この記事の要点
- 古いCD-R・DVD-Rが読めないときは、記録面を柔らかい布で中心から外へ拭き、別のドライブや別のパソコンで試します。読めたら、その日のうちにパソコンへ写します。
- 同じ機器で何度も読ませて粘るより、機器を替えるほうが近道です。コピーが途中で止まったら、読めるファイルから先に写します(カナダ保存研究所)。
- 研磨や歯磨き粉、溶剤は使いません。研磨するとデータ面に跡が残り(修復機のメーカーの注意書き)、CD-Rのレーベル面側の傷は直せません(米国国立標準技術研究所)。
- 読めないファイルは、Windowsなら、読み直すか飛ばすかを選べるIsoBusterで試す方法があります。エラーの箇所では、ドライブが1ブロックに30秒以上かかることもあります。
- それでも読めず、そこにしかないデータなら、そのディスクに手を加えずにデータ復旧の業者に相談します。取り出せなかったときの費用などは、見積もりの段階で確かめます。
押し入れの箱から、昔焼いたCD-RやDVD-Rが出てきた。盤面には手書きで「旅行 写真」。パソコンに入れると回る音がするだけで、中が開かない。フォルダーは見えるのに、コピーが途中で止まる。古いディスクが読めないときは、何度も入れ直す前に、試す順番を決めてから手を動かします。
やることは3つです。記録面を正しく拭き、別のドライブや別のパソコンで試し、読めたらすぐにパソコンへ写す。カナダ政府の保存研究機関であるカナダ保存研究所(CCI)は、ほかの機器で読むだけで問題が消えることがあり、救出の時間を大きく省ける大事な手順だとしています。同じ機器で何度も読ませて粘ったり、研磨したりはしないでください。それでも読めず、そこにしかないデータなら、そのディスクに手を加えずにデータ復旧の業者に相談します。
読めたときも、次に読める保証はありません。CCIは、ディスクの本当の状態は見た目や、読めるかどうかでは分からず、ふつうに使えているディスクでも壊れる寸前のことがあると書いています。読み取りの誤りを自動で直す仕組み(誤り訂正)が、傷みを隠してしまうからです。読めた日のうちに写しておく理由は、そこにあります。
読めない古いCD-R・DVD-Rで、試す順番
ディスクに負担の少ない方法から順に試します。CCIの資料も、簡単な清掃や、ほかの機器での読み取りのように、時間がかからず傷める心配の小さい方法を先に試し、傷の修理のような強い処置は、ほかの方法を尽くしてからにする順番を示しています。
- ひびや割れがないかを見る。寒い場所から出したばかりなら、部屋の温度になじませる
- 記録面を、柔らかい布で中心から外へ拭く
- 別のドライブや別のパソコンで試す
- 読めたら、読めるファイルから先にパソコンへ写す
- 読めないファイルが残ったら、読み出しのソフトで試す
- それでも読めず、そこにしかないデータなら、手を加えずにデータ復旧の業者に相談する
どこでつまずいたかで、次の一手が変わります。よくある症状を表にしました。
| 症状 |
見立てと、次の一手 |
どの機器でも 読めない |
汚れか、 記録層の傷み。 拭いて試し直し、 だめなら 業者に相談する |
1台でだけ 読めない |
機器の側の 問題のことがある。 読める機器で すぐに写す |
コピーが 途中で止まる |
その箇所が 読めていない。 ほかのファイルを 先に写す |
ファイルが 見当たらない |
前のセッションに 残っている ことがある。 ソフトで確かめる |
焼いた 機器でしか 読めない |
書き込みの 仕上げが 済んでいない ことがある。 作った機器で ファイナライズする |
ひびや 割れがある |
機器に入れない。 ケースに入れて 業者に相談する |
拭いても 取れない 変色がある |
中の層の傷みの ことがある。 読める分を 早く写す |
DVDレコーダーで録画したDVD-Rや、映像のDVD(DVDビデオ)が再生できないときの見分け方は、読み込めないDVDを復活させる方法にまとめています。ここからは、写真や書類、動画のファイルを焼いたCD-R・DVD-Rを中心に、手順を細かく書きます。
入れる前に、ひび・割れと温度を確かめる
ひびや割れのあるディスクは、ドライブに入れない
ドライブに入れる前に、ディスクの両面を明るいところで見ます。ひびや割れがある、形がゆがんでいる、というディスクは入れないでください。PlayStationのサポートは、割れたり変形したりしたディスクや、修理したディスクは本体の故障の原因になるとして、使わないよう案内しています。テープや接着剤でつないでも、入れてよいディスクにはなりません。そこにしかないデータなら、ケースに入れて、後の節にあるデータ復旧の業者への相談に回します。
寒い場所から出したばかりなら、部屋の温度になじませる
冬の物置や車の中から出したばかりのディスクは、すぐには入れず、ケースに入れたまましばらく置きます。米国国立標準技術研究所(NIST)の手引きは、使う場所よりずっと低い温度にあったディスクを、負担と結露を減らすために、少しずつ使う場所の温度になじませるよう勧めています。包装やケースに入れたままにしておけば、ゆっくりなじむ、とも書いています。水分も、指紋やほこりと同じく、レーザーの読み取りを妨げるものの一つです(NIST)。
拭いても取れない変色と、CD-Rのレーベル面
記録面(読み取る側の、光る面)に、拭いても取れない変色やくもり、まだらがあるときは、中の層の傷みのことがあります。CCIによると、反射層に使われる銀や銀合金は腐食しやすい金属です。記録層の色素も、時間とともにゆっくり分解します(NIST)。家庭では直せないので、読める部分を早く写すことに力を使います。
CD-Rは、レーベル面も見ます。CDの記録層は、レーベル面から0.1mmほどのところにあります(ソニー)。NISTによると、ペンや先のとがったもので付いたへこみや小さな穴は、その部分の反射を失わせ、直すことはできません。貼ってあるシールは、はがさずにそのままにします。NISTは、CDのラベルをはがしたり貼り直したりしないよう書いています。
記録面の拭き方|中心から外へ、まず乾いた布で
汚れは、傷より読み取りを乱しやすいものです。NISTの手引きによると、指紋や手の脂、汚れは広い範囲のデータを覆ってレーザーの焦点をぼかし、傷より多くの読み取りの誤りを起こしやすいとされます。回っているディスクからほこりが飛んで、ドライブの中のレーザーの部分にたまることもあります(NIST)。マクセルも、ディスクを認識しない原因の一つに記録面の汚れを挙げ、クリーニングすると認識できるようになる可能性が高いと案内しています。
ただ、拭くのは汚れが見えるときだけで足ります。NISTは、拭いたりこすったりするたびに、やわらかい樹脂の面に傷や汚れが付くおそれがあるとして、掃除は本当に必要なときだけにするよう勧めています。拭き方は、各社・各機関の案内でほぼ共通です。
- ほこりは、先にブロアーで吹き飛ばす(NIST)
- メガネ拭きのような、繊維くずの出ない柔らかい布を使う(マクセル・ソニー)。レンズ用の紙を含め、紙製品では拭かない(NIST)
- まず乾いた布で、中心から外へまっすぐ、軽く拭く(NIST・マクセル)
- 円を描くように拭かない。円周に沿って傷が入ると、データが失われるおそれがある(マクセル)
- ベンジンやシンナーなどの溶剤、静電気防止剤は使わない(ソニー・マクセル)
- 研磨性のものは使わない(NIST)
水で拭くかどうかは、メーカーや資料で案内が分かれる
乾いた布で落ちない汚れの扱いは、メーカーや資料で案内が違います。ブルーレイレコーダーの案内では、ソニーが水を湿らせた布で中心から外周へ直線的に拭く方法を、東芝が水を含ませた柔らかい布でふいたあとにからぶきする方法を挙げています。一方、マクセルはCDの記録面について、ベンジンやシンナー、レコードスプレー、静電気防止剤と並べて、水も使わないよう案内しています。
保存機関の資料には、もう一歩踏み込んだ方法も載っています。CCIが指紋を落とす方法として紹介しているのは、記録面に台所用の洗剤を少量つけ、濡らした柔らかい布でそっと拭いてから蒸留水ですすぎ、水滴の跡が残らないよう押さえるように乾かすやり方です。ただし同じ資料には、正しく行わないと清掃で表面に傷が付くことがある、という注意も添えられています。
そこにしかないデータが入ったCD-Rなら、乾いた柔らかい布で拭くところまでにとどめ、別の機器で試すほうへ進むのが無難です。カビのような汚れや、何度拭いても取れないくもりの手当ては、ディスクのカビ・指紋・傷のクリーニング方法に分けて書いています。
拭いても読めなければ、別のドライブ・別のパソコンで試す
次は機器を替えます。CCIによると、機器ごとにディスクの扱い方が違うため、ほかの機器で読むだけで問題が消えることがあります。同じCDを同じソフトで調べても、ドライブを替えると結果がずっとよくなった例を、CCIは図で示しています。1台で読めなかったことを、ディスクが壊れた証拠と受け取らないでください。
同じ機器で入れ直しを何度も繰り返すより、別の機器を探すほうが近道です。試す先は、ほかのパソコンの内蔵ドライブ、USBの外付けドライブ、家族や職場のパソコンなど、手の届く範囲で構いません。東芝は、ほかのディスクも再生できないなら本体のトラブル、特定のディスクだけならディスクに要因がある可能性がある、と案内しています。ソニーも、パソコンやPlayStationなど、ほかの機器で再生できるかを試すよう書いています。
古い機器と、ディスクの種類の組み合わせ
読めない原因が傷みではなく、機器とディスクの組み合わせのこともあります。CCIによると、700MBのCD-Rが1998年ごろに出始めたときには互換性の問題が多く起き、1998〜2000年に作られた初期の大容量のCD-Rは、うまく読めないことがあります。DVD-RはDVD+Rより、とくに古いドライブで互換性がよく、1層のディスクは2層より互換性がよい、とも書かれています。機器が対応していないことを劣化と取り違えないよう、機器が読めるディスクの種類を確かめる。これがCCIの勧めです。
外付けドライブで試すとき
ドライブのないパソコンでは、USBの外付けドライブをつなぎます。DVD-Rを読むなら、DVDに対応したドライブが要ります。つないでも認識しないときにバッファローが案内している確かめ方は、次の順番です。デバイスマネージャーで正しく認識されているかを見る。別のUSBポートにつなぎ替え、給電用のコネクターがあればパソコンにつなぐ。ほかのUSB機器を外し、常駐ソフトを一時止める。ドライブの選び方と、つないでも読めないときの切り分けはパソコンでDVDを見る方法にまとめました。
焼いた機器では読めたディスク
焼いた機器では読めたのに、ほかの機器で読めないなら、書き込みの仕上げを疑います。DVDレコーダーなどで作ったDVDは、ファイナライズという仕上げの処理をしていないと、ほかの機器では再生できません(ソニー)。作った機器に戻してファイナライズする手順は、ファイナライズとはにあります。
パソコンで焼いたCD-R・DVD-Rでも、似たことが起きます。CCIによると、質の低いソフトや、記録のセッションを正しく閉じないといった書き込み方の不備でも、劣化とは関係なく読めないディスクになることがあります。そうしたディスクからも、専用のソフトで中身を取り出せる場合があります(CCI)。
読めたら、読めるファイルから先にパソコンへ写す
読めたら、その場で中身をパソコンへ写します。棚に戻して、また今度、とはしません。
- パソコンに、ディスク1枚につき1つの保存先のフォルダーを作る。「2006_旅行_CD-R」のように、年と中身が分かる名前にする
- WindowsはエクスプローラーでCD・DVDのドライブを開き、Macはデスクトップかサイドバーに出たディスクを開く
- いちばん失いたくないフォルダーから順に、保存先へコピーする
- 途中で止まったファイルは、そこで粘らずに後回しにし、ほかのファイルを先に写す
- 写せなかったファイルの名前を書き留める
読めるファイルを先に写すのは、CCIが示す順番です。読めるファイルと読めないファイルが混じるときは、読めるファイルを先に新しい媒体へ写し、読めないファイルはそのあとで読み出しのソフトを試す。フォルダーごとに分けて写すと、どこまで写せたかも分かりやすくなります。映像のDVD(DVDビデオ)なら、VIDEO_TSというフォルダーごとコピーします。写し方の細部と、写したフォルダーの再生の仕方はDVDをパソコンに取り込む方法に書きました。
写したファイルが開けるかを確かめる
コピーの完了の表示が出ても、中身まで無事とは限りません。写したファイルを開いて確かめます。写真は一覧の表示で崩れがないか、動画は最初・途中・最後の3か所、書類は最後のページまで。ファイルの数と合計の大きさを、ディスクの側と見比べるのも手がかりになります。写した動画が再生できないときは、ファイルが壊れたとは限りません。見分け方は動画ファイルが破損したときの復旧にまとめています。
傷んだディスクを、丸ごと1つのファイルにしない
ディスクを丸ごと1つのファイル(ディスクイメージ)にまとめる方法もありますが、これは読めるディスク向けです。Appleはディスクユーティリティの説明で、障害があると考えられるディスクや、破損した情報が含まれるディスクのディスクイメージは作らないよう注意しています。そうしたイメージは、信頼性の高いバックアップとして使えないからです。傷んだディスクは、ファイルごとに写すほうを先にします。
読めないファイルが残ったら、読み出しのソフトで試す
ふつうのコピーで止まるファイルは、読み出しのソフトで取り出せることがあります。CCIによると、こうしたソフトは誤り訂正を補う働きをして、読めなかったファイルをもう一度読めるようにする場合があります。読み直しの回数や、読めない箇所で飛ばす量を設定できることが、望ましいソフトの条件として挙げられています。
ただしCCIによると、光ディスクの救出の成否は、ソフトの違いよりドライブの違いに左右されやすいものです。1枚に数時間かかることもあり、傷みが広すぎればソフトでは救えず、全部か無かになりやすい、とも書かれています。ソフトを替える前に、まずドライブを替えてみてください。
IsoBusterで試すとき(Windows)
CCIの資料の一覧にも入っている読み出しのソフトに、Smart ProjectsのIsoBusterがあります。Windows用のソフトで、公式サイトと公式のヘルプに書かれている主な働きは次のとおりです。
- ディスクの中のトラックとセッションをすべて表示し、古いセッションのファイルも取り出せる
- すべてのファイルが物理的に読めるかを調べ、読めない箇所にあるファイルの一覧を作れる
- 読めない箇所に当たると、読み直す(RETRY)、その箇所を飛ばす(IGNORE)、取り出しをやめる(QUIT)を選べる
- 読み直しの回数を、ドライブごとに変えられる
無料で使える範囲と、有料の登録が要る範囲があります。Smart Projectsの説明では、ISO9660やJolietといったファイルシステム(ファイルを並べる仕組み)にかかわる機能は、ファイルの取り出しまで無料です。ドラッグ&ドロップで書き込むソフトなどが使うUDFや、Mac用のHFS(HFS+)のファイルシステムから取り出すには、有料の登録が要ります。有料の機能に当たったときは、その場で知らせが出ます。会社や団体で使う場合は、有料のProfessional以上のライセンスが必要です。
気をつけたいのは時間です。IsoBusterのヘルプによると、エラーのある箇所では、光ディスクのドライブが1ブロックの読み取りに30秒以上かかることがあります。ブロックの数は、たとえばCDで約33万、片面のDVDで約220万あるので、読めない箇所が広いほど時間は膨らみます。読み直しの回数を増やしても読めないと分かったら、回数を下げたほうが時間を大きく省ける、ともヘルプにあります。読めない箇所で粘り続けるより、ドライブを替えるか、業者に相談するかを考える段階です。
名前や出どころの分からない「無料の修復ソフト」に、そこにしかないディスクを任せるのは避けます。公式の説明で働きを確かめられないソフトは、ディスクに何をするのかが分からないからです。この記事で公式の説明を確かめたのはWindows用のIsoBusterだけで、Mac用のソフトは挙げていません。
焼いたはずのファイルが見当たらないとき
ディスクは読めるのに、焼いたはずのファイルが見当たらないこともあります。CD-RやDVD-Rは、空いている部分に新しいセッションを書き足せます。CCIによると、新しいセッションを書いたあとは、最初のセッションの情報がディスクに残っていても、Windowsのエクスプローラーのような標準の方法では開けなくなることがあります。IsoBusterは、古いセッションも含めたすべてのセッションを表示し、取り出せると説明しています。
研磨・歯磨き粉・冷凍庫は試さない
「読めないディスクの直し方」として見かける方法のうち、公式の資料に照らして勧められないものを挙げます。どれも、試したあとで元に戻せないか、効き目の根拠が見当たらないものです。
- 歯磨き粉やコンパウンドで磨く。NISTは、ディスクの表面に研磨性のものを使わないよう書いています
- 研磨式の修復機で削る。サンワサプライの修復機の注意書きには「ディスクのキズを消すものではありません」「データ面に研磨のキズ跡が残ります」とあり、使ったことによるデータの損失には責任を負わないと明記されています
- 冷蔵庫や冷凍庫で冷やす。NISTは、凍らせたときの影響はまだ分かっていないとしています。冷えたディスクを暖かい部屋に出すと、結露のおそれもあります
- ベンジンやシンナー、アセトンなどの溶剤で拭く。ソニーとマクセルは溶剤を使わないよう案内し、NISTは、アセトンやベンゼンのような強い溶剤は樹脂を溶かし、直せない傷みを与えるとしています
- CD-Rのシールやラベルをはがす(NIST)
- 割れたディスクを、テープや接着剤でつないで入れる(PlayStation)
- 落ちない汚れを、力を入れてこすり続ける。拭くたびに傷のおそれがあります(NIST)
研磨で直せる見込みがあるのは、読み取る面の保護層についた傷による読み取りエラーまでです。記録層の色素が傷んで直しきれない誤りになった部分は、表面を削っても戻りません(NIST)。CDはレーベル面のすぐ下に記録層があり、レーベル面側の傷は直せないうえ(NIST)、サンワサプライの修復機もレーベル面に傷があるディスクには使えないとしています。CCIも、傷の修理は、ほかの方法を尽くしてから行う強い処置に数えています。そこにしかないデータなら、削る前に業者に相談してください。
古いCD-R・DVD-Rが読めなくなるのはなぜか
記録型のCD-R・DVD-Rは、有機の色素でできた記録層に、レーザーで印を付けて記録します。NISTによると、この色素は時間とともにゆっくり分解し、高い温度と湿度で分解が早まります。日光などの紫外線に長く当たっても傷み、やがてデータが読めなくなることがあります。光を返す反射層にも弱点があり、CCIは、銀や銀合金の反射層は腐食しやすく、汚れた空気にさらされるとCD-Rが傷みやすいとしています。
傷みに気づきにくいのは、誤り訂正のためです。少しの誤りは機器が自動で直して読んでしまうので、初めのうちは劣化が見えず、誤りが直しきれない量になったところで症状が出ます(NIST)。色素の層が傷んで直しきれない誤りになった部分は元に戻せない、とNISTの2004年の論文は書いています。読めるうちに写す、という順番が動かないのはこのためです。
何年もつかの目安は、CCIの資料の平均の寿命で、シアニンかアゾの色素と銀合金の反射層のCD-Rが20〜50年、一般的なDVD-R(銀合金の反射層)が10〜20年です。ただ、同じ種類でも品質と置き場所で差が大きく、CCIは記録型のディスクの寿命を「2、3年から200年以上」と幅で紹介しています。規格どおりに作られていない品質の悪いディスクは、発売から少なくとも2、3年の間、大きな問題でした(CCI)。
実物を調べた例もあります。国立国会図書館が、温度22℃・湿度55%に保った書庫で所蔵のディスクを調べた調査では、CDはCD-ROMもCD-Rも、30年近くたつものでも読み取りの誤りが少ないものが多く見られました。一方、DVDは164枚中44枚が「即座に対策が必要な状態」で、DVD-Rには新しいものから古いものまで、劣化の進んだディスクが多数見つかっています。年数だけでは、読めるかどうかは分かりません。寿命の詳しい見方はCD・DVD・ブルーレイの寿命は何年かにまとめました。
データ復旧の業者に頼むときは、手を加えずに相談する
家庭でできるのは、拭く、機器を替える、読めるファイルから写す、ソフトで試す、までです。次のような場合は、ディスクに手を加える前に、光ディスクを扱うデータ復旧の業者に相談する方法があります。
- そこにしかないデータで、拭いても、別の機器でも、ソフトでも読めない
- 読めないファイルが残り、それがどうしても要る
- ひび、割れ、深い傷がある
- 研磨のような、元に戻せない処置を考えている
相談するまでは、ディスクをそれ以上いじりません。研磨はもちろん、強くこする、シールをはがす、といったこともせず、ケースに入れて保管します。どの機器で何を試し、どのファイルが読めて、どれが読めなかったかを書き出して渡すと、話が早く進みます。
見積もりの段階で確かめること
料金は、業者やディスクの状態で変わるので、この記事では金額を挙げません。次の点を見積もりの段階で確かめ、書面で受け取っておくと、あとの行き違いを防げます。
- CD-R・DVD-Rなどの光ディスクを扱っているか
- 診断や見積もりに費用がかかるか
- 見積もりを聞いてから断ったときの費用
- 取り出せなかったときの費用
- 取り出せたファイルの一覧を、支払いの前に見られるか。開けるかどうかまで確かめられるか
- ディスクを削るなど、元に戻せない処置をするか。するなら、先に知らせてもらえるか
- かかる日数
- 取り出したデータを受け取る形(外付けのドライブ、ダウンロードなど)
- 預けたディスクが戻るか。作業のあとで、預けたデータを消してもらえるか
家族の写真や仕事の書類は、個人の情報でもあります。預けたデータの扱いは必ず確かめてください。個人情報を含む媒体の扱い方は、個人情報を含む媒体の取り扱いにまとめています。
取り出せたら、2か所以上に置き、同じころのディスクも確かめる
取り出したデータが、パソコンの中に1つあるだけでは心もとないものです。CCIは、3つのコピーを少なくとも2種類の媒体に作り、1つは別の場所に置くよう勧めています。同じ種類の媒体を2つ使うなら、ブランドを変えておくのがCCIの勧めです。外付けのHDDやSSD、クラウドなど、2か所以上に置いてください。組み合わせ方は3-2-1バックアップの実践ガイドで説明しています。
読めなかったディスクと同じころに焼いたディスクも、続けて確かめます。国立国会図書館の報告書は、検査するディスクのまとまり(ロット)を、作られた時期の違いを考えて決めることを挙げています。家庭なら、同じ箱から出てきたディスクを、読めるうちにまとめて写すところまで進めます。
元のディスクは、読めなくても、すぐには捨てません。業者に相談する余地を残しておくためです。ケースに入れて本のように立て、涼しく乾いた暗い場所に置きます(NIST)。保管の条件はDVD・CDの正しい保管方法にまとめました。
手元のディスクを、今日どこまで進めるか
読めないCD-R・DVD-Rが手元にあるなら、今日のうちに進められるのは次のところまでです。ひびがないかを見て、寒い場所から出したばかりなら、部屋の温度になじませる。記録面を乾いた柔らかい布で中心から外へ拭き、別のドライブや別のパソコンに入れてみる。読めたら、失いたくないフォルダーから順にパソコンへ写し、開けるかを確かめて、2か所以上に置く。読めないファイルが残ったら、ソフトで試すか、ディスクに手を加えずに業者に相談するかを決めます。
当社は、動画データからDVDやブルーレイを作る、大阪・梅田の書き込み代行の店で、データ復旧の業者ではありません。取り出せたのがMP4・MOV・MTSなどの動画ファイルで、家のプレーヤーで見られるDVDやブルーレイにしたいときは、1枚から作れます。動画の共有URLを注文フォームに貼っていただければ、プレーヤーで再生できる形に組み立てて書き込み、実際のプレーヤーで再生を確かめてから、ケースに入れて発送するか店舗でお渡しします。料金は、基本料金(DVD・1枚あたり)1,500円(税抜)、基本料金(Blu-ray・1枚あたり)1,500円です。他人の著作物の複製はお引き受けしていません。
よくある質問
Q1. 古いCD-Rが読めないのは、寿命ですか?
その可能性はありますが、汚れや機器の側が原因のこともあります。CCIの資料では、シアニンかアゾの色素と銀合金の反射層のCD-Rの平均の寿命は20〜50年です。一方で、1台で読めないディスクが別の機器では読めることがある、ともCCIは書いています。記録面を拭き、別のドライブで試してから判断します。
Q2. 読めないDVD-Rから、データを救出できますか?
原因しだいです。汚れや、機器とディスクの組み合わせが原因なら、拭く、別のドライブで試す、で読めることがあります。一部のファイルだけ読めないなら、読めるファイルを先に写し、残りを読み出しのソフトで試します(CCI)。色素の層が傷んで直しきれない誤りになった部分は元に戻せない、とNISTは書いています。
Q3. 読み込みが途中で止まるときは、何度も試せばいいですか?
同じ機器で繰り返すより、別のドライブに替えるほうが近道です。CCIは、光ディスクの救出の成否はソフトよりドライブに左右されやすいとしています。コピーなら、止まったファイルを後回しにして、読めるファイルを先に写します。エラーの箇所ではドライブが1ブロックに30秒以上かかることもある、とIsoBusterのヘルプにあります。
Q4. 研磨すれば、古いディスクは読めるようになりますか?
読み取る面の保護層の傷が原因なら、読めるようになる場合があります。ただ、研磨式の修復機のメーカーも、傷を消すものではなく、研磨の跡が残り、データの損失には責任を負わないとしています。色素の傷みや、CDのレーベル面側の傷は、削っても直りません(NIST)。そこにしかないデータなら、削る前に業者に相談します。
Q5. CD-Rを水で拭いてもいいですか?
メーカーと資料で案内が分かれます。マクセルは、CDの記録面にはベンジンやシンナーなどと並べて、水も使わないよう案内しています。一方、ソニーや東芝は、ブルーレイレコーダーの案内で、水を含ませた布で拭く方法を挙げています。そこにしかないデータのCD-Rなら、乾いた柔らかい布で中心から外へ拭くところまでにします。
Q6. データを救出するソフトは、使っても大丈夫ですか?
公式の説明で働きを確かめられるものを選びます。たとえばWindows用のIsoBusterは、読めない箇所で読み直すか飛ばすかを選べ、古いセッションのファイルも取り出せると説明しています。ISO9660やJolietのファイルの取り出しは無料で、UDFなどからの取り出しは有料の登録が要ります。名前の分からない修復ソフトに、そこにしかないディスクを任せるのは避けます。
Q7. パソコンにディスクのドライブがありません。どうすればいいですか?
USBの外付けドライブをつなぎます。DVD-Rを読むなら、DVDに対応したドライブを選びます。認識しないときは、バッファローの案内にあるとおり、デバイスマネージャーで認識されているかを見て、別のUSBポートにつなぎ替え、ほかのUSB機器を外してみます。家族や職場のドライブ付きのパソコンを借りる方法もあります。
Q8. 割れたりひびが入ったりしたCD-Rは読めますか?
ドライブに入れられないので、家庭で読むのは難しいディスクです。PlayStationのサポートは、割れたり変形したりしたディスクや、修理したディスクは本体の故障の原因になるとしています。テープや接着剤でつながず、ケースに入れて保管し、そこにしかないデータなら、データ復旧の業者に相談します。
Q9. データ復旧の業者に頼むと、費用はいくらかかりますか?
業者やディスクの状態で変わるので、この記事では金額を挙げていません。見積もりの段階で、診断や見積もりの費用、断ったときと取り出せなかったときの費用を確かめます。取り出せたファイルを支払いの前に確かめられるか、研磨など元に戻せない処置をするか、日数、データの受け取り方、預けたディスクとデータの扱いも聞いておきます。
Q10. 読めたディスクは、そのあとどうすればいいですか?
中身をパソコンに写して開けるかを確かめ、外付けのHDDやクラウドなど、2か所以上に置きます。CCIは、3つのコピーを少なくとも2種類の媒体に作り、1つは別の場所に置くよう勧めています。元のディスクもケースに入れて立て、涼しく乾いた暗い場所に残します。同じころに焼いたほかのディスクも、読めるうちに確かめます。
参考にした公式の情報
機器やソフトの働き、ライセンスの内容は、版や時期で変わります。この記事は、2026年9月25日時点の各社・各機関の公式ページの記載をもとにしたものです。
ディスクメーカーへのご依頼・お見積りは以下からどうぞ。