この記事の要点
- コスプレのROM(コスROM)は、撮影した写真をCD-R・DVD-Rなどのデータディスクに入れて頒布する写真集です。パソコンに入れて、写真のファイルを開いて見ます。
- ①写真の権利と取り決め:撮ったカメラマン、写っているコスプレイヤーと、ROMにして頒布してよいかを取り決めます。原作の権利者がガイドラインを出していれば、原文で確かめます。
- ②中身:写真の形式(JPEGにそろえる)と大きさ、フォルダの並び、読み方を書いたテキストを決めます。
- ③ディスクの作り方:写真の合計の大きさでCD-R・DVD-R・BD-Rを選び、書き込んだら別のパソコンで開けるか確かめます。枚数は「見積もりの総額÷作る枚数」で比べます。
- ④頒布の場:即売会・通販・ダウンロードで、確かめる決まりが違います。スマホやタブレットだけの人にはディスクのままでは届かないので、ダウンロードで渡す形も考えます。
撮影会やスタジオで撮りためた写真から選んだものを、1冊の写真集にして即売会で頒布したい。紙の本のほかに、コスプレでは写真をディスクに入れた「ROM」(コスROM)という形があります。作ろうとすると、写真の権利、ディスクの中身、書き込み方、頒布のしかたと、確かめることがいくつも出てきます。
コスプレのROMは、撮影した写真をCD-R・DVD-Rなどのデータディスクに入れて頒布する写真集です。パソコンにディスクを入れると、写真のファイルがフォルダごと見える作りで、テレビのDVDプレーヤーで見る映像のディスクとは作り方が違います。作るときは、①写真の権利と取り決め、②中身、③ディスクの作り方、④頒布の場、の順に決めていきます。
①を最初に済ませるのは、写真1枚に何人もの権利がかかわるからです。写真は著作権法が挙げる著作物の1つで、撮った人(カメラマン)の権利がかかわります。写っているコスプレイヤー(レイヤー)には肖像権があり、衣装のキャラクターには原作の権利者がいます。選んだ写真をレタッチして並べ終えたあとで「ROMにはしないでほしい」と言われれば、作り直しです。撮った人と写っている人に、ROMにして頒布してよいかを先に確かめ、原作の権利者がガイドラインを出していれば原文を読んでおきます。
コスプレROM(コスROM)とは?写真をデータディスクに入れた写真集
ROMは、写真のファイルを、ファイルのまま書き込んだディスクです。こうしたディスクをデータディスクと呼び、パソコンに入れると、USBメモリと同じように中のフォルダと写真が見えます。受け取った人は、写真をそのまま開くか、パソコンにコピーしてから見ます。映像のディスク(DVDビデオ)のほうは、映像を再生機で読める形に組み立ててから書き込むので、中身の形がROMとは別物です。2つの違いはデータDVDと映像DVDの違いで詳しく説明しています。
名前のROMは、CD-ROMやDVD-ROMの「ROM」と同じ言葉で、読み取り専用という意味です。マクセルは、DVDには読み取り専用のDVD-ROMと、書き込みができるDVD-Rなどがあると説明しています。コスプレのROMは、書き込み用のCD-R・DVD-Rに書き込んで作ることも、工場でプレスして作ることもあり、どちらでも中身は写真のファイルです。見るのに要るのは、ディスクを読めるドライブの付いたパソコンで、ドライブのないパソコンでディスクを読む方法はパソコンでDVDを見る方法にまとめています。
作るときに決めることは、次の4つです。この順に進めると、作り直しが少なくて済みます。
| 決めること |
中身 |
①権利と 取り決め |
撮った人と、 写っている人の了解。 原作の権利者の決まり。 |
| ②中身 |
写真の形式と大きさ、 フォルダの並び、 読み方のテキスト。 |
| ③ディスク |
容量で種類を選ぶ。 書き込んで、 開けるかを確かめる。 枚数は見積もりで。 |
| ④頒布の場 |
即売会、通販、 ダウンロード。 それぞれの決まりを 確かめる。 |
写真の権利|撮ったカメラマンと写っているレイヤーの了解を取る
コスプレの写真1枚には、撮った人の権利と、写っている人の権利が重なっています。原作のキャラクターの決まりは次の節に回し、ここでは撮った人と写っている人の了解の取り方と、一緒に作る人との取り決めを書きます。
撮影を頼んで料金を払っても、自由に使えるとは限らない
写真は、著作権法が挙げる著作物の例の1つです(第10条)。文化庁の著作権テキストも、スマートフォンで撮った写真のように日常で作ったものでも、定義を満たせば著作物になると説明しています。著作者は、著作物を創作する人です(第2条)。
レイヤーがカメラマンに撮影を頼んだときに確かめておきたいのが、文化庁の次の説明です。創作を他人に頼んだときは、料金を払ったかどうかにかかわりなく、実際に創作した受注者側が著作者になる。このため、頼んだ側が納品のあとで使うには、使うための契約をあらかじめ交わしておくことが必要になる、というものです。撮影代を払って受け取った写真でも、ROMにして頒布するなら、撮った人との取り決めが要ります。
著作者には、写真を複製する権利(第21条)、複製物を譲り渡して公衆に提供する権利(第26条の2)、インターネットなどで公衆に送る権利(公衆送信権・第23条)があります。ROMを作って売る・配るのは複製と譲渡に、ダウンロードで配るのは公衆送信にかかわります。無料で配るROMでも、頒布であることに変わりはありません。著作権法の「頒布」は、有償か無償かを問わないからです(第2条)。
許しを得た人が使えるのは、許された方法と条件の範囲です(第63条)。撮影の日に「SNSに載せてよい」と話していても、それはSNSに載せる約束で、ROMにして頒布する約束とは別です。撮った人には、写真に名前を出すかどうか、どう出すかを決める権利(氏名表示権・第19条)と、意に反して作品を変えられない権利(同一性保持権・第20条)もあります。クレジットの書き方と、レタッチやトリミング、文字入れをどこまでしてよいかも、先に決めておきます。
写っている人の了解(肖像権)
写っている人には肖像権があります。文化庁は、肖像権を、自己の氏名や肖像をみだりに他人に公開されない権利で、プライバシー権の一種と説明しています。法律に定めのない、判例で確立されてきた権利です。著名な人の氏名や肖像が持つ、客を引きつける力(顧客吸引力)の価値に基づく権利は、パブリシティ権と呼ばれています。
カメラマンが自分の作品としてROMを作るときも、写っているレイヤー本人の了解を取ります。何人かで同じ作品のキャラクターをそろえて撮る「併せ」の写真なら、写っている全員です。イベントの会場で撮った写真の背景に、ほかのレイヤーや一般の人の顔が写り込んでいるなら、その人の了解を取るか、その写真を使わないか、顔が分からないように加工します。写っている人が事務所に所属していれば、事務所の決まりも確かめます。文化庁は、芸能プロダクションに所属する芸能人の多くは、プロダクションがパブリシティ権を管理していると思われる、としています。写っている人が未成年なら、保護者にも了解を取っておきます。
一緒に作る人と取り決めておくこと
レイヤーとカメラマン、併せの仲間、レタッチやデザインを頼んだ人がいるなら、ROMを作る前に、次のことを取り決めます。
- ROMにして頒布してよいか。有償か無償か、作る枚数や頒布する期間
- 通販やダウンロードでも頒布してよいか
- 使う写真と、顔を出す範囲。使わないと決めた写真の扱い
- レタッチ・トリミング・文字入れをどこまでしてよいか
- 撮った人・写っている人のクレジットの書き方
- 売り上げと、制作にかかった費用の分け方
- あとで追加で作るときや、ほかのROMとまとめ直すときの扱い。活動をやめたあとの扱い
取り決めた内容は、あとから読み返せる形で残しておきます。何年かあとに作り直すときや、一緒に作った人と連絡が取りにくくなったときの手がかりになります。ジャケットや盤面に、ほかの人が描いた絵を使うなら、その絵は描いた人の美術の著作物です(第10条)。撮影したスタジオや施設に利用規約があれば、撮った写真を頒布物に使うときの決まりが書かれていないかも読んでおきます。
原作のキャラクターは、権利者のガイドラインの原文で確かめる
アニメやゲームのキャラクターのコスプレ写真を頒布物にするときは、その作品の権利者の決まりを確かめます。二次創作やコスプレのガイドラインを公開しているか、何を書いているかは、作品ごとに違います。ほかの作品のガイドラインや、よそで聞いた話を当てはめずに、その作品のガイドラインを原文で読みます。
ガイドラインの書き方は、作品ごとに違う
たとえば、ホロライブプロダクションの二次創作ガイドライン(カバー株式会社)には、コスプレの項目があります。コスプレ活動を歓迎するとしたうえで、挙げている決まりは次のとおりです。
- イベントにコスプレで参加するときは、イベントや会場のガイドライン・規則を参照する
- 過度な性的表現や、公序良俗に反する表現を控える
- 関係する法令に触れるとみなされるおそれのある表現・撮影・配信と、R18コンテンツを想起させる態様でのコスプレ活動は禁止
- 未成年がコスプレ活動をするときは、保護者の同意を得る
全般の項目には、同人活動や趣味の範囲で行うこと、法人による営利目的の利用は原則として断ることが書かれています。コスプレの項目に、写真集やROMという言葉は出てきません(2026年9月26日時点)。ROMを作るなら、コスプレの項目と全般の項目の両方を読みます。
東方Projectの公式・公認情報を発信する「東方Projectよもやまニュース」に載っている、東方Projectの二次創作ガイドラインは書き方が違います。個人でのファン活動としての二次創作は常識の範囲内で基本的に自由とし、条件として東方Projectの二次創作であることの明記を、禁止事項として過剰な性的表現などを挙げたものです。二次創作物の頒布は、原作が販売されている流通か、許可している流通だけで行えるとされ、例には同人誌即売会や同人ショップ、パッケージとして制作した物の自家通販が並びます。このガイドラインには、コスプレという言葉は出てきません。
ガイドラインを読むときに見るところ
- コスプレや写真について書かれているか
- 有償で頒布してよいか。「同人活動の範囲」のような条件があるか
- 頒布してよい場(即売会、ショップ、通販、ダウンロード)
- 表現の決まり(性的な表現など)と、未成年の扱い
- 二次創作であることの明記など、書き添える決まり
- 問い合わせを受け付けているか
読んだページは、日付と一緒に写しを残しておきます。ガイドラインは変わることがあり、ホロライブプロダクションのガイドラインも東方Projectのガイドラインも、予告なく変更することがあるとしています。
ガイドラインが見つからない・書かれていないとき
ガイドラインが見つからない作品や、ガイドラインに書かれていない使い方を、問題ないものと受け取るのは避けます。権利者が問い合わせを受け付けていれば、窓口の案内に沿って確かめます。ホロライブプロダクションのガイドラインのように、内容についての個別の問い合わせには回答しないと明記しているものもあります。ここに書いたのは一般的な確かめ方で、個別の判断に迷うときは、弁護士などの専門家にも確かめてください。
ROMの中身の作り方|写真の形式・大きさ・フォルダ・説明のテキスト
ディスクを開いた人が、最初に何を開けばいいか迷わない形にします。いちばん上の階層に置くのは、写真のフォルダと説明のテキストだけ。写真の形式と大きさ、フォルダの並び、テキストの順に決めていきます。
写真はJPEGにそろえ、大きさは見る画面と容量で決める
写真は、開ける人の多いJPEGにそろえます。iPhoneで撮った写真は、「設定」>「カメラ」>「フォーマット」が「高効率」なら、HEIFという形式で保存されます。Appleは、古い形式(JPEG)で撮る設定にすると対応できるOSやデバイスの幅が広がると説明し、Windowsと互換性のある形式で写真を読み込めるようにするには「互換性優先」を選ぶよう案内しています。手元のHEIFの写真は、Macの写真アプリやプレビューで開き、「ファイル」>「書き出す」でJPEGを選んで保存できます。カメラでRAWで撮った写真は、現像してJPEGに書き出してから入れます。
写真の大きさ(縦と横のピクセル数)は、受け取った人がどう見るかで決めます。パソコンの画面で見てもらうのが主なら、画面に表示できる大きさに縮めて書き出す方法もあります。大きいまま入れるほど1枚のファイルが大きくなり、同じディスクに入る枚数は減ります。書き出したら、フォルダのプロパティなどで合計の大きさを確かめ、次の節の表と比べて、どのディスクに収まるかを見ます。
フォルダの並びとファイル名
衣装や撮影の回ごとにフォルダを分け、フォルダとファイルの名前の頭に「01_」「02_」のように番号を付けます。名前の順に並べたとき、見せたい順に並びます。写真が100枚を超えるフォルダなら、「001_」のように3桁にそろえます。フォルダの中にさらにフォルダを重ねるのは最小限にして、開いた人が迷わないようにします。
動画を入れるなら
メイキングやスライドショーの動画は、MP4などのファイルのまま入れれば、パソコンで再生できます。ただ、パナソニックは、パソコン内の動画をそのままDVDに書き込んでも、一般的な家庭用DVDプレーヤーでは再生できないと説明しています。テレビで見てもらいたい動画は、ROMとは別に、映像のDVDとして作ります(あとの節で書きます)。
動画に市販の曲を入れるなら、曲の手続きも要ります。JASRACやNexToneが管理する曲は、無料で配るディスクでも利用の申し込みが必要で、市販のCDなどの音源をそのまま使うなら、レコード会社など音源の権利者の許諾も別に要ります。曲の調べ方と申し込みの流れは、歌ってみた音源をCDにして頒布するにはにまとめました。
説明のテキスト(はじめにお読みください)
説明は、Windowsのメモ帳やMacのテキストエディットで開けるテキストファイル(.txt)にしておけば、特別なアプリがなくても読めます。ファイル名は「はじめにお読みください.txt」のように、最初に開くものだと分かる名前にします。書いておきたいのは、次の項目です。
- 作品名、頒布を始めた日、版
- 写っている人と撮った人のクレジット(取り決めた書き方で)
- フォルダごとの中身と、写真の枚数
- 開き方(ドライブのあるパソコンで開く。パソコンにコピーしてから見てよいか)
- 使ってよい範囲(個人で見るため、SNSへの転載や再配布をしないなど、取り決めた条件)
- 原作のガイドラインが求める表記(二次創作であることの明記など)
- ディスクは長く置くと読めなくなることがあるので、写真をパソコンなどにも残してほしいこと
- 連絡先
使ってよい範囲を書いておけば、受け取った人に決まりが伝わります。ROMの写真は、受け取った人がパソコンにコピーできるファイルのまま渡すものです。転載が心配なら、写真にクレジットを入れる、ROMに入れる写真を選ぶといった手当ても合わせて考えます。
データディスクへの書き込みは、Windows・Macの標準の機能でできる
ROMの書き込みは、WindowsとMacに最初から入っている機能でできます。流れは同人ゲームの物理版と同じで、画面ごとの手順は同人ゲームをディスクで頒布する方法に書きました。ここでは、写真のROMで気をつけるところを書きます。
CD-R・DVD-R・BD-Rは、合計の大きさと相手のドライブで選ぶ
ディスクに書かれた容量は1K=1,000で数えた値で、パソコンは1K=1,024で数えるので、同じ量が画面では少し小さく表示されます(マクセル)。フォルダの合計の大きさは、表の「パソコンの表示」の数字と比べてください。
| ディスク |
入る量の目安 |
| CD-R |
700MB。 650MBの製品もある |
| DVD-R |
4.7GB。 パソコンの表示で 約4.38GB |
DVD-R DL (2層) |
8.5GB。 パソコンの表示で 約7.9GB |
| BD-R |
25GB。 パソコンの表示で 約23.3GB |
読む人のドライブが分からないなら、DVD-Rに収まる大きさにしておくと、読める人が広がります。BD-Rはブルーレイ対応のドライブがないと読めず、2層のDVD-R DLにも、使えない機器があるからです。1枚に収まらないときは、衣装ごとにディスクを分けるのも一つの手です。
WindowsとMacの書き込み
Windowsでは、空のディスクを入れて書き込みを始めると、「ディスクの書き込み」の画面で、ディスクの使い方を2つから選びます。頒布するROMは「CD/DVD プレーヤーで使用する」(マスター)で書きます。ファイルをまとめて書き込む形式で、書き込んだあとは個別のファイルを編集・削除できない代わりに、「ほとんどのコンピューター」で使える、というのが画面の説明です。項目の名前はプレーヤー用に見えても、映像のディスクになるわけではなく、写真のファイルがそのまま書き込まれます。Microsoftは、ファイルのコピーが終わるのを待ってから書き込みを始めるよう案内しています。
Macでは、書き込みのできる外付けの光学式ドライブをつなぎ、空のディスクを入れてFinderで開きます。ディスクのウインドウに写真のフォルダと説明のテキストをドラッグし、「ファイル」>「ディスクを作成」を選びます。ファイルの名前と位置はディスクのウインドウで見えているとおりに書き込まれ、作成したあとは変更できません(Apple)。同じ内容を何枚も作るなら、「ファイル」>「新規ディスク作成フォルダ」で作るディスク作成フォルダが便利です。Appleは、Macで作ったディスクはWindowsなどほかのコンピュータでも使えると説明しています。
書き足せない形で仕上げ、別のパソコンで開けるか確かめる
書き込みソフトによっては、書き込みを終えたディスクを閉じる処理があり、ファイナライズやクローズと呼ばれます。バッファローの説明では、閉じていないディスクはデータの追記・編集ができ、閉じたディスクはできません。WindowsやMacの標準の機能以外のソフトで書くなら、閉じる設定になっているかを確かめてから書き込みます。閉じる処理の意味はファイナライズとはに書きました。
書き込んだら、作ったのとは別のパソコンにディスクを入れて、説明のテキストの手順どおりに開いてみます。写真が全部表示されるか、並び順が合っているか、動画を入れたなら再生できるかを見ます。WindowsとMacの両方で試せると安心です。同じ内容のディスクを何枚も書くときも、1枚ごとにファイルが開けるかを確かめてからケースに入れます。
スマホやタブレットだけで見る人には
スマホやタブレットには、ディスクを入れる口がありません。ふだんスマホだけで写真を見ている人は、ROMをそのままでは開けないということです。ドライブの付いていないパソコンなら外付けのドライブをつなぐ方法がありますが、スマホやタブレットだけの人には、ダウンロードで受け取れる形を用意します。ディスクに、ダウンロード用のURLを印刷したカードを添える形もあり、同人ゲームのダウンロードカードと同じ考え方です。
何枚作る?見積もりの比べ方と、盤面・保管のこと
作り方は、自分で焼く、複製の業者に頼む、工場でプレスする、の3つです。データのディスクをプレスするときの入稿の例では、メモリーテックの手引きが、製品にしたい中身をそのままDVD-RやDVD-R DLにして渡すよう求めています。スタンパー製造工程での読み取りエラーを防ぐため、同じ内容のものを2枚(正・副)用意する決まりです。
何枚からプレスのほうが安いかに、決まった数字はありません。作る枚数の候補を2〜3通り決めて、同じ仕様で見積もりを取り、候補ごとに「見積もりの総額÷作る枚数」で1枚あたりを出します。前の頒布の記録や予約の数から見込みの枚数を置き、「作る枚数−見込みの枚数」で余る枚数も並べてから決めます。手順と見積もりで確かめる項目は、CD・DVDのプレスとコピーの違いに詳しく書きました。自分で焼くなら、カナダ保存研究所の資料では、16倍速の1層のDVD-R・DVD+Rは、4〜8倍速で書き込むと誤りがいちばん少なくなるとされています。
盤面とジャケット
盤面に絵や題名を入れるなら、印刷に対応した記録型のディスクに刷るか、業者の印刷に出します。紙のシールを貼るのは避けてください。カナダ保存研究所は、ディスクにはどんな種類の粘着ラベルも貼らないよう勧めています。ジャケットの寸法と作り方はCDジャケットのサイズにまとめています。盤面かジャケットには、ディスクの種類(CD-R・DVD-R・BD-R)と、見るのにドライブのあるパソコンが要ることも書いておくと、手に取った人が受け取る前に確かめられます。
保管と、受け取った人に伝えること
記録型のディスクは、いつまでも読めるものではありません。カナダ保存研究所の資料の平均では、一般的なDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年が寿命の目安です。作る側は元の写真をディスクとは別の場所にも残し、受け取った人には、説明のテキストで写真をパソコンなどにも残してもらうよう伝えます。種類ごとの寿命と劣化のサインは、CD・DVD・ブルーレイの寿命は何年かにまとめています。
即売会に持っていく在庫は、車に積んだままにしないでください。記録型のディスクは、夏の車のダッシュボードのように直射日光で熱がこもる場所では、数日で使えなくなることがあります。ケースに入れていても、熱は防げません(米国国立標準技術研究所)。
頒布の場|即売会・通販・ダウンロードで確かめること
ROMを頒布する場は、主に即売会、通販(自家通販やショップへの委託)、ダウンロードの3つです。決まりを出している相手が場ごとに違うので、それぞれで確かめます。原作のガイドラインが、頒布してよい場を決めていることもあります。
即売会
頒布物についての決まりは、参加する即売会の主催者の案内で確かめます。成人向けの表現を含む写真があるなら、その扱いは特に先に確かめておきます。会場にコスプレで参加するなら、コスプレの決まりも主催者と会場の案内で確かめます。ホロライブプロダクションのガイドラインも、イベントにコスプレで参加するときは、イベントや会場のガイドライン・規則を参照するよう求めています。部数の決め方や搬入、値付けは、コミケ・即売会でCD/DVDを頒布する基礎知識にまとめています。
通販・委託
通販サイトやショップに委託するなら、受け付ける頒布物、成人向けの表現の扱い、JANコードが要るかを委託先に確かめます。GS1 Japanは、インターネット通販などでは商品へのJANシンボルの表示が不要な場合があるので、取引先に確かめるよう案内しています。原作のガイドラインが頒布してよい流通を決めているなら、委託先がその範囲に入るかも見ておきます。
ダウンロード
ダウンロードで売る・配るなら、まず撮った人・写っている人との取り決めに、ダウンロードで配ることが入っているかを確かめます(写真の権利の節の公衆送信権)。そのうえで、使う販売サイトやサービスの規約で、写真集の扱い、成人向けの表現の決まり、購入者に渡すURLの扱いを読みます。ROMとダウンロードの両方を用意すれば、ドライブのない人にも届けられます。
写真をスライドショーの動画にして、テレビで見られるDVDにするとき
写真をテレビで見てもらいたいなら、写真をスライドショーの動画にして、DVDプレーヤーで見られる映像のDVD(DVDビデオ)に組み立てる方法があります。ファイルをそのまま書き込むROMとは作り方が別です。組み立てまでの流れと写真の枚数の決め方、曲を入れるときの手続きは、写真のスライドショーをDVDにする方法にまとめています。
当社(ディスクメーカー・大阪市北区梅田)は、動画データからDVD・ブルーレイを1枚から作る小さな店です。完成した動画の共有URL(ギガファイル便、Google ドライブなど)を注文フォームに貼っていただければ、プレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込みます。実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。DVDは720×480、ブルーレイは1920×1080で作ります。お引き受けできるのは、自分で撮影・制作した動画と、権利者の許可がある動画です。
頒布の前に確かめる順番
ROMは、次の順に進めると、あとから作り直すことが減ります。
- 使いたい写真の撮影日、撮った人、写っている人を一覧にする
- 撮った人・写っている人と、ROMにして頒布することを取り決めて残す。通販・ダウンロードも含めるか、クレジットとレタッチの範囲も決める
- 原作の権利者のガイドラインと、撮影した場所の規約を原文で読み、日付と写しを残す
- 写真をJPEGにそろえて書き出し、フォルダの並びと説明のテキストを作る
- 合計の大きさを見て、CD-R・DVD-R・BD-Rのどれにするか、何枚作るかを決める。頼むなら見積もりを比べる
- 書き込む(Windowsはマスターの形式)。別のパソコンで開けるかを確かめる
- 盤面やジャケットに、ディスクの種類、見るのに要るもの、ガイドラインが求める表記を入れる
- 即売会・通販・ダウンロードの決まりを確かめて頒布する
最初の一歩は、1の一覧づくりです。誰に何を確かめればいいかが、そこから見えてきます。
よくある質問
Q1. コスプレのROM(コスROM)とは何ですか?
撮影した写真をCD-R・DVD-Rなどのデータディスクに入れて頒布する写真集です。写真のファイルをファイルのまま書き込んだディスクで、パソコンに入れると中のフォルダと写真が見えます。名前のROMは、DVD-ROMなどの「ROM」と同じ言葉で、読み取り専用という意味です。作るときは、写真の権利と取り決め、中身、ディスクの作り方、頒布の場の順に決めます。
Q2. コスプレのROMは、テレビのDVDプレーヤーで見られますか?
ROMは、パソコンで開いて見るデータディスクとして作ります。家庭用のDVDプレーヤーで、ROMのフォルダや説明のテキストをパソコンと同じように見られるとは限りません。入れた動画も、パナソニックの説明では、パソコンの動画をそのままDVDに書き込んだだけでは、一般的な家庭用DVDプレーヤーで再生できません。テレビで見てもらうなら、写真をスライドショーの動画にして、映像のDVD(DVDビデオ)に組み立てます。
Q3. 料金を払って撮影を頼んだ写真なら、ROMにして頒布できますか?
撮った人との取り決めが要ります。文化庁は、創作を他人に頼んだときは、料金を払ったかどうかにかかわりなく実際に創作した受注者側が著作者になり、頼んだ側が納品のあとで使うには、そのための契約をあらかじめ交わしておく必要があると説明しています。ROMにして頒布してよいか、通販やダウンロードも含めるか、クレジットとレタッチの範囲を取り決めておきます。
Q4. 併せで撮った写真をROMに入れるときは、何を確かめますか?
写っている全員と、撮った人の了解です。写っている人には肖像権があり、文化庁は、自己の氏名や肖像をみだりに他人に公開されない権利で、法律に定めはなく判例で確立された権利だと説明しています。写真は著作物の例に挙がっているので(第10条)、撮った人とも取り決めます。ROMにしてよいか、顔を出す範囲、クレジット、売り上げの分け方を全員で決めて残しておきます。
Q5. カメラマンがレイヤーを撮った写真で、カメラマンがROMを作ってもいいですか?
写っているレイヤー本人の了解を取ってから作ります。写真の著作者が撮った人であっても、写っている人には肖像権があるからです。事務所に所属するレイヤーなら事務所の決まりも確かめ、未成年なら保護者にも了解を取ります。ROMに入れる写真、顔を出す範囲、クレジット、売り上げの扱いを取り決め、読み返せる形で残しておきます。
Q6. アニメやゲームのキャラクターのコスプレROMを頒布してもいいですか?
作品ごとに、権利者の決まりを確かめます。ガイドラインがあるか、何を書いているかは作品で違い、たとえばホロライブプロダクションのガイドラインにはコスプレの項目がありますが、東方Projectのガイドラインにはコスプレという言葉が出てきません。有償の頒布、頒布の場、表現の決まりを原文で読み、書かれていない使い方は、権利者の案内に沿って確かめます。
Q7. ROMに入れる写真の形式は、何がいいですか?
開ける人の多いJPEGにそろえます。iPhoneの「高効率」の設定で撮った写真はHEIFで保存され、Appleは、Windowsと互換性のある形式で写真を読み込めるようにするには「互換性優先」(JPEG)を選ぶよう案内しています。HEIFの写真は、Macの写真アプリやプレビューで開いて「ファイル」>「書き出す」からJPEGで保存できます。RAWで撮った写真は、現像してJPEGに書き出します。
Q8. CD-RとDVD-Rのどちらで作ればいいですか?
写真の合計の大きさで決めます。CD-Rは700MB、DVD-Rはパソコンの表示で約4.38GBまで入ります。それを超えるなら2層のDVD-R DL(約7.9GB)かBD-R(約23.3GB)ですが、BD-Rはブルーレイ対応のドライブがないと読めず、2層のDVDにも使えない機器があります。読む人のドライブが分からないなら、DVD-Rに収まる大きさにするか、衣装ごとにディスクを分けます。
Q9. スマホやタブレットしか持っていない人にも、ROMを渡せますか?
ディスクのままでは開けません。スマホやタブレットには、ディスクを入れる口がないからです。同じ写真をダウンロードで受け取れる形を用意すれば届けられますが、その前に、撮った人・写っている人との取り決めに、ダウンロードで配ることが入っているかを確かめます。インターネットで公衆に送ることは、撮った人の公衆送信権(著作権法第23条)にかかわるためです。
Q10. 前に撮った写真を、いまからROMにしてもいいですか?
撮った人と写っている人に、あらためて確かめてから作ります。撮影のときにSNSに載せる話しかしていなかったなら、それはROMにして頒布する約束とは別です。許しを得た人が使えるのは、許された方法と条件の範囲だからです(著作権法第63条)。一緒に活動しなくなった人や、活動をやめた人が写っている写真は、使うかどうかも含めて相談します。
参考にした公式の情報
法律の運用や、権利者のガイドライン、サービスの規約は、改正や改訂で変わります。この記事は、2026年9月26日時点の法令と各公式ページの記載をもとにしたものです。個別の判断は、作品の権利者、撮った人・写っている人、即売会の主催者、弁護士などの専門家に確かめてください。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。