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防犯カメラ・見守りカメラの乗っ取り対策|初期パスワードの変更と、大事な録画の残し方

2026 10/11
防犯カメラ・見守りカメラの乗っ取り対策|初期パスワードの変更と、大事な録画の残し方

この記事の要点

  • 乗っ取りは、初期のままのパスワード、古いファームウェア、外から直接届く設定、使い回したアプリのパスワードの4か所から始まることが多い。順に閉じる
  • 国のNOTICEの2026年8月分では、ID・パスワードが推測されやすいIoT機器が月1万3,708件。カメラ以外も含む数で、映像が見られている台数ではない
  • 管理用のパスワードは10桁以上で機器ごとに別に。自動更新を有効にし、サポートが終わった機器は買い替えを考える(総務省・NOTICEの案内)
  • 寝室・脱衣所・レジの手元は写さない向きにする。乗っ取られたときに見られて困るものを、最初から画面に入れない
  • 録画は上書き・削除・録画の停止で消える。大事な場面は書き出して開けることを確かめ、追記型の盤に2枚焼いて別々の場所に置く

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夜、居間に置いた見守りカメラが、だれも触っていないのに向きを変えた。店の録画機の管理画面を開くと、見覚えのない利用者の名前が増えている。あるいは、契約しているプロバイダから「お使いの機器のID・パスワードが推測されやすい状態です」という封書が届いた。カメラの乗っ取りは、こうした小さな違和感や一通の知らせから気づくことが多いものです。

公表された事例と国の注意喚起で繰り返し挙がる原因は、最初から付いているパスワードのまま使っていること、ファームウェア(機器の中のプログラム)が古いこと、外から録画機に直接届く設定になっていること、アプリのアカウントのパスワードをほかのサービスと使い回していることの4つです。この4か所を順に閉じたうえで、大事な録画はカメラと録画機の中だけに置かず、書き出して手元の盤に控えます。中に置いたままの録画は、上書きで消えるうえに、乗っ取った側が消したり録画を止めたりできてしまうからです。

事例と数字は、2026年10月時点で公表資料と報道によって確かめられた範囲で書いています。攻撃のやり方には触れず、家庭・店・事務所・園のカメラで、どの設定をどの順に見直すか、録画をどう残すかを書きます。警察や当事者へ映像を渡す手順は、別の記事に分けています。

この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります

  1. カメラの乗っ取りで、これまでに何が起きたか
  2. 国の調査では、推測されやすいパスワードの機器が月に1万件を超える
  3. 乗っ取られる道は、4つある
  4. 乗っ取られると、何を見られ、何をされるか
  5. 最初にすること|管理用のパスワードを、機器ごとに別のものへ
  6. アプリのアカウントは、2段階の確認と共有の整理で守る
  7. ファームウェアは自動で更新し、サポートの終わりを確かめる
  8. 外から見る設定は、使っていなければ止め、使うなら道を一つにする
残りの15項目を見る
  1. 置き場所と写す範囲は、見られたときのことを考えて決める
  2. 店・事務所・園では、カメラの管理を業者任せにしない
  3. 新しくカメラを置く日は、ネットにつなぐ前に決めておく
  4. 録画は、どこに残り、いつ消えるのか
  5. 録画を何日分残すかは、気づくまでの日数から決める
  6. 大事な録画は、上書きされる前にカメラの外へ出す
  7. 書き出した録画を、追記型の盤に焼いて置く
  8. 盤で守れること、守れないこと
  9. 乗っ取られたかもしれないと思ったら
  10. 家庭・店・事務所で、見直す順番を決める
  11. よくある思い込みを、一つずつ確かめる
  12. 自分でできる範囲と、業者やメーカーに頼む境目
  13. 防犯カメラの録画を見られる盤にするとき、当社にできること
  14. 今週は、アプリの2段階の確認と、録画のいちばん古い日付を見る
  15. よくある質問

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カメラの乗っ取りで、これまでに何が起きたか

カメラや録画機が乗っ取られた例は、2010年代の半ばから各国で公表されてきました。映像を見られた例、大量の通信を送る攻撃の道具に使われた例、配信を止めて機器を入れ替えた例と、起きたことはさまざまです。ただ、どこから入られたかをたどると、初期のパスワード、管理者のアカウント、外から届く設定と、同じ所に行き着きます。代表的な例を、起きた順に挙げます。

Mirai|よくある初期のIDとパスワードで、カメラや録画機が攻撃に使われた

米国のサイバーセキュリティの政府機関CISA(当時はUS-CERT)は、2016年10月14日に注意喚起を出しました。それによると、Miraiと呼ばれるマルウェアは、インターネット上のIoT機器を探し続け、よくある初期のIDとパスワードの組み合わせ62通りでログインして機器を乗っ取りました。乗っ取った機器は、大量の通信を送りつけて相手のサービスを止める攻撃(DDoS攻撃)に使われます。

2016年9月20日には、セキュリティ記者のサイトに620Gbpsを超える通信が送られ、9月下旬にはフランスのホスティング事業者に少なくとも1.1Tbpsの攻撃がありました。9月末にプログラムの元になるコードが公開され、似たものが広がります。10月21日には、DNSという住所録の役目を持つ事業者が2回の大規模な攻撃を受け、Twitter・GitHub・Netflixなど多くのサイトがつながりにくくなりました。使われた機器の群れの一つは録画機やカメラが中心だったと分析されていますが、攻撃に加わった台数は発表や報道で揺れていて、定まった数はありません。

CISAは対処として、感染した機器をネットワークから外して再起動し、初期のパスワードを強いものに変えてからつなぎ直すよう案内しました。変えずにつなぎ直すと、また感染するおそれがあるためです。更新プログラムを入れる、ルーターのUPnP(機器が自分で外への通り道を開ける機能)を必要がなければ切る、セキュリティへの取り組みの評判がよいメーカーから買う、も挙げています。10年前の注意喚起ですが、中身は今の国内の案内とほとんど変わりません。

15万台を超えるカメラにアクセスできた、米国の事業者向けカメラへの侵入

米連邦取引委員会(FTC)が2024年8月30日に公表した件です。事業者向けの防犯カメラをクラウドで管理するサービスを運営していた米国の会社に2021年3月に侵入があり、侵入者は15万台を超える顧客のライブカメラと、顧客の住所・音声の記録・Wi-Fiの認証情報などにアクセスできました。訴状には、侵入者が精神科病院の患者、女性向けの診療所、子どもが遊ぶ部屋、刑務所の房の中などを見たと書かれています。会社は、報道機関から問い合わせを受けるまで侵入に気づいていませんでした。

FTCは、一人ひとりに別の複雑なパスワードを求めていなかったこと、顧客のデータの暗号化が足りなかったこと、安全なネットワークの管理をしていなかったことを指摘し、会社全体の情報セキュリティの計画を作るよう命じました。あわせて迷惑メールの規制に違反したとして、295万ドルの民事制裁金を科しています。侵入にはネット上に出ていた管理者のIDとパスワードが使われたと、2021年3月に米国で報じられました。会社側は実際に映像を見られた顧客はもっと少ないと説明したとされ、影響の数には争いがあります。15万台は、FTCが「アクセスできた」と認めた台数です。

この例を店や事務所に置き換えると、カメラ1台ずつの設定より上にある、管理する側のアカウントの話になります。何台ものカメラをまとめて見られるクラウドの仕組みは便利ですが、管理者のIDとパスワードが一つ漏れると、つながっている全部のカメラに届きます。カメラを管理するアプリやサイトのアカウントに2段階の確認を付ける理由は、ここにあります。

家庭用のカメラでも、アカウントへの不正なログインが起きた

FTCは2023年5月31日に、家庭用のドアホンとカメラを扱う米国の会社について、従業員や委託先のだれもが顧客の映像を見られる状態だったと公表しました。ある従業員は、数か月にわたって浴室や寝室を含む数千件の録画を見ていたとされます。さらに、ほかのサービスから漏れたパスワードを使い回しで試す攻撃や、総当たりで試す攻撃への標準的な対策が、2019年まで入っていませんでした。その間に、米国の約5万5,000人の顧客の録画・ライブ映像・アカウントに不正なアクセスがありました。子どもを含む人が、カメラの通話の機能を通して脅されています。

FTCは、580万ドルを顧客への返金に充て、従業員と顧客のアカウントに多要素認証を設けることなどを求める命令の案を示しました(裁判所の承認が前提)。会社は2020年2月に、全利用者のログインに2段階の確認を必須にしたと報じられています。この例から分かるのは、特定の製品の良し悪しより、家庭用のカメラでもアプリのアカウントのパスワードが乗っ取りの道になることです。ほかのサイトと同じパスワードを使っていれば、そのサイトから漏れたパスワードでカメラのアカウントにも入られます。

国内では、河川のカメラの配信停止と、保育施設への注意喚起

国内では2015年から2016年にかけて、日本の数千台規模のカメラの映像が、海外のサイトで見られる状態になっていると報じられました。「約4,000か所」「5,000台以上」と報道によって数字が揺れていますが、原因は初期設定のままだったことやパスワードを設定していなかったことと報じられています。

国土交通省は2023年3月31日、「川の防災情報」で配信していた簡易型の河川監視カメラのうち337台の画像の配信を、3月1日から止めていたと公表しました。止めたカメラを回収して通信の記録などを調べたところ、不正アクセスの疑いがある痕跡が見つかったためです。機器の交換、通信ポートの閉塞、パスワードの再設定を行い、対策を終えたカメラから順に、5月までの再開を目指すとしていました。

2025年11月5日には、こども家庭庁の各課と文部科学省の幼児教育課が連名で、事務連絡「インターネットに接続されたカメラ等の安全な利用について」を自治体などに出しています。インターネットにつながったカメラから映像が流出した事案の報道を受けたものです。IPA(情報処理推進機構)の委員会が作った、ネットワークカメラシステムのセキュリティ対策のチェックリストを参照するよう、保育所などへの周知を求めています。翌月の12月23日には、総務省がカメラの管理者に向けた注意喚起を出しました。設定や運用を誤ると管理者の意図に反して第三者に映像が公開されることがあり、実際にネットワークカメラの映像を集めて公開するウェブサイトが複数あると書いています。

ここまでの事例と、国の取り組みの時期を一つの年表にすると次のようになります。10年のあいだ、注意を促す内容は、初期のパスワードを変える、ファームウェアを更新する、使わない機能を止める、の3つでほとんど変わっていません。NOTICEの数字を見ると、この3つのうち一つ目でさえ、まだ済んでいない機器が月に1万件を超えて見つかっています。

2016年のMiraiの攻撃から、2019年のNOTICEの開始、2020年の技術基準の改正、2021年の米国の侵入、2023年の河川カメラの停止、2024年のNOTICEの拡充、2025年の事務連絡と総務省の注意喚起までを年の順に並べた図
10年のあいだ、注意を促す中身はパスワード・更新・不要な機能でほとんど変わっていない

国の調査では、推測されやすいパスワードの機器が月に1万件を超える

国の調査として知られているのが、総務省・NICT(情報通信研究機構)・ICT-ISACがプロバイダと連携して2019年2月20日に始めた「NOTICE」です。NICTが法律で認められた計画のもとで、インターネットに直接つながったルーターやネットワークカメラなどに実際にIDとパスワードを入れてみて、推測されやすいままの機器を見つけます。外からアクセスできないパソコンやスマートフォンは対象外です。2024年4月からは、ファームウェアに弱点がある機器やマルウェアに感染した機器の調査にも広げ、ルーターやカメラの乗っ取りへの対処をまとめて進める取り組みになりました。

NOTICEが公表している最新の2026年8月分では、参加しているプロバイダのIPアドレスに対する観測が月に1.18億件ありました。そのうち、IDとパスワードが容易に推測できるIoT機器が月に1万3,708件です。ファームウェアに危険度の高い弱点がある機器が月に2,151件、攻撃の踏み台にされうる機器が月に1万2,220件でした。Miraiに感染していると推定される機器は、1日あたり最大299件です。

NOTICEの2026年8月分で、IDとパスワードが推測されやすい機器が月1万3708件、攻撃の踏み台にされうる機器が月1万2220件、ファームウェアに危険度の高い弱点がある機器が月2151件であることを示す横棒グラフ
カメラ以外の機器も含む数で、映像が見られている台数ではない

この数字を読むときに気をつけたいのは、カメラだけの数でも、映像が見られている台数でもないことです。ルーターなども含めた「推測されやすいIDとパスワードのまま、外から届く機器」の数です。観測の対象は主にインターネットに直接つながった機器なので、家のルーターの内側に置いたカメラは、この数に入らないことがあります。数字が小さく見えても、自分のカメラが安全だという意味にはなりません。

一方で、NOTICEが始まってから7年がたった今も、推測されやすいIDとパスワードのまま外から届く機器が、ひと月に1万件を超えて見つかっているのも事実です。注意喚起が届くのは、観測で見つかった機器の利用者だけです。知らせが来ていないことを安全の印と考えず、自分の家や店のカメラが外からどう見えているかを、一度自分で確かめておきます。

プロバイダから注意喚起が届いたら

NOTICEで見つかった機器があると、NICTからプロバイダに知らせが行き、プロバイダが電子メールか郵便で、機器の利用者に注意を呼びかけます。届いた文面には「お問合せID」(半角英数の12桁か15桁)が書かれていて、これをNOTICEのサイトの入力欄に入れると、機器ごとの対処の方法が表示されます。法人向けの機器なら、ICT-ISACの法人向けのページもあわせて見るよう案内されています。

設定の方法が分からないときは、NOTICEサポートセンターに電話で聞けます。番号は0120-769-318(固定電話から無料)と03-4346-3318(有料)で、受付は10時から18時(12月29日から1月3日を除く)です。ファームウェアを更新している最中に通信が切れたり電源が落ちたりすると、機器が使えなくなるおそれがあり、その故障はサポートセンターでは保証しないと書かれています。更新は、電源を抜かれない時間帯に、手順書を見ながら行います。

知らせが本物かどうか迷ったら、届いたメールのリンクや封書の電話番号ではなく、契約しているプロバイダの公式サイトや契約書類に載っている窓口に、自分で問い合わせて確かめます。注意喚起の名前を借りて、お金やアプリの入れ直しを求めてくる連絡があっても、その場で応じないことです。

乗っ取られる道は、4つある

事例と国の案内を重ねると、カメラが乗っ取られる道は4つに分けられます。どれか一つでも開いていれば、ほかの3つをきちんと閉じていても届いてしまいます。4つのうち、一つ目から三つ目は機器の設定で、四つ目は人の側の習慣です。設定は一度直せば続きますが、習慣は家族や従業員が増えるたびに崩れやすいので、別に手当てをします。

一つ目は、初期のパスワードです。初期の管理用パスワードは説明書に書かれていて、インターネット上に公開されることもある、とNOTICEは案内しています。同じ型の機器なら同じ初期パスワードが付いていることが多く、Miraiはまさにその組み合わせを一覧にして試していました。設置のときに「あとで変えよう」と思ったまま使い続けると、その機器は一覧の組み合わせを試されたときに開いてしまいます。

二つ目は、古いファームウェアです。ファームウェアは、カメラや録画機を動かしている中のプログラムで、弱点が見つかるとメーカーが修正版を出します。修正版を入れなければ、弱点は開いたまま残ります。メーカーのサポートが終わった機器には、そもそも修正版が出ません。NOTICEが2024年4月から、ファームウェアの弱点がある機器も調べるようになったのは、パスワードを変えただけでは閉じない道があるからです。

外から直接届く設定が、三つ目の道です。外出先から映像を見たい、録画を確かめたいという理由で、録画機の管理画面をインターネットから開けるようにルーターを設定している場合や、機器が自分で外への通り道を開けるUPnPが働いている場合がこれにあたります。総務省の注意喚起が「使用しない機能や設定が有効になっていないか」を確かめる点に挙げているのも、この道を減らすためです。

残る一つは、アプリやクラウドのアカウントです。スマホのアプリで映像を見る型のカメラでは、カメラ本体のパスワードを守っていても、アプリにログインするIDとパスワードが漏れれば、その人のカメラ全部に届きます。ほかのサービスと同じパスワードを使っていると、そこから漏れた情報で試されます。米国の家庭用カメラの事例で、約5万5,000人のアカウントに入られたのはこの道でした。

乗っ取られると、何を見られ、何をされるか

まず見られるのは、ライブの映像と録画です。マイクの付いたカメラなら音声も聞かれます。家の中のカメラには、部屋の間取り、家族の顔、子どもの部屋、出かける時間と帰ってくる時間が写ります。店や事務所のカメラには、レジの位置、金庫や鍵の置き場所、閉店後の店内の様子、従業員の動きが写ります。映像そのものに加えて、いつ人がいないかという生活や営業の時間割が分かってしまうのが、カメラ特有の怖さです。

次に、操作されます。向きを変えられるカメラなら首を振られ、スピーカーの付いたカメラなら話しかけられます。米国の事例では、カメラの通話の機能で子どもを含む人が脅されました。管理者の権限まで取られると、管理者ができることは全部できると考えておく必要があります。設定の変更、利用者の追加、通知の停止、録画の停止、録画の削除がそれにあたります。

三つ目に、攻撃の道具に使われます。Miraiに乗っ取られたカメラや録画機は、持ち主の知らないところで、ほかの会社のサイトに大量の通信を送る攻撃に加わりました。NOTICEの2026年8月分でも、Miraiに感染していると推定される機器が1日あたり最大299件数えられています。持ち主の画面ではふだんどおり映像が映っているので、使われていることに気づきにくいのが困るところです。

見落とされやすいのが、録画が消されることです。防犯カメラを置く理由の多くは、何かあったときに後から確かめるためです。ところが、乗っ取った側が録画を消したり、録画を止めたりできる状態なら、肝心の場面が残りません。乗っ取りに気づいたときには、その前後の録画がすでに上書きされていた、ということも起こり得ます。この記事の後半で、大事な録画をカメラの外に出して盤に控える手順を書くのは、このためです。

最初にすること|管理用のパスワードを、機器ごとに別のものへ

4つの道のうち、今日すぐに閉じられるのがパスワードです。総務省が2025年12月の注意喚起で管理者に確かめるよう求めた点の一つ目も、パスワードの認証が設定されているか、十分に長いパスワードかどうかでした。作業そのものは管理画面で数分ですが、どこにパスワードがあるのかを先に洗い出しておかないと、変え漏れが出ます。

パスワードは、思っているより多くの場所にある

家庭や店のカメラまわりには、少なくとも4種類のパスワードがあります。カメラ本体の管理画面のパスワード、録画機のログインのパスワード、スマホのアプリやクラウドのアカウントのパスワード、そしてルーターの管理画面のパスワードです。録画機に「管理者」と「閲覧用」のように複数の利用者が作られている場合は、その数だけパスワードがあります。Wi-Fiでつなぐカメラなら、Wi-Fiそのもののパスワードもここに加わります。

まず紙に、家や店にあるカメラと録画機を1台ずつ書き出し、それぞれにどのパスワードが付いているか、だれが知っているかを横に書きます。業者が設置した店では、業者だけが管理者のパスワードを知っていて、店の側は閲覧用しか知らない、ということもあります。その場合は業者に連絡し、パスワードを変えるのか、店に渡すのかを相談して決めます。

最初から機器ごとに違うパスワードが付いている製品もある

初期のパスワードが機器ごとに複雑に設定されている製品は、変えなくてもよい、とNOTICEは案内しています。本体のシールや説明書に、その機器だけの長いパスワードが印刷されている型です。購入するときも、機器ごとに異なるIDとパスワードが割り当てられた製品を選ぶよう勧めています。

ただし、そのシールが本体の裏に貼られていて、カメラが人の手の届く場所にある場合は、近づいた人に読まれることもあり得ます。店の出入り口や駐車場のように、だれでも近寄れる場所に置くカメラは、機器ごとのパスワードであっても自分で変えておくと安心です。シールの控えは、写真に撮ってスマホに残すより、紙に写して鍵のかかる場所にしまうほうが、なくしにくく、見られにくくなります。

作り方と、控えの置き場所

NOTICEが示すパスワードの目安は、10桁以上で、英字の大文字と小文字・数字・記号を含み、名前や誕生日を避けたランダムな文字列です。複数のパスワードがあるときは同じものを使い回さず、すべてを複雑なものに変えるよう案内しています。カメラと録画機とルーターに同じパスワードを付けると、一つが漏れたときに全部が開くので、機器ごとに別のものにします。

覚えきれない長さになるので、控えの置き場所を先に決めておきます。家庭なら、パスワードを管理するアプリか、紙に書いて鍵のかかる引き出しです。店や事務所なら、管理者を2人決め、一覧を封筒に入れて金庫など決まった場所に置きます。付箋に書いて録画機の上や横に貼るのは、来客や業者の目に触れるので避けます。担当者が辞めたり異動したりしたときは、その日のうちにパスワードを変えて控えを書き直します。

変える手順と、変えたあとに確かめること

変える場所の名前は機種によって違いますが、多くはカメラや録画機の管理画面の「ユーザー」「アカウント」「セキュリティ」といった項目の中にあります。操作のしかたは、録画機につないだモニターとマウスで行う型と、パソコンのブラウザから開く型に分かれます。手順は説明書かメーカーのサポートページで機種名から探し、画面の表記はファームウェアの版で変わると考えてください。

  1. 今のパスワードで管理画面に入り、利用者の一覧を開く
  2. 使っていない利用者や、見覚えのない利用者がいれば記録してから消す
  3. IDを変えられる機種なら、初期のIDから変える
  4. 管理者のパスワードを新しいものに変え、控えに書く
  5. 閲覧用など、ほかの利用者のパスワードも変える
  6. 一度ログアウトし、新しいパスワードで入れることを確かめる
  7. スマホのアプリ、店のモニター、家族の端末で、映像が見られることを確かめる

パスワードを変えると、スマホのアプリや別の部屋のモニターで、入れ直しを求められることがあります。家族や従業員に見てもらっている場合は、変える日を前もって伝えておくと、「映らなくなった」という連絡で慌てずに済みます。変えたあとに映像が見られない機器が残っていたら、そこが古いパスワードのまま残っていた場所です。

アプリのアカウントは、2段階の確認と共有の整理で守る

スマホのアプリで映像を見る型のカメラは、カメラ本体より先に、アプリのアカウントを守ります。ここで頼りになるのが2段階の確認(多要素認証)です。ログインのときに、パスワードに加えて、スマホに届く確認のコードや認証用のアプリの表示で、本人かどうかをもう一度確かめる仕組みです。パスワードが漏れても、確認のコードが無ければログインが通りません。アプリの設定の「アカウント」「セキュリティ」の中にあることが多く、表記はアプリの版で変わります。

IPAは、パスキー(指紋や顔、端末のロック解除でログインする方式)が使えるサービスなら、できるだけ使うよう勧めています。カメラのアプリに、GoogleやAppleのアカウントでログインしている場合は、そのアカウント自体の守りがカメラの守りになります。GoogleやAppleのアカウントの守り方と、乗っ取られたときの取り戻し方は、アカウントを乗っ取られたときの写真と動画の記事で書いています。

確認のコードは、だれにも伝えないものです。フィッシング対策協議会は、正規の事業者が電話でワンタイムパスワードや暗証番号を尋ねることはないとしています。メーカーやプロバイダを名乗る電話やメッセージで、スマホに届いたコードを聞かれたら、その時点で切ります。自分で操作していないのにコードが届いたときは、だれかがパスワードを使ってログインしようとしている印なので、すぐにパスワードを変えます。

家族や従業員にも映像を見てもらうときは、同じIDとパスワードを渡さず、アプリの共有や招待の機能で、一人ずつ自分のアカウントから見られるようにします。一人ずつにしておけば、だれかのスマホをなくしたときや、従業員が辞めたときに、その人の分だけを外せます。同じIDを皆で使っていると、外すにはパスワードを変えるしかなく、全員の入れ直しが要ります。

共有の一覧は、年に一度、見直します。引っ越した家族、辞めた従業員、設置のときに一時的に加えた業者のアカウントが残っていないかを見て、要らないものを外します。アプリにログインした端末の一覧や、ログインの通知の設定がある場合は、通知を有効にしておくと、知らない端末からのログインに早く気づけます。

スマホをなくしたとき、買い替えたとき

カメラのアプリにログインしたままのスマホをなくすと、拾った人がロックを解けた場合に、家や店の映像を見られます。なくしたと気づいたら、家族のスマホやパソコンからカメラのアプリのアカウントに入り、パスワードを変えて、ほかの端末をすべてログアウトさせます。iPhoneなら「探す」、Androidなら「Find Hub」(以前の名前は「デバイスを探す」)で、なくしたスマホの場所を調べたり、遠隔で中身を消したりできます。ふだんから、スマホに画面のロックをかけておくことが前提です。

スマホを買い替えたときは、古いスマホからカメラのアプリをログアウトし、2段階の確認に使う端末の登録も新しいスマホに移します。下取りに出す前に初期化するのはもちろんですが、初期化の前にアプリのログアウトを済ませておくと、アカウントの側の端末の一覧からも古いスマホが消え、後で見返したときに知らない端末と見分けがつきます。

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ファームウェアは自動で更新し、サポートの終わりを確かめる

NOTICEの「安全な管理方法」は、自動アップデートに対応した機種なら、その機能を必ず有効にするよう書いています。自動の更新が無い機種は、メーカーのサイトで新しい版が出ていないかを確かめ、説明書の手順で更新します。パソコンに専用の道具をダウンロードして行う方法と、機器がネットワーク経由で取りに行く方法があり、どちらになるかは機種で決まっています。

今の版は、管理画面の「システム情報」「バージョン」「本体情報」といった項目で見られます。メーカーのサイトに載っている最新の版と見比べ、古ければ更新します。更新している間は録画が止まる機種が多いので、店なら閉店後、家庭なら全員が家にいる時間に行い、終わったら映像と録画が戻っていることを確かめます。先に書いたとおり、更新中に電源が落ちると機器が使えなくなるおそれがあるので、電源タップの抜き差しや停電の心配がない時間を選びます。

更新の前提になるのが、メーカーのサポートが続いていることです。総務省の注意喚起は、ファームウェアが最新かどうかとあわせて、製品のサポートが続いているかを確かめ、サポートが終わった製品は買い替えを考えるよう求めています。サポートが終わった機器には新しいファームウェアが出ないので、見つかった弱点が開いたまま残ります。メーカーごとのサポート情報は、NOTICEのサイトにもまとめられています。

2020年3月までに作られた機器は、とくに確かめる

NOTICEの説明によると、総務省の端末設備等規則が2019年に改正され、2020年4月からは、インターネットにつながるルーターやネットワークカメラなどの技術基準に、セキュリティの項目が加わりました。不正な設定の変更を防ぐアクセス制御、初期のIDとパスワードの変更を促す機能か機器ごとに異なるIDとパスワード、ファームウェアの更新機能、電源が切れてもIDとパスワードやファームウェアが初期に戻らないこと、の4つです。

それより前の機器については、利用者がIDとパスワードを適切に設定するなどの管理が求められる、とNOTICEは書いています。家や店に、買った年が分からないカメラや、前の住人や前のテナントから引き継いだ録画機があれば、まず型番からメーカーのサイトで発売の時期とサポートの状況を調べます。サポートが終わっていれば、パスワードを変えたうえで、外から届く設定を止め、買い替えの時期を決めておきます。

買い替えるときに見る点

新しく買うときは、NOTICEの案内にそって、機器ごとに異なるIDとパスワードが付いていること、自動の更新に対応していることを見ます。メーカーがサポートの期間や更新の情報を公開しているかも、あわせて確かめます。2025年3月には、経済産業省の方針にもとづいて、IPAがIoT製品のセキュリティのラベルの制度「JC-STAR」の運用を始めました。いちばん基本の段階(星1つ)は、IoT製品に共通して求められる最低限の要件を満たしていることを、メーカーが自ら宣言してラベルを受ける段階です。ラベルの二次元コードから、製品の詳細やセキュリティの情報、問い合わせ先を確かめられます。

古いカメラや録画機を手放すときは、そのまま売ったり譲ったりせず、中身を空にしてからにします。メーカーのアカウントやアプリから機器の登録を外し、本体を初期化し、録画の入ったmicroSDカードは抜いておきます。録画機の中のハードディスクには、何日分もの録画と、Wi-Fiのパスワードなどの設定が残っていることがあります。初期化や消去の手順は説明書で確かめ、分からなければメーカーに聞きます。

外から見る設定は、使っていなければ止め、使うなら道を一つにする

外出先から映像を見る方法は、大きく二つの型に分かれます。一つは、カメラや録画機の側からメーカーのサーバーにつなぎに行き、スマホのアプリはそのサーバーを通して映像を受け取る型です。家庭用の見守りカメラの多くはこの型で、ルーターの設定を触らずに使えることが多くなっています。もう一つは、録画機の管理画面を、インターネットから直接開けるようにする型です。ルーターで外からの通信を録画機に通す設定(ポートの転送)をして、外出先のスマホやパソコンから録画機の住所を開きます。

二つ目の型では、録画機のログインの画面が、インターネットのどこからでも届く場所に出ていることになります。NOTICEが外からIDとパスワードを入れてみて見つけているのは、まさにこうした機器です。外出先からインターネット経由で管理できる機能など、使っていない機能は無効にするよう、NOTICEの「安全な管理方法」も書いています。

どちらの型で見ているかを確かめる

設置のときに、ルーターの設定画面で「ポート」の番号を入れた覚えがある、業者がルーターも一緒に設定していった、外出先で見るときにアプリではなくブラウザで録画機の住所を開いている。どれかに当てはまれば、二つ目の型の可能性があります。説明書の「遠隔監視」「リモートアクセス」「外部からの接続」といった章に、どちらの型かが書かれていることが多いので、まずそこを読みます。

カメラや録画機の設定の中に、「クラウド接続」「P2P」「リモート視聴」のような項目がある場合は、それが一つ目の型の入り切りです。外出先から見ることが一度も無いなら、この項目も切っておくと、メーカーのサーバー経由の道も閉じられます。ただし、切ると、動きを検知したときのスマホへの通知や、クラウドへの録画の保存も止まる機種があります。家族や従業員が通知を頼りにしていないかを確かめてから切ります。

ルーターの転送とUPnPを見る

ルーターの管理画面を開き、「ポート転送」「ポートマッピング」「静的IPマスカレード」「アドレス変換」などの名前の設定に、録画機やカメラあての行が無いかを見ます。名前はルーターのメーカーで違います。使っていない行があれば、内容を写真か紙に控えてから消します。控えておけば、消したあとで何かが動かなくなったときに戻せます。ルーターの画面の開き方や、管理画面に入れないときの調べ方は、NASや外付けHDDのランサムウェア対策の記事で詳しく書いています。

同じ画面のどこかに、UPnPの設定があります。UPnPが有効だと、カメラや録画機が、持ち主の知らないうちにルーターに外からの通り道を開けることがあります。CISAはMiraiの注意喚起で、必要がなければUPnPを無効にするよう勧めていました。ゲーム機や通話のアプリがUPnPを使っている家もあるので、切ったあとに困るものが出ないかを家族に聞き、困るなら、カメラの側のUPnPの設定だけを切る方法を説明書で探します。

外から直接開く必要があるときと、閉じたかの確かめ方

店や事務所で、業者の保守や複数の店舗の見回りのために、どうしても外から録画機を直接開く必要がある場合もあります。NOTICEはその場合、外から使える相手(アクセス元)を必要な所だけに絞り、推測されにくい管理用のパスワードを設定するよう案内しています。ルーターのVPNの機能を使い、事務所の中の網に入ってから録画機を開く形にする方法もありますが、そのVPNの機器も更新を続けることが前提です。警察庁の令和7年のまとめでは、ランサムウェアの被害に遭った組織の侵入経路の6割以上がVPN機器でした。

閉じたかどうかは、外から確かめます。スマホのWi-Fiを切って携帯電話の回線だけにし、これまで外出先で開いていた録画機の住所をブラウザで開きます。ログインの画面が出なければ、直接の道は閉じています。画面が出たら、まだどこかに転送の設定が残っています。メーカーのアプリで見る型を残した場合は、同じく携帯電話の回線から、アプリで映像が見られること、2段階の確認が求められることを確かめます。

ここまでの判断を、外から見る必要があるかどうかから順にたどると、次の図のようになります。家庭のカメラなら上の2つの問いで決まることが多く、店や事務所のように業者が設定した録画機では、4つ目の携帯電話の回線からの確かめまで行って、ようやく閉じたと言い切れます。

外出先から見ることが無いか、録画機をブラウザで直接開いていないか、アプリに2段階の確認が無いか、携帯電話の回線で管理画面が開くかを順に問い、それぞれの答えで次にすることを示す判断の図
使わない道は切り、使うなら道を一つにして2段階の確認を付ける

ルーターとWi-Fiも、同じ日に見直す

カメラの設定を固めても、カメラがつながっているルーターそのものが乗っ取られると、家や店のネットワーク全体に入られます。NOTICEのサイトは、何らかの方法で入手したIDと管理用のパスワードで家庭用のルーターが外から操作され、企業への攻撃の中継に使われた疑いがあるという2022年秋の報道を、乗っ取りの例として載せています。ルーターの管理画面のパスワードも、カメラと同じように初期のものから変え、ファームウェアの自動更新を有効にし、外出先からルーターを管理する機能を使っていなければ切ります。

Wi-Fiのパスワードは、推測されにくい長いものにし、ルーターの説明書が勧める暗号化の方式を選びます。ルーターにゲスト用などの別のWi-Fiを作る機能があれば、カメラをそちらにつなぎ、仕事のパソコンやNASと分ける方法もあります。分けると、家の中から直接映像を見る機能が使えなくなる機種もあるので、説明書で確かめてから切り替えます。サポートが終わったルーターは、カメラと同じく買い替えを考えます。

置き場所と写す範囲は、見られたときのことを考えて決める

パスワード・更新・外から見る設定を整えても、乗っ取りを完全に防げるとは言い切れません。米国の事業者向けカメラの事例のように、カメラを管理する会社の側から入られることもあります。そこで、カメラの置き場所と向きは「もし見られたら困るもの」を最初から画面に入れない考え方で決めておきます。設定とは別の守りで、一度決めてしまえば、あとは手間がかかりません。

家の中のカメラ

寝室、浴室、脱衣所、トイレは写さない向きにします。子どもやペットの見守りで居間に置く場合も、着替えをする場所や、ふだん家族がくつろいで過ごすソファの正面は外します。見守りの目的に要るのは、子どもやペットがいる場所と、出入りの様子までです。在宅中は見守りが要らないなら、カメラのプライバシーモードを使うか、電源を切る時間を決めます。レンズを物理的に閉じられる型なら、家にいる間は閉じておくと、乗っ取られても何も写りません。

窓の外や玄関の外を写すカメラは、隣の家の窓や敷地、通りを歩く人が入りすぎないように角度を調整します。自分の家の防犯のために置いたカメラが、近所の人の出入りまで写していると、映像が外に出たときに、自分の家だけの問題では済まなくなります。離れて暮らす親の見守りでカメラを置く場合の、本人の同意や写さない場所の決め方は、親の見守りカメラの録画を残す記事に書いています。

店や事務所のカメラ

店のレジは、防犯のために写すことが多い場所ですが、レジの手元を真上や正面から大きく写すと、暗証番号を入れるカード端末、金庫を開ける手つき、釣り銭の数え方まで映像に残ります。防犯に要るのは、だれがいつレジに来たか、売り場で何が起きたかなので、レジ全体が入る引いた画角にします。事務所では、パソコンの画面、壁の予定表やホワイトボード、鍵の置き場所が写り込まないかを、カメラの映像を一度見て確かめます。従業員の更衣室や休憩室は写しません。

個人情報保護委員会は、ガイドラインのQ&A(Q1-13)で、防犯の目的で従来型の防犯カメラを店などに置く場合の考え方を示しています。設置の状況から防犯の目的と明らかなら、利用目的の通知や公表は要らないと考えられます。一方で、撮られていることを本人が容易に分からない場合は、カメラが作動中であることを掲示するなどの措置が要るとしています。外から見てカメラと分かる場合でも、掲示をしてより分かりやすくすることが望ましいとしています。出入り口に「防犯カメラ作動中」の掲示を出し、だれに問い合わせればよいかも書いておくと、来た人にも従業員にも説明がしやすくなります。

音声を録るかどうか

マイクの付いたカメラは、映像と一緒に部屋の会話を録ります。乗っ取られれば、その会話も聞かれます。家の中なら家族の話し声や電話の内容、店や事務所なら客との会話や従業員どうしの話、電話口で読み上げる住所や番号まで入ります。防犯の目的に音声が要らないなら、カメラの設定で録音を切っておくと、見られたときに漏れるものが一つ減ります。

見守りのために話しかける機能を使いたい場合も、ふだんは録音を切り、使うときだけ入れる形にできる機種があります。店や事務所で音声も録る場合は、従業員にそのことを伝え、掲示にも書いておきます。音声が入っていると、後で録画を見返すときに分かることが増える反面、盤に焼いて残すときも、会話の中身まで一緒に保管することになります。

録画機そのものを、どこに置くか

置き場所は、来客や業者の目に触れにくく、鍵のかかる場所にします。持ち去られたり、たたき割られたりすれば、中の録画も一緒に無くなります。録画機につないだモニターが客席や窓から見える位置にあると、映像そのものを見られてしまうので、向きを変えるか、使わないときは画面を消します。操作が終わったら、画面にログインしたままにせず、ログアウトするか、一定の時間で画面がロックされる設定にします。

店・事務所・園では、カメラの管理を業者任せにしない

総務省の注意喚起は、カメラの管理を外部に委託している場合は、委託先に確かめるよう求めています。店や事務所のカメラは、設置から保守まで業者に頼んでいることが多く、店の側はどんな設定になっているかを知らないまま、という形になりがちです。年に一度の点検や、業者が保守に来た日に、次のことを聞いて控えておきます。

  • 管理者のパスワードは初期のものから変えてあるか。だれが知っているか
  • カメラと録画機のファームウェアの版と、メーカーのサポートが続くのはいつまでか
  • 外出先から見る設定はどちらの型か。ルーターに転送の設定を入れているか
  • 業者が保守のために外から入る仕組みがあるか。あるなら、だれがいつ使うか
  • 録画は何日分残る設定か。上書きはいつ始まるか
  • 契約が終わるとき、パスワードと管理者の権限をどう引き渡すか

業者が外から保守に入る仕組みがあるとき

業者によっては、故障の確認や設定の変更のために、事務所に来ずに外から録画機に入れる仕組みを用意しています。便利な反面、その入り方が、業者以外の人にも使える道になっていないかを確かめておく必要があります。聞いておくのは、外から入るときにどのIDとパスワードを使うのか、それは店の側でも分かるのか、業者の担当者が辞めたときにパスワードを変えるのか、入った記録が残るのか、の4点です。

NOTICEは、インターネット側から管理機能を使う必要がある場合、使える相手を必要な所だけに絞り、推測されにくいパスワードを設定するよう案内しています。業者の外からの保守もこの考え方で、業者の事務所からだけ入れる設定にしてもらう、保守に入る日だけ有効にする、といった形にできないかを相談します。契約書や保守の説明書に、外からの保守の方法が書かれていないなら、書面で答えをもらっておくと、担当が代わっても引き継げます。

チェックリストと台帳で、点検を続ける

聞く項目に迷ったら、IPAの委員会が作った「ネットワークカメラシステムにおける情報セキュリティ対策要件チェックリスト」が使えます。設計と構築、運用、保守、廃棄の段階ごとに、最低限とるべき対策の要件を並べたもので、政府機関の調達向けに作られていますが、自治体や民間の組織でも使えるとされています。カメラを置く場所や、映像に写る人のプライバシーの扱いは、このチェックリストでは扱っていないので、前の節の置き場所の考え方と組み合わせて使います。

保育所や幼稚園、放課後の児童クラブなどでは、2025年11月のこども家庭庁などの事務連絡が、このチェックリストを参照してカメラのセキュリティを高めるよう求めています。園の見守りカメラの映像を保護者に見せるかどうか、保存の期間をどう決めるかは、園の見守りカメラ映像を保護者に見せるかの記事で扱っています。

カメラが3台を超える店や事務所では、台帳を1枚作っておくと、点検が年に一度の作業で済みます。置き場所、型番、設置した年、ファームウェアの版、サポートの期限、管理者、録画の保存日数、外から見る設定の有無を1行ずつ並べます。担当が代わっても、この1枚を渡せば同じ点検を続けられます。カメラの映像は、特定の人が分かれば個人情報にあたります。映像が外に出たおそれがあるときに個人情報保護委員会への報告が要るかどうかの考え方は、紛失や漏えいのときの報告義務の記事で書いています。

ここまでに書いた設定の見直しを、家庭でも店でも使える点検の一覧にすると、次の9項目になります。印刷して録画機の近くの引き出しに入れておき、点検した日付を余白に書いていくと、前回いつ見たかがすぐに分かります。店や事務所で担当が代わったときも、この紙を渡せば同じ点検を続けられます。

初期パスワードの変更、機器ごとに別のパスワード、知らない利用者がいないこと、2段階の確認、自動更新、サポートの継続、外から見る機能、ルーターの転送、写す範囲の9項目を並べたチェックリスト
家庭は休日に一度、店や事務所は担当を決めて年に一度は見直す

新しくカメラを置く日は、ネットにつなぐ前に決めておく

置いた日の流れで、カメラの設定はほとんどが決まり、そのまま何年も使われます。映像が映った時点で満足して、パスワードや更新の設定を後回しにすると、その「後」はなかなか来ません。新しく置く日、買い替える日、引っ越して置き直す日は、つなぐ前に次の順番で進めます。

  1. 箱を開けたら、型番と、本体のシールや説明書にある初期のIDとパスワードを控える
  2. メーカーのサイトで、サポートの期間と更新の方法、自動更新の有無を確かめる
  3. ルーターの管理画面のパスワードとファームウェアの版を、先に確かめておく
  4. 初めて起動したら、最初に管理用のパスワードを変える。変更を促す画面が出たら、そこで変える
  5. アプリのアカウントを作ったら、その場で2段階の確認を設定する
  6. ファームウェアを最新にし、自動更新を有効にする
  7. 録画の置き場所(microSDカード・録画機・クラウド)と、何日分残るかを確かめる
  8. 外出先から見るかどうかを決め、見ないなら外から見る機能を切る
  9. 映像を見て、写す範囲を確かめ、台帳に1行書く

2020年4月からの技術基準で、初期のIDとパスワードの変更を促す機能か、機器ごとに異なるIDとパスワードが求められるようになったので、新しい機器では、最初の起動でパスワードの変更を求められることがあります。その画面で、仮のパスワードを入れて先に進めてしまうと、結局は弱いパスワードのまま残ります。控えの置き場所を先に決めてから、本番のパスワードを入れます。

業者に設置を頼む場合は、見積もりの段階で、この順番の項目を条件として伝えておきます。引き渡しの日には、管理者のパスワードの控え、外から見る設定の型、録画の保存日数、ファームウェアの版を書いた紙を受け取ります。知人から譲り受けたカメラや中古の録画機は、前の持ち主のアカウントや設定が残っていることがあるので、必ず初期化してから使い始めます。

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録画は、どこに残り、いつ消えるのか

録画が残る場所は、多くの場合、3つのどれかです。カメラ本体に差したmicroSDカード、録画機の中のハードディスク、メーカーのクラウドです。どれも、放っておけばいつかは消える作りになっていて、そこに乗っ取りによる削除が重なります。家や店のカメラがどこに録画しているかを、まず一つずつ確かめます。

microSDカードと録画機のハードディスクは、いっぱいになると古い録画から順に上書きします。何日で一巡するかは、カードやディスクの容量、画質の設定、つないでいるカメラの台数、常に録るか動きを検知したときだけ録るかで変わります。説明書の目安より、実際に録画の一覧を開いて、いちばん古い録画の日付を見るほうが確かです。今日が10日で、いちばん古い録画が3日なら、その機器は約1週間で上書きされています。

クラウドの録画は、契約しているプランで残す日数が決まり、その日数を過ぎると消えます。プランを解約したり、無料の範囲に戻したりすると、残っていた録画が消える場合もあります。どのプランで何日残るかは、メーカーのサイトとアプリの契約の画面で確かめます。

そこに乗っ取りが重なると、上書きを待たずに消えます。管理者の権限があれば、アプリや管理画面から録画を消すことも、録画そのものを止めることもできます。アプリからmicroSDカードを初期化できる機種もあります。クラウドの録画は、アカウントに入られれば削除の対象になります。録画機ごと持ち去られたり、カードを抜き取られたりすれば、設定に関係なく無くなります。

つまり、3つの置き場所はどれも、カメラを乗っ取った人の手が届く場所にあります。大事な場面だけでも、その人の手が届かない場所に写しておけば、カメラに何が起きても、その場面は残ります。録画の置き場所ごとに、消えるきっかけと、乗っ取りで消されるかどうかを並べると、次のようになります。

microSDカード、録画機のハードディスク、クラウド、パソコンの写し、閉じた追記型の盤の5つについて、消えるきっかけと、乗っ取られたときにどうなるかを並べた表
カメラを乗っ取った人の手が届く置き場所は、録画を一緒に消される側に入る

録画が止まっていないかを、定期的に見る

録画が消されるのと同じくらい困るのが、気づかないうちに録画が止まっていることです。乗っ取りで録画の設定を切られた場合のほか、停電のあとに録画機が立ち上がらなかった、microSDカードが読めなくなった、録画機のハードディスクが故障した、といった理由でも止まります。何かあって録画を開いたら、その日の分だけ無かった、ということが起こり得ます。

週に一度、録画の一覧で最新の録画が今日の日付になっていること、いちばん古い日付がいつもと同じくらいであることを見ます。録画機に、録画が止まったときやディスクに異常が出たときに知らせる機能があれば、通知の先を店の責任者のスマホにしておきます。カードやディスクの異常を知らせる表示が出たら、まず大事な録画を書き出してから、交換や修理に進みます。

録画を何日分残すかは、気づくまでの日数から決める

録画の保存日数が短いと、何かに気づいたときには、その日の録画がもう上書きされています。何日分あれば足りるかは、機器の性能より、出来事が起きてから気づくまでに何日かかるかで決まります。家庭なら、年末年始やお盆で1週間以上家を空けることがあれば、帰ってから気づく出来事に備えて、留守の日数より長く残る必要があります。店なら、定休日や連休をはさんで気づく場合や、月末の棚卸しで初めて品物が足りないと分かる場合を考えます。月に一度の棚卸しで気づく紛失を確かめたいなら、1か月より長く残る設定でなければ、その場面は残りません。

乗っ取りは、気づくまでに時間がかかることがあります。米国の事業者向けカメラの事例では、会社自身が報道機関からの問い合わせで初めて侵入を知りました。家庭や店で、ログインの通知や利用者の一覧を毎日見ている人は少ないはずです。保存日数を延ばすことに加えて、週に一度、録画の一覧のいちばん古い日付と、利用者の一覧を見る習慣をつけておくと、気づくまでの日数を縮められます。

一方で、長く残すほど、家族や客、通りがかった人の映像を長く持つことになります。鳥取県が2024年2月に児童福祉施設など向けに定めたカメラの取扱いも、保存期間を設定し、不必要な映像は保存しないなどプライバシーの保護に配慮するよう求めています。日数は「長ければ長いほどよい」とせず、気づくまでの日数に少し余裕を足した日数を目安に決め、それより大事な場面は、上書きの前に外へ出して盤に控える、という分け方にします。

保存日数を延ばしたいときは、画質を一段下げる、動きを検知したときだけ録る、容量の大きいカードやディスクに替える、といった方法があります。検知したときだけ録る設定では、動きの小さい場面や、検知の範囲の外で起きたことは録られません。どの方法を選んだかと、実際に何日分残っているかを、台帳に書いておきます。

大事な録画は、上書きされる前にカメラの外へ出す

録画を全部残す必要はありません。防犯カメラも見守りカメラも、毎日の大半は何も起きていない映像です。全部を外に出そうとすると、容量も手間も続かず、結局どれも残らなくなります。残すのは、後で見返す理由がある場面だけにし、その場面を上書きの前に、確実にカメラの外へ出します。

どの録画を残すか

一つ目は、後でだれかに説明する必要が出そうな場面です。家の前での当て逃げ、店での万引きや口論、敷地への不審な立ち入り、置いていた物が無くなった時間帯、転倒や体調の急な変化などです。二つ目は、乗っ取りを疑う出来事の前後です。カメラが勝手に向きを変えた時刻、知らない端末からログインの通知が来た時刻、設定が変わっていた日の前後の録画は、何が起きたかを後で調べるときの手がかりになります。三つ目は、家族の記録として残したい場面で、見守りカメラに写った子どもの初めての一歩のようなものです。

残す範囲は、出来事の時刻だけを短く切らず、前後を広めにとります。録画機の時計がずれていることもあり、通知の時刻と録画の時刻が数分違うことがあるためです。出来事の直前に人が近づいてくる様子や、立ち去ったあとの様子が、後から手がかりになることもあります。乗っ取りを疑う場合は、録画に加えて、ログインの履歴、利用者の一覧、設定の画面をスマホで撮っておきます。

書き出しの方法は、置き場所で決まる

アプリで見る型のカメラは、アプリの録画の画面にある保存やダウンロードの機能で、スマホに元のファイルとして保存します。スマホの画面を録画する方法でも映像は残りますが、画質が落ち、アプリの表示も一緒に写り込むので、ダウンロードの機能があるならそちらを使います。クラウドの録画は、保存の日数を過ぎる前に、まずダウンロードします。

microSDカードに録画する型は、カードを抜いてパソコンで読みます。抜く前に、アプリでカードへの録画を止めるか、カメラの電源を切ります。読み込むときに、SDカードの変換アダプターに付いている書き込みを防ぐつまみを「LOCK」の側にしておくと、パソコンの側からカードの中身を書き換えにくくなります。カードの中のファイルが、分割されていたり、メーカーの専用の形になっていたりすることもあります。

据え置きの録画機では、USBメモリを差して、日時とカメラを指定して書き出す機種が多くなっています。書き出しの形式を選べるなら、一般的な動画の形式(MP4など)を選び、専用の形式しか無い場合は、メーカーの再生ソフトも一緒に保存します。操作は機種ごとに違うので、書き出しの手順を一度説明書で確かめて、紙に書いて録画機の近くの引き出しに入れておくと、いざというときに迷いません。各置き場所からの取り出し方の細かい手順は見守りカメラの動画を上書き前に取り出す記事に、警察や相手方に渡すことを前提にした書き出しと渡し方は防犯カメラの映像を保存・提出する記事にまとめています。

スマホに保存した録画は、早めにパソコンへ移す

アプリからスマホに保存した録画は、写真アプリの中で、ほかの写真や動画に埋もれます。空きを作るためにまとめて消したり、機種変更のときに移し忘れたりしやすい場所です。保存したその日のうちに、パソコンの「カメラの録画」のような専用のフォルダに移し、ファイル名を「日付_場所_内容」の形に付け直します。スマホの写真が自動でクラウドに上がる設定なら、店の客や家族の映像がそのクラウドにも残ることを覚えておき、要らなくなった写しは消します。

書き出したら、その日のうちに確かめる3つのこと

一つ目は、最初から最後まで再生できるかどうかです。書き出しが途中で止まっていたり、ファイルが開けない状態になっていたりしても、一覧のファイル名だけでは分かりません。頭、途中、最後の3か所を再生して、映像と音が出ることを見ます。再生できなければ、録画がカメラの中に残っているうちに、もう一度書き出します。

二つ目は、録画の時刻と実際の時刻のずれです。録画機やカメラの時計は、ずれていることがあります。画面に出ている時刻とスマホの時計を並べて写真に撮っておけば、何分ずれているかを後から示せます。

三つ目は、ファイルのハッシュ値を記録することです。ハッシュ値は、ファイルの中身から計算する値で、中身が1文字でも変われば値が変わります。WindowsのPowerShellなら「Get-FileHash “D:\camera\20261011_entrance.mp4″」で既定のSHA-256の値が出ます。Macのターミナルの「shasum」は既定がSHA-1なので、「shasum -a 256 “/Volumes/USB/20261011_entrance.mp4″」と、256を付けて使います。

出た値は、ファイル名と一緒にテキストに書いて残します。この値が後で同じなら、書き出したときから中身が変わっていないことを示せます。ただし、ウイルスが入っていないことや、書き出す前の録画が本物であることの証明にはなりません。証拠として使うことを考えている映像の扱いは、動画を証拠として保存する方法の記事で書いています。書き出した元のファイルには手を加えず、切り出しや明るさの調整は、写しで行います。

書き出した録画を、追記型の盤に焼いて置く

書き出した録画をパソコンやUSBメモリに置いたままだと、パソコンがウイルスに感染したときや、USBメモリをなくしたときに、一緒に失います。そこで、残すと決めた録画は、DVD-RやBD-Rのような一度だけ書ける盤(追記型)に焼いて、ドライブから出して保管します。ここで作るのは、ファイルのまま焼くデータの盤で、自分のパソコンと書き込みのできるドライブで作ります。光ディスクのドライブは、メーカーの撤退や販売終了の発表が続いて選べる数が減り、値上がりもしていますが、記録型の盤は量販店で買え、供給を続けると発表しているメーカーもあります(2026年10月時点)。

容量の目安は、総務省のサイトの説明で、DVD-Rが1層4.7GB、BD-Rが1層25GBです。表示はGBを10億バイトで数えているので、パソコンで見ると4.7GBは約4.38GB、25GBは約23.3GBと少なく表示され、実際に入る量はさらに少し減ります。防犯カメラの録画は長くなりがちなので、何時間分もある場合はBD-Rを選ぶと、1枚に収めやすくなります。

焼く手順|確かめてから焼き、閉じて、取り出す

  1. 残す録画をパソコンの作業用のフォルダに集め、ファイル名を「日付_場所_内容」の形にそろえる
  2. すべてのファイルを頭・途中・最後で再生し、開けることを確かめる
  3. ハッシュ値の一覧と、カメラの場所・時計のずれ・書き出した日を書いたメモを、同じフォルダに入れる
  4. 専用の形式の録画なら、メーカーの再生ソフトもフォルダに入れる
  5. Windowsの標準の書き込みで使い方を聞かれたら「CD/DVD プレーヤーで使用する」を選ぶ(表記は版で変わる)
  6. 書き込みのソフトに、ディスクを閉じる(ファイナライズする)設定があれば閉じる側を選ぶ
  7. 焼き終えたらドライブから取り出し、入れたままにしない
  8. 別のパソコンか、時間をおいて同じパソコンで盤を読み、ハッシュ値を計算し直して一覧と一致するかを確かめる
  9. 盤面用のペンで日付と中身を書き、ケースに入れて置き場所へ運ぶ

Windowsの書き込みで、もう一方の「USB フラッシュ ドライブと同じように使用する」を選ぶと、後からファイルを追加したり消したりできる書き方になります。追記型の盤でも、閉じていない盤をドライブに入れたままにしておくと、追記によって中身が見かけ上書き換わることがあります。控えとして置く盤は、ファイルを集めて一度に書く方式で作り、閉じて、取り出すところまでを一続きの作業にします。

盤に一緒に入れておくメモ

何年かたって盤を読み直したとき、ファイル名だけでは、どのカメラの、いつの、何の録画かが分からなくなります。焼くフォルダに「はじめにお読みください」のような名前のテキストを1つ入れ、次の項目を書いておきます。同じ内容を紙にも書いて、盤のケースに入れておくと、パソコンが手元に無くても中身が分かります。

項目 書く例
カメラの場所と向き 店の出入り口の内側、レジの方を向く
録画の日時の範囲 2026年10月11日の20時50分〜21時40分
録画機の時計のずれ 実際の時刻より2分進んでいる(スマホの時計と並べた写真あり)
書き出した日と人 2026年10月11日、店長が録画機からUSBメモリへ
ファイルとハッシュ値 同じフォルダの「hash.txt」にSHA-256の一覧
再生のしかた MP4はそのまま再生できる。専用の形式は同じ盤の再生ソフトで開く
残した理由 閉店後の不審な立ち入りの確認のため

このメモは、後で警察や保険会社に説明するときにも、家族に録画の意味を伝えるときにも使えます。ハッシュ値の一覧は、盤の中だけでなく、別の場所にも写しを置きます。盤の中の一覧と別の場所の写しが一致していれば、一覧そのものが書き換えられていないことも確かめられます。

2枚焼いて、別々の場所に、鍵をかけて置く

同じ内容を2枚焼き、1枚は手元に、もう1枚は別の建物に置きます。家庭なら実家や親せきの家、店や事務所なら責任者の自宅や別の拠点です。1枚だけだと、割ったときや、火事や水害で失ったときに、その録画の控えが無くなります。防犯カメラの録画には、家族や客、従業員、通りがかった人の顔が写っています。総務省のサイトも媒体は鍵のかかる場所に保管するよう書いていて、盤そのものに暗号化の機能は無いので、鍵のかかる引き出しや金庫に入れます。持ち出しと廃棄の決まりの作り方は、個人情報の入ったUSBメモリ・DVDの管理の記事で書いています。

寿命の目安として、カナダ保存研究所(CCI)は、一般的な銀合金の反射層のDVD-Rで10〜20年、BD-Rで5〜10年という値を示しています。この目安は温度と湿度の影響だけをもとにしたもので、日の当たる場所や湿気の多い押し入れでは短くなります。国立国会図書館の報告書(令和2年2月)は、JIS Z 6017などが長期保存に適した環境として温度10〜25℃、湿度40〜60%を挙げていると紹介しています。年に一度は盤を読み、ハッシュ値を照合し、何年かおきに新しい盤へ焼き直します。種類ごとの寿命はCD・DVD・ブルーレイの寿命の記事に、照合の段取りは復元テストとハッシュの記事にまとめました。

録画を見つけてから盤を置き場所に運ぶまでを一続きの流れにすると、次の6つの段階になります。録画が上書きされるまでの日数を考えると、最初の2段階はその日のうちに済ませます。残りの4段階は、週末にまとめて行っても間に合いますが、書き出したファイルを入れたUSBメモリやパソコンは、その間も持ち出さずに置いておきます。

残す場面を決める、上書きの前に書き出す、再生と時刻とハッシュ値を確かめる、追記型の盤に焼く、閉じてドライブから出す、2か所に置く、の6段階が順に矢印でつながっている図
最初の2段階は、出来事に気づいたその日のうちに済ませる

盤で守れること、守れないこと

一度だけ書ける盤(DVD-R・BD-R)は、記録した部分を物理的に書き換えたり消したりできません。閉じて棚に置いた盤は、どのネットワークからも届かないので、カメラや録画機、パソコンが後から乗っ取られても、盤の中の録画は消されません。焼いた時点の状態がそのまま残るので、後でカメラの中の録画と比べることもできます。カメラを乗っ取った人の手が届かない控えを一つ持てることが、盤の役目です。

守れないこともはっきりしています。焼く前の録画がすでに消されていたり、書き換えられていたりすれば、その状態のまま固定されます。焼く前に再生とハッシュ値を確かめるのはこのためです。ドライブに入れたままの盤や、書き換えのできるDVD-RW・BD-REでは、書き換えられない守りは働きません。盤を割る、なくす、盗まれることは防げず、盗まれれば中身は読まれます。読むためのドライブも要るので、盤と一緒にドライブを1台残しておきます。

米国の政府機関CISAは、コピーを3つ、媒体を2種類、1つは別の場所に置く「3-2-1」を、バックアップの信頼できる指針として紹介しています。法律で決まった決まりではありませんが、カメラの録画に当てはめると、カメラの中の録画、パソコンやクラウドの写し、別の場所に置いた盤、の3つになります。盤だけで守ろうとせず、性質の違う置き場所と組み合わせます。大きな会社のランサムウェアの被害と、そこから見えるバックアップの考え方は大手企業のランサムウェア被害に学ぶ記事で書いています。

乗っ取られたかもしれないと思ったら

乗っ取りに気づいたときは、慌ててカメラを初期化したくなります。ただ、先に初期化すると、何が起きたのかを示す設定や履歴、その間の録画まで消えることがあります。見られている状態を止めることと、記録を残すことを、順番を決めて両方行います。初期化は、記録を残し終えてからでも遅くありません。

気づくきっかけ

カメラがだれも操作していないのに向きを変えた、スピーカーから知らない声がした、自分で操作していないのにログインの確認コードやログインの通知が届いた、利用者や共有の一覧に知らない名前がある。設定を開くと、録画や通知が切られている、パスワードがいつの間にか通らなくなっている。プロバイダからNOTICEの注意喚起が届いた。どれか一つでもあれば、乗っ取りを疑って次の手順に進みます。

当てはまるのが一つだけなら、家族のだれかが操作した、アプリの更新で設定が変わった、ということもあります。家族や従業員に聞いて心当たりが無いかを確かめますが、確かめるのに時間をかけすぎないことです。心当たりが無ければ、乗っ取られた前提で動き、あとで勘違いと分かれば元に戻せば済みます。

最初の1時間でやること

  1. 今まさに見られて困る場所を写しているなら、レンズを布で覆うか、向きを変える
  2. アプリと管理画面のログインの履歴、利用者の一覧、設定の画面、表示されたメッセージを、別のスマホやカメラで撮る
  3. カメラと録画機をインターネットから外す。LANケーブルを抜くか、ルーターのWi-Fiから外す。電源は、録画を書き出すまで入れておく
  4. 乗っ取りを疑う前後の大事な録画を、録画機やmicroSDカードから書き出す
  5. カメラのアプリのアカウントのパスワードを、乗っ取りと関係のない端末から変え、2段階の確認を設定し、ほかの端末をすべてログアウトさせる。知らない共有は外す
  6. カメラと録画機の管理用のパスワードを変える
  7. ルーターの転送とUPnPの設定を見て、知らない行があれば控えてから消す。ルーターの管理画面のパスワードも変える

NOTICEの案内は、不審な設定に気づいた場合、機器を初期化し、ファームウェアを更新し、管理用のパスワードを変えるよう書いています。CISAも、Miraiに感染した機器はネットワークから外して再起動し、初期のパスワードを強いものに変えてからつなぎ直すよう案内していました。手順の3と4で記録と録画を残したあとに、この初期化と更新を行い、パスワードを新しくしてから、もう一度インターネットにつなぎます。初期化してつなぎ直したら、利用者の一覧と外から見る設定が、意図したとおりになっているかを確かめます。

GoogleやAppleのアカウントでカメラのアプリにログインしている場合や、ほかのサービスと同じパスワードを使っていた場合は、そちらのアカウントのパスワードも変えます。同じパスワードを使っていたサービスは、すべて変える対象です。カメラだけを直しても、元のパスワードが使えるサービスが残っていれば、そこから同じことが起こり得ます。

相談先と、残しておく記録

警察庁のサイトの「サイバー事案に関する相談窓口」のページから、住んでいる都道府県の警察の窓口や、全国統一のオンラインの受付に進めます。スピーカーで脅された、家の中の様子を知られて身の危険を感じる、という緊急の場合は110番です。撮った画面の写真、書き出した録画、ハッシュ値の一覧を持って相談します。

技術的な相談はIPAの窓口が受け付けています。個人の相談は「情報セキュリティ安心相談窓口」(電話03-5978-7509、10時〜17時、土日祝日と年末年始を除く)で、会社や団体は別の「企業・組織向け」の窓口を使うよう案内されています。IPAは、相談の前に、端末の種類とOS、使っているクラウドのサービス、時系列を含めた具体的な出来事、不正アクセスと判断した理由、ほかに相談した窓口を整理しておくよう勧めています。メーカーのサポートには、機種名とファームウェアの版を伝えて連絡します。

記録は、気づいた時刻、見たこと、やったことを、時刻と一緒にメモに書いていきます。「21時10分、カメラが右を向いた」「21時15分、アプリの利用者一覧に知らない名前を確認、画面を撮影」「21時30分、LANケーブルを抜いた」といった具合です。後で警察やメーカーに説明するとき、記憶だけで話すより正確に伝わり、どこまで手を打ったかも自分で見返せます。店や事務所で、客や従業員が写った映像が外に出たおそれがある場合は、前に書いた個人情報保護委員会への報告の要否もあわせて確かめます。

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防犯カメラの映像を保存・提出するには|上書き前の書き出しと警察・当事者への渡し方

家庭・店・事務所で、見直す順番を決める

カメラの台数、だれが設置したか、外から見ているかで、最初にやることは変わります。家庭の1台と、業者が入れた店の4台とでは、同じ「パスワードを変える」でも、だれに何を聞くところから始めるかが違います。よくある4つの場面に分けて、見直す順番を書きます。場面がぴったり合わなくても、近いものを選んで、その順番で進めれば足ります。

家庭の見守りカメラが1〜2台

アプリで見る型のカメラが居間と子ども部屋に1台ずつ、という家なら、最初の30分で、アプリのアカウントの2段階の確認、アカウントのパスワードの変更、共有の一覧の整理、自動更新の確認までできます。そのあとカメラの映像を見て、寝室や脱衣所が入っていないか、窓の外が写りすぎていないかを確かめ、向きを直します。microSDカードに録画している場合は、録画の一覧のいちばん古い日付を見て、何日で上書きされるかを知っておきます。ここまでで、1時間もかかりません。

録画の控えは、子どもの初めての一歩のような家族の記録と、何かあったときの場面だけで足ります。月に一度、残したい場面をスマホに保存してパソコンにまとめ、年に一度、そのフォルダをBD-Rに2枚焼いて、1枚を実家などに置きます。家庭のパソコンやNASに写真や動画をまとめている場合の控えの組み方は、ここまでに挙げた記事と、家庭と職場の脅威を一覧にした情報セキュリティ10大脅威2026を家庭と小さな職場で読む記事を参考にしてください。

個人の店で、録画機とカメラ4台を業者が設置した

業者が設置した録画機では、まず業者に連絡して、前の節の一覧の項目を聞きます。管理者のパスワードを店が知らないなら、変えてもらって控えを受け取るか、店で変えるかを決めます。外出先から見ていないなら、ルーターの転送の設定を消し、録画機の外部からの接続の機能を切ってもらいます。出入り口には「防犯カメラ作動中」の掲示と問い合わせ先を出します。手書きの紙でも、目に入る高さに貼れば役目は果たせます。

録画の保存日数は、店の営業のくせに合わせて確かめます。週に一度、閉店後に録画の一覧を開き、いちばん古い日付を見ておけば、何かあったときに「何日前までなら残っているか」がすぐに分かります。万引きや客とのトラブル、従業員のけががあった日は、その日の閉店後に該当の時間帯を書き出し、ハッシュ値を記録して、BD-Rに焼いておきます。

数人の事務所で、カメラとパソコンが同じ網にある

事務所では、カメラと録画機が、仕事のパソコンやNASと同じネットワークにつながっていることがほとんどです。カメラが乗っ取られると、同じネットワークの中の機器が見える位置に入られることになります。台帳を作り、録画機とカメラのファームウェアの版とサポートの期限を確かめ、古いものから更新か買い替えの計画を立てます。外から見るためにVPNの機器を使っているなら、その機器の更新も同じ台帳で管理します。

従業員が辞めたときや、担当が代わったときに、カメラのアプリの共有と録画機のパスワードを変えることを、退職の手続きの一覧に入れておきます。カメラだけを別に覚えておくのは難しいので、パソコンのアカウントを止めるのと同じ日に行う決まりにすると、漏れが出にくくなります。

園・自治会・マンションの管理組合のカメラ

園や自治会、管理組合のカメラは、担当者が毎年のように代わります。パスワードを前の担当者しか知らない、業者との契約の中身が分からない、という状態になりがちです。管理者とパスワードの控え、業者の連絡先、録画の保存日数、書き出しの手順を1つの封筒にまとめ、担当が代わるときに封筒ごと引き継ぎます。引き継いだ日に、新しい担当者がパスワードを変えます。

保育所や児童クラブでは、2025年11月の事務連絡が参照を求めているIPAのチェックリストを使って、業者と一緒に設定を確かめる場を年に一度持ちます。園の写真や動画が外に出ることへの備えは、カメラに限らず、職員のスマホや保護者への配り方まで含めて考える必要があり、園の写真・動画の流出を防ぐ記事で扱っています。

よくある思い込みを、一つずつ確かめる

「家の中のWi-Fiにしかつないでいないから、外からは見られない」。アプリで外出先から見られるカメラは、メーカーのサーバーを通して外とつながっています。家のWi-Fiの中にあっても、アプリのアカウントのIDとパスワードが漏れれば、外から映像に届きます。外から見る機能を切っていない限り、外とつながったカメラとして扱います。

「パスワードを変えたから、もう大丈夫」。パスワードは4つの道の一つを閉じただけです。ファームウェアの弱点、外から直接届く設定、アプリのアカウントは、それぞれ別に閉じる必要があります。NOTICEが2024年4月から、パスワードに加えてファームウェアの弱点も調べるようになったのは、パスワードだけでは閉じない道があるからです。

「うちのような小さな家や店のカメラは狙われない」。Miraiは、インターネット上の機器を自動で探し続け、よくある初期のパスワードで片端から試していました。持ち主がだれかは関係なく、外から届いて、初期のパスワードで開く機器なら乗っ取られます。狙われるかどうかより、届くかどうか、開くかどうかで決まると考えてください。

「クラウドに録画が残っているから、控えは要らない」。クラウドの録画は、プランの日数を過ぎると消え、解約しても消えます。アカウントに入られれば、削除の対象にもなります。クラウドはカメラの外にある置き場所ですが、カメラのアカウントと同じ鍵で開く場所でもあるので、大事な場面は、そのアカウントの外にも控えを持ちます。

「古いカメラでも、映っている間は使い続けてよい」。映像が映ることと、守られていることは別です。サポートが終わった機器には、弱点が見つかっても修正版が出ません。総務省の注意喚起も、サポートが終わった製品は買い替えを考えるよう求めています。映っているうちに、外から届く設定を止め、買い替えの時期を決めておきます。

自分でできる範囲と、業者やメーカーに頼む境目

家庭でアプリを使って見る型のカメラなら、この記事に書いたことは、ほとんど自分でできます。アカウントの2段階の確認、パスワードの変更、共有の整理、自動更新の確認、向きの調整まで、1台あたり数十分です。ルーターの転送やUPnPの確認も、管理画面に入れれば自分で見られます。

業者に頼むほうがよいのは、次のような場合です。録画機の管理者のパスワードを店の側が知らない。ルーターの管理画面に入れず、だれが設定したかも分からない。外から見るためにVPNの機器を使っている。録画機を初期化すると、カメラの登録や録画の予定を一から設定し直す必要がある。店の録画が止まると、その間の営業に差し支える。どれも、失敗したときに元に戻すのが難しく、録画が止まっている時間ができる作業です。

業者に頼むときは、点検、設定の変更、ファームウェアの更新、買い替えの提案のどこまでを頼むのかを、見積もりで項目ごとに確かめます。NOTICEの注意喚起が届いた機器なら、NOTICEサポートセンターに設定の方法を聞けます。乗っ取りが疑われ、何が起きたのか分からないときは、前の節のIPAや警察の窓口に相談し、そのうえで、メーカーや業者に直してもらう順番にします。

防犯カメラの録画を見られる盤にするとき、当社にできること

ここまでの盤は、書き出した録画のファイルをそのまま焼く、データの盤でした。元のファイルとハッシュ値を残すための盤です。データの盤は、この記事に書いたとおり自分のパソコンで作ります。当社に頼めるかどうかは、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。

当社は、動画のデータから、プレーヤーで再生できるDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店です。受け付けるのは完成した動画のデータで、受け取ったデータをプレーヤーで再生できる形に組み立て(オーサリング)、書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか、店舗でお渡しします。1枚から注文でき、料金は基本料金(DVD・1枚あたり)の1,500円(税抜)からです。ブルーレイで作る場合も、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)は1,500円です。

防犯カメラや見守りカメラの録画を、見られる盤にする場面はいくつかあります。管理組合の理事会や店の会議で、パソコンを用意せずにテレビで見返したいとき。離れて暮らす家族に、見守りカメラに写った子どもの様子を届けたいとき。工事や作業の記録として、決まった時期の映像をそろえて残したいときです。カメラの映像には、画面の隅に日時の文字が入っていることが多く、DVDの720×480の画質では、その文字が小さく読みにくくなることがあります。日時をはっきり読ませたい映像で、見る人の家にブルーレイの機器があるなら、1920×1080で作るブルーレイが向いています。

控えとして役に立つのは、同じ内容の盤を2枚以上作り、別々の場所に置く使い方です。1枚目に続く同じ内容の焼き増しは、追加コピー(同一内容の焼き増し・1枚あたり)の1,000円で頼めます。盤面レーベル印刷(1枚あたり)は+1,000円で、カメラの場所や録画の日付を入れた画像を入稿していただき、その画像を盤に印刷します。何日分かの出来事を1枚に入れるときは、チャプター分け(1枚あたり)の+1,500円で、出来事ごとの区切りから再生を始められるようにできます。

書き出したファイルが、メーカーの専用の形式のままでは、プレーヤーで見られる盤にする材料になりません。当社が受け付けるのは、MP4・MOV・MTSなどの一般的な動画のファイルです。録画機の書き出しで一般的な形式を選ぶか、メーカーの再生ソフトに一般的な形式で書き出す機能があるかを、説明書で確かめてから入稿します。複数の場面を1枚に収めるときは、ファイル名の頭に「01_」「02_」と付けておくと、その番号の順に収録します。収録時間の目安は料金表のとおり、1層の盤ならDVDで約1.5〜2時間、ブルーレイで約2時間です。何日分もある録画は、見せたい場面だけを切り出してから入稿すると、1枚に収めやすくなります。

見られる盤は、元の録画のファイルの代わりにはなりません。プレーヤーで再生できる形に組み立て直すので、元のファイルとは別のファイルになり、DVDなら細かさも720×480になります。元のファイルは、ハッシュ値の一覧と一緒にデータの盤や別の置き場所に残し、見られる盤は「だれでもプレーヤーに入れれば見られる控え」として持つ、という分け方になります。警察や相手方、保険会社などに出す映像の形は、提出先によって求めるものが違うので、提出先に確かめてください。お引き受けできるのは、撮った本人か権利者の許可がある動画です。

入稿は、動画の共有URLを注文フォームに貼る形です。ギガファイル便、Google ドライブ、Dropbox、OneDriveなどの共有URLが使えます。共有URLは、送る相手と期限を決めて作ります。ギガファイル便を使う場合、保持期限はアップロードの前に選び、後から変えたり延ばしたりはできません。ダウンロードパスワードを付けた場合は、注文フォームにURLを貼るとパスワードの入力欄が開き、合っているかをその場で照合します。

人の顔が写る防犯カメラの映像を預けるときの扱いで気になる点は、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめていただけます。発送はクリックポストで、平日12時までの注文と入稿なら当日店舗お渡しも選べます。注文はDVDの注文ページからです。

今週は、アプリの2段階の確認と、録画のいちばん古い日付を見る

全部を一度にそろえる必要はありません。守れる範囲が広く、時間のかからないものから順に、今週と今月に分けて進めます。家庭なら1から5まで、店や事務所なら業者への確認も含めて、1か月を目安にします。

  1. カメラのアプリのアカウントに2段階の確認を設定し、共有の一覧から要らない人を外す
  2. カメラと録画機の管理用のパスワードを、機器ごとに別の10桁以上のものに変え、控えを鍵のかかる場所に置く
  3. 自動更新が有効か、メーカーのサポートが続いているかを確かめる
  4. ルーターの転送とUPnPを見て、外出先から見ないなら外から見る機能を切る
  5. カメラの映像を見て向きを直し、録画の一覧でいちばん古い日付を確かめる
  6. 今月中に、残したい録画を書き出してハッシュ値を記録し、BD-Rに2枚焼いて1枚を別の場所に置く

このうち1と5は、30分あればできます。迷ったら、「このカメラの映像を、今、知らない人が見ていたら何が困るか」と「この録画が明日消えていたら何が困るか」の二つを考えてください。一つ目の答えから写す範囲とパスワードが決まり、二つ目の答えから、どの録画を盤に控えるかが決まります。

よくある質問

Q. 初期パスワードのままのカメラはすぐに乗っ取られますか

A. すぐかどうかは分かりませんが、外から届く状態なら試される対象になります。Miraiはよくある初期のIDとパスワード62通りで機器を探して乗っ取りました。国のNOTICEの2026年8月分でも、推測されやすいIDとパスワードの機器が月1万3,708件見つかっています。機器ごとに複雑な初期パスワードが付いた製品を除き、10桁以上の別のものに変えます。

Q. 見守りカメラのアプリに2段階の確認は必要ですか

A. 設定しておくことを勧めます。アプリで見る型のカメラは、アプリのアカウントのIDとパスワードが漏れると、そのアカウントのカメラ全部に届きます。米国では、使い回しのパスワードを試す攻撃で約5万5,000人の顧客のアカウントに不正なアクセスがありました。2段階の確認があれば、パスワードが漏れても確認のコードが無ければログインできません。

Q. NOTICEの注意喚起が届いたら何をすればいいですか

A. 文面にある半角英数12桁か15桁のお問合せIDを、NOTICEのサイトの入力欄に入れると、機器ごとの対処の方法が出ます。分からなければNOTICEサポートセンター(0120-769-318、固定電話から無料)に聞けます。知らせが本物か迷うときは、届いた文面の連絡先ではなく、契約しているプロバイダの公式の窓口に自分で確かめます。

Q. 外出先からカメラを見る設定は止めたほうがいいですか

A. 一度も使っていないなら止めます。NOTICEは、外出先から管理できる機能など使っていない機能は無効にするよう案内しています。使う場合は、録画機の画面をインターネットから直接開く形を避け、メーカーのアプリかVPNを通す形にし、アカウントに2段階の確認を付けます。携帯電話の回線から管理画面が開かないことも確かめます。

Q. 古い防犯カメラはパスワードを変えれば使い続けられますか

A. パスワードを変えても、サポートが終わった機器には弱点の修正版が出ません。総務省の注意喚起は、サポートが終わった製品は買い替えを考えるよう求めています。2020年3月までの機器は、技術基準に守りの項目が入る前のものなので、メーカーのサイトでサポートの状況を調べ、外から届く設定を止めたうえで、買い替えの時期を決めます。

Q. 乗っ取られたらカメラはすぐ初期化すべきですか

A. 初期化の前に、ログインの履歴や利用者の一覧、設定の画面を撮り、カメラと録画機をインターネットから外して、大事な録画を書き出します。先に初期化すると、何が起きたかを示す記録や録画まで消えることがあります。記録を残したあとで、初期化、ファームウェアの更新、パスワードの変更を行い、それからつなぎ直します。

Q. 防犯カメラの録画は何日分残るものですか

A. カードやディスクの容量、画質、カメラの台数、常に録るか動きを検知したときだけ録るかで変わり、機器ごとに違います。説明書の目安より、録画の一覧でいちばん古い録画の日付を見るほうが確かです。出来事に気づくまでにかかる日数より長く残る設定かどうかを確かめ、足りなければ大事な場面を早めに外へ出します。

Q. クラウド録画があれば録画の控えは要りませんか

A. クラウドの録画は、契約しているプランの日数を過ぎると消え、解約しても消える場合があります。アプリのアカウントに入られれば、削除の対象にもなります。クラウドはカメラの外にある置き場所ですが、アカウントと同じパスワードで開く場所でもあります。大事な場面は、ダウンロードして、アカウントの外にも控えを持ちます。

Q. 書き出した録画はUSBメモリに入れておけば十分ですか

A. USBメモリは書き換えができ、パソコンに差したままにすると、パソコンの感染や誤操作の影響を受けます。持ち運びやすいぶん、なくしやすくもあります。大事な録画は、USBメモリやパソコンの写しに加えて、一度だけ書ける盤に焼いて閉じ、ドライブから出して保管すると、性質の違う控えを持てます。

Q. 録画を焼くならDVD-RとBD-Rのどちらがいいですか

A. 長さで決めます。総務省の説明で1層の容量はDVD-Rが4.7GB、BD-Rが25GBで、パソコンでは約4.38GBと約23.3GBと表示されます。カメラの録画は長くなりやすいので、何時間分もあるならBD-Rが1枚に収めやすくなります。どちらも、焼く前に再生とハッシュ値を確かめ、閉じてから取り出します。

Q. 盤に焼いた録画は後から書き換えられませんか

A. 一度だけ書ける盤は、記録した部分を物理的に書き換えたり消したりできませんが、閉じていない盤をドライブに入れたままにすると、追記で中身が見かけ上書き換わることがあります。焼く前の録画がすでに書き換えられていれば、そのまま残ります。証拠として扱われるかどうかは、提出先や弁護士に確かめてください。

Q. 店のカメラに防犯カメラ作動中の掲示は必要ですか

A. 個人情報保護委員会は、撮られていることを本人が容易に分からない場合は、作動中であることを掲示するなどの措置が要るとし、外からカメラと分かる場合でも掲示が望ましいとしています。出入り口に掲示し、問い合わせ先も書いておくと、客にも従業員にも説明しやすくなります。

Q. 防犯カメラの録画をDVDにして頼めますか

A. 自分のカメラで撮った録画のように、撮った本人か権利者の許可がある動画なら、MP4やMOVなどの一般的な動画のファイルから、プレーヤーで再生できるDVD・ブルーレイを作ります。録画機の専用の形式のファイルは、一般的な形式に書き出してから入稿します。人の顔が写る映像の扱いで気になる点は、注文の前に相談・問い合わせフォームで確かめてください。

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この記事の目次

  1. カメラの乗っ取りで、これまでに何が起きたか
  2. 国の調査では、推測されやすいパスワードの機器が月に1万件を超える
  3. 乗っ取られる道は、4つある
  4. 乗っ取られると、何を見られ、何をされるか
  5. 最初にすること|管理用のパスワードを、機器ごとに別のものへ
  6. アプリのアカウントは、2段階の確認と共有の整理で守る
  7. ファームウェアは自動で更新し、サポートの終わりを確かめる
  8. 外から見る設定は、使っていなければ止め、使うなら道を一つにする
  9. 置き場所と写す範囲は、見られたときのことを考えて決める
  10. 店・事務所・園では、カメラの管理を業者任せにしない
  11. 新しくカメラを置く日は、ネットにつなぐ前に決めておく
  12. 録画は、どこに残り、いつ消えるのか
  13. 録画を何日分残すかは、気づくまでの日数から決める
  14. 大事な録画は、上書きされる前にカメラの外へ出す
  15. 書き出した録画を、追記型の盤に焼いて置く
  16. 盤で守れること、守れないこと
  17. 乗っ取られたかもしれないと思ったら
  18. 家庭・店・事務所で、見直す順番を決める
  19. よくある思い込みを、一つずつ確かめる
  20. 自分でできる範囲と、業者やメーカーに頼む境目
  21. 防犯カメラの録画を見られる盤にするとき、当社にできること
  22. 今週は、アプリの2段階の確認と、録画のいちばん古い日付を見る
  23. よくある質問

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