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会社案内DVDの作り方|「渡せる営業ツール」として機能する構成と運用

2026 8/09
会社案内DVDの作り方|「渡せる営業ツール」として機能する構成と運用

この記事の要点

  • ウェブ動画で足りる相手と、手渡しでしか届かない相手がいることが出発点です。
  • 構成は用途で変わるため、まず誰にどの場面で渡すかを決めます。
  • 素材がないという悩みは、働く人と現場を撮ることで大半が解けます。
  • 社内制作と外注は分担でき、撮影は社内・構成と編集は外注という形も現実的です。
  • 作って終わりにせず、差し替えできる構成にして陳腐化を防ぎます。

「会社案内の動画はウェブサイトに載せているので、ディスクはもう不要では?」——もっともな問いです。そして半分は正しい。検索から来る人には、ウェブ動画で十分です。

でも営業の現場を思い出してください。展示会のブースで名刺交換した相手は、あなたの会社名を帰りの電車で忘れます。「詳しくはウェブで」と言われた見込み客がURLを打ち込む確率と、鞄に入った1枚のディスクが「そういえば」と再生される確率。訪問先の応接室で、その場でノートPCから流せる5分の会社紹介。採用説明会で学生に手渡す「持ち帰れる会社」——物として渡せる動画には、リンクにはない仕事があります。

この記事では、会社案内DVD(ブルーレイ・データディスク含む)を「機能する営業ツール」として作る方法を解説します。構成の型、社内制作と外注の分担、渡し方の設計、そして陳腐化させない更新の仕組みまで。企業の動画活用全般の各論、会社案内特化版です。

まず用途を決める — 「誰に、どの場面で渡すか」が構成を決める

会社案内動画の失敗の大半は、「全部入り1本」を作ろうとすることから始まります。営業先も、学生も、金融機関も、地域も——全員に向けた動画は、誰の心にも刺さりません。先に主用途を決めます。

  • 営業・商談用: 見せる相手は多忙な決裁者。5分以内、事業内容と強み(設備・実績・体制)に集中。「この会社に頼めそうか」に答える構成
  • 採用用: 見せる相手は学生・求職者。働く人の顔と日常、社風が主役。社長の理念より先輩社員の本音が効く世界です
  • 展示会・イベント用: ブースのモニターでループ再生する音なしでも伝わる版と、持ち帰り用の配布版の二本立て
  • 周年・信用形成用: 沿革と実績を軸にした「会社の履歴書」。金融機関・新規取引の与信場面や、周年行事で働きます

迷ったら営業用から作るのが定石です。営業用の素材(事業・設備・実績)は他の用途にも流用できますが、逆は難しい——いちばん「お金に近い」用途からが、投資判断としても通りやすい順番です。社内の合意形成でも「まず営業用を1本、効果を見て採用版へ」という段階論は、いきなり全用途の予算を求めるより格段に通ります。

構成の型 — 営業用5分の設計図

汎用性の高い営業用の構成を、時間割つきで示します。

時間 章 中身
0:00-0:30 掴み 何の会社か一言+一番の強みを最初に(「創業◯年」「◯◯シェア」「この設備は県内当社のみ」等)
0:30-1:30 事業内容 何を・誰に・どう提供しているか。製品・サービスの映像
1:30-3:00 強みの証明 設備・技術・品質体制・実績。「言う」のではなく「見せる」——検査の様子、施工の記録、稼働する設備
3:00-4:00 体制と人 対応の流れ、担当者の顔、社屋。「頼んだらどうなるか」の不安を消す章
4:00-4:45 実績・お客様の声 事例2〜3件(許可を得たもの)。数字があれば数字で
4:45-5:00 締め 連絡先・所在地・ウェブへの導線(QRコード)

設計のポイントは3つ。冒頭30秒に一番の強みを置く(最後まで観てもらえる前提を捨てる)、社長挨拶は入れるなら1分以内(相手が知りたいのは会社であって挨拶ではありません——ただし社長自身が現場で語る姿は例外的に強い)、締めにウェブへの橋を架ける(ディスクは入口、深い情報はウェブへ。物とネットは対立ではなく分業です)。

もう一つ、見落とされがちな設計原則を。「観る側の再生環境」を選ばない作りにすること。応接室のテレビ、相手のノートPC、説明会のプロジェクター——どこで再生されても成立するよう、小さすぎる文字を使わない・暗すぎる映像を避ける・冒頭に無音の数秒を置かない(機器の音量確認の余地)。式典撮影の試写の原則と同じで、完成後に複数の環境で一度再生してみるのが確実です。

素材の集め方 — 「うちには見せるものがない」の壊し方

中小企業の現場でよく聞くのが「うちは映えるものがない」。ほぼ例外なく、思い込みです。

  • 働いている手元: 熟練の作業の手元は、業種を問わず最強の素材です。溶接の火花、検品の目線、伝票を繰る速さ——日常こそ、外部の目には非日常
  • 設備が動く音と姿: 機械の起動、ラインの流れ、トラックの出発。動きと音は「事業が生きている」証明になります
  • 人の顔: 挨拶でも作業中の真顔でも。顔の見える会社は、それだけで信頼の初期値が違います(撮影は本人の同意を丁寧に——社内でも作法は同じです。退職後の映像の扱いまで一言決めておくと、更新の仕組みにも繋がります)
  • 朝礼・出荷・清掃: 「絵にならない」と思われがちな場面が、実は社風を一番語ります
  • 歴史の物証: 創業時の写真、初代の機械、古い社屋の絵、周年誌の素材。沿革をテロップで読ませるより、1枚の白黒写真のほうが「続いてきた会社」を一瞬で語ります
  • 撮影は最新のスマホで十分始められます。工事記録で書いた「引きと寄り」「1カット10秒」の基本は、会社案内でもそのまま。素材集めを日常業務に薄く埋め込む(月1回、総務が現場を10分撮る等)と、更新素材も同時に貯まります

社内制作か外注か — 分担の正解

  • 全部外注: 品質は安定しますが、費用が上がり、更新のたびに外注が発生します。周年記念など「格」が要る1本に向く選択
  • 全部社内: 費用は最小、しかし品質と完成率が担当者の技量と多忙に左右されます。「作りかけの会社案内」ほど虚しいものはありません
  • 推奨は分担型: 素材(撮影)は社内で継続的に、構成と編集は外注で一発で。社内は「何を見せるか」を一番知っており、外部は「どう見せるか」のプロです。研修動画の内製の考え方と同じ分担が、会社案内でも機能します
  • 外注時の依頼の仕方は、仕様の考え方+この記事の構成表を渡せば、見積もりのブレが激減します。「5分・構成はこの表・素材は支給・修正2回」——ここまで言語化できていれば、発注は怖くありません

用途別・構成の変化形 — 採用版と展示会版の設計

営業用5分を親に、他用途への展開形を示します。素材の大半は共通で、順番と比重だけが変わります。

採用版(8分前後)
– 冒頭は「先輩社員の朝」から。出社、挨拶、仕事に入るまでの3分——学生が知りたいのは事業内容より「自分がここで過ごす1日」です
– 中盤に仕事の中身と教育体制(入社1年目が何をするか、誰が教えるか)。失敗談を1つ入れると、動画全体の信頼度が跳ねます(きれいごとだけの採用動画は見抜かれます)
– 終盤に待遇・休日などの事実情報と、社長からの短いメッセージ。締めは職場の日常の笑顔で
– 上映は説明会、配布は本人+家族用の2枚——前述の「親の壁」対策まで含めて採用版です

展示会版(ループ3分・音なし成立)
– ブースのモニターは「音が聞こえない・最初から観てもらえない」前提の設計です。どの10秒を切り取っても社名と事業が分かるよう、常時テロップ+大きな映像で
– 構成は「設備・製品が動く映像の連打」。説明は最小限、目を引くことに全振りします。足を止めた人への説明は、人間の仕事です
– 同じ素材から持ち帰り用(音声あり5分版)を作り、配布用ディスクに。「モニターで目を引き、ディスクで持ち帰らせ、QRでウェブへ」の三段が展示会の完成形です

金融機関・与信向け(5分・堅め)
– 沿革・許認可・品質体制・記録管理の体制など「継続性と信頼」の材料を厚めに。派手さより正確さ、音楽も控えめに
– 決算説明や事業計画のプレゼン資料と同じディスクに収録して渡せば、「説明を再現できる資料一式」になります

「渡す」の設計 — ディスクだからできる営業の型

作った動画を、どう手元に届けるか。ここがディスク活用の本体です。

  • 名刺と一緒に渡す: 「5分の会社紹介です。お時間あるときに」——名刺入れには入りませんが、捨てにくく、忘れにくい。紙のカタログより保管され、URLより再生されます。スリムケース+盤面印刷で、名刺と同じ「会社の顔」の体裁に
  • 展示会の持ち帰り袋に: カタログの束は捨てられても、ディスクは「何か入ってる感」で生き残ります。盤面に社名・一言・QRコードを刷っておけば、ディスクそのものが名刺になります。会期後1〜2週間は「ディスク経由のQRアクセス」が続くのが典型的な動き——紙のカタログにはない、時間差の追撃です
  • 訪問営業の「置き土産」: 商談相手が決裁者でない場合、「上の方にもご覧いただけるように」と1枚置いてくる。動画は、あなたの代わりに社内を回ってくれる営業員です。担当者にとっても「上に説明する手間が減る」贈り物なので、意外なほど歓迎されます
  • 採用説明会・内定者フォロー: 説明会で流した動画を「ご家族にもぜひ」と手渡す。内定者の親世代への安心材料として、物のディスクは想像以上に働きます
  • データディスクの合わせ技: 動画に加えて、会社案内PDF・製品カタログ・実績資料を同じディスクに収録すれば、「会社まるごと1枚」になります。営業資料の更新版を渡す口実にもなり、接触機会が増えます

数量の運用は1枚単位が便利です。展示会前に50枚、日常の営業用に月10枚——在庫を抱えず、必要なときに必要な分だけ。当店も盤面印刷込み1枚1,500円〜で承っており、法人様の定期的な小口注文はまさにこの使い方です。

陳腐化させない — 「作って終わり」を防ぐ更新の仕組み

会社案内の最大の敵は、完成の2年後にやってきます。退職した社員が映っている、旧製品が主役、社屋の看板が変わった——古い会社案内は、ないより悪いことがあります。

  • 構成を「変わらない章」と「変わる章」に分ける: 理念・沿革・技術の核は長寿命、製品・人・実績は短寿命。編集データを章単位で管理し、変わる章だけ差し替えられる作りにしておくと、更新費用が数分の一になります
  • 年1回の「事実チェック」: 映っている人・製品・数値・役職が現在も正しいかを、動画担当が10分確認する年中行事を。記録の年次点検と同じ発想です。チェックの結果「まだ使える」と確認できた年は、それはそれで記録に——「最終確認日」が分かる会社案内は、営業も安心して配れます
  • マスターデータの保管: 完成版だけでなく、編集プロジェクトと素材一式をマスターとして保存。制作会社に任せきりだと、会社の廃業・契約終了でデータごと失うリスクがあります。「編集データはどちらが保管するか」を契約時に確認——将来の更新自由度は、この一項で決まります
  • 更新のたびの複製は等倍コピーで劣化なし、旧版のディスクは回収・廃棄のルールを決めて、市場に古い会社情報を残さないところまでが運用です

制作スケジュールと費用感 — 発注から納品までの現実

初めての外注を想定した、標準的な流れです。

  1. 企画(1〜2週間): 主用途の決定→構成表の作成(この記事の表をたたき台に)→見せ場のリストアップ。ここは社内の仕事で、ここの解像度が最終品質を決めます
  2. 見積もり・発注(1週間): 構成表・素材の有無・修正回数を明示して2〜3社から。発注の作法は複製と同じです
  3. 撮影(1〜2日): 現場・設備・人。社内の段取り(撮影日の現場調整、映る人への同意の確認)が実は最大の仕事です
  4. 編集・確認(2〜4週間): 初稿→社内確認→修正。確認は「事実の誤り」と「印象」を分けて伝えると、修正が速く正確になります
  5. ディスク化・納品(数日〜): 盤面・ケースのデザイン、入稿、複製。必要枚数だけ、以後は追加発注で

全体で1.5〜2ヶ月が標準です。展示会や採用シーズンから逆算して、2ヶ月半前に企画開始——納期の原則どおり、余裕が品質と費用の両方を守ります。費用の相場は制作範囲で大きく変わりますが、「撮影1日+編集5分もの」の外注で数十万円台が一つの目安、素材支給の編集のみならその数分の一——試作版(自作)→本番(外注)の二段構えなら、最初の投資判断はさらに軽くなります。

ケーススタディ — 1枚が働いた3つの場面

展示会の「その後」が変わった部品メーカー。 カタログだけ配っていた頃は展示会後の反応がほぼゼロ。設備と検査体制を映した5分のディスクを配布に加えたところ、会期後に「動画を役員会で観た。工場を見せてほしい」という連絡が入るように。動画は、ブースに来なかった決裁者に届く——紙には難しい飛距離でした。

採用の「親の壁」を越えた建設会社。 地方の高校新卒採用で、内定辞退の理由の多くが「家族の反対」だったため、現場の安全体制と若手社員の1日を撮った採用版DVDを説明会で本人と家族用に2枚ずつ配布。翌年、辞退率が目に見えて下がりました。会社を「観たことがある」家族は、反対しにくい——ディスクが家庭のテレビで再生されることの意味です。進路指導の先生の手元にも1枚届くようにしたところ、翌年から学校推薦の質も変わったといいます。採用の意思決定者は、本人だけではないのです。

「会社まるごと1枚」で商談を短縮した設備業者。 動画+会社案内PDF+施工実績集を1枚のデータディスクにまとめ、初回訪問で必ず手渡す運用に。相手先の担当者がそのまま社内説明に使ってくれるため、2回目の商談が「説明」ではなく「詳細の詰め」から始まるように。営業資料が相手の社内を歩き回る——ディスク1枚の仕事としては上出来です。月の配布数は10〜20枚、1枚単位の追加発注で在庫ゼロ運用——費用は月数万円に満たず、営業1訪問分のコストで「もう一人の営業」が雇えた計算だと、担当者は笑っていました。

よくある質問

Q. もうDVDを再生できない会社も多いのでは?
A. 事実としてドライブの普及率は下がっています。だから現代の正解は「ディスク+QRコード」の両建てです。盤面と ケースにウェブ版へのQRを刷っておけば、再生環境がない相手はスマホで観られます。ディスクは「物として残る名刺」、QRは「その場で開ける扉」——片方ではなく両方持たせるのです。

Q. 動画の長さは本当に5分でいいのですか?もっと伝えたいことがあります。
A. 5分は「観てもらえる上限」からの逆算です。伝えたいことが多いなら、1本を長くするのではなく、用途別に短い動画を複数(営業5分・採用8分・技術紹介3分)作り、データディスクに全部収録してメニューで選べるようにする——これが「多くて観られない」を回避しつつ全部渡す方法です。

Q. BGMやナレーションの権利はどうすれば?
A. 店舗BGMと同じで、配布物である以上、市販曲は使えません。商用利用可のフリー音源か、制作会社の権利処理済み音源で。ナレーションを外注する場合は「利用範囲(配布・ウェブ・展示会)」を発注時に明示——用途が増えるほど権利の確認範囲も増えるのは、映像制作の共通原則です。

Q. 効果はどう測ればいいですか?
A. ディスクは配布後の再生を直接計測できないので、①盤面QRコードに計測用のパラメータを付けて「ディスク経由のウェブ訪問」を数える、②商談・応募のきっかけを聞く欄に「DVD」を設ける、③配布数と引き合いの相関を四半期で見る——この3点で十分実用的な効果測定になります。数字で語れれば、次の更新予算も通ります。

Q. まず1本、最小予算で試したい。
A. スマホで素材を撮り(この記事の素材リストで2〜3日)、無料ツールで構成表どおりに並べ、フリーBGMを載せて5分に——制作費実質ゼロの「試作版」を作ってみてください。それを営業で10回使えば、「どこで相手の目が動くか」が分かります。本番の外注は、試作の学びを持ってから。発注の質が段違いになります。

Q. 撮影で社員が構えてしまい、自然な画が撮れません。
A. 「撮りますよ」と宣言して1時間居座るのが逆に正解です。最初の10分は全員が意識しますが、仕事が忙しくなれば忘れます——使えるのは後半50分の映像です。インタビューは聞き方の技術がそのまま使えます。「会社のいいところは?」より「この仕事で一番腕が要るのはどこ?」——具体的な問いが、自然な言葉を連れてきます。

Q. 競合に見られたくない情報(設備の詳細・取引先)はどう扱う?
A. 配布物は「回収できない」前提で、公開可能な範囲だけで構成するのが原則です。見せたいが配布したくない情報(詳細な設備仕様・特殊工程)は、商談の場でだけ再生する「非配布版」を別に持つ二本立てで解決できます。訪問時にその場で見せ、ディスクは渡さない——物理媒体は、逆に「渡さない」ことも制御しやすいのです。

Q. 多言語版は作るべきですか?
A. 海外取引・外国人採用・インバウンドの接点があるなら、字幕版から始めるのが費用対効果の面で賢明です(音声吹き替えより桁安く、映像は共通で済みます)。字幕データを差し替えるだけの多言語展開は、章単位の編集データ管理(前述)ができていれば小さな追加費用で回ります。展示会の国際化にあわせて英語字幕版を1本——というのが最初の定番です。


会社案内DVDは、古い道具に見えて、実は「確実に手元に残る動画」という現代でも珍しい性質を持っています。ウェブの動画は流れていきますが、応接室の棚の1枚は、次の担当者にも引き継がれる。会社の自己紹介を、物として持てる——その価値を、構成と渡し方の設計で最大化してください。まずは5分の構成表を埋めるところから。あなたの会社の「見せるもの」は、現場に必ずあります。

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