この記事の要点
乗っ取られても写真がすぐ消えるとは限らない。消された写真も、ゴミ箱まで空にされていなければ、Googleフォトのゴミ箱とiPhoneの「最近削除した項目」に30日残るので、期限を数えて動く
通知のメールやSMSのリンクは開かず、別の端末から公式の画面を直接開く。Appleの「アカウントの復旧」は数日以上かかることがあり、申請し直すとかえって長引くことがある
規約違反の判断でアカウントごと止められ、警察が犯罪に当たらないとしても戻らなかった例が報じられている。乗っ取りの備えだけでは写真を守りきれない
奪われる前に、パスキーや2段階認証、復旧用連絡先、バックアップ コードを設定する。復旧キーは無くすとAppleも再発行できないので、紙にして2か所に置く
家族の動画は年に1回、元の画質でダウンロードしてDVDかブルーレイにし、2枚を別の家に置く。アカウントに入れなくなっても、家のプレーヤーで見られる
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
1枚から 作れます。 同じ 内容の 追加は 1枚1,000円 (税抜)です。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
夜、スマホに「Apple Accountのパスワードが変更されました」という知らせが届きます。自分では何も触っていません。慌てて写真アプリを開くと、子どもが生まれてからの写真と動画はまだ並んでいるものの、いつまで見られるのかが分かりません。Googleのアカウントに入れなくなり、Googleフォトに預けてきた10年分の動画に手が届かなくなった、という場面もあります。
乗っ取られても、写真と動画がその場で消えるとは限りません。AppleにもGoogleにも公式の復旧の手続きがあり、消された写真も、ゴミ箱まで空にされていなければ30日残ります。まずは通知のリンクを使わずに公式の画面から手続きを進め、取り戻したら30日のうちに中身を確かめます。そのうえで、パスキーや復旧用連絡先などの設定を済ませ、家族の動画はクラウドとは別に、年に1回DVDかブルーレイに残しておきます。乗っ取りとは関係なく、規約の判断でアカウントを止められて戻らなかった例もあるからです。
手順と画面の項目名は、2026年10月時点のAppleとGoogleのヘルプに沿っています。表記は端末とOSの版で変わるので、お使いの端末の表示に合わせて読み替えてください。Appleのヘルプは今は「Apple Account」と書いています(以前のApple ID)が、この先は「Appleアカウント」と書きます。事例と数字は、公表資料と報道で確かめられた範囲で書いています。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
写真と動画に入れなくなる道は、乗っ取りだけではない 実際に起きたこと|公表資料と報道で確かめられる例 乗っ取りに気づくサイン 気づいたら、知らせのリンクは使わず公式の画面を直接開く Appleアカウント|サインインできるか、リセットできるかで道が分かれる ログインできないGoogleアカウントは、アカウント復元のページで質問に答える 取り戻したら、写真と動画の残りを30日のうちに数える 乗っ取られていたあいだに、知り合いへ連絡が行っていないか 残りの14項目を見る 2段階認証をしていても破られる型を知っておく ふだんの使い方で、入り込まれる隙を減らす 奪われる前に|Appleアカウントで済ませておく設定 Googleアカウントは、パスキーと紙のバックアップ コードを用意する 非常用の鍵は、紙にして家の2か所に置く 家族の分も、まとめて点検する クラウドの「戻せる」は、同じアカウントの中の話 写真と動画を、アカウントの外へダウンロードしておく 家族の動画は、年に1回ディスクにしておく ファイルのまま焼く控えは、自分のパソコンで作る 見る用のディスクを自分で作るか、店に頼むか 見る用のDVD・ブルーレイを当社に頼むとき 今日から1か月で、ひととおり済ませる よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
写真と動画に入れなくなる道は、乗っ取りだけではない
クラウドの写真が見られなくなる道は、大きく分けて三つあります。他人に乗っ取られて締め出される道、サービスの側にアカウントを止められる道、自分で確認コードの受け先や非常用の鍵をなくす道です。どれに当たるかで、取り戻す手続きも、写真がどうなるかも違ってきます。Googleには、長く使わないアカウントが消える四つ目の道もあります。
他人に締め出される
偽のログイン画面にパスワードを入れてしまった、SMSで届いた確認コードを人に伝えてしまった、という場合です。そうして入り込んだ相手は、パスワード、再設定用の電話番号やメールアドレスを書き換えて、本人が入れないようにします。第三者に端末をロックされる、紛失モードにされるといった兆しも、Appleのヘルプに挙がっています。写真を消されることもありますが、消された写真はゴミ箱に一定の期間残ります。
規約の判断で止められる
アカウントは自分の名義のまま、サービスの側が規約違反と判断して使えなくする道です。Googleの日本語のヘルプにも、アカウント全体が無効になったと表示されたときの手順が載っています。この場合はパスワードを変えても入れません。再審査を求める手続きしかなく、認められなければ、写真もメールもまとめて手が届かなくなります。
自分で鍵をなくす
確認コードを受けていた携帯電話の番号を解約した、2ファクタ認証に使っていたiPhoneとiPadを両方なくした、という形です。乗っ取りが無くても入れなくなります。「高度なデータ保護」をオンにしているAppleアカウントでは、写真もエンドツーエンドで暗号化され、Appleはデータの復旧を手伝えません。端末のパスコードかパスワード、復旧用連絡先、復旧キーのどれかが残っていなければ、暗号化された写真などのデータは戻せません。
2年使わないGoogleアカウント
Googleは、2年間使われていない個人のアカウントを無効とみなし、Gmail、ドライブ、Googleフォトを含むすべてのデータを削除の対象にしています。削除の前には、アカウントのアドレスと再設定用のアドレスに知らせが届きます。昔の機種で使っていた別のアカウントに、子どもが小さいころの写真だけが残っている、という家では、この期限が関わってきます。家族への引き継ぎの仕組みは、あとの非常用の鍵の節で触れます。
三つの道を並べると、次の図のようになります。どの道でも共通しているのは、写真と動画がアカウントの中にしか無いと、戻るかどうかを自分では決められないことです。手続きの結果を待つ間も、家族の動画を見る手段が一つも残らない状態になります。とくに停止と鍵の紛失では、自分では短くできない待ち時間があります。
どの道でも、アカウントの中にしか無い写真は、手続きの結果を待つ間見られない
実際に起きたこと|公表資料と報道で確かめられる例
実際にあった例を四つ取り上げるのは、被害に遭った人を責めるためではなく、同じ条件がどの家庭にもあることを確かめるためです。公式の発表があるものはその内容に沿い、報道だけで伝えられているものは「報じられた」と書き分けます。海外の例も入っていますが、使われているサービスは日本の家庭が使うものと同じです。
医師に見せる写真で、Googleのアカウントごと止まった(米国・2022年報道)
2022年8月にニューヨーク・タイムズが報じ、国内外の報道が引用した例です。サンフランシスコに住む父親が2021年2月、幼い息子の具合が悪く、看護師に頼まれて、ビデオ診療の前に医師に見せる写真をAndroidのスマホで撮りました。医師は感染症と診断し、薬で治っています。ここまでは、どの家でもありうる出来事です。
2日後、Googleから、規約違反と判断してアカウントを無効にしたという知らせが届きました。父親は異議を申し立てましたが、アカウントは戻りませんでした。Googleは警察に通報し、サンフランシスコ市警は捜査の結果、犯罪には当たらないと判断しています。それでもアカウントは戻らなかったと報じられました。警察は結果を伝えようとしたものの、本人が使えなくなったGoogleの携帯回線の番号しか分からず、連絡がつかなかったとも伝えられています。
失ったのは、10年以上のメール、連絡先、写真、個人のファイル、Googleの携帯回線の電話番号、それにGoogleのログインに頼っていたほかのサービスでした。取り戻すための訴訟には約7,000ドルかかると見積もり、断念したそうです。同じころ、テキサス州の父親にもほぼ同じ例があったと報じられました。
報道各社が教訓に挙げたのは、Googleのデータ エクスポート(Takeout)などで定期的に書き出しておくことと、1つのアカウントにすべてを頼らないことでした。日本で同じような停止が大きく報じられた例は、今回確かめられていません。ただ、この例は、乗っ取りの備えをどれだけ固めても、規約やシステムの判断でクラウドの写真に入れなくなることはある、という一点を示しています。
SMSで届いた認証コードを伝えて、締め出される
IPA(情報処理推進機構)の情報セキュリティ安心相談窓口は2025年8月、不正ログインの相談が2025年7月に144件と、窓口でこれまでで最も多くなったと公表しました。紹介された事例はインスタグラムです。乗っ取られていた知人のアカウントから投票の依頼などのDMが届き、やり取りのなかで電話番号を教え、SMSで届いた認証コードを伝えてしまいました。
相手はそのコードで、パスワード、電話番号、メールアドレスを書き換え、多要素認証まで自分のものに設定しました。本人はログインもパスワードの再設定もできなくなり、アカウントは投資の勧誘に使われたといいます。IPAは2026年の第2四半期にも、LINEを乗っ取られて知り合いにお金を求めるメッセージを送られた相談を紹介しています。確認コードは、それを持つ人を本人として扱うための数字です。Googleはヘルプで、パスワードや確認コードをメール、電話、メッセージで尋ねることはないと明記しています。
2段階認証をしていても、ログインした状態を盗まれる
Googleの脅威分析グループは2021年10月、YouTubeのクリエイターを狙ったフィッシングについて報告しました。企業を名乗ってスポンサーの案件を持ちかけ、偽のソフトのサイトからマルウェアを入れさせる手口です。このマルウェアは、ブラウザに残るログイン済みの状態を盗み出すもので、報告は「パスワードも多要素認証も要らずにアカウントに入れる」と説明しています。
乗っ取られたチャンネルは名前を変えられ、暗号資産の詐欺の配信に使われたり、売買されたりしました。報告によれば、この件で戻したアカウントは約4,000です。YouTubeのチャンネルはGoogleアカウントにひもづいているので、チャンネルを奪われたときは、同じアカウントのGoogleフォトやドライブにも相手が入れる状態になっているおそれがあります。手口と備えはYouTubeチャンネル乗っ取りの手口と対策で詳しく扱っています。
AppleとGoogleの名前を使った偽の知らせは、毎月届いている
フィッシング対策協議会への報告は、2025年が2,454,297件で過去最多でした。2026年は月におおむね6万〜20万件の間で上下しています。名前を使われるブランドの1位は毎月Amazonで、Appleはおおむね2位です。2026年9月に公表された8月分の月次報告では、報告82,338件のうちAppleをかたるものが約16.1%を占めました。名前を使われた会社も被害を受けている側で、本物の知らせと見分けにくい文面が届いています。
IPAが2026年1月に公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の個人編(順位は付けず五十音順)にも、「インターネット上のサービスへの不正ログイン」が11年続けて入っています。家庭で何から手を付けるかは情報セキュリティ10大脅威2026を家庭と小さな職場で読む にまとめました。
乗っ取りに気づくサイン
Appleのヘルプ「Apple Accountの不正利用が疑われる場合」が挙げる兆しは五つです。
心当たりのないサインインやパスワード変更の知らせが届く
頼んでいない2ファクタ認証のコードが届く
送った覚えのないメッセージや購入、追加した覚えのない信頼できるデバイスがある
パスワードでサインインできない
第三者に端末をロックされたり、紛失モードにされたりする
Googleのヘルプでは、「セキュリティ イベントを確認」の知らせ、再設定用の電話番号やメールアドレス、2段階認証の設定に覚えのない変更があること、Google PayやGoogle Playに覚えのない請求があることを、確かめる点に挙げています。送った覚えのないメールが送信済みに並んでいる、というのも分かりやすい兆しです。
写真の側から気づくこともあります。写真アプリのゴミ箱(iPhoneでは「最近削除した項目」)を開くと、消した覚えのない写真や動画がまとまって入っていないかが分かります。iCloud写真もGoogleフォトも、1台で消すと同じアカウントのほかの端末からも消えるので、家族の誰かの操作か、他人の操作かを、端末ごとに聞いて確かめます。
やっかいなのは、知らせそのものが偽物の場合があることです。「アカウントがロックされました」「不審なログインがありました」という文面のメールやSMSは、乗っ取りの兆しであると同時に、フィッシングでよく使われる文面でもあります。だから、知らせに書かれたリンクは開かず、自分で設定の画面を開いて確かめる 、という一つの決まりで両方に備えましょう。
知らせが本物だったかどうかも、この方法で分かります。Googleアカウントなら、「セキュリティとログイン」の「最近のセキュリティ イベント」に、知らせと同じ出来事が載っているかを見ます。Appleアカウントなら、「設定」の自分の名前の画面に並ぶ端末の一覧と、「account.apple.com」の「デバイス」を見ます。どちらにも覚えのない記録が無ければ、届いた知らせは偽物だった可能性が高く、そのメールは開かずに消してかまいません。
気づいたら、知らせのリンクは使わず公式の画面を直接開く
おかしいと気づいてから最初の30分にやることは、AppleでもGoogleでもほぼ同じです。慌てているときほど、順番を守りましょう。知らせのメールやSMSに書かれたリンクと電話番号は使わず、画面はスクリーンショットで残しておきます。手続きは、iPhoneなら「設定」アプリ、パソコンならブラウザのアドレス欄に自分で入れた公式の住所から始めます。Appleは「account.apple.com」と「iforgot.apple.com」、Googleは「accounts.google.com」と「myaccount.google.com」です。
使う端末にも気を配りましょう。偽のソフトを入れた覚えがある、パソコンに見覚えのない警告が出ていた、という場合は、そのパソコンでログインし直すと、新しいパスワードまで盗まれるおそれがあります。その場合は、ふだん使っているスマホか、家族の端末から手続きします。一方、Googleのアカウント復元は、ふだんログインしている端末とブラウザ、自宅や職場など、いつもの場所から試すよう案内しています。感染の心配が無ければ、いつもの端末で進めるのが近道です。
パスワードを変えたら、次は連絡先です。Appleのヘルプは、アカウントにひもづくメールアドレスと電話番号について、メールの事業者と携帯電話会社に問い合わせ、SMSの転送が設定されていないかを確かめるよう案内しています。急にスマホが圏外のままになった、という場合も、まず携帯電話会社に連絡します。警察庁は2025年の不正送金の分析で、携帯電話の番号を乗っ取る手口で本人確認を突破する例も引き続きみられたとしています。
同じパスワードをほかのサービスでも使っていたなら、そちらも変えます。カードの番号を偽のページに入れてしまったなら、カード会社に連絡します。どちらもIPAが被害に遭ったときの対処として挙げている手順です。慌ててクラウドの写真を消したり、スマホを初期化したりしないようにしましょう。消した写真は30日でゴミ箱から消え、初期化した端末は、あとで写真を取り出す手がかりにならなくなります。
ここまでの順番を図にしました。全部を一度に終わらせなくてもかまいません。パスワードと連絡先を取り戻すところまでを先に済ませ、写真の確かめと相談は、落ち着いてから同じ日のうちに進めます。図の5番目の「写真のゴミ箱を見る」は、消された写真をいつまで戻せるかを知るための手順です。
パスワードと連絡先を取り戻すまでを先に済ませ、写真と相談はその日のうちに
残しておく記録と、相談する窓口
記録に残すのは、気づいた日時、届いた知らせの画面、知らせのメールそのもの(消さずに残す)、偽のページに入れてしまった内容とその日時、パスワードを変えた日時、手続きの受付のメールです。アカウントの復旧を申し込んだ場合は、確認のメールと予定の日時が後から届くので、これも一緒に保存します。記録は、乗っ取られたアカウントのメールの中ではなく、紙のメモか別の端末に置きましょう。
相談先は、内容で分かれます。設定や手続きが分からないときは、IPAの個人向けの「情報セキュリティ安心相談窓口」があります。お金をだまし取られた、脅すメッセージが届いた、という場合は、警察の相談専用電話の#9110か、最寄りの警察署に記録を持って相談します。有料の契約をさせられた場合は、消費生活センター(局番なしの188)が窓口です。アカウントそのものを戻す手続きは、AppleとGoogleの公式の画面でしか進められない点は変わりません。
Appleアカウント|サインインできるか、リセットできるかで道が分かれる
Appleアカウントを取り戻す手順は、いまの状態で三つに分かれます。まだ自分のiPhoneやMacでサインインできている状態、パスワードを変えられて入れないが、借りたiPhoneや復旧用連絡先でリセットはできる状態、どれも使えず「iforgot.apple.com」から復旧を申し込むしかない状態です。下の図の上から順に当てはめていくと、どの手順に進めばよいかが決まります。
上から順に当てはめる。最後のアカウントの復旧は数日以上かかることがある
サインインできるうちに、パスワードを変えて端末を外す
iPhoneでは「設定」で自分の名前をタップし、「サインインとセキュリティ」から「パスワードの変更」に進みます。複数の端末でサインインしていると、ほかの端末からサインアウトさせるか、すべてサインインしたままにするかを選ぶ画面が出ます。乗っ取りが疑われるときは、ほかの端末を外すほうを選びます。Macは「システム設定」で自分の名前から「サインインとセキュリティ」、「パスワードを変更」です。
次に、ブラウザで「account.apple.com」を開いて、名前、メールアドレス、電話番号、セキュリティの情報が自分のものかを確かめ、違っていれば直します。「デバイス」の一覧に、覚えのないiPhoneやパソコンが並んでいないかも見ます。見覚えのない端末は、その一覧から削除します。家族のiPadなどで同じアカウントにサインインしていることもあるので、削除する前に家族に聞いておくと、あとで慌てずに済みます。
最後に、メールの事業者と携帯電話会社に問い合わせ、アカウントにひもづくメールアドレスと電話番号に、転送などの覚えのない設定が入っていないかを確かめます。ヘルプはこのあと、2ファクタ認証の設定、フィッシング対策としてのセキュリティキー、端末のパスコード、iPhoneの「盗難デバイスの保護」も勧めています。設定のやり方は、あとの「奪われる前に」の節で順に書きます。
パスワードを変えられていたら、リセットを試す順番
サインインしたままの自分のiPhoneやMacが手元に残っていれば、その端末でパスワードを変えられます。新しい端末でサインインできないときは、サインインの画面で「パスワードをお忘れですか?」を選び、案内に従います。自分の端末が一台も使えなければ、家族や友人のiPhoneを借りる方法があります。Appleサポートアプリを開き、「サポートツール」までスクロールして「パスワードのリセット」を選び、「他のユーザをサポート」を選びます。入れた情報は、借りた端末には保存されません。
復旧用連絡先を設定していれば、その人に連絡し、その人の端末に出る6桁のコードを教えてもらいます。電話で伝えてもらうほか、会って手伝ってもらうこともできます。復旧キーを設定していれば、28文字のキーと信頼できる電話番号でリセットします。途中で、アカウントのメールアドレスや、信頼できる電話番号に届く確認コードなどを求められることもあります。
気をつけたいのは、復旧キーを設定していると、通常の「アカウントの復旧」が使えなくなることです。リセットは、復旧キーと信頼できる電話番号を使うやり方に限られます。キーを入れられなければ、完全にロックアウトされることがあるとAppleは書いています。復旧キーを作るかどうかは、あとの節で改めて考えます。
どれも使えなければ「アカウントの復旧」を待つ
信頼できる端末も、復旧用連絡先も、復旧キーも無いときは、「iforgot.apple.com」から「アカウントの復旧」を申し込みます。安全のための仕組みで、終わるまで数日以上かかることがあり、Appleサポートに問い合わせても短くはなりません。待つしかありません。申し込んでから72時間以内に、いつアクセスできるようになるかを書いた確認のメールが届きます。準備が整うと、手続きに使った電話番号にメール、SMS、または自動音声の電話で連絡が来ます。
待っているあいだにしてはいけないこととして、Appleのヘルプは、早めてほしいと問い合わせることと、新しい申し込みを出し直すことを挙げています。どちらも、かえって待ち時間を延ばすことがあります。ウェブで申し込んだ場合は、待つ間、すべてのApple製の端末の電源を切っておきます。サインインしたままの古い端末が見つかって、それでパスワードを変えると、申し込みは取り消されます。iPhoneの写真を見たいからと電源を入れたくなりますが、ここは我慢のしどころです。
確認のメールが72時間たっても見つからなければ、迷惑メールとゴミ箱のフォルダを探し、それでも無ければ「iforgot.apple.com」で申し込みが生きているかを確かめます。生きていれば予定の日時が分かり、無効になっていれば申し込み直せます。予定の日時を過ぎても連絡が無いときは、「apple.com/recover」を直接開きます。どの段階でも、申し込んだときと同じメールアドレスか電話番号を入れます。
「使用停止」「ロック」と表示されたとき
「このApple Accountは、セキュリティの問題により使用が停止されています」のような表示が出たときは、パスワードをリセットしてアクセスを取り戻すよう、Appleは案内しています。ロックされた、無効になったと表示されたときは、知らせの画面にある「アクセスを要求」か、Appleのロック解除のページから申請します。申請が断られ、アクセスを取り戻せなかったときの対処として、Appleのヘルプは新しいAppleアカウントを作ることを挙げています。
新しいアカウントを作り直しても、古いアカウントのiCloudにあった写真と動画は付いてきません。乗っ取りの手続きがうまくいかなかったときに最後に残るのは、iCloudの外にある控えだけです。この順番で考えると、パソコンや外付けのドライブ、ディスクに写真を置いておく意味がはっきりします。
ログインできないGoogleアカウントは、アカウント復元のページで質問に答える
乗っ取りや不正使用に遭ったアカウントを守るためのGoogleのヘルプは、ログインできないときの手順として、アカウント復元のページで質問に答えることを挙げています。パスワードや再設定用の電話番号を第三者に変えられた場合、アカウントが削除された場合も、使うのはこのページです。アドレスそのものを忘れたときは、ユーザー名を探す手順もあります。
復元のページで答えるときのコツ
復元をうまく進めるためのヒントは、別のヘルプのページにまとまっています。ふだんログインしているパソコンやスマホ、ふだん使っているブラウザ、自宅や職場などいつもの場所から試します。質問は省かず、答えに自信がなくても別の質問に逃げずに、いちばん近いと思う答えを入れます。間違えても、それで手続きができなくなることはないと書かれています。迷ったら推測で答えます。
パスワードを聞かれたら、覚えている中でいちばん新しいものを入れます。新しいほど復元できる見込みが高まるからです。大文字と小文字、入力の誤りにも気をつけます。Googleからのメールが見当たらなければ、迷惑メールのフォルダを探します。本人のアカウントだと確認できなかった、という表示が出ても、もう一度試せます。どうしても戻らなかったときの案内は、代わりのアカウントを作ることです。Appleと同じく、写真が自動で付いてくるわけではありません。
この手続きの最中に「Googleの担当者」を名乗る電話やメッセージが来て、確認コードを聞かれたら、相手は偽物です。Googleは、パスワードや確認コードをメール、電話、メッセージで尋ねることはなく、入力するのは「accounts.google.com」だけだと明記しています。復元の途中は焦っていて、こうした連絡に応じやすい時間でもあります。
入れたら、セキュリティ イベントとデバイスから見る
ログインできたら、Googleアカウントの「セキュリティとログイン」を開き、「最近のセキュリティ イベント」で「セキュリティ イベントを確認」を選びます。並んでいる出来事に心当たりがなければ「いいえ、リクエストしていません」を選びます。続いて「お使いのデバイス」から「デバイスを管理」を開き、ふだんと違う端末があれば、その端末に心当たりがない場合の手順で外します。
そのうえで、パスワードを変えます。同じパスワードをほかのサイトでも使っていたなら、そちらも変えます。追加の対策としてヘルプに並ぶのは、2段階認証プロセスを有効にすること、有害なソフトを取り除くこと、Chromeのパスワード アラートを使うこと、端末の画面ロックを使うことです。銀行などに、他人が口座を開いたり送金を指示したりしていないかを確かめる、という項目もあります。
再設定用の連絡先と、ほかのサービスの設定を戻す
乗っ取った相手は、次も入れるように、再設定用の電話番号とメールアドレスを自分のものに変えていることがあります。「セキュリティとログイン」の「Googleにログインする方法」から「再設定用の電話番号」「再設定用のメールアドレス」を開き、今の自分の連絡先に直します。ヘルプによれば、電話番号の変更が反映されるまで最長7日ほどかかることがあります。アカウントにアクセスできるアプリの一覧も見て、覚えのないものを外します。
ほかのサービスについても、Gmail、Chrome、Googleドライブ、Googleフォト、現在地の共有の設定を見直すよう案内されています。写真の側では、ゴミ箱に消した覚えのない写真が入っていないか、パートナーとの共有や共有アルバムに覚えのない相手が加わっていないかを見ます。Google Pay、Google Play、Google広告に覚えのない請求や支払い方法が無いかも、同じ日に確かめます。
「アカウント全体が無効」と表示されたとき
ログインしようとすると、アカウント全体が無効になったと表示される場合があります。乗っ取りではなく、Googleが規約違反と判断して止めた状態です。ブラウザでログインし、「再審査請求を開始」を選んで、画面の指示に従います。一部の違反では再審査は2回までで、1回目が退けられたら情報を足して2回目を出せますが、それ以降は自動で退けられます。認められなければアカウント全体が使えないままになり、対応しなければ削除の対象になります。
無効になったアカウントでも、ふだんどおりログインを試すと、一部のサービスのデータをダウンロードできる場合がある、とGoogleは書いています。ただし重大な違反などでは、ダウンロードもできなくなることがあります。どの写真が取り出せるかは、そのときになってみないと分かりません。だから、止められる前に手元へダウンロードしておくことが、写真と動画を守るいちばん確かな手段になります。
取り戻したら、写真と動画の残りを30日のうちに数える
アカウントに戻れたら、その日のうちに写真と動画が残っているかを確かめます。iCloud写真は、1台の端末で写真やビデオを消すと、iCloud写真を使っているすべての端末から消える仕組みです。消したものは「最近削除した項目」に入り、30日以内なら戻せますが、30日を過ぎると完全に消えて戻せません。Googleフォトも、消した写真と動画はゴミ箱に30日残ったあと完全に削除され、そこから先は戻せないとヘルプに書かれています。
30日の期限は、消された日から数える
やっかいなのは、いつ消されたのかが本人には分からないことです。気づいたのが消されてから3週間後なら、残りは1週間ほどしかありません。ゴミ箱に見覚えのない写真がまとまって入っていたら、選び分けるのは後回しにして、まず全部を元に戻します 。戻してから、要らないものを自分の手で消し直せばよいのです。順番は逆にしません。ゴミ箱を空にする操作は、確かめ終わるまでしないようにしましょう。
Googleフォトのゴミ箱には容量の上限があり、いっぱいになると、新しく消すものに「完全に削除」をうながす表示が出るとヘルプにあります。乗っ取った相手が大量に消した後は、ゴミ箱がいっぱいに近い状態になっていることも考えられます。戻す作業を始めたら、写真を整理しようとして新しく消すのはやめておきましょう。
件数で確かめる
写真が残っているかは、件数で比べると分かります。比べる相手は、乗っ取りの前の数です。去年パソコンにダウンロードした写真の数、去年作った控えのディスクに入れた動画の本数、Googleのデータ エクスポートで書き出したときの数などが手がかりになります。前の数がどこにも無い家は、ここで初めて「比べる相手が無い」ことに気づきます。年に一度控えを作る習慣は、この確かめのためにも役に立ちます。
動画は件数だけでなく、何本かを最後まで再生して確かめます。サムネイルが並んでいても、中身がクラウドにしか無く、通信がつながったときにだけ読み込む状態のこともあるからです。子どもの誕生日や発表会など、なくして困る動画から先に開き、日付と長さが記憶と合っているかを見ます。
ゴミ箱にも無いときに探す場所
ゴミ箱にも見当たらなければ、アカウントの外を探します。パソコンに前にコピーした写真、外付けのドライブ、家族のスマホ(同じ場面を家族も撮っていることが多い)、祖父母に送った動画、園や学校から受け取ったDVDなどです。しばらくネットにつないでいない古いiPadやスマホにも、同じアカウントの写真が残っていることがあります。
古い端末を見つけたら、すぐにWi-Fiにつながないようにしましょう。iCloud写真やGoogleフォトの同期が動き出すと、ほかの端末で消した操作がその端末にも届くおそれがあるからです。機内モードにしたまま、ケーブルでパソコンにつないで写真と動画を写し、写し終わってから同期のことを考えます。パソコンへの写し方は、Macなら写真アプリ、Windowsならフォトアプリの取り込みの機能を使います。iPhoneで「iPhoneのストレージを最適化」を使っていた端末には、元の写真ではなく縮小した版しか入っていないことがある点も覚えておきます。
乗っ取られていたあいだに、知り合いへ連絡が行っていないか
乗っ取られたアカウントは、持ち主の知り合いをだます道具にも使われます。IPAが紹介したインスタグラムの例では、奪われたアカウントが投資の勧誘のDMや投稿に使われました。LINEを乗っ取られて、知り合いにお金を求めるメッセージを送られた相談もありました。送った覚えのないメッセージは、Appleのヘルプでも乗っ取りの兆しの一つです。
取り戻したら、送信済みのメッセージとメールを見て、自分が送っていないものが無いかを確かめます。iPhoneならメッセージのアプリ、Googleアカウントなら、Gmailの送信済みのメールが手がかりです。覚えのないものがあれば、受け取った相手に、乗っ取られていたことを別の手段で伝えます。電話か、別のアプリで伝えるのが確実です。乗っ取られたアカウントから「乗っ取られました」と送っても、相手には本物かどうかが分かりません。
伝えるときは、乗っ取られていた期間と、そのあいだに届いたお金や確認コードの頼みには応じないでほしいことを、短く伝えます。祖父母や親戚は、孫や子どもの名前で届いた頼みに応じやすい立場です。グループで一斉に知らせるより、一人ずつ電話をかけるほうが確実です。
買い物の履歴も見ます。Appleのヘルプは身に覚えのない購入も兆しに挙げ、Googleのヘルプは、Google Pay、Google Play、Google広告に覚えのない請求や支払い方法が無いかを確かめるよう書いています。カードの番号を偽のページに入れていたなら、カード会社に連絡して、止めるかどうかを相談します。請求が見つかったときは、記録と一緒に、「気づいたら」の節で挙げた窓口にも相談できます。
2段階認証をしていても破られる型を知っておく
2段階認証は乗っ取りを大きく減らす設定ですが、それだけで終わりにはできません。警察庁は2026年3月に公表した2025年の情勢で、リアルタイム型フィッシングにより2段階認証を突破する手口が、2019年ごろから広がっていると書いています。金融庁も2026年4月の広報資料で、メールやSMSに届くワンタイムパスワードを使う多要素認証は、リアルタイムのフィッシングに弱いと説明しています。
流れは次のとおりです。本物そっくりのメールやSMSで偽のログイン画面に誘い、利用者がIDとパスワードを入れると、相手はほぼ同時に本物のサイトへ同じ情報を入れます。本物のサイトから利用者のスマホに確認コードが届き、利用者はいつもの手続きだと思って偽の画面に入れてしまいます。相手はそのコードでログインを済ませ、登録情報を書き換えます。
気づける場所は三つあります。メールやSMSのリンクから開いたページで確認コードを求められたとき。電話の相手にコードを聞かれたとき。自分は何もしていないのに確認コードが届いたとき。三つ目は、誰かがパスワードまでは知っているという知らせでもあるので、コードは誰にも伝えず、すぐにパスワードを変えます。証券口座の乗っ取りで使われた手口と見分け方はフィッシング詐欺の最新の手口 に詳しく書いています。
パスキーは偽のサイトで使えない
パスキーは、パスワードの代わりに指紋や顔、端末の画面ロックでログインする方式です。鍵の片方は自分の端末に残り、サービスの側には対になる鍵だけが登録されます。鍵は本物のサイトの住所とひもづいているので、偽のサイトでは使われません。フィッシング対策協議会も、アクセス先の住所が一致しなければ認証が通らない仕組みだと説明しています。IPAも、パスキーが使えるならできるだけ使うよう勧めています。
ただし、パスキーが守るのはログインするときです。先に挙げたGoogleの報告のように、端末に入り込んだマルウェアがログイン済みの状態を盗む手口には、パスキーでも2段階認証でも対応できません。OSとアプリを新しく保つこと、知らない相手から届いたファイルを開かないこと、案件の話は相手の会社の公式の窓口に別の経路で確かめることと、組み合わせて考えます。
電話で手続きを急がされる型
電話を使う型もあります。フィッシング対策協議会は2026年6月公開のフィッシングレポートで、電話で指示しながら偽のサイトにアカウントの情報を入れさせ、さらにワンタイムパスワードもその場で入れさせて盗み取る流れを紹介しました。協議会は、正規の事業者が電話でワンタイムパスワードや暗証番号を尋ねることはない、としています。
電話の相手が「アカウントが乗っ取られています」「今すぐ手続きしないと止まります」と急がせてきたら、いったん切ります。切ってから、自分で「設定」アプリかブックマークした公式の画面を開いて確かめます。本物の手続きなら、電話を切って自分で確かめても困ることはありません。
コードを伝えてほしいという頼みは断る
IPAの事例のように、知人のアカウントから「コードが届くので教えて」と頼まれる型もあります。知人のアカウントもすでに乗っ取られていることが多く、文面だけでは見分けられません。確認コードは、誰からどんな理由で頼まれても伝えない、と家族で決めておきましょう。電話で本人に確かめる、という一手間で防げる被害です。
逆の立場にも気をつけましょう。Appleの復旧用連絡先になった人の端末には、相手が手続きをしたときに6桁の復旧用コードが表示されます。そのコードで相手のアカウントのパスワードをリセットできるので、伝える前に、本当に本人からの頼みかを電話か対面で確かめます。親から頼まれて復旧用連絡先になっている子ども、きょうだいどうしで指名し合っている家では、とくに覚えておきたい点です。
ふだんの使い方で、入り込まれる隙を減らす
設定の前に、ふだんの使い方も見直しておきましょう。IPAは2025年8月の注意喚起で、不正ログインの主な原因として、推測されやすいパスワード、ほかのサービスから漏れたパスワードの使い回し、偽のサイトへのIDとパスワードの入力の三つを挙げました。どれも、設定を一つ変えるだけでは消えない、日々の習慣に近い原因です。
パスワードは長く、サービスごとに変える
使い回しが危ないのは、どこか一つのサービスから漏れたIDとパスワードの組み合わせを、別のサービスで次々に試されるからです。AppleアカウントとGoogleアカウントのパスワードは、ほかのどのサービスとも違うものにしましょう。覚えきれない分は、パスワード管理の機能に任せます。パスワード管理の機能では、Googleのパスワード マネージャーに「パスワード チェックアップ」があり、弱いパスワードや使い回しを見つけられます。
知らせのリンクから開かず、ブックマークと公式のアプリから開く
フィッシング対策協議会、金融庁、警察庁がそろって勧めているのは、メールやSMSのリンクを開かず、公式のアプリかブックマークから確かめることです。Appleアカウントなら「設定」アプリ、Googleアカウントならブックマークした「myaccount.google.com」から開くと決めておけば、文面がどれだけ本物らしくても迷わずに済みます。
送信元の表示だけで判断しないようにしましょう。フィッシング対策協議会は2026年6月、国内のインターネット接続事業者のメールのIDとパスワードが不正に使われ、そこからフィッシングのメールが送られたとみられる事案を公表しました。正規の事業者のメールの仕組みから届いたメールでも、中身が偽物のことがあります。SMSには、携帯電話会社が審査した事業者だけが使える「0005」で始まる共通の番号もありますが、番号だけで決めずに、公式のアプリで確かめる手順は変えません。
アプリは公式のストアからだけ入れる
フィッシング対策協議会は2026年9月、実在の会社をかたるメールやSMSから偽のサイトに誘い、不正なAndroidのアプリを入れさせる型について、緊急の情報を出しました。ポイントの失効、当選、クーポン、アプリの更新などを口実にするものです。アプリは公式のアプリストアか正規のサイトのリンクから入れ、更新は端末の設定かアプリストアから行いましょう。iPhoneだから安全とも言えません。iPhoneの利用者には、偽のサイトに入力させる型が向けられています。
端末を手放す前に、アカウントから外す
スマホやタブレットを売る、譲る、下取りに出す前には、アカウントから外しておきましょう。iPhoneは、「設定」の自分の名前の画面の下にある端末の一覧から、端末を選んで「アカウントから削除」で外せます。盗難デバイスの保護をオンにしている場合は、手放す前にオフにする必要があります。よく知っている場所の外では、オフにするのにも1時間の待ち時間がかかります。
Googleアカウントでは、「お使いのデバイス」の「デバイスを管理」から、手放した端末を外します。手放した端末が一覧に残ったままだと、覚えのない端末が混ざったときに見分けがつきにくくなります。一覧は短いほど見やすくなります。今使っている端末だけが並ぶ状態を、ふだんの形にしておきましょう。
奪われる前に|Appleアカウントで済ませておく設定
ここからは、乗っ取りに遭う前に済ませておく設定です。Appleアカウントで見ておくのは、2ファクタ認証、信頼できる電話番号、復旧用連絡先、復旧キー、セキュリティキー、盗難デバイスの保護の六つです。全部を入れる必要はなく、家の事情に合わせて選びます。どれも「設定」アプリの自分の名前から「サインインとセキュリティ」の中にまとまっています。
2ファクタ認証と、2つ目の信頼できる電話番号
2ファクタ認証は、パスワードに加えて、信頼できる端末に表示されるか、信頼できる電話番号に届く6桁の確認コードを求める仕組みです。iPhoneでは「設定」で自分の名前、「サインインとセキュリティ」、「2ファクタ認証」と進んでオンにします。アカウントを作ったときから2ファクタ認証を使っている場合は、オフにはできません。オンかどうかは、この画面で確かめられます。オンになっていたら、次は中身を見ます。
中身で見るのは電話番号です。同じ「2ファクタ認証」の画面で「信頼できる電話番号を追加」をタップすると、番号を増やせます。以前登録した番号にアクセスできなくなったときに役立つ、とAppleの利用者ガイドは説明しています。確認コードはSMSか自動音声の電話で受け取れるので、自宅の電話など、自分が受けられる2つ目の番号を足しておくと、スマホをなくしたときにもコードを受け取る手段が残ります。解約した古い番号が残っていたら、横の削除のボタンで外し、「完了」をタップします。
同じく自分の名前の画面の下のほうには、アカウントにひもづく端末の一覧が出ます。売った、譲った、使えなくなって処分したiPhoneが残っていれば、その端末をタップして「アカウントから削除」を選びます。確認コードが表示される端末は、手元にあるものだけにしておきましょう。
復旧用連絡先は、家族か親しい人を1〜2人
復旧用連絡先は、自分がアカウントに入れなくなったときに、6桁の復旧用コードを受け取って伝えてくれる人です。その人がアカウントに入れるわけではなく、コードを伝えるだけです。「設定」で自分の名前、「サインインとセキュリティ」、「復旧用連絡先」、「復旧用連絡先を追加」と進み、候補から選ぶか、ほかの連絡先を選びます。ファミリー共有のメンバーは選ぶだけで加わり、それ以外の人はメッセージで届く依頼を承諾します。
条件は、自分も相手もApple製の端末をiOS 15、iPadOS 15、macOS Monterey 12以降にしていること、どちらもiMessageを使っていること、どちらも13歳を超えていること(国や地域で異なる)などです。最大5人まで指名できます。Appleは誰が復旧用連絡先かを把握できないので、誰に頼んだかは自分で覚えておく必要があります。指名しなくても復旧の手続きはできますが、時間がかかることがあります。
選ぶなら、同じ家に住む家族のほかに、別の家に住む親かきょうだいを一人入れておくと安心です。同じ家の家族は、火事や盗難で同じときに端末をなくすことがあるからです。離れた家の一人が支えになります。指名したら、選んだ理由と、コードを頼むときは必ず電話か対面で頼むことを、相手に一言伝えておきましょう。
復旧キーは、無くしたら戻れないことを承知で作る
復旧キーは28文字のコードで、信頼できる電話番号やApple製の端末と組み合わせてアカウントを取り戻すためのものです。iPhoneでは「設定」で自分の名前、「サインインとセキュリティ」、「復旧キー」と進み、作ったキーを書き留めて、確かめのためにもう一度入力します。Macも「システム設定」から同じ順で進みます。
前にも書いたとおり、復旧キーを設定すると通常の「アカウントの復旧」は使えなくなります。キーを無くしてもAppleは再発行できません。頼りは紙だけです。置き方は、印刷するか書き留めて安全な場所に複数置くよう勧められていて、パスワードのアプリ、iCloud写真、メモ、iCloud Driveには置かないよう注意書きもあります。アカウントに入れないときに、アカウントの中にある鍵は取り出せないからです。紙の管理に自信が無ければ、復旧キーは作らず、復旧用連絡先を指名するほうが合う家もあります。
「高度なデータ保護」をオンにする場合は、復旧用連絡先か復旧キーのどちらかを少なくとも1つ設定するよう求められます。写真もエンドツーエンドで暗号化され、鍵は信頼できる端末だけが持つので、アカウントに入れなくなったとき、Appleはデータの復旧を手伝えません。守りが固くなる分、鍵の管理は自分で引き受けることになります。なお、共有アルバムはこの暗号化の対象外です。
セキュリティキーと、盗難デバイスの保護
セキュリティキーは、パソコンやスマホにつなぐ小さな認証の機器です。Appleアカウントで使うには、FIDOの認証を受けたキーを少なくとも2つ用意し、最大6つまで登録できます。「サインインとセキュリティ」、「2ファクタ認証」、「セキュリティキー」、「セキュリティキーを追加」と進みます。オンにすると、6桁の確認コードだけではサインインできなくなり、偽の画面にコードを入れさせる手口が通らなくなります。そのかわり、信頼できる端末とキーを全部なくすとロックアウトされることがあり、子ども用のアカウントでは使えません。
盗難デバイスの保護は、iOS 17.3以降のiPhoneで、自宅や職場などよく知っている場所の外にいるときに守りを固くする機能です。「設定」の「Face IDとパスコード」(Touch IDの機種は「Touch IDとパスコード」)を開いてパスコードを入れ、「盗難デバイスの保護」をオンにします。よく知っている場所の外では、Appleアカウントのパスワードの変更や、復旧キー、復旧用連絡先の変更に、Face IDかTouch IDでの認証と1時間の待ち時間がかかるようになります。パスコードを盗み見られてiPhoneを奪われても、その場でアカウントを書き換えられにくくなります。
Googleアカウントは、パスキーと紙のバックアップ コードを用意する
Googleアカウントで済ませておくのは、パスキーの作成、2段階認証プロセス、バックアップ コード、再設定用の電話番号とメールアドレス、それに年に一度のセキュリティ診断です。どれも「Googleアカウント」の「セキュリティとログイン」から開けます。パソコンでもスマホでも、ブラウザで「myaccount.google.com」を開けば、Googleアカウントの管理の画面に入れます。設定は家族一人ずつ、それぞれのアカウントで行います。
パスキーを作る
パスキーは、ブラウザで「myaccount.google.com/signinoptions/passkeys」を開き、「パスキーを作成する」から「パスキーを作成」を選んで、端末のロックを解除すると作れます。使う端末ごとに同じ手順を繰り返します。ヘルプに書かれた対象は、パソコンがWindows 10、macOS Ventura以降、スマホがAndroid 9、iOS 16以降で、iPhoneやMacではiCloudキーチェーンをオンにしておく必要があります。
気をつけたいのは、パスキーは端末のロックを解除できる人なら使えることです。便利さの裏返しです。パスキーは自分が持って使っている端末でだけ作ること、共有の端末では作らないことも、ヘルプに書かれています。家族みんなでパスコードを知っているタブレットや、リビングのパソコンには作らないようにしましょう。パスキーを作ったスマホをなくしたら、別の端末でログインし、「セキュリティとログイン」の「パスキーとセキュリティ キー」から、そのパスキーを削除します。
2段階認証プロセスと、印刷したバックアップ コード
2段階認証プロセスは、「セキュリティとログイン」の「Googleにログインする方法」から有効にします。2つ目の手順として選べるのは、スマホに届くGoogleからのメッセージ、パスキー、セキュリティキー、確認コードのアプリ、登録した電話番号に届く6桁のコード、バックアップ コードなどです。SMSのコードは偽の画面に入れさせられる型があるので、使えるならパスキーを主にして、SMSは予備にしておきましょう。
バックアップ コードは、スマホをなくしたときに使う8桁のコードで、10個で1セット、それぞれ1回だけ使えます。「2段階認証プロセス」の画面の「バックアップ コード」から作り、「印刷」で紙にするか、「コードをダウンロード」でファイルにします。新しいセットを作ると古いセットは自動で無効になるので、作り直したら古い紙は処分します。使ったコードには印を付けておきます。印刷したコードは、重要な書類と同じように保管するよう勧められています。
再設定用の電話番号とメールアドレスを、今の連絡先に
再設定用の電話番号とメールアドレスは、ログインできなくなったときにコードを受け取ったり、不審な動きの知らせを受けたりする先です。「Googleにログインする方法」の中の「再設定用の電話番号」「再設定用のメールアドレス」から確かめます。再設定用のメールアドレスは、ログインに使うアドレスとは別のものにします。携帯電話会社のメールアドレスを登録していると、会社を変えたときに届かなくなることがあるので、何年も前に登録したままなら今の連絡先に直します。
セキュリティ診断を、年に一度
アカウントの守りを固める最初の手順として、Googleのヘルプが挙げるのが「セキュリティ診断」です。開くと、アカウント復元のための連絡先の追加や更新、パスキーの作成、2段階認証の有効化、アカウントにアクセスできるアプリの見直し、画面ロックの有効化といった、そのアカウントに合った対策が並びます。パスワード マネージャーの「パスワード チェックアップ」では、弱いパスワードや使い回しも見つかります。年に一度、日を決めて開けば、古い端末や昔のアプリが残ったままになるのを防げます。
AppleとGoogleで済ませておく設定を、一枚の確認表にまとめました。人数分を印刷して、終わったものに印を付けていくと、誰のどの設定が残っているかが分かります。子どものアカウントや親のスマホのアカウントも、同じ表で確かめられます。セキュリティキーのように子ども用のアカウントでは使えない設定もあるので、その欄は空けておきます。
家族の人数分を印刷し、アカウントごとに印を付けていく
非常用の鍵は、紙にして家の2か所に置く
復旧キー、バックアップ コード、セキュリティキーは、アカウントに入れなくなったときのための非常用の鍵です。この鍵をアカウントの中にしまうと、締め出されたときに取り出せません。Appleが復旧キーをパスワードのアプリやiCloud写真、メモ、iCloud Driveに置かないよう注意しているのも、同じ理由です。Googleのバックアップ コードを、GmailやGoogleドライブにだけ保存していると、やはり同じことになります。
紙に印刷し、作った日付を書いて封筒に入れ、家の中の決まった場所に1つ、別の場所にもう1つ置きます。セキュリティキーを2つ持つなら、1つはふだん持ち歩き、もう1つは家に置きます。誰を復旧用連絡先に指名したかも、同じ封筒に書いておきます。Appleはその一覧を持っていないからです。封筒を家族に預けるときの書き方や、亡くなったあとに家族が手続きする仕組みとの違いは、アカウントを家族へ引き継ぐ設定で詳しく扱っています。
鍵は作り直したら、古い紙を必ず処分しましょう。古いバックアップ コードは無効になっていても、いつのものか分からない紙が何枚も残っていると、いざというときに迷います。年に一度の点検の日に、封筒の日付と、アカウントの画面の最新の状態が合っているかを確かめます。
家族の分も、まとめて点検する
家族の写真と動画は、一人のアカウントにまとまっていないことがほとんどです。子どもの日常の写真は母のiCloud写真に、運動会の動画は父のGoogleフォトに、昔の写真は前に使っていたAndroidのGoogleアカウントに、という具合に散らばっています。乗っ取りや停止が起きるのはアカウントごとなので、守る設定も、家族の一人ひとりのアカウントで済ませる必要があります。
最初に、家族の誰が、どのアカウントに、どの写真を置いているかを書き出します。次のような表を紙に1枚作るだけで、点検の漏れが減ります。鉛筆で書けば十分です。右端の欄には、非常用の鍵が何で、どこにあるかを書きます。鍵そのものは書かず、在りかだけを書くのがこつです。
人:父
アカウント:Googleアカウント
写真と動画の置き場:Googleフォト(運動会・旅行)
非常用の鍵:バックアップ コード(印刷済み)
人:母
アカウント:Appleアカウント
写真と動画の置き場:iCloud写真(日常・誕生日)
非常用の鍵:復旧用連絡先(祖母・父)
人:祖母
アカウント:Googleアカウント
写真と動画の置き場:スマホの中と共有アルバム
非常用の鍵:再設定用の電話番号(母の番号)
人:前の機種
アカウント:古いGoogleアカウント
写真と動画の置き場:子どもが0〜3歳の写真
非常用の鍵:不明(要確認)
祖父母のアカウントは、SMSで届いたコードを聞き出される型に遭いやすい立場にあります。知り合いを名乗るメッセージでコードを頼まれても教えない、困ったら子どもに電話する、という決まりを、帰省のときなどに顔を合わせて伝えておきましょう。祖父母の復旧用連絡先に子どもを指名しておくと、締め出されたときにも離れた家から手伝えます。
前の機種で使っていた古いGoogleアカウントは、とくに気をつけましょう。2年間使われていない個人のアカウントは削除の対象になり、削除の前の知らせは、そのアカウントのアドレスと再設定用のアドレスにしか届きません。誰も開かないアドレスに知らせが届いても気づけないので、古いアカウントに写真が残っているなら、今のうちにログインして写真をダウンロードしておくか、メールを読むなど、Googleが「使用」とみなす操作を2年以内に一度はしておきます。
子どもが自分のスマホを持ったら、子どものアカウントも表に加えます。確認コードを誰にも教えない決まりは、子どもにも同じように伝えます。子ども用のAppleアカウントではセキュリティキーが使えず、復旧用連絡先も本人と相手が13歳を超えていること(国や地域で異なる)が条件なので、親が管理する範囲と本人が設定する範囲を分けて考えます。
共有アルバムで見ている写真にも注意がいります。共有アルバムの写真は、作った人のアカウントの中にあります。自分のライブラリに保存していない写真は、作った人のアカウントに何かあったとき、自分の手元には何も残りません。祖父母や親戚が作った共有アルバムで、手元に残したい写真や動画は、自分のライブラリにも保存しておきましょう。
クラウドの「戻せる」は、同じアカウントの中の話
クラウドのサービスには、消してしまったものを戻す仕組みがあります。iCloud Driveで消したファイルは30日以内なら戻せます。Googleドライブのゴミ箱は30日、Googleフォトのゴミ箱も30日です。OneDriveのごみ箱は、個人用のアカウントで削除から30日以内で、OneDrive全体を過去30日以内の時点に戻す機能は、個人向けのMicrosoft 365の契約がある場合に使えます。期間はプランや契約で変わります。
どれも、そのアカウントに入れることが前提です。乗っ取った相手にゴミ箱ごと消されたり、アカウントを止められたりすれば、戻す仕組みにも手が届きません。期間の長さより先に、戻す場所が同じアカウントの中にあるという点を押さえておきましょう。マイクロソフトは、2026年9月30日に発効した個人向けのサービス規約で、サービスが止まった場合などに備えて、保存したデータを定期的にバックアップするよう利用者に勧める条項を置いています。
同期とバックアップの違いも、ここで関わってきます。同期は、どの端末で消しても全部の端末から消える仕組みです。米国の政府機関(旧US-CERT)の資料は、自動で上書きしていくバックアップは、元のファイルの破損やマルウェアを気づかないうちにバックアップまで広げてしまうと説明しています。クラウドに写真を預けていても、同期しているだけなら、それは控えではなく、同じ写真を複数の端末で見ている状態です。
大きな組織でも、届く場所にあるバックアップは消された
警察庁が2026年3月に公表した2025年の情勢では、ランサムウェアの被害に遭った組織のうち、バックアップから復元できたのは有効回答99件中20件でした。復元できなかった理由でいちばん多かったのは、バックアップも暗号化されたり消されたりしたことで、72件中48件です。攻撃する側は、侵入したあとにバックアップを探し、届く場所にあれば一緒に使えなくします。大手企業の例は大手企業のランサムウェア被害に学ぶ にまとめています。
家庭のアカウントの乗っ取りでも、考え方は同じです。乗っ取った相手が触れられる場所にある写真は、消される可能性があります。触れられない場所、つまりアカウントにもネットにもつながっていない場所に、もう1つ控えを置いておけば、どの道で入れなくなっても写真は残ります。
家族の写真に当てはめる3-2-1
バックアップの経験則に「3-2-1」があります。コピーを3つ持ち、2種類の媒体に分け、1つは別の場所に置く、という考え方で、米国の政府機関(CISA)も中小企業向けの案内で信頼できる指針として紹介しています。法律や公的な基準で決まった決まりではありませんが、家族の写真にもそのまま当てはめられます。
当てはめると、1つ目はスマホとクラウドの写真(同じアカウントの中なので、まとめて1つと数えます)、2つ目は家の外付けのドライブ、3つ目はディスクにして祖父母の家などに置く分です。外付けのドライブとディスクは種類の違う媒体で、ディスクは家の外にあります。クラウドとディスクの組み合わせ方は写真・動画の長期保存はクラウドとDVDのどっち? で、容量の超過や停止に備える考え方はクラウドに全部預けている人の備えで、それぞれ詳しく扱っています。
写真と動画を、アカウントの外へダウンロードしておく
アカウントの外に控えを作る第一歩は、クラウドの写真と動画を、元の画質のまま手元のパソコンかドライブにダウンロードすることです。乗っ取られてからでは間に合わないので、何も起きていない今のうちに一度済ませておきましょう。2回目からは、前回のあとに増えた分だけを足していけば済みます。
Googleフォトから全部をダウンロードするなら、Googleのデータ エクスポート(Takeout)でGoogleフォトだけを選んで書き出します。届くファイルには撮影日などの情報が別のファイルに分かれて入るなど、いくつか気をつける点があります。手順と注意はGoogleフォトから全部ダウンロードするに書きました。「保存容量の節約画質」で預けた写真は、元の画質では戻ってきません。
iCloud写真は、iPhoneが「iPhoneのストレージを最適化」になっていると、端末には縮小した版しか無いことがあります。Macの写真アプリでライブラリごとダウンロードする、iPhoneを元の写真を端末に置く設定に切り替えてからパソコンへ写す、などの方法があります。それぞれの手順と、iCloud.comからダウンロードするときの数の上限はiCloud写真・Amazon Photosを解約する前ににまとめています。
動画から先に下ろす
全部を一度にダウンロードするのが大変なら、動画から先に手を付けましょう。写真に比べて1本あたりの量が大きく、撮り直しがきかないうえ、スマホの容量を空けるためにクラウドにだけ残していることがあるからです。子どもの誕生日、初めて歩いた日、発表会、運動会など、あとで見返したい場面の動画を優先し、日常の短い動画は後に回します。写真は後でも間に合います。
ダウンロードした動画は、何本かを最後まで再生して、途中で止まらないか、音が出るかを確かめます。ファイルの大きさが極端に小さいものは、縮小した版の可能性があります。確かめ終わるまでは、クラウドの側の写真を消さないでおきましょう。iPhoneで撮った動画は、古いWindowsのパソコンでは開けない形式のことがありますが、それはファイルがおかしくなっているのとは別の話です。
フォルダは年と月で分ける
ダウンロードした写真と動画は、年のフォルダの中に月のフォルダを作って分けます。「2026」の中に「2026-01」「2026-02」と並べる形です。名前に年月を数字で入れておくと、どのパソコンでも名前の順に並べるだけで時間の順になります。何人かのスマホから集めるなら、月のフォルダの中で、誰の端末からかが分かる名前を付けておくと、同じ写真が重なっても見分けられます。
この分け方は、あとで焼くディスクの中身にもそのまま使えます。毎年同じ形にしておけば、何年か後に家族が開いても迷いません。年に一度の控えのときは、その年のフォルダを1つ足すだけです。月のフォルダの名前を途中で変えると、並びが崩れるので、最初に決めた形を続けます。
HEICの写真は、JPEGの写しも作るか決める
iPhoneのカメラを「高効率」の設定で使っていると、写真はHEICという形式で保存されます。新しいパソコンでは開けても、古いパソコンや別の機器では開けないことがあります。何年か後に開くかもしれない控えなので、元のHEICのファイルはそのまま残し、見るための写しとしてJPEGに変えたものも別のフォルダに置いておく、というやり方もあります。
写しを作ると容量が増えるので、全部ではなく、家族が見返したい写真だけにするのが現実的です。写しのフォルダは、ディスクに焼くときも元のフォルダとは分けて入れます。どちらにしても、元のファイルを変えずに残すことを先に決めます。撮影した日時などの情報は、形式を変えるときに消えることもあるからです。
外付けのドライブは、使うときだけつなぐ
ダウンロードした写真を入れる外付けのドライブは、つなぎっぱなしにしないようにしましょう。IPAの中小企業向けの診断の項目には、バックアップに使う装置や媒体はバックアップのときだけパソコンとつなぐ、という対策が挙がっています。パソコンがマルウェアに感染しても、抜いてあるドライブには届きません。外付けのドライブにも寿命があり、ぶつけたりすれば読めなくなることもあるので、これ一つに頼らず、次の節のディスクと組み合わせます。
家族の動画は、年に1回ディスクにしておく
アカウントにもネットにもつながっていない控えとして、家族の動画を年に1回、DVDかブルーレイにしておきましょう。ディスクにする理由は三つあります。一つ目は、家のプレーヤーに入れれば、アカウントもパスワードも通信も要らずに見られることです。乗っ取りの手続きを待つ数日のあいだも、規約の判断でアカウントが戻らなかったときも、棚の1枚は変わらずに再生できます。
二つ目は、DVD-RやBD-Rのような追記型の盤は、一度記録した部分を物理的に書き換えたり消したりできないことです。乗っ取った相手がクラウドの写真を消しても、焼いた時点の動画はそのまま残ります。三つ目は、ドライブから出して棚に置いた盤には、どのネットワークからも届かないことです。スマホを持たない祖父母の家に置いても、その家のプレーヤーで見られます。
ディスクにも限界がある
ディスクにも弱みはあります。カナダ保存研究所(CCI)の目安では、一般的な銀系の反射層のDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年です。この目安は温度と湿度の影響だけにもとづくもので、扱い方でも縮みます。国立国会図書館が2020年2月にまとめた報告書の概要は、JIS Z 6017などが長期保存に適した環境として、温度10〜25℃、湿度40〜60%を挙げていると紹介しています。直射日光の当たる窓辺や、夏に暑くなる車の中には置かないようにしましょう。置き場所で寿命が変わります。寿命の目安と劣化のサインはCD・DVD・ブルーレイの寿命は何年か にまとめています。
ほかにも、読むためのプレーヤーやドライブが要ること、割ったりなくしたりすること、映像として焼いたディスクは元のファイルより画質が下がることがあります。DVDは720×480の大きさで記録するので、スマホで撮った動画の細かさは残りません。また、焼く前のファイルがすでに途中で切れていたり、開けなくなっていたりすれば、その状態のまま残ります。焼く前に、元のファイルが最後まで再生できることを確かめましょう。ディスクは、元のファイルのダウンロードとクラウドに並べて置く、もう1つの控えです。
1年分の動画を、1枚に入る長さに選ぶ
1年分の動画を全部入れようとすると、選ぶ手間で続かなくなります。当社の料金表の目安では、1層のディスクに入るのはDVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間です。この長さを上限に、家族が名前を挙げられる場面から選んでいきます。月に10分ずつと決めておくと、12か月で2時間に収まります。それより長くなったら、2層のディスクにするか、前半と後半の2枚に分けます。
選んだ動画は、撮った順にファイル名の頭に番号を付けておくと、並べ替えに迷いません。年度で区切るか、年で区切るかは家の暮らしに合わせて決めます。4月から3月で区切る作り方は年度替わりに家族の動画を1枚にまとめるで詳しく書きました。写真はプレーヤーで見るディスクには入れず、次の節の、ファイルのまま焼く控えに入れます。
2枚目は、別の家の棚に置く
2枚目を置く先は、祖父母の家や、離れて暮らすきょうだいの家など、同じ火事や水害に遭いにくい場所を選びます。渡すときは、ケースに入れたまま、直射日光の当たらない棚に立てて置いてもらうよう頼みます。盤面に年と中身を書いておけば、預かる側も何の盤かが分かります。
翌年の控えの日には、新しい年の1枚を足します。古い年の盤も、数年に一度は家のプレーヤーで最後まで再生して確かめます。読みにくくなった盤は、手元の元のファイルから焼き直して入れ替えます。元のファイルが残っていれば、盤は何度でも作り直せます。だから元のファイルも捨てないようにしましょう。
控えの日を決めて、アカウントの点検も同じ日に
年に1回の控えは、日を決めないと続きません。家族がそろう年末か、子どもの学年が変わる3月がよく合います。その日に、ディスクにする動画を選び、同じ日にアカウントの設定と非常用の鍵の封筒も点検します。動画を選ぶためにクラウドを開くので、知らない端末が増えていないか、再設定用の連絡先が古くなっていないかを、ついでに見られます。
次の図は、年末を控えの日にした場合の段取りです。できあがったディスクは2枚作り、1枚は家、1枚は祖父母の家など別の場所に置きます。家族で一度再生して、最後まで見られることを確かめてから棚に入れます。図の日付は一例で、家族の誕生日や結婚記念日など、毎年忘れない日に置き換えてかまいません。
年末を控えの日にした例。誕生日や記念日など、毎年忘れない日に置き換えてよい
ファイルのまま焼く控えは、自分のパソコンで作る
プレーヤーで見るディスクは、動画を再生機で読める形に組み立てて焼くので、写真は入らず、動画も元のファイルより画質が下がります。元の写真と、元の画質の動画をそのまま残したいときは、ファイルのまま焼くディスクを別に作ります。パソコンで開いて使うためのディスクで、多くの家庭用プレーヤーでは再生できません。二つの違いはデータDVDと映像DVDの違い で詳しく説明しています。
こちらは自分のパソコンで焼く前提で書きます。家に書き込みのできるドライブが無ければ、外付けのドライブを用意します。ブルーレイのドライブは、国内のメーカーの撤退や販売終了が続き、選べる製品が減って値上がりしています。選び方は外付けDVD・ブルーレイドライブの選び方を参考にしてください。読むためのドライブを1台残しておくことも、控えの一部です。
盤は追記型を選び、容量を見積もる
使う盤は、DVD-RかBD-Rのような追記型にしましょう。DVD-RWやBD-REのような書き換え型は、あとから中身を消して書き直せるので、乗っ取りやマルウェアに備える控えには向きません。容量は、DVD-Rの1層が4.7GB、2層が8.5GB、BD-Rの1層が25GB、2層が50GBです。ただしこの「GB」は10億バイト単位なので、パソコンの表示では4.7GBが約4.38GB、25GBが約23.3GBと少なく見え、実際に入る量はさらに少し減ります。
1年分の写真と動画がどれだけあるかは、ダウンロードしたフォルダの大きさで分かります。iPhoneの設定画面の目安(iOS 18.6時点の表示)では、1080p/30fpsの動画は高効率+HDRで1分約65MB、4K/60fpsは同じ条件で1分約440MBです。4K/60fpsで1時間撮れば約26.4GBになる計算で、1年分が数十GBになる家もあります。BD-Rを1枚にするか、DVD-Rを何枚かに分けるかは、この数字で決めます。分けるときは、月ごとのフォルダの区切りで分け、1つのフォルダが2枚にまたがらないようにすると、あとで探すときに迷いません。
Windowsは「CD/DVD プレーヤーで使用する」、Macは「ディスクを作成」
Windowsの標準の機能で焼くときは、空の盤を入れて出てくる画面で、「USB フラッシュ ドライブと同じように使用する」ではなく「CD/DVD プレーヤーで使用する」を選びます(表記はWindowsの版で違うことがあります)。前者はあとからファイルを足したり消したりできる書き方で、控えには向きません。後者は、ファイルを集めてから一度に書き込む方式で、書き込んだファイルは後から消せません。
Macでは、Finderで書き込み用のフォルダを作ってファイルを入れ、「ディスクを作成」を押します。この方法で作った盤も、Appleの説明では作成後に中身を変えられません。ただしAppleの説明はCDとDVDについてのもので、ブルーレイに焼けるかは、つなぐドライブとソフトしだいです。どちらの方法でも、書き込みソフトに「ディスクを閉じる」「ファイナライズ」の選択があるときは、閉じてそれ以上書き足せない状態にします。ファイナライズしていない盤をドライブに入れたままにすると、追記によって中身が見かけ上書き換わることがあるからです。
ハッシュの一覧を一緒に入れる
焼いたファイルがあとで変わっていないかは、ハッシュ値という、ファイルの中身から計算する値で確かめられます。中身が1文字でも変われば、値が変わります。Windowsでは、PowerShellの「Get-FileHash」が初めからSHA256で計算します。Macでは、ターミナルの「shasum」に「-a 256」を付けないと、別の方式(SHA-1)の値が出るので注意します。焼く前に全ファイルの一覧を作り、一覧も盤に入れ、別の場所にも控えを置きます。
ハッシュ値が一致するのは、焼いたときから中身が変わっていないという確かめです。ウイルスが無いことの証明ではありません。焼く前のファイルがすでにおかしくなっていれば、一致しても意味がないので、焼く前に写真を何枚か開き、動画を最後まで再生しておきます。ここは省かないようにしましょう。一覧の作り方と、年に一度の照合の手順はバックアップの復元テストとハッシュの確かめ方に書いています。
盤の中は、次の図のような形にしておくと、何年か後に家族が開いても迷いません。いちばん上に、何の盤で、いつ誰が作ったかを書いた「はじめに読む」の文書を置きます。文書には、ハッシュの一覧の確かめ方と、同じ盤がもう1枚どこにあるかも書いておきます。
何年か後に家族が開いても迷わないよう、説明の文書を最上段に置く
焼いたら取り出して、別のパソコンで読んでみる
焼き終わったら、盤をドライブから出します。ドライブに入れたままの盤は、ネットワークから切り離した控えになりません。できれば家族の別のパソコンに入れ、フォルダが開けること、写真と動画が開けることを確かめます。読めたら、盤面用のペン(ペン先の柔らかいフェルトペン)で年と中身を書き、ケースに入れて立てて保管します。
ファイルのまま焼いた盤は、持ち出されれば中身を誰でも読めます。子どもの顔や家の様子が分かる写真も入るので、置き場所は家族が決めた場所に限ります。数年ごとに読めるかを確かめ、読みにくくなってきたら新しい盤に焼き直します。そのときに読むドライブが手元にあるように、ドライブも控えと一緒に残しておきます。
当社が受け付けるのは、完成した動画のデータから作る、プレーヤーで見るためのDVD・ブルーレイです。この節で書いた、ファイルのまま焼く控えは自分のパソコンで作る前提です。ファイルのまま焼くディスクを当社に頼めるかは、注文の前に相談・問い合わせフォーム で確かめてください。
見る用のディスクを自分で作るか、店に頼むか
ファイルのまま焼く控えは、パソコンの標準の機能で作れます。プレーヤーで見る映像のディスクは事情が違います。動画を再生機で読める形に組み立てる作業(オーサリング)が要り、WindowsもMacも、今は標準の機能だけでは作れません。オーサリングのできるソフトと、書き込みのできるドライブを用意することになります。
自分で作るか、店に頼むかは、次の表の点で比べると決めやすくなります。料金のほかに、道具、手間、失敗したときの損、再生の確かめ方が違います。金額の比べ方は家ごとに違うので、表には入れていません。どちらが正しいということはなく、家の道具と時間で決めます。
比べる点:道具
自分で作る:書き込みのできるドライブ、オーサリングのソフト、盤
店に頼む:動画の共有URLを作れるスマホかパソコン
比べる点:手間
自分で作る:ソフトの設定、書き込み、ファイナライズまで自分で行う
店に頼む:動画を選んで並べ、入稿する
比べる点:失敗したとき
自分で作る:盤と時間をかけて焼き直す
店に頼む:入稿の前に動画が最後まで再生できるかを確かめておく
比べる点:再生の確かめ
自分で作る:家のプレーヤーで自分で確かめる
店に頼む:実際のプレーヤーで確かめてから届く
比べる点:盤面の文字
自分で作る:盤面用のペンで手書き
店に頼む:盤面レーベル印刷を付けられる
パソコンに慣れていて、ドライブとソフトがすでにあり、作るのが1〜2枚なら、自分で作るほうが手早いことがあります。ソフトの使い方を覚えるところから始めるなら、毎年1回の作業のたびに手順を思い出す手間がかかります。年に一度しか使わない道具は、次の年には使い方を忘れていることもあります。
店に頼む場合も、動画を選んで並べるところは自分で行います。そこが家族にとっての1年の振り返りで、いちばん時間を使ってよいところです。焼く作業を外に出すかどうかは、その年の忙しさで決めてかまいません。自分で作った年と、店に頼んだ年が棚に混ざっていても、どちらも同じように家のプレーヤーで見られます。
DVDにするかブルーレイにするかも、ここで決めておきましょう。当社で作るDVDは720×480、ブルーレイは1920×1080の大きさで、スマホの動画の細かさを残したいならブルーレイが向いています。ただしブルーレイはDVDプレーヤーでは再生できません。見る家のプレーヤーがどちらを読めるかを先に確かめ、迷うなら、家にはブルーレイ、祖父母の家にはDVD、と分ける方法もあります。
見る用のDVD・ブルーレイを当社に頼むとき
当社ディスクメーカーは、大阪・梅田にある、動画のデータからDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店です。受け付けるのは完成した動画のデータで、1枚から頼めます。受け取った動画をプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。自分で焼く手間をかけられない年の、見る用の1枚を作る手段として使えます。
料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)が1,500円(税抜)で、オーサリングと書き込み、ケースへの入れ込みまでを含みます。ブルーレイは基本料金(Blu-ray・1枚あたり)の1,500円です。盤の種類で料金の項目が分かれていますが、作業の流れはどちらも同じです。
祖父母の家に置く2枚目は、同じ内容の焼き増しとして頼めます。追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)は1,000円です。内容の違うディスク、たとえば上の子と下の子で分けた2枚は、それぞれ1枚目から数えます。年と題名を盤に印刷したいときは、盤面レーベル印刷(1枚あたり)で+1,000円です。当社はデザインや文字入れをしないので、年や題名も入れた画像を作って入稿します。
1年分の中で見たい月へすぐ移りたいときは、チャプター分け(1枚あたり)の+1,500円を付けます。注文ページで「チャプター分け」を選ぶと「チャプター位置の指定」の欄が開くので、区切りの時刻を入れます。1つ目は動画の冒頭の00:00:00に自動で入り、2つ目からを00:00:01以降で指定します。上限は最大50チャプターです。区切りを月の変わり目に置くと、リモコンで月ごとに移れます。
届いたら、家のプレーヤーで最後まで見る
届いたディスクは、家のプレーヤーで最後まで再生して確かめてから棚に入れましょう。当社でも実際のプレーヤーで再生を確かめていますが、再生できるディスクの種類は機種ごとに違います。祖父母の家に渡す分は、その家のプレーヤーでも一度再生してもらいます。DVDはDVDプレーヤーでもブルーレイの機器でも見られることが多い一方、ブルーレイはDVDプレーヤーでは再生できません。
祖父母の家のプレーヤーがDVDしか読めないなら、その家に置く分はDVDにします。家ではブルーレイ、祖父母の家にはDVD、と分ける場合は、内容が同じでも種類が違うので、それぞれ1枚目から数える料金になります。どちらの家でも見られることを先に確かめておけば、年に一度の控えが、そのまま年に一度の上映会にもなります。
入稿は動画の共有URLで、アカウントのパスワードは要らない
入稿は、ギガファイル便に動画を置き、その共有URLを注文フォームに貼る形です。スマホからも入稿できます。動画が何本かあるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けると、その番号の順に収録します。AppleやGoogleのアカウントのパスワードや確認コードを誰かに伝える場面はありません。
共有URLは、送る相手と期限を決めて作りましょう。ギガファイル便は、保持期限をアップロードの前に選びます(初期の値は5日で、あとから変えたり延ばしたりはできません)。ダウンロードパスワードを付けた場合は、注文フォームにURLを貼るとパスワードの入力欄が開き、入れたパスワードが合っているかをその場で確かめる作りです。子どもや家族の顔が映る動画を預けることになるので、データの扱いで気になる点があれば、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
お引き受けできるのは、撮った本人か、権利者の許可がある動画です。市販の映像やテレビの録画の複製はお引き受けできません。発送はクリックポストで、急ぐときは当日店舗お渡しなどの短納期のオプションもあります。注文はDVDの注文ページ から、ブルーレイはブルーレイの注文ページから頼みます。
今日から1か月で、ひととおり済ませる
いま乗っ取りが疑われているなら、ほかのことは後回しにして、この記事の「気づいたら」の節から順に進めてください。何も起きていないなら、次の順番で1か月のうちに済ませましょう。一度に全部やろうとせず、週末ごとに一つずつで間に合います。家族の分は、自分の分が終わってから同じ順で進めます。
今日は、iPhoneの「サインインとセキュリティ」とGoogleの「セキュリティとログイン」を開き、2段階の認証がオンか、電話番号と再設定用の連絡先が今のものかを確かめる
今週中に、Googleのパスキーを作り、バックアップ コードを印刷する。Appleの復旧用連絡先を1〜2人指名する
2週目に、非常用の鍵を紙にして封筒に入れ、家の2か所に置く。家族の分も同じ表で点検する
3週目に、クラウドの動画を元の画質でダウンロードし、外付けのドライブに入れて抜いておく
4週目に、1年分の動画を選んでDVDかブルーレイを2枚にし、1枚を別の家に置く。写真はファイルのまま焼く
最後に、来年の控えの日をカレンダーに入れる
1か月が終わると、家族の写真と動画は、クラウド、家のドライブ、別の家の棚の3か所にあることになります。アカウントに何が起きても、少なくとも棚の1枚は、家のプレーヤーに入れれば見られます。翌年からは、控えの日に1年分を足し、設定と鍵の封筒を見直すだけです。動画のディスクを当社に頼むときは、動画を共有URLにして、注文ページから入稿してください。
よくある質問
Q. 乗っ取られてGoogleフォトの写真を消されたら戻せますか A. ゴミ箱まで空にされていなければ、消された写真と動画は、Googleフォトのゴミ箱に30日残ります。アカウントを取り戻せたら、ゴミ箱の中身を選び分けずに先に全部戻し、要らないものはあとで自分で消し直します。30日を過ぎると完全に削除され、ヘルプでも戻せないとされています。消された日が分からないので、気づいた日のうちに確かめましょう。
Q. Appleのアカウントの復旧にはどれくらいかかりますか A. Appleのヘルプでは、安全のため数日以上かかることがあり、Appleサポートに問い合わせても短くはならないとされています。申し込んでから72時間以内に、いつアクセスできるかを書いた確認のメールが届きます。待つ間に申し込み直すと、かえって長引くことがあります。ウェブで申し込んだ場合は、すべてのApple製の端末の電源を切っておきます。
Q. 復旧キーと復旧用連絡先はどちらを設定すればよいですか A. 紙の管理に自信が無ければ、復旧用連絡先から始めるのが無理のないやり方です。復旧キーを設定すると通常のアカウントの復旧が使えなくなり、キーを無くすとAppleも再発行できません。作る場合は印刷して2か所に置き、パスワードのアプリやiCloudには置きません。高度なデータ保護を使うなら、少なくともどちらか1つが要ります。
Q. 2段階認証をしているのに乗っ取られることはありますか A. あります。偽のログイン画面に確認コードまで入れさせる型や、端末に入り込んだマルウェアがログイン済みの状態を盗む型が報告されています。パスキーは偽のサイトでは使われないので前者には強いものの、後者には効果がありません。OSとアプリを新しく保ち、知らない相手から届いたファイルを開かないことと組み合わせましょう。
Q. 確認コードを知り合いに頼まれたら伝えてもよいですか A. 伝えません。IPAが紹介した事例では、乗っ取られていた知人のアカウントからの頼みに応じてSMSの認証コードを伝え、アカウントを奪われています。Googleは、パスワードや確認コードをメール、電話、メッセージで尋ねることはないと明記しています。頼まれたら、相手に電話をかけて本人かを確かめ、それでもコードは伝えないと家族で決めておきましょう。
Q. Googleアカウントが規約違反で止められたら写真はどうなりますか A. 止められたアカウントでは、「再審査請求を開始」から再審査を求められます。一部の違反では2回までで、認められなければアカウント全体が使えないままになります。ふだんどおりログインを試すと一部のデータをダウンロードできる場合がありますが、できないこともあります。止められる前に、元の画質で手元にダウンロードしておくことが確かな備えです。
Q. 2年使っていないGoogleアカウントは消えますか A. Googleのポリシーでは、2年間使われていない個人のアカウントは無効とみなされ、Googleフォトを含むすべてのデータが削除の対象になります。削除の前に、そのアカウントのアドレスと再設定用のアドレスに知らせが届きます。前の機種で使っていたアカウントに写真が残っているなら、今のうちにログインしてダウンロードしておきましょう。
Q. iPhoneで写真を消すとiCloudからも消えますか A. iCloud写真を使っていれば、1台の端末で消した写真とビデオは、iCloud写真を使っているすべての端末から消えます。消したものは「最近削除した項目」に入り、30日以内なら戻せます。同期は控えにはならないので、iCloudとは別に、パソコンやドライブ、ディスクにも残しておきましょう。古い端末をネットにつなぐ前に写真を写しておくのも同じ理由です。
Q. 家族の動画はクラウドとディスクのどちらに残せばよいですか A. どちらか一方ではなく、両方に置きましょう。クラウドはどの端末からでも見られる一方、乗っ取りや停止のときは中身にも戻す仕組みにも手が届きません。ディスクはアカウントも通信も要らずにプレーヤーで見られますが、寿命や保管の環境に気をつける必要があります。元のファイルを家のドライブにも置き、3か所に分けておくと安心です。
Q. ディスクは何年くらいもちますか A. カナダ保存研究所の目安では、一般的な銀系の反射層のDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年です。温度と湿度の影響だけにもとづく目安で、扱い方でも縮みます。国立国会図書館の報告書の概要は、長期保存に適した環境として温度10〜25℃、湿度40〜60%を紹介しています。数年ごとに読めるかを確かめ、必要なら焼き直しましょう。
Q. ファイルのまま焼くならDVD-RとBD-Rのどちらがよいですか A. 1年分の量で決めます。DVD-Rの1層はパソコンの表示で約4.38GB、BD-Rの1層は約23.3GBなので、動画が多い年はBD-Rのほうが枚数が少なく済みます。どちらも追記型を選び、書き換え型のRWやREは控えには使いません。BD-Rを焼くにはブルーレイに書き込めるドライブが要り、読む側にも対応するドライブが要ります。
Q. 動画をディスクにしてもらうときアカウントのパスワードは要りますか A. 要りません。当社への入稿は、ギガファイル便に動画を置き、その共有URLを注文フォームに貼る形です。AppleやGoogleのアカウントのパスワードや確認コードを誰かに伝える場面はありません。共有URLは送る相手と期限を決めて作り、ギガファイル便なら保持期限をアップロードの前に選びます。