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YouTubeチャンネル乗っ取りの手口と対策|偽の企業案件メールと動画の原本の残し方

2026 10/21
YouTubeチャンネル乗っ取りの手口と対策|偽の企業案件メールと動画の原本の残し方

この記事の要点

  • 偽のスポンサー案件で送られたソフトを開くと、ブラウザに残るログインした状態が盗まれ、パスワードも2段階認証も要らずにチャンネルへ入られることがある
  • 案件のメールは、相手の会社の公式サイトや代表電話で別に確かめるまで、添付もリンクも開かない。チャンネルにログインしたパソコンで知らないソフトを動かさない
  • 乗っ取られたら、感染の疑いのない端末からGoogleアカウントを取り戻し、YouTube Studioのクリーンアップ ツールで変更を戻す。サポートは9か月以内の件に限られる
  • 何人かで運営するチャンネルは、パスワードを共有せず「チャンネルの権限」で一人ずつ招待し、役割を仕事に要る分だけに絞る
  • 動画の原本は同じアカウントのドライブだけに置かず、外付けHDDと、焼いて取り出したBD-Rにも残す。焼く前に再生を確かめ、盤は2枚を別々の場所へ

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チャンネルの概要欄に載せた問い合わせ用のアドレスに、海外のソフト会社を名乗るメールが届きます。動画の冒頭で新しい製品を紹介してほしい、報酬はこれまでの案件より高い、試用版と資料はこちらから、という内容です。担当者が資料を開いた数時間後、チャンネルの名前が知らない企業名に変わり、暗号資産の配信が流れ始めます。パスワードは誰にも教えず、2段階認証もオンにしていたのに入られた。そういう乗っ取りがあります。

この手口でねらわれるのはパスワードではなく、パソコンのブラウザに残っている「ログインした状態」の情報です。だから一番の守りは、案件の相手を別の道で確かめるまで添付もリンクも開かないこと、チャンネルにログインしているパソコンで知らないソフトを動かさないことです。乗っ取られたときは、感染の疑いのない端末からGoogleアカウントを取り戻し、YouTubeのヘルプにある手順でチャンネルの変更を戻します。

ただ、取り戻しても元どおりにならない動画が出ることがあります。YouTubeから動画を取り出す手順は自分のYouTubeチャンネルの動画を手元に残すにまとめてありますが、乗っ取りへの備えとして持っておきたいのは、YouTubeから取り出したものより、アップロードする前の原本のファイルです。原本をアカウントの外に置き、1組はディスクに焼いて棚に置く。配信者にも、教室や団体でチャンネルを任された担当者にも、同じことが言えます。

この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります

  1. 偽の企業案件から、チャンネルが他人の手に渡るまで
  2. 公表された例|Googleの2021年の報告と、その後の動き
  3. なぜ2段階認証をしていても入られるのか
  4. 案件のメールが来たら、返事の前に確かめること
  5. YouTubeを名乗る知らせは、YouTube Studioを自分で開いて確かめる
  6. チャンネルを管理するパソコンとブラウザを守る
  7. Googleアカウントの鍵を、取り戻せる形で持っておく
  8. 何人かで運営するチャンネルは、パスワードを渡さずに権限で分ける
残りの15項目を見る
  1. 乗っ取られたと気づいたら、最初の1時間にすること
  2. チャンネルを元に戻す|YouTubeのヘルプにある手順
  3. チャンネルのほかに、同じブラウザにあったものも見直す
  4. 取り戻しても、動画が元どおりになるとは限らない
  5. 残しておく原本は、アップロードしたファイルだけではない
  6. 原本の置き場所を、性質の違う3か所に分ける
  7. 原本をBD-Rに焼いて棚に置く|役立つところと限界
  8. 控えを取ったつもりで、残っていなかった型
  9. 公開してから盤に焼くまでの段取り
  10. 教室や団体の担当者が、引き継ぎのために決めておくこと
  11. 子どもが配信している家庭で、保護者が見ておくこと
  12. 自分で焼くか、店に頼むかの境目
  13. 見る用のDVD・ブルーレイを当社に頼むとき
  14. 今週から始める順番
  15. よくある質問

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偽の企業案件から、チャンネルが他人の手に渡るまで

乗っ取りの流れは、案件の誘い、ファイルを開かせる段階、チャンネルを使われる段階の三つに分かれます。どこで気づけば止められるのかを知るために、それぞれで何が起きるのかを順に見ます。ここに書く流れは、Googleの脅威分析グループが2021年10月に公表した報告と、トレンドマイクロが2021年9月に日本語で公開した解説に沿っています。

誘いは、チャンネルに載せた問い合わせ先に届く

Googleの報告によると、攻撃者はチャンネルに載っているビジネス用のメールアドレスあてに、実在する企業を名乗って動画広告の依頼を送っていました。紹介してほしいと持ちかけた製品は、ウイルス対策ソフト、VPN、音楽プレーヤー、写真編集のソフト、オンラインゲームなどです。文面は相手ごとに作り込まれていて、会社と製品の紹介から始まるのが典型だったとしています。

トレンドマイクロの解説には、動画の前に流す広告1本に2,000米ドル以上を示した例や、製品カタログのような体裁で、受け取った人が好きな製品を選べるように見せかける例が挙がっています。登録者がまだ多くないチャンネルにとって、企業からの依頼はうれしい知らせです。本物の企業案件も同じようにメールで届くので、文面だけで本物と偽物を分けるのは、慣れた人でも簡単ではありません。

試用版や資料を開いたとき、ログインした状態が持ち出される

返事をすると、次に「製品の試用版はこちら」「資料はこちら」とURLが送られてきます。ソフトの配布ページに見せかけたサイトへのリンクは、Googleの報告では、メールのほか、Googleドライブに置いたPDFや、少数ながらGoogleドキュメントで送られていました。Gmailでリンクが止められるようになると、別のメッセージアプリでやり取りしようと誘う動きも見られたとしています。トレンドマイクロは、わざと開けないファイルを送り、直すには別のアプリが要ると言って実行させる例も紹介しています。

送られたソフトを開くと、ブラウザに保存されている情報が集められ、攻撃者に送られます。情報を盗むこの種類のソフトは、情報窃取型マルウェアと呼ばれます。マイクロソフトが2025年5月に公表した解説では、盗まれるものとして、ブラウザに保存したパスワード、ログインした状態を保つ情報(セッションのクッキー)、自動入力のデータ、暗号資産のウォレット、利用者のフォルダにある文書などを挙げています。

クッキーは、建物の受付で一度身分を確かめたあとに渡される入館証のようなものです。ログインのときにパスワードと確認コードで本人だと確かめると、ブラウザにこの情報が残り、次からは入り直さなくても使えます。入館証を写し取られると、受付を通らずに中へ入れてしまいます。Googleの報告は、この手口を、ブラウザに保存されたクッキーを使ってアカウントに入る乗っ取りの技術だと説明しています。多要素認証が広まってログインを破るのが難しくなったことが、この手口が再び目立つようになった理由かもしれない、とも書いています。

乗っ取ったチャンネルで何をされるか

報告によると、乗っ取られたチャンネルは名前を大手のIT企業や暗号資産の会社に似せたものに変えられ、暗号資産の詐欺のライブ配信に使われたり、アカウントを売り買いする場で売られたりしていました。売り値は登録者の数に応じて約3ドルから4,000ドルだったとしています。トレンドマイクロの解説も、攻撃者はまずチャンネル名とパスワードを変え、被害者の多くはログインできなくなって初めて気づく、と書いています。返すことと引き換えにお金を求める例にも触れています。

チャンネルを使われると、損をするのは持ち主だけではありません。登録者が、よく知るチャンネルの配信だと思って詐欺のページを開くおそれがあります。詐欺の配信はYouTubeのポリシーに反するので、チャンネルが停止されることもあります。持ち主の側から見ると、動画を見てもらえなくなり、収益が止まり、信用を取り戻す手間が残ります。ここまでの流れを図にまとめました。

実在の企業を名乗る案件のメール、返事、試用版や資料のリンク、ソフトを開く、ログインした状態の持ち出し、チャンネル名の変更と詐欺の配信、の順に矢印でつながる図
ソフトを開く前に止めれば、後ろの段階は起きない

図の左から、案件の誘いが届いてからソフトを開くまでのあいだで止められれば、後ろの段階は起きません。逆に、ソフトを開いてしまったあとは、気づくのが早いほど被害が小さくなります。守りと、気づいたあとの手順は、この二つの時点に分けて考えます。

公表された例|Googleの2021年の報告と、その後の動き

ここで挙げる事例と数字は、2026年10月時点で、発表した組織の公表資料と報道で確かめられた範囲のものです。数字はそれぞれの発表の時点の値で、後から変わることがあります。報道だけで伝えられているものは、そのように書き分けました。

Googleの脅威分析グループが見た、クリエイターねらいのフィッシング

Googleの脅威分析グループは2021年10月、YouTubeのクリエイターをねらったフィッシングを2019年の終わりから止めてきた、と報告しました。お金を目的としたもので、ロシア語圏の掲示板で集められた請け負いの攻撃者によるものだとしています。盗んだログインの情報を使うこの手口に対して、Googleは、Gmailに届く関連のフィッシングメールを2021年5月以降で99.6%減らしたほか、160万通をブロックし、約6.2万回のフィッシングの警告を表示し、約4,000のアカウントを元に戻したと書いています。

攻撃のために作られたドメイン(サイトの住所)は少なくとも1,011あったとしています。YouTubeはあわせてチャンネルの移し替えの仕組みを強め、乗っ取られたチャンネルの99%以上を見つけて自動で戻したとしています。2021年11月1日からは、収益化しているYouTubeのクリエイターに、YouTube Studioを使うアカウントで2段階認証を有効にすることを求めるとしました。

この報告には、クリエイターへの勧めもあります。ブラウザの安全機能(セーフ ブラウジング)の警告を無視したり切ったりしない、ファイルを開く前にウイルスの検査をする、パスワード付きで圧縮されたファイルはウイルス対策ソフトの検査をすり抜けることがあるので注意する、2段階認証を有効にする、怪しいメールは報告する、という内容です。パソコンの側でできる設定は、あとの節で具体的に書きます。

その後も、形を変えて続いている

2025年3月には、YouTubeの最高経営責任者の姿をAIで作った偽の動画を「非公開」の動画として送り、収益化のポリシーが変わったので確認するように、と偽のログインページへ誘うフィッシングが確認されたと報じられました(BleepingComputer、2025年3月5日)。YouTubeは、YouTubeや社員が非公開の動画で連絡したり情報を伝えたりすることはない、と注意を呼びかけたと伝えられています。暗号資産の詐欺の配信に、乗っ取られたチャンネルが使われた例もあったと報じられました。

情報窃取型マルウェアそのものも、広く出回っています。マイクロソフトは2025年5月、広く使われていた情報窃取型マルウェアの一つについて、2025年3月16日から5月16日までに世界で39万4,000台を超えるWindowsのパソコンの感染を確認したと公表しました。同社は裁判所の命令に基づいて約2,300のドメインを差し押さえ、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)も地域の基盤の停止を支えました。ただ、トレンドマイクロの分析として、数週間で元に近い水準まで立て直されたと報じられています(BleepingComputer、2025年7月)。

国際刑事警察機構(インターポール)は2025年6月、日本を含むアジアと南太平洋の26か国が同年1〜4月に行った取り締まりで、情報窃取型マルウェアに関わる2万を超えるIPアドレスとドメインを止め、32人を逮捕したと発表しました。盗まれた記録が、ランサムウェアやビジネスメール詐欺のきっかけに使われるとも説明しています。大きな組織が被害に遭うときも、最初は1台のパソコンに入り込まれたところから始まった例があります。企業の事例は大手企業のランサムウェア被害に学ぶにまとめました。

国内でも、警告を装うメールから乗っ取られた例が報じられた

国内では、2019年の秋ごろから乗っ取りを自ら報告するYouTuberがいたと、ITmedia NEWSが2020年2月の寄稿記事で伝えています。紹介されたのは、別の端末からログインがあったと知らせる警告を装ったメールから、偽のページへ誘う型でした。乗っ取られたチャンネルには、テレビ番組やアニメの映像が権利者の許可なく上げられていたとしています。他人の映像を上げられれば、著作権の違反として、持ち主の知らないところでチャンネルに警告が付くおそれもあります。

国内の動きとしては、IPAが2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の個人編(順位は付けず五十音順)に、「インターネット上のサービスへの不正ログイン」が11年続けて入っています。国内のYouTubeチャンネルの乗っ取りが年に何件あるかを示す公的な統計は、調べた範囲では見つかりませんでした。件数が分からないからといって、ねらわれていないとは言えません。家庭や小さな職場で何から手を付けるかは情報セキュリティ10大脅威2026を家庭と小さな職場で読むで扱っています。

なぜ2段階認証をしていても入られるのか

2段階認証は、ログインの瞬間に「パスワードを知っている人」と「登録した電話や端末を持っている人」が同じかを確かめる仕組みです。パスワードだけが漏れた場合には、ここで止まります。ところが、ログインが済んだあとにブラウザが持っている入館証、つまりクッキーを盗まれると、相手はログインの瞬間を通らずに済みます。確かめる仕組みがどれだけ強くても、確かめる場面そのものが来ません。2段階認証で止まるかどうかは、ここで分かれます。

だからといって、2段階認証が役に立たないわけではありません。偽のログインページにパスワードを入れてしまった、よそで漏れたパスワードを使い回していた、という場合には、2段階認証がそこで止めます。マイクロソフトも情報窃取型マルウェアへの対策として、偽のサイトに強い多要素認証を挙げています。守りは一つで足りるものではなく、何が何を止めるかを分けて考えると、抜けているところが見えてきます。

パスワードだけ、SMSやアプリの確認コード、パスキー、知らないソフトを開かないこと、の四つが、偽のログイン画面とログインした状態の盗用をそれぞれ止められるかを比べた表
ログインした状態の盗用は、ログインの仕組みでは止まらない

図のとおり、ログインした状態を盗まれる手口を止めるのは、ログインの仕組みの強さではなく、パソコンにマルウェアを入れないことです。知らないソフトやファイルを開かない、OSとブラウザを新しく保つ、ウイルス対策の機能を切らない。地味な三つですが、ここが抜けていると、ほかの設定をいくら固めても入られます。

同じ理由で、パスワードを変えただけでは片付かないこともあります。マルウェアが残ったパソコンでログインし直せば、新しくできたログインした状態も、また持ち出されるからです。取り戻したのに数日でまた入られた、というときは、まずパソコンを疑います。手続きを感染の疑いのない端末で行い、疑わしいパソコンは検査か入れ直しが済むまで管理に使わない。この順番が大切です。

パスキーで止まるもの、止まらないもの

パスキーは、パスワードの代わりに、スマホの顔認証や指紋、画面のロックの暗証番号でログインする方式です。鍵の片方は自分の端末に残り、サービスの側には対になる鍵だけが登録されます。鍵は本物のサイトの住所とひもづいているので、見た目がそっくりの偽のログインページでは使われません。IPAも、パスキーを使えるサービスでは使うよう勧めています。

ただし、パスキーが守るのはログインの瞬間です。感染したパソコンからログインした状態を持ち出されれば、パスキーでも止まりません。Googleアカウントのパスキーの作り方と、2段階認証が破られる型はApple・Googleアカウントを乗っ取られたら写真と動画はで詳しく書きました。

案件のメールが来たら、返事の前に確かめること

返事を書くこと自体で乗っ取られるわけではありません。危ないのは、送られてきたファイルとリンクを開く段階です。だから、案件のメールが届いたら、まず開かずに相手を確かめ、本物だと分かってから話を進める、という順番を決めておきましょう。急ぎの案件ほど、この順番を省きたくなります。下の確認項目を、問い合わせのアドレスを見る人の手元に置いておくと、迷ったときの目安になります。

差出人のドメイン、会社の窓口への確認、急がせる内容、添付とリンク、パスワード付きの圧縮ファイル、別のアプリへの誘い、公式の配布元、警告の扱い、の八つの確認項目の一覧
一つでも当てはまれば、開かずに手を止めて責任者に回す

相手の会社を、メールとは別の道で確かめる

確かめる道は、メールに書かれていないものを使います。会社の名前で自分で検索して公式サイトを開き、そこに載っている問い合わせ窓口や代表の電話に「この名前の担当者から、この案件の連絡をしていますか」と尋ねます。トレンドマイクロの解説も、スポンサーを名乗る会社の名前とメールアドレスをよく確かめること、会社の所在地と連絡先の電話番号を相手に確かめることを勧めています。広告代理店やキャスティングの会社を通した話なら、その会社の窓口に確かめます。

検索するときは、結果の上のほうに出る広告の表示にも気をつけます。有名なソフトの名前で検索した人を、広告から偽の配布ページへ誘う手口が、マイクロソフトなどから報告されています。公式サイトかどうかは、アドレス欄のドメインが、その会社が自社の製品やニュースで使っているものと同じかで確かめます。ブックマークや、前から知っている会社なら過去の正式な書類に書かれたアドレスから開くと、迷いが減ります。

問い合わせの文面は短くて構いません。「御社の○○様という方から、YouTubeでの製品紹介のご依頼をメールでいただきました。御社からのご依頼で間違いないか、確かめさせてください。届いたメールの差出人は△△です」。差出人のアドレスと、届いた日時を添えると、相手の会社も調べやすくなります。返事が来るまでは、届いたメールには何も返さず、添付も開かずに置いておきます。名前を使われた会社にとっても、偽の依頼が出回っていると知るきっかけになります。

差出人のアドレスも見ます。会社を名乗っているのに無料のメールサービスのアドレスだった、会社のドメインと一文字違う、署名の会社名とアドレスのドメインが合わない、という場合は、それだけで手を止める理由になります。ただ、逆は言えません。取引先のメールアカウントそのものが乗っ取られていれば、本物のアドレスから偽の依頼が届くこともあります。アドレスが正しく見えても、ファイルを開く前の確かめは省きません。

ファイルは開かず、ソフトは公式の配布元から自分で入れる

確かめが済むまで、添付ファイルも、ダウンロードのリンクも開きません。相手が本物だと分かったあとも、試用のソフトはメールのリンクからではなく、その会社の公式サイトか、公式のアプリストアから自分で入れます。マイクロソフトやGoogleの報告では、偽の配布ページの中に、本物のソフトのサイトをまねて作られたものがありました。メールの中のリンクが正しいかを見分けるより、自分で公式のサイトを開くほうが確かです。

手を止める合図も、いくつか決めておきましょう。パスワード付きの圧縮ファイルが届き、パスワードは別のメールで送る、と言われた。開けないファイルが届き、直すにはこのアプリを、と言われた。ロボットでないことの確認などを装った画面が出て、自分で何かの操作をするよう求められた。ブラウザやウイルス対策の警告が出たのに、気にせず開くよう言われた。どれか一つに当てはまったら、その時点で開くのをやめます。

動画の素材や台本として受け取るものは、ふつうは動画、画像、文書のファイルです。動画に見せかけた実行ファイルを渡す手口も報告されているので、Windowsではファイルの拡張子が見えるようにしておきます。マイクロソフトのヘルプでは、Windows 11はエクスプローラーで[表示]から[表示]の[ファイル名拡張子]を選びます。「.exe」は実行可能なプログラムのファイルです。素材のはずのファイルの名前が「.exe」で終わっていたら、それは素材ではありません。

やり取りの場をメールから別のメッセージアプリへ移そうと誘われるのも、合図の一つです。Gmailでリンクを止められた攻撃者がほかのアプリへ誘っていたことも、Googleの報告に書かれています。本物の会社でもチャットでのやり取りを好むことはありますが、会社の窓口で案件を確かめる前に場所だけ移すのは、確かめる道を減らすことになります。案件の連絡は、確かめが済むまで最初のメールの上で続けます。

製品を試さないと紹介の動画が作れない、という場合もあります。そのときは、チャンネルにも、仕事のメールにもログインしていない端末で試すと、万一のときに持ち出されるものを減らせます。ただし、その端末の中にある情報は盗まれますし、感染に気づかないまま別の作業に使えば同じことです。試し終えたら、その端末でふだんのアカウントにログインする前に、ウイルスの検査を済ませます。

YouTubeの「クリエイター パートナーシップ」で届く問い合わせ

YouTubeには、ブランドが案件に合うクリエイターを探して依頼できる「クリエイター パートナーシップ」という仕組みがあります。ヘルプによると、ブランドの検索にチャンネルが出るための条件は、18歳以上であること、YouTubeパートナープログラムに参加して広告の収益分配の条件を満たしていること、使える国や地域に拠点があること、有効なコミュニティ ガイドラインの違反警告が無いことで、使える国と地域の一覧に日本も入っています。問い合わせの届き方は地域で違い、一部の地域ではYouTube Studioの[収益化]タブに[クリエイター パートナーシップ]タブが自動で表示され、その他の地域ではメールかソーシャル ハンドル経由だけだとしています。2026年10月時点で日本から開いたヘルプの案内も、問い合わせはメールかソーシャル ハンドルで届く、というものでした。

つまり、この仕組みを通った本物の依頼も、ふつうの案件と同じようにメールで届くことがあります。メールに仕組みの名前が書かれていることは、本物だと決める理由になりません。Studioのタブで受けられる地域でも、相手が外部のファイルやソフトを送ってくるなら、確かめ方は上と同じです。仕組みの中で届いたことだけを理由に、開いてよいとは考えません。

YouTubeを名乗る知らせは、YouTube Studioを自分で開いて確かめる

企業を名乗る案件のほかに、YouTubeそのものを名乗る知らせもあります。収益化のポリシーが変わったので確認してほしい、違反の警告が出ているので期限までに手続きを、という形です。2025年3月に報じられた例では、非公開の動画で偽の発表を見せ、偽のログインページへ誘っていました。YouTubeは、YouTubeや社員が非公開の動画で連絡してくることはない、と呼びかけたと伝えられています。

こうした知らせには、一つの決まりで備えられます。知らせの中のリンクやボタンは使わず、ブックマークかアプリからYouTube Studioを自分で開き、同じ知らせがそこにあるかを見ることです。違反の警告が付いているかどうかは、YouTube Studioのダッシュボードで確かめられると、YouTubeのヘルプも案内しています。Studioに何も出ていなければ、メールの知らせは偽物の可能性が高いと考えられます。

ログインを求める画面が出たときは、ブラウザのアドレス欄を見ます。パスワードや確認コードを入力するのはGoogleのログインのページ(accounts.google.com)だけだと、Googleのヘルプは書いています。パスキーを登録してあれば、住所の違う偽のページではパスキーが使われないので、ここで止まります。偽のページだと気づいたら、何も入力せずに閉じ、そのメールはGmailの「フィッシングを報告」で知らせます。

急ぐよう求める知らせほど、確かめに時間をかけます。期限が迫っていると書かれていても、YouTube Studioを開いて確かめるのに5分もかかりません。チームで運営しているなら、YouTubeを名乗る知らせが来たときに誰がStudioを確かめるかも、担当として決めておきます。

チャンネルを管理するパソコンとブラウザを守る

YouTube StudioやGoogleアカウントにログインしたままのパソコンは、チャンネルの合鍵を入れた引き出しのようなものです。このパソコンには、出どころのわからないソフトを入れない、という決まりにしましょう。無料の動画編集ソフトやAIで動画を作るサイトを装って、情報窃取型マルウェアを配る手口も報告されています。編集ソフトは公式の配布元から入れ、手口の例は偽の動画編集ソフト・AI動画サイトに注意で紹介しています。

OSとブラウザの更新も止めません。Windows 10のサポートは2025年10月14日に終わり、個人向けの拡張セキュリティ更新(ESU)は2027年10月12日までです。編集用の古いパソコンをWindows 10のまま使っているなら、ESUの期限と、買い替えか移行の時期を決めておきます。更新が止まったパソコンで管理の作業を続けるのは、避けたほうが安全です。

Windowsは「Windows セキュリティ」で、オフライン スキャンまで

Windowsには、標準のウイルス対策として「Windows セキュリティ」が入っています。マイクロソフトのヘルプでは、「ウイルス & 脅威の防止」から「スキャン オプション」を開くと、クイック スキャン、フル スキャン、カスタム スキャン、「Microsoft Defender ウイルス対策 (オフライン スキャン)」を選べます。画面の表記は、Windowsのバージョンで少しずつ違います。

オフライン スキャンは、パソコンを再起動し、Windowsを読み込む前に検査するものです。ヘルプは、居座るマルウェアが自分を隠したり守ったりしにくくなると説明し、感染が心配なときに使うよう案内しています。始めるとパソコンが再起動するので、開いているファイルを保存してから始めます。検査が終わると、パソコンは自動でもう一度再起動します。案件のファイルを開いてしまった、と気づいたときは、パスワードを変える前にここまで済ませます。

Chromeは「保護強化機能」を選ぶか決める

Chromeのセーフ ブラウジングを強い設定にすることは、Googleの2021年の報告でも勧められていました。Chromeのヘルプでは、「設定」の「プライバシーとセキュリティ」から「セキュリティ」を開くと、「保護強化機能」「標準保護機能」「保護なし(非推奨)」から選べます。保護強化機能をオンにすると、危険なおそれのあるサイト、ダウンロード、拡張機能に警告が出て、漏えいしたパスワードを使ったときにも知らせます。

一方で、保護強化機能は、開いたサイトのURLやページの内容の一部などをGoogleのセーフ ブラウジングに送る仕組みです。管理に使うパソコンでは守りを優先して選ぶ、私用のパソコンは標準のままにする、というように、パソコンの役割で分けて決める方法もあります。使っていない拡張機能を外しておくことも、あわせて済ませておきます。

Macは、アプリの入手元の設定を確かめる

Macでは、「システム設定」の「プライバシーとセキュリティ」にある「ダウンロードしたアプリケーションの実行許可」で、「App Store」か「App Storeと確認済みの開発元からのアプリを許可」を選べます。Appleのヘルプは、Appleの公証を受けたアプリは、Appleの確認で悪質なソフトが見つからなかったものだと説明しています。開発元を確かめられないアプリを開こうとすると、警告が出ます。

案件のソフトでこの警告が出たら、相手に言われても、許可して開く操作はしないようにしましょう。警告をよけて開く方法は、本物のソフトでも案内されることがあるので、相手にとっては頼みやすい操作です。Macだから大丈夫、とは考えず、出どころが確かめられないものは開かない、という決まりは、Windowsと同じにしておきましょう。

スマホだけで運営しているなら

撮影も編集もアップロードもスマホで済ませている人もいます。スマホでも、守る点は同じです。アプリは公式のアプリストアからだけ入れ、メールやSMS、メッセージのリンクからは入れません。フィッシング対策協議会は2026年9月、実在の会社をかたるメールやSMSから偽のサイトへ誘い、不正なAndroid用のアプリを入れさせる手口について緊急の情報を出し、アプリは公式のストアか正規のサイトのリンクから入れるよう求めました。

iPhoneなら安全、とも言えません。不正なアプリを入れさせる型はAndroidが中心ですが、偽のログインページに入力させる型は、どちらのスマホにも届きます。スマホはGoogleアカウントの2段階認証の確認に使う端末でもあることが多いので、OSの更新を止めず、画面のロックを設定し、YouTube Studioのアプリも公式のストアから入れたものを使います。

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Googleアカウントの鍵を、取り戻せる形で持っておく

チャンネルを取り戻す手続きは、Googleアカウントを取り戻すところから始まります。そのとき、どの鍵を持っているかで、かかる時間が大きく変わります。先に用意しておきたいのは、パスキー、印刷したバックアップ コード、今使っている再設定用の電話番号とメールアドレスの三つです。バックアップ コードは、8桁のコードが10個で1組になっていて、一つずつ1回だけ使えます。新しい組を作ると古い組は使えなくなるので、作り直したら紙も差し替えます。

チャンネルには、ほかのアカウントで使っているものとは別のメールアドレスを使うよう、YouTubeのヘルプは勧めています。ログインに使うアドレスを、問い合わせの窓口として概要欄に載せるアドレスとも分けておけば、案件のメールが届く受け箱と、鍵にあたるアカウントが別になります。ログイン用のアドレスを外に出さないだけでも、ねらわれる場所が一つ減ります。

再設定用のメールアドレスと電話番号は、ログインできなくなったときに取り戻すための連絡先です。団体のチャンネルなら、担当者一人の私用のアドレスではなく、事務局の二人以上が読めるアドレスにしておくと、担当者が休んでいても手続きを進められます。電話番号を担当者の携帯電話にしている場合は、担当が替わる日に、新しい番号へ書き換えるのを忘れないようにします。

登録者が多く、ねらわれやすいチャンネルなら、Googleの「高度な保護機能プログラム」も選べます。ヘルプによると、ログインにパスキーかセキュリティ キーが必要になり、ほかの会社のアプリがデータに触れる範囲の制限、怪しいダウンロードの確認の強化、アカウントの復元の手続きの強化が加わります。セキュリティ キーを使うなら、予備のキーも用意するよう勧めています。復元には本人確認が要り、数日かかることがあるので、鍵を無くしたときの手間は増えます。

パスキーの作り方、バックアップ コードの置き場所、家族の分の点検は、先に挙げたApple・Googleアカウントの記事に手順を書いてあります。運営の面では、鍵の紙を誰が持ち、どこに置くかを、人が入れ替わっても分かる形で書き残しておくことが、次の節の権限の話につながります。

何人かで運営するチャンネルは、パスワードを渡さずに権限で分ける

教室や団体、事務所のチャンネルでは、動画を上げる人、字幕を付ける人、数字を見る人が分かれていることがよくあります。一つのアカウントのパスワードをみんなで使い回していると、誰か一人のパソコンが感染しただけで、チャンネル全体に入られます。「チャンネルの権限」という機能を使えば、パスワードを渡さずに、一人ひとりが自分のGoogleアカウントで作業できます。ヘルプも、パスワードなどの大事なログイン情報を共有するより安全だと説明しています。

招待は、YouTube Studioにログインし、左の「設定」から「権限」を開いて「招待」を選び、相手のメールアドレスを入れて、「アクセス」の一覧から役割を選び、「完了」を押します。送った招待は30日で期限が切れます。ブランド アカウントで作ったチャンネルの場合は、先にチャンネルの権限を使う形へ切り替えてから招待する、とヘルプにあります。

役割は、仕事に要る分だけにする

ヘルプが挙げる役割は七つです。所有者はすべての操作ができ、所有者の役割はほかの人に譲れません。管理者は、権限の管理、チャンネルの情報の編集、動画などの作成・公開・削除ができますが、チャンネルの削除はできません。編集者は情報の編集と動画のアップロード・公開ができ、チャンネルや公開済みの動画の削除、権限の管理はできません。編集者(制限付き)は、編集者と同じで収益のデータを見られない役割です。

残りは、字幕の追加・編集・公開・削除ができる字幕編集者、チャンネルの詳細と収益のデータを見られる閲覧者、収益のデータを見られない閲覧者(制限付き)です。動画を上げる係は編集者、字幕の係は字幕編集者、会計や報告のために数字を見る人は閲覧者、と仕事に合わせて割り振ります。管理者は、権限を出し入れする責任者に限ります。

役割を小さくしておくと、誰かのアカウントが乗っ取られたときの被害も小さくなります。編集者の権限しか持たない人のアカウントが乗っ取られても、ほかの人の権限を外したり、公開済みの動画を消したりはできません。全員を管理者にしておくと、どの一人が入られても、チャンネルの出入りを握られます。

辞めた人や外注先の権限を外す日を決める

外すときは、YouTube Studioの「設定」から「権限」を開き、外したい人の役割の横の下向きの矢印を押して、「アクセス権を削除」を選びます。役割を小さく変えることも、同じ場所でできます。編集を外の人に頼んだ場合は、納品が済んだ日に外す、と依頼のときに決めておきます。卒業や異動、退職のときも同じです。

乗っ取られたあとの対策として、YouTubeのヘルプは、承認したアカウントだけが、チャンネルの管理に必要な範囲の権限を持っているかを確かめるよう書いています。同じ点検は、何も起きていないうちから始められます。年度の初めや四半期ごとに権限の一覧を開き、今いる人と役割が合っているかを見る、という日を予定に入れておくと、権限が残ったままの人がいなくなります。

事務所で、いくつものチャンネルを預かるとき

マネジメントの事務所や制作会社が、何人かのクリエイターのチャンネルの運営を手伝う場合もあります。このとき、いくつものチャンネルの権限が、事務所の担当者のアカウントに集まります。担当者一人のパソコンが感染すると、預かっている全部のチャンネルに入られるおそれがある、ということです。担当者のアカウントは、パスキーを使い、管理に使うパソコンを決めて、ほかの作業と分けます。

チャンネルの所有者はクリエイター本人のままにし、事務所の担当者はチャンネルの権限で管理者や編集者として招待してもらう形にすれば、契約が終わったときに権限を外すだけで済みます。どの担当者が、どのチャンネルで、どの役割を持っているかを一覧にし、担当替えや契約の終了のたびに直します。案件の問い合わせを事務所でまとめて受けるなら、新しい相手から届いた添付は、チャンネルにログインしているパソコンでは開かないという決まりを、全員でそろえます。

IPAが2026年3月に公開した「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版は、基本の対策を「情報セキュリティ6か条」にまとめ、OSやソフトを最新にすること、パスワードを強くすること、共有設定を見直すこと、バックアップを取ることなどを挙げています。権限の見直しと原本の控えは、この6か条を動画の仕事に当てはめたものとして進められます。

乗っ取られたと気づいたら、最初の1時間にすること

YouTubeのヘルプ「ハッキングされた YouTube チャンネルを復元する」は、乗っ取りの兆しとして、覚えのない変更と、自分がアップロードしていない動画を挙げています。覚えのない変更の例は、プロフィール写真、説明、メールの設定、AdSenseの関連付け、送った覚えのないメッセージです。ほかにも、チャンネル名が変わっている、知らないライブ配信が始まっている、登録者から「配信が変だ」と連絡が来る、ログインできない、という形で気づくことがあります。

Googleからセキュリティに関する知らせのメールが届いて気づく場合もありますが、そうした知らせを装ったフィッシングもあります。知らせのメールのリンクは使わず、YouTube Studioや、ブラウザに自分で入れたGoogleアカウントの公式のアドレスから状態を確かめます。どの順で進めるかは、Googleアカウントにログインできるかどうかで分かれます。

Googleアカウントにログインできるか、再設定用の連絡先が使えるか、アカウント復元で戻れたか、の三つの問いで、パスワードの変更、再設定、チャンネルの確認、再試行のどれに進むかを示す図
どの道でも、手続きは感染の疑いのない端末で行う

感染したかもしれないパソコンでは、手続きをしない

最初に決めるのは、どの端末で手続きをするかです。急ぐ気持ちは分かりますが、ここは先に決めます。案件のファイルやソフトを開いたパソコンでは、マルウェアがまだ動いているかもしれません。そのパソコンで新しいパスワードを入れると、それも盗まれるおそれがあります。手続きは、そのファイルに触れていないスマホや別のパソコンで行います。疑わしいパソコンは、LANケーブルを抜くか、Wi-Fiを切って、ネットワークから外しておきます。

Googleのヘルプ「ハッキングまたは不正使用された Google アカウントを保護する」は、有害なソフトを取り除くために、信頼できるウイルス対策ソフトを入れて動かすこと、パソコンを出荷時の状態に戻してOSを入れ直す方法もあることを書いています。入れ直すとパソコンの中のデータは消えます。原本がそのパソコンにしか無い場合は、あとの節に書くように、動画や画像のファイルだけを選んで別の場所へ移してから進めます。

ログインできるなら、パスワードを変えて、ほかの端末を外す

ログインできるうちに、パスワードを変えます。Googleアカウントの「セキュリティとログイン」から、「Google にログインする方法」の「パスワード」に進み、新しいパスワードにします。Googleのヘルプによると、パスワードを変えるか再設定すると、ログインのときの本人確認に使う端末など一部を除いて、すべての端末でログアウトした状態になります。盗まれたログインした状態を使わせないためにも、ここを最初に済ませます。

続けて、「最近のセキュリティ イベント」で「セキュリティ イベントを確認」を開き、覚えのない操作には「いいえ、リクエストしていません」を選びます。「お使いのデバイス」の「デバイスを管理」で、覚えのない端末が無いかを見ます。再設定用の電話番号とメールアドレスが自分のものか、アカウントにアクセスできるアプリに覚えのないものが無いか、2段階認証プロセスがオンかも確かめます。攻撃者は、戻されにくいように連絡先を書き換えることがあります。

チャンネルに管理者やほかの所有者がいるなら、その人たちにも同じ手順でGoogleアカウントを守ってもらいます。ヘルプの手順にも、そう頼むことが入っています。入られたのが自分のアカウントでなくても、入られた人の権限でできることは全部できてしまうので、全員が終わるまでは片付いたと考えません。

ログインできないなら、アカウント復元のページで答える

パスワードや再設定用の連絡先を変えられてログインできないときは、Googleのアカウント復元のページで、聞かれる質問にできるだけ答えます。どの質問にも答え、分からなくても一番近いと思う答えを入れる。ふだん使っている端末とブラウザで、自宅や職場などいつもの場所から試す。覚えている一番新しいパスワードを入れる。Googleのヘルプが勧めているのは、この三つです。「確認できませんでした」と出ても、もう一度試せます。

Googleが、パスワードや確認のコードをメールや電話で尋ねることはありません。入力するのは、Googleのログインの公式のページだけです。乗っ取りに気づいて慌てているところへ、手続きを手伝うという連絡が来ることもあります。そうした連絡には応じないようにしましょう。AppleとGoogleのアカウントの戻し方の細かい手順は、前に挙げたApple・Googleアカウントの記事にまとめています。

登録者と関係先には、別の場所から知らせる

チャンネルで詐欺の配信が流れているあいだ、登録者はそれを本物だと思って見るおそれがあります。ほかのSNSのアカウントや公式サイトなど、乗っ取られていない場所で、チャンネルに入られたこと、配信や概要欄、コメントのリンクを開かないでほしいこと、お金や暗号資産を送らないでほしいことを知らせます。教室や団体のチャンネルなら、会員や保護者への連絡の手段で伝えます。

進めている案件の取引先にも連絡します。攻撃者がチャンネルの名前で取引先へ偽の連絡を送ることもあるからです。名前を使われた会社に知らせるかどうかは、状況で決めます。知らせの文面には、いつ気づいたか、いま何をしているか、いつ頃また連絡するかを入れ、原因について分からないことは書きません。

チャンネルを元に戻す|YouTubeのヘルプにある手順

YouTubeのヘルプは、取り戻す手順を三つに分けています。「YouTube チャンネルに関連付けられているハッキングされた Google アカウントを復元して保護する」、チャンネルに加えられた意図しない変更をすぐに戻す、「Google アカウントへの不正アクセスのリスクを軽減する」の三つです。二つめの段階で変更を急いで戻すのは、そのままにしておくとポリシーの違反として扱われるおそれがあるからです。2026年10月時点では、このページに「ハッキングされたチャンネルのアシスタントとチャットする」というリンクもあります。

YouTube Studioのクリーンアップ ツールで、変更をまとめて見る

Googleアカウントを取り戻したら、ヘルプ「ハッキングされた YouTube チャンネルをクリーンアップする」にあるクリーンアップ ツールを使います。使えるのはチャンネルの所有者と管理者だけで、パソコンから開きます。「審査を開始」を押すと、チャンネルで見つかった怪しい変更が並び、自分がした変更か、そうでないかを選んでいきます。全部自分の操作だったなら「すべての変更は私が行ったものです」を選びます。

選び終えて送信すると、変更は数時間のうちに反映されます。自分がしたものとして承認した変更はあとから直せますが、自分がしていないとした変更は元に戻せません。送ったあとの審査は、メールに書かれた日(通常は送信から30日後)まで編集できます。ツールの知らせが出るのは、チャンネルで怪しい動きが見つかった場合だけです。ツールが使えないときは、次の手動の手順で同じ点を見ていきます。

手動で戻すときに見る場所

自分がアップロードしていない動画は削除します。その動画に違反警告や申し立てが付いている場合は、消す前にYouTubeに問い合わせるようヘルプは案内しています。知らない人に権限が付いていれば、YouTube Studioの権限から「アクセス権を削除」し、ブランド アカウントならそのアカウントから外します。チャンネル名、ハンドル、プロフィール写真、バナー画像が変えられていたら元に戻します。ヘルプは、これらが変えられたままだと商標権の侵害でチャンネルが永久に停止されることがあるので、できるだけ早く戻すよう書いています。

そのほか、チャンネルから投稿された最近のコメント、再生リスト、カスタム サムネイル、登録しているチャンネル、AdSenseやコンテンツ マネージャーの設定を確かめます。攻撃者が動画のプライバシー設定を変えて、既存の動画が見えなくなっている場合もあるので、公開の設定も一本ずつ見ます。最後に、YouTube Studioのダッシュボードで、コミュニティ ガイドラインの違反警告が新しく付いていないかを確かめます。

元に戻す作業でいちばん手間取るのは、元の状態を思い出すことです。チャンネル名の表記、ハンドル、プロフィールとバナーの画像、概要欄の文、載せていたリンクを、ふだんからファイルで控えておくと、戻す作業が早く済みます。サムネイルの画像も同じです。控えの作り方は、後ろの「原本」の節でまとめて書きます。

停止されたとき、サポートに頼むとき

乗っ取られたあとにチャンネルが停止された場合、ヘルプによると、Googleアカウントを取り戻すと、停止への再審査の請求のしかたを書いたメールが届きます。アカウントを取り戻す前に再審査を請求すると、認められないことがあるとしています。慌てて先に請求せず、アカウントを取り戻してから、届いたメールの案内に沿って進めます。

YouTubeパートナープログラムに参加しているクリエイターなど条件を満たす人は、Googleアカウントを取り戻したあと、クリエイター サポートに連絡できます。連絡できない場合は、Xの@TeamYouTubeで助けを求められます。期限にも気をつけましょう。ヘルプには、サポートは過去9か月以内に起きたハッキングと思われる件に限られ、9か月以上前の問題ではチャンネルを戻せないことがある、と書かれています。

更新を止めた古いチャンネルや、前の担当者が作ったまま誰も開いていない団体のチャンネルは、乗っ取られても気づくのが遅れます。9か月が過ぎてから気づけば、戻せないかもしれません。使っていないチャンネルも、月に一度は誰かがYouTube Studioを開いて、名前と動画の一覧に変わりが無いかを見る、と決めておきます。

記録の残し方と、相談する窓口

手続きと並行して、記録を残します。残すのは、気づいた日時、案件のメールそのもの(消さずに残す)、別のアプリでのやり取り、開いてしまったファイルの名前と届いた日時、変えられたチャンネル名や配信のタイトルの画面、登録者から届いた知らせ、パスワードを変えた日時、GoogleとYouTubeから届いたメールです。開いたファイルそのものは、もう一度開かないようにします。

あとで警察や取引先に説明するときに使えるよう、出来事を時刻の順に並べたメモを作っておくと話が早く進みます。列は、日時、起きたこと、操作した人、使った端末、残した画面のファイル名、の五つで足ります。「10月5日21時10分、チャンネル名が変わっているのに気づく(自分、スマホ、画面1.png)」のように、一行に一つずつ書きます。覚えているうちに書くのが一番正確です。

記録は、乗っ取られたアカウントのメールやドライブの中ではなく、紙のメモか、感染していない別の端末に置きます。画面の撮り方や、メールをファイルで残す方法は動画を証拠として保存する方法が参考になります。記録をディスクに焼いて控える場合も、焼く前のファイルが開けるかを確かめてからにします。

Gmailに届いた偽の案件のメールは、メールを開き、返信のアイコンの横の「その他」から「フィッシングを報告」を選ぶとGoogleに報告できます。設定や手続きのしかたで困ったときは、IPAの個人向けの「情報セキュリティ安心相談窓口」があります。チャンネルを返す代わりにお金を求められた、登録者が詐欺の配信でお金をだまし取られた、という場合は、警察の相談専用電話の#9110か、最寄りの警察署に記録を持って相談します。お金を求められても、払う前に相談しましょう。

チャンネルのほかに、同じブラウザにあったものも見直す

情報窃取型マルウェアが持ち出すのは、YouTubeのログインした状態だけではありません。マイクロソフトの解説が挙げるとおり、ブラウザに保存したパスワード、ほかのサイトのログインした状態、自動入力のデータ、利用者のフォルダにある文書も対象です。チャンネルを取り戻したら、感染したパソコンのブラウザに何が入っていたかを思い出し、順に手当てします。

先に変えるのは、ほかのアカウントを取り戻すのに使うメールのアカウントのパスワードです。次に、ネットバンキング、クラウドの保存先、ほかのSNS、買い物のサイトと、被害が大きいものから変えていきます。変える作業は、感染の疑いのない端末で行います。ブラウザに保存してあったパスワードの一覧を見られるなら、それを順番の表として使えます。同じパスワードを別のサイトで使い回していたなら、そちらも変えます。

自動入力にカードの番号を保存していたなら、カードの利用明細に覚えのない請求が無いかを見ます。IPAは、カードの情報を入力してしまったときはカード会社に相談するよう案内しています。暗号資産のウォレットを使っていたなら、その事業者の案内に従います。お金に関わるものは、気づいた日のうちに連絡します。

見直しが済んだら、ブラウザに預けておくものを減らします。使っていないサービスの保存済みのパスワードは消し、カードの番号は自動入力に残さない、という選び方もあります。管理に使うパソコンのブラウザには、チャンネルの管理に要るアカウントだけでログインし、私用の買い物やゲームのアカウントは別の端末で使う。盗まれたときに持ち出されるものは、ふだん預けているものの分だけです。

団体や事務所のパソコンだった場合は、利用者のフォルダに会員の名簿や取引先の資料が無かったかも確かめます。個人情報保護法では、不正の目的による漏えいやそのおそれがある場合などに、事業者が個人情報保護委員会へ報告し、本人へ知らせることが求められ、報告は知った時点から概ね3〜5日以内の速報と、原則30日以内(不正の目的の場合は60日以内)の確報に分かれます。当てはまるかの判断は、委員会の案内や専門家に確かめます。初動の流れは紛失・漏えいのときの報告義務でも扱っています。

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取り戻しても、動画が元どおりになるとは限らない

チャンネルを取り戻せても、乗っ取られていたあいだに起きたことが全部なかったことになるとは限りません。「動画の置き換えまたは削除」というYouTubeのヘルプには、動画を削除すると完全に削除される、とあります。そのうえで、あとでまた見たい動画はバックアップを保存しておくよう勧めています。攻撃者に消された動画が戻るかどうかについて、ヘルプには戻ると約束する記述は見当たりません。戻るかどうかは件ごとに違う、と考えておくのが無難です。

9か月の期限を過ぎて気づいた場合や、停止の再審査が認められなかった場合は、チャンネルそのものに入れなくなります。そうなると、YouTube Studioからのダウンロードも、Googleのデータのエクスポートも使えません。YouTubeから動画を取り出す方法は、チャンネルが手元にあるあいだしか使えない、ということです。

取り出せたとしても、それはYouTubeが配信のために変換したあとのファイルで、アップロードした原本とは同じではありません。画質の差の考え方はYouTubeの1080pとブルーレイの1080pは同じ画質かで説明しています。新しいチャンネルで上げ直すにも、DVDやブルーレイにして手元で見られるようにするにも、元にするのは原本のほうがよいのです。

もう一つ見落としやすいのが、原本の置き場所です。編集した動画をチャンネルと同じGoogleアカウントのドライブに置いていると、そのアカウントに入られた時点で、原本も相手の手の届くところにあります。ゴミ箱から戻せる期間は、ドライブで30日です。ただ、クラウドの「戻せる」は同じアカウントの中の仕組みで、アカウントごと握られれば、ゴミ箱の中も相手が触れます。原本の少なくとも1組は、チャンネルのアカウントの外に置いておきましょう。

取り戻したら、原本のフォルダの一覧と、YouTube Studioの動画の一覧を見比べます。日付とタイトルでフォルダを作ってあれば、どの動画が消えたか、どの動画が非公開に変えられたかを、一本ずつ突き合わせて見つけられます。消えていた動画は、原本から上げ直せます。一覧が無いと、何が無くなったのかを思い出すところから始めることになります。

残しておく原本は、アップロードしたファイルだけではない

ここでいう原本は、YouTubeにアップロードした完成版の動画ファイルが中心です。撮影したままの素材と編集のプロジェクトまで全部残せれば理想ですが、量が多くなります。まず完成版を必ず残し、作り直す見込みのある作品や、記録として大事な回だけ素材も残す、という順で考えると続けやすくなります。

完成版と一緒に残しておきたいものもあります。サムネイルの画像、タイトルと説明文とタグの文、字幕のファイル、使った音楽や素材のライセンスの控え(購入の記録や、その時点の利用条件)、企業案件なら契約や広告の表記の取り決めです。チャンネル全体については、チャンネル名とハンドルの表記、アイコンとバナーの画像、概要欄の文を控えます。元の状態へ戻すときにも、新しいチャンネルで出し直すときにも、これがあれば作業が早く済みます。

置き方は、公開日とタイトルでフォルダを作り、その中に一本分の一式をまとめる形が分かりやすいでしょう。日付を先頭に付けると、並べたときに公開順になります。ハッシュの一覧(あとで説明する、ファイルが変わっていないかを確かめるための表)は、年ごとのフォルダの一番上に置きます。

年のフォルダの中に、公開日とタイトルのフォルダがあり、完成版の動画、サムネイル、説明文、字幕、ライセンスの控えが入っている。チャンネル全体の控えとハッシュの一覧も並ぶ
一本分の一式を公開日のフォルダにまとめ、一覧を年のフォルダに置く

ライブ配信は、YouTubeに残るアーカイブしか無いことが多く、原本が手元に無くなりがちです。配信ソフトで手元にも録画しておくか、配信のあとにアーカイブを取り出しておきます。やり方は配信アーカイブが消える前にに手順があります。同じ動画が編集の途中版や書き出し直しで何本もある場合は、どれを原本とするかをファイル名で決めておくと、あとで迷いません。

原本と、人に配るための形は分けて考えます。保存しておくのは編集を終えた完成版のファイルで、DVDやブルーレイの映像の盤は、そこから作る見るためのコピーです。保存用と配布用で中身を分けておけば、配る盤を何枚作り直しても、元のファイルは手を付けずに残ります。

素材まで残すかは、撮り直しが利くかで決める

完成版のファイルと、タイトルや説明文などの一式は、どのチャンネルでも必ず残します。迷うのは撮影の素材です。決め方の目安は、撮り直しが利くかどうかです。商品の紹介や操作の解説のように、もう一度撮れば同じものが作れる動画は、完成版だけでも困りません。発表会やライブ、行事、人の話の記録のように、その日にしか撮れないものは、素材も残す側に入れます。

シリーズの総集編を作る予定がある、依頼を受けて作った作品で修正を頼まれるかもしれない、という場合も素材を残します。編集のプロジェクトのファイルだけでは足りない点に気をつけます。多くの編集ソフトのプロジェクトは、素材のファイルがどこにあるかを指しているだけなので、素材を一緒に残さないと、開いても映像が出ません。

素材の量の見当を付ける

まず盤の容量です。BD-Rは1層が25GBで、パソコンの表示では約23.3GBに見えます。DVD-Rの1層は4.7GBで、表示では約4.38GBです。実際に入る量は、管理のための領域の分だけさらに少なくなります。たとえば1か月に上げた完成版が合わせて15GBなら、1層のBD-R1枚に収まる計算です。完成版だけなら、月に1枚、別の場所に置く分を入れて2枚で回せる量です。

素材の量は、撮り方で大きく変わります。iPhoneの設定画面(iOS 18)の目安では、4K・30fpsで「高効率」とHDRビデオをオンにした撮影は1分あたり約190MB、同じ設定の4K・60fpsでは約440MBです。1層のBD-R(25GB)に入るのは、計算上、4K・30fpsで2時間余り、4K・60fpsで1時間弱になり、管理のための領域を引くとそれより少し短くなります。1回の発表会を4K・60fpsで2時間撮れば素材は約53GBになり、1層の盤では3枚に分ける計算です。

素材をすべて盤にするのが重いときは、素材は外付けのHDD2台と別のアカウントのクラウドに分け、盤には完成版の一式を焼く、という分け方が現実的です。素材を盤にするなら、その日にしか撮れなかった回だけに絞ります。どの回を盤にしたかは、引き継ぎの書類か、ハッシュの一覧と同じフォルダに書き残しておきます。

原本の置き場所を、性質の違う3か所に分ける

バックアップの組み方として広く知られている考え方に「3-2-1」があります。データのコピーを三つ持ち、二種類の媒体に分け、一つは離れた場所に置く、というものです。法律や公的な基準で決まったものではありませんが、米国のサイバーセキュリティの政府機関(CISA)も中小企業向けのページで、信頼できる指針として紹介しています。クラウドとディスクを組み合わせる例は写真・動画の長期保存はクラウドとDVDのどっち?で書きました。

これを原本に当てはめると、一つめは編集に使っているパソコンかその作業用のドライブ、二つめは外付けのHDD、三つめはチャンネルのアカウントの外にある控え、という形になります。三つめは、ディスクに焼いて棚に置いた盤か、チャンネルとは別のアカウントのクラウドです。別のアカウントのクラウドを使うなら、そのアカウントにも別のパスワードとパスキーを用意し、チャンネルのアカウントと鍵を共有しません。

外付けのHDDは、バックアップを取るときだけつなぎ、終わったら外します。IPAの「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」も、バックアップに使う装置や媒体はバックアップのときだけパソコンとつなぐよう書いています。警察庁は2026年3月に公表した令和7年のまとめで、ランサムウェアの被害ではバックアップも一緒に暗号化される場合が多いと説明しました。被害に遭った組織への調査では、バックアップから戻せたのは有効回答99件中20件でした。つなぎっぱなしの控えは、元のファイルと一緒に使えなくなることがある、ということです。

離れた場所は、配信者なら実家や信頼できる家族の家、団体なら事務局と代表の家、というように、同じ火事や水害で一緒に失わない場所を選びます。運び方と回し方の例は遠隔地保管の実務にあります。

クラウドに置くなら、戻せる期間を知っておく

クラウドの控えには、消したものを戻せる期間があります。2026年10月時点の各社のヘルプでは、Googleドライブはゴミ箱のファイルが30日たつと完全に削除され、アップロードしたファイルの古い版は、30日たつか新しい版が100個できると消えることがあります。OneDriveは個人のアカウントで削除から30日以内ならごみ箱から戻せ、OneDrive全体を過去30日以内の時点に戻す機能はMicrosoft 365の契約が要ります。iCloud Driveは、削除から30日以内なら「最近削除した項目」から戻せます。

どれも「消してから」の期間で、プランや契約で変わります。感染に気づかないまま1か月が過ぎれば、戻したい時点がもう残っていないこともあります。そして、戻す仕組みは同じアカウントの中のものです。チャンネルとは別のアカウントにしておく理由がここにもあります。クラウドは手軽な二つめの置き場所として使い、アカウントにもネットワークにも頼らない盤と組み合わせます。

原本をBD-Rに焼いて棚に置く|役立つところと限界

ディスクが原本の三つめの置き場所に向いている理由は、性質にあります。BD-RやDVD-Rのような追記型の盤は、一度記録した部分を物理的に書き換えたり消したりできません。書き込みを閉じた(ファイナライズした)盤には、それ以上書き足せません。ドライブから取り出して棚に置いた盤は、どのネットワークからも届かず、乗っ取られたアカウントからも、感染したパソコンからも手が出せません。読むのにアカウントもパスワードも要りません。

焼いた時点の状態がそのまま残るので、あとで原本と比べて、変わっていないかを確かめられます。IPAが2026年9月に公開したランサムウェアの教訓集は、侵入が始まる前の時点のバックアップは安全だとしています。月ごとに焼いた盤が並んでいれば、いつ入り込まれたのかが後から分かったときにも、それより前の盤から戻せます。

焼く前に、ファイルが開けて最後まで再生できるかを確かめる

盤に残るのは、焼いたときのファイルそのものです。パソコンがすでに感染していて、ファイルが暗号化されたり、別のものに置き換えられたりしていれば、その状態がそのまま残ります。焼く前に「Windows セキュリティ」で検査をし、動画を最初から最後まで通して再生できるかを確かめます。サムネイルの画像が開けるか、テキストが読めるかも見ます。

ファイルが再生できない、拡張子が見覚えのないものに変わっている、ファイルの大きさが急に変わった、という場合は焼かずに手を止め、原因を確かめます。感染したパソコンから原本を移すときは、動画や画像、テキストなど、自分で作ったファイルだけを選び、見覚えのない実行ファイルや圧縮ファイルは一緒に移しません。移した先でも、もう一度検査をしてから焼きます。

Windowsで焼くときの選び方と、ハッシュの一覧

盤は、書き換え型のBD-REではなく、追記型のBD-Rを選びます。Windowsでは、空の盤を入れて書き込みを始めると、使い方を選ぶ画面が出ます。「USB フラッシュ ドライブと同じように使用する」は、あとからファイルを足したり消したりできる形で、控えには向きません。「CD/DVD プレーヤーで使用する」を選ぶと、ファイルをまとめて一度に書き込み、あとから消せません。画面の文言は、Windowsのバージョンで違うことがあります。Macで焼く場合や、Macに対応したドライブの選び方は外付けDVD・ブルーレイドライブの選び方で扱っています。

焼く前に、ファイルごとのハッシュ値の一覧を作っておくと、あとで中身が変わっていないかを確かめられます。ハッシュ値は、ファイルの中身から計算される値で、中身が1文字でも変わると別の値になります。Windowsでは、PowerShellで「Get-FileHash」に続けてファイルの場所を書くと、SHA256の値が出ます。Macでは、ターミナルで「shasum -a 256」に続けてファイルの場所を書きます。Macは「-a 256」を付けないと別の方式の値が出るので注意します。

一覧はテキストのファイルにして盤に一緒に入れ、別の場所にも控えます。ハッシュ値が同じなら、焼いたときから中身が変わっていないことは分かりますが、ウイルスが無いことの証明にはなりません。焼いたら盤を取り出し、別のパソコンで開いて、ファイルが読めるか、ハッシュ値が一覧と同じかを確かめます。手順はバックアップの復元テストとハッシュの確かめ方に詳しく書きました。書き込みのソフトでディスクを閉じる(ファイナライズする)かを選べる場合は、閉じてから取り出します。盤はドライブに入れたままにせず、ケースに入れて棚へ戻します。

盤に番号を付け、一覧で管理する

月に2枚ずつ焼いていくと、1年で24枚になります。どの盤に何が入っているかを、盤を読まずに分かるようにしておきます。盤には、盤面用のペン(ペン先の柔らかいフェルトペン)で「2026-10 原本 A」「2026-10 原本 B」のように、年月と、手元用か別の場所用かを書きます。書くのは盤の印刷面(レーベルの面)で、記録面には書きません。

あわせて、盤の一覧を表計算のファイルか紙で作ります。番号、焼いた日、入っている動画の公開日の範囲、ハッシュの一覧のファイル名、置き場所、最後に読んで確かめた日、の列があれば足ります。一覧は盤とは別の場所にも控えます。タイトルから盤を探したいときは、ハッシュの一覧のファイルにフォルダ名が並んでいるので、それを検索すれば見つかります。

ディスクにも限界がある

盤は、ドライブに入れたままでは守りが弱くなります。書き込みを閉じていなければ、追記によって中身が見かけ上書き換わることがあり、閉じていても、ドライブに入っているあいだは中身を読み出されます。書き換え型のBD-REやDVD-RWは、消して書き直せるので、この役には向きません。盤そのものも年月とともに傷みます。カナダ保存研究所は、温度と湿度だけに基づく目安として、BD-Rで5〜10年、一般的な銀系のDVD-Rで10〜20年としています。

保存の環境は、国立国会図書館の報告書(令和2年2月)が、JIS Z 6017などで長期保存に適した環境を温度10〜25℃、湿度40〜60%としていると紹介しています。直射日光の当たる窓際や、夏に高温になる部屋は避けます。読むためのドライブも要ります。記録型の盤はいまも手に入りますが、書き込みのドライブはメーカーの撤退や販売の終了が続き、選べる機種が減っています。読めるドライブを一台、盤と一緒に残しておきます。媒体ごとの寿命の違いはHDD・SSD・USBメモリ・光ディスクの寿命比較にまとめています。

盤は、割れたり、なくしたりもします。公開前の動画や、会員や子どもの顔が映る動画の盤をなくせば、拾った人に中身を見られます。置き場所は鍵のかかる引き出しにし、持ち出すときの決まりを作ります。ディスクで守れるのは原本のファイルで、チャンネルそのものは守れません。外付けのHDD、別のアカウントのクラウドと組み合わせて、どれか一つが残れば作品は失われない、という形を目指します。

控えを取ったつもりで、残っていなかった型

原本を残していたはずなのに、いざというときに使えなかった、という失敗にはいくつかの型があります。どれも、ふだんは問題なく見えていて、乗っ取りや感染が起きた日に初めて分かるものです。症状と原因、確かめ方と直し方の順に並べます。手元のやり方と照らし合わせてみてください。

原本が、チャンネルと同じアカウントのドライブにしか無かった

症状は、チャンネルと一緒にドライブの原本も消された、というものです。原因は、チャンネルとドライブを同じGoogleアカウントで使っていて、鍵が一つだったことにあります。確かめるには、完成版のファイルがどこに何組あるかを書き出し、そのうちチャンネルのアカウントのパスワードだけで全部に手が届くかを見ます。全部に届くなら、外付けのHDDか盤に1組を移し、クラウドを使うならチャンネルとは別のアカウントにします。

HDDをつないだまま、盤をドライブに入れたままにしていた

パソコンが感染したとき、つないだままのHDDの中まで暗号化された、という症状です。警察庁が令和7年のまとめで書いているとおり、ランサムウェアはバックアップも一緒にねらいます。盤も、書き換え型のBD-REに焼いていたり、閉じていない盤をドライブに入れたままにしていたりすると、守りが弱くなります。確かめ方は簡単で、いまパソコンにつながっている控えを数えます。直し方は、HDDは写すときだけつなぐ、盤はBD-Rに焼いて取り出す、の二つです。

焼いた盤から、作品を開けなかった

盤を読んでみたら、編集のプロジェクトのファイルしか入っていなかった、書き出しの途中で止まったファイルを焼いていた、という型です。前の節のとおり、プロジェクトは素材の場所を指しているだけで、素材が無ければ映像は出ません。書き出しが止まったファイルは、途中までしか再生できなかったり、開けなかったりします。焼く前に完成版を最初から最後まで再生し、焼いたあとに別のパソコンで盤から開いて確かめれば、この型は防げます。

取り戻すための鍵が、前の担当者の手元にあった

団体のチャンネルで多いのがこの型です。所有者のアカウントが前の担当者の個人のものだった、再設定用の電話番号がその人の携帯電話だった、バックアップ コードがその人のメールの中にあった。いずれも、乗っ取られたときに手続きを進められません。年度の替わり目に、所有者のアカウント、再設定用の連絡先、バックアップ コードの置き場所の三つを点検し、団体として管理するものに移しておきます。

公開してから盤に焼くまでの段取り

原本の控えは、思い立ったときにまとめてやろうとすると、続きません。動画を公開した日、その週末、月末、と作業を小さく分け、決まった日に回すほうが楽です。週に1本ほど上げるチャンネルなら、月に1回、BD-Rを2枚焼く流れでおおむね回ります。月に数本ならこの間隔、上げる本数が少なければ四半期ごとでも構いません。

公開の日に一式をフォルダへ、週末に外付けHDDへ、月末にハッシュの一覧とBD-R2枚、翌月の初めに1枚を別の場所へ、年に1回読み出して照合する流れを時間の順に並べた図
月に1回のBD-Rで、原本の3か所目を回す

公開の日には、完成版のファイル、サムネイル、タイトルと説明文の文、字幕を、日付とタイトルのフォルダにまとめます。その週末に外付けのHDDをつないで写し、写し終えたら外します。月末には、その月のフォルダのハッシュの一覧を作り、再生を確かめてからBD-Rを2枚焼きます。翌月の初めに、1枚を別の場所へ運びます。

月末の作業の日には、YouTube Studioの権限の一覧も開き、今いる人と役割が合っているかを見ておくと、点検が一度で済みます。年に1回は、棚の盤を何枚か選んでドライブで読み、ハッシュ値が一覧と同じかを確かめます。読めない盤があれば、HDDかクラウドの控えから焼き直します。

月末の作業が抜けた月があっても、翌月に2か月分をまとめて焼けば追い付きます。公開の日にフォルダへ一式をまとめる最初の作業だけは、抜かさないことが大事です。フォルダさえそろっていれば、HDDへ写すのも盤に焼くのも、あとから同じ手順で進められます。配信の多いチャンネルで1か月分が盤1枚に入らないときは、2層のBD-R(50GB)を使うか、月の前半と後半で分けます。

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教室や団体の担当者が、引き継ぎのために決めておくこと

教室や団体のチャンネルでは、担当者が数年で替わります。乗っ取りで困るのは、取り戻すための鍵や連絡先が、前の担当者の個人の持ち物になっていた場合です。所有者のGoogleアカウントは誰のものか、そのアカウントのバックアップ コードの紙はどこにあるか、再設定用の電話番号は誰の電話か。この三つが分からないと、乗っ取られたときに手続きを進められません。

引き継ぎの書類には、チャンネルのURLとハンドル、所有者のアカウント、権限の一覧と各人の役割、バックアップ コードとセキュリティ キーの保管場所、原本の三つの置き場所、盤の保管場所と番号の付け方、点検の日を書きます。パスワードそのものは書類に書かず、保管場所だけを書きます。年に一度の総会や役員会で、権限の一覧と、焼いた盤の枚数、読み出して確かめた結果を短く報告する決まりにしておくと、担当者が一人で抱え込まずに済みます。書類の控えも、チャンネルのアカウントのドライブではなく、事務局の鍵のかかる場所に置きます。

案件のメールの扱いも、担当の決まりにしておきます。問い合わせの受け箱を見る人と、案件を受けるかを決める人が違う団体では、受け箱を見る人は添付もリンクも開かずに責任者へ回す、責任者は会社の窓口で確かめてから返事をする、という分担にします。年度の替わり目には、辞めた人の権限を外し、新しい人を必要な役割で招待します。

会員や子どもが映る動画の盤は、保管と処分の決まりも作ります。何年残すのか、誰が持ち出してよいのか、要らなくなった盤をどう処分するのかを、年度の初めに確かめておきます。名簿と同じく、人が映る記録として扱います。

子どもが配信している家庭で、保護者が見ておくこと

中学生や高校生がゲームの実況や演奏の動画を上げている家庭もあります。乗っ取りの手口は大人のチャンネルと同じですが、連絡が来る場所が違うことがあります。メールより、ゲームの仲間と使うチャットアプリやSNSのダイレクトメッセージに、「案件をお願いしたい」「このツールを試してほしい」と届く形です。攻撃者がメールで止められるとメッセージアプリへ移っていたことは、Googleの報告にもあります。

YouTubeの「クリエイター パートナーシップ」は、使える条件の一つが18歳以上です。18歳未満のチャンネルに届く企業からの話は、少なくともこの公式の仕組みの外から来ています。本物の依頼もあり得ますが、子どもが一人で返事をしたり、送られたものを開いたりする前に、保護者に見せる約束をしておきます。報酬の話が出たら必ず見せる、ファイルやリンクは開く前に見せる、の二つで足ります。

もう一つ気をつけたいのが、無料で使えるようにするとうたうツールです。マイクロソフトの2025年5月の解説や、トレンドマイクロの分析を伝えた報道では、情報窃取型マルウェアを配る道として、ソフトの不正コピーや、キーを作るツールを装った偽のサイトが挙がっています。有料のソフトやゲームを無料で使えるようにするという品は、入れた時点でパソコンの中の情報を持ち出されるおそれがあります。子どもが使うパソコンでは、ソフトは公式のストアか公式サイトから入れる、という決まりを家族で共有します。

家族でパソコンを共有しているなら、子どもがソフトを試すそのパソコンで、保護者がネットバンキングやカードの手続きをしないようにします。盗まれるのはブラウザに残った情報全部なので、子どものチャンネルだけでなく、同じブラウザでログインしていた家族のアカウントにも影響します。バックアップ コードは保護者が印刷して預かり、再設定用の連絡先に保護者の電話番号かメールアドレスも入れておくと、乗っ取られたときに家族で手続きを進められます。

子どもの作品も、家族の記録です。完成版のファイルを日付のフォルダにまとめ、年に一度BD-Rに焼いておけば、チャンネルに何が起きても、その年の作品は棚に残ります。焼く日を誕生日や年度末に決めると忘れにくくなります。

自分で焼くか、店に頼むかの境目

原本の控えと、見る用の盤では、自分で作るか店に頼むかの考え方が違います。原本の控えは、ファイルのままBD-Rに焼くだけなので、ブルーレイに書き込めるドライブと盤があれば、自分のパソコンで作れます。失敗しても焼き直せばよく、損は盤1枚です。月に1回、自分の手で回すのに向いています。

見る用の盤は、テレビにつないだプレーヤーで再生できる形に組み立てる作業(オーサリング)が要ります。そのためのソフトをそろえ、メニューやチャプターを作り、何台かのプレーヤーで再生を試すところまで自分でできるなら、自分で作れます。手元にプレーヤーが1台しか無い、盤面に印刷したい、配る相手の家で確実に見られるかを確かめる時間が無い、という場合は、店に頼むほうが手間と失敗の損を減らせます。

決め手になるのは、枚数と期日と、失敗したときに困る度合いです。家族用に1枚だけなら、時間をかけて自分で試す選択もあります。会員や関係先に配る盤、記念の盤のように、作り直しが利きにくいものは、再生の確認まで含めて店に頼む方法もあります。どちらを選んでも、元にするのは手元の原本のファイルです。

見る用のDVD・ブルーレイを当社に頼むとき

当社ディスクメーカーは、大阪・梅田にある、動画のデータからDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店です。受け付けるのは完成した動画のデータで、1枚から頼めます。受け取った動画をプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。チャンネルに何が起きても、家のプレーヤーに入れれば作品を見られる盤を作る手段として使えます。

当社の注文ページで作るのは、プレーヤーで再生するための映像の盤です。ファイルのまま残す原本の控えとは役割が違うので、前の節のように原本の控えは自分のパソコンで焼き、見る用の盤は別に作る、と分けて考えます。ファイルのまま焼く盤を当社に頼めるかは、相談・問い合わせフォームで確かめてください。映像の盤とファイルの盤の違いはデータDVDと映像DVDの違いで説明しています。

料金は、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)が1,500円(税抜)で、オーサリングと書き込み、ケースへの入れ込みまでを含みます。基本料金(DVD・1枚あたり)も1,500円です。1層の盤に入る長さの目安は、DVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間で、それより長いときは2層の盤か2枚に分けます。1年分の作品をまとめるなら、長さを足してから盤の数を決めます。

同じ内容の2枚目を別の場所に置きたいときは、焼き増しとして頼めます。追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)は1,000円です。どの年のどの盤かを見分けられるように、盤面レーベル印刷(1枚あたり)で+1,000円を付けると、入稿した画像を盤に印刷します。当社はデザインや文字入れをしないので、チャンネル名や年も入れた画像を作って入稿します。一本ずつ頭出ししたいときは、チャプター分け(1枚あたり)の+1,500円で、区切りの時刻を「チャプター位置の指定」の欄に入れます(最大50チャプター)。

入稿は、ギガファイル便に動画を置き、その共有URLを注文フォームに貼る形です。何本かを1枚に収めるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その番号の順に収録します。共有URLは、送る相手と期限を決めて作ります。ギガファイル便は保持期限をアップロードの前に選び(初期の値は5日で、あとから延ばせません)、ダウンロードパスワードを付けた場合は、注文フォームの入力欄でその場で照合されます。入稿の途中で、チャンネルのアカウントのパスワードや確認コードを誰かに伝える場面はありません。

お引き受けできるのは、撮った本人か、権利者の許可がある動画です。他人のYouTubeの動画の複製はお引き受けできません。公開前の動画や、会員の顔が映る動画を預けることで気になる点があれば、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。注文はブルーレイの注文ページから、DVDはDVDの注文ページから進めます。

日数の目安と、届いた盤の確かめ方

通常便は、受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。15時以降の注文は翌営業日の受付になり、土日祝の注文・入稿は翌営業日からの作業です。急ぐときは、特急お届けや当日店舗お渡しなどの短納期のオプションを選べます。年末の会合や総会で配りたい、という場合は、その日から逆に数えて入稿の日を決めます。

届いた盤は、家のプレーヤーで最後まで再生してから棚に入れます。当社でも実際のプレーヤーで再生を確かめていますが、再生できる盤の種類は機種ごとに違います。DVDはDVDプレーヤーでもブルーレイの機器でも見られることが多い一方、ブルーレイはDVDプレーヤーでは再生できません。配る相手の家のプレーヤーがDVDしか読めないなら、その分はDVDにします。

今週から始める順番

いま乗っ取りが疑われているなら、ほかのことは後にして、「乗っ取られたと気づいたら」の節から順に進めてください。何も起きていないなら、次の順番で1か月のうちに済ませます。チームで運営しているなら、1と2は全員でそろえます。

  1. 今日は、YouTube Studioの「設定」の「権限」を開き、今いない人を外して、役割を仕事に要る分に絞る
  2. 今日のうちに、Googleアカウントの2段階認証プロセスとパスキーを確かめ、バックアップ コードを印刷して決めた場所に置く
  3. 今週中に、案件のメールを確かめる手順を、受け箱を見る人と共有する
  4. 今週中に、管理に使うパソコンの更新を済ませ、Chromeの保護の設定を見直し、フル スキャンをかける
  5. 2週目に、公開済みの動画の完成版を日付のフォルダに集め、サムネイルと説明文も一緒にまとめる
  6. 3週目に、外付けのHDDへ写してハッシュの一覧を作り、HDDを外す
  7. 月末に、BD-Rを2枚焼いて取り出し、1枚を別の場所へ運ぶ。来月からの点検の日を予定に入れる

1か月が終わると、チャンネルの作品は、編集用のパソコン、外したHDD、別の場所の棚の盤、の3か所にあることになります。チャンネルに入られても、作品そのものは手元から出し直せます。見る用の盤を当社に頼むときは、完成版の動画を共有URLにして、注文ページから入稿してください。

よくある質問

Q. 2段階認証をオンにしていれば乗っ取られないか

A. 2段階認証は、パスワードだけが漏れたときに入られるのを防ぎます。ただ、ソフトを開いてパソコンが感染し、ブラウザに残るログインした状態を盗まれると、ログインの手続きを通らずに入られます。Googleの2021年の報告もこの点を指摘しています。知らないソフトやファイルを開かないことと組み合わせて使います。

Q. 企業案件のメールが本物か確かめる方法はあるか

A. メールに書かれた連絡先は使わず、会社の名前で自分で公式サイトを開き、そこにある問い合わせ窓口や代表の電話で、その担当者が案件の連絡をしているかを尋ねます。検索の結果に出る広告から偽のサイトへ誘う手口もあるので、アドレスのドメインが会社のものかも見ます。確かめが済むまで添付もリンクも開きません。

Q. 案件のファイルを開いてしまったら最初に何をするか

A. そのパソコンをネットワークから外し、そのファイルに触れていないスマホや別のパソコンで、Googleアカウントのパスワードを変えます。パスワードを変えると、一部の端末を除いてログアウトした状態になります。疑わしいパソコンは、Windows セキュリティのオフライン スキャンで調べてから使います。

Q. パスワードを変えれば盗まれたログイン状態は使えなくなるか

A. Googleのヘルプでは、パスワードを変えるか再設定すると、本人確認に使う端末など一部を除いて、すべての端末でログアウトした状態になるとしています。ただし、感染したパソコンで変えると新しいパスワードも盗まれるおそれがあるので、変えるのは感染の疑いのない端末からにします。

Q. 乗っ取られたチャンネルはいつまでなら戻せるか

A. YouTubeのヘルプには、サポートは過去9か月以内に起きたハッキングと思われる件に限られ、9か月以上前の問題ではチャンネルを戻せないことがある、と書かれています。更新していないチャンネルも月に一度は開き、名前や動画の一覧に変わりが無いかを確かめておくと、気づくのが遅れません。

Q. 乗っ取られたあとチャンネルが停止されたらどうするか

A. 先にGoogleアカウントを取り戻します。YouTubeのヘルプによると、アカウントを取り戻すと、停止への再審査の請求のしかたを書いたメールが届きます。取り戻す前に再審査を請求すると認められないことがあるとしているので、順番を守ります。条件を満たすクリエイターは、クリエイター サポートにも連絡できます。

Q. 消された動画はチャンネルが戻れば元に戻るか

A. YouTubeのヘルプには、動画を削除すると完全に削除されるとあり、攻撃者に消された動画が戻ると約束する記述は見当たりません。戻るかどうかは件ごとに違うと考え、アップロードした完成版の原本を、チャンネルのアカウントの外に残しておきます。原本があれば、新しいチャンネルでも出し直せます。

Q. 何人かで運営するとき安全な権限の渡し方はあるか

A. パスワードを共有せず、YouTube Studioの「設定」の「権限」から一人ずつ招待し、自分のGoogleアカウントで作業してもらいます。動画を上げる人は編集者、数字を見るだけの人は閲覧者、というように役割を絞ると、誰かのアカウントが入られたときにできることも限られます。辞めた人は早めに外します。

Q. YouTubeからダウンロードした動画を原本の代わりにできるか

A. 取り出したファイルは、YouTubeが配信のために変換したあとのもので、アップロードした原本とは同じではありません。チャンネルに入れなくなれば、取り出せなくなります。手元に原本が無い動画だけは、チャンネルが使えるうちに取り出しておき、これから作る動画は完成版を必ず手元に残します。

Q. 原本の控えにBD-REではなくBD-Rを使うのはなぜか

A. BD-Rは追記型で、一度記録した部分を物理的に書き換えたり消したりできません。書き換え型のBD-REは消して書き直せるので、後から中身を変えられない控えには向きません。ただし、BD-Rでも焼く前のファイルが感染していればそのまま残るので、再生を確かめてから焼き、取り出して棚に置きます。

Q. ディスクに焼いた原本は何年もつか

A. カナダ保存研究所は、温度と湿度だけに基づく目安として、BD-Rで5〜10年、一般的な銀系のDVD-Rで10〜20年としています。保管の環境で変わるので、直射日光と高温の場所を避け、年に1回は何枚か読んでハッシュ値を確かめます。外付けのHDDやクラウドの控えと組み合わせて持ちます。

Q. チャンネルの動画をまとめたDVDやブルーレイを頼めるか

A. 当社は、完成した動画のデータからプレーヤーで再生できるDVD・ブルーレイを1枚から作ります。自分で撮影・制作した動画か、権利者の許可がある動画が対象です。動画の共有URLを注文フォームに貼って入稿し、何本かを収録するときはファイル名の頭の番号で順番を指定します。

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この記事の目次

  1. 偽の企業案件から、チャンネルが他人の手に渡るまで
  2. 公表された例|Googleの2021年の報告と、その後の動き
  3. なぜ2段階認証をしていても入られるのか
  4. 案件のメールが来たら、返事の前に確かめること
  5. YouTubeを名乗る知らせは、YouTube Studioを自分で開いて確かめる
  6. チャンネルを管理するパソコンとブラウザを守る
  7. Googleアカウントの鍵を、取り戻せる形で持っておく
  8. 何人かで運営するチャンネルは、パスワードを渡さずに権限で分ける
  9. 乗っ取られたと気づいたら、最初の1時間にすること
  10. チャンネルを元に戻す|YouTubeのヘルプにある手順
  11. チャンネルのほかに、同じブラウザにあったものも見直す
  12. 取り戻しても、動画が元どおりになるとは限らない
  13. 残しておく原本は、アップロードしたファイルだけではない
  14. 原本の置き場所を、性質の違う3か所に分ける
  15. 原本をBD-Rに焼いて棚に置く|役立つところと限界
  16. 控えを取ったつもりで、残っていなかった型
  17. 公開してから盤に焼くまでの段取り
  18. 教室や団体の担当者が、引き継ぎのために決めておくこと
  19. 子どもが配信している家庭で、保護者が見ておくこと
  20. 自分で焼くか、店に頼むかの境目
  21. 見る用のDVD・ブルーレイを当社に頼むとき
  22. 今週から始める順番
  23. よくある質問

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