対応の記載を確認してください。
Q. ファイナライズすればどのプレーヤーでも再生できますか A. 再生できるようになるのは、未ファイナライズが原因だった場合だけです。ファイナライズはフォーマットとして未完成な部分を完結させ、書き込んだ機器以外でも読み取れる状態にする処置であり、VR形式をビデオ形式に変換したりCPRMを外したりする機能はありません。形式や保護が原因で映らないディスクは、ファイナライズしても状況が変わりません。またDVD-Rは一度ファイナライズすると元に戻せず追記もできなくなるため、実行前に追記予定がないか確認してください。
Q. CPRMを解除して別のディスクにコピーしてもいいですか A. 認められていません。2012年10月に施行された改正著作権法により、暗号型の保護技術が技術的保護手段に追加され、それを回避して行う複製は私的使用のための複製の範囲から明文で除外されました。個人が自宅で見る目的であっても同様です。加えて、回避のためのプログラムや装置を提供する行為には罰則が設けられています。手元のディスクを活かすには、CPRM対応かつDVD-VR再生対応の機器を用意するか、録画したレコーダーが動くうちにコピー枠を使って別媒体へ書き出す方法をお選びください。
Q. 地デジ番組をビデオ形式(DVD-Video)で残すことはできますか A. 規格上できません。DVDにおいてCPRMによる記録はVRモードにしか認められておらず、コピー制御の対象であるデジタル放送の番組は、DVDに残す限りVR形式になります。ビデオ形式で保存する選択肢は用意されていません。そのため、再生する側の機器がDVD-VRとCPRMの両方に対応していることが前提になります。実家などへ渡す場合は、渡す前に受け取る側のプレーヤーの仕様表で両方の記載を確認しておくと、手戻りを防げます。
Q. ブルーレイに録画した番組は他のレコーダーで再生できますか A. ブルーレイの保護技術はCPRMではなくAACSで、レコーダーで録画したディスクはBDAVという記録フォーマットになります。市販のBDソフトに使われるBDMVとは別形式です。BDAVとAACSに対応した機器であれば再生できますが、DVDのときと同様に機器側の対応が前提になります。またAACSは更新される仕組みを持っているため、長く更新していない機器で新しいディスクが読めないことがあります。DVDに移せば解決するという話にもなりません。
Q. ビデオカメラやスマホで撮った映像にもCPRMがかかりますか A. かかりません。CPRMやダビング10は放送された著作物のコピー制御に関する仕組みで、自分で撮影した映像は対象外です。そのためVR形式にする必要がなく、市販DVDと同じビデオ形式(DVD-Video)でディスクを作れます。再生機器を選びにくく、必要な枚数だけ作れて、メニュー画面やチャプターも自由に設計できます。ただし動画ファイルをそのまま書き込んでも家庭用プレーヤーでは映らないため、オーサリングという組み立て工程が必要です。
Q. レコーダーが壊れたら、そのレコーダーで焼いたディスクは読めなくなりますか A. ディスク側がファイナライズ済みで、かつ読み取る機器がDVD-VRとCPRMの両方に対応していれば、別の機器でも読めます。ファイナライズは、書き込んだ機器以外でも読み取れる状態にするための処置だからです。一方、HDDの中にだけ残っている番組は、本体が故障すると原則として取り出せません。残しておきたい番組は、レコーダーが動いているうちにコピー枠を使ってディスクへ書き出し、ファイナライズまで済ませておくのが安全です。