この記事の要点
撮影の可否は会場の規則と出演者一人ひとりの承諾 の両方が要り、著作権法第九十一条第一項が実演家に録音録画権を認めているため古典曲でも自由にはなりません。
一台目を本舞台と橋掛りが入る画角に固定したまま回し続ける のが記録の中心で、ズームやパンで画面外に出た足取りや座は後から取り戻せません。
謡や囃子は客席後方のカメラ内蔵マイクだと残響に埋もれるため、舞台近くに置いたリニアPCMレコーダー で48kHz・24bitのWAVを別に録っておきます。
曲名と開始時刻を本番中に紙へ控えておけば、それがそのままメニュー画面とチャプター の設計図になり、頭出しできる配布用ディスクが一度で仕上がります。
保存は撮って出しの原本と配布版を分ける二段構え にし、コピー三つ・媒体二種類・うち一つは別の場所という置き方にして年に一度は実際に開いて確かめます。
大切な 映像は、 ディスクにも 残しておくと 安心です。
動画ファイルを 送るだけで、 DVD・ ブルーレイに してお届けします。
1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
会が無事に終わって、ビデオカメラのカードにその日の舞台が入っている。ここまでは毎年できている。問題はその先です。誰の許可を取ったのか記録が残っていない、区切りがないので目当ての曲まで早送りする、原本の入ったHDDが誰の家にあるのかわからない。こうした形で、撮ったはずの上演記録は少しずつ使えなくなっていきます。
撮影の可否は、会場の規則と出演者一人ひとりの承諾の両方で決まり、承諾は用途ごとに取ります。一台目を本舞台と橋掛りが入る画角に固定したまま回し続けるのが、記録の中心です。謡と囃子は、舞台近くに置いたリニアPCMレコーダーで別に録ります。曲名と開始時刻を本番中に紙へ控えておけば、それがそのままチャプターの設計図になります。保存は、撮って出しの原本と配布用のディスクを分けて持ち、置き場所を三つに分けて、年に一度は実際に開いて確かめます。
能楽は2008年(2001年に傑作宣言)、雅楽は2009年に、ユネスコの無形文化遺産代表一覧表に記載されました。文化庁も「記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」という枠組みを持ち、国が自ら記録を作成したり、地方公共団体の記録作成や公開事業に助成したりしています。ただ、そうした制度の対象になる公演の外側で、社中の会や地域の奉納として毎年積み上がる舞台は、その会が残さなければどこにも残りません。
この記事の目次見出しを押すと、その場所へ移ります
撮影の可否は会場ではなく出演者ごとに取る|著作権法第九十一条が定める録音録画権 一台目は舞台を切らない固定の画角、寄りの絵は二台目の仕事 主音声は舞台近くのレコーダーで録り、カメラ内蔵マイクは保険にする チャプターは番組をそのまま写す|開始時刻を紙に控えるのは本番中の仕事 原本は撮って出しのファイル、配布版はディスクという二段構えで持つ 盤面と背表紙に年月日・会名・曲名を入れる|二十年後に探すのは人の目 置き場所を三つに分け、年に一度は実際に開く|媒体より先に再生機が消える 会として先に決めておく五つのこと よくある質問 撮った動画は、1枚1,500円(税抜)からDVD・ブルーレイにできます。料金を見る
撮影の可否は会場ではなく出演者ごとに取る|著作権法第九十一条が定める録音録画権
撮影してよいかどうかは、会場に貼り紙があるかどうかでは決まりません。承諾は、その日の舞台に立つ人それぞれから取ります。著作権法第九十一条第一項は「実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。」と定めています。舞台に立つ人の演技そのものに権利があるという意味で、曲が古いか新しいかとは関係がありません。
ここを取り違えやすいのが古典曲です。詞章や楽曲の著作権が切れているとしても、実演には著作隣接権が別にあり、第百一条第二項第一号により「その実演が行われた日の属する年の翌年から起算して七十年を経過した時」まで存続します。2026年の会を撮った映像なら、2096年末まで実演の権利が続いている計算になります。「古典だから自由」という判断は成り立ちません。
確認は次の順で回すと漏れが出にくくなります。
会場|能楽堂・ホール・神社仏閣それぞれの撮影規則。三脚を立てられるか、置ける位置はどこか、電源を借りられるかまで含めて聞く
出演者|シテ方・ワキ方・狂言方・囃子方・地謡・後見。雅楽なら管方と舞方。社中の会でも一人ずつ
作品|新作能や現代の作曲を含む番組なら、作詞者・作曲者・演出者。管理団体に信託されていることもある
主催|共催団体や助成元があるときは、記録の帰属について取り決めが付いていることが多い
可否は「用途ごと」に分けて聞く
撮ってよいかを一問で聞くと、あとで困ります。用途によって答えが変わるからです。出演依頼書や承諾書には、次の三つを別の欄にして丸をつけてもらう形が扱いやすくなります。
記録として残すこと(会の保管庫に置くだけで、外には出さない)
出演者と会員への配布(想定枚数と配布先を書く)
インターネットでの公開(全編か一部か、限定公開か一般公開か)
あとから用途が増えたときは、その時点でもう一度取り直します。最初の承諾は、最初に書いた範囲にしか及びません。
会場の規則と出演者ごとの承諾の両方が要り、承諾は用途ごとに取る
なお第三十八条第一項は、営利を目的とせず観客から料金を受けない場合の上演について定めた規定で、これは上演そのものの話です。無料の奉納公演だから録画も自由、とはつながりません。
一台目は舞台を切らない固定の画角、寄りの絵は二台目の仕事
一台目は、本舞台と橋掛り(少なくとも一之松のあたりまで)が入る画角に固定し、撮影中は触りません。記録映像は鑑賞用の作品ではなく、あとから参照するための資料です。参照される場面を想像すると、必要な絵が決まります。「あのとき橋掛りのどのあたりで止まったか」「地謡の出だしはどこか」「囃子の間はどうだったか」。ズームとパンを多用した映像では、これがすべて画面の外に出ます。しかも、出てしまったものは編集で戻せません。
三脚は正面席の後方、通路の中央あたりに立て、前の客の頭が入らない高さまで上げます。舞楽なら、舞台の四方と楽人の座がわかる位置を優先します。二台目を出せるなら寄りを担当させますが、切り替え編集をする人手がない年は、二台目を増やすより一台目の位置と高さを詰めたほうが、残るものは良くなります。
本番前に済ませておく設定
電源はコンセントから取る。バッテリーだけで長時間は回さない。会場に電源がなければ予備を二本以上用意する
記録メディアはexFATでフォーマットしておく。FAT32のカードでは一ファイル4GBで自動的に区切られる
連続記録の上限時間を機種の仕様で確認する。上限がある機種なら、曲と曲の間で切って録り直す段取りを先に決めておく
ホワイトバランスは自動のままにせず固定する。場面ごとに色が動くと、装束の色を後から比べられない
シャッタースピードは電源周波数に合わせる。西日本は60Hzなので1/60秒か1/120秒、東日本は50Hzで1/100秒。合っていないと画面に横縞が出る
複数台で撮るなら、開始前にカメラの時計を合わせ、録画を始めてから一度強く手を叩く。音の波形の山が同期の目印になる
解像度とフレームレートは、1080/30pか1080/60pを基本に考えます。4Kで撮れば情報量は増えますが、そのぶん保管容量と、この先何十年かの管理の手間も増えます。会の保管体制がまだ固まっていない段階では、無理なく運用が回る側に寄せたほうが、結果として記録は残ります。
能舞台は照明が明るくない場所が多く、鏡板の前で装束が暗く写りやすくなります。露出をカメラ任せにすると、白い水衣が出た瞬間に画面全体が暗くなります。開演前に一度、実際の照明で試し撮りをして、露出を手動で固定しておくと安定します。
主音声は舞台近くのレコーダーで録り、カメラ内蔵マイクは保険にする
能楽堂や神社の拝殿は残響が長く、客席後方に置いたカメラの内蔵マイクが拾うのは、舞台から直接届く音より先に、壁と天井から返ってきた音です。謡の詞が聞き取れない記録は、稽古の参照には使えません。音は映像とは別に録っておくと、記録の使い道が広がります。
残響の長い会場では、主音声は舞台の近くで別に録る
リニアPCMレコーダーを一台、舞台に近い位置に置きます。正面席の一列目から三列目あたり、可能なら舞台の端に近い床。設定は48kHz・24bit、形式はWAV。24bitで録るなら入力レベルは低めに構えて、ピークがマイナス12dBFS前後に収まるくらいにしておくと、あとから持ち上げられます。
能楽で気をつけるのは打楽器です。大鼓・小鼓・太鼓は瞬間の音圧が高く、謡に合わせてレベルを取ると、打ち込みの一発で歪みます。リミッターを入れるか、同じ音を十数デシベル下げて同時にもう一系統記録する機能(機種によって呼び方が違います)を使うと、歪んだテイクを救えます。
雅楽の場合は笙・篳篥・龍笛が持続音なのでレベルは比較的安定しますが、屋外の奉納では風の音が乗ります。屋外ならウインドスクリーンを付けます。
映像と音を別々に録ると、あとで合わせる作業が発生します。開始前に舞台に向かって一度手を叩いておけば、カメラ側の音声トラックとレコーダー側の両方に同じ山が立ち、編集ソフトの波形同期がそこで揃います。この手間を省きたいなら、カメラの外部入力にマイクを挿して一本化する方法もありますが、ケーブルを客席に渡すことになるので、会場の許可が要ります。
音だけのファイルは、映像とは別に残しておく価値があります。謡や唱歌の稽古では、映像を見ずに音だけを繰り返し聞けば足りる場面があり、WAVがそのまま教材になるためです。映像の原本と同じフォルダに、音声だけを分けて置いておきます。
チャプターは番組をそのまま写す|開始時刻を紙に控えるのは本番中の仕事
あとから頭出しできない記録は、あっても使われません。区切りを作る作業は編集のときではなく、本番の最中に始まります。カメラ係の隣にもう一人立ってもらい、紙に「曲名/立方・演者/カメラの時計での開始時刻」を書いていきます。終演後にファイルのタイムコードと突き合わせれば、チャプターの位置はその日のうちに確定します。
本番中の控えが、そのままメニュー画面とチャプターの設計図になる
区切りの単位は、番組(プログラム)に印刷されている単位をそのまま使うのが迷いません。仕舞、独吟、素謡、連吟、舞囃子、狂言、能一番、附祝言。これで一つずつチャプターが立ちます。
長い曲は中でもう一段割ります。能一番なら中入をはさんで前場と後場で分け、会が普段使っている言い方があるならそれに合わせます。雅楽の管絃なら音取と曲本体、舞楽なら振鉾や乱声を独立させ、序・破・急で割ります。目安として、五分から十分に一つ区切りがあると、探す側の負担がはっきり下がります。
ここで作った一覧は、そのままディスクのメニュー画面とチャプターの設計図になります。動画ファイルをディスクに書き込んだだけでは家庭用プレーヤーは再生できず、メニューやチャプターの構造を組み立てる工程が別に要ります。これをオーサリング(焼くだけでは再生できない理由) と呼びます。
当社ではこの工程を料金に含めています。メニュー画面の作成とチャプター分けにも、オプションで対応しています。チャプターの位置は、「チャプター分け」を選ぶと開く「チャプター位置の指定」の欄に、一覧の開始時刻を入れます。
一覧は配布用ディスクのためだけのものではありません。原本のフォルダにテキストファイルとして一緒に置いておけば、ディスクを作らない年の記録でも、何がどこに入っているかが十年後に読み取れます。
原本は撮って出しのファイル、配布版はディスクという二段構えで持つ
記録には二つの役目があります。将来の参照に耐える原本と、いま出演者や会員の手に渡る配布版です。この二つを一つのファイルで兼ねようとすると、犠牲になるのはたいてい原本のほうです。
原本|カメラから出たファイルに手を入れない
カードから吸い出したファイルは、変換も圧縮もせずそのまま置きます。やるのはリネームだけで、「20260315_◯◯社中春季能_野宮_cam1.mp4」のように、日付・会名・曲名・カメラ番号を一つの名前に入れておきます。カメラの機種によって出力される形式は違うので、MP4・MOV・AVIといった動画ファイル形式の違い を押さえておくと、数年後に開けないという事態を減らせます。
一度エンコードし直したファイルで原本を置き換えると、削られた情報は戻りません。編集版を作るときも、元ファイルは別のフォルダにそのまま残します。
原本は変換せずに置き、音声と曲の一覧を同じフォルダに並べ、編集版は分ける
配布版|DVDかブルーレイかは配る相手で決める
DVD-Videoの映像は720×480画素で、圧縮方式はMPEG-2です。ブルーレイは片面一層25GB・二層50GBで、1080i/1080pの解像度をH.264などで記録します。舞の足の運びや装束の柄まで残したいならブルーレイ、配る相手の再生機が古いことが多いならDVD、という分け方になります。DVDとブルーレイの違い(画質・容量・互換性) を先に読んでおくと、会の中で説明するときに話が早くなります。
残したいもの
向いている形
会員・出演者への配布(古い再生機の家庭が多い)
DVD
舞の細部・装束の色柄まで見える形で配る
Blu-ray
会の保管庫に置く原本
データディスク(ファイルをそのまま書き込む)
稽古で音だけ使う
WAVを別に保管
原本をディスクに残すならデータディスクで
原本を手元のパソコンから離れた形でも持っておくなら、映像用ディスクではなくデータディスクにします。ファイルをそのままの形で書き込むので家庭用プレーヤーでは再生できませんが、パソコンで開けばカメラから出たときと同じファイルが出てきます。配布版と原本用の二種類を同時に作っておく、というのがここで言う二段構えです。
当社は、動画のデータからDVD・ブルーレイを作る書き込み代行の店で、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚から注文できます。オーサリングは料金に含まれています。盤面へのレーベル印刷、ケース+背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも、オプションで対応しています。原本用のデータディスクを当社に頼めるかは、相談・問い合わせフォームで確かめてください。
入稿は、ギガファイル便のURLを注文フォームに貼る形です。ギガファイル便(1ファイル300GBまで、預かり日数を選べます)、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなどが使えます。
盤面と背表紙に年月日・会名・曲名を入れる|二十年後に探すのは人の目
棚から一枚を取り出すのは、検索窓ではなく人の目です。盤面が白いままのディスクは、十年経つと中身のわからない円盤になります。書き込める情報は、作るときに印刷しておきます。
盤面のレーベル印刷に載せる項目は次のとおりです。
会の名称と回数(第◯回◯◯会)
開催年月日。西暦を主にして和暦を併記しておくと、古い名簿や番組と突き合わせやすい
会場名
収録内容(曲名。入りきらなければ代表曲+「ほか」)
Disc番号(2枚組なら 1/2、2/2)
「記録用原本」「配布用」の別
ケースの背表紙には、年月日・会名・曲名を入れます。棚に立てたときに背だけで判別できるかどうかが、あとの探しやすさを分けます。当社は盤面へのレーベル印刷と、ケース+背表紙の印刷に対応しているので、この二か所は同時に頼めます。どちらも、項目を入れた印刷用の画像を入稿してもらう形です。
出演者名は映像の中にも入れる
著作権法第九十条の二は実演家の氏名表示権を定めており、第二項では、別段の意思表示がない限り、その実演につき既に実演家が表示しているところに従って実演家名を表示できるとしています。曲の頭に静止画を一枚入れて、シテ・ワキ・狂言方・囃子方・地謡・後見の氏名を並べます。メニュー画面の一枚目に並べたい希望は、注文フォームの「メニュー画面のご希望(任意)」の欄に書けます。紙のインサートに番組をそのまま印刷して入れる方法でも成立します。どちらにしても、表記は番組の表記から動かさないことです。
配る相手の再生機を想像する
社中への配布では、受け取る側の機器が十年以上前のDVDプレーヤーということが起こります。再生できないという連絡が来てから作り直すより、先に家庭用プレーヤーの互換性 を確認しておくほうが、結局は早く済みます。枚数が読めないときは少なめに作り、必要が出てから追加します。当社は1枚から注文できるので、追加分だけを頼む形が取れます。
記録用の原本ディスクは配布しません。貸し出すときは、誰にいつ渡していつ戻ったかを台帳に書きます。原本が一枚しかない状態で人の手に渡ると、返ってこなかった時点で記録が消えます。
置き場所を三つに分け、年に一度は実際に開く|媒体より先に再生機が消える
国立国会図書館は電子情報の長期保存について、「紙媒体の寿命とくらべて、記録媒体の寿命は著しく短い」と述べています。さらに「電子情報を利用するためには、それに対応する特定の再生機器やソフトウェアなどが必要であるが、これらは絶えず進歩し、古いものは使えなくなることが多い」とも書いています。つまり、記録を失う原因は二つあります。媒体そのものの劣化と、それを読む道具が世の中から消えることです。
どちらにも備えられる置き方が、コピーを三つ持ち、二種類の媒体に分け、そのうち一つを別の場所に置くやり方です。会に当てはめると、こうなります。
一つ目|事務所のパソコンか外付けHDDに原本フォルダ
二つ目|光ディスク(データディスク)を会の保管庫に
三つ目|クラウドストレージ、または役員のうち一人の自宅に置いたHDD
この考え方の詳細は3-2-1バックアップの実践 にまとめています。クラウドだけに寄せると解約や料金改定で消えることがあり、ディスクだけに寄せると読む機械がなくなったときに困るので、性質の違うものを混ぜておくのが要点です。
点検を年間予定に入れる
置いただけの保存は、読めなくなっていることに気づけません。年に一度、総会や決算の時期に合わせて、台帳から一件か二件を選び、実際に開いて再生します。開けたら台帳に点検日を書きます。三年も続ければ、どの媒体が読めなくなりやすいかという傾向が、会の中に蓄積していきます。
ディスクは直射日光と高温多湿を避け、ケースに入れて立てて保管します。車の中、窓際、屋根裏、暖房が当たる部屋の上部は避けます。
五年から十年で新しい媒体に移す
媒体は入れ替える前提で考えます。移す作業自体はファイルをコピーするだけですが、コピー後にファイルサイズと再生を確認してから、元を処分します。カメラ独自の特殊な形式で撮っている場合は、原本を残したうえで、H.264のMP4に変換したものを並べて置いておきます。そうすれば、将来その形式を開けるソフトが手に入らなくなっても、中身にたどり着けます。原本を変換版で置き換えるのではなく、両方を置く、という点が大事なところです。
置くだけでは壊れに気づけない。毎年開いて、数年ごとに移す
会として先に決めておく五つのこと
記録を失わせるのは、撮影の技術より決めごとのなさです。次の五つを会の申し合わせに入れておくと、担当が代わっても続きます。
1. 記録係を毎回二人立てる
カメラを回す人と、曲名・演者・開始時刻を紙に書く人。書く人がいない年は、区切りのない長い一本だけが残ります。書く係は舞台を見ていられるので、当番として引き受けてもらいやすい役でもあります。
2. ファイル名の形を一つに決める
「YYYYMMDD_会名_曲名_カメラ番号」のように、順番まで決めます。日付を先頭に置くと、フォルダを名前順に並べただけで年代順になります。年ごとに書き方が揺れると、あとでまとめて直す作業が発生します。
3. 撮影の承諾は出演依頼と同じ封筒で取る
本番当日に口頭で確認すると、断りにくい場で聞くことになります。依頼の段階で、記録・配布・公開の三つに分けた欄を用意し、書面で残します。
4. 台帳を一つ作る
表計算ソフトで足ります。列は、開催日/会名/曲名/出演者/原本の置き場所(三か所ぶん)/配布の可否と範囲/配布枚数/点検日。この表があると、五年後の担当者が最初の一日で状況を把握できます。逆にこの表がないと、原本があるのに見つけられないという事態が起こります。
5. ディスクの発注時期を年間予定に入れる
会が終わってから配布までの間が空くほど、誰に何枚渡すのかという確認の手間が増えます。年間予定に「◯月に前年分を発注」と書いておくと、記録が滞留しません。
当社の通常便は受付から5営業日で発送し、急ぐときは短納期のオプションから選べます。お急ぎお届け(内容1種類につき)は+1,500円で、平日15時までの注文・入稿で翌々日までに発送します。特急お届け(内容1種類につき)は+3,000円で、平日15時までの注文・入稿で翌日発送です。当日店舗お渡し(内容1種類につき)は+3,500円で、平日12時までの注文・入稿で、大阪市北区の店舗でお渡ししています。
追善や襲名の会のように日付が動かせない場面のために、急ぐ手段が用意されていることだけ頭に置いておくと、段取りに余裕が出ます。
よくある質問
Q. 能や狂言の公演を客席から自由に撮影してもいいですか? A. 会場の規則と、その日の出演者一人ひとりの承諾の両方が要ります。著作権法第九十一条第一項は「実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する」と定めており、舞台に立つ人の演技そのものに権利があるためです。会場が撮影可でも出演者の承諾は別に必要で、逆に出演者が承諾していても、会場が三脚や録音を禁じている場合があります。主催者側が記録として撮る場合でも、出演依頼と同じタイミングで書面にしておくと後戻りがありません。
Q. 古典の曲なら著作権は切れているので撮影は自由ですか? A. 詞章や楽曲の著作権が切れていても、その日の実演には著作隣接権が別にあります。著作権法第百一条第二項第一号により、実演の権利は実演が行われた日の属する年の翌年から起算して七十年を経過するまで存続します。2026年の舞台なら2096年末までです。さらに新作能や現代の作曲を含む番組では、作詞者や作曲者の著作権も生きているので、そちらの確認も別に要ります。
Q. 家族が出るので個人的に記録したいだけです。それでも許可が要りますか? A. 著作権法第三十条第一項は、個人的または家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とする複製を認めており、第百二条第一項でこれが実演にも準用されています。ただし会場の運営規則は著作権とは別の話で、多くの能楽堂やホールが客席からの撮影を独自に禁じています。また、社中の全員に配ったり動画サイトに上げたりした時点で「限られた範囲」を超えます。店にディスクの作成を頼むと、複製するのが使う本人ではなくなるため、私的使用の例外にはあたりません。現場では、まず会場の規則を確認してください。
Q. カメラは何台用意すればいいですか? A. 一台からで記録として成立します。優先すべきは、本舞台と橋掛りが入る画角に固定した一台を、ズームもパンもせずに回し続けることです。二台目は寄りの絵を担当させますが、切り替え編集をする人手がないなら、台数を増やすより一台目の位置と高さを詰めたほうが結果は良くなります。舞楽で舞台の四方を使う場合は、正面と斜めの二台を検討する価値があります。
Q. 謡や囃子の音は別に録ったほうがいいですか? A. 能楽堂や拝殿は残響が長く、客席後方のカメラ内蔵マイクでは謡の詞が聞き取りにくくなります。リニアPCMレコーダーを舞台の近くに一台置き、48kHz・24bitのWAVで録っておくと、稽古の参照に使える音になります。大鼓や小鼓は瞬間の音圧が高いので、入力レベルは低めに構えるかリミッターを入れます。開始前に舞台へ向かって一度手を叩いておくと、映像と合わせるときの目印になります。
Q. 上演記録はDVDとブルーレイのどちらで残すべきですか? A. 配る相手と、残したい細かさで決まります。DVD-Videoは720×480画素でMPEG-2、ブルーレイは片面一層25GB・二層50GBで1080i/1080pをH.264などで記録します。会員配布で古い再生機が想定されるならDVD、舞の細部や装束の色柄まで残すならブルーレイという分け方です。会の保管庫に置く原本については、映像用ディスクではなく、ファイルをそのまま書き込むデータディスクにしておくと将来の変換に対応しやすくなります。
Q. 撮影した動画をディスクにするには、どうやってデータを渡しますか? A. ギガファイル便のURLを、注文フォームに貼っていただく形です。ギガファイル便(1ファイル300GBまで、預かり日数を選べます)、Google ドライブ、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなどが使えます。チャプターの位置は、注文フォームの「チャプター位置の指定」の欄に、曲名と開始時刻の一覧から時刻を入れます。オーサリングは料金に含まれており、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)から、1枚から注文できます。
Q. 会に間に合わせたいのですが、どれくらいで受け取れますか? A. 通常便は受付から5営業日で発送し、お届けは発送から2〜3日です。お急ぎお届け(内容1種類につき)は+1,500円で、平日15時までのご注文・ご入稿で翌々日までに発送します。特急お届け(内容1種類につき)は+3,000円で、平日15時までのご注文・ご入稿で翌日発送です。当日店舗お渡し(内容1種類につき)は+3,500円で、平日12時までのご注文・ご入稿で、大阪市北区の店舗でお渡ししています。追善や襲名など日付を動かせない会では、本体は余裕を見て通常便で出し、追加分だけ急ぐ組み立てもできます。