この記事の要点
撮影の前に記録の目的と配布範囲 を総代会で決めて議事録に残しておくと、後から配りたい相手が増えたときの判断に迷わずに済みます。
宗教団体が宗教活動の目的で個人情報を扱う場合は個人情報保護法57条1項 で義務規定の適用対象外ですが、肖像権は別の問題として残ります。
儀式の記録で三十年後に効いてくるのは映像そのものより、次第と時刻を突き合わせた記録票 という紙の一枚です。
高齢の檀家・氏子へ配るなら、テレビとプレーヤーだけで再生が完結するディスクとメニュー画面 が操作の壁を作りません。
記録媒体の寿命は紙より短いため、配布用・保管用・元データ の三系統に分け、五年ごとの再生確認を年中行事に組み込みます。
五十回忌の法要、本堂の落慶、十年に一度の式年の祭礼。次にいつ行われるか分からない行事ほど、記録を残しておきたいという話が総代会で出ます。ところが実際に動き出すと、誰がカメラを持つのか、どこに立ってよいのか、参列者が写ってしまってよいのか、撮ったものを誰にどう配るのかという問いが一度に押し寄せて、結局その場でスマートフォンを構えただけで終わってしまう。数年後に見返すと、肝心の場面が人の背中で隠れていた、音が空調に潰れていた、そもそもどのファイルが本番なのか分からない、ということが起こります。
この記事は、寺院や神社の行事を映像で記録し、檀家・氏子の方々へ配るところまでを、実際に手を動かせる粒度で並べたものです。撮影の前に決めておくこと、当日の立ち位置と所作、参列者の写り込みへの向き合い方、儀式の流れを後から追える形にする方法、高齢の方に確実に届く配布の形、そして数十年単位の保管と次の代への引き継ぎまでを順に扱います。
法令や規格に関わる部分は出典を確認したうえで書いています。逆に、確かめられないことは書いていません。判断の分かれる部分は「〜と考えられます」と明示しますので、最終的な判断は住職・宮司と総代の合議でお願いします。
撮る前に決める五つのこと|「誰が撮り、誰に配り、どこまで写すか」を議事録に残す
記録映像でいちばん揉めるのは、撮影の技術ではなく配布の段階です。撮り終わってから「本家にも一枚」「近隣の寺院にも」「ホームページにも載せよう」と範囲が広がり、そのたびに写っている人の了解を取り直せるのかという話になります。撮影前に範囲を決めておけば、当日の掲示も編集の判断もその一枚に従うだけで済みます。
役員会や総代会の議題として、次の五点を決めて議事録に残してください。口頭の合意は代替わりで消えます。
決めること
決め方の例
決めずに進めると
記録の目的
寺の記録として保存する/檀家へ配る/文化財の記録として自治体に提出する
目的が違うと必要な撮り方も変わるため、撮り直しがきかない
配布の範囲
当日の参列者のみ/檀家全戸/氏子総代と自治会/限定なし
後から広げるとき、写っている方への確認が事実上できない
撮影の担当
寺務所の職員/総代の一人/外部の撮影者に依頼
当日「誰が撮っているのか」を参列者に説明できない
費用の負担
寺社の予算/護持会費/記念事業の会計から
ディスク制作の段階で止まり、データのまま眠る
成果物の形
ディスク◯枚/元データの保管/ダイジェスト版の有無
何本作るのか決まらず、配布の時期が読めない
「配布の範囲」は狭いところから始める
迷ったら狭く決めてください。狭く決めておいて後から総代会で広げる決議をするほうが、広く決めたものを絞り込むより現実的です。特にインターネットでの公開は、一度出したものを回収する手段がありません。当日の参列者と、事情があって来られなかった檀家・氏子の方へ配る、という範囲であれば、撮影の掲示も編集も無理なく収まります。
記念事業なら、記録の予算を最初の見積もりに入れる
本堂の修復や式年の祭礼といった記念事業では、記録映像の費用が最後まで議題に上がらず、終わってから「撮っておけばよかった」となりがちです。事業計画の段階で、撮影・編集・配布用ディスクの三つを一行ずつ計上しておくと、当日になって慌てません。配布枚数は檀家戸数がそのまま上限になりますから、戸数台帳から概算が出せます。
撮影者の立ち位置と作法|内陣には入らず、外陣後方の定点と脇からの二台で組む
撮影者の第一の仕事は、儀式を妨げないことです。よい絵が撮れても、導師の視界を横切ったり参列者の焼香を遮ったりしたら記録として失敗です。位置は当日に決めるものではなく、前日までに住職・宮司と歩いて決めておきます。
本尊・御神体と導師を結ぶ線には立たない
本尊と導師を結ぶ線の上、つまり正面中央は空けておきます。ここは儀式の軸であり、人が立つ場所ではありません。定点カメラは外陣の後方、参列者の最後列よりさらに後ろに三脚で据えるのが基本です。堂内が狭ければ脇陣の柱の陰など、参列者の視線を遮らない位置を選びます。内陣は僧侶・神職の領域ですから、明示的な許可がない限り入りません。
二台体制にすると、動かなくてよくなる
一台だけだと、寄りの絵を撮りたくなって撮影者が動きます。動きは音になり、視界に入ります。三脚固定の定点を一台、全体が収まる画角で回しっぱなしにしておき、もう一台を手持ちで所作の寄りに使う。この二台があれば、手持ち側が動けない場面でも記録は途切れません。定点は開式の十分前から止めずに回します。開式直前の静けさや、参列者が着席していく様子も後から効いてくる素材です。
移動してよい時間帯に、次第の紙で印をつけておく
事前に次第(式次第・祭儀次第)の紙をもらい、住職・宮司に「ここは動いてよい」「ここは絶対に動かない」を印で入れてもらいます。おおむね、以下は動かない時間帯だと考えてください。
読経・祝詞奏上の最中、特に導師・斎主の所作が切り替わる直前
修祓(しゅばつ)や献饌など、参列者が頭を下げている間
焼香・玉串奉奠で参列者が列を作っている間の、その列の前方
移動するのは、所作の切れ目、参列者が起立・着席する動きに紛れるタイミングです。足音が響く堂内では、靴下や足袋のまま動ける準備をしておきます。
機材まわりで当日忘れやすいこと
撮影開始前に、電子音とシャッター音を切り、機内モードにして通知を止めます。オートフォーカスの合焦音が出る機種は無音設定に変えます。バッテリーは想定時間の二倍、記録メディアも予備を持ちます。長い法要では途中でファイルが自動分割される機種があるため、分割の境目で切れても困らないよう二台の録画開始時刻をずらしておくと安全です。服装は黒か濃紺の目立たないもの、袈裟や装束と紛れる色は避けます。
式や イベントの 映像を、 配れる ディスクに。
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1枚1,500円(税抜)から・ 1枚から注文できます
参列者が写ることへの配慮|宗教活動なら個人情報保護法は適用除外、それでも掲示と席は用意する
参列者の顔が映ることについて、二つの別々の話を切り分けて考える必要があります。個人情報保護法の話と、肖像権の話です。
個人情報保護法は、宗教活動の目的であれば義務規定の適用対象外
個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)は、宗教団体が宗教活動の用に供する目的で個人情報等を取り扱う場合について、個人情報取扱事業者の義務規定の適用対象外であるとしています(法57条1項)。また同法2条3項の要配慮個人情報には「信条」が含まれ、これは「個人の基本的なものの見方、考え方を意味し、思想と信仰の双方を含むもの」と説明されています。
つまり、法要の記録という宗教活動の目的で参列者の映像を扱う限り、事業者としての義務規定はかかりません。ただし適用除外はあくまで「宗教活動の用に供する目的」に限られますから、たとえば収益事業の販促に転用するといった場面では話が変わります。適用除外だからといって何をしてもよいという性質のものではなく、法の趣旨に沿った自主的な取り扱いが期待されている、と理解しておくのが安全だと考えられます。
肖像権は別の話として残る
個人情報保護法の適用除外は、肖像権とは無関係です。肖像権は民事上の人格的利益で、法律の適用除外規定では消えません。判断の物差しとしては、デジタルアーカイブ学会が公開している「肖像権ガイドライン」が参考になります。2019年の初版から改訂を重ね、2021年4月19日の公開版を経て2023年4月の補訂版が最新です。最高裁の総合考慮の枠組みを実務で使えるようにしたもので、被撮影者の社会的地位、活動内容、撮影場所、撮影態様、被撮影者の同意、撮影時期からの経過年数といった要素を加減点方式で評価します。
この物差しを法要にあてはめると、寺社の境内という半ば公開の場で、参列という自発的な行為が、正面からの寄りではなく全体の中の一人として写り、配布先が檀家・氏子に限られている——という状況は、比較的問題になりにくい側に寄ると考えられます。逆に、特定の一人を長く正面から捉えた映像をインターネットで公開する形は、反対側に振れます。
当日、実務としてやること
受付と入口に掲示を出す。「本日の法要は記録のため撮影しています。映像は◯◯として檀家の皆様へ配布いたします。写りたくない方は受付までお申し出ください」の三点で足ります
次第を刷った紙の末尾に同じ一文を入れる。掲示を見ずに入る方がいます
カメラの画角から外れる席を数席用意し、受付で案内できるようにしておく。定点カメラの位置が決まっていれば死角も決まります
申し出があった方は受付で名簿に印をつけ、編集時に該当の場面を確認する
映してはいけないもの
参列者名簿、芳名帳、席次表、志の記帳簿は画角に入れません。氏名と信仰が結びついた情報がそのまま映り込みます。同じ理由で、卒塔婆や位牌の俗名・戒名が読める寄りの絵も、遺族の了解なしには使わないほうがよいと考えられます。
音の記録|読経と祝詞は内蔵マイクでは潰れる、録音は別に一本立てる
記録映像で後から取り返しがつかないのが音です。映像は多少暗くても何をしているか分かりますが、読経が空調のノイズに埋もれていると記録としての価値が大きく落ちます。カメラの内蔵マイクは撮影者の手元の音、衣擦れ、レンズの駆動音を拾い、遠くの声は拾いません。
録音機は二か所に置く
一つは声の近く。導師・斎主の所作を妨げない位置に小型のICレコーダーを置かせてもらうか、事前に許可を得てピンマイクを装着します。これは必ず住職・宮司に相談してください。装束に金具を付けることを嫌う場合がありますから、その際は経机の陰や導師の前方一メートル程度の床に置く形にします。
もう一つは堂内の響きを拾う位置。後方の定点カメラの近くに置き、参列者の唱和や堂内の残響を録ります。この二本を編集で混ぜると、明瞭さと臨場感の両方が出ます。
録音レベルは低めに固定する
鐘、太鼓、鈴、柏手は瞬間的に非常に大きな音になります。声に合わせてレベルを上げていると、鐘の一撃で波形が振り切れ、割れた音が記録に残ります。割れた音は後から直せません。通常の読経で概ね-12dB前後に収まるよう固定し、リミッターがある機種はオンにしておきます。二台の録音機のうち一台をさらに低いレベルにしておく(デュアル録音)と、保険になります。
BGMを付ける前に、著作権法の二つの条文を確認する
編集で市販の楽曲を敷きたくなりますが、ここは慎重に進めてください。著作権法38条1項は「公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる」と定めており、対象となる行為は上演・演奏・上映・口述の四つです。複製は含まれていません。つまり、非営利・無料の上映であれば法要の場で流すことは条文の範囲に入りますが、楽曲を映像に組み込んでディスクに焼く行為は複製であり、この条文では手当てされません。
また30条1項は、私的使用を「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」と定義しています。檀家全戸への配布はこの範囲を超えると考えられます。したがって、配布物に音楽を入れるなら、権利処理が済んでいる音源を使うか、当日の実音(読経、雅楽、太鼓、境内の鳥の声)だけで構成するのが安全です。実際のところ、行事の記録映像では実音だけのほうが記録として素直です。
なお、読経や祝詞、雅楽の演奏そのものについては、演じた僧侶・神職・伶人の方々に配布の了解を得ておくと、後の代でも扱いに迷いません。合意の内容は次項の記録票に書き残します。
儀式の流れを分かる形で残す|三十年後に効くのは映像より「次第と時刻の記録票」
五十年前の記録フィルムが出てきたとして、そこに何が写っているか分かるでしょうか。導師が誰か、どの次第の場面か、参列している人物は誰か。映像だけでは答えられません。記録として長く効くのは、映像に添えられた紙のほうです。
記録係を一人立て、時刻を手で書く
撮影者とは別に、記録係を一人置きます。仕事は単純で、次第の各項目が始まった時刻を紙に書くだけです。腕時計ではなく、カメラの時計と合わせた一つの時計を使います。撮影開始前に全機材の時計を同じ時刻に合わせておくと、後で映像と紙が突き合わせられます。
記録票に入れる項目
項目
記入例
行事名・回次
◯◯上人五十回忌法要
年月日・天候
令和八年◯月◯日(◯) 晴 気温◯度
場所
本堂内陣・外陣、境内
導師・斎主
氏名、寺社名、役職
出仕・随喜
氏名と所属を全員分
参列者数
檀家◯戸◯名、来賓◯名
次第と開始時刻
開式10:00/表白10:12/読経10:18/焼香10:41/法話11:05/閉式11:30
当日の変更点
雨天のため稚児行列は本堂内で実施
撮影者・機材
担当者名、カメラ台数と設置位置
合意事項
配布範囲、撮影辞退の申し出の有無、演者の了解
チャプターは次第の項目とそろえる
編集の段階で、この時刻の一覧をそのままチャプターの区切りに使います。「第1章 開式」「第2章 表白」「第3章 読経」と、次第の言葉をそのままチャプター名にすると、見る人が紙と画面を行き来できます。ディスクにする場合は、ディスクメーカーのチャプター分け(1枚あたり+1,500円)とメニュー画面作成(1枚あたり+2,500円)を付け、この時刻の一覧を入稿時に添えていただければ、そのとおりに区切って組み立てます。
編集で切ってはいけないもの
記録としての映像では、間延びして見える部分を切りたくなりますが、儀式の間(ま)そのものが記録です。読経の途中を短くつなぐ、焼香の列を早送りにするといった加工は、鑑賞用のダイジェストを別に作ることで解決してください。本編は通しの一本を残し、そこから十分程度のダイジェストを派生させる。二本立てにすれば、記録としての正確さと、見やすさの両方が成立します。
無形民俗文化財の制度に触れる行事の場合
地域の祭礼や民俗芸能を伴う行事であれば、文化財の枠組みでの記録という選択肢もあります。文化庁は、重要無形民俗文化財および登録無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要のあるものを「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として選択する制度を設けています。担い手の減少で継承が危ぶまれる行事なら、撮影の前に市区町村の文化財担当部署へ相談すると、記録の項目や方法について助言が受けられる場合があります。
高齢の関係者に届く形|テレビとプレーヤーだけで再生が完結する状態にする
檀家・氏子の中心層を思い浮かべてください。クラウドの共有リンクをメールで送って、パスワードを入力して、ブラウザで再生する。この経路が成立する方はどれくらいいるでしょうか。USBメモリも、テレビの入力切替とファイル選択という壁があります。記録映像の配布で確実なのは、いまも各家庭にあるプレーヤーとテレビだけで完結する形、つまりディスクです。
DVDとブルーレイの違いは、画素数で約六倍
DVD-Videoの映像規格は、日本で使われるNTSC方式で720×480ピクセル、29.97fps のインターレースです。画素数にすると約35万画素。映像はMPEG-2で、ビットレートは映像で最大約9.8Mbps、音声等を含む全体で10.08Mbpsを超えられない決まりです。一方ブルーレイ(BDMV)は最大1080i/1080p、つまり1920×1080ピクセルで約207万画素。H.264/MPEG-4 AVCなどの効率の高いコーデックが使えます。
収録時間の目安は容量とビットレートの割り算で出ます。片面1層のDVDは約4.7GB。平均5Mbpsで記録すると4.7×8÷5で約7,500秒、およそ2時間です。ブルーレイの片面1層は25GBですから、平均15Mbpsなら約3時間半。長い法要を一枚に収めたいならブルーレイ、二時間以内でどの家庭でも確実に再生したいならDVD、という選び分けになります。
DVD
ブルーレイ
解像度
720×480(約35万画素)
最大1920×1080(約207万画素)
片面1層の容量
約4.7GB
25GB
収録時間の目安
平均5Mbpsで約2時間
平均15Mbpsで約3時間半
向く配布先
高齢のご家庭を含む広い配布
寺社の保管用、画質を重視する場合
迷ったらDVDとブルーレイを併走させる
配布用はDVD、寺社に残す保管用はブルーレイ、という組み合わせが現実的です。配布用は一枚あたりの単価と再生機の普及率で選び、保管用は画質で選ぶ。両方を同じ元データから作れば、内容は同一です。
盤面と背表紙に、行事名と年月日を印刷する
手書きのラベルシールは、時間が経つと剥がれて再生時の回転バランスを崩します。盤面へのレーベル印刷であれば、その心配がありません。書く内容は「◯◯上人五十回忌法要 令和八年◯月◯日 ◯◯寺」のように、行事名・年月日・寺社名の三つで十分です。数十年後に箱から出した人が、それだけで中身を判断できます。ケースと背表紙にも同じ表記を入れておくと、棚に立てたまま探せます。
メニュー画面は文字を大きく、項目を少なく
テレビは二メートル以上離れて見ます。パソコンの画面で作った文字は、その距離では読めません。メニューの項目は「本編を見る」「章から選ぶ」の二つ程度に絞り、文字は画面高さの二十分の一以上を目安にします。章のリストは次第の言葉をそのまま並べ、副題は付けません。
ディスクメーカーでの制作の流れ
ディスクメーカー(大阪市北区太融寺町、株式会社プラスカルチャー運営)では、動画データからDVD・ブルーレイを制作しています。1枚1,500円からで、1枚から注文できます。再生できる形式へ組み立てるオーサリングは料金に含まれており、盤面へのレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しています。
入稿はダウンロードできる共有URLをお知らせいただく方式です。ギガファイル便(1ファイル300GBまで、個数は無制限)、Google Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなどが使えます。撮影から日が空くと元データの所在が分からなくなりがちですので、行事の直後にアップロードまで済ませてしまうことをおすすめします。
納期は通常便のほか、お急ぎ(+1,500円/15時までの注文・入稿で翌々日までに発送)、特急(+3,000円/15時までの注文・入稿で翌日発送)、当日店舗お渡し(+3,500円/平日12時までの注文・入稿、大阪市北区の店舗で受け取り)から選べます。法要の当日に参列者へお渡ししたい場合は、前もって式の直前までの素材で一枚作っておく、という使い方もできます。なお、米国のDisc Makers社とは別の事業者です。
数十年残す保管|配布用・保管用・元データの三系統に分け、五年ごとに再生を確かめる
国立国会図書館は、電子情報の長期保存について「紙媒体の寿命とくらべて、記録媒体の寿命は著しく短い」ことを課題として挙げ、あわせて、電子情報を利用するには対応する再生機器やソフトウェアが必要であり、それらが入手できなくなることを問題として指摘しています。同館はファイルフォーマットの選定を重要な論点として扱っています。
つまり、長期保存で壊れるものは二つある、ということです。媒体そのものと、それを読む手段。どちらか一方の対策では足りません。
三系統に分けて置く
配布用 :檀家・氏子へ渡すディスク。渡した先の管理はできませんから、寺社の保管とは数えません
保管用 :寺務所・社務所に残すディスク。同じものを二枚作り、うち一枚は別の建物に置きます。庫裏と本堂、あるいは総代宅など、同時に被災しない場所に分けるのが要点です
元データ :撮影機材から取り出した無加工のファイル。外付けHDDと、クラウドストレージの二か所に置きます
元データを必ず残してください。ディスク用に書き出した映像は圧縮された後の状態です。将来もっと高い解像度で作り直したくなったとき、元データがなければそれ以上のものは作れません。撮影直後にフォルダごとコピーし、カメラのメディアは元データのコピーが二か所に取れたことを確認してから初期化します。
ディスクの置き方
直射日光と高温多湿を避け、record面(記録面)を傷つけないプラスチックケースに入れて、平積みではなく立てて保管します。不織布のケースは長期では記録面に貼り付くことがあるため、長く残す一枚には使いません。押し入れや土蔵は湿度が振れやすいので、母屋の中で温度変化の少ない場所を選びます。
点検を年中行事に組み込む
保管は「置いたら終わり」ではありません。五年ごとに、保管用ディスクを実際に再生して最後まで通ることを確認します。これを個人の記憶に任せず、什物点検や虫干し、あるいは決まった月の役員会の議題として年中行事表に書き込んでください。読めなくなっていた場合は、元データから新しいディスクを作り直します。
あわせて、十年程度を目安に媒体そのものの移し替え(マイグレーション)を検討します。そのときの主流の媒体へ元データを移し、必要ならディスクも新しい規格で作り直す。これを二回か三回繰り返せば、五十年が渡れます。ディスクメーカーでは1枚から注文できますので、点検で不調が見つかった一枚だけを作り直す、という使い方ができます。
次の代への引き継ぎ|ディスクと同じ箱に、紙の台帳を一枚入れる
ここまでの手順を踏んでも、引き継ぎが抜けるとすべて無駄になります。撮影した人が代替わりし、クラウドのアカウントが個人のもので、パスワードが分からない。よくある終わり方です。
台帳は紙で、ディスクと同じ箱に入れる
電子ファイルの台帳は、それ自体が読めなくなる可能性があります。A4一枚の紙に書き、保管用ディスクと同じ箱に入れてください。書く内容は次のとおりです。
行事名、年月日、撮影者と所属
使用した機材と記録形式(例:MP4/H.264/1920×1080)
元データの所在(外付けHDDの管理番号と保管場所、クラウドの提供事業者名とアカウント)
配布した相手と枚数、配布日
撮影時に決めた配布範囲と、その決議を行った会議の日付
撮影辞退の申し出があった方の有無と、編集での対応
演者(導師・神職・伶人など)から配布の了解を得た旨
次回の再生点検の予定年
最後の一行が効きます。「次回点検:令和十三年」と書いてあれば、箱を開けた人が何をすべきか分かります。
ファイル名の付け方を決めておく
元データのフォルダとファイルは、日付から始まる名前に統一します。「20260315_五十回忌法要_定点」「20260315_五十回忌法要_手持ち」といった形です。日付を先頭にすると自動的に時系列に並び、行事名が入っていれば中身が推測できます。カメラが付ける「MVI_0043」のような名前のままにすると、五年後に開いた人が判断できません。
クラウドは個人名義にしない
元データを置くクラウドのアカウントは、住職個人や担当者個人のものではなく、寺社の名義で取得します。代替わりのときに引き継ぐのはアカウント情報一式であって、個人の端末ではありません。パスワードは台帳とは別の場所(例えば什物の鍵と同じ金庫)に、封をして保管します。
什物台帳に載せる
記録ディスクと元データの保管場所を、什物台帳や備品台帳に一行加えてください。「記録映像一式(本堂裏収納 三段目)」と書いてあるだけで、次の代が探し当てられます。行事のたびに一行増えていけば、二十年後にはその寺社の記録の目録そのものになります。
撮り始めるのは、次の行事からで間に合う
ここまで読んで、体制を整えてから始めようと思われたかもしれません。ただ、完璧な体制を待っているうちに次の十年が過ぎることのほうが多いのが実情です。次に控えている行事について、この記事の最初の五項目——目的、配布範囲、担当、費用、成果物の形——だけを役員会で決めて、記録係を一人立てる。それだけで、残るものの質は変わります。
よくある質問
Q. 法要を動画で撮影してもよいのでしょうか
A. 多くの寺院では、事前に住職へ相談すれば記録目的の撮影は認められます。ただし施主や遺族の意向が優先されますので、年忌法要であれば施主の了解を先に取ってください。相談の際は、撮影の目的、誰に配るのか、カメラを何台どこに据えるのかの三点を伝えると話が早く進みます。宗派や寺院ごとに考え方が異なりますから、慣例で判断せず、その都度確認するのが確実です。当日は電子音とシャッター音を切り、通知を止めておきます。
Q. 本堂の中で撮影するとき、どこに立てばよいですか
A. 本尊と導師を結ぶ線の上、つまり正面中央は空けます。基本の位置は外陣の後方、参列者の最後列より後ろに三脚を据えた定点です。堂内が狭ければ脇陣の柱の陰など、参列者の視線を遮らない場所を選びます。内陣は僧侶の領域ですので、明示的な許可がない限り立ち入りません。移動は所作の切れ目か、参列者が起立・着席する動きに紛れるタイミングに限り、読経の最中や参列者が頭を下げている間は動かないでください。
Q. 参列者の顔が映った映像を檀家に配っても問題ありませんか
A. 個人情報保護委員会のガイドラインでは、宗教団体が宗教活動の用に供する目的で個人情報を取り扱う場合、個人情報取扱事業者の義務規定の適用対象外とされています(法57条1項)。ただし肖像権は別の問題として残ります。実務としては、受付と入口に撮影の掲示を出し、配布先を檀家・氏子に限ることを明示し、写りたくない方の申し出を受ける窓口を設けてください。参列者名簿や芳名帳は画角に入れないようにします。
Q. 撮影を断りたいという参列者がいた場合はどうすればよいですか
A. 受付で申し出を受け、名簿に印をつけたうえで、カメラの画角から外れる席へご案内します。定点カメラの位置が決まっていれば死角も決まりますので、あらかじめ数席を確保しておくと当日に慌てません。編集の段階で、その方が写り込んでいる場面がないかを確認し、あれば別のカメラの映像に差し替えるか、その部分を使わない判断をします。対応した内容は記録票に一行残し、次の代が経緯を追えるようにしておきます。
Q. 記録映像にBGMを入れてもよいですか
A. 市販の楽曲をディスクに組み込む行為は複製にあたります。著作権法38条1項が定めるのは上演・演奏・上映・口述であって複製は含まれず、30条1項の私的使用も「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内」と定義されていますので、檀家全戸への配布はこの範囲を超えると考えられます。権利処理済みの音源を使うか、当日の実音だけで構成するのが安全です。記録映像としては、読経や雅楽の実音のみのほうが素直に仕上がります。
Q. DVDとブルーレイのどちらで配るべきですか
A. 広く配るならDVD、寺社の保管用ならブルーレイという分け方が現実的です。DVDは720×480で約35万画素、片面1層約4.7GBに平均5Mbpsで約2時間が目安。ブルーレイは最大1920×1080で約207万画素、片面1層25GBに平均15Mbpsで約3時間半が目安です。画質は約六倍の差がありますが、再生機の普及という点ではDVDに分があります。同じ元データから両方を作り、配布用と保管用で使い分けるのが確実です。
Q. 記録した映像は何年くらい保存できますか
A. 国立国会図書館は、記録媒体の寿命は紙媒体と比べて著しく短く、再生機器やソフトウェアが入手できなくなることも課題だと指摘しています。媒体の寿命だけでなく、読む手段の維持も必要ということです。実務としては、配布用・保管用・元データの三系統に分け、保管用は別の建物にもう一枚置き、五年ごとに実際に再生して確認します。十年を目安にその時点の主流媒体へ移し替えれば、五十年単位で渡していけます。
Q. スマートフォンで撮影した映像でもディスクにできますか
A. できます。ディスクメーカーでは動画データからDVD・ブルーレイを制作しており、再生できる形式へ組み立てるオーサリングは料金に含まれています。入稿はダウンロードできる共有URLをお知らせいただく方式で、ギガファイル便やGoogle Drive、Dropbox、OneDrive、WeTransfer、firestorageなどが使えます。1枚1,500円からで1枚から注文でき、盤面のレーベル印刷、ケースと背表紙の印刷、メニュー画面の作成、チャプター分けにも対応しています。