この記事の要点
偽の警告画面が出ただけならパソコンは感染していない。ESCキーの長押しやタスクマネージャーでブラウザを閉じれば済む
遠隔操作を許したら、ネットワークを切る、記録を残す、お金の連絡、相談、ソフトの削除とシステムの復元、初期化の順に進める
送金してしまったら振込先の銀行へ至急連絡し、自分の銀行と警察にも。カードは会社に、ギフトカードは発行会社に連絡する
初期化すると写真や動画は消える。操作された後のパソコンから慌ててコピーするより、事件の前に作った控えから戻すほうが安全
親のパソコンは標準ユーザーで使い、システムの保護を有効にし、写真と動画は年に1回ディスクなど切り離した控えに残す
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実家の母から電話がかかってきます。パソコンから警報のような音が鳴りやまず、画面に出ていた「マイクロソフトのサポート」の番号に電話をした。言われたとおりにソフトを入れたら、相手が勝手にマウスを動かしている。偽のウイルス警告で電話をかけさせ、遠隔操作のソフトを入れさせて、サポート料金の名目でお金を払わせる手口で、サポート詐欺と呼ばれています。
警告の画面が出ただけなら、パソコンはウイルスに感染していません。ブラウザを閉じれば終わりです。遠隔操作まで許してしまったときは、ネットワークを切って操作を止め、お金の手続きと相談を先に済ませてから、入れられたソフトの削除、Windowsの「システムの復元」と進め、それができなければ初期化します。IPA(情報処理推進機構)が公表している手順も、ネットワークの切断から始まり、システムの復元、初期化へと進みます。
最後の初期化は、パソコンの中の写真や動画を消します。操作された後のパソコンから慌ててコピーする前に、事件の前に作った控えがあるかどうかで、取れる手が大きく変わります。当社は大阪・梅田で、動画のデータからDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店です。公的な相談窓口が公表している対処を順に並べ、親のパソコンを離れて見ている子の世代が先に整えておけることまで書きました。数字と事例は2026年10月時点で、公表資料と報道で確かめられた範囲のものです。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
警告の画面が出ただけなら、閉じれば終わる サポート詐欺は、画面から電話、遠隔操作、支払いへと進む 2026年の相談件数と被害額から分かること どこまで進んだかで、やることが変わる 遠隔操作されたと気づいたら、まずネットを切る 離れて暮らす家族が、電話で手伝える順番 お金の手続きは、送金の前か後かで連絡先が違う 相談先の使い分け 残りの15項目を見る 入れられたソフトを消し、Windowsを事件の前の状態に戻す Macやスマートフォンで起きたとき 初期化で消えるもの、残るもの 初期化の前に写真と動画を逃がす 初期化した後は、更新、守りの設定、写真の順に戻す パスワードとアカウントは、別の端末から変える 親のパソコンを見る子の世代が、先に整えておくこと 家族が遠隔で手伝うときも、同じ注意で 写真と動画の控えは、事件の前に、つながっていない場所へ ディスクに焼くときの手順と、できないこと 年に1回、家族の写真と動画を控える段取り 職場や団体のパソコンで起きたら 当社にできること 今日やることを決める よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
警告の画面が出ただけなら、閉じれば終わる
偽の警告画面が表示されただけなら、パソコンはウイルスに感染しておらず、画面を閉じるだけで問題ない。IPAはそう説明しています。ネットを見ている途中で、広告や「次へ」に見せかけたボタンを押したときに出るのは、ウイルスが見つかった知らせではありません。そう見えるように作られたウェブページです。
見分けるときの目印は電話番号です。マイクロソフトは自社のサポートページで、同社のエラーメッセージと警告メッセージに電話番号が記載されることはないと書いています。ブラウザの中に出た警告に電話番号が書いてあれば、その時点で偽物と考えてかまいません。普段使っているセキュリティソフトの画面と違い、ブラウザの上に表示される警告は偽物の可能性が高い、というのがIPAの見方です。
画面を閉じられずに電話をかけ、そこから被害に進む例が多いことも、IPAの相談の傾向として挙げられています。知識として知っていても、警告音が鳴り続ける中で手順を思い出すのは簡単ではありません。だからこそ、閉じ方を一度体で覚えておく値打ちがあります。
Windowsで閉じる2つの方法
警察庁のサポート詐欺対策のページは、閉じ方を2通り示しています。1つ目は、キーボードの左上にある「ESC」キーを長押しし、全画面の表示が解けて出てきたブラウザの「×」を押す方法です。長押ししても閉じるボタンが出ないときは、偽の画面の中を一度マウスでクリックしてから、もう一度ESCキーを長押しします(IPAの手順)。
2つ目は、「Ctrl」「Alt」「Delete」の3つのキーを同時に押してタスクマネージャーを開き、使っているブラウザを右クリックして「タスクの終了」を選ぶ方法です。マウスが言うことを聞かない、音が大きくて慌てている、という場面でも、この操作ならブラウザそのものを終わらせられます。どちらでも閉じられなければ、強制的に終了するか、パソコンを再起動すると閉じられることがあると警察庁は案内しています。
閉じた後に不安が残るなら、ふだん使っているセキュリティソフトで調べましょう。ウイルスに感染しているかどうかは、ブラウザに出た警告ではなく、自分のパソコンに入っているセキュリティソフトで確かめる、というのがIPAの案内です。Windowsなら「Windows セキュリティ」の「ウイルスと脅威の防止」からクイック スキャンをかけます。
Macで閉じるとき
Macでも、偽の警告はブラウザの中のページとして出ます。アップルは、ウェブを見ている間にウイルス感染やセキュリティの問題を知らせるポップアップが出ても信じず、表示された番号に電話をかけないよう案内しています。閉じるときは、「option」「command」「esc」の3つのキーを同時に押して「強制終了」のウインドウを開き、使っているブラウザを選んで「強制終了」をクリックします。画面左上のアップルメニューから「強制終了」を選んでも同じウインドウが開きます。
閉じ方を練習できる体験サイトと、相談の電話
偽の警告画面を再現して閉じ方を練習できる体験サイトを、IPAが公開しています。パソコン用で、始めると音声が流れ、約2分で自動的に終わります。実際の偽警告とはデザインが違いますが、全画面の表示を解いてブラウザを閉じる手の動きは同じです。親のパソコンで一緒に一度やっておくと、本番で慌てずに済みます。
それでも閉じ方が分からないときは、IPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」に電話で聞けます。番号は03-5978-7509で、受付は10時から17時(土日祝日と年末年始を除く)。2026年10月時点のIPAのページの表記です。画面をそのままにして電話をかけ、言われる操作を一つずつ試します。警告に書かれた番号ではなく、この番号にかけることを家族で決めておきましょう。
サポート詐欺は、画面から電話、遠隔操作、支払いへと進む
手口の流れを4つの段階で説明しているのが、IPAが2024年11月に公表し、2025年4月に更新した注意喚起です。まず、広告や不審なボタンを押したことをきっかけに、偽のセキュリティ警告が全画面で表示されます。警告音や音声のアナウンスが流れ、画面に出た番号へ電話するよう促します。IPAは2016年6月にもこの型の手口に注意を呼びかけていて、番号や画面の作りを変えながら、同じ流れの手口が続いています。
電話に出たオペレーターはマイクロソフトのサポートなどを名乗り、キーボードの操作を指示し、遠隔操作のソフトを入れさせます。ソフトに表示された番号を読み上げさせて、遠隔操作を許可させるところまで電話口で進めます。信用させるために、偽の社員証を見せる例もあります。操作がつながると、パソコンに問題があるかのような画面を見せ、数万〜10万円程度の「サポート契約」を求めます。
画面に出る電話番号の形も変わってきました。IPAによると、以前は050で始まる番号が多かったのが、2023年8月ごろから「0101」で始まる番号に変わっています。北米への国際電話になるため、通話料も高くなるおそれがあります。家の固定電話や携帯電話から、知らない国際電話をかけることになります。
IPAの注意喚起にもとづく流れ。どの段階でも、電話を切りネットを切れば止められる
支払わせ方は、ギフトカードとネットバンキング
同じ注意喚起で紹介されている被害例は、2つの型です。一つは、コンビニでギフトカードを何度も買わせ、裏の番号を電話で伝えさせる型で、合計が100万円を超えた例があります。もう一つは、ネットバンキングを開かせて数万円の送金を入力させ、相手がすきを見て金額にゼロを書き足し、198万円を送金させた例です。遠隔操作でつながっている間は、画面の入力欄を相手も触れます。
サポートの代金をギフトカードや暗号資産で求めることはない、とマイクロソフトは書いています。アップルも、Apple Gift Cardで他人に支払わないよう呼びかけています。住信SBIネット銀行は2026年5月14日の注意喚起で、銀行員や正規のサポート窓口が、遠隔操作アプリのインストール、ネットバンキングの認証情報の入力、振込の操作を頼むことはないとしています。電話口でこの3つのどれかを言われたら、その場で切ってかまいません。
偽の警告は、広告や検索結果から出てくる
偽の警告が出るきっかけとして、IPAは、ネットを見ているときに「次へ」のボタンに見せかけた広告を押した場合や、検索結果の上の方に出る広告を押した場合を挙げています。調べものの途中で、いちばん上に出てきたリンクを開いただけ、という場面です。怪しいサイトを見に行ったわけではないので、本人には何が起きたのか分かりません。
警察庁は、偽の警告画面はウイルスに感染しているかどうかに関係なく表示され、信用させるために実在する企業のロゴが使われることがあると説明しています。IPAは2017年の注意喚起で、偽の警告画面を表示させないようにする有効な対策は残念ながら無い、と書いています。出てくること自体は止められないので、出たときに電話をせず閉じられるかどうかで結果が分かれます。ブラウザのEdge(マイクロソフト)では、設定から不審なサイトを同社に報告できます。
遠隔操作ソフトは、本来は正規のソフト
遠隔操作のソフトそのものは、パソコンメーカーのサポートや、職場の情報システムの担当者が離れた席のパソコンを直すときに使う、正規のソフトです。第三者の言葉をうのみにして入れるのは、見知らぬ訪問者を家に招き入れるのと同じ、とIPAは例えています。入れた後に何ができるかは、相手の手に委ねられてしまいます。
2020年11月に公表されたIPAの注意喚起は、遠隔操作が成り立つ条件を3つ挙げています。操作される側のパソコンでソフトが起動して待ち受けていること、そのパソコンがネットにつながっていること、操作する側が接続に必要な番号やIDを知っていること。偽の警告から電話をかけ、言われるままに入力すると、本人が気づかないうちにこの3つがそろいます。逆に言えば、ネットの線を抜けば2つ目の条件が崩れ、操作はそこで止まります。
同じ注意喚起は、遠隔操作の後に起きた被害として、別のソフトを入れられる、パソコンをロックされて使えなくなる、データを消される、画面に出していたメールや保存していた写真、ネットショッピングの購入履歴を知られる、を挙げています。契約を断ったらパソコンが再起動しなくなった、という相談も寄せられています。家族の写真や動画がそのパソコンにしか無い家では、この「消される」「使えなくなる」は、そのまま思い出の写真や動画を失うことになります。
2026年の相談件数と被害額から分かること
「ウイルス検出の偽警告」についてIPAの「情報セキュリティ安心相談窓口」(2025年4月からは個人向けの窓口)に寄せられた相談は、2025年1〜3月に1,084件で、相談全体3,215件の33.7%を占めました。4〜6月は912件、7〜9月は647件と減りましたが、10〜12月に789件、2026年1〜3月に1,154件、4〜6月には1,428件(相談全体3,832件)と、ふたたび増えています。
2025年の半ばに一度減ったのは、2025年5月に警察庁がサポート詐欺の被疑者の検挙を発表した後のことで、IPAもその後また増えていると説明しています。減った時期の数字だけを見て「もう下火」と受け取るのは早計です。2026年4〜6月の1,428件は、ここに挙げた6つの四半期の中でいちばん多い数です。
IPAの情報セキュリティ安心相談窓口(2025年4月から個人向け)に寄せられた「ウイルス検出の偽警告」の相談件数
件数は減り、1件あたりの被害は大きくなった
警察庁が2026年6月5日に公表した確定値では、特殊詐欺のうち「サポート名目」(パソコンのウイルス除去をサポートするなどの名目でお金をだまし取るもの)は、2025年の認知件数が1,048件で前年より31.2%減りました。一方で被害額は14.9億円で、前年より48.1%増えています。上の2つの数字から計算すると、1件あたりの平均はおよそ142万円です。
相談窓口に寄せられた相談の件数がIPAの数字、警察が認知した事件の件数が警察庁の数字で、数え方が違います。そのまま並べて比べられる数字ではありませんが、どちらの数字も「サポート詐欺は減った」とは読めません。とくに警察庁の数字は、だまされた件数が減っても、1件で動かされるお金が大きくなっていることを示しています。
2026年1月29日に公表された「情報セキュリティ10大脅威 2026」(IPA)の個人編にも、「サポート詐欺(偽警告)による金銭被害」が7年連続で入りました。個人編は順位を付けず五十音順に並べた一覧で、ほかの9つの脅威と合わせて家庭で何をするかは情報セキュリティ10大脅威2026を家庭と小さな職場で読む にまとめています。
同じ個人編には、「インターネットバンキングの不正利用」が4年ぶりに戻ってきています。サポート詐欺がネットバンキングの送金にまで進む例が増えていることを考えると、この2つは、家庭ではひと続きの話として備えておくものです。ネットバンキングを使っている親なら、ログインの方法や、送金のときの確認の手順を、元気なうちに一緒に見直しておきましょう。
国をまたいだ捜査で見えた、作り手の側
警察庁が2026年3月に公表した2025年の情勢のまとめには、日本の警察とインド中央捜査局(CBI)の共同捜査が載っています。2025年5月、CBIがインド国内で6人の被疑者を逮捕しました。このグループは生成AIを使って、標的を選ぶこと、ポップアップの画面を作ること、日本語に翻訳することを行っていたとされます。捜査には日本サイバー犯罪対策センター(JC3)とマイクロソフトも協力しました。
日本語が自然で、画面がそれらしく作られていても、それは本物らしさの証拠になりません。翻訳も画面作りも機械に任せられるので、作り手の国や言葉の壁は、もう見分けの手がかりとして当てにできないと考えたほうが安全です。見分けは、画面の出来よりも、電話番号が書かれているか、ブラウザの中に出ているか、という形の上の目印でつけます。
家庭の外にも広がっている
警察庁が2026年9月に公表した上半期の情勢では、企業への電話をきっかけに遠隔操作ソフトを入れさせ、企業の端末を遠隔操作しながら偽サイトでネットバンキングのIDとパスワードを盗み、不正に送金させる新しい手口の被害が2026年5月に急増したとしています。普段使っている端末から送金させることで、金融機関の端末の認証や不正取引の監視を逃れる狙いがあると警察庁は見ています。
きっかけは、偽の警告画面とは限らなくなっています。フィッシング対策協議会の2026年3月分の報告では、「アカウントが無効になった」「別の端末からログインがあった」などを装ったメールから、マイクロソフトなどをかたるサポート詐欺のサイトへ誘導する例が多く見られました。メールのリンクを開いた先で警告が鳴る、という順番もあり得ます。
どこまで進んだかで、やることが変わる
同じサポート詐欺でも、画面が出ただけの人と、ネットバンキングまで開いてしまった人とでは、やることの量がまるで違います。まず、自分や家族がどの段階まで進んだかを確かめます。電話がまだつながっている、画面の上でマウスが勝手に動いている、という最中なら、確かめるより先にネットワークを切ってください。切り方は次の節に書きました。
画面が出ただけで電話をしていなければ、前の節のとおり閉じれば終わりです。電話をかけたけれど、ソフトは入れず、お金も払っていない場合について、IPAは、遠隔操作を許可せず契約にも応じなければ金銭の被害は避けられると説明しています。その後に同じ相手から電話がかかってきても、話を続ける必要はありません。
ソフトを入れて遠隔操作を許した、カードの番号やギフトカードの番号を伝えた、ネットバンキングを開いた。このどれかに当てはまれば、次の節からの手順に進みます。お金に関わることを伝えたり操作したりしたなら、パソコンの後始末より先に、カード会社や銀行への連絡を済ませます。お金の手続きは時間がたつほど打てる手が減る一方、ネットを切った後のパソコンは、少し待っても状況が変わりにくいからです。
親から話を聞いたのが何日か後だった、という場合も、順番は変わりません。ネットを切り、記録を残し、お金の連絡と相談をしてから、パソコンの手当てに進みます。日がたっている分、銀行の取引の明細とカードの利用の明細を、事件の日から今日までさかのぼって確かめるところから始めます。覚えのない取引が見つかれば、その時点で銀行やカード会社に連絡します。
上から順に確かめる。お金の連絡を済ませた後も、下の段階の対処を続ける
遠隔操作されたと気づいたら、まずネットを切る
相手がまだつながっているなら、最初にするのはネットワークを切ることです。IPAの手順も、自分が操作していないのに画面が動くならネットワークを切断して遠隔操作を止める、というところから始まります。電話は、相手が何を言っても切ってかまいません。ネットにつながっていなければ、遠隔操作のソフトは相手の操作を受け取れません。線を切った時点で、操作は止まります。
この先の順番は、次の図のとおりです。最初の30分で、切断と記録とお金の連絡を済ませ、その日のうちに相談し、パソコンの手当てはそのあとに落ち着いて進めます。初期化は最後の手段で、その前に写真と動画をどうするかを決める時間を取ります。
お金と相談を先に済ませ、パソコンの手当ては後で落ち着いて進める
切り方は3通り。迷ったらルーターの電源を抜く
切り方としてIPAが挙げているのは、無線LAN(Wi-Fi)をオフにする、ネットワークのケーブルを抜く、ルーターの電源を切る、の3つです。WindowsでもMacでも、画面の端にあるWi-Fiのアイコンから接続をオフにできますが、操作されている最中の画面では、思うようにクリックできないことがあります。
高齢の親が一人で操作しているときは、電話で「ルーターのコンセントを抜いて」と伝えるのがいちばん確実です。家の中のほかの機器もネットにつながらなくなりますが、数時間のことです。パソコンに有線のケーブルが挿さっていれば、それも抜きます。切ったあとは、ブラウザで何かのページを開こうとして、つながらないことを確かめておきます。
スマートフォンで遠隔操作のアプリを入れさせられた場合について、IPAは機内モードにするかルーターの電源を切り、ネットに戻す前にアプリを終了して削除するよう案内しています。パソコンも同じ考え方で、切ったネットは、入れられたソフトを消すまで戻さないでおきます。
覚えているうちに記録を残す
警察庁は、警察に相談するときに持って行くものとして、偽の警告画面、インストールしたソフトが分かる資料、支払ったクレジットカードの利用履歴、購入した電子マネーのカードを挙げています。画面はスマートフォンで撮っておけば足ります。ギフトカードの台紙やレシートは捨てずに封筒に入れておきましょう。
あわせて、紙に次のことを書いておきます。警告が出た時刻と、そのとき見ていたページ。電話をかけた番号と、相手が名乗った会社名や名前。入れたソフトの名前(デスクトップのアイコンやアプリの一覧で分かる範囲で)。相手に読み上げた番号やパスワード。払った方法と金額。遠隔操作がつながっていた時間と、その間に画面に出していたもの。時間がたつと、こうした細部から先に記憶が薄れます。
目を離していた時間があったか
記録の中でとくに大事なのが、遠隔操作の最中にパソコンの前を離れたかどうかです。2024年1〜3月の相談状況の中でIPAは、遠隔操作中の相手の動きはすべて被害者側の画面に映るので、見ていた範囲のことは確かめられる一方、プリペイドカードを買いに行くなどで目を離した時間があれば、パソコンの中の情報を見られた可能性を否定できなくなると説明しています。
コンビニへ行っている15分の間、画面に何が出ていたかは誰にも分かりません。その時間があったなら、パソコンに保存していた写真や住所録、ブラウザに保存していたパスワードは、見られたかもしれないものとして扱います。後の節で書くパスワードの変更の範囲は、この見立てで決まります。
離れて暮らす家族が、電話で手伝える順番
親から「パソコンが変になった」と電話が来たとき、離れている子にできるのは、電話で順番を示すことです。最初に聞くのは2つだけです。いま、知らない相手と電話がつながっているか。画面の上で、マウスが勝手に動いているか。どちらかに当てはまれば、相手との電話を切ってもらい、ルーターのコンセントを抜いてもらいます。説明はその後で構いません。
線が切れたら、何をしたかを順に聞きます。画面の番号に電話をかけたか。ソフトを入れたか。番号を読み上げたか。コンビニでカードを買ったか。ネットバンキングを開いたか。答えは、手元の紙に書き取ります。先に挙げた判断の図の、どの段階かがここで決まります。親は動揺していて、順番どおりに話せないことも多いので、子の側から一つずつ聞いたほうが早く進みます。
カードや銀行に連絡するときは、カードの裏面や通帳、銀行から届いた書類に書かれた番号にかけてもらいます。ネットで検索して出てきた番号は使いません。検索結果の上の方の広告から偽の警告に進む手口がある以上、問い合わせ先も広告から選ばないのが安全です。警告の画面の写真は、親のスマートフォンで撮ってもらい、メッセージで送ってもらえば、子の手元にも記録が残ります。
この段階で、子が遠隔操作のソフトを使って直そうとするのは控えましょう。遠隔で手伝うにはネットにつなぎ直す必要があり、入れられたソフトが残っている状態でつなぐと、相手の操作をもう一度受け付けてしまうおそれがあるからです。パソコンの手当ては、次に会える日に隣で進めるか、IPAの窓口に電話で聞きながら親に進めてもらいます。警察署へ届け出るときは、可能なら付き添います。
お金の手続きは、送金の前か後かで連絡先が違う
お金の扱いは、IPAの手順では送金の前と後に分かれています。ネットバンキングを開いたけれど、まだ送金はしていない場合は、パスワードを変更し、身に覚えのない取引がないかを確かめて、銀行に相談します。ログインの画面やワンタイムパスワードが、遠隔操作の間に相手に見えていたかもしれないからです。
送金してしまった後なら、まず振込先の銀行に至急連絡します。振込先の銀行の連絡先は、全国銀行協会のページで確かめられるとIPAは案内しています。あわせて、自分の口座がある銀行と警察にも連絡します。振込先が分からないときは、自分の銀行に送金の記録を確かめてもらうところから始めます。
カードで払った、ギフトカードの番号を伝えた
クレジットカードで払った場合は、カード会社に連絡して支払いの停止を頼みます。マイクロソフトも、すでに支払っている場合はカード会社に電話して請求に異議を申し立てるよう案内しています。カードの番号を電話口で伝えたり、遠隔操作中の画面に入力したりしただけでも、使われる前にカード会社に知らせて番号を変えてもらいます。
ギフトカードなどの電子マネーで払った場合は、発行している会社(警察庁の言い方では電子マネーの管理会社)に被害を連絡し、決済の手続きの停止を頼むとともに、救済の手段がないかを相談します。このとき、買ったカードの台紙とレシートが手元にあると話が進みます。前の節で捨てずに取っておくと書いたのは、このためです。
契約の取り消しは188、届け出は警察署へ
電話口で結ばされた「サポート契約」の取り消しは、最寄りの消費生活センターへの相談をIPAが案内しています。局番なしの188(消費者ホットライン)にかけると、近くの窓口につながります。被害の届け出は最寄りの警察署です。警察庁は、事前に電話で担当者と日時や持参する資料を調整しておくと対応が円滑になるとしています。
警察署へ行く前に話を聞いてほしいときは、全国共通の警察相談専用電話「#9110」も使えます。かけた地域の警察本部などの相談窓口につながり、受付は平日の日中が基本です(時間は都道府県警察によって違います)。今まさにお金を動かされている最中なら、ためらわずに110番です。
相談先の使い分け
窓口はいくつもあり、それぞれ受けられることが違います。IPAの安心相談窓口は、偽の警告の閉じ方や、入れられたソフトへの対処を相談できる個人向けの窓口ですが、契約や支払い方法についての相談、個別の端末やログの調査、犯人の検挙の要望は受けていないとページに明記しています。お金のことは銀行・カード会社・消費生活センター・警察へ、パソコンのことはIPAへ、と分けて考えると迷いません。
困っていること:送金してしまった
連絡先:振込先の銀行、自分の銀行、警察
そのときに伝えること:送金の日時・金額・振込先
困っていること:カード番号を伝えた・カードで払った
連絡先:カード会社
そのときに伝えること:支払いの停止、番号の変更
困っていること:ギフトカードの番号を伝えた
連絡先:カードの発行会社
そのときに伝えること:カードの番号、買った日時と店
困っていること:契約を取り消したい
連絡先:消費生活センター(188)
そのときに伝えること:相手の名乗った会社名、契約の内容
困っていること:被害を届け出たい
連絡先:最寄りの警察署、#9110
そのときに伝えること:警告画面の写真、記録のメモ
困っていること:画面が閉じない、ソフトの消し方
連絡先:IPA 情報セキュリティ安心相談窓口
そのときに伝えること:OSの種類、入れたソフト、起きたこと
困っていること:会社や団体のパソコンで起きた
連絡先:管理者、IPAの企業・組織向けの窓口
そのときに伝えること:端末に触らずに状況だけを伝える
IPAの安心相談窓口は個人向けで、企業や組織の人には別に「企業/組織向けサイバーセキュリティ相談窓口」を案内しています。仕事のパソコンで起きたときは、そちらの窓口と職場の管理者が先です。職場での扱いは後の節で書きます。表の右の欄は、どの窓口でも電話の最初に伝えると話が早い項目です。
相談の前にまとめておくこと
相談の前に整理しておくとよい項目が、安心相談窓口のページに並んでいます。使っているパソコンやスマートフォンの種類とOS、入れているセキュリティソフトの名前、使っているクラウドサービスの名前、時系列を含めた具体的な出来事、ウイルスや不正アクセスが原因と判断した根拠、ほかに相談した窓口や機関です。電話は1回30分以内とされているので、前の節で書いた記録のメモを、この項目に沿って並べ直してから電話すると、短い時間で必要なことを伝えられます。
メールでも相談でき、返信は5営業日以内をめどとされています。電話の受付時間外でも使えるチャットボットもあり、表示される選択肢から、よくある相談の対処の方法を探せます。郵送で相談する場合は書面だけにして、USBメモリやCD-ROMなどは同封しないよう案内されています。
入れられたソフトを消し、Windowsを事件の前の状態に戻す
お金の連絡と相談の段取りがついたら、パソコンの手当てに移ります。IPAが示している順番は、遠隔操作のソフトをアンインストールする、遠隔操作の影響の範囲は判断できないので「システムの復元」を行う、システムの復元ができなければ初期化する、の3段階です。警察庁のページも、ネットワークから切断してウイルスチェックを行い、該当するアプリをアンインストールし、可能であれば初期化してパスワードを変える、としています。
ここから先は、ネットを切ったままで進めます。手順を調べるのは、家族のスマートフォンや別のパソコンで行います。操作されたパソコンで検索して、また広告を押してしまうのを避けるためでもあります。画面の表示で迷ったら、その画面をスマートフォンで撮っておき、IPAの窓口に相談するときに読み上げると話が早く進みます。
アプリの一覧から遠隔操作のソフトを探して消す
マイクロソフトの手順では、「スタート」から「設定」を開き、「アプリ」の「インストール済みアプリ」を選びます。一覧から電話口で入れさせられたソフトを見つけ、右の「…」(その他)から「アンインストール」を選びます。設定から消せないものは、タスクバーの検索で「コントロール パネル」を開き、「プログラム」の「プログラムと機能」で、ソフトを右クリックして「アンインストール」を選びます。Windows 10と11のどちらも、表記は版によって少し違います。
ソフトの名前は、前の節で書いた記録のメモが手がかりになります。デスクトップに見慣れないアイコンが増えていれば、その名前を一覧で探します。名前が分からない、見つからない、という場合もあります。アプリの一覧に表示されない遠隔操作ソフトもあり、その場合は次のシステムの復元だけを行うよう、IPAは案内しています。見つからないものを探して長い時間をかけるより、復元に進むほうが確実です。
相手が操作している間に何を設定したかは、見ていなかった部分については分かりません。ソフトを消した後も、次のスキャンと復元まで続けます。
Windows セキュリティでパソコン全体を調べる
Windowsに入っている「Windows セキュリティ」を開き、「ウイルスと脅威の防止」の「スキャンのオプション」を選びます。サポートページの説明では、「フル スキャン」はパソコン上のすべてのファイルとプログラムを調べ、「Microsoft Defender ウイルス対策 (オフライン スキャン)」はWindowsを読み込まない状態で再起動して調べるので、隠れようとするマルウェアが身を守りにくくなります。感染が心配な場合や、ネットにつながずに調べたい場合はオフライン スキャンが向いています。
オフライン スキャンは再起動するので、開いているファイルは先に保存しておきます。終わるとパソコンは自動で再起動し、結果は「Windows セキュリティ」の「保護の履歴」で確かめられます。市販のセキュリティソフトを入れているパソコンでは、そのソフトの全体のスキャンを使います。スキャンで何も見つからなかったことは、遠隔操作の間に何もされなかった証明にはなりません。IPAが復元を勧めるのはそのためです。
システムの復元は、個人のファイルに触れずにシステムを戻す
マイクロソフトは、システムの復元を使うと、個人用ファイルに影響を与えずに、システムのファイル、レジストリの設定、インストールされているプログラムを、復元ポイントが作られた時点の状態に戻せると説明しています。写真や動画、書類はそのまま残り、その時点より後に入ったソフトや設定の変更が取り除かれます。遠隔操作で入れられたものを、日付ごとまとめて巻き戻す手当てです。
開き方は、「コントロール パネル」の「回復」から「システムの復元を開く」を選びます。キーボードの「Windows」キーと「R」を押して「rstrui.exe」と入力しても開けます。「システムのファイルと設定を復元する」の画面で「次へ」を押し、一覧から事件の前の日付の復元ポイントを選びます。見当たらなければ「他の復元ポイントを表示する」にチェックを入れます。「影響を受けるプログラムのスキャン」を押すと、戻すことで消えるソフトが分かります。「次へ」「完了」で始まり、終わるとWindowsが再起動します。
ここで困るのが、復元ポイントが一つも無い場合です。復元ポイントを作る「システムの保護」は、既定では有効になっていません。サポートページにも、そう明記されています。買ったままの設定で使ってきたパソコンでは、戻る先が無いことがあります。その場合は、IPAの手順どおり初期化に進みます。この機能を事件の前に有効にしておく方法は、親のパソコンの節で書きます。
Windowsが起動しないときは、回復環境(Windows RE)の「トラブルシューティング」から「詳細オプション」「システムの復元」と進めます。このとき、ドライブを暗号化しているパソコンでは、BitLockerの回復キーの入力を求められます。回復キーは48桁の数字で、マイクロソフトのアカウントに保存されている場合もありますが、手元に控えが無いとそこで止まります。回復キーが見つからないときの考え方は暗号化したバックアップのパスワードを忘れたに書いています。
Macやスマートフォンで起きたとき
ここまでの対処の手順は、ESCキーやタスクマネージャーの操作など、Windowsを前提に書かれています。Macで遠隔操作を許してしまったときも、ネットを切る、記録を残す、お金の連絡と相談を先に、という前半の順番は変わりません。後半のパソコンの手当ては、Macの機能で置き換えます。迷ったら、IPAの安心相談窓口にMacであることを伝えて相談します。
Macで入れられたアプリを消す、消去する
アップルの案内では、アプリを消すときは、まずアプリを終了し、Finderの「アプリケーション」フォルダで探します。アップル製以外のアプリは、同じフォルダに「アンインストール」や「アンインストーラ」という名前のアプリがないかを確かめ、あればそれを使います。無ければアプリをゴミ箱に入れ、管理者の名前とパスワードを入力し、Finderのメニューから「ゴミ箱を空にする」を選びます。
Macで遠隔操作された後の手当てについて、IPAの手順には具体的な記載がありません。中を消して初期化するなら、「システム設定」の「一般」から「転送またはリセット」を開き、「すべてのコンテンツと設定を消去」を選びます。アップルの説明では、macOS Monterey以降で、アップルシリコンかT2チップを積んだMacが対象です。すべてのデータ、設定、アプリが消え、インストールされているmacOSは残ります。アップルも消去の前にバックアップを取るよう勧めています。
スマートフォンでは「副業」の誘いから遠隔操作に
スマートフォンの遠隔操作は、偽の警告とは違う誘い方で起きています。IPAが2023年4月に公表した注意喚起では、「簡単に稼げる」とうたう広告やSNSのメッセージから副業の業者に連絡し、説明に必要だと言われて遠隔操作のアプリを入れ、表示された番号を伝えて接続を承諾した結果、画面を見られながらネットバンキングで口座を開き、消費者金融から借り入れをさせられた例が紹介されています。
同じ注意喚起に載った検証では、遠隔操作の最中は画面がそのまま相手に送られるので、画面に出た多要素認証のコードも相手に伝わり、端末の中のアプリも相手が起動できました。地図アプリで現在地が、カメラアプリで映像が伝わるおそれもあるとしています。気づいたら機内モードにするかルーターの電源を切り、ネットに戻す前にアプリを終了して削除します。何をされたか確かめられない場合、IPAはスマートフォンの初期化を勧めています。ファイルを持ち出されたかどうかは、操作された側では判断がきわめて難しいとも書かれています。
スマートフォンを初期化すれば、端末の中の写真と動画も消えます。クラウドに控えていても、アカウントそのものに入られていれば、そちらも安全とは限りません。スマートフォンの写真の守り方とアカウントを取り戻す手順は、Apple・Googleアカウントを乗っ取られたら写真と動画は で詳しく扱っています。
タブレットで警告が出たとき
キーボードの無いタブレットで偽の警告が出た場合の閉じ方も、IPAの特集ページに載っています。全画面の表示のどこかを長押しすると、画面の上の中央に×の印が出て、それを押すとESCキーの長押しと同じ状態になります。画面の左端から内側へ指を滑らせて、開いているウインドウの一覧を出し、そこから閉じる方法もあります。体験サイトはパソコン用で、スマートフォンでは試せないとされています。
初期化で消えるもの、残るもの
システムの復元ができないときの最後の手段が初期化です。詐欺師にデバイスへのアクセスを許可した場合はデバイスのリセットを検討するよう、マイクロソフトは自社のサポートページで書いています。ここでいうリセットが、Windowsを入れ直す「この PC を初期状態に戻す」(版によっては「この PC をリセット」と表示)です。マイクロソフト自身が、回復の手段の中で最も影響が大きいと注意しています。
Windows 11では、「設定」の「システム」から「回復」を開き、「この PC を初期状態に戻す」の横にあるボタン(「PC を初期状態に戻す」または「PC をリセットする」)を押します。Windows 10では、「設定」の「更新とセキュリティ」から「回復」を開き、「この PC を初期状態に戻す」の「開始する」を押します。始めると、何を残すかを選ぶ画面が出ます。表記は版によって変わるので、意味で読んでください。
「個人用ファイルを保持する」と「すべて削除する」
マイクロソフトのSurfaceのサポートページの説明では、「個人用ファイルを保持する」を選ぶと、個人用ファイルと、パソコンに最初から入っていたアプリが残り、設定の変更と、自分で入れたアプリやドライバーが削除されます。「すべて削除する」を選ぶと、個人用ファイルも含めて削除され、Windowsと最初から入っていたアプリだけが入れ直されます。
IPAの手順は、遠隔操作の後でどちらを選ぶべきかまでは書き分けていません。相手が個人のフォルダーに何かを置いた可能性まで消したいならすべて削除、写真や書類を残すことを優先するなら保持、という考え方になりますが、迷うときはIPAの窓口で、遠隔操作の時間や目を離した時間を伝えて相談してから選ぶのが確実です。どちらを選ぶにしても、写真と動画の控えが別の場所にあれば、この選択で悩む必要が小さくなります。
保持を選んでも消えるもの、もともとパソコンに無いもの
「個人用ファイルを保持する」でも、自分で入れたアプリは消えます。年賀状ソフトの住所録や、写真管理ソフトのアルバムの分類のように、アプリの中で管理している情報は、保存のされ方によってはアプリと一緒に消えます。ブラウザのお気に入りや保存したパスワードも、ブラウザのアカウントに同期していなければ残りません。初期化の後にアプリを入れ直して、中身が空だったと気づくことがあります。
逆に、パソコンの画面に写真が並んでいても、本体はパソコンに無いこともあります。OneDriveのフォルダーのバックアップを使っていると、「ピクチャ」や「デスクトップ」の中身がOneDriveに移り、パソコンには雲のアイコンの付いた名前だけが置かれていることがあります。この場合、写真はクラウドの側に残りますが、パソコンからコピーしたつもりで中身が空、ということが起きます。仕組みと見分け方はパソコンの写真・動画がOneDriveに移って消えたにまとめています。
被害をきっかけに、パソコンを買い替えると決める家もあります。その場合も、古いパソコンの写真と動画の扱いは同じで、事件の前の控えから新しいパソコンへ移すのが先です。古いパソコンを手放すときは、マイクロソフトのSurfaceのサポートページが、譲ったり売ったりする場合は「すべて削除する」で「ドライブの完全クリーンアップ」を選ぶよう案内しています。1〜2時間かかることがありますが、消したデータが元に戻されにくくなります。
初期化の前に写真と動画を逃がす
初期化の前にデータをどう控えるかは、IPAの手順には書かれていません。だからといって、遠隔操作された後のパソコンから、手当たり次第に外付けHDDへコピーするのは考えものです。相手が何を置いていったか分からない状態で、ファイルをまとめて別の機器に移すと、何かを一緒に運ぶおそれがあります。ここからは、公的な手順が触れていない部分について、当社の考えを書きます。
最初に、事件の前の控えがあるかを確かめる
いちばん安全なのは、事件の前に作った控えから戻すことです。IPAがランサムウェアの被害組織への聞き取りをまとめた教訓集(2026年9月公開)は、汚染されたかもしれないバックアップは復旧に使えず、侵入が始まる前の時点のバックアップは安全だとしています。サポート詐欺でも考え方は同じで、遠隔操作の日より前に作った控えなら、相手の手は届いていません。
最初に見るのは、棚にしまってあるディスクや、ふだん抜いて保管している外付けHDDです。これらは事件の日に触られていません。ファイル履歴などで外付けHDDに自動で控えていた場合は、遠隔操作の最中にそのHDDがつながっていたかを思い出します。つながっていたなら、中身を見られたり消されたりした可能性があるので、事件の前の日付の世代が残っているかを、初期化した後の安全なパソコンで確かめます。クラウドの写真は、別の端末からアカウントにログインして、ゴミ箱や削除された項目に動きがないかを見ます。
控えが無ければ、写真と動画のファイルだけを選んで写す
事件の前の控えが無く、そのパソコンにしか無い写真や動画がある場合は、初期化の前に写すしかありません。そのときは、写すものを写真と動画のファイルに絞ります。拡張子で言えば、写真はJPG・HEIC・PNG、動画はMP4・MOV・MTSといったものです。プログラム(拡張子がEXEのもの)、ZIPなどの圧縮ファイル、ショートカット、見覚えのないファイルは写しません。写真や動画はふつう、見るためのデータで、プログラムのように自分から動き出すものではありません。ただし、拡張子を偽ったファイルも世の中にはあるので、知らないファイルは名前が写真らしく見えても写さないことです。
写す先は、空の外付けHDDかUSBメモリを用意します。ふだんの控えに使っているHDDを、このパソコンにつながないためです。ネットは切ったまま、写し終えたら写した先のフォルダーをエクスプローラーで右クリックし、「Microsoft Defender でスキャンする」を選んで調べます(Windows 11では、右クリックの後に「その他のオプションを確認」を選ぶ必要がある場合があります)。初期化した後のパソコンに戻すときも、開く前にもう一度スキャンします。それでも安全と言い切れるわけではないので、不安があればIPAの窓口に、写そうとしているものを伝えてから進めます。
職場や団体のパソコンでは、この作業そのものをしないでください。IPAは、情報漏えいの調査を行う場合は、調査が終わるまで端末をそのまま保存するよう求めています。写真を写すために触れば、調査で見るべき記録が変わってしまいます。どうしても要る写真がある場合は、調査が終わってから管理者と相談します。
事件の前の控えが無いときだけの手順。迷ったらIPAの窓口に相談してから進める
写真と動画がどこにあるか、先に見当をつける
Windowsでは、写真と動画は多くの場合、利用者ごとのフォルダーの中の「ピクチャ」と「ビデオ」にあります。スマートフォンから取り込んだときにできた日付のフォルダーが、その下に並んでいる家も多いはずです。「デスクトップ」と「ダウンロード」に、メールやLINEで受け取った写真がそのまま置いてあることもあります。それぞれのフォルダーを右クリックして「プロパティ」を開くと、中身の合計の大きさが分かるので、写す先の容量を決める目安になります。
Macの「写真」アプリに入っている写真と動画は、ライブラリというまとまりの中にあり、Finderから一枚ずつは見えません。写すときは「写真」アプリで項目を選び、「ファイル」メニューの「書き出す」から「未編集のオリジナルを書き出す」を選ぶと、撮ったときのファイルのまま書き出せます。iCloud写真で「Macストレージを最適化」を使っていると、Macには縮小版しか無いことがあるので、元の写真はiCloudの側から確かめます。詳しい下ろし方はiCloud写真・Amazon Photosを解約する前ににあります。
初期化の前に手元にそろえておくもの
初期化を始める前に、終わった後に要るものをそろえておきます。一つは、マイクロソフトのアカウントのメールアドレスと新しいパスワードです。パスワードは前もって別の端末で変えておきます。もう一つは、BitLockerの回復キーです。回復の手段の多くで、暗号化されたパソコンでは回復キーが必要になります(マイクロソフトの説明)。家のWi-Fiのパスワードも、初期化の後につなぎ直すときに要ります。ルーター本体のラベルに書かれていることが多いので、場所を確かめておきます。
ふだん使っているソフトの一覧も、紙に書き出しておきます。年賀状ソフト、プリンターのソフト、写真の管理ソフトなど、入れ直すものを名前で控え、入手先は作っている会社の公式サイトであることを確かめておきます。初期化が終わってから、検索の広告を押して偽のサイトからソフトを入れてしまっては、元も子もありません。
初期化した後は、更新、守りの設定、写真の順に戻す
初期化が終わると、パソコンは買ったときに近い状態で立ち上がります。ここで急いで写真を戻したり、いつものソフトを入れたりする前に、守りの設定を先に済ませます。初期化の直後は、最新の更新が当たっていないことがあるからです。マイクロソフトも、詐欺の後の対処として、セキュリティ更新が提供されたらすぐにすべて適用するよう案内しています。
順番の一つ目は更新です。ネットにつないで「設定」の「Windows Update」を開き、更新がなくなるまで適用と再起動を繰り返します。二つ目はサインインです。マイクロソフトのアカウントのパスワードは、操作されたパソコンではなく、スマートフォンなど別の端末から先に変えておき、新しいパスワードでサインインします。三つ目は「Windows セキュリティ」がオンになっているかの確認です。
四つ目に、システムの保護を有効にして、最初の復元ポイントを作ります。手順は、「スタート」の検索で「復元ポイントの作成」と入力して開き、「システムのプロパティ」の「システムの保護」タブで「構成」を押し、「システムの保護を有効にする」を選んで、使う容量を決めて「適用」します。同じタブの「作成」で、「初期化後」などの名前を付けた復元ポイントを作っておけば、次に何かあったときの戻り先になります。
写真と動画を戻すのは、その後です。事件の前の控えがあれば、そこから先に戻します。初期化の前に写したものは、前の節のとおり、開く前にスキャンしてから戻します。戻したら、年ごとのフォルダーから数枚ずつ写真と動画を開いて、表示や再生ができることを確かめます。ソフトは、使うものだけを、作っている会社の公式サイトかMicrosoft Storeから入れ直します。お金の手続きが終わるまでは、記録のメモとレシートを捨てずに取っておきます。
回復ドライブも作っておく
初期化と設定が済んで落ち着いたら、次に備えて回復ドライブも作っておきます。回復の手段の一つとして、マイクロソフトはパソコンが動いているうちにUSBメモリに回復ドライブを作っておくと、Windowsが起動しなくなったときに、そこから起動して入れ直せると説明しています。遠隔操作の後に「再起動しなくなった」という相談がIPAに寄せられていることを考えると、起動しなくなった場合に入れ直す手段を1つ用意しておく意味はあります。作ったUSBメモリは、ふだんはパソコンから外してしまっておきます。
パスワードとアカウントは、別の端末から変える
遠隔操作の最中に目を離していたなら、パソコンの中を見られた可能性はあるとIPAは説明しています。パスワードやクレジットカード番号などの大切な情報を見られやすい場所に保存していた場合は、念のためパスワードの変更などの対策を取るよう、IPAは勧めています。変える範囲は、遠隔操作の間に入力したもの、画面に出ていたもの、そしてブラウザに保存していたものです。ブラウザがパスワードを覚えている状態で目を離したなら、保存していたサイトのパスワードは見られたかもしれないものとして扱います。
優先するのは、お金とメールにつながるものです。ネットバンキングとカード会社のサイト、ネットショッピング、メールのアカウント、マイクロソフト・アップル・グーグルのアカウントの順に変えていきます。メールのアカウントを取られると、ほかのサイトのパスワードの再設定のメールを相手が受け取れてしまうので、メールは早めに変えます。変える作業は、操作されたパソコンを使わず、スマートフォンなど別の端末で行います。
パスワードを変えたら、2段階の認証を有効にし、使えるサービスではパスキーに切り替えます。パスキーは、端末のロック解除(指紋・顔・暗証番号)でログインする方式で、IPAも「情報セキュリティ10大脅威 2026」の個人編の手引きで、使えるなら使うよう勧めています。偽サイトにだまされてもログインの段階で止まる仕組みですが、端末そのものに入り込まれた場合まで守るものではありません。設定の手順はフィッシング詐欺の最新の手口とパスキーの設定 にあります。
アカウントに知らない端末がつながっていないかも見ておきます。グーグルのヘルプは、セキュリティの最近のイベントと使用中のデバイスを確かめ、覚えのないものを削除するよう案内しています。アップルのヘルプも、アカウントのページの「デバイス」から覚えのない端末を削除する手順を示しています。表示の名前は2026年10月時点のヘルプの表記で、端末の版によって変わります。
後始末の途中で、「アカウントの確認のため」と電話やメールで確認コードを求められることがあれば、それも詐欺を疑います。グーグルは、パスワードや確認コードをメール・電話・メッセージで求めることはないとしています。フィッシング対策協議会も、正規の事業者が電話でワンタイムパスワードや暗証番号を尋ねることはないと注意しています。
カードの番号を保存していたら
ブラウザやネットショッピングのサイトに、クレジットカードの番号を保存していた場合も、見られたかもしれないものに入ります。相手が設定の画面や購入の画面を開いていたかどうかは、目を離していた時間があれば分かりません。カード会社に、遠隔操作を受けたことと、カードの番号を保存していたことを伝えて、番号の変更を相談します。カードの利用の明細は、その後の数か月、覚えのない請求がないかを毎月見ます。
ネットショッピングのサイトでは、登録している住所や電話番号、注文の履歴が書き換えられていないかも確かめます。知らない届け先が増えていたり、覚えのない注文があったりしたら、そのサイトの問い合わせ先に連絡します。どの確認も、操作されたパソコンではなく、別の端末から行います。
親のパソコンを見る子の世代が、先に整えておくこと
離れて暮らす親のパソコンは、トラブルが起きてから電話で手伝うのが精いっぱいです。帰省のときなど、隣に座れる機会に、事件が起きる前の準備をまとめて済ませておくと、いざというときに打てる手が増えます。準備は大きく4つで、毎日使うアカウントを標準ユーザーにすること、復元ポイントを作れるようにすること、電話をかける前の約束を決めること、写真と動画の控えを別の場所に作ることです。
国民生活センターが2024年3月27日に公表した注意喚起では、パソコンの警告画面から始まるサポート詐欺の相談は年間5,000件台で推移してきて、2023年度は前の年度の同じ時期の約1.3倍に増え、とくに70歳以上の相談が大幅に増えていました。紹介された例では、70歳代の男性が「修理代」として100円を求められ、遠隔操作のソフトを入れた後、ネットバンキングの送金画面で金額にゼロを書き足されて、100万円が送金されています。100円という小さな額で警戒を解かせる流れです。
帰省のときに隣に座って一緒に済ませる。紙を貼るところから始めれば今日でもできる
毎日使うアカウントを「標準ユーザー」にする
マイクロソフトは、管理者はシステムを完全に制御できるので管理者の数を減らし、日常の作業には標準ユーザーのアカウントを使うほうが安全だとしています。親がふだん使うアカウントを標準ユーザーにし、別に管理者のアカウントを1つ作っておくと、ソフトを入れようとしたときに管理者のパスワードを求められます。電話口で言われるままに入れる手前で、一度手が止まる仕組みです。それですべての手口を防げるわけではありませんが、「パスワードを聞かれたら家族に電話」という約束と組み合わせると、止まるところが一つ増えます。
変え方は、管理者のアカウントで「設定」の「アカウント」から「他のユーザー」(Windows 10では「家族とその他のユーザー」)を開き、変えたいアカウントを選んで「アカウントの種類の変更」を押し、一覧から種類を選んで「OK」です。管理者のアカウントが親のアカウント1つしか無い状態で標準ユーザーに変えると、管理者がいなくなってしまうので、先に管理者のアカウントを追加してから変えます。管理者のパスワードは、親が忘れても困らないよう、家族の誰が控えるかも決めておきましょう。
システムの保護を有効にしておく
前の節で書いたとおり、システムの保護は既定では有効になっていません。親のパソコンで「復元ポイントの作成」を開き、「システムの保護」タブの一覧で、Windowsが入っているドライブ(多くはC:)の保護が「有効」になっているかを見ます。「無効」なら「構成」から有効にし、その場で復元ポイントを1つ作っておきます。これで、遠隔操作の被害に遭ったときに、IPAの手順の「システムの復元」まで進める見込みが立ちます。
BitLockerでドライブが暗号化されているパソコンでは、回復キーの場所も確かめておきます。マイクロソフトのサポートページでは、回復キーは48桁の数字で、マイクロソフトのアカウント、BitLockerを有効にしたときの印刷物、USBメモリのテキストファイルなどに保存されている場合があるとしています。失われた回復キーはマイクロソフトのサポートでも取り出せないと明記されているので、どこにあるかを親と子の両方が知っている状態にします。
「画面の番号に電話する前に、家族に電話」と紙に書く
パソコンの横に、紙を1枚貼っておきましょう。書くのは、警告の画面に出た番号には電話しないこと、ESCキーを長押ししてからブラウザの×で閉じること、閉じられなければ「Ctrl」「Alt」「Delete」でタスクマネージャーを開くこと、家族の電話番号、IPAの安心相談窓口の番号(03-5978-7509、平日10時〜17時)です。警告音が鳴っている最中に、頭の中の知識を思い出すのは難しいものです。目に入る場所の紙なら、慌てていても読めます。
貼るだけでなく、帰省のときにIPAの体験サイトで一度練習しておきましょう。音が鳴り、画面いっぱいに警告が出る体験は、知っているだけの場合と比べて、本番での落ち着きが違います。親が自分で閉じられたら、それで十分です。電話をかけてしまったときのために、「ソフトを入れて、と言われたら切る」「番号を読み上げて、と言われたら切る」の2つも紙に足しておきます。
固定電話の国際電話を止めておく
警告の画面に出る番号は、IPAによると2023年8月ごろから「0101」で始まる北米への国際電話の番号に変わっています。家の固定電話で国際電話を使わないなら、国際電話の利用を休止しておく手もあります。窓口は国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)で、各地の警察も詐欺の対策として案内しています。申し込みは無料で、電話、ウェブ、郵送で受け付けています。
ただし、対象は固定電話とひかり電話で、携帯電話と050で始まるIP電話は対象外です。警察の案内には、NTT東西などを通じた国際電話の発信については別に停止の申し込みが要る場合があるとも書かれているので、発信まで止めたい場合は申し込みのときに確かめます。親が携帯電話から電話をかけた場合はこの手当てでは止まらないので、紙の約束と組み合わせて使います。
親のパソコンがWindows 10のままなら、更新が届く状態かも見ておきましょう。個人向けの拡張セキュリティ更新(ESU)は2027年10月12日までで、登録していなければセキュリティ更新は届きません。買い替えや移行の判断と、その前に写真と動画を移す手順はWindows 10のまま使い続けるリスクに、親と一緒に写真を整理する進め方は親のスマホとパソコンに残る写真を整理するにまとめています。
家族が遠隔で手伝うときも、同じ注意で
離れた親のパソコンを、子が遠隔操作のソフトで直してあげている家もあると思います。ソフトそのものは正規のもので、使うこと自体に問題はありません。ただ、親から見ると、「画面に出た番号を読み上げて」「この操作を許可して」と言われて遠隔操作を許すという動きは、詐欺の電話とそっくり同じです。家族の手伝いで慣れた手順が、そのまま詐欺の相手にも使われてしまいます。
そこで、家族の間で決まりを作っておきましょう。遠隔で手伝うのは、家族の側から電話をかけて頼まれたときだけ。画面に出た警告や、知らない人からの電話をきっかけに遠隔操作を許すことは、どんな理由でも無い。この2つを紙にも書いておけば、詐欺の電話で「お子さんの代わりに」と言われても、決まりと違うと気づけます。
正規の遠隔サポートを受けるときの注意として、IPAは相手の会社名・所属・名前・連絡先を確かめる、作業の内容と目的を先に聞く、使うソフトの名前・作っている会社・入手先・主な機能を確かめる、作業中は画面から目を離さない、終わったら遠隔操作のソフトを確実にアンインストールする、説明の無い操作など不審な動きがあればネットを切る、を挙げています。スマートフォンの場合は、始める前に画面ロックが設定されているかを確かめ、途中で止めたいときは画面ロックをかけるよう勧めています。家族が手伝うときも、この手順を省かずに使います。
家族で使う遠隔操作の方法は、1つに決めておきましょう。毎回違う名前のソフトを入れていると、親には正規のものと詐欺のものの見分けがつきません。使うソフトの名前と、作っている会社の公式の配布元を紙に書いておき、それ以外の名前のソフトを入れるよう言われたら断る、と決めます。IPAが挙げている「ソフトの名前・作っている会社・入手先を確かめる」を、家族の間では前もって決めておく形です。
手伝いが終わったら、遠隔操作のソフトを消すところまでを毎回の作業にしましょう。IPAも、作業が終わったら遠隔操作のソフトを確実にアンインストールすることを挙げています。入れたままだと、次に詐欺の電話で「そのソフトを開いて」と言われたときに、すぐ使える状態のものが手元にあることになります。次に手伝うときは、そのつど入れ直せば済みます。
写真と動画の控えは、事件の前に、つながっていない場所へ
ここまでの手順で何度も出てきたのが、「事件の前の控え」です。初期化の前に慌てて写すより、ふだんから別の場所に控えがあれば、初期化で何を選ぶかに迷わず、操作された後のパソコンからファイルを運ぶ危うさも避けられます。パソコンにつながっているものなら、外付けのHDDでもクラウドのフォルダーでも、遠隔操作の相手は画面から触れます。控えのうち少なくとも1つは、そのときパソコンにつながっていない場所に置いておくことが要になります。
この考え方は、公的機関がランサムウェアへの備えとして勧めていることと同じです。IPAの「情報セキュリティ自社診断」は、バックアップに使う装置や媒体はバックアップのときだけパソコンにつなぐ、戻せるかを定期的に確かめる、を対策の例に挙げています。総務省の国民のためのサイバーセキュリティサイトも、同じネットワークにバックアップをつなぐと共倒れのおそれが高まると説明しています。米国の政府機関(CISA)は、コピーを3つ、媒体を2種類、1つは別の場所に置く「3-2-1」の経験則を中小企業向けのページで紹介しています。
どれか1つに決めず、性質の違う控えを組み合わせる。少なくとも1つはつながっていない場所に置く
外付けHDDの自動の控えは、つなぎっぱなしにしない
Windowsのファイル履歴やMacのTime Machineで外付けHDDに自動で控える仕組みは、消してしまった写真を戻すには手軽で頼りになります。ただ、自動で控え続けるために外付けHDDをつなぎっぱなしにしていると、遠隔操作の最中にはそのHDDも相手の画面の中にあります。中を見られたり、消されたりする範囲に入ってしまいます。
親のパソコンなら、月に1回など日を決めてHDDをつなぎ、控えが終わったら外して引き出しにしまう使い方が現実的です。自動の控えの設定と容量の決め方は家族の動画を外付けHDDへ自動で控えるに書いています。抜いておく分、控えの時点は少し古くなりますが、事件の前の時点が確実に残ることのほうを優先します。
クラウドは、戻せる期間を知って使う
クラウドに写真を置いていれば、パソコンを初期化しても写真はクラウドの側に残ります。遠隔操作の相手がブラウザからクラウドのファイルを消しても、ゴミ箱から戻せる期間があります。2026年10月時点の各社の説明では、OneDriveの個人用アカウントはごみ箱から削除後30日以内、Googleドライブはゴミ箱に入ってから30日、iCloud Driveは削除から30日以内なら戻せます。Googleフォトのゴミ箱とiPhoneの「最近削除した項目」も30日です。
米国のCISAは中小企業向けのページで、少なくとも7日前の状態まで戻せるようにしておくことを勧めています。30日のゴミ箱は、この目安は満たしますが、「消された」ことに気づくのが前提です。消されたことにも気づかないまま、1か月以上たってしまう場面もあり得ます。
気づくのが遅れて30日を過ぎれば、戻せません。アカウントのパスワードを知られ、相手がゴミ箱まで空にした場合も同じです。クラウドは同じアカウントの中の仕組みなので、アカウントを守ることと、アカウントの外にもう1つ控えを置くことを組み合わせます。クラウドとディスクの組み合わせ方は写真・動画の長期保存はクラウドとDVDのどっち? で、3-2-1の組み方として詳しく書いています。
ディスクは、書き込んだ時点の状態がそのまま残る控え
DVD-RやBD-Rのような追記型のディスクは、一度記録した部分を物理的に書き換えたり消したりできません。書き込んでドライブから取り出し、棚にしまった盤は、どのネットワークからも届かないので、遠隔操作の相手の手は及びません。初期化で消えるパソコンの中身とは別に、書き込んだ時点の写真と動画が残ります。「バックアップのときだけつなぐ」というIPAの対策の例を、いちばん素直な形で続けられる媒体です。
警察庁は、ランサムウェアの被害では、攻撃者が復旧を妨げるためにバックアップも一緒に暗号化する場合が多いと説明しています。企業の被害の事例と教訓は大手企業のランサムウェア被害に学ぶ にまとめました。家庭のパソコンでも、つながっていない控えが1つあるかどうかの差は同じように出ます。
パソコンに置きっぱなしにしないもの
業務用のパソコンでの漏えいの判断について、IPAは「誰でも見られる形で機密の情報を保存していたか」を目安の一つに挙げています。家庭のパソコンに置き換えると、通帳やキャッシュカード、運転免許証、マイナンバーカードを撮った写真、パスワードを書きためた文書のファイル、親族の住所録などがこれにあたります。本人が目を離している間に相手が開けば、そのまま見えてしまうものです。
こうしたファイルは、パソコンの「デスクトップ」や「ドキュメント」に置きっぱなしにせず、要らなければ消し、要るなら外したUSBメモリやディスクに移して引き出しにしまいます。家族の写真と動画も、見返すことの少ない昔の年の分は、2つ以上の控えができていることを確かめたうえで、パソコンには直近の分だけを置く、という分け方もできます。パソコンに置くものが少ないほど、見られたかもしれない範囲も小さくなります。
ディスクに焼くときの手順と、できないこと
写真と動画をファイルのまま控えるディスクは、自分のパソコンで焼きます。テレビのプレーヤーで再生するための映像のディスクとは作り方が違い、ファイルのまま焼いた盤はパソコンで開いて使います。違いはデータDVDと映像DVDの違い に書いたので、ここでは控えとして焼くときの要点に絞ります。
焼く前に、元のファイルが開けることを確かめる
ディスクは、焼いたときの状態をそのまま残します。言い換えると、焼く前のファイルが開けなくなっていたり、別のファイルにすり替わっていたりすれば、その状態も一緒に残ります。焼く前に、年ごと・行事ごとのフォルダーから写真と動画を何本か開き、ちゃんと表示・再生できることを確かめます。遠隔操作の被害の後に焼く場合は、前の節のスキャンを済ませたものだけを焼きます。
Windowsでは「CD/DVD プレーヤーで使用する」を選ぶ
Windowsのエクスプローラーで空のDVD-RやBD-Rにファイルを書き込もうとすると、「このディスクをどの方法で使用しますか?」と聞かれます。控えにする盤は「CD/DVD プレーヤーで使用する」を選びます。ファイルを集めてから一度に書き込む方式で、書き込んだファイルは後から消せません。もう一方の「USB フラッシュ ドライブと同じように使用する」は、後からファイルの追加や削除ができる方式で、控えとして残す盤には向きません。表記はWindowsの版で変わることがあります。
書き込みソフトを使う場合は、「ディスクを閉じる」「ファイナライズ」の項目があれば選びます。閉じていない盤をドライブに入れたままにしておくと、追記によって中身が見かけ上書き換わることはあり得ます。書き込みが終わったら、ドライブから取り出すところまでを一つの作業にします。MacもFinderから焼けますが、最近のMacは本体にドライブが無いので、外付けのドライブが要ります。
中身が変わっていないかを確かめる控えも作る
焼いた盤の中身が、焼いたときから変わっていないかを確かめるには、ファイルごとの「ハッシュ値」を使います。中身が1文字でも変われば値が変わる計算で、Windowsでは標準の機能で計算できます。焼く前に一覧を作って盤にも入れ、別の場所にも控えておけば、何年か後に読み出したとき、同じ値かどうかで確かめられます。ただ、ハッシュ値が一致するのは「焼いたときから変わっていない」ことの確認までで、ウイルスが無いことの証明にはなりません。手順は復元テストとハッシュで静かな破損を見つけるにあります。
できないこと、気をつけること
ディスクは万能の控えではありません。焼く前におかしくなっていたファイルは、そのまま残ります。ドライブに入れたままの盤や、書き換えのできるRW・REの盤は、つながっていない控えの役を果たしません。盤は割れることも、なくすこともあり、盗まれれば中身は読まれます。読むためのドライブも要ります。外付けのドライブはメーカーの販売終了が続いて選択肢が減っているので、読み出せるドライブを1台手元に残しておきましょう。
盤の寿命は保管の環境で変わります。カナダ保存研究所(CCI)の目安では、一般的な銀系の反射層のDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年で、温度と湿度だけに基づく目安です。国立国会図書館の報告書は、JIS Z 6017などが長期保存に適した環境として温度10〜25℃、湿度40〜60%を挙げていると紹介しています。直射日光と高温多湿を避け、ケースに入れて立てて保管し、数年ごとに読めるかを確かめます。種類ごとの寿命の目安はCD・DVD・ブルーレイの寿命は何年か にまとめています。
長く持たせることをうたうM-DISCという盤もあります。製造元のバーベイタムは、国際規格にもとづく寿命推定試験で100年以上の保存寿命という結果を示していますが、これは加速試験からの推定で、実際に100年置いて確かめた値ではありません。書き込むには対応のドライブが要るとされています。どの盤でも、数年ごとに読めるかを確かめ、必要なら新しい盤へ移す、という手入れは変わりません。
置き場所は、親の家と子の家に1枚ずつが基本です。同じ家に2枚置くと、火事や水害で一緒に失います。親族の家に預けるときの頼み方と、年に1回の入れ替えの段取りは実家や親戚宅にバックアップを預けるに書いています。写真には家族の顔や子どもの学校が写っているので、預け先にも、なくしたら教えてほしいと伝えておきましょう。
年に1回、家族の写真と動画を控える段取り
控えは、一度作って終わりではありません。毎年増える写真と動画を、どこかの時点で切り離した場所に移す習慣にしておくと、事件の前の控えがいつも手元にある状態を保てます。おすすめしやすいのは、年末年始や夏の帰省のように、親と子が同じ家にいる日を決めて、毎年同じ時期に行うやり方です。
前の日までに、子の側で空のBD-RかDVD-Rを2枚以上と、ディスクに書き込めるドライブ、作業用の外付けHDDを用意します。親のパソコンの「ピクチャ」「ビデオ」のフォルダーの大きさと、親のスマートフォンに残っている写真と動画の量を、電話で聞いておくと、盤の枚数の見当がつきます。
親のパソコンとスマートフォンから、その1年分の写真と動画を外付けHDDの年のフォルダーに集める
行事ごとに何枚か開いて、表示と再生ができることを確かめる
ファイルのハッシュ値の一覧を作り、同じフォルダーに入れる
同じ内容の盤を2枚焼き、書き込みが終わったらドライブから取り出す
盤面用のペンで年と中身を書き、ケースに入れる
1枚は親の家に、1枚は子の家に置く
去年の盤を1枚読み込んで、開けることを確かめる
作業用の外付けHDDはパソコンから外してしまう
どれだけ入るかを、動画の長さで見積もる
盤の容量は、DVD-Rが1層4.7GB・2層8.5GB、BD-Rが1層25GB・2層50GBです。この「GB」は10億バイトの単位なので、パソコンの画面では4.7GBの盤が約4.38GB、25GBの盤が約23.3GBと少なめに表示され、実際に書き込める量はさらに少し減ります。写真は機種と設定で1枚の大きさが違うので、フォルダーのプロパティで合計の大きさを見て決めます。
動画は長さから見積もれます。iPhoneの設定画面の目安では、1080p/30fpsで「高効率」とHDRビデオをオンにした場合が1分あたり約65MB、4K/30fpsが約190MBです。計算すると、65MBの動画は4.7GBで約72分、25GBで約6.4時間ぶんになり、190MBの4K動画は25GBで約2.2時間ぶんです。管理のための領域もあるので、実際にはこれより少なく見積もります。1年分の家族の動画が数時間なら、BD-Rの1層に収まる計算です。
写真と動画のうち、親がテレビでも見たいものは、ファイルのまま焼いた控えとは別に、プレーヤーで再生できる映像の盤にしておくと、パソコンを開かなくても見られます。ファイルのままの盤は控えとして棚に、映像の盤は見るためにプレーヤーの横に、と役目を分けると、どちらの盤がどこにあるかで迷いません。
盤に書く名前と、中に入れる説明
何年か続けると、棚に同じような盤が並びます。盤面用のペンで、年と中身(「2026年の写真と動画」など)と、焼いた日を書いておくと、どの盤が何の控えかが分かります。盤の中には、ファイルとは別に、中身の一覧と、ハッシュ値の一覧が何のためのものかを書いた短い説明の文書を入れておきます。何年か後に盤を開く人が、子であっても孫であっても、何が入っているかを迷わずに済みます。
写真の形式も一度確かめておきます。iPhoneの「高効率」の設定で撮った写真はHEIF(拡張子はHEIC)という形式で保存され、この形式に対応していないパソコンやソフトでは開けないことがあります。家族が後で開く場面を考えて、ふだん写真を見ているパソコンで表示できるかを、焼く前に確かめておきましょう。
職場や団体のパソコンで起きたら
会社や店、自治会やNPOの事務のパソコンで遠隔操作を許してしまった場合は、家庭とは順番が少し違います。ネットを切るところまでは同じですが、その後は自分で手当てせず、管理者や代表に連絡します。IPAは、情報漏えいの調査を行う場合は、調査が終わるまで端末を保存し、システムの復元や初期化は調査の後に行うよう勧めています。初期化してしまうと、何を見られたかを調べる手がかりも消えます。
IPAは2024年1〜3月の相談状況で、業務用のパソコンでの漏えいの可能性を判断する目安として、遠隔操作の最中に画面から目を離したか、パソコンに誰でも見られる形で機密の情報を保存していたか、の2点を挙げています。操作の範囲は、遠隔操作のソフトが残したログを調べると後から分かる場合がある、とも書いています。顧客名簿や会員名簿が入ったパソコンなら、個人情報が漏れた、または漏れたおそれがある場合に、個人情報保護委員会への報告が必要になることがあります。
報告が要るのは、要配慮個人情報を含む場合、財産的な被害が生じるおそれがある場合、不正の目的による場合、1,000人を超える場合などで、おそれがある場合も含みます。速報は知った時点からおおむね3〜5日以内です。名簿を入れたUSBメモリやディスクの扱いも含めた決まりごとは個人情報の入ったUSBメモリ・DVDの管理 にまとめています。
警察庁が2026年5月の急増を伝えた手口も、企業への電話から始まります。法人の口座を狙う電話の詐欺について、警察庁は2025年の情勢のまとめで、銀行から電話があったら営業店や代表の番号にかけ直して確かめる、ネットバンキングは銀行の公式サイトかアプリから開く、を社内で徹底するよう呼びかけています。電話で遠隔操作のソフトを入れるよう言われたときも、同じように、聞いた番号ではなく自分で調べた正規の番号にかけ直しましょう。
自治会やPTAなど、小さな団体では
専任の管理者がいない小さな団体では、手当ては、誰が判断するかを先に決めておくところから始まります。会長や事務の担当者のうち、パソコンで何か起きたときに連絡を受ける人を1人決め、ネットを切る、触らずに連絡する、という2つを、パソコンの横に貼っておきます。名簿が入っているパソコンなら、個人情報の扱いを決める立場の人にも、その日のうちに伝わるようにします。
IPAが2026年3月に公開した「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版は、基本の「情報セキュリティ5か条」に「バックアップを取ろう!」を加えて「6か条」にしました。付録の自社診断の「バックアップ」の項目は、バックアップに使う装置や媒体はバックアップのときだけパソコンにつなぐ、戻せるかを定期的に確かめる、を対策の例に挙げています。団体の名簿や会計の記録も、家庭の写真と同じく、つながっていない控えを1つ持つ考え方で守れます。
当社にできること
当社は、動画のデータから、プレーヤーで再生できるDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店です。写真やファイルのままの控えは、前の節のとおり自分のパソコンで焼く前提で書きました。当社に頼めるかどうかは、相談・問い合わせフォームで確かめてください。当社が受け付けるのは完成した動画のデータで、お引き受けできるのは撮った本人か、権利者の許可がある動画です。
家族の動画を控えるとき、当社が役に立てるのは、運動会や発表会、帰省のときの動画などを、テレビのプレーヤーで見られる盤にするところです。パソコンが初期化されても、棚の盤は残り、親はパソコンを開かずにプレーヤーで孫の動画を見られます。1枚から注文でき、基本料金(DVD・1枚あたり)は1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)は1,500円です。
盤にする動画は、親がくり返し見たいものから選ぶと、手間に見合います。孫の運動会や発表会、家族で出かけた日の動画、親自身が写っている誕生日の動画などです。撮ったままの長い動画を並べるより、見たい場面を選んで1本にまとめたほうが、プレーヤーで見るときに探す手間が減ります。編集が難しければ、ファイル名に撮った日の順の番号を付けて入稿するだけでも、行事の順に見られる盤になります(番号の付け方は下に書きました)。
同じ内容の盤を親の家と自分の家に1枚ずつ置くなら、2枚目からは追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)の1,000円です。どの盤がいつの記録かを見分けやすくするには、盤面レーベル印刷(1枚あたり)の+1,000円で、題名や年を入れた画像を入稿してもらい、その画像を盤に印刷します。1年分のように長い記録は、チャプター分け(1枚あたり)の+1,500円で、行事ごとに頭出しできる盤にもできます。書き込んだ盤は、実際のプレーヤーで再生を確かめてからお渡しします。
入稿は、動画の共有URLを注文フォームに貼る形です。遠隔操作の被害の後なら、手当てが済むまでは、操作されたパソコンではなくスマートフォンなど別の端末から入稿します。ギガファイル便を使う場合は、保持期限をアップロードの前に選び(後から延ばせません)、ダウンロードパスワードを付けると、注文フォームで入力したパスワードが合っているかをその場で確かめる作りになっています。どの共有サービスでも、送る相手と期限を決めてURLを作ります。作業の後のデータの扱いなど、気になる点は注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。
親の家で見る盤を頼むときの準備
当社に入稿するのは、完成した動画のデータです。1年分の動画を1枚の盤にまとめたいときは、編集ソフトで1本につなげた動画を作るか、つなげずに複数のファイルのまま入稿します。複数のファイルで入稿する場合は、ファイル名の頭に「01_」「02_」と番号を付けると、その番号の順に収録します。行事の順に並べたいなら、撮った日の順に番号を振っておきます。
収録できる長さは、料金表の目安で、1層のディスクならDVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間です。それより長い場合は2層のディスクにするか、2枚に分けます。親のテレビにつないでいるのがDVDプレーヤーなら、ブルーレイの盤は再生できないので、盤の種類は再生する機器に合わせて選びます。どの機器で見るかが分からないときは、注文フォームの備考欄に配る相手の再生機器を書いておきます。
今日やることを決める
いま遠隔操作されている、またはされた直後なら、順番は次のとおりです。ネットワークを切る。警告の画面の写真と、時刻・電話番号・入れたソフト・払った方法のメモを残す。お金を動かしたなら銀行・カード会社・発行会社に連絡する。IPAの安心相談窓口(03-5978-7509)と、必要なら警察署・188に相談する。ソフトを消してスキャンし、システムの復元を試す。初期化に進む前に、事件の前の控えがあるかを確かめる。
まだ何も起きていないなら、今日のうちに、親のパソコンの横に貼る紙を1枚作るところから始めます。次に会うときに、体験サイトで閉じ方を一緒に練習し、システムの保護を有効にし、毎日のアカウントを標準ユーザーにします。そして、家族の写真と動画を年に1回、つながっていない場所に控えます。外付けHDDなら外してしまい、ディスクなら焼いて取り出して親の家と自分の家に置く。そうしておけば、いつか偽の警告が鳴って初期化することになっても、家族の写真と動画は棚の上に残ります。
よくある質問
Q. 偽の警告画面が出ただけでもウイルスに感染しているのですか A. IPAは、偽の警告画面が表示されただけならパソコンはウイルスに感染しておらず、画面を閉じるだけで問題ないと説明しています。ESCキーを長押ししてブラウザの×を押すか、「Ctrl」「Alt」「Delete」でタスクマネージャーを開いてブラウザを終了します。画面に出た電話番号には電話しないでください。
Q. 電話をかけてしまったが、ソフトは入れていない場合はどうなりますか A. IPAは、遠隔操作を許可せず、契約にも応じなければ金銭の被害は避けられると説明しています。その後に同じ相手から電話がかかってきても、話を続ける必要はありません。ギフトカードを買うよう言われたり、ネットバンキングを開くよう言われたりしたら、その場で切ってください。不安なときはIPAの安心相談窓口に相談できます。
Q. 遠隔操作のソフトをアンインストールすれば初期化しなくてよいですか A. IPAは、遠隔操作の影響の範囲は判断できないので、ソフトを消した後に「システムの復元」を行うよう勧めています。アプリの一覧に出ないソフトもあり、その場合は復元だけを行います。復元ポイントが無いなどでシステムの復元ができなければ初期化です。どこまで進めるか迷うときは、IPAの窓口で相談してください。
Q. システムの復元をすると写真や動画は消えますか A. マイクロソフトは、システムの復元は個人用ファイルに影響を与えずに、システムのファイルや設定、インストールされたプログラムを復元ポイントの時点に戻すと説明しています。写真や動画は残り、その後に入ったソフトが取り除かれます。ただし復元ポイントを作る「システムの保護」は既定では有効になっていないので、戻る先が無いこともあります。
Q. 初期化で個人用ファイルを保持すれば写真は残りますか A. 「個人用ファイルを保持する」を選ぶと、個人用ファイルは残り、自分で入れたアプリや設定の変更は削除されます。写真や動画のファイルは残りますが、アプリの中で管理していたアルバムの分類などは消えることがあります。遠隔操作の後にどちらを選ぶかはIPAの窓口で相談し、事件の前の控えがあればそこから戻すのが安全です。
Q. 遠隔操作された後のパソコンから写真をコピーしてもよいですか A. 事件の前に作った控えがあれば、そちらから戻すのが安全です。控えが無い場合は、ネットを切ったまま空の外付けHDDなどに写真と動画のファイルだけを写し、プログラムや圧縮ファイル、見覚えのないファイルは写しません。写した先をスキャンし、初期化後に開く前にもう一度スキャンします。職場のパソコンでは写さず管理者に任せます。
Q. ギフトカードの番号を電話で伝えてしまったときの連絡先 A. 警察庁は、電子マネーで支払った場合は発行している会社に被害を連絡し、決済の手続きの停止を頼むとともに、救済の手段を相談するよう案内しています。買ったカードの台紙とレシートは捨てずに取っておき、警告の画面の写真などと一緒に最寄りの警察署へ持って行って相談します。契約の取り消しは188の消費生活センターです。
Q. 親が一人のときに警告が出たら電話で何を伝えればよいですか A. まず「画面の番号には電話しない」と伝え、ESCキーを長押ししてブラウザの×を押してもらいます。閉じられなければ「Ctrl」「Alt」「Delete」でタスクマネージャーを開き、ブラウザを終了します。すでに遠隔操作されているなら、ルーターのコンセントを抜いてもらうのが確実です。迷うときはIPAの安心相談窓口に一緒に相談します。
Q. Macやスマートフォンでも同じような被害はありますか A. Macでもブラウザに偽の警告が出ることがあり、アップルはポップアップを信じず、表示された番号に電話しないよう案内しています。スマートフォンでは、副業の誘いから遠隔操作のアプリを入れさせられ、借り入れや送金をさせられた例をIPAが紹介しています。どちらも、ネットを切る、アプリを消す、相談する、という順番は同じです。
Q. 職場のパソコンで遠隔操作されたら自分で直してよいですか A. ネットを切ったら、自分で手当てせず管理者に連絡します。IPAは、情報漏えいの調査を行う場合は、調査が終わるまで端末をそのまま保存し、復元や初期化は調査の後に行うよう勧めています。顧客や会員の個人情報が漏れた、または漏れたおそれがある場合は、個人情報保護委員会への報告が必要になることがあります。
Q. ディスクに焼いておけばサポート詐欺の被害を防げますか A. ディスクで詐欺そのものは防げません。役に立つのは、初期化や削除で消える写真と動画を、事件の前の状態で残しておける点です。追記型の盤を焼いて取り出しておけば、遠隔操作の相手は届きません。ただし焼く前におかしくなっていたファイルはそのまま残り、盤の寿命や読むドライブの心配もあるので、外付けHDDやクラウドと組み合わせます。
Q. 家族の動画を親の家と自宅に1枚ずつ置ける盤にできますか A. 当社は、完成した動画のデータからプレーヤーで再生できるDVD・ブルーレイを作ります。同じ内容の2枚目からは追加コピーとして焼き増しでき、親の家と自宅に分けて置けます。盤面レーベル印刷を付ければ、入稿した画像を盤に印刷して、いつの記録かを見分けやすくできます。料金は料金表のページで確かめてください。